1. 赤い靴(1948)
《ネタバレ》 「第七のヴェール」「ある日どこかで」が思い浮かぶボリス・レルモントフ。彼にとってヴィクトリア・ペイジは自身理想のバレエを体現してくれるペットと言うかロボット(適切な言葉が浮かばない)であって、彼女が人間らしい愛情を持つことに憤怒する。バレエ以外愛せない男を演じるアントン・ウォルブルックは絶品でありました。「赤い靴」バレエシーンはダンサーの魅力と映画ならではの映像表現が相まって息を呑む素晴らしさ。物語そのものが「赤い靴」であった最期の「靴を脱がせて・・・」が何ともやりきれない。傑作です。 [DVD(字幕)] 9点(2019-07-28 19:49:35) |
2. 赤い航路
《ネタバレ》 究極の愛って何なのでしょうか。過激なセックス。何でも出来るサディスティックと何でも受け入れるマゾヒスティック。他人には真似の出来ない事を自分達は出来るのだという思いも愛の形だと思います。しかし、それだけでは行き着く先はオスカーとミミのような最期ではないでしょうか。互いを思いやれて尊敬し合える事、共に精進していく事。まだまだあるかと思いますがこれらも愛の形だと考えます。「愛に貪欲すぎた」と散っていった二人ですが、一つ二つだけでなく色々な愛に貪欲になれるのは幸せな事で、二人一緒に最期の時まで歩み続けて行けるのが究極の愛の形なのでしょうか。監督が奥さんを起用して奥さんが演じたのは他人には真似のしにくい二人の愛の形だったように感じました。 9点(2003-12-05 01:12:02) |
3. アイム・ノット・シリアルキラー
《ネタバレ》 昼食摂りながらの鑑賞は無謀でした。即停止、仕切り直し(恥・省) ゲテモノ作品かと思いきや、しっかりとした筋立てでした。 ソシオパス≠シリアルキラー、尚且つ、妻を守る為に生きる、その為の殺戮行為≠シリアルキラー 脚本にも携わっているクリストファー・ロイドは流石の名演熱演怪演。 もんの凄いシーンには息が止まりました。掘り出し物の一品です。 [DVD(字幕)] 8点(2022-04-27 16:12:07) |
4. 雨の午後の降霊祭
《ネタバレ》 降霊ものとアッテンボローの組み合わせでおどろおどろしさに身構えていましたが。まさかの展開で憤りともどさしさに支配された2時間でグッタリ。精神は病んでいても犯行計画は理詰めで的確なマイラと、幼女とその母親への気遣いを見せながらも犯行実行役のビリー。妻の暴走を食い止めようとしても言い負かされて押し切られる夫にもどかしさで身悶え。引き立て役にもなっていない捜査当局ももどかしい。誘拐幼女殺害シーンは描かれていません。自主規制したのかもしれません。私はビリーが殺害せず発見されやすいあの場所に寝かせたと思います。彼のクレイトン夫人をマイラ同様に悲しませてはならないとの思いと、マイラを絞首刑にさせはしない思いを感じました。マルチな映画人アッテンボローの役者としての絶品振りが記憶に刻まれる傑作です。 [DVD(字幕)] 8点(2021-06-14 16:17:40) |
5. アンコール!!
「年金ズ」の面々に、リタイアした勝ち組さんが自治体が支援するナントカ大学に入って優雅なお時間を過ごされているのが思い浮かびます。この方々が間違っても歌うことないヘビメタやセックスがどうたらは映画ならではでしょうが、アーサーならずとも「何じゃこりゃ」で白けます。冒頭のシーンで予想した通りの展開だったありきたりな物語。しかし、キャスティングが奇跡的でテレンス・スタンプとヴァネッサ・レッドグレイヴは鑑賞歴中でのベスト熟年カップル。皺くちゃになっても瞳の色は若かりし頃と同じで「血と怒りの河」「わが命つきるとも」の溢れ出ていた魅力そのままに齢を重ねた姿に感動しました。お二人に点数の全てを。 [インターネット(字幕)] 8点(2019-01-07 13:34:14) |
6. あの日の指輪を待つきみへ
「貞女二夫にまみえず」が思い浮かぶ。50年の歳月を経て尚皆を縛っている指輪の約束。その指輪をもたらしたのがエレノアの孫というところに因縁を感じる。「私の母を好きだったの?」と問われたジャックが「それだけは聞かないでくれ」と慟哭するのに、この人も胸の奥底に思いを封じ込めて生きてきた事に気づかされる。50年経って明らかになったテディの遺言「これからは自由に生きろ」が切ない。ラストショットに、これからは娘も愛してあげてほしいと思わされた。名優達の共演に感じ入る作品。 [DVD(字幕)] 8点(2017-08-13 12:42:04) |
7. アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場
《ネタバレ》 会議室で起きている事件の中で決断に尻込みするリーダーの有り様が生々しく描かれており、手に汗握る展開に見入りました。80人を護る為に蔑にされた1人の命。事実を捻じ曲げた大佐の行為に正義と善の違いを痛感します。 [DVD(字幕)] 8点(2017-07-24 13:20:12) |
8. アルゼンチン1985 〜歴史を変えた裁判〜
史実に疎い身で驚きの連続です。 その最たるは検事への脅迫で誰も身体を傷つけられなかった点で、どこかの国だったら確実に誰かがあの世行きになるのでしょう。 なので血圧が上がること無く検事の勇敢さに見入ったところです。 リカルド・ダリン貫禄の名演でした。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-06-30 12:43:28) |
9. アルフィー(1966)
都合の良い女性と都合の良い関係のみを求めるアルフィー。シニカルで飄々とした言動の彼が時折見せる寂しさに胸が疼きます。シェリー・ウィンタースの妖艶さは女性陣の中では別格で流石の貫録。作品に溶け込んでいる音楽も素敵でした。 [DVD(字幕)] 7点(2017-12-23 23:16:55) |
10. アフリカの女王
全編殆ど二人芝居の冒険物語。向こう見ずで頑固ながらもふと気弱な一面を見せるロージー、彼女に呆れつつも知識と知恵と腕力でもって彼女を守るチャーリー。共に垢抜けないものの、その心模様が実に見応えがあり、男らしさ、女らしさを示してくれる姿に最後まで釘付け状態でした。敵方が貧弱なのが玉に瑕ですが、ラストは爽快感がありました。 [DVD(字幕)] 7点(2012-05-06 23:55:53) |
11. アラビアのロレンス 完全版
アカバの砲台が海に向かっているショットのみが、成せば成るのだという思いと共に子供心に焼き付いていました。観直してみて、後の苦渋がこの爽快感を掻き消しています。ロレンスの抱いた大望は、彼の優れた戦術と、国王の老練さ、アリの胆力、アウダの磊落さが一体となってこそ果たせるもので、一人のナルシストの限界を見せつけられました。「どんな血も直ぐに乾かしてしまう」砂漠。何事も無かったかのような佇まいの美しさ、静けさに比例した非情さを痛感させられます。 【2023.6.12追記】 劇場鑑賞叶いました。 お目当ての一つドライデン顧問(架空の人物)演じる最晩年クロード・レインズ。少ない出番ながら三枚舌外交をが透けて見える存在感で大満足。 腹に響く音楽、目を瞠る湯水のような出費が窺える壮大な映像での冗長に過ぎる演出はデヴィッド・リーン印。 純白の民族衣装が血と泥で薄汚くなるロレンスの青春物語にも思えた名作を堪能しました。 [DVD(字幕)] 7点(2011-10-29 17:01:34)(良:1票) |
12. アブソロン
NSDを発病させるウイルスで50億の人名が失われた後の世界は、症状を抑えるアブソロンの定期投与が不可欠で、購入出来ない者は死を待つだけ。貨幣無き世界で時間で支払うというのが説明不足であるのと、主人公のタイムリミットの切迫感が無いモヤモヤを横に置いておけば、病気根絶の新薬を巡る陰謀に立ち向かう刑事という筋立てでの、クリストファー・ランバート、ケリー・ブルック、ルー・ダイアモンド・フィリップス、ロン・パールマンのこなれた感ある演技はまずまず楽しめるものでした。 過去3回のワクチン接種において高熱で難儀した事を思うと、自己責任での選択ながら何が正しいのか考えさせられるところもありました。 [DVD(字幕)] 6点(2022-07-23 22:32:47) |
13. 悪女(2004)
《ネタバレ》 1800年イギリスが舞台。生まれた家柄が人生を決めるかのような時代に上流階級を目指してのし上がるベッキーの物語。美しいけれど気品に欠けるお顔(ゴメンチャイ)のリース・ウィザースプーン演じるベッキーは「臆さない」力強さがあったものの全く悪女ではなく邦題が不適切。落ちぶれて泣きを見るのかと思いきや1周回って元の位置のような結末に、そんな都合の良いハナシがあるのか! 素直に喜べない。ガブリエル・バーンがどう絡んでくるのか興味津々だったのが、ペランペランな人物でつまらん退場劇にため息。意外と長さは気にならなかったけれど印象薄い作品。 [DVD(字幕)] 6点(2020-05-24 02:31:43) |
14. 暁に祈れ
《ネタバレ》 タイに流れ着いた薬物常習イギリス人ボクサーが収監された刑務所内で自分を取り戻しムエタイに励む。ビリー・ムーアの自伝を元に製作された本作は、刑務所は本物、エキストラ囚人は本物の元受刑者で全身ビッシリ刺青も本物といった具合のリアル志向。陰謀や裏切り要素は皆無でのべつ幕なしの喧嘩三昧は猿山のサルそのもので、ビリーが味わう「地獄」は施設の劣悪さしか感じられない。勝利は予想通りで盛り上がらないものの、その後の展開は意外なもので、将来の自分を見据えているかのようなラストの演出がなかなか感慨深い。 見た事あると思ったのがタイ初の金メダリスト ソムラック・カムシンで懐かしさに+1点 [DVD(字幕)] 6点(2019-06-22 01:35:13) |
15. 荒鷲の要塞
《ネタバレ》 軍服が素敵だと感じたドイツ軍の余りにもマヌケな描かれ方に戦闘シーンの緊張感は皆無で、リチャード・バートンのアクションシーンも気楽に眺められる。彼が正体を現すのを今か今かと待っていた期待が外れたのが何とも残念。作戦の真の目的もお粗末な演出で何の盛り上がりもなくこれまた残念。作り方次第で傑作になった惜しい作品。 [DVD(字幕)] 6点(2018-05-26 19:56:35) |
16. 嵐の中で輝いて
《ネタバレ》 お目当てのジョン・ギールグッドは魅力を発揮できない役どころで肩すかしを食う。リンダのネットリとした口調が生理的に合わなかったせいなのか、その行動は我儘で無鉄砲にしか見えない。エドが彼女の窮地を救う姿にも都合の良さばかりが目について盛り上がらない。突っ込みどころ満載のつまんない作品のまま終わりそうなのをラストで登場するエドに救われる。はにかんだ笑顔に胸が熱くなった。 [DVD(字幕)] 6点(2017-11-13 11:13:57) |
17. 赤い影
《ネタバレ》 お目当て及び予備知識無しでの鑑賞。監督、主役二人に「これは良作かもしれない」物語の冒頭で「これは傑作サスペンスかもしれない」 異国情緒溢れるヴェネツィアに更に盛り上げられた期待が老姉妹の登場でフリーフォール。安物のオカルト話は凝った映像をもってしても白けるばかり。異様に長いベッドシーン(4~5分はあったか)は生々しさがAVとしては気品ある逸品なものの(ジュリー・クリスティがこのシーンを了承したのに仰天)物語での必然性を感じない話題作りに思えるものだった。 余談ながら、本作が英情報誌「Time Out London」が発表したイギリス映画のベスト100(100 best British films)で「第三の男」を抑えて1位に輝いたと言う事です。感じ方は人それぞれを思わされます。 [DVD(字幕)] 5点(2018-10-21 00:12:23) |
18. アシャンティ
予備知識はフライシャー監督作のみ。オープニングクレジット冒頭に、アフリカにおける人身売買は今なお存在する、本作は実話に基づくと示され、郷愁を誘う音楽と共に流れるオスカー受賞者が居並ぶキャストの豪華さに、まだ見ぬ傑作を引き当てたんじゃないかとワクワクしたのだが、奴隷商人にかどわかされた妻(最初は同僚にしか見えなかった)の奪還劇に過ぎないハズレ作品だった。レックス・ハリソン、オマー・シャリフ、ウィリアム・ホールデンは脚本を読んだ上で出演したのだとすれば、監督に「こんな役なんだけどちょっと出演してくれないか」「う~ん、何じゃこりゃ、ま、暇だし、君の頼みでもあるから出るよ」という事なのだろうか?ピーター・ユスティノフは倫理観の「り」の字もない商売人を好演。マイケル・ケインはどこか傍観者のようなこの人特有の味わいを見せる。初めて観るカビール・ベティは可もなく不可もなく。この三人のホテルの一室での対決模様はそれぞれの胸の内が透けて見える本作唯一の名場面で点数の全てを。ラストショットはフライシャー監督とは思えない凡庸さで残念無念。 [DVD(字幕)] 5点(2018-04-29 00:19:41) |
19. 暗殺者のメロディ
アラン・ドロンのこの作品は未見で期待していたのだが、いまひとつだった。闘牛でボロボロにされて口から血を吐いて死んだ牛が引きずり出されて解体されるシーンは、三人の子供を殺され亡命して、なおかつスターリンの意志によって殺されたトロッキーの最期を象徴しているように感じた。 5点(2004-03-12 23:42:02) |
20. 暗殺者の家
知りすぎていた男の元作なのですね。銃撃戦がくどかったかな。ピーター・ローレはパンチに欠けるもののなかなかの存在感でありました。 [インターネット(字幕)] 4点(2023-06-03 01:35:26) |