21. ジェーン・エア(2011)
当時の時代背景には詳しくないが、民主主義の先進国であるとされるイギリスでも150年程度昔はこの程度なのかと陰鬱な気持ちになる。所謂「名作」的な雰囲気は感じられるし、セリフも芝居がかっていて悪くはないのだが(吹替の人が上手かったのかも)、脚本や演出の問題なのかせっかくの波乱万丈なストーリーが活かしきれておらず、イマイチ盛り上がらなかった印象。全体的に説明不足だし、冒頭で時制が行ったり来たりするのもわかりにくい。なんとなく暗い「サウンドオブミュージック」みたいだなあとも思ったのだが、調べてみると実際にミュージカルとしても人気作のようで、それはそれで見てみたいという気もする。 [CS・衛星(吹替)] 5点(2022-07-23 18:49:29) |
22. ソフィーの選択
《ネタバレ》 人生は選択の連続だが、その究極は自殺だろう。主人公は壮絶な人生の末にその選択をするわけだが、それは本意なのか不本意なのか。自殺に至るさまざまな選択が謎に包まれるが、TV放映版で50分程度カットされているせいか、諸々の選択の理由についてはよくわからない部分が多かった。そもそも、その人の人生の選択なんて他人にとっては理解し難いのかもしれないし、本人ですらわからないものなのかもしれないが。小説家志望の若者の「自分探し系」を通じた語りはあまり上手いやり方とも思えず、存在が少々曖昧というかボヤケタ印象を受けた。 [地上波(吹替)] 5点(2022-06-23 15:31:42) |
23. ダークナイト ライジング
前作が道徳倫理をテーマにしていたのに比べると多少政治色が強くなった印象。国家権力や警察組織が正当性を持てるのは民衆の支持があるからであって、それがなくなれば「革命」が起きる。その意味では「正義」は常に相対的である。中国の警察が「正義」なのか否かを考えてみればわかりやすい。本作ではある種の「正義」の行き過ぎから生じた過渡的状況が描かれてはいるものの、どうも市民軍よりは警察隊の方が「正義」として描かれている印象がある。これは革命やクーデターはあってはならないという制作サイドの意思の表れなのだろうか。結局は、カオス的な状況は力業でエイヤとキレイに片付けられてしまって、メデタシメデタシになってしまい、ちょっと拍子抜けな部分はあるが、前作よりはマシな終わり方だったし、娯楽作品としては悪くはない。尚、TV版で40~50分程度はカットされたものを視聴したので冗長さは感じなかった。 [地上波(吹替)] 6点(2022-06-10 15:23:54) |
24. ヴェニスの商人
原作未読。法か正義(慈悲)かという裁判シーンは中々見ごたえがあったが、恋愛要素が加わったせいでなんだか中途半端な作品に終わってしまった印象。とはいえ、話としてはよくできている。ユダヤ人への差別等々現代的な価値観で見れば受け付けないところもあるだろうが、古典に過度なツッコミ入れても仕方ないのでそういうものとして見るしかないでしょう。アルパチーノはさすがの存在感だがちょっと貫禄あり過ぎて悲壮感がやや欠けてたような。リン・コリンズの2役?も中々頑張っていたように思う。ちなみに吹替で見たのだが、声優の声色の使い分けもよかった(それで演技がよく見えたのかも?)。尚、TVの2時間枠で見たので賞味100分程度であり40分程度カットされたものを視聴。編集が上手かったのか特に問題なく見られたが、完全版をみたら印象は変わるのかどうか。 [地上波(吹替)] 6点(2022-06-08 14:28:07) |
25. LION/ライオン 〜25年目のただいま〜
日本では不妊治療が流行っているようだが、「子供を産んで育てるよりも、孤児を養子にする方が世の中のためになる」という考え方は新鮮だった。裕福層ならではの考えなのかもしれないが、世界にはこういう人もいるのかと。それにしても放映当時で毎年8万人の子供が行方不明になるってインドはスゴイところだな。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2022-05-30 22:57:22) |
26. ボブという名の猫 幸せのハイタッチ
ネコはカワイイんだけど、あんまりネコにフォーカスすると肝心の人間描写が少々疎かになってしまう難点がある。結局は「出会い」による再生ってことなんだろうが、「ネコ」だけでなく周囲の「人間」による力も大きかったのではないのかと。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2022-02-24 11:47:16) |
27. イーグル・ジャンプ
予定調和なほのぼのコメディで少々の感動もあり作品としてはよくまとまっている。山際淳司に『たった一人のオリンピック』という小説があるが、それを思い起こさせる内容。大人になってからイチから五輪を目指すという事がどういう事なのか、『クールランニング』とは違って「先進国」の代表として「笑い者」になる事への葛藤と挑戦?等がわかる。その後IOCは主人公の活躍?を面白く思わなかったのか参加ルールを厳しくして五輪に出場させないようにしたようだが、そういう「闇の部分」も本作では垣間見える。 [地上波(字幕)] 6点(2022-02-17 10:47:46) |
28. ゼロ・グラビティ
夢か訓練というオチかと思ったんだが。映画館の3Dで見たら「楽しい」のかもね。映画に何を求めるか?にもよるだろうけど。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2021-11-13 17:16:59) |
29. 007/スペクター
長い事で評判が悪いようだが、TV放映は正味100分程度なので40~50分程度はカットされており、ストーリーが少々わかりにくかった。ボンドガールに華がないのも難点。出来栄えとしては良くも悪くもシリーズモノとしての安定感はあると思うが、もう冷戦終結しちゃうとスパイの活躍機会も減ってしまい、悪役の設定が情報ネットワークの支配というショボイというか映像化しにくいテーマになってしまって、ストーリー的には盛り上がりに欠ける。 [地上波(吹替)] 5点(2021-10-09 17:14:04) |
30. アバウト・ア・ボーイ
「人は変われる」という予定調和ないい話。もうちょっとヒネリが欲しかったかな。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-06-06 01:22:10) |
31. エイリアン2
前作よりもスケール&パワーアップしてエンタメ度が増した分だけ楽しめる。ただし、2200年とは思えぬアナログ感というか1980年代的世界観もしっかり健在。タバコはガンガン吸うし、兵器をガムテープでグルグル巻きにするとか、色々といい加減で大雑把。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-05-16 17:01:07) |
32. エイリアン
ホラーという事でずっと敬遠していたのだがついに鑑賞。思っていたよりも怖くはないしグロくもなくて、ちょっと拍子抜け。その後に類似の作品が作られて見慣れたせいだろうか。こういうのは子供頃に見た方がインパクトが大きいんだろうな。2122年の設定なのにコンピュータはテキスト表示の70年代のままってのが将来を予測する事の難しさを感じさせる。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-05-16 01:01:28) |
33. ハンターキラー 潜航せよ
潜水艦モノと言えば、狭い空間であせを垂らしならが声をひそめる緊張感というのが定番だが、本作ではハイテク機器満載の広い空間でエアコンも効いているし普通に会話はするしで、やや緊張感がなく良くも悪くも現代的。で、内容の方だが設定が荒唐無稽でこの種の救出モノにありがちなご都合主義的なところはあるものの、娯楽作品として見ればそれなりの面白さはある。でも、各々突然現れた相手をちょっと簡単に信用しすぎなような。尚、ゲイリーオールドマンは久々に見たが顔が変わっちゃったのに驚き。 [地上波(吹替)] 6点(2021-03-23 12:23:14) |
34. バルカン超特急(1938)
《ネタバレ》 おばちゃんスパイのネタばらしの過程が雑だし、ラストでの登場で拍子抜け。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2021-03-20 21:16:11) |
35. 落下の王国
現実と空想が徐々にシンクロしていく過程や映像的な趣向等々全体的にはよく出来ているとは思うが、大人の女に裏切られ、御伽噺で少女を利用しようとし、結果的には少女との交流で救済されるというは、ちょっとロリコン臭があるような。ただし、無垢な少女への逃避が大人の女への不信に対する有効な救済方法であるというのも、ある意味真実であるのかもしれないが。でも、自暴自棄な青年が少女と親密になっていくのはちょっと危うい感じはしたかな。それも含めて楽しむ作品なのだろうか。 [地上波(字幕)] 5点(2021-01-06 12:02:24) |
36. Dr.パルナサスの鏡
《ネタバレ》 「物語がなければ世界は存在しない」から物語を構成するのは言語という事で、「言語がなければ世界は存在しない」へと解釈を拡大すれば、この世はフィクションという事になる。Dr.パルナサスは鏡を境界にして「想像の扉」を開き、現実と空想の世界を往来するわけだが、この世がフィクション(想像)であるのだから、そもそも境界自体が曖昧であるとも言える。そういった世界観を映像的に表現しているとも言えるわけだが、内容的難解というか少々不可解な点もあって観客を置き去りにしている部分もあるように思える。「俗」の象徴であるトニーが当て馬的な役割で、これだけ壮大な世界観を提示しておきながら、最終的には「結婚・子作り」という「ささやかな幸福」的な無難なオチになってしまったのが尻すぼみで勿体なかったかな。 [地上波(字幕)] 6点(2021-01-04 17:46:45) |
37. ガンジー
インドのRCEP不参加時の「ガンジーも参加を許さない」という台詞が注目された。つまりガンジーは保護主義者という事になるわけだが、インド首脳は上手い具合にガンジーを利用したものである。歴史の潮流を考慮すれば、ガンジーがいなくとも結果的にインドは独立していただろう。という意味ではガンジーの果たした役割は「政治的」には大きくはない。では、ガンジーが歴史上の偉大な人物として評価される理由は何か。それは「非暴力・不服従」という「思想性」にあると言えるだろう。ただし、ガンジーの場合はただの思想家ではなく行動する思想家である。つまり、映像的にはガンジーの思想が行動で示された事を表現する事が重要になってくるわけだが、それは概ね成功していると言える。とは言え、只管「非暴力・不服従」の映像表現が続くだけではやや平坦で冗長に感じる部分もあり、やはりもうちょっと台詞等々で「思想性」を説明・アピールする必要もあったのではないかとも思う。印象的なのは対外政治的には「非暴力・不服従」で国内を団結させる事ができたにも関わらず、国内宗教的にはそれは不可能であったという皮肉な結果である。「寛容」は敵を生む内在性があるという事を痛感させられる。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-01-01 18:39:25) |
38. ザ・バンク -堕ちた巨像-
事件の構図そのものは序盤に明らかにされてしまうのでサスペンスとしての謎解き要素はない。印象的なのは資本主義に魂を売った元軍人の側近が改心するシーン。信念を貫く難しさと簡単にダークサイドに落ちる人間の弱さがよく出ていた。それにしても行政が政治に従属しているのは仕方ないとしても、この司法の弱さは何なんだろう?って感じさせる作品だ。これが現実であり、権力分立なんてのは所詮理想でしかないのだろうか。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-12-23 18:21:31) |
39. クレオパトラ(1963)
エリザベス・テイラーは当時30ぐらいか。貫禄ありすぎで50ぐらいに見えるが。で、特に美人とも思えずイマイチ説得力が・・・。実際のクレオパトラも美人かどうかは諸説あるようだし、たかが50年程度でも美の基準は変わるという事なのかもしれないが。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2020-12-15 20:16:00) |
40. 127時間
コロナによるステイホームで引きこもり生活が続いて過去を思い出す人が増えているらしい。ステイホームで死ぬわけではないが、このままどうなってしまうんだろうという不安感が閉鎖空間では増幅され、これまでの人生を振り返るようになるのかもしれない。また、いずれは経験するであろう余命宣告後の病室での孤独な時間においては必ず過去を振り返り自分の人生についてアレコレ考えるに違いない。ましてや、食料もなく身動きも取れず、ただ数日後の死を待つだけの閉鎖空間での孤独な状況では幻覚等を見てしまうのも当然であろう。本作は確かに映像作品として幻覚等の描写には成功しているようにも思えるが、基本的に主人公というか物語的に進行や動きがなく「内省」が中心なので退屈に感じる人がいるのは理解できるし映像化には不向きな作品ではあるとは思う。また極限状況での「軽い感じ」にも違和感があり、総じて悲壮感が足りないようにも思えた。原作は未読だが、この手の物語は文字による音声なしの独白形式の方が「人生を見つめなおす」という意味で向いているように思える。 [地上波(吹替)] 5点(2020-11-30 14:02:13) |