261. 1984(1984)
《ネタバレ》 色彩の無い世界に真実を捻じ曲げて伝える全体主義国家の陰鬱さが映える。 よくもこんな事考え付いたと言えるネズミ籠を使った拷問シーンは鑑賞歴中最悪のもので、痛めつけられるジョン・ハートの渾身の演技以上に痛めつけるリチャード・バートンの淡々とした面持ちに息を呑む。 2+2=5 思想統制の恐ろしさが骨身に沁みるこの先忘れる事のないであろう物凄い対決シーンであり、ジョン・ハートは本作でこそ意志を曲げず壮絶な最期を遂げて欲しかったのに屈服して抜け殻になった姿が悔しくてたまらなかった。 [DVD(字幕)] 9点(2018-04-15 01:20:46) |
262. Vフォー・ヴェンデッタ
《ネタバレ》 お目当てジョン・ハートの死に様は鬼畜独裁者の情けなさを見事に表す名人芸でありました。理念は死なないと立ち向かうのも独裁者を生み出すのも個人の意思なのだと思わされます。スティーブン・レイ演ずる警視がもう少し体を張って欲しかったところです。Vの無表情の仮面が表す喜怒哀楽が印象深く一度も取らなかった演出は正解でしょう。議事堂爆破は復讐を超えたテロにしか見えません。実際に起きた火薬陰謀事件の元を辿ればヘンリー8世の離婚問題に行き着くのに驚きで、トーマス・モアのあの映画をまたぞろ観たくなりました。 [DVD(字幕)] 7点(2018-04-08 00:42:07) |
263. ギャング・オブ・UK
《ネタバレ》 邦題からヒリヒリする物語の中でのジョン・ハートの最期に寄せた期待が悪ふざけスレスレのコメディ調に萎んでいきましたが、二転三転四転五転の展開に父娘の物語が盛り込まれていて結構見応えがありました。若作りに無理を感じたもののほろ苦さを醸し出すジョン・ハートはいぶし銀の味わいがありました。 [DVD(字幕)] 7点(2018-04-07 19:07:46) |
264. エイリアン
《ネタバレ》 このジャンルは苦手なのですが、ジョン・ハート目当てで初めての鑑賞。あんなのが顔に貼り付いたら顔が見えないよ(怒)ご愁傷様と思ったら取れていて普通に食事している。やれやれと思ったら・・・ 「う、う、う、うわ~っ!!! 何じゃお前は~」 キャリア50年超で40回死んだ(デビュー作で破滅に追いやった聖人の呪いなのか?)中でも屈指の死に様を見せて早々のご退場に放心状態。 その後はお決まりの展開と結末でしたが、本作がその「お決まり」の元祖という事を考えると映画史に名を残す逸品と言えるでしょう。エイリアン以上に度肝を抜かれたのがアッシュで、アカデミー視覚効果賞受賞も当然の仕事ぶりでした。 あの猫がエイリアンとなってお尻にかぶりつくのかと思いきや・・・不要なキャラに減点です。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2018-04-02 15:31:53) |
265. ルワンダの涙
《ネタバレ》 ベルギー軍撤退後に笛の音を合図に学校になだれ込む一団(フツ族の穏健派を真っ先に虐殺したらしい)は人間の姿かたちをしているだけの狂犬で、神の言葉はおろか人間の言葉も通じない姿が心底恐ろしい。撤退せず留まる決断をした時点で死が確定したジョン・ハートの最期の演出はドラマチックに過ぎるものの切り刻まれるよりはマシだったかなとちょっとホッとしました。と、同時に、死ぬのなら銃殺されたいと懇願されたベルギー軍の隊長の無力感を思うとやるせないものがあります。後年再会した教師に「何故、逃げたの?」と言う少女に自分が逆の立場だったら逃げなかったのかと言ってやりたい。 このような極端な話でなくとも、生かさせてもらっている事を少しは意識して文句や不満を少しは慎まなきゃいけないなぁ、などとエンドロールを見ながら考えさせられました。 [DVD(字幕)] 7点(2018-03-25 21:59:19) |
266. オックスフォード連続殺人
《ネタバレ》 高邁な数学・哲学理論で彩られていながら事件の真相は数学に何の関係も無い下々の人間臭い動機であるのに白けてしまい、お粗末な結末に「何じゃこりゃ」 天才数学者役のジョン・ハートは見せ場は無く客寄せパンダのようでガックリ。暇つぶしにもならない駄作。 [DVD(字幕)] 3点(2018-03-11 21:40:43) |
267. キンスキー、我が最愛の敵
《ネタバレ》 クラウス・キンスキー死後に作られた本作。キンスキーの天才はナントカと紙一重ぶりを強調するヴェルナー・ヘルツォーク監督。キンスキーが動の奇人でヘルツォークが静の奇人である事が良く解りました。 原住民エキストラが「貴方(ヘルツォーク)の為にあの男(キンスキー)を殺しましょうか」と真剣に申し出たというエピソードに、こんな最凶タッグの二人と共に仕事をしたスタッフに拍手を送りたい。 [DVD(字幕)] 7点(2018-03-07 15:31:32) |
268. コレリ大尉のマンドリン
《ネタバレ》 ウットリさせられたケファロニア島の風景に。史実を知った事に。イアンニス医師が語る「恋の燃え滓が愛」「愛しているなら言われる前に薪を集め、寒いと思ったらショールをかけてやり、畑から帰るときには花を一輪摘んでやる」に。3点。ジョン・ハートがどの時点で死ぬのだろうかドキドキした事に2点。他は明日になったら忘れているだろう凡作。 [DVD(字幕)] 5点(2018-03-03 20:08:45) |
269. ハンニバル(2001)
《ネタバレ》 ゲイリー・オールドマンが何かのインタビューで自分の出演作を子供に見せられないと言っていたのを思い出す。さもありなん。レクターにそそのかされたコーデルがあっさり裏切る姿がベストシーン。あとは気色悪いだけの駄作。ジュリアン・ムーアは前作から20年後の設定なら納得。 [DVD(字幕)] 3点(2018-02-25 22:18:51) |
270. 殺し屋たちの挽歌
《ネタバレ》 寡黙な殺し屋 ジョン・ハートに点数の全てを。その激シブさに惚れ惚れで釘付けに。何の躊躇いもなく人殺しをする彼が、噛みつかれたりかちあげられたり目潰しされたりと散々な目に遭わされた小娘を殺せずに命取りになった結末を悔しい思いで見つめる。あのウィンクは一体・・・・まさかの惚れた弱みだっとしたら・・・・悔しさで頭がクラクラする。 [DVD(字幕)] 7点(2018-02-07 13:50:46) |
271. ミッドナイト・エクスプレス(1978)
《ネタバレ》 物語全てが実話であれば3点ですが、かなりの脚色が加えられているようで(所長殺害は最たるもの)、軽い気持ちで外国で法を犯すと大変な目に遭う事を見せつけられた迫力ある佳作。自業自得の極みであるスーザンとの面会シーンが強烈。マックスはあのまま刑務所で朽ち果てたのか(そもそも何故所内で大麻が吸えるのか)2つの大きな謎であります。音楽が耳に残ります。 [DVD(字幕)] 7点(2018-01-29 01:14:45) |
272. 長く熱い週末
《ネタバレ》 なかなか分からなかった敵がIRAだったとは。狙われる理由は? モヤモヤしていた時に「あ、そう言えば」と冒頭の台詞の無いシーンが思い浮かぶ。「裏切りのサーカス」を思わせる演出。劇中の台詞にあるようにイギリス軍隊が長年に亘って制圧出来ない組織に勝てる筈もないのに引き下がらない独善的、猪突猛進、破滅型のボスを演ずるボブ・ホスキンスは、エドワード・G・ロビンソンやジェームズ・キャグニーやアル・パチーノを彷彿とさせる。ラストの長回しシーンはギャング映画屈指の名場面。お目当てヘレン・ミレンがイマイチなのと耳障りに感じた音楽に2点減点。 [DVD(字幕)] 7点(2018-01-13 23:51:48) |
273. 黄金のアデーレ 名画の帰還
《ネタバレ》 オーストリア国家相手の裁判に費やしたマリア82歳から90歳まで8年間の物語。過去と現在を自在に行き来する秀逸なカメラワークで見せる絵画に纏わる一族の歴史とマリアの心模様が実に見応えがありました。ヘレン・ミレンはドンピシャのキャスティングで見惚れました。勝訴して「私は両親を置いて逃げた」とむせび泣くマリアに、絵画まで連れて帰るのか、故国に留まって然るべきでしょう。ナチスに蹂躙されたオーストリアが一方でユダヤ人を蹂躙していた事実が何ともやるせない。 [インターネット(字幕)] 7点(2018-01-08 14:31:13)(良:1票) |
274. キングスマン: ゴールデン・サークル
《ネタバレ》 予備知識無しでの初日初回の鑑賞。お目当てコリン・ファースの回想シーンで胸がキューン。待ってましたの登場シーンの冴えないオッチャン姿にショボーン。 マーク・ストロングとの別れの場面(・・・Country roads take me home To the place I belong West Virginia mountain mamma Take me home country roads・・・・ 熱唱は本作一番の名場面で左隣の人と一緒に小声で歌いながら胸がジーン)後の活躍にウットリ。 特筆すべきはエルトン・ジョンでコリンと共にロボット犬と戦う姿に笑わされ、「今日は水曜日だろ」のWednesday night's Alright for fightingに懐かしさを覚えました。 折角出演してくれたジュリアン・ムーアの悪党としての淡白さが(大女優にはこれが精一杯か)惜しい。 コリン・ファースのファンの方には楽しめると思われる快作。 [映画館(字幕)] 8点(2018-01-05 16:46:17)(良:2票) |
275. アルフィー(1966)
都合の良い女性と都合の良い関係のみを求めるアルフィー。シニカルで飄々とした言動の彼が時折見せる寂しさに胸が疼きます。シェリー・ウィンタースの妖艶さは女性陣の中では別格で流石の貫録。作品に溶け込んでいる音楽も素敵でした。 [DVD(字幕)] 7点(2017-12-23 23:16:55) |
276. 欲望(1966)
起承転はとりとめなく結は無い。人間や物事の本質を見抜く力は人生経験の積み重ねによるものですが、本作からは芸術臭が鼻につくくだらなさしか感じません。恥とも解ろうとも思いません。スタジオ撮影でのモデルさんの見惚れる肉体美に加点。あまりに酷い邦題は特筆もの。 [インターネット(字幕)] 2点(2017-12-17 17:03:47) |
277. ラストエンペラー
ベルナルド・ベルトルッチ、ヴィットリオ・ストラーロが作り出す映像美に「暗殺の森」同様に見惚れる。後年のグレー一色の世界がうら寂しさを一層かきたてる。与えられた環境を受け入れるだけの主人公に心打たれるものが無く物語としては低調だった。 [DVD(字幕)] 7点(2017-12-15 03:13:02) |
278. 上海の伯爵夫人
思わせぶりなナルシストでヘタレ。私が嫌うレイフ・ファインズの負のオーラが満載。ストーリーまで思わせぶりで何の余韻も残らない愚作。 [DVD(字幕)] 4点(2017-12-09 01:12:58) |
279. ザ・シャウト/さまよえる幻響
《ネタバレ》 スザンナ・ヨーク、ジョン・ハート、アラン・ベイツ共演に釣られて鑑賞。病人クロスリーの妄想劇。日本未公開がさもありなんと思う珍作に三人が出演した理由を知りたい。本作がカンヌ映画祭特別審査員賞受賞したことに「何でやねん」と叫びたい。 [DVD(字幕)] 4点(2017-12-03 23:59:12) |
280. 月下の恋
霊の存在を否定する男が数々の心霊現象を目にするありがちな物語。ボディダブルのベッドシーンはトンチンカンな邦題に相応しい失笑モノ。昔あったCM「きれいなだけでは叱られます」があてはまる何も心に残らない凡作。 [DVD(字幕)] 3点(2017-11-15 14:12:50) |