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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1885
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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1.  ジンジャーの朝 さよなら、わたしが愛した世界 《ネタバレ》 
「ねえ、聞いて。あたし、世界がこのまま終わってしまうなんて絶対に嫌。だから、あのキューバの核ミサイルのこと、なんとかしよう。あたしたちに出来る精一杯のことを」――。1945年、広島に原爆が投下された年に、ロンドンの同じ病院で生を受けたジンジャーとローザ。それから17年後の1962年、以来ずっと共に過ごしてきた2人はいつも一緒に居る親友同士となっていた。それぞれに問題を抱えた家庭環境から逃れるかのように、彼女たちはお互いの存在に大きく依存してゆくのだった。だが、感受性豊かなジンジャーがキューバ危機によってもたらされた「世界はこのまま終わってしまうのかも…」という強迫観念に捉われると、そんな2人の関係も少しずつ亀裂が生じ始めてゆく……。17歳の2人の少女の、文字通り今にも壊れてしまいそうな危うげな日々をリリカルな映像でもって綴った青春物語。うーん、なんだかこれまで大量に創られてきた思春期少女の青春を雰囲気重視で描いた過去の色んな作品(ソフィア・コッポラとかガス・ヴァン・サントとかの)の影響をモロに受けちゃってますね~、これ。ただ、そんな過去作に比べるとちょっと(いや、かなり?笑)センスが不足しているせいで、こちらはまったく新味のない平凡な作品となってしまってます。唯一新しいと思えるのは「核戦争勃発の危機により、もしかしたら世界は明日にも終わってしまうのかも」という、当時の社会に漂っていた現実的な閉塞感を物語の背景にしているところなのだけど、残念ながら巧く機能しているとは到底言い難い。それに後半、親友の父親に惹かれていくローザという展開もあまりにも単調過ぎるうえに、いまいち心理描写が希薄なせいで一向に感情移入できず、終始睡魔が…。主役を演じた2人がなかなかのかわい子ちゃん(エル・ファニング、いつの間にかなかなかの美少女に育っててびっくり!)で、そんな彼女たちのちょっぴり百合っぽい淫靡な雰囲気がけっこう良かっただけに残念!
[DVD(字幕)] 4点(2024-06-05 15:10:17)(良:1票) ★《更新》★
2.  インターステラー 《ネタバレ》 
僕のこよなく愛する『インセプション』という傑作を撮ったクリストファー・ノーラン監督の最新作にして3時間に迫るSF大作ということで、久し振りにわざわざ映画館へ――。結論を言うと、無茶苦茶面白かったです。圧倒的なスケールで描かれる壮大な世界観、イマジネーションが奔流のように迸るスタイリッシュで洗練された美麗な映像、哲学的で難解なお話なのにそれを微塵も感じさせない考え抜かれたストーリーテリング……。特に、あの1時間経つと地球時間では7年もの年月が過ぎる水の惑星から帰ってきた主人公が、あの僅かな時間で既に27年も経っていたと知ったときの絶望感といったら凄まじかった。地球時間と宇宙時間のずれを見事に対比させることで、今まで誰も見たことのないような壮大なアクションシーンを創り上げたところなんか、さすが『インセプション』のクリストファー・ノーラン!ブラックホールを越え、予想だにしなかった世界へと迷い込んだ主人公が知る驚愕の真実には度肝を抜かれました。そして、最後に彼が娘との約束を果たすシーンは切なくてちょっぴり泣きそうになっちゃったし。そんな綺麗な円環を閉じながらも、物語は新たな旅立ちの余韻を残す希望に満ちたラストシーンを迎えます。ただただ圧倒されてしばらく席から立ち上がれませんでした。最近、この世界は結局唯物論であり、人間はDNAを運ぶための単なる容れ物にすぎないのではないか。愛だの神だの幸せだといった概念は、所詮は人間が作り出した生きるための勝手な理由付けなのだろうという虚無的な考えに捉われがちな僕なのですが、人間はそんな絶望を乗り越えうる素晴らしい観念(想像力)を持っているということをあらためて教わったような気がします。僕はこの作品から生きる希望のようなものをほんの少し得られました。個人的な好みで言えば『インセプション』の方に軍配が上がるけれど、こちらも映画史にその名を燦然と刻むだろう傑作と言っていい。
[DVD(字幕)] 9点(2024-03-30 12:47:10)
3.  縞模様のパジャマの少年 《ネタバレ》 
ホロコーストという未曾有の狂気が嵐のように拡がり始めた第二次大戦中のヨーロッパ大陸。立派なドイツ軍軍人である父と共に平穏な生活を送る8歳の少年ブルーノは今回、父の転勤によってドイツ郊外へと引っ越すことに。家族と共に新たな地で新生活を営もうとするブルーノ。だが、そこはユダヤ人という〝劣等民族〟を数多く収容する絶滅工場の隣地に建つ官舎だった――。何も知らない無垢な少年であるブルーノは、そこで常に〝縞模様のパジャマ〟を着て有刺鉄線の向こうで暮らす同い年の少年シュムールと出会うのだった。有刺鉄線越しにケーキやボールの遣り取りを交わし、次第に友情を育んでゆく彼ら。だが、過酷な現実がそんなブルーノとシュムールを呑み込んでいく……。20世紀において人類のもっとも愚かな過ちであるホロコーストという悲劇を、8歳の少年の純粋な目を通して描き出すヒューマンストーリー。政治的な背景を徹底的に排除し、何も知らない子供でもそんな悲劇的な史実を理解できるように何度も練られたであろう分かりやすい脚本の力もあり、最後まで引き込まれて観ることが出来ました。主人公ブルーノを演じた少年のナチュラルな演技も巧く、おかげでラストの衝撃の結末にも心を揺さぶられました。うん、素晴らしい良作であった……と、言いたいところなのだけど、観終わって冷静に考えてみると、この衝撃のラストを撮りたいがあまり、脚本の粗が目立つところが玉に瑕でしたね、これ。やっぱりあんなに簡単に収容所に入れちゃあかんでしょ。それに後半10分の展開が急ぎすぎで説得力に欠けます。もっと時間が長くなってもいいので、ブルーノが何度も収容所に進入して冒険を繰り返していたという展開にした方が、2人の友情ももっと深く描けただろうし、衝撃のラストももっと嫌な余韻を――それこそ誰もがもう二度とこんな悲劇を繰り返さないと心から思えるほどの最悪な余韻を残せたであろうに。惜しい。とはいえ、何も知らない子供にも分かりやすくホロコーストの残虐性を描いたドラマとして、なかなか良く出来ていたと思います。多くの子供たちに本作を観てもらい、『アンネの日記』や『ライフ・イズ・ビューティフル』といったさらなる素晴らしい作品を手にとるきっかけになってくれればと切に願います。
[DVD(字幕)] 6点(2024-03-23 15:51:37)
4.  ワン・デイ 23年のラブストーリー 《ネタバレ》 
「私、誰かとベッドインするのって苦手なの。必ず泣くか笑うかどっちかなんだ」「そうなんだ…。じゃあ、僕らは友達のままでいよう」「いいの?」「うん、その方が僕らにとっていいような気がするんだ…。そうだ、知ってる?今日、7月15日は聖人の祝日なんだよ」「へえ、詳しいのね。私たち、来年の今日とかいったい何しているのかな」――。1988年7月15日、大学の卒業式の夜になりゆきでベッドイン寸前までいったエマとデックス。恋愛よりも友情を優先した彼らは、以来“友達以上、恋人未満”という微妙な関係を保ったまま社会へと出てゆくのだった。エマはバイトしながら作家を目指し、デックスはテレビの司会者として成功し数々の女の子と浮名を流す。それでも、彼らは共に過ごした7月15日を忘れたことはなかった……。とある男女の23年にわたる恋と友情を、それぞれの年の7月15日のみをクローズアップして描き出す意欲的なラブストーリー。僕の行きつけのビデオ屋さんの恋愛コーナーで、ずっと「(500)日のサマー」という僕のお気に入りのウジウジ系ラブストーリーの隣に並べてあった本作。あっちが500日ならこっちは1日だ!って感じの意欲的な設定に惹かれて今回鑑賞してみました。なんですが、完全にアイデア倒れで終わった印象が拭えない作品でしたね、これ。率直に言ってこれ、7月15日である必要性あります?べつにその年のある日の出来事だけで普通に成立しますやん。それに時間の都合か端折られている年もあるし、1年のうちの1日だけって設定の縛りが全然上手く機能していませんって。「この日は何があろうとキスしよう」だとか「どんなに忙しくてもこの日は連絡を取り合い、どちらが幸せか比べあおう」くらいの縛りを作ってくれんと、この設定は活きてこないですよ!それにこの二人って結局、お互いの恋愛が駄目になったときの保険としてお互いを利用しあってません?彼ら双方の恋人目線で見たら、超ウザいっすよ、こいつら。「お前ら結局、失恋した時のために保険かけとんのかい!」って。そして、最後のいかにもお涙頂戴といった伏線も何もない唐突な展開……。うーん、なんと薄っぺらい(笑)。と、いう訳で、「(500)日のサマー」と比べると圧倒的にあちらの方に軍配が上がるウザウザ系ラブストーリーでありました。けっこう期待してレンタルしてきただけに残念!
[DVD(字幕)] 4点(2024-03-07 10:57:52)
5.  フィルス 《ネタバレ》 
イギリス、スコットランド。薄暗い地下道である日、留学中の日本人青年が何者かに暴行されて死亡するという凶悪な事件が発生する。捜査を担当することになったブルース刑事は、過去のある出来事をきっかけにアルコール・ドラッグ・セックスにボロボロに溺れるどうしようもない“フィルス(くず)”刑事だった。事件の捜査など二の次、ただひたすらどん底へと堕ちてゆくような生活を送るブルース。そんな中、離婚したはずの妻が彼の目の前に現れて……。果たして、ブルースは無事に殺人事件を解決し人生を立て直すことが出来るのか?青春ドラッグムービーの古典的名作『トレインスポッティング』の原作者であるアーヴィン・ウェルシュの破天荒な小説を、ジェームズ・マカヴォイ主演でシニカルかつエネルギッシュに映画化したクライム・コメディ。まぁ原作者が同じだから当然なんでしょうけど、いかにもトレスポ・テイストな作品でしたね、これ。八方塞がりのどうしようもない駄目駄目青春を送っていたあのジャンキーたちが、そのまま大人になって何故だか刑事になっちゃったような駄目中年どもの駄目駄目日常を同じようにスタイリッシュで猥雑に、そしてスピード感溢れる演出で描き出そうと頑張っている。でも、出来上がってみたものは残念ながら『トレインスポッティング』には到底及ばない残念な代物でありました。全編を通じて言えるのは、とにかく下品!「トレスポ」ではそんなガサツで品のないエピソードを描きながら、それでもそこに何故だか上質のユーモアを漂わせていたところが名作たる所以なのですが、今作はひたすら下品なだけの描写が延々続き途中から僕はもうウンザリしちゃいました。特に、あの誰のポコ〇ンが一番デカいか女たちに当ててもらおうという馬鹿丸出しゲームで、皆で並んで自分のナニのコピーを撮りにいく刑事どもには、「お前ら、とっとと仕事せいや!!」と殺された日本人青年に代わって怒り狂いそうになっちゃいました(笑)。ラスト、奇を衒ったようなあのへんてこなオチにも別段心を揺さぶられることもなく…。いかに『トレインスポッティング』が優れた作品であったかをあらためて再確認した次第であります、はい。
[DVD(字幕)] 4点(2024-03-07 10:32:30)
6.  SHAME -シェイム- 《ネタバレ》 
皆さん、都会で生きていると、たまに疑問に思うことはありませんか?街のいたるところに存在するコンビニに入れば、その雑誌コーナーの片隅には必ずと言っていいほど、いかがわしい雑誌――敢えて下世話な言い方をすればエロ本の棚が存在しています。ビデオ屋さんの18禁コーナーに入れば夥しい数の他人のセックスを収めたDVDが並び、ネットを開けば簡単に過激な動画を見ることが出来ます。電話を掛ければ、そういう女の人がすぐにやって来てくれ、繁華街に行けばさらに過激な性的サービスを供給してくれるお店を利用することが出来ます。なのに社会では、電車に乗っていると日常的に人身事故に出くわし、理不尽な暴力事件はあとを絶たず、幼児虐待やストーカー殺人などといった悲惨な事件も一向になくなる気配はありません。そして世界の何処かでは今も戦争が続き、貧困や飢餓が貧しい人々を苦しめている。それでも僕たちは自分の性欲を満足させるためにエロ本を買い風俗店に足を運ぶ。人のことなどどうでもいいと言わんばかりに……。いったい人間とは何処まで愚かな恥ずべき生き物なのだろうって。本作の主人公であるサラリーマン、ブランドンもそんな都会の片隅で、まるで日々恥の上塗りをするかのような刹那的な日常を生きている。行きずりの女と愛のないセックスに溺れ、商売女を自宅のマンションに呼んで快楽を貪り、あまつさえ仕事中にトイレにこもっては自慰行為に耽る…。なのに少しも満たされない孤独な心を抱えた彼の元にある日、「何処にも行き場所がないの!お願い、ここに住まわせて…」と、同じく鬱屈した日々を送っていた妹のシシーが転がり込んでくる。お互いの孤独を敏感に感じ取った2人でしたが、少しも正直になれない彼らはすぐに互いの心を傷付け合い、ますますその閉塞感を強めてしまうのでした。そして彼らは自らが生きる理由すら次第に見失ってゆく……。そんな愚かな人間たちの姿を冷徹に見つめながらも、物語は最後、微かな――今にも消え入りそうな本当に微かな希望の残像のようなものを残して静かに幕を閉じます。正直、見れば見るほど気が滅入るような作品なのですが、美麗な映像と実力ある役者陣の熱演、そして何よりも悲哀に満ちた美しい音楽とによって、胸を打つ哀切な人間ドラマへと見事に昇華されている。素晴らしいとしか言いようがない。人間は誰もが“恥(シェイム)”を抱えた愚かしい生き物、それでも人は幸せを求めて必死に生きてゆく。そんな当たり前のことをあらためて教えてくれる、美しい作品でありました。
[DVD(字幕)] 8点(2024-03-01 12:39:51)
7.  ディアトロフ・インシデント 《ネタバレ》 
1959年、旧ソ連。極寒のウラル山脈にロシア人登山家ディアトロフをリーダーとする登山隊が登頂に向かう。だが、2週間後、彼らは全員不可解な死体となって発見されるのだった。誰もいない極寒の地のはずなのに、彼らの死体には明らかに他殺と思われるような傷跡が残されていたのだ。のちに“ディアトロフ峠事件”として知られるようになるこのミステリアスな出来事は、いまだ世界の人々の関心を惹き付けて止まない。これは事実を基にした物語である――。事件から半世紀近く経った2008年、アメリカの若き学生たち5人がそんな不可解な事件の真相を探るため、ロシアへと向かう。そこに、どんな恐ろしい真実が待ち受けているとも知らずに……。様々な憶測を呼ぶミステリアスな事件の真相を、レニー・ハーリン監督が『クリフハンガー』以来となる極寒の雪山を舞台に、POVという現代的な手法を使って描き出すパニックホラー。「どうしてカメラを廻し続けるんだ?!」「真実を記録しておくためよ!」←この遣り取り、今までのPOV作品でどれだけ見せられてきたことでしょう。この言い訳がましい遣り取りを、再び見せられただけで僕の作品に対する評価は大きく減点です。そんな使い古された言葉が象徴するとおり、今まで散々作られてきたパニックPOVホラーの単なる焼き回し、例えるなら『ブレアウィッチ・プロジェクト』の雪山バージョンとしか言いようのない、ふつ~~~の作品でしたね、これ。とにかく物語が大きく動き出すことになる後半の雪崩シーンまでがひたすら退屈で退屈で、僕の意識が睡魔という名の雪崩によって深甚なる白銀の世界へと押し流されそうになるのをこらえるのがホント大変でした(ZzzZzz…)。そして、ようやく辿り着いた秘密施設内での特に怖くもないモンスターとの攻防も、前述した理由により、「あんたら、カメラ片手に逃げ廻るとかかなり余裕あんじゃん!」と突っ込む気持ちの方が強くていまいちのめり込めず…。唯一新しいかもと思えるあのオチも、第一発見者であるおばあちゃんの「死体は確実に11体あったわ…」という言葉を思い出して、「あぁ、きっとそういうことなんやろな~」と思ったら、見事なまでにそーゆーオチに辿り着いちゃって思わず失笑。レニー・ハーリンって、特に面白い映画を撮るわけでもないのに、ほんと細々としかし確実にハリウッドで生き残ってきてるよね~。僕にとっては、それが一番のミステリーです(笑)。
[DVD(字幕)] 4点(2024-03-01 12:17:29)
8.  月に囚われた男 《ネタバレ》 
「皆さん、これまで地球環境を汚し続けてきたエネルギー問題を我が社は画期的な手法で改善することに成功しました。人類を救うエネルギーは、なんと空に浮かぶ月の裏側にあったのです。太陽エネルギーを多量に含む石を月の裏側から採掘することで、地球のエネルギー消費の約7割をまかなうことが出来るようになったのです。月の力は私たちの未来を創造する」――ルナ産業。  近未来。月の裏側に建造された採掘施設でたった独り、黙々と仕事をこなしてきた作業員サム。3年という契約期間の満了を2週間後に控えた彼の唯一の心の慰めは、人工知能を搭載したロボット・ガーティとの何気ない会話と、地球に残してきた愛する家族からのビデオレターだった。「もうすぐ地球に帰って愛娘にキスできる……」と浮き足立つサム。そんな折、彼は採掘場で致命的な事故を起こしてしまう。瀕死の状態で基地へと連れ戻されたサムだったが、そこで自分と瓜二つのもう一人のサムと出会ってしまうのだった……。いったい彼は誰なのか?そしてこの施設に隠された恐るべき真実とは?舞台はこの採掘施設のみ、主演俳優もほぼこのサムの一人二役のみ(あ、人工知能の声役のK・スペイシーも忘れちゃいけません!)という、そんな明らかな低予算映画なのだけど、センス溢れる映像と音楽、緻密に考えられた脚本の力で最後まで小気味良く見せるSF映画の佳品へと仕上がっておりました。いやー、良いですね、この圧倒的な孤独感。こういう広大な宇宙の中でずっと独りぼっちという寂寥感溢れるSF作品、もろ自分の好みなんですけど!あの人工知能のガーティ、今までのSF映画の常識なら後半で主人公を追い詰めていくんだろうけど、最後は意外にも男気(ロボット気?笑)を見せるトコなんか気持ちよく騙されました。2人のサムが辿ることになるそれぞれの運命もなかなか切なかったしね。まあ、後で思い返してみればアイデア的にはそんなに新しいものはなかったし、設定にも突っ込みどころ(こんな凄い技術があるなら人を常駐したりせず、全部オートメーションにしたら良かったやん!とか、サムが最初に手を怪我するきっかけになったあの不気味なおねーちゃんは結局誰やったねん!とかッ笑)はあったけど、普通に面白かった。うん、ちょっぴりおまけして7点あげちゃおう!
[DVD(字幕)] 7点(2024-01-31 11:27:45)
9.  ダイアナ 《ネタバレ》 
ダイアナ元皇太子妃とは、果たして何者であったのか――。スキャンダルにまみれたその生き方によって英国王室の権威を失墜させた希代の悪女だったのか、それとも前近代的な価値観によって女性を縛り付ける古き制度を打破しようとした新しき女性の先駆者なのか、あるいは人々に悲劇を撒き散らした地雷という非人道的な兵器を世界から根絶すべく尽力した人道主義者か、はたまたただ幸せになろうと努力したのにそうなることを許されなかった悲劇のヒロインなのか?本作では、それら今まで形作られてきたであろう彼女のある種神格化されたイメージを踏襲しつつも、ただある男性を一途に想い続けた普通の一人の女性という、極めて親しみやすいダイアナ像を描き出している。事実がこの通りだったのかは分からないが、ただ愛する男性と幸せになりたかっただけなのに、自分が世界で一番有名な女性となってしまったがために苦悩の色を深めていく彼女を抑制された演出で最後まで淡々と描き出した所は素直に好印象を持った。パパラッチという、人の不幸を食い物にする愚かな人間どもによってそのプライベートを丸裸にされ、あまつさえ命まで奪われてしまったダイアナ妃の悲劇には深い憤りを覚えざるを得ない。伝記映画としてある一定の完成度に達していることは明らかだろう。ただ、最期まで自らのプライバシーを娯楽として見せ物にされた彼女が、もし生きていてこの映画を見たとしたら果たしてどのような感想を持ったことだろう?極めて好意的に描かれており、彼女が既に故人であるということをかんがみても、自らの赤裸々な恋愛、ましてやセックスシーンまで再現されたこの映画を見て、手放しに喜んでくれるだろうか。個人のプライバシーと芸術表現、覗き見趣味的ゴシップと娯楽と教養としての伝記映画……。この作品は極めて悩ましい問題を内包しているように自分は思う。少し穿った見方をすれば、本作に関わったスタッフたち自身もそんな難しい問題に絡めとられたのか、映画としてみれば極めて中途半端な印象が拭えない。プライバシーを尊重すれば映画として成り立たない、ドラマティックに演出すれば露悪趣味だと糾弾されかねない。非常に悩ましい問題であると思うのだが、監督には敢えてそんな境界線を踏み越える勇気を見せて欲しかった。恐らくその向こうにこそ、映画という芸術表現の真の価値が表れるのだから。
[DVD(字幕)] 6点(2024-01-31 11:12:43)
10.  サイレント・ナイト(2021) 《ネタバレ》 
クリスマスを祝うために郊外の一軒家に集まったとある家族とその友人たち。ワインやケーキを持ち寄り、それぞれの子供たちにプレゼントも贈り、食後ノリノリのクリスマスソングでダンスに興じ、小さな問題を抱えながらも楽しそうに過ごす彼ら。だが、ときおり彼らの表情には拭い難い悲しみや絶望感が垣間見えるのだった。何故なら、世界の終末がもうすぐそこまで迫ってきているから――。突如として発生した有毒ガスが全世界を覆いつくし、ほぼすべての生物が今まさに死滅しようとしているのだ。ガスを吸った者は、全身から血を垂れ流し、強烈な苦痛の中でもがき苦しみながら死んでゆく。解決法は何もない。政府が施した救済は、せめて楽に死ねる自殺用毒薬を全国民に配布するというものだけ。明日の朝になれば、この家も毒ガスに浸食されてしまうだろう。パーティーが終われば、子供たちを含むみんなで薬を呑む覚悟をしていた彼らだったが……。終末を迎えつつある世界で最後の晩餐に臨むとある家族の葛藤を終始淡々と見つめたホーム・ドラマ。そんな特異な設定と、キーラ・ナイトレイをはじめとする何気に豪華なキャストに惹かれ今回鑑賞してみました。前半1時間は、この主人公たちのクリスマスパーティのビデオ映像を延々と見せられて、正直死ぬほど退屈でした。例えるなら、あまりよく知らない赤の他人のホームビデオをひたすら見せられてる感じ。これで『8月の家族たち』のように、芸達者な役者陣による鬼気迫るような演技の応酬みたいなもんでもあればきっと面白くなったんでしょうが、それもなし。後半から終末ものとして悲愴感が漂い始めるけれど、それも既視感バリバリのよくあるネタばかりでいまいち盛り上がりに欠ける。まあやりたいことは分かるんだけど、どれもこれも中途半端で映画としては正直そんなに面白くはない。ラース・フォン・トリアー監督の鬱3部作の一作『メランコリア』をどれもこれも大幅にスケールダウンしたような印象の作品でございました。
[DVD(字幕)] 4点(2024-01-29 19:11:17)
11.  オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ 《ネタバレ》 
「あなたの新しい音楽も素敵だわ。なんだかあなたが過去にシューベルトに書いた弦楽五重奏を思い出す」「懐かしい。彼はあれを自作として発表したんだ。実際に書いたのはアダージョの楽章だけさ」――。都会の片隅で誰からも隠れて生きるヴァンパイアの夫婦、アダムとイヴ。もう何百年もの昔からその存在を人に知られることなく、気まぐれにシェイクスピアやシューベルトに作品を提供しては、人間の血を啜り生活してきた。そんな彼らもアイフォーンやユーチューブが常識になった現代では、昔のような自由を満喫することが出来なくなってしまった。病院から横流しされる輸血用の血液を啜り、ただひたすら夜陰に紛れて細々とした生活を営む彼ら。ところがそこに自由奔放なイヴの妹が転がり込んできたことから、そんな静かな生活に少しずつ罅が入ってゆく……。インディペンデント映画界の名匠、ジム・ジャームッシュ監督が満を持して贈る現代の幻想奇譚。もういかにもジム・ジャームッシュといった感じの、ストーリーよりも雰囲気優先、リアリティよりもセンス重視、物語の整合性よりもスタイリッシュさ命、もうとにかく都会の夜の匂いを濃厚に漂わせるジャジーで格好良い映画でしたね、これ。昔から、その我が道をゆくぶれない姿勢は好感が持てるし確かに彼にしか表現しえない独自の世界観を持った監督であることは大いに認めるところなのだけど、本作に関してはどーなんですかね?てか、ジョニー・デップ扮する瀕死の銃傷を負ったガンマンがただひたすら逃げまくる「デッドマン」やフォレスト・ウィテカー扮する武士道に心酔する殺し屋がひたすら殺し続ける「ゴーストドッグ」とやってることがほとんど一緒なような…(笑)。まあ、ファンにとってはこの大いなるマンネリ感が堪らないんですけどね。というわけで今回も、この“物凄く中身があるように見えながら、実際はそんな面倒臭いことはどーでもいい、ただこの雰囲気だけを楽しんでくれ”と言わんばかりの潔いまでの中身のなさは素直に好印象。ただちょっと長かったですかね。もう少し短く纏めてくれても良かったような気がしなくもない。あと、最近の僕のお気に入りの若手女優ミア・ワシコウスカが、ほんのチョイ役ですが、そのキュートでコケティッシュな魅力でもって作品に華を添えておりとても印象的でした。彼女の牙剥き出し笑顔に思わずキュンとしちゃったことをここに付け加えておきます。
[DVD(字幕)] 7点(2024-01-22 12:23:16)
12.  エコール 《ネタバレ》 
蝶のように、人間も変態をします。乳歯が抜けるのが最初の変化。皆さんの身体はもうすぐ第二の変化を迎え、これから毎月数日間にわたってある部分から出血をします。そう、繁殖の相手を見つけるときが来るのです。ここは、あなたたちがそんな大人になるまでを過ごす秘密の場所――。7歳から12歳までの幼き少女たちが集う、森の奥深くにある秘密の学校、エコール。ここでは日夜、大人に孵化する前のイノセントな少女たちが放つ狂おしいまでに蘭麝な芳香を閉じ込め、大切に大切に育てていくのだった。彼女たちの価値を真に知る人々のために……。何かのDVDに収録されていた本作の予告編を見て、そのあまりにもな〝そういう趣味〟の人を狙ったド直球の内容に、そーゆー趣味が多少はある僕としてはもう一目散にビデオ屋さんへと駆けつけ無我夢中で今回借りてきました。冒頭から、惜しげもなく披露される幼き少女たちの神々しいまでの未成熟な裸体に、「こ、このご時勢にこんなの公開して大丈夫なん?」と嬉しいやら不安になるやらで、僕のハートは最高潮にヒートアップ!!なんだけど、そんな興奮は冒頭部分でピークを迎えてしまい、残念ながらその後の展開はどんどんと尻すぼみになってしまいましたね、これ。とにかく何が駄目かって、全体的に画が暗くてばっちいのと、登場する少女たちが皆そろいも揃ってあまり可愛くないってのが、この手の映画にとっては致命傷ですね。監督の「とにかく少女を集めて、彼女たちに純白のレオタードを着せてバレエを踊らせれば、それでゲージュツっぽくなるんでしょ」と言わんばかりの雰囲気ごり押しのやっつけ仕事ぶりに、僕は「色んな意味でなめんなよ!!」と声を大にして言いたい。やっぱり少女の儚い美は綺麗に撮ってこそ、そこに〝もののあはれ〟が映えるのですから。という訳で、僕にとってはなんとも質の悪い映画でございました。それでも、主演少女たちのときおり垣間見せる、その確実に地で魅せているだろう、背徳感MAXの淫靡な魅力には所々でノックアウトさせられそうになっちゃいました。120分の映画の中でトータルすると5分ほどですが、そこだけは大変良かったです。
[DVD(字幕)] 5点(2024-01-08 08:51:03)
13.  レイルウェイ 運命の旅路 《ネタバレ》 
「長い年月、僕はずっと想像してきた。奴を見つけ出し、その舌骨を折り、眼球には箸を突き刺す。悲鳴を上げさせ、そして赦しを乞わせることを。その声を子守唄に眠った…。だが、時代は変わったんだ。我々はもう兵士じゃない。今の僕は単なる〝夫〟だ。妻は僕の全てだ。もう奴の事を掘り返さないでくれ」――。1980年、英国。一年前に結婚した妻と平凡ながらも幸せな日々を過ごしている初老の男性エリック。だが彼は、時々精神的に錯乱して妻を困らせてしまう。次第に私生活に支障を来たし始める夫に、妻は真実を知ろうと詰め寄るのだが彼は一向に理由を明かそうとしない。やがて、実はエリックは第二次大戦中のシンガポールで旧日本軍によって言語を絶する壮絶な体験を強いられたことが明らかとなる。そんな彼に追い討ちをかけるように、旧友からかつての敵であった〝彼〟が実は今も生きていて、のうのうと生活していることを知らされるのだった……。物語は、そんなトラウマに苦しむ現代のエリックと彼が日本軍の捕虜となって地獄のような鉄道建設に従事させられた日々を交互に行き交いながら、罪と赦しを巡るドラマを濃厚に炙り出してゆく。実話を基にして描かれたというそんな本作を複雑な思いを抱きながら、この度鑑賞いたしました。戦争という非日常に追い込まれたとき、人は誰もが各々の正義を振りかざし、時には取り返しのつかない過ちを犯してしまうという真実を、実力派の役者陣をそろえ、冷徹に見つめたその視線はなかなか鋭い。やはり戦争は悲劇しか生まないということを改めて実感させられました。戦争を知る世代がもはや殆ど居なくなろうとしている現代の日本において、この事実は忘れてはいけない。ただ、純粋に映画としてみれば、演出として拙い面がちらほら散見されるのが惜しい(特に、過去パートでの日本軍に隠れてラジオを造るエピソードや自死を選ぶ主人公の友人。もっと巧い見せ方があったはず)。とはいえ、この事実を多くの人に伝えなければという製作陣の思いには、一日本人として素直に好感持てました。最後に提示される本人たちの写真からは、やはり事実の重みがずっしりと心に響きますね。うん、久々に観て良かったと思える作品に出会えました。
[DVD(字幕)] 7点(2024-01-01 08:46:28)
14.  MIA ミア 《ネタバレ》 
「ミア、よく聞いて。あなたのお母さんを殺したのは、テロリストのカリド。そして、彼はあなたの実のお父さんでもあるの。こんなことを話したくはないけれど、あなたのお母さんは彼に昔レイプされたの。カリドは、いまや唯一の子供であるあなたの行方を必死になって捜しているわ」――。英国、オックスフォード大学に通う女子大生ミアは、両親と妹と暮らす平凡な女の子。ある夜、そんな彼女の家に武装したテロリストたちが突如として押し入ってくるのだった。瞬く間に両親を殺された彼女は、幼い妹と共に命からがら逃げ出すことに。だが、そんなミアのことを保護したMI6の捜査官から、彼女は驚愕の真実を知らされるのだった……。アフガニスタンのテロリストや英国諜報機関、石油採掘権を巡る大企業たちの国際的な陰謀に巻き込まれた一人の少女“ミア”の親と子の絆を巡る戦いをノンストップで描き出すスパイアクション。とにかく、観終わってすぐの率直な感想を述べさせてもらえば、演出のことごとくが恐ろしく稚拙な映画でしたね、これ。たとえば冒頭、そんな凶悪なテロリストたちがミアの家庭を襲うのですが、前振りも何もなくいきなりドアを蹴破ってくるものだから、観客は完全に置いてけぼり。普通の映画なら、“ミアが家に帰ってくるのを車の中から見守るテロリスト”みたいな画を差し挟むことでサスペンスを盛り上げたりするのだけど、本作のスタッフたちはそんな映画作りの基本をまるで分かってないみたいです。その後も、ミアの隠れ家にテロ集団が進入してくるシーンでも、ベランダに隠れた彼女を一切捜さずに「どうやら彼女は居ないらしい」って勝手に判断してリビングでくつろいじゃって、案の定、ミアに反撃されるって…。このテロリスト、普通にアホっしょ(笑)。他にも、自分を保護する傭兵に惹かれていくというミアの恋愛描写もかなり雑だし、何より物語の中盤、ミアが物凄く重大なスタンスの転換を果たすわけですが、これが超とって付けたように唐突なもので思わずずっこけそうになっちゃいました。もうびっくりするぐらい、物語にリアリティやら説得力やらが欠片もありません。主役を演じた女の子がエキゾチックな魅力に満ち溢れたなかなかの美少女だっただけに、かなり残念な作品でございました。
[DVD(字幕)] 3点(2023-12-27 10:34:43)
15.  セブン・サイコパス 《ネタバレ》 
「サイコパス(キ〇ガイ野郎)たち、大募集!!最近、なんだか錯乱気味?ひょっとして危ない理由で入院しちゃった?でも、大丈夫!世間に理解がないだけさ。実は俺、友達と一緒に只今『セブン・サイコパス』って映画の脚本を執筆中だ。だが、今ちょっぴりネタ切れ中で困ってる。面白いネタを提供してくれたら映画の中で使うかもよ。自分の正義感が世間に比べてちょっぴり歪んでる、なんだか最近無性に犬猫を虐めたくてしょうがない、そんなナイスな野郎どもはこの番号まで大至急電話してくれー!!」――。エージェントからの依頼で、サイコ・サスペンス映画の脚本を執筆中の酒浸りの脚本家、マーティ。タイトルだけは考え付いたものの肝心の中身の方は遅々として進まない。そんな彼を見かねて友人である売れない俳優のビリーは、彼に内緒で新聞広告を出すのだった。「サイコパスなんて募集してどうする!」と、当然のように怒り狂うマーティ。その日から、彼の元に危ないサイコパスたちが続々とやって来るのだった。果たしてマーティは無事に映画の脚本を書き上げることが出来るのか?という、なんだかよく分からない(笑)設定の奇抜なバイオレンス・コメディ。コリン・ファレルを初めとする何気に豪華な役者陣競演に惹かれて今回鑑賞してみたのだけど、うーん、僕にはよく分かんなかったです、これ。主人公マーティの元に集まったイカレ野郎たちの過激なバイオレンス描写が暴走しまくっちゃう前半から一転、後半での荒野に集まったそんなサイコパスたちの微妙に噛み合わない禅問答のような遣り取りが延々と繰り返される展開に、「あぁ、きっとこれは過去にジョン某さんが主演した、秀逸な設定のサイコ・サスペンスの某傑作と同じオチなんやろねんな~」と思っていたら、なんだか分かりにくいモヤモヤとしたラストを迎えちゃいました。きっとこれって、調子に乗って拡げすぎた大風呂敷をきちんと畳むことが出来なくなって、無理やりこのオチに持っていったんじゃないの?なんだかスッキリしないですよ、これじゃ。ギャング2人がいきなり射殺される冒頭シーンとか、なかなかキレのあるバイオレンス描写にけっこうセンスを感じただけに惜しい!この監督の次回作に期待ってことで。
[DVD(字幕)] 5点(2023-12-22 11:53:45)
16.  MEN 同じ顔の男たち 《ネタバレ》 
離婚調停中の夫が酷い口論の末、自らの目の前で自殺するという辛い過去を未だ引きずっている中年女性ハーパー。少しでもこの生活を変えたいと願う彼女はたった一人、のどかな田舎町へとやってくる。広い一軒家を2週間の予定で借り、少しでも気分転換を図ろうというのだ。管理人から鍵を受け取り荷物を運び入れてほっと一息ついたハーパーはさっそく、近くののどかな森の中へと散策に出かけることに。だが、彼女はそこで全裸でこちらを見つめてくる怪しい中年男性と出会う。思わず家の中へと逃げ帰るハーパー。すると次の日、同じ男が庭の中に普通に侵入していることに気づくのだった。そしてそれをきっかけに、彼女はどこか歪で不可思議な世界へと迷い込んでゆく……。監督は、独自の映像センスで注目を集めるアレックス・ガーランド。確かにこの監督にしか出せないであろう独特の世界観は凄いと思う。未だ根強く残る男性社会の傲慢さをここまでいやらし~~~く見つめたこの監督の趣味の悪さ(褒めてる)は特筆に値する。特に最後、男の無限出産シーンは恐ろしくグロテスクなのに、何処か知的で気品のようなものを感じさせる唯一無二のもの。ただ、肝心のお話の方は僕は疑問に感じざるを得ないものでした。この作品のテーマって、やはりフェミニズムだと思うんですけど、自分にはそれが酷く薄っぺらいものに感じてしまったんです。フェミニズムをテーマとするなら、この男性優位社会を形成する歴史的文化的な側面をもっと掘り下げて描かなければ駄目だと思うのに、本作にはその深みが一切感じられない。誤解を恐れずに言えば、これって「男ってどいつもこいつも傲慢で自分勝手で女を自らの所有物だと思ってるよね。そんな君のうんざりする気持ち、分かるよ」って言いながら、あわよくばそれで女を口説いて一発できたらラッキーと考えている男が創った映画のように感じてしまいました。物凄く偏見かもですけど(笑)。あと、古いトンネルの中で主人公が自分の名前をこだまさせた音がいつの間にか通奏低音のようになるところとかも、この監督が自らのセンスをひけらかしているような感じがして、自分はハナについて仕方ありません。これはもう純粋に好みの問題なのかもですけどね。
[DVD(字幕)] 5点(2023-12-22 08:22:59)
17.  ノースマン 導かれし復讐者 《ネタバレ》 
ここは何処までも凍てついた大地が続く北欧の小さな島国、ラプシ王国。大鴉王と呼ばれ、その残虐非道な性格から周囲の国々を恐れさせたオーヴァンディル王の元、貧しいながらも人々は平穏に暮らしていた。そんなある日、攻め入った国から多くの奴隷を戦利品として持ち帰った王は、腹違いの弟の裏切りに遭い、悲運の死を遂げてしまうのだった。国王の側についた者は皆、残虐な手法で殺され、王妃は無理やり新たな国王の妃とされてしまう。そしてまだ10歳になったばかりの幼い王子アムレートは殺されそうになりながらも何とか一人、小さな舟で逃げ出すのだった。「いつの日か父の仇を討つ!母上を救い出す!」と何度も何度も誓いながら――。数年後、ロシアでヴァイキングとなり、近隣の町で略奪を繰り返していたアムレートは、父の仇であるフィヨルニル王が戦に破れ、遠くアイスランドの地まで追われたことを知るのだった。今こそ復讐の時はきた。故国で語り継がれてきた預言者の幻に導かれるまま、奴隷に身をやつしたアムレートは密かにアイスランドへとやってくる。ただ、亡き父の復讐を果たすために……。中世北欧のヴァイキング文化をモチーフに、父王を殺された王子の苦難に満ちた復讐劇を生々しく描き出す英雄譚。とにかく血腥い!!北欧のヴァイキング映画って何本か観ましたが、どれもこれもリアルで残虐でとにかく濃い濃い濃い!!例えるなら、『300(スリーハンドレッド)』のシリアス版みたいな。ヴァイキングっって、どんなけ野蛮な人たちなんだ(笑)。でも自分はこーゆーこちらにまで血の匂いが漂ってきそうなこの荒んだ世界観、けっこう好きでした。中世の英雄譚らしくかなりシンプルなお話なのでその分、俳優陣の熱演が光ります。主役を演じたアレキサンダー・スカルスガルドのそのただ淡々と復讐を果たしてゆく寡黙な演技も素晴らしく、彼に惹かれてゆく奴隷役のアニヤ・テイラー=ジョイもすこぶる魅力的。そんな俳優たちを、シャープでスタイリッシュな映像で捉えたこの監督のセンスも抜群にいい。モノクロームを基調としたこの映像が終始カッコよく、重厚な音楽がよりこの世界観を引き立てています。芸術的価値は充分高い。前作『ライトハウス』の時から監督の映像美には注目してましたが、本作で見事に完成されたんじゃないかな。燃え盛る火山をバックにした最後の闘いと、その後のヴァルキリー登場には思わず拍手しそうになっている自分がいました。うん、満足!!
[DVD(字幕)] 8点(2023-12-20 08:00:04)
18.  マレフィセント 《ネタバレ》 
名作の誉れ高いディズニーの古典的アニメ「眠れる森の美女」を、最新のCG技術を駆使して実写映画化、主演には新旧人気女優を起用し、さらには現代的な解釈で元々のお話を大胆にアレンジして……という最近流行りのスタイルのファンタジー大作。川端康成のロリコン小説の傑作「眠れる美女」なら知ってるけど、原作となったアニメや童話はほとんど知らず、それでも昔からそのコケティッシュでキュートな魅力でもって僕のロリ心を良い感じで突いてくる美少女エル・ファニングちゃんが主演ということで今回鑑賞。まあ、アンジェリーナ・ジョリー主演がウリってことで彼女が全面的にフューチャーされているのは分かるのだけど、それでも僕のお目当てのエル・ファニングちゃんが登場するのが映画が始まって40分も過ぎてからって、ちょっと酷くないっすか?あの、子役時代に数々の映画で魅せてきたその可愛い笑顔を見たくて見たくて堪らなかった僕としては超不満爆発なんすけど!!でも、真面目な話、これってそーゆー脚本上の爪の甘さが目立つ作品だと僕には思えました。本作の主人公って、いったい誰なんでしょう?マレフィセントならそのあまりにも特異な立場のせいで全く感情移入出来ないし、オーロラ姫ならあまりにもその扱い方が雑です。だから、これって観客が感情移入できるキャラクターがいない、物語の粗筋だけが延々と垂れ流されているだけのかなり退屈な作品に感じてしまいました。それに、唐突に出てくる王子の存在もかなり薄っぺらいし、「ファンタジーは最後にドラゴン出しときゃ万事OK」みたいなクライマックスのテキトーな展開も何だかな~。うーん、原作もこんな感じなんですかね?僕には、本作の魅力はあんまり分からなかったです。
[DVD(字幕)] 4点(2023-12-08 10:34:03)
19.  それでも夜は明ける 《ネタバレ》 
私の名前はソロモン・ノーサップ、自由黒人だ。信じてくれ、拘束される理由など何もない!この鎖を解いてくれたら人違いだと証明できる。お願いだ、私は決して奴隷なんかではないんだ――。1841年、ニューヨーク。愛する妻と二人の子供たちと共に充実した毎日をおくる自由黒人であるソロモンは、ある日、奴隷商人の男たちに騙され拉致監禁される。そのまま、彼は奴隷として有無を言わさずアメリカ南部の農場へと売り飛ばされるのだった。まだ、黒人が“家畜”と同じ扱いを受けていた時代。様々な農場を転々としていくうちに、ソロモンは白人からゴミのような扱いを受けている黒人たちの悲惨な現実を目の当たりにしてゆくのだった……。実話を基に、まだ黒人が白人たちの奴隷として悲惨な現実を生きていた時代に、数奇な運命を生きたとある男の12年に及ぶ奴隷生活を冷徹に見つめたヒューマン・ドラマ。こういう作品を観ると、いかに白人が有色人種を下に見ているかがよく分かります。もう全編にわたって、思わず目を背けたくなるような理不尽で残酷な現実のオンパレード。監督は黒人ということで、その積年の怨嗟の表明には目を見張るものがある。主人公が首を括られた状態でほとんど一日放置されたり、ただ自らの身体を洗いたくて石鹸を借りに行った女性が酷い鞭打ちの刑に処されたり…。「どうして私がニガーをこんなにも痛めつけるかだって?違う、私は自分の所有物で遊んでいるだけだ。こうしている時間が一番楽しい。黒人をいたぶる、これ以上気の晴れる遊びはない」と平然と言ってのける白人の農場主には、人間の極限の愚かさを見せ付けられて寒気すら覚えてしまいます。昨今、アメリカで多発する警察官による人種差別的暴行事件に端を発する暴動を目にしていると、本作がますますそんな人種対立を煽る結果になるのではないかと危惧するばかり。でも、この残酷な現実から目を逸らさずあくまで冷静に黒人たちの歴史と怨念を直視した、この監督の情熱はやはり賞賛に値する。広島や長崎に半ば実験目的で原爆を投下された同じく有色人種である我々日本人としても他人事とは思えません。これから先も人種差別という病理は絶対になくならない酷い世の中なのかもしれないけれど、それでも希望を見失わずに生きたソロモンに僕は生きる勇気を与えてもらえたような気がします。良い映画でした。
[DVD(字幕)] 8点(2023-12-08 10:23:28)
20.  トランセンデンス(2014) 《ネタバレ》 
優秀な科学者として、研究施設で最先端の人工知能(AI)の開発に携わるウィル・キャスター博士。ある日、彼はそんな科学技術の極端なまでの発展に警鐘を鳴らすテロ組織に銃撃されてしまう。幸い軽症で済んだものの、銃弾には放射性物質ポロニウムが染みこませてあったのだった。放射能中毒に陥り、余命僅かとなってしまったキャスター博士は、愛する妻と別れたくないあまり、研究中のAIへと自分の意識を全てアップロードしてしまう。肉体的な死を迎えた彼だったが、その意識はネット上で永遠の命を得ることに成功するのだった。喜ぶ妻や戸惑いを隠せない同僚たち。だが、それまでの人間という狭い枠組みから“トランセンデンス(超越)”した彼は、次第にその力を暴走させてゆく。そう、まるで自らが神だとでもいうように……。ジョニー・デップをはじめとする豪華な役者陣競演で贈る、近未来SFエンタメ作品。つーか、なんなんですか、このびっくりするくらい雑な脚本は。だいたいポロニウムを染みこませた銃弾ってなんやねん!あれって傘の先端とかに仕込んで静かに暗殺するためのもんっしょ。殺傷力の高い拳銃の銃弾に仕込んだって意味ないやん。他にも突っ込みどころや意味不明な箇所がスーパーの安売りセールのように盛り沢山。それにお話のテンポも恐ろしく悪く、観ていて眠気を堪えるのが大変だったのに、途中でいきなり“それから2年後…”とか一気に進んじゃうしで、観客である僕はもう頭ポカーン状態でした。挙句、最後は「やっぱり愛が一番大事」なんて腹立つぐらい薄っぺらいメッセージを残して終わり…。いやー、久し振りに「金返せーー!!」と大声で叫びたいくらいのつまんない映画を観てしまいました。久々にまともな顔したジョニー・デップ兄やんが見れたんで+1点しときます。
[DVD(字幕)] 4点(2023-11-27 10:40:31)
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