1. ホブスンの婿選び
お金と時間を湯水のように使う超大作監督の小品は、小粋でカラリとした物語で流石のクオリティ。チャールズ・ロートン通常運転の名演でもってこれ以上ない程の憎まれ口での暴君ぶりを見せる父親に笑わされ、彼と彼の長女に腰が引けながらも徐々に男らしさを増してゆくジョン・ミルズの好演にも魅入りました。後味も爽やかな秀作です。 [DVD(字幕)] 8点(2021-03-19 03:10:19) |
2. ホテル・ムンバイ
《ネタバレ》 割と最近の出来事なのに知らなかった同時多発テロ事件。当然ながらマクレーン刑事のいない展開に口惜しさが増す一方。神とは何ぞや! 物質的に貧しくとも心根まで貧しくなるなと諭すのが神ではないのだろうか、害虫駆除のように人を殺すのを見て何と思うのだろうか。せめて料理長だけは助かって欲しいと願い続け(総支配人が登場しなかったのは疑問ですが)た結末に「よく頑張りましたね、ご立派でした」大泣き。安全な場所から電話で子供達をそそのかす首謀者が不明で拘束されていないなんて! 草の根分けても探し出せ!(お願いです)煮え繰り返った腸が蒸発してしまう。力が入り(過ぎて)グッタリとなった作品。 [DVD(字幕)] 8点(2020-10-20 15:45:00)(良:2票) |
3. 僕たちのラストステージ
《ネタバレ》 チャップリン、キートンと並び称される2人組コメディアンの元祖ローレル&ハーディの落ち目になった晩年の物語。心配していた程辛気臭くなく映画製作資金の為のイギリス巡業模様に惹き込まれる。いろんなものを抱えながらも幕が開けば観客(いろんなものを抱えているであろう)を楽しませる、皆の芯からの笑顔に尊い職業だと思わされる。念願叶わなかった切なさを上回る二人の奮闘ぶりが沁みる作品。 [DVD(字幕)] 8点(2019-12-26 09:53:37) |
4. 謀議<TVM>
《ネタバレ》 1942年1月20日にヴァンゼー湖畔の邸宅(元はユダヤ人宅)にて開催されたヴァンゼー会議の模様が描かれた作品。党・内閣・省庁・国務事務・治安機関・占領地責任者・親衛隊の15名の出席者の内13名が知らされていなかった議題は「ユダヤ人問題の最終的解決」議長ハイドリヒと腹心アイヒマンの中では方針及び方策は決定済みであり、本件の権限を親衛隊に集約させる事も含めて全会一致の可決に向かって会議を進めてゆく。各々の立場から出される意見はユダヤ人を人間と思っておらず、口蹄疫の対策会議のよう。とりわけ印象深いのが激しく反対したニュールンベルグ法作成者のシュトゥッカートの「抹殺は法にもとるもので強制去勢で種を絶やせ、その際の混血におけるユダヤ人の定義を明確に」コリン・ファースの熱演もあいまって腸が煮えくり返った。人間が持ち合わせている感情から反対したクリツィンガーとて度合いが少ないものの鬼畜に変わりない。 他作品でゲスの権化だったハイドリヒは物腰は柔らかいものの発言の封殺や個別の恫喝で着地点に向かって突っ走り、アイヒマンは執事のように物静かにハイドリヒを補佐する。「白い巨塔」の教授会を見ているようだった。 後片付けする邸宅の使用人達も無邪気に雪合戦をして主人を待つ運転手達もヨーロッパ各地のユダヤ人達も謀議の内容を知るはずもない事が何ともやるせない。アイヒマンによって破棄された会議資料の内、戦後発見された№16のコピーの所有者はクリツィンガーだったのだろうか。 ほぼ全編に亘る室内会話劇は緊張が途切れない見応え満点の秀作。 [DVD(字幕)] 8点(2018-06-18 15:38:53)(良:2票) |
5. ホテル・ルワンダ
スピルバーグのようなどうしてここまでと思える殺害描写は無くとも、「金の切れ目が縁の切れ目」を見せつける展開が恐ろしい。白人・黒人、フツ族・ツチ族、ゴキブリからみたら全て同じヒトなのに。ベルギーがルワンダで行ってきた事を描いてもらいたかった。 [インターネット(字幕)] 7点(2015-10-17 16:04:58) |
6. ホテル・アルテミス 犯罪者専門闇病院
私より1歳年長ジョディ・フォスターの老けっぷりに絶句。鑑賞後老けメイク(+1点)と分かりホッとします。婆さんであっても男前な人物は彼女の持ち味が良くでています。 近未来(といっても今から8年後ですが)の闇病院という舞台設定は怪しげな雰囲気が印象的。お目当てバティスタはいかにもな役どころでアクションも陳腐なもの。代わってソフィア・ブテラの見惚れるプロポーションでの大立ち回りが素晴らしい(+1点) なかなか豪華な俳優陣でありながら思わせぶりなだけの脚本がお粗末に過ぎるところがとても残念です。 [DVD(字幕)] 6点(2020-10-26 02:30:56) |
7. 炎のランナー
《ネタバレ》 印象深かったのがリンゼイ卿です。何かの為に誰かの為にという意志は見えないのですが、シャンパングラスを乗せたハードルを越える姿、リデルに出場を譲った姿に、単に何不自由ないボンボンではない、貴族という地位に見合う立ち居振る舞い、心根を見ました。エイブラハムはユダヤに対する偏見を見返す為に、リデルはキリスト教伝道の為に、一途な思いを貫きそれなりに好感が持てましたが五輪での直接対決がなく盛り上がりに欠けました。エイブラハムに「君のやり方は下賎だ」と言った学長が現在の五輪を見れば卒倒してしまうのでしょう。 [DVD(字幕)] 6点(2009-07-05 05:01:46) |
8. 歩兵の前進
リチャード・アッテンボロー目当ての鑑賞。要領よくしたたかに立ち回るところに加えてシャープな顔立ち男前にまずまず満足。以外は抑揚無い展開の笑えないコメディで、期待外れ度合いが年に一度あるかないかの甚だしさ。デニス・プライス、イアン・バネンとクリストファー・リー(驚)の出演場面を一応再確認。軍隊・公務員への皮肉な視線はタイトルロールだけだったという思わせぶりが呆れる愚作です。 [DVD(字幕)] 2点(2021-07-01 16:29:59) |