1. 殺し屋たちの挽歌
《ネタバレ》 例えば銃撃戦や激しいアクションなどは目が慣れてしまうことがありますが、静かなまま、ひりひりと最後まで手に汗握らされる心理戦ドラマがあります。この映画がまさにそれ。 殺し屋2名とターゲット一人、巻き添え人質が一人。四者四様の思惑が交錯し、狭い車内に充満する不可思議な空気。不可思議オーラはもっぱら殺られる運命のT・スタンプが醸します。死を恐れぬ淡々とした死生観に、さしものベテランヒットマンである非情のJ・ハートも心を動かされるのでした。・・が、いやこれがね、まさかのラストへの慎重に敷いた伏線とはね。人の心は測りがたし。心に生じた静かな感銘をアッサリ裏切られたJ・ハートの狼狽したような表情たるや。気持ち、分かる。 逆らう新米手下は切ってしまおう、というところまではジョンの心の内にあったことでしょう。でもいっとき「天晴だ」と感嘆し本名まで明かしたテレンスに気持ちをスカされるとは予定外。かくして彼の判断が狂い、女を逃がしたばかりに自らの首を絞めることになるのですねえ。人生一寸先は闇ですね。 皆良い芝居をしています。なかでも映画初出演のティム・ロスがチンピラ顔を大いに活かしてのびのび子分役を演っており、印象強烈です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-08 23:24:38) |
2. 高慢と偏見とゾンビ
《ネタバレ》 タイトルから期待しすぎちゃった。クラシカルなJ・オースティンの世界観にゾンビ、ってわくわくするじゃありませんか。「カウボーイ&エイリアン」の時とおんなじ種類の期待感。 でもあんまり両者の融合がうまいこといってないなあ、という消化不良に終わりました。「プライドと偏見」のストーリーの合間にゾンビ退治を挟んだだけだね。もっとはっちゃけてもいいのに。姉妹全員がゾンビ化したらダーシーは愛を貫けるのか?またはその逆とか。 ドレスを翻しての戦闘アクションが見せ場だと思うんだけど、さほど回数も多くないですし。 ゾンビパートと原作パートを別個に描くもんだから、どちらも掘り下げ足らずな印象。アイパッチおばさん要りますかね? あ、そうそう「不朽の名作、感染!」のコピーは上手いと思いました。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-08-12 23:53:06)(良:1票) |
3. ゴーストライター
《ネタバレ》 巻き込み事故型で陰謀に呑まれちゃうユアン・マクレガーが健気な一品。この人はゴーストライターとして一稼ぎしたかっただけなのに、前任者がヤバイ記録を残したが故に狙われてしまう。本人としては別に前首相の戦争犯罪を暴こうとか過去経歴を云々したいとか一切思っていない。このあたりは”オデッサ・ファイル”のジャーナリストとは全然立ち位置が違うのです。さして志の高くも無い、フツーの市民なのだったユアン・マクレガーは。だからラストはなんかこう気の毒なんですけど、でも彼ちょっと必要以上に誰にでも情報しゃべり過ぎじゃないかい?うわーばかだなー、とハラハラしてしまった。最後だって、なぜ元首相のヨメ本人に黒幕ですよねなどと言うのだろう。 とまあ主人公の頭はあまり良くないんですけど、ポランスキーならではの、なんか陰気で良ろしくない雰囲気に満ちみちた映像は観る者を「なんかあるんじゃなかろうか」とぞくぞくさせるに力量充分。加えてピアース・ブロスナンの意外な演技力の高さにも驚いたりもします。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-11-19 23:59:29) |
4. ことの終わり
《ネタバレ》 参った 合わなかった 昼ドラなんだもの。 男女間の好いた惚れたに神様持ち込まれると非キリスト教徒のワタシには全く理解が追いつかないよ。「神への誓い」だからファインズと別れる、って妙に神様に律儀なサラですけど、でも現夫との結婚に際しても神に誓ったんじゃないんですか?死が二人を分かつまで、って。そちらの方は反故にしてもへっちゃらなわけですか。いや別に不倫はイカンと言いたいわけではないけども。 小説家は脳振とうで倒れてただけで(多分)、それを早とちりして神の起こした奇跡だわ、っていやアンタ落ち着け。 野暮天な私にはちょっとtoo muchなどろくさい恋愛話。J・ムーアとR・ファインズのクラシカルな風貌は時代の雰囲気にぴったりだったけど。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2016-06-27 00:34:10)(良:1票) |
5. コードネーム U.N.C.L.E.
《ネタバレ》 ガイ・リッチーならではの小気味良いテンポが快く、とても楽しめました。 CIAとKGBが組んでの諜報作戦ですがストーリーに難解さは無く、わかりやすいのもコメディの必須条件。加えて人物が皆きちんと魅力的なのも良い。若手の新進3人はきちんとスクリーン映えしていて、全員にとっての代表作になるのでは。富豪夫人のエリザベス・デビッキもドがつくくらいのはまりっぷり。いきいきと悪い人を演ってます。 ちょっと前の場面を巻き戻して、脳が忘れないうちにネタバレ披露する演出がいくつかあり、ワタシはその都度驚いて楽しかった。旧ソと米国の対抗心がちっちゃいトコまで小競り合いしてんのが笑いを誘ったりと、ユーモアのセンスも上等です。 少し前の時代を考慮した背景描写もなかなか。前半の東ベルリンの街並の暗さはスパイ映画の導入部としては最適でしょう。物語はどんどん明るく?なるのですが。 H・グラントが脇役で登場なのも興味深い。重鎮クラスの上司のわりに物腰が軽めに感じる(褒めています)のはヒューのキャラクターですね。 [映画館(字幕)] 8点(2015-11-24 00:16:34) |
6. コレクター(1965)
《ネタバレ》 テレンス・スタンプのサイコっぷりが今の時代になっても通用する(?)リアルさ。表情が、なんか変なんですよ。いつキレるか、観てるこちらはずーっと冷や冷やしている気持ちの悪さ。ラストにはたまげた。死んだら次、ってホントに蝶扱いなんだ、生身の女も。後味の悪いことったらこの上なく、なんでかと考えるにこんな奴が実社会で事件を起こしてニュースになっている世の中だからか。 [地上波(字幕)] 7点(2012-09-08 16:50:20)(良:1票) |
7. 恋におちたシェイクスピア
それは、ない。と言いたくなるような展開を力技でごりごり押してきたのに、最後に悲恋ヅラされて終わったのには驚いた。勢いのままハッピーエンドにしちゃえば良かったのに。急に世間の壁って枷をはめちゃうのね。なんだかな。豪華な衣装を着こなしたG・パルトロウは綺麗でした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-07-31 17:26:45) |