321. 戦場のメリークリスマス
これを観た時の衝撃。それこそ頭をハンマーで殴られたようだった。何もかも美しくて切なくて呆然とした。まだ柔らかかった心に(笑)ざっくり突き刺さった、数々のシーン。脱走兵がボウイと知って一瞬怯む坂本。剣を捨てるボウイ。埋められて首だけ出ているボウイ。音楽。ラストシーンに至ってはたけしすら美しい。安易な涙すら出なかった。この映画を観た後、憑かれたようにこの曲を練習し、D・ボウイを追い求める日々が続いた。気恥ずかしいですが、これほど身も心も持ってかれた映画は後にも先にもこれだけです。 [映画館(邦画)] 9点(2011-12-14 00:06:34) |
322. シティ・オブ・ジョイ
インド映画は熱量が半端じゃなくて、この映画でもインド熱にあてられて倒れそうになった。いかにも西欧的に自己の内面に悩む主人公も、圧倒的なインド人の生のパワーに押し流された格好。娘に美しいサリーを買ってやるためにチンピラ相手に血を流す父親。愚かだけど泣けてくる。良い台詞も多かった。「地面に這いつくばっていると、立てなくなるぞ」 [映画館(字幕)] 7点(2011-12-12 00:22:12) |
323. ティム・バートンのコープスブライド
暗くてしっとりした質感、奥行きのある暗い森。素敵でした。妙に明るい死者の世界にちょっと笑い、ラストはほろり、とイイ大人でも楽しめました。近所のレンタル屋さんではこの作品、子供向けに陳列されてましたがハム太郎とポケモンで育ったうちの子らには冒頭のエミリーが墓から追っかけてくるシーンでまず無理かと思われます。 [DVD(字幕)] 7点(2011-12-04 00:45:33) |
324. エイリアン
79年当時でこの映像技術・・、凄いなあ。初見の時「あ、宇宙船の中ってこんな風なんだ」と素朴に信じたくらい凄い。パイプが何本も交錯する機関室や船体爆破装置の重厚感に心奪われる。無駄を一切廃したスリリングな展開のシャープなこと。S・ウィーバーの男らしさに惚れ惚れ。猫の目を通して凄惨な場面を想像させたり、遠隔地のビーコンで恐怖を煽る手法も未だに新鮮で粋(?)。グロすら芸術の高みに昇華した、唯一無二の正に名作。 [映画館(字幕)] 10点(2011-11-27 16:33:50)(良:1票) |
325. シド・アンド・ナンシー
究極に堕落したシドが歌うマイ・ウェイ。本家のシナトラの100倍も美しいこの歌で、シド・ヴィシャスは永遠の存在になった。 [ビデオ(字幕)] 5点(2011-11-27 16:18:15) |
326. ブラス!
すごく好き。この映画は人生そのもの。こういう作品に出会いたくて、私は映画を見続けている。なにしろ先の生活が見えない現状で、イギリスだから天気もぱっとしなくて。生活のために誇りを犠牲にしなくてはならなくて。八方ふさがりに見えて、尚ユーモアを失わない彼らに感嘆する。英国人の底力、とも思う。ユーモアを持ってしても、ついに心の折れたフィルとその家族に差し出される隣人や同僚の心遣いが、人としての普遍的な優しさに溢れている。ラストでの音楽一辺倒に見られていたダニーの、共同体を代表した政治批判が心に響く。「彼らは素晴らしい音楽を奏でることができる。だがそれが何になる?」音楽は、必ず結実すると思いたい。人の心と尊敬を勝ち得るものだと思いたい。少なくとも私は、隣人のような彼らを尊敬する。威風堂々、まさしく顔を上げて、人生を生きていってもらいたいと願っている。 [ビデオ(字幕)] 10点(2011-11-26 15:37:43)(良:1票) |
327. ノー・マンズ・ランド(2001)
序盤、現場のシビアなリアリティに比べて、中盤以降の国連やマスコミの俗な側面の描き方がベタすぎてこの映画の見方がわからなくなった。国連のミニスカ秘書、あれは笑わそうとしているの?皮肉ってことなの?コメディっていうことでいいのですか? ? ラストもねえ。衝撃といえばそうですが・・鯨が岸に打ち上げられたって人間はっちゃきになって助けようとするのに あんなことあるかな。なんぼなんでも。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-11-06 16:01:45) |
328. クィーン
ヘレン・ミレンが凄いんだ。もう女王様にしか見えない。生身の人間が国家を象徴することの覚悟と孤独がひしひしと伝わった。トニー・ブレアが終盤に王室擁護の台詞を本当に叫んだのかどうかは分からないけど、一理ありすぎ。皆押し黙るのもむべなるかな。ラストシーンで女の子が「女王様に」と花束を差し出したのには涙が出てしまった。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-11-02 01:14:55) |
329. ザ・インタープリター
はっきり言ってストーリーそのものはあまり面白くない。シルビアのアフリカでの過去もざっくりしすぎてよく伝わらないし。相変わらずのS・ペンの熱演空回り。特筆すべきはキッドマンの美しさ。知性も感じる彼女の美貌が国連通訳の役柄にもすっぱりはまる。すらりと縦に長いスタイルに、さらりとまとめた金髪。全編ダークな配色でまとめたファッションが、ジャケットから普段着に至るまで素敵で素敵で。ぜひ参考にしよう、と意気込んだところでああ何もかもパーツが彼女と違いすぎるわぁと気付く寂しさ。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-10-28 16:51:21)(笑:1票) |
330. スラムドッグ$ミリオネア
画面に溢れるインドパワーに圧倒された。はちきれそうな子供らの生命力がこの映画の魅力の八割方を担っている。大人になってからの役者さんはつまんなかったな。無学の青年が次々正解する不思議と、明かされる過去。面白い!と観た直後は興奮したけども、落ち着いてみればわりとよくある成功譚のような気も。盲になった男の子に、大人として申し訳なく思う。こんな世の中を。ほんとにすまない。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-10-28 16:04:43) |
331. ザ・ビーチ(2000)
なんとまあ まるっきし荒唐無稽。勿体つけたディカプリオに、ちゃちで幼稚なコミュニティ。こんなんを楽園とは噴飯もの。しらこいエンディングには目を疑う。愛をこめて??冗談か?「ヨーロッパ人の馬鹿なユーモア」って台詞にのみ1点。 [CS・衛星(字幕)] 1点(2011-10-28 15:36:28) |
332. ファーゴ
《ネタバレ》 コーエン作品の中では、まだしもとっつきやすい。けど、見たことない料理食わされた気分。変な味だなあ、うまいかまずいかっていったら美味しくはないよなあ、みたいな。口に合うかどうか、がポイント。私にとっちゃ登場人物が一人残らずなんか変。穴だらけの犯罪を画策するディーラーも、身代金を値切る舅も、遺体を見てもミミズを見てもメシが食える妊婦の婦警もああ不気味だ。かどわかされた奥さんもさあ、無理でしょうがもちょっと落ち着け。この生理的な違和感、監督の思うつぼなのかしら。共感できたのはブシェーミのこの台詞のみ。「お前ら馬鹿じゃねーのかっ」犯罪者だけど、彼。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-10-10 17:56:16) |
333. スナッチ
さくさく展開する話のノリの良さ、群像劇のお手本のような怒涛の交錯っぷりが、間抜けでしれっとしていてもうしびれる。イギリスっぽいひねた笑いのセンスが絶妙。(笑)をつけたくなるエピソードのオンパレード、小汚いけどスタイリッシュ。デルトロがあんな扱いで・・犬のおなかがきゅーきゅーゆってて・・名前はデイジー、これだけでまた思い出し笑いできます私は。大好きだー。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2011-10-07 11:41:39) |
334. テス
どうも一昔前の文芸作品はべったべたの愛憎劇が多くて肌に合わない。この映画もストーリー云々より記憶に残るのは映像美と、ナスターシャ・キンスキー。ああ、彼女から発光されるのは美の極致。この世のものではないような。すっかり魂を抜かれたワタクシ。弱冠15歳の美の女神に手を出したというポランスキー監督。この小男を私は絶対許さない。 [ビデオ(字幕)] 6点(2011-10-03 23:48:14) |
335. 白い町で
南欧の光の一粒一粒まで捉えたような、美しい映像。社会不適合な男がえんえん彷徨う白い町 白い部屋 白い孤独 白い沈黙。実体がないかのように通り過ぎる妻・恋人・ホテル支配人・チンピラがゆらゆらと。会話の量の少なさにびびる。主人公の内省に付き合っているうちに私の頭も漂白されて真っ白になってしまった。 [ビデオ(字幕)] 5点(2011-09-29 16:12:12) |
336. ハリー・ポッターと秘密の部屋
原作に忠実で、キャスティングと美術が満点。ハリーの映画で良いとこはこれだけです。エピソードを盛り込むのに一生懸命で、映画単体としてののびやかさには欠けてしまう。ポッタリアンとしては、画が素晴らしいので前作ともにこれはこれで及第点をあげたい・・でもロックハート先生、あれはないわー。全女生徒をノックアウトしちゃう美形の設定で彼ですか。ない。ベタでもいいからもっと若くてキレイなのを使ってー [地上波(吹替)] 6点(2011-09-29 15:43:15)(笑:1票) (良:1票) |
337. グラディエーター
これだけ壮大にお金を使われるともう、ただ圧倒されるのみ。すべての美術に目を奪われる。凄いなあ、と思う。ラッセル・クロウががんがん放出する男性フェロモンにKOされた。 [地上波(吹替)] 7点(2011-09-22 13:34:11) |
338. 英国式庭園殺人事件
最初から最後まで意味がわからなかったことは確か。でも妙に記憶に残る映像美ではありました。時間を潰してもよい、という奇特な方向け。 [ビデオ(字幕)] 5点(2011-09-21 18:17:18) |
339. ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ
《ネタバレ》 よくもまあこうも味のある顔をたくさん集めたもんだ。どうにもダメな連中がわあわあと交錯してばたばたと乱暴に事態が収束してゆく爽快感。ガイ・リッチー節炸裂。凶悪になり切れないぼやっとしてる奴ばかりがなぜだか生き残る。良い世の中だ。 [DVD(字幕)] 8点(2011-09-13 17:44:08)(良:1票) |
340. ステート・オブ・グレース
これだけ演技達者な役者をそろえればいやでも重厚感が出るってものです。みなさん熱いですがやっぱりエド・ハリス。冴えない役柄でもエド・ハリス。「アイリッシュ系は貧乏だからな」の台詞が指すとおり、くたびれた革ジャンにぼさぼさの髪。対するイタリア系はいつもぴしっとスーツなのに。貧乏・小所帯のギャングの哀愁が寒そうなブルックリンの街並みと一緒になって記憶に残ってます。 [地上波(字幕)] 6点(2011-09-06 16:08:38) |