141. さらばベルリンの灯
ジョージ・シーガル(2021.3.23 没)アレック・ギネス、マックス・フォン・シドー、ジョージ・サンダース、いぶし銀の面々が織りなす諜報戦は華は無くとも緊張感に満ちており画面に釘付け。登場時から「もしかしてこの女性は」との思いが離れなかったインゲ(センタ・バーガー)のラストシーンが余韻を残します。やるせなさを掻き立てられる特筆もののジョン・バリーの音楽と共に記憶に残る味わい深い良作です。 [DVD(字幕)] 7点(2021-04-05 14:15:28) |
142. ハイネケン誘拐の代償
《ネタバレ》 詐欺的な広報戦略に引っかかりました。客寄せアンソニー・ホプキンスにガックリ。被害者側&捜査当局側の描写皆無での展開結末に「ああ、そうですか」としか思えません。ハイネケン・グリーンボトルはさっぱりとした美味しさなのですが、本作はサッパリでした。 [DVD(字幕)] 3点(2021-04-05 09:37:17) |
143. フランス組曲
《ネタバレ》 禁断の恋愛模様以上に、「戦争は人の本性を剥き出しにする」劇中の台詞そのままの人々の丹念に描かれた姿に感じ入るものがあり、特に子爵の無残な姿に陥る過程が強烈な印象を残します。エンドクレジットの作者の化身である手稿に+1点。格調ある作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2021-04-04 03:56:52) |
144. しあわせはどこにある
豊かな毎日を送っている精神科医ヘクターが、幸せとは何かが分からないと患者のカウンセリングが出来ないと痛感し幸せ探しの旅に出る物語。中国:ステラン・スカルスガルド、アフリカ:ジャン・レノ、LA:クリストファー・プラマー。この3人目当ての鑑賞でしたが、顔見せゲスト出演で何一つ響いてこないキャラクターでガックリもいいところ。それぞれの地での体験から得た幸せに異議はありませんが、沁み入る事も、よりどころになる事も無く。製作意欲は窺えるものの平板な作品です。 私的には幸せだと思った瞬間が不幸の始まり、逆も然り、であります。 [DVD(字幕)] 6点(2021-04-03 02:40:02)(良:1票) |
145. ブラザー・サン シスター・ムーン
初見。後悔しか浮かんで来ない過去、澱みきってくたびれ果てた現在、希望が浮かんで来ない将来。 この歳で観た本作に心洗われる思いです。 とりわけ歌に。 贅を極めた聖職者の頂点たる教皇(アレック・ギネス)の神に仕える初心を思い出したかのような振る舞いは、重みがあるシーンでした。 心の拠りどころの一つとなる秀作です。 [DVD(字幕)] 7点(2021-03-29 15:41:16)(良:1票) |
146. 情熱の友
《ネタバレ》 デヴィッド・リーンお得意の不倫モノ。ロンドン屈指の銀行家ハワード(クロード・レインズ)、年の離れた妻メアリー(監督夫人アン・トッド)、将来を嘱望されている妻子持ちの青年科学者スティーヴン(トレヴァー・ハワード)による丹念に描かれた三つ巴の愛憎劇はハワード貫禄の完勝で幕。他愛ないメロドラマであっても「愛して欲しいと願った事はない」言葉とは裏腹な煮えたぎる嫉妬心を静かに見せるクロード・レインズに魅入りました。 余談ながらヘンリー8世を超える結婚7回というクロード・レインズの愛憎模様も波瀾万丈だったのでしょう。 [DVD(字幕)] 7点(2021-03-29 06:01:16) |
147. 白衣の男
《ネタバレ》 イーリング作品らしからぬ純粋無垢な研究者(アレック・ギネス)による、汚れずに永久に傷まない「究極の!」繊維開発にまつわる騒動をイーリング作品らしい皮肉な視線がこもったライトなコメディで描かれています。成功するのが早いと思ったら、そこからが話の本番で、労使が揃って時代の変化を恐れる姿がなかなかに考えさせられました。好感が持てたアレック・ギネスの外連味無き真っ直ぐな演技が光る良作です。 [DVD(字幕)] 7点(2021-03-23 01:51:51) |
148. ホブスンの婿選び
お金と時間を湯水のように使う超大作監督の小品は、小粋でカラリとした物語で流石のクオリティ。チャールズ・ロートン通常運転の名演でもってこれ以上ない程の憎まれ口での暴君ぶりを見せる父親に笑わされ、彼と彼の長女に腰が引けながらも徐々に男らしさを増してゆくジョン・ミルズの好演にも魅入りました。後味も爽やかな秀作です。 [DVD(字幕)] 8点(2021-03-19 03:10:19) |
149. 素敵なウソの恋まじない<TVM>
ロアルト・ダール、リチャード・カーティス、ダスティン・ホフマン、ジュディ・デンチ、豪華組み合わせに興味津々での鑑賞。 8年ぶりのダスティン・ホフマンは白髪で太めになったものの加齢の衰えを感じさせなく、口角がグ~ッと上がる笑顔は相変わらず素敵でありました。彼自身が重なるような完全主義的凝り性なホッピーさんに、呆れると共に想いの深さに胸熱に。 100匹が亀というのが絶妙です(臭いを想像すると萎えるのですが) 硬派なジュディ・デンチしか見たことが無いのでシルバーさんには驚くやら戸惑うやら。78歳と81歳のキスシーンにプラスマイナス色々な思いがよぎりました。 二人に大馬鹿者プリングルスさんを絡ませた脚本も流石の仕事ぶり。小品ながら味わい深い逸品です。 [DVD(字幕)] 7点(2021-03-10 01:57:59)(良:1票) |
150. ラベンダー・ヒル・モブ
オードリー・ヘプバーンにそっくりだと思ったらご本人でした。アレック・ギネスは彼女のスター性を感じ取っていたそうです。そのアレック・ギネスですが、ラストまでニコルソン大佐の面影を見いだせませんでした。(泣)ロバート・ショウは再見で発見。(嬉) アカデミー脚本賞が納得出来る飄々とした犯罪もので大オチまで見応え充分、大いに楽しめました。 傑作「カインド・ハート」を生み出したイーリングスタジオ作品に相応しい逸品です。 [DVD(字幕)] 7点(2021-03-04 01:56:27) |
151. 風をつかまえた少年
《ネタバレ》 最貧国を襲った大干魃。武装による殺し合いが無いのが救いと言えば救いですが、追い詰められてゆく様子は怖いものがありました。無い無いづくしの中で風力発電で井戸水を畑に供給する事を実現させたというのが僅か20年前の実話だというのが信じられません。水が出た瞬間のキウェテル・イジョフォーに泣かされました。 比べてというのではなく、自分の置かれた状況を嘆くだけ、拗ねるだけ、では状況は同じままですよ。というのを実感させられた秀作です。 [インターネット(字幕)] 8点(2021-03-03 01:45:38) |
152. 夜の来訪者<TVM>
原作未読。1912年英国。紡績?工場社長バーリング一家幸せ絶頂とも言える晩餐会での一家と訪れた警部の会話劇。自殺女性に全員が関わっている事を順々に追求する警部に途中から違和感が。女性の親族なのではとの見当は・・・ ミランダ・リチャードソンを筆頭に一家&婚約者の乙に澄ました偽善者ぶりはこれぞブリカス(ごめんなさい)と言えるもの。ただ、悲劇のヒロインも下の階級なりのしなやかさやしたたかさに欠けていてイマイチ支持できない人物でした。 大オチまで片時も目の離せない秀作です。 [インターネット(字幕)] 8点(2021-02-28 19:35:31)(良:1票) |
153. 地獄のアパッチ
《ネタバレ》 当たりはずれの落差が大きいフィリップ・ヨーダン脚本で大ハズレ(泣)な本作。「バラのつぼみ」もとい「四月の朝」の謎に迫る物語ですが、筋が追えない(疲)、結末は口アングリ(呆) お目当てリー・ヴァン・クリーフは髭無し、髪有り(カツラ)、パンツ一丁の裸体(結構ムキムキ)、オープニング&エンディングにおけるラップのような歌唱(微妙)、ベッドシーン(ぎこちない)と激レアなお姿で、先住民で北軍大尉という役柄にも哀愁が微塵も感じられなくガックリ(憔) 本サイトの基準にピタリと当てはまる作品でした。 [DVD(字幕)] 3点(2021-01-25 02:38:18) |
154. 街の野獣(1950)
《ネタバレ》 ジュールス・ダッシン監督が赤狩り糞ブラックリストに載る直前で、撮影中止の憂き目に遭わぬようにとロンドンで撮ったという本作。 感動させられたダリル・F・ザナックの男気ある尽力に+1点。 見下げ果てた卑劣漢小悪党を演じたら右に出る者無しのリチャード・ウィドマークですが、小悪党ながら思い立った途端に後先考えずに突っ走る金に餓えた姿は哀れみも誘います。95分間に詰め込まれた彼と共に登場人物全員が破綻する起承転結に片時も目が離せません。別格ウィドマーク以外でMIPはロンドンプロレス興行を一手に牛耳るヤクザ演じるハーバート・ロム。敬愛していた生涯シュートマッチを愛した父親との別れのシーン(リプレイタイム)に鼻の奥がツーンとなり、彼の殺気に同意です「殺ってしまえ」 そこからラストまでの悪あがきぶりがウィドマークテイスト全開で演じ切る役者魂に喝采。 鑑賞理由が思い出せない掘り出し物の逸品はフィルムノワール屈指の傑作でした。 [DVD(字幕)] 10点(2021-01-17 01:27:22)(良:1票) |
155. ゴスフォード・パーク
高貴なのは生まれた家柄で中身はゲスな貴族達と人の悪口しか話題の無いゲスな使用人達のくだらないハナシを延々と聞かされて、グッタリ。「いつまでやっとんじゃい!」降ってわいたような殺人事件も何のインパクトも感じず。豪華俳優陣でありながらの体たらくの責任は誰にあるのだろうか。再見してみたいとは露ほども思えない愚作。 [DVD(字幕)] 3点(2021-01-02 02:25:24) |
156. ヘンリー八世の私生活
《ネタバレ》 チャールズ・ロートン演ずるヘンリー8世はハンス・ホルバインの肖像画から抜け出てきたかのようなソックリぶりでビックリ。国政に関しては1%程で他は6度の結婚遍歴が綴られています。「わが命つきるとも」での極悪野郎が本作では歩く傍若無人ではあるものの、おべっか家来使用人たちに囲まれての私生活は心許せる者が出来そうもない淋しさがチラリと覗くのは名優の名演によるところでしょう。ただ、オスカー受賞に相応しいかと問われると疑問なところです。夢の競演(大歓喜)ロバート・ドーナット若かりしお姿はやはり独特の品のある美しさでウットリ。不貞が発覚した後のチャールズ・ロートンとの直接対決が観たかったところです。4番目の妻とのノリノリやりとりはロートン夫人のエルザ・ランチェスターとの夫婦漫才に笑わせてもらいました。97分の尺に凝縮された見応えたっぷりで後味も悪くない秀作。 [DVD(字幕)] 8点(2020-12-29 23:10:44) |
157. 恐怖ノ黒電話
復縁を迫ってくるDV夫と過去からのストーキング電話を受けるダブルパンチ。なかなか考えられた脚本でグロさが無くとも神経に障る怖さはありました。ただ、パンチに欠けると言うか、本サイト基準そのままの作品でありました。 [DVD(字幕)] 6点(2020-11-14 20:22:34) |
158. 砂漠のライオン
カダフィ大佐が3500万ドル出資したという(驚)史実に基づく力作を襟を正しての鑑賞でした。ムクターの信仰心はすんなり胸に入るものでした。アンソニー・クイン、オリバー・リードの熱演が光ります。ラフ・ヴァローネの役どころが中途半端なのは残念でありました。 [DVD(字幕)] 7点(2020-11-04 02:19:41) |
159. SF核戦争後の未来・スレッズ<TVM>
《ネタバレ》 SFではなく、各分野の世界的権威者の監修によるというBBC制作シミュレーション作品。政治家は一切登場せず、英国シェフィールド市民が核を被弾してから辿る十数年間。他国の援助はないのか疑問ですが、核の応酬という事なので他国も同様なのだと考えます。最後の最後まで1ミクロンの希望もない世界は、現在においてもボタンを押せばこのようになり得る現実味を感じ身の毛がよだちました。二度と見たくないけれど1度は観ていただきたい傑作です。 [DVD(字幕)] 10点(2020-10-29 16:31:55)(良:2票) |
160. セント・マーティンの小径
《ネタバレ》 リバティへの想いを断ち切って大道芸人として前を向いて生きようとするチャールズに心底ホッとしました。チャールズ・ロートンの味わい深い演技は流石。対するリバティのサクセス・ストーリーには反吐が出ます。出世欲は認めるものの、恩人に仁義も切らないやり口は、綺麗にお化粧して着飾っても性根はコソ泥のままの卑しく貧しいもの。演ずるヴィヴィアン・リーは顔は十人並み、ダンスはキレも気品もゼロ、キャンキャン喚く声音が鬱陶しい。キャラに合わせているのなら名演ですが、さて。翌年にスカーレット・オハラを演じたのが信じられません。 [インターネット(字幕)] 6点(2020-10-26 14:54:30) |