1. ありふれた愛のストーリー
《ネタバレ》 ちょっと変わったお話です。 …本当をいうと、かなり違和感を感じる話です。 39歳のバツイチ子持ち女を中心に、男女関係のあれこれを描いています。 私はかなり考えました。…いったい何が言いたいのかと。 「Aの子供なら中絶するけれど、Bの子供ならこちらから迫ってでも産む」というわけです。AやBには特定の男性の名前が入るのです。 このへん、とうてい誰にでも共感できるなどというレベルの話ではありません。 そして、私はマリーと同じ女ですけれど、妊娠したことがないのでその気持ちが〝アリ〟なのかどうかすら判定できない。 まあこういうことです。マリーは若い頃に離婚したジョルジュとの間に16歳の息子がいて同居しているが、あと2年もすれば彼は巣立って出て行く。そうなると淋しくなるに違いないので不安になり、大人のつきあいのセルジュに腹を決めさせようと妊娠してみた。しかし、妊娠してみたら、実は自分はセルジュの子供を産みたくないということがわかった。で、中絶しセルジュとも別れた。そこにたまたま前夫のジョルジュが現れ、同棲中の若い彼女がいることを知りながら積極的に迫り、避妊をしないでヤリまくって見事妊娠する。しかし結局若い彼女に負け、ジョルジュに捨てられるが、子供をゲットしたマリーには男は不要で、再びシングルマザー生活へ…。 なんかこう、ドロドロした話ですがたいへんドライに描かれているのでかえってコワい感じがしますね。 見終えた結論は、何度止めても自殺してしまった友人も含めて、「生死は本人に決定権があり、誰にも奪えない」ちゅーことなんでしょうかね。その場合、胎児については母体に決定権がある、ということですね。これはもう、キリスト教とは全然関係ないところの話です。まあアメリカの一部の地域では上映できないでしょう。 …不思議な作品です。殺伐とした洗練、または〝ブキミ〟というのが合っています。私はマリーみたいな女性とは友達になりたくないです。ブキミだから。 [地上波(字幕)] 7点(2010-08-27 21:39:38) |
2. 愛されるために、ここにいる
《ネタバレ》 どういうわけだかこのところフランスものばかり見ていまして、もう頭の中がほにゃらら状態になったため(全く理解できないフランス語を何時間も耳にしているため)、放送大学のフランス語入門で勉強しようかと思っているこのごろです。言葉が少しでも聞き取れないと、非常にツラい。 で、「DISCO」を見てフランク・デュボスクに入れあげているところに、また仏版オヤジ挽回映画タンゴバージョンが…。 このクラ~い映画を無視できないと思うのは、「DISCO」がコメディであることもあって「日常に生じるさまざまな不都合」をすべてカットしてストレスを無くしていたのに対し、コレはほとんど「それがメイン」という感じに作ってあることです。そうだストレスがメインなのだ。 家族に疎まれているおじさんの灰色の生活に、一筋の希望の光が差し込むそれは「若い女」…。 …私なんかはここんとこでひっかかっちゃう。なんで「若い女」でないといけないのかな。自分の世代の女性では、いけないのかな。 フランク・デュボスクとエマニュエル・ベアールなら、違和感はありません。しかし、ジャン・クロードは50歳。相手の年齢は不明だが30代前半か? 主役の俳優さんがあまりにも老けすぎているため、「若い女」を追い求める姿にイヤ~なものを感じてしまうのです。 女なら、事務所にちゃんといるじゃないですか。しかも同世代の人が。あの人ではなんでいけないのか。ちゃんと答えなさいジャン・クロード!と言いたくなる。 ストーリーや演出は、似た者親子や優勝カップのエピソードなどなかなか巧みです。なぜヒロインがあのおじさんにホレたのかがいまいちわかりませんが。 しかしなあ、おじさんを元気にさせるのはいつの時代も若い女(だけ)なのか…そういうのって当たり前すぎてすっごい虚しいわ。個人的には、あんまり認めたくない。 おじさんとおばさんの映画ではヴィジュアル的にダメなんでしょうかね。ポツポツとはそんなのもありますけど、そういうのをもっと見たい。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-03-31 20:10:42) |
3. アサルト13 要塞警察
《ネタバレ》 どうしてリメイクなんて考えたんだろうと不審に思うほどに、まったくの別モノですね。 リメイクちゅーのは、そもそも元ネタに対する愛から生まれるもののはずなのに、本家のほうの作品のことを、本気で愛しているとはとーても信じられません。 私は「要塞警察」を最後のほうしか見ていませんけども、それでもこれがバリバリのカーペンター印だってことはすぐにわかる内容だったし、カレが表現したかったものもよくわかる。 リメイクの作り手は、カーペンターとは比べ物にならない凡庸さしか持ち合わせず、TVサスペンスと変わらない内容に仕上がっています。なまじリメイクなどといって話題を呼ぼうとするからカーペンターのような奇才と比較されざるを得ず自滅するのです。リメイクという看板をはずすべきですね。 だいたい、主役刑事の挫折の過去などどーでもいいんです(それもいかにもとってつけたようなショボいものですし。)なおかつ、襲い来る敵との因縁とか正体なんて、もっとどーでもいいんです。それが要塞警察だったのに、そこんとこをそんなにはっきり説明しちゃってどうする。「8人よりも33人の部下と家族のためだ」とか言わせちゃってさあ…ダメダメだ。閉じ込められた恐怖も、理由もなく襲われる不条理感も、倒しても倒しても湧いてくる敵のブキミさも、生き物のように移動する車も、ぜんぶだいなしっ。 それよりも、あのクールな女刑事はどこへ行った。女といえば、リメイク版では、寒さカンケーなく露出度の高い格好をさせられて完全添え物扱いでした。精神科医に超美人は必要ないでしょう、いいかげんサービスとか願望をやめてリアリティを考えてもらいたいアメリカ人はさあ。なんのために秘書がエロくて網タイツにならないといけないのかね、外は大雪だというのに。 さて、女の扱いをテキトーにしていると、それは国家であっても企業であっても戦国大名であっても勝ち組にはなれないのが歴史の法則です。もちろん映画もそうです。 皆様これからは「女の扱い」がどーなっているのかをチェックしながら映画やドラマを見ていくことで、ダメダメな作り手を見分けましょう。有り得ないよなあ真冬に下着姿でウロウロと。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2010-03-09 20:08:44)(笑:1票) (良:1票) |
4. あるいは裏切りという名の犬
《ネタバレ》 カントクさんは元刑事だということですが、それがほんとなら、それゆえ肩に力が入ってしまったのだなあ…という感想です。 誰よりも良く知っている(と思っている)ことを説明しようとすると、力みますよね。 より良く知る者こそがより面白い映画を撮るのかというとやっぱり違って、専門知識がたくさんある誰かが撮るより、キューブリックやリドリー・スコットやマーティン・スコセッシのような映画の天才を持つ者が撮ったもののほうが、間違いなく面白いのです。 残念ながらこのカントクさんはあんまり才能があるとは私は思えなかった。 同僚の殉死シーンとかあんまりにもお粗末だったし、「決して○○するな」というとそっちの方向に必ず転ぶし、女性は完全に戦利品扱いである。面白くはありません。 また、出世欲、権勢欲に取り付かれたクランの行き着く先が、警察主催の晩餐会って、あんまりにも通俗的でつまらないですね。そんなもののために、クランは散々手を汚して危ない橋も渡ってきたのかと思うと、それじゃフツーすぎますから、クランけっこうつまらないヤツ…。 何かもっと「あっ」と言わせるようなクランにしかわからない目的があったらばなあ。でも、この話自体が通俗的な常識を超えられない、超えていないのですからそれはムリというものでしょう。それはつまり作り手が常識的な人物ということで、権勢欲に取り付かれた人間は晩餐会で喜ぶだろうという…ああつまんないですね。フランスの警察ものでは、「ブルー・レクイエム」のほうが何倍も質が良かったです。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2009-01-07 14:30:21) |
5. ある子供
《ネタバレ》 人は成長過程でどうやって「道徳心」を持つに至るのか? これは「道徳心の育たなかった人間は、社会で生きていけるのか」という実験的な映画に思える。 ブリュノは金髪で青い目、標準の知能と健康な体を持たされているが、これは偶然じゃないと思う。 「他人と同程度かちょっと上」くらいの条件を与えられていても、「道徳心」が欠如していた場合は人間社会で生きるに困難である、ということのためのあえての条件なのだ。 どういう理由からか、ブリュノには道徳心が育たなかった。 で、ブリュノは「他人の持つ道徳心」があまりよく理解できないので、他人が「怒ったり」「泣いたり」するタイミングが予測できない。だから、彼はしばしば「急に怒る他人」とか「急に泣く他人」とか「急に無視する他人」とかに驚かされてきた。 そして、他人の反応を「学習」して、それに対処しながら生きてきた。「嘘がバレた時は他人は怒る」「自分の物を盗まれた時は他人は怒る」「借りた金を返さなかった時は他人は怒る」とかいう具合にだ。だから、「嘘をついた相手には会わないようにするか、またはさらに嘘をつく」「盗んだ相手からはひたすら逃げる」「金を借りた相手には会わないようにする」とかいう、彼なりの対処をしてきたのだ。 けれど、「子供を取り上げて売ったら怒る」かどうかは、彼のこれまでの経験には無かった。学んでいなかったから、知らなかっただけ。 ブリュノが自首した理由は、「スクーターのガソリンがなくなって」「ごはんが食べられず」「寝るところがなく」「シャバに居れば日曜日ごとに借金取りにオカマを掘られる」のと、ムショ暮らしを天秤にかけたからである。道徳心がないかわりにケチな損得勘定ばかりが発達している彼は、「ムショ」のほうがマシだと判断した。共犯の少年のためならもっと早く自首している。 さて作り手はブリュレをムショに放り込んだところで映画を終わらせる。ブリュレも彼女も泣いている。なぜ?お互いの未熟さが情けなくて?今後はどうなるの? 私の予想はこうだ。ブリュレはひとつ学んだ。「母親から子供を取り上げて売ったら怒る」ということを。次の時は、子供がさらわれたことにしたらどうかな。いや、雑踏に連れて行ったら迷子になったっていうのはどうだろう。彼女を怒らせないために、次はうまくやらなくちゃ。 道徳心が急に育つものなら誰も苦労しないのだ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-06-20 15:59:59)(良:1票) |
6. 愛してる、愛してない...(2002)
《ネタバレ》 面白かった。「危険な情事」のフランス版?池田理代子の漫画でこういう短編があったな。 [ビデオ(字幕)] 8点(2005-11-23 18:22:13) |
7. 愛人/ラマン
《ネタバレ》 うわっいやらしい。と思ったです。アノーはエッチなやつに違いない。フランス人。 レオンがしびれる。最後ふつーに中国人の女と結婚しちまうところが最高ですね。「駆け落ちじゃあ」とかなったら台無しだ。自分のこういう話をネタにするところが、デュラスは相当嫌な女ですね。しかしせつない話ではある。及川光博がPVで白いスーツにメガネで「香港の実業家」を気取った姿に、若干「ラマン」のレオン感がありました。 [ビデオ(字幕)] 6点(2005-11-16 23:37:48) |
8. アザーズ
《ネタバレ》 このころはまだニコールを見飽きていなかった時代。 パクリといわれたが立派に成立していると思う。個人的には、パクリじゃなくて、たまたまだったんじゃないかと思っている。丁寧で美しい映像。この作品のニコールはいけている。植民地の支配層婦人の心意気がよく描かれている。主婦といえども有事の際には、迷うことなく銃を手に。ラストの種明かしもスタイリッシュ。楽しめた。 [ビデオ(字幕)] 8点(2005-11-02 21:22:59) |