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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1885
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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61.  消えない罪 《ネタバレ》 
彼女の名は、ルース・スレイター。過去、保安官を射殺した罪で捕まり、20年も服役して今日出所してきたばかりの哀しい女性だ。当然仕事もなければ貯金もゼロ、両親はすでに亡くなり友人ももはや音信不通、頼るあてもない。そんなルースの唯一の心の拠り所は、彼女が捕まったときに離れ離れとなってしまった幼い妹の存在だった。当時5歳だった妹との生活は、これまで辛いことばかりだったルースの人生の中で一番光り輝いていた瞬間だった。だが、これまで獄中から何度も手紙を書いたが返信は一切なし、面会すら叶わず、知っていることは風の便りに何処かの裕福な家庭に養子に貰われたという情報だけ。生きていれば今頃25歳になっているはず。小さな水産加工会社に採用され働き始めた彼女は、独力で妹の行方を捜し始める。でも、警官殺しの過去は簡単には彼女を許してくれない。世間からの厳しい目に晒され、次第に孤立してゆくルース。さらには事件の遺族から嫌がらせの電話まで受けるように。どんどんと追い詰められてゆくルースだったが、相談を聞いた優しい弁護士から妹の居場所を突き止めたとの知らせが届き……。許されざる罪を犯してしまった孤独な女性の更生の日々を淡々と見つめたヒューマン・ドラマ。世間から孤立し、次第に行き場を失くしてゆくそんな元犯罪者を演じるのは実力派女優サンドラ・ブロック。観ればみるほど気が滅入るような陰鬱なお話なのですが、監督の丁寧な演出のおかげで最後まで惹き込まれて観ることが出来ました。刑務所から出所してきたばかりの彼女の日常をひたすら追うのではなく、彼女と偶然知り合うことになった弁護士一家、彼女と生き別れ今は義理の家族と幸せに暮らしている妹、そして彼女に父親を殺された被害者遺族、それぞれのドラマに焦点をあてる演出は相当巧み。互いに信じる価値観や信念があり、それが相容れないためにどんどんとぶつかり合ってゆく様は、誰もの気持ちが分かるぶん切なさが半端ないです。ただ唯一の肉親に会いたい主人公、今やかけがえのない家族の一員である娘を守りたい義理の親たち、主人公に父親を殺され人生をめちゃくちゃにされた兄弟……。「きっとこれは誰も幸せにならない暗い結末を迎えるんだろうな」と正直、げんなりしながら観ていたのだけど、でも、最後のシーンで自分は救われたような気持ちになりました。確かに現状は何も変わっちゃいない、何なら事態はますます複雑で不幸になるかもしれない。それでも主人公は最後、生きる希望を取り戻した。不幸で理不尽な現実に微かな希望の光を当てる、慈しみに満ちた秀作。
[インターネット(字幕)] 8点(2023-02-13 06:52:50)
62.  ほんとうのピノッキオ 《ネタバレ》 
イタリアの児童文学の名作を最新の映像技術を駆使して実写化したファンタジードラマ。監督は『五日物語』などで独自の世界観を構築するイタリアの鬼才、マッテオ・ガローネ。うーん、自分はいまいち嵌まらなかったですね、これ。絶妙にグロテスクなこの唯一無二の世界観は確かに凄いとは思うんですけど、脚本がいまいちな印象。考え抜かれたプロットや胸躍るような起承転結などはほぼ皆無、ひたすらこのピノッキオ少年があっちにいったりこっちにいったり、何の脈絡もなく出てくるキャラクターに翻弄される様を延々見せられるだけ。もう少し一本筋の通った物語があればよかったんですけどね。ねちょねちょナメクジ婦人(あ、カタツムリか!笑)や正反対の判決を下すサルの裁判官など、登場するキャラクターはけっこう魅力的だっただけに惜しい!
[DVD(字幕)] 5点(2023-02-10 21:53:31)
63.  ロスト・ドーター 《ネタバレ》 
風光明媚な海辺のリゾート地へとバカンスにやって来た、中年女性レダ。たった一人、レンタカーに質素な荷物だけを手にやって来た彼女は、さっそく浜辺に建つホテルへとチェックインする。昼は見渡す限りの海岸線を臨みながら海水浴を楽しみ、夜は現地のグルメとお酒に舌鼓を打つ。最高のバカンスになるはずだった。ところが彼女の表情は何処か浮かない。それは、同じ日にやって来た家族連れの旅行客のうちの一人、幼い娘を育てる若い母親を目にしてからますます酷くなってゆく。何故ならレダは過去、深刻な育児ノイローゼに陥り、2人の幼い娘に取り返しのつかない哀しい想いをさせてしまったから――。物語は、そんな哀愁漂う中年女性の現代の旅行風景と彼女が若いころ、辛い子育てに追い詰められてゆく回想シーンを交互に描いてゆきます。そんな自責の念に苦しむ母親役には、『女王陛下のお気に入り』での怪演が記憶に新しいオリビア・コールマン。正直、ものすごく辛気臭いお話でしたね、これ。別に僕はそーゆー辛気臭いお話が嫌いと言う訳ではないのですが、この作品のそれはちょっと僕の好みとは合わなかったです。とにかくこの主人公の過去のことをいつまでも引きずり、ひたすらウジウジクヨクヨしている余りに後ろ向きな態度が全く好きになれません。いや、気持ちは分かるんだけど、もうちょっと前向きになろうとか新しい世界に踏み出そうとか今は疎遠になっている娘と真剣に向き合ってみようとか、そういう応援したくなる要素がこれっぽっちもないんですよね、彼女。ひたすら嫌味なおばはん。そのわりには、現地の若い男と食事に行ったり、エド・ハリス演じるホテルの管理人に気のあるそぶりを見せたりする。正直、自分はかなりお近づきになりたくないタイプの人でした。2人の幼い娘を捨てて違う男の元へ逃げたという過去の罪悪感に苦しむのも、「そりゃそーなるわ!!」って感じで全く同情できません。そう言うわけで自分はさっぱり嵌まれませんでした。オリビア・コールマンの哀愁漂う演技に+1点。
[インターネット(字幕)] 5点(2023-01-05 09:15:01)
64.  アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場 《ネタバレ》 
ケニア、ナイロビ。スラム街の一画に佇む、何処にでもあるような平凡な一軒家。誰にも悟られることなく遥か上空からこの家を監視する“目”がある。一瞬にして目標物を破壊することが出来るミサイルを搭載した、その目とは、無人偵察ドローンだ。遠く離れたロンドンからその目を通して現地を観察するのは、英国対テロ特殊部隊パウエル大佐。イスラム過激派アル・シャハブのテロ行為を阻止することが彼女の主な任務であり、今回の作戦は六年間地道に追い続けてきた組織の幹部を捕獲するためのものだ。遠く離れたネバタ州からドローンを遠隔操作するアメリカ海兵隊や現地で実際に突入するケニア軍らの協力を得て、今まさに作戦を実行しようとしていたその時、パウエル大佐は予想外の事態に直面する。テロ組織の幹部たちが突如、アル・シャハブ支配地域に移動したばかりか、そこで自爆テロを実行するための準備をし始めたのだ。大規模な戦闘となるためケニア軍は動けず、テロを阻止するためにはドローンからのミサイル攻撃しかない。政府の制服組やアメリカとの緊迫の交渉の末、民間人の犠牲を払ってでも攻撃を実行するしかないという結論に達したその時、そのアジトの裏で何の罪もない一人の少女がパンを売り始めたのだった…。自爆テロを実行されれば最低でも80人規模の犠牲は避けられない。だが、そのために無垢な少女を犠牲にしてもいいのか。パウエル大佐はぎりぎりの決断を迫られる――。ヘレン・ミレンやアラン・リックマンをはじめとする実力派の役者陣が織りなす、この緊迫感に満ちた駆け引きは非常に見応えがありました。責任の押し付け合いばかりを繰り返す官僚や政治家、彼らに翻弄される軍事作戦の責任者、ドローンから実際にミサイルを発射するアメリカ軍の兵士、現地で危険な任務にあたるケニア人、正義の名の下にテロを実行しようとするイスラム過激派、そして何も知らない無垢な少女…。一つも先の読めない展開は最後まで緊張感を途切れさせることなく続き、まるで自らも議論に参加しているような錯覚さえ起こさせます。非常に考え抜かれた優れた脚本と言っていいんじゃないでしょうか。監督は、かつて南アフリカの悲惨な実情を無垢な少年の目線で描いた『ツォツィ』を撮ったギャビン・フッド。なるほど、この全編に漲るリアリティはこの監督ならではのものだったのですね。物語の最後、事態は悲惨な重たい現実を迎えます。何が正解で何が間違っていたのか――。明確な答えなどない現実を監督は容赦なく観客に提示して終わっていきます。なかなか深い問題を描いた社会派ドラマの秀作でありました。
[DVD(字幕)] 8点(2022-12-29 11:28:22)
65.  ラビリンス/魔王の迷宮 《ネタバレ》 
ゴブリンの王にさらわれた弟を救い出すため、異世界を旅する少女を描いた冒険ファンタジー。パペットや合成を駆使した特撮映像は今見てもそんなに違和感ないですが、やはり時代を感じさせますなぁ~。それでも小人たちの表情豊かな演技はワクワクさせられちゃいますね。まるで生きているみたいなリアルさで、CGがない時代にここまで造り込めたのは凄い。この独創的な世界観はけっこう好みでした。ゴブリン王を演じたデビッド・ボウイもやっぱカッコいい!!とはいえ、さすがに中身がなさ過ぎますかね、これ。始まり方もフワフワしてたし、中盤の展開もフワフワしてたし、終わり方も結局夢オチ?みたいでフワフワしてたし……。全体的にすっごいフワフワした映画でした。
[DVD(字幕)] 6点(2022-12-29 07:10:31)
66.  クリミナル 2人の記憶を持つ男 《ネタバレ》 
国際的テロリストの大規模なテロ計画を追っていたCIA捜査官ビリー・ホープ。だが、彼は重要な情報を保持したままテロリストに捕まり拷問の末に命を落としてしまうのだった。なんとしてもテロを阻止したい彼の上司は考えた末、ある計画を実行に移す。一人の脳科学者の協力を得て、なんと死んだはずのビリーの記憶を刑務所に収監されていた凶悪な犯罪者の脳に移植しようというのだ――。訳も分からぬまま脳外科手術を受け、ベッドで目を覚ました犯罪者ジェリコ。真相を知った彼は、テロ情報を教える前に隙を突いて逃げ出してしまう。久しぶりに自由の身になったジェリコは、湧き上がってくる暴力衝動の赴くまま危険な街へと繰り出してゆく。だが、次第に甦ってくるビリーという男の記憶が彼の失われた良心を大いに揺さぶり始めるのだった…。今まさにテロを実行しようという危険なテロリスト、テロを阻止するためならどんな犠牲をも厭わないCIA、感情を亡くした狂暴な犯罪者、そして悲嘆に沈む殺された捜査官の家族。死んだはずの一人の男の記憶を巡ってそれぞれの思惑が複雑に交錯する中、テロ予定時刻は着々と迫ってくる…。こういう荒唐無稽なお話を大真面目に描くという試みはなかなか興味深く、冒頭から緊迫感もあって、つかみはばっちりでした。渋めどころの役者陣を揃えたキャスティングも非常に豪華で大変グッド。ケビン・コスナーとトミー・リー・ジョーンズとゲイリー・オールドマンが同じ画面に収まるとそれだけで画力が凄いですね。ただ、それも前半まででした。後半からこの荒唐無稽な設定の無理がたたったのか、明らかに脚本が破綻し始めるのです。特にCIA、このたった一人の犯罪者を簡単に逃がしすぎ!!こんな無能なのにこれでテロリストなんか捕まえられるわけねーって。それに捜査官の奥さん、簡単に犯罪者に侵入されすぎ!!一回目は分かるのだけど、さすがに二回目はセキュリティコードを変更しましょうよ。あとK・コスナー演じる犯罪者、簡単に良心に目覚めすぎ!!金を手に入れたいのか奥さんを慰めたいのか、何がしたいのかさっぱり意味不明。肝心のテロリストたちも存在感なさすぎ!!何のためにテロをするのかもいまいちピンとこないので、この濃い役者陣の中で存在感が薄い薄い。そして、ラストのオチは噴飯ものの酷い代物でした。こんなに部下を殺されてんのにCIA、こいつを雇うんかーい(笑)。ハリウッドのレジェンド俳優たちの豪華共演に+1点。
[DVD(字幕)] 5点(2022-12-22 11:25:44)
67.  ブラック・シー 《ネタバレ》 
第二次大戦時、莫大な金塊を積んだまま海の底へと沈んでしまったナチスドイツの潜水艦、Uボート。元潜水艦乗りで現在失業中のロビンソンはある日、半世紀もの長きにわたって海の藻屑となっていたそんな潜水艦の情報を偶然耳にする。妻とは離婚、愛する息子とも自由に会うことも出来ず、仲間とともに酒場へと入り浸るようなどうしようもない毎日を送っていたロビンソン。「自分の人生を一発逆転させてやる!!」。仲間とともにそう決意した彼は、大金を求めてウクライナ近海の海底へと旅立つことを決断するのだった。だが、当然のように一人で出発することなど出来ない。旧友のつてでイギリス人とロシア人による12人のにわか混成チームをどうにか集めたロビンソンは、現在は退役した旧ソ連の潜水艦を格安で手に入れるのだった。それぞれの思惑を抱えた彼らは、見渡す限り闇に閉ざされた暗い海の底へと繰り出してゆくのだが…。潜水艦内という閉ざされた世界で繰り広げられるそんな男たちの熱いドラマを重厚に描いたサスペンス・アクション。監督は、社会性の強いエンタメを得意とするケビン・マクドナルド。彼の代表作である『ラストキング・オブ・スコットランド』同様、こういう狂気と英雄紙一重の危険な男を描かせたらやっぱり巧いですね~。ジュード・ロウ演じる主人公が最初はいかにも艦長らしくみんなを纏め上げていたのに、様々な計画の綻びや仲間たちからの反発で神経をすり減らし、次第に暴走していく過程が説得力抜群。彼らが乗るという中古の潜水艦が、その余りに年季が入っていそうな錆びついたボディで登場したときも不安感ヤバかったです。うん、今にも沈没しそうなこんなおんぼろ潜水艦に乗るなんて絶対いや(笑)。また即席で集められた12人のイギリス人とロシア人という最初からうまくいくはずなんてない彼らの内輪揉めも緊迫感があり、徐々に始まる銃撃戦は見応えありました。まあこういう映画のお約束ながら、最初から最後までむさ苦しいおっさんばかりが出ずっぱりで女っけゼロなのはご愛敬。にしてもジュード・ロウ、すっかり禿げたなぁ(笑)。ラストはちょっとあっさりし過ぎかな。もう少し彼らのその後のドラマが見たかったような気がしなくもない。それでも乗組員12人の個性もそれぞれちゃんと描き分けられていたし、潜水艦映画の醍醐味であるキリキリするような閉塞感も感じられたし、僕は充分楽しめました。7点。
[DVD(字幕)] 7点(2022-12-05 12:41:24)
68.  キングスマン: ゴールデン・サークル 《ネタバレ》 
世界を密かに?救ってきた謎の英国紳士たちのぶっ飛び大活躍を、お下品&エログロアウトぎりぎりのセンス溢れる映像で描いたスパイ・アクション第2弾。いやー、相変わらず面白かったです!ほんとにこのおバカな世界観をひたすら真面目に追及するマシュー・ボーンのキレッキレの演出力は今回も冴え渡ってましたね~。ただ、さすがに前作のインパクトが強烈だっただけに、今回はそこまでの衝撃はなかったですかね。悪役のジュリアン・ムーアがいまいち弾けきれてないないような?まあ普通に面白かったですけど、前作ほどではなかったってことで7点!
[DVD(字幕)] 7点(2022-11-18 12:43:14)
69.  エイリアン:コヴェナント 《ネタバレ》 
SFホラーの金字塔『エイリアン』の前日譚をリドリー・スコット自らが描いたシリーズ第二弾。前作の内容をほぼ覚えていないまま今回鑑賞してみたのですが、まあだからと言って改めて観返すほどでもないかなぁというのが正直な感想。って言うか、スコット監督ってやっぱり根っからの映像作家なんだなって改めて思いました。粘着力のある映像美は他の追随を許さないほど素晴らしいのですが、その脚本によって作品の質は毎回大いに変わります。今回は正直微妙かな。その映像美に6点で。
[DVD(字幕)] 6点(2022-11-13 13:48:50)
70.  ノー・マンズ・ランド(2001) 《ネタバレ》 
さまざまな民族の対立により泥沼の内戦状態へと陥ったボスニア・ヘルツェゴヴィナ。危険な戦場に緩衝地帯として設けられた無人の塹壕に、ふとした手違いから対立する二人の兵士が取り残されてしまう。少しでも身を乗り出せば敵対する陣営から攻撃を受けてしまうという絶体絶命の状況の中、さらなる危機的状況が明らかとなる。セルビア人が仕掛けた地雷の上に置かれた、ボスニア側の兵士の死体が実はまだ生きていたことが判明するのだ。少しでも身体を動かせば三人とも即死。行くことも引くこともままならぬ状況の中、三人のストレスはどんどんと膨れ上がり一色触発の危険な状態へと向かい始める。事態を把握した国連軍も更なる紛争拡大を恐れるあまり事なかれ主義に徹し、正義を振りかざしながらも本音では刺激的な映像を求めるマスコミは事態を更なる混乱へと陥れてしまうだけだった。果たして彼らは無事にその緩衝地帯から生還することが出来るのか?シニカルな笑いとともに綴られる、そんな極限状況に追い込まれた三人の兵士たちの騒動を描いた戦争ヒューマン・ドラマ。低予算ながら、優れた脚本の力で最後まで緊迫感とブラックな笑いが途切れないなかなかの秀作でありました。三人の名もなき兵士たちの諍いをメインのドラマとしていながら、これってボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の縮図として読み取れるようになっているのですね。銃を手に取った側が銃口で相手を脅しながら代わる代わる自らの主張を宣言する微妙なパワーバランス、騒動を止めようとしながらも積極的に関与しない国連、平和の使者のように振舞いながら結局は他人事でしかないマスコミ、そして最後地雷の上に寝かされた当事者は動くことも出来ずその場に取り残されてしまう…。まさにこの紛争の本質を突いた、シニカルで深いラストでした。冷戦終結後、各地で勃発した民族紛争を考える上で真に観るべき価値のある作品と言っていいでしょう。
[DVD(字幕)] 7点(2022-11-13 13:15:41)
71.  ゲティ家の身代金 《ネタバレ》 
ある日、石油王にして世界一の大富豪の孫が誘拐される。身代金を求める電話がかかってくるものの、金にとんでもない執着を見せるその大富豪はなんと支払いを拒否。命に代えてでも息子を取り戻したい孫の母親で富豪の義理の娘は様々な方策を巡らせるのだが、解決の糸口すら見いだせないままどんどんと追い詰められていく……というお話。御大リドリー・スコットが実話を基にして描いた、なかなか濃厚な人間ドラマでした。いやー、世の中金が全て、お金のない人間は何をやってもうまくいかないという内容でしたね、これ。巨匠の映像美と重厚なストーリーテリングはもはや匠の技。最後まで見応え充分でした。特に、恐ろしいくらい金に執着する守銭奴大富豪を演じたクリストファー・プラマーの憎たらしさは素晴らしかったです。いくら世界一のお金持ちでもこんな人の身内には死んでもなりたくない(笑)。若干ストーリー展開に「?」な部分があるものの、なかなか面白かった。7点!
[DVD(字幕)] 7点(2022-11-07 08:57:09)
72.  スリー・ビルボード 《ネタバレ》 
舞台はアメリカのとある田舎町。娘をレイプされ焼き殺された母親が町外れに立てた、三枚の看板。そこには一向に事件を解決できない警察署長への怒りのメッセージが書き込まれていた。当然、その影響は小さな町に瞬く間に広まってゆく。人種差別主義者の警察官、末期癌を患い余命幾ばくもない警察署長、看板を立てた広告代理店の営業マン、被害者となった女の子の弟、DVの末に離婚したその父親…。彼らの怒りが更なる怒りを呼ぶ憎しみの負の連鎖を軽快に描いたクライム・ドラマ。じっくりと考え抜かれたであろう脚本の力が際立つ、なかなかの佳品であったと思います。そんなよく出来た脚本だけではなく、適材適所に振り分けられた俳優陣の演技もすごく嵌まっていました。特に、主人公の娘を殺された母親を演じたフランシス・マクドーマンドの狂気すれすれなのに何故か嫌いになれない人物造形はなかなかのもの。ちょっと僕の好みとは微妙に外れますが、なかなか見応えのある人間ドラマでありました。
[DVD(字幕)] 7点(2022-11-04 10:49:07)
73.  光をくれた人 《ネタバレ》 
第一次大戦で心に深い傷を負った元兵士トム。退役後、何もかもを捨て去るようにして静かな港町へと辿り着いた彼は、小さな孤島に聳え立つ灯台の灯台守という職を得る。以来彼は、深い孤独の中でただひたすら海を照らす光を守り続けていた。ある日、そんな孤独なトムの人生に新たな光が差すことに。港町に住む純朴な女性イザベルと恋に落ちたトムは、情熱的な交際期間を経て、彼女を妻として灯台のある島へと迎え入れることになるのだった。誰にも邪魔されず、平穏ながらもただただ幸せな日々を過ごすトムとイザベル。だが、そんな幸せな日々も長くは続かなかった。子供を強く望んだ二人だったが、最初に身ごもった子供は流産し、二人目も死産してしまう。心身ともに疲れ果て息詰まるような生活を続けていた二人。だがある日、そんなトムとイザベルのもとに信じられないようなことが起こる。一艘の小さなボートが島へと流れ着き、その中に若い男の遺体と生まれたばかりの小さな女の子が横たわっていたのだ。すぐに当局へと報告するというトムを説得し、イザベルはその女の子にルーシーという名をつけ、自らの子供として育てていくことを決意するのだった――。物語はその後、罪を隠しただ幸せそうな夫婦を演じていた二人が数年後、教会で衝撃的な事実を知ることで急展開することになる。そう、彼らがルーシーを授かったのと同じころ、生まれたばかりの女の子が父親の乗ったボートで行方不明となる事件が起こっていたのだ。残された母親はただひたすら子供の行方を追い続けていた。「もう隠しておけない。真実を話すべきだ」というトムに、イザベルは「私が母親よ。何も言わないで」と訴える。親の性とは言え、見ていてなんとも心苦しい展開が続く。誰も悪くはない。ただ心が少し弱かっただけ。そんな人々の悲劇など我関せずとばかりに海は今日も波打ち続ける……。デビュー以来、美しい映像でもって人生の光と闇を見つめ続けるデレク・シアンフランス監督の美質が今回も冴え渡っている。本当の家族としか思えない役者たちの演技も素晴らしい(主役を演じた二人はこの後、本当の家族になったらしいが)。最後、年老いた主人公の元に成長した娘が訪ねてくるシーンなど、年月の重みを感じさせ涙なくしては観れなかった。ときに暗い海へと沈み込みそうになる人生というものに、微かな道しるべともなる明るい光を投げかけるような味わい深い一篇だ。
[DVD(字幕)] 8点(2022-11-02 09:42:01)
74.  17歳の瞳に映る世界 《ネタバレ》 
ペンシルバニアの田舎町で平凡な毎日を送る17歳の高校生オータムは、何処にでもいるような普通の女の子。保守的な両親の元、スーパーのレジ打ちのバイトをしながらただなんとなく日々を過ごしている。そんなある日、オータムはもう一か月以上も生理が来ていないことに気づく。密かに訪れた町の産婦人科で診察してもらった彼女に告げられたのは、妊娠10週目という事実。予想もしていなかったことに思わず動揺してしまうオータム。とてもじゃないが両親に話すことは出来ない。そもそも産んで育てる勇気もない。だが、彼女が暮らすペンシルバニアでは、未成年の妊娠中絶には両親の同意が必要だった。ここから遠く離れたニューヨークに行けば、お金さえ払えば手術を受けられる――。ネットで調べてそのことを知ったオータムは、唯一の親友でバイト仲間のスカイラーとともに夜行バスへと乗り込むのだった……。中絶手術を受けるためにニューヨークへと向かう17歳の2人の少女の旅路を終始淡々と見つめたガールズ・ロードムービー。そんななんともネガティブなお話なのに、あまり暗さを感じさせないのはこの監督のリリシズムに満ちた詩的センスによるところが大きい。それぞれに孤独を抱えたこの少女たちの旅路は終始不安定で今にも壊れてしまいそうな危うさが漂っているのに、非常に美しく洗練されている。この感性はなかなかのもの。親身になって相談に乗ってくれていると思っていた、地元の産科医のおばちゃんがゴリゴリの中絶反対派だというのもリアル。一日で終わると思っていた手術が、この産科医の誤診のせいで二日かかってしまうというはなんとも皮肉ですね。すぐにお金もなくなり、泊まるあてもなくなって次第に追い詰められてゆく2人。親友がお金を稼ぐために会ったばかりの男とキスをするシーンで、柱の陰で主人公と密かに手を繋ぐところはとても切ない余韻を残してくれます。この二人の友情が永遠に続けばいいと願わずにはいられない名シーンでした。他にも、中絶前にカウンセラーが幾つも質問する中で、最初は服用している薬だとか病歴だとかだったのが最後の方で男の暴力についての質問に変わってゆくシーン。最初は気丈に振る舞っていた主人公が次第に涙をこらえられなくなるところも、男の身勝手な欲望への女性たちの静かな怒りが感じられ色々と考えさせられます。全てが終わったあと、空虚な笑顔で会話する2人、虚しさと充実感が入り混じって何とも切ない。エンドロールで流れる歌がまた染みます。とにかく2人の等身大の魅力にやられました。シスターフッド映画の新たな地平を拓いた、なかなかの秀作と言っていいんじゃないでしょうか。この監督、これから要注目ですね。
[DVD(字幕)] 8点(2022-10-20 07:50:22)
75.  グリード ファストファッション帝国の真実 《ネタバレ》 
低価格を売りにアパレル業界を席巻したファストファッションブランド、モンダ。その創業者にして一代で巨額の富を築き上げたリチャード・マクリディの半生を、彼を取材するジャーナリストの目線で描いた社会派コメディ。普段私たちが安く買っているTシャツやズボンの裏側には、低賃金で長時間労働を強いられている発展途上国の貧しい人々の犠牲があるという本作の主張は確かに分かります。ますます拡がってゆく富裕層と貧困層との格差がさまざまな悲劇を生み出しているという、現代の社会問題をシニカルに見つめるその抑制の効いた効いたスタンスもいい。ただ、それが映画としての面白さに繋がっているかというと正直微妙。世の不条理に鋭く迫る社会派ドラマなのか、それとも毒気の効いたブラックコメデイなのか、そのどちらにも振り切れていないので、最後までなんとも居心地の悪い鑑賞後感でございました。実在の有名人を幾つも出して混乱と狂騒を極めてゆくパーティーとかももっとやり過ぎなくらい無茶苦茶やってくれても良かったような。最後のライオンのくだりも生々しくていまいち笑えない。ただ、「この笑えない現実はこれからも続いてゆく、私たちが安い服を買い続ける限り」という最後のオチは皮肉が効いていてなかなか良かった。胡散臭い成金経営者を飄々と演じたスティーブ・クーガンもバッチリ嵌まっていて大変グッド。普段私たちが安く買っている様々な商品の裏側を知れるという意味でも観てよかったかな。とは言え、自分は近々、ユニクロに秋服を買いに行く予定なんですけどね(笑)。すんません、安月給なもんで!!
[DVD(字幕)] 6点(2022-10-13 07:33:22)
76.  355 《ネタバレ》 
世界中のあらゆるコンピューターをハッキング出来る危険なデバイスを悪の組織から奪還するため、世界各国から集結した凄腕女性エージェントたち、その名も「355」。彼女たちの世界を股にかけた大活躍をゴージャス&エレガンスに描いたスパイアクション。まあ既視感満載のよくある内容なのですが、ジェシカ・チャスティンやダイアン・クルーガー、ペネロペ・クルスという豪華なキャスト陣に惹かれ今回鑑賞。なんですが、正直演出が大雑把というか雑というか、大まかなストーリーは何となく把握できるものの、彼女たちが今何のためにこういう行動を取っているかがいまいち分かりづらく、自分はそこまで楽しめませんでした。もう少し丁寧な演出を心がけてほしかったですね。それにたくさんお金を掛けたであろうアクション・シーンは確かに迫力あったのですが、ちょっと全体的に古臭い印象を受けてしまったのも残念ポイント。あと、こーゆー軽いノリのエンタメ作品のわりに人が死に過ぎるのもどうかと思います。デバイスの危険性を強調するために旅客機を何機も墜落させるのは明らかにやり過ぎだし、主人公たちの大切な人が悪の組織に軒並み殺されちゃうのも物語として必要だったんですかね?ペネロペ・クルスの家族以外、父親や恋人やパートナーが全員彼女たちの目の前で殺されちゃうのってさすがに重すぎでしょ!なのに最後は、「今回も任務は大成功、んじゃまた次のミッションで」ってみんなで颯爽と去ってゆくのは、さすがに気持ちの切り替え早すぎちゃいまっか(笑)。観ているだけで絵になるハリウッド・セレブたちの豪華共演に+1点!
[DVD(字幕)] 5点(2022-09-05 06:26:14)(良:1票)
77.  アナイアレイション -全滅領域- 《ネタバレ》 
アメリカの国立公園の海岸沿いに建つ小さな灯台。この何の変哲もない小さな建物にある日突然、不可解な謎の現象が発生する。光輝く空間が灯台を中心に現れ、やがてゆっくりと周りを呑み込み始めたのだ。中で何が起こっているのか、最新の機器を使っても皆目分からなかった。幾つもの調査隊が組まれ、その「シマー」と名付けられた光の中へと送り込まれる。だが、誰一人として帰ってくることはなく、「シマー」はますますその範囲を拡大し続けるのだった――。何の進展もないまま三年もの月日が過ぎたころ、生物学者として大学で教鞭をとっていたレナの元に、海兵隊員で一年前にシマーへと送り込まれたまま音信不通となっていた夫が急に帰宅する。彼は「シマー」の中での記憶を完全に失っていたばかりか、内臓に重度の損傷を負っていてすぐに昏睡状態へと陥ってしまうのだった。動揺を隠せないレナ。新たに調査隊が組まれることを知った彼女は夫の身に何が起こったのか確かめるべく、無謀にも入隊することを決意する。これまでと違い、学者だけでしかも皆が女性という五人の調査隊の一員となったレナは、その光り輝く「シマー」の中へと足を踏み入れるのだったが…。果たしてこの「シマー」には何があるのか?静かに始まった人類の危機へと立ち向かう女性たちの驚愕の体験をスタイリッシュな映像で描くSFスリラー。監督は前作『エクス・マキナ』でスマッシュヒットを飛ばしたアレックス・ガーランド。主演はオスカー俳優でもある人気女優ナタリー・ポートマン。この監督らしい知的センスに溢れた世界観とシャープでスタイリッシュな映像美はなかなか見応えありました。この謎の現象の中心に近づくと全ての生物のDNAがどんどんと掻き乱されてゆき、やがて突然変異した異形の生き物が幾つも現れるというのはベタですけどけっこう面白かった。グロテスクな映像もそこまでショッキングなものにならず、全体的に何処か気品のようなものを感じさせるのもこの監督のセンスがなせる技なんでしょう。ただ、惜しいのはラストの展開。謎を謎のまま終わらせるのはもちろんいいのですが、いまいちテーマの掘り下げが足らない印象。同じような内容のドニ・ヴェルヌ―ヴ監督の重厚なSFドラマ『メッセージ』などと比べるとやはり深みが足らないように思う。だからと言ってエンタメ作品として捉えると、やはり刺激に欠ける。うーん、なんとも中途半端。映像や世界観は非常に良かっただけに、ちょっと物足りない作品でありました。
[DVD(字幕)] 6点(2022-08-19 09:18:23)
78.  THE INFORMER 三秒間の死角 《ネタバレ》 
自由と引き換えにFBIの潜入捜査官となった元犯罪者の男が、様々な組織の思惑と陰謀により再び刑務所へと舞い戻ってしまうというお話。全編を覆うひりひりするような緊張感はなかなかのものだったし、ロザムンド・パイクやクライヴ・オーウェンといったベテラン勢の熱演は見応えありました。特に、犯罪組織とFBI双方に嵌められ、刑務所で孤立無援となってしまう主人公の焦燥感は息が詰まるほど。ただ、それに対して脚本がいまいち。話が無駄にややこしいうえに、後半になるにつれどんどんとサスペンスが盛り下がってゆくというのが映画として致命的。主人公が最後にどうしてそんな行動を取ったかもよく分かんないし、なぜ、最後の最後でクライヴ・オーウェンが捕まったのかも意味不明。ストーリーの見せ方をもっと考えてほしかった。残念!
[DVD(字幕)] 4点(2022-08-19 06:15:07)(良:1票)
79.  マグダラのマリア 《ネタバレ》 
あの世界でもっとも有名な物語の古典、新約聖書の世界をマグダラのマリア目線で映像化した歴史ドラマ。まあ観る前から大方の予想はついていましたが、最初から最後までもうとにかく眠たくなるほどオーソドックスな宗教ドラマでしたね、これ。ただ、マグダラのマリア役を今を時めく人気女優ルーニー・マーラが演じているということ、その一点のみで今回鑑賞してみました。確かにマリア役を演じた彼女の清楚な佇まいはまさに嵌まり役で、見ていてほれぼれするほどキレイでした。でも、本作の見どころと言えばそれぐらいかな。きっと熱心なキリスト教徒の方なら楽しめるんでしょうけど、僕のようなそうじゃない人間にとってはさすがにこれは退屈で退屈で仕方なかったです。新しい部分と言えば、これまで娼婦とも言われ罪深き女などとも称されたマグダラのマリアを、最もキリストのことを考えていた普通の人として描いているところぐらい。まあそれも僕にとっては、「へー、そうなんですか」くらいの感想しか残りませんでした。また、肝心のイエス・キリスト役をあのいまもっとも勢いのあるホアキン・フェニックスが演じているのですが、これがミスキャストもいいところ。でっぷりと貫禄ありまくりで、正直まったくキリストに見えないんですけど!だから語られる言葉もさっぱり心に響いてきませんし、あのキリストが取り乱して感情的になるシーンなんて見ていて違和感しか感じませんでした。予想だけど、これってキリスト教徒の人たちにも評判悪いんじゃないですかね?キリストの最期を知りたければ、メル・ギブソンの『パッション』の方が100倍くらい出来はいいんで、そちらを観ることをお勧めいたします。
[DVD(字幕)] 4点(2022-07-27 11:57:15)
80.  ハンターキラー 潜航せよ 《ネタバレ》 
ロシア国内で突如としてクーデターが勃発!異変を察知したアメリカ政府は第三次世界大戦の危機を阻止するため、陸軍特殊部隊及び偶然近くに停泊していた原子力潜水艦アーカンソーに秘密指令を下す。それは、反乱軍によって監禁されたロシア大統領を生きたまま救出することだった――。おおよそ不可能とも思われるそんな困難な任務に赴くことになった攻撃型原潜、その名もハンターキラー。彼らのロシア近海への決死の侵入をスリル満点の展開で魅せるポリティカル・アクション。前評判通り、なかなか面白いじゃないですか、これ。まあ、ベタっちゃあベタですけど緻密に考えられたであろう脚本はけっこうな完成度。ロシア近海に潜む原子力潜水艦と、かの国の基地に潜り込んだ特殊部隊員、そしてアメリカ本国で指揮を執る制服組との息詰まるようなやり取りはリアリティがあって見応え充分でした。潜水艦でのお約束の展開もちゃんとツボを押さえられていて(あの音を出せない状況で危うくスパナを落としそうになるとこなんて心臓に悪すぎ!!)、終始ハラハラドキドキ。ジェラルド・バトラー演じるアメリカ人艦長と、本来は敵同士であるはずのロシア人艦長とのただお互い船乗りとしてのプライドから結ばれる友情なんて熱い熱い。陸上で孤立無援の戦いを強いられる特殊部隊たちのドラマもそれに負けず劣らずよく出来ており、ともすれば一本調子になりそうなストーリーにいい緩急を与えています。クライマックス、ロシアの猛攻撃を受けながら決死の脱出を図るハンターキラー内での緊迫感に満ちた攻防もかなりの迫力。損傷した艦内にどんどんと海水が入り込んでくるシーンは、こういう映画で何度も見ているとはいえやはり息が詰まりそうになりますね。いやー、何度生まれ変わっても潜水艦乗りにだけは絶対なりたくない(笑)。最後の展開が若干ご都合主義に流れすぎな感もありますが、エンタメ映画として僕は充分楽しませていただきました。うん、7点!
[DVD(字幕)] 7点(2022-07-04 11:56:29)
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