21. シベールの日曜日
《ネタバレ》 心の病に苦しみ壊れそうなピエールの言動並びに彼を惑わせ遂には壊してしまったシベールの言動に、「純真」の思慮も思いやりも足りない残酷な一面を見せつけられました。シベールがスラスラ吐く台詞は12歳のものではないのですが、12歳相応に言葉の重みは何もありません。全編を通して上滑りした言葉を聞かされて退屈と怒りで苦痛のひとときでありました。マドレーヌの存在感が中途半端であったのも退屈さの一因でした。 [映画館(字幕)] 2点(2012-12-30 00:04:51) |
22. ジャッカル
車の塗装、試射のカボチャ、電話の盗聴シーンに「ジャッカルの日」が思い浮かびました。本サイトで名作のリメイクと知り唖然茫然としているところです。これでリメイクを名乗るなどド厚かましいにも程があります。しかし(知らずに)、別物として観た感想はそこそこ楽しめました。ギア、ウイルスと苦手な二人も嫌悪感が少なく、シドニー・ポワチエ、ダイアン・ヴェノーラがいい味を出していました。大統領夫人襲撃からはグダグダな展開で一流の暗殺者のカケラもない姿はお粗末ですが、B級アクションものとして良しとします。 [DVD(字幕)] 5点(2012-05-27 18:42:05) |
23. 灼熱の魂
内戦での憎悪の連鎖が生み出す残虐なシーンが満載。更に、テロ行為の報いであっても、これ以上の出来事はこの世には無いと思うあまりにも残酷な真相に言葉がありません。宗派の対立が端を発しているならば神とは一体何なのかとの思いが募りました。ストーリー展開の巧みさが見事な作品でした。 [映画館(字幕)] 8点(2012-03-25 10:48:29)(良:1票) |
24. ジョニー・イングリッシュ
いやぁ、もう、声を上げて笑い通しでありました。勘違い→気づく→取り繕う 部下の存在も相まってこのサイクルがサイコー。それにしっかりとしたストーリーがあり、アクションシーンもなかなかなもの。そして嫌味で大層な悪巧みを企むジョン・マルコビッチ演ずる悪役が何ともいえない味わいがありサイコー。これぞコメディと言える快作です。 [DVD(字幕)] 8点(2012-03-11 03:34:05) |
25. しあわせの雨傘
《ネタバレ》 「飾り壺」と自虐する満ち足りた暮らしをしている社長夫人。何の困難もなく社長になり議員になりメデタシメデタシ。からりとしたコメディタッチのストーリーに目くじらたてることはないのですが、お若い時からやりたい放題なさっているのを見ると白けてしまいます。「終電車」で共演した二人、30年の時を経て、ブクブクに肥えたドパルデューは痛々しく正視に耐えなかったのに対して、まろやかで艶やかなドヌーヴは一見の価値がありました。 [DVD(字幕)] 5点(2011-12-04 17:11:30) |
26. 仕立て屋の恋
「愛されずとも愛する」「愛されても愛せない」想いが描かれた作品が数ある中で、本作は私にとって最上です。愛した人が他の人を心底愛しぬいている。その姿を見せつけられ悲しみや苦しみにのたうつ時、その思いから逃れたいため憎しみが沸き起こってきそうな時、仕立て屋イールの生き様が思い浮かびます。彼はどんな状況であろうと愛する事を喜びと感じ、どんな結果になろうと「止む無し、悔い無し」と割り切れたのです。本作から最近考えさせられる事が、残りの日々を負の感情に支配されたまま過ごして生涯を閉じるのか否かという事です。やはり後者でありたい。ならば、どう生きるかであって、どう思って欲しいかではないのでしょう。 【前回の変更から4年が過ぎて思うこと】人を好きになる、なれないは理屈ではない事を達観できるには時間がかかります。イールを見て直ぐにイールにはなれないものです。 [DVD(字幕)] 10点(2011-08-13 11:47:51) |
27. 死刑台のエレベーター(1958)
気だるい雰囲気に覆われているものの話の中身自体は取るに足りないものでした。ただ、ラストで二人の悪事がそれと共に浮かび上がってくるシーンに、空気を切り裂くような出来事をも淡々と見せるルイ・マル監督テイストを味わえました。 [映画館(字幕)] 5点(2010-12-18 11:01:42) |
28. ジャンヌ・ダルク(1999)
名前しか知らず、歴史的背景を抜きにした鑑賞です。私怨を神の名の下にという大儀にすり替えている、無学で浅はかで幼いジャンヌ。姉を殺された彼女を諭す神父さんの言葉への応えがこれかと思うと虫唾が走りました。やたらと惨い戦闘シーンは辟易するばかり。どうして皆は彼女に付き従ったのか不思議でなりません。人殺しを行うのに神の名を引っ張り出す事は間違っているのです。 [DVD(字幕)] 3点(2009-06-18 19:40:36)(良:1票) |
29. 白い馬(1952)
《ネタバレ》 躍動感、臨場感、ほのぼのさが溢れる映像です。心穏やかな少年の内に秘めた芯の強さ、白馬の誇り高さには驚かされます。絆の強さ故の戻る事を全く考えぬラストシーンに呆然とさせられました。白馬と少年が穏やかに過ごせる場所がこの世にはないのでしょうか。世間の常識、倫理観とやらいうものから外れた友情や愛情がこの世から除外されなければならないのでしょうか。そうであったとしても絆を互いに切る事をしない「意志」に感じ入った作品です。 [映画館(字幕)] 8点(2008-08-31 13:07:44)(良:1票) |
30. シラノ・ド・ベルジュラック(1990)
ジェラール・ドパルデュー一世一代の名演技に酔わされた忘れられない作品です。 私は元来「男は黙って」派であり、男性の饒舌さは小狡さを感じ信頼できません。しかしシラノが放つ言葉は、素直に受け入れられるものであり、言葉の持つ力を感じさせられました。男気溢れる生き様を貫いた者で、無骨な中に秘めた優しさを持つ者で、コンプレックスに苦しむ弱き部分も持つ者の一語一語なればこそでしょう。この世でもあの世でも正直な胸の内を伝えられない事を思えば、遅過ぎたとはいえ本懐を遂げられたシラノは幸せ者です。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・鑑賞から4年が過ぎた今、思う事があります。「本懐を遂げた時が永遠の別れであるのが最高である」という事です。 [DVD(字幕)] 9点(2008-03-12 22:24:48) |
31. 白いカラス
[消すことの出来ない心の傷を抱えて生きる」二人の様々な傷の部分より生き様が印象に残りました。傷がイタイイタイと喚くが如く疲弊した女と、自分の傷には敏感でも親兄弟の傷には目をそむけて生きてきた男が、偶然出会い結ばれる過程の、大人の分別のかけらもない様子はこの二人ならではでしょうか。当然そうなるであろう、もたれ合い、傷をなめ合う関係が展開されます。湿地帯の隠花植物のような二人を大御所が「これも一つの恋の形」と演じているので観るに耐える作品になっているように感じます。ところで、本作の邦題のセンス、良いのでしょうか、悪いのでしょうか、答えが出ないです。 [DVD(字幕)] 6点(2005-12-19 21:29:10) |
32. 仁義
当時はアラン・ドロンを観るだけで幸せでした。今観てみるとドロンよりイブ・モンタンのほうに魅力を感じました。宝石店襲撃シーンに見られるように、寡黙な男達は渋いと言えば渋いのですが、彼らの心の内が感じられなく、淡々とした映像を淡々と観た様で物足りませんでした。 5点(2004-09-23 20:08:36) |
33. 終電車
《ネタバレ》 ナチス占領下という時代に芝居を愛し芝居を続けようとする者たちの心意気を感じた。マリオンとルカとベルナール、三人の心模様が絶妙に描かれていた。悲しい結末を予感していたので、あのラストは嬉しい驚きだった。カーテンコールに応える三人を見て、これからこの人たちはどう過ごしていくのだろう、続編を作って欲しいと思った。監督が亡くなられているのが残念だ。 7点(2004-02-05 16:22:45) |