1. 犯人は21番に住む
犯人デュランは誰なのか? ミモザ館の住人全員胡散臭く最後まで分からなくて分かった瞬間のアッと驚く見事な演出に唸らされる。コメディとサスペンスの塩梅が絶妙な傑作で、監督初期作品にしてこの出来栄えは巨匠ならではで感心しきり。 [DVD(字幕)] 9点(2019-06-17 01:30:12) |
2. パピヨン(1973)
《ネタバレ》 シスターをはじめとする溢れる裏切りに苦渋を舐めるばかりのパピヨンが、心身ともに粉々に踏みにじられても、ドガの名を口にしない姿、崩れかけたけれど踏みとどまり紙を食べた姿にひれ伏すばかりでした。悪魔島で豚に名をつけ、トマトを植え、ベランダを作ろうかと思案するドガを見るにつけ、老いた状況で楽しい事があるかどうか定かではない脱獄を命をかけてする必要があるのかと思ってしまいました。しかし、犯していない罪を償う理不尽さは受け入れられないという一念を貫かない後悔より貫いてする後悔を選んだのでしょう。見送るドガもその事を承知しているやに見えました。切なさに身を捩るラストシーン、不屈の生き様に圧倒されるラストシーンでした。 [DVD(字幕)] 9点(2011-10-29 17:57:00)(良:3票) |
3. パディントン2
《ネタバレ》 パディントン理髪店でのやらかし模様に大爆笑。以外で1を超えるところはありませんでした。 特筆すべきはヒュー・グラント。ドッグフードのCMが痛々しい落ち目の役者で小悪党。監督の毒気を感じる役柄をしなやかに演ずる役者魂に拍手。監獄ミュージカルシーンは出演のご褒美に思えました。1に引き続いての快作です。 3が今夏撮影開始だとか。悪役は誰なのでしょうか?ユアン・マクレガー、ベネディクト・カンバーバッチ・・・・コリン・ファースだったら劇場に駆けつけるのですが・・・ [インターネット(字幕)] 8点(2023-05-23 03:35:18) |
4. 母の身終い
《ネタバレ》 邦題が示す通り「究極の終活」が描かれています。 折り目正しい毎日を送る母と刑務所帰りのアラフィフ息子との確執の末の「愛してるよ」「僕もだよママ」はいけません。涙腺決壊。 身辺整理がなされていない散らかった家で独り死んでいる自分の姿を思い浮かべると彼女の身終いは見事だと感じるところです。 淡々として静かな展開ながら切れの良い場面の切り替わりと、人物の心情が滲み出る演出に魅入りました。 「愛されるために、ここにいる」のステファヌ・ブリゼ監督・脚本というのに「なるほど!」納得の秀作です。 [DVD(字幕)] 8点(2021-09-24 10:07:05) |
5. 巴里の空の下セーヌは流れる
夜明けから翌朝までの一日の物語。多くの人の喜怒哀楽が絡まり合う脚本が実にお見事。最も印象深いシーンは少女に対する彫刻家の優しさで、人の心の奥底は分からない事を示してくれます。聞き覚えがあると思ったらフランソワ・ペリエだったナレーションが過剰なのが玉に瑕。 [DVD(字幕)] 8点(2019-05-25 01:46:56) |
6. ハーフ・ア・チャンス
《ネタバレ》 微かに流れるボルサリーノのテーマをバックに「まだやれるかな」「当然だ」もう、鳥肌。 ストーリーは二の次三の次。悪役が言う「あの歳でよくやるよ」に激しく同意。65歳と63歳、衰えぬオーラに感動。 アラン・ドロン映画引退作に相応しい作品です。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-05-21 23:01:11) |
7. パルムの僧院
《ネタバレ》 長尺でしたが長さを感じる事無く完走。色男ファブリスのヘタレ身勝手ぶりもジェラール・フィリップが演ずると「仕方ないか・・」と思うのが自分でも不思議。そんな彼を一途に愛した二人の女性に惹き込まれ、とりわけ、公爵夫人を演じたマリア・カザレスの芯の通った存在感が素晴らしい。ヘタレを助ける為にゲスに身を捧げるシーンが圧巻。添え物にしか見えなかった民衆の反乱は無くても良かった一大恋愛絵巻を堪能しました。 [インターネット(字幕)] 7点(2022-12-05 03:28:56) |
8. パリ警視J
齢50歳ジャン・ポール・ベルモント「歳なんだからこんなに走らすなよ」の台詞とは裏腹なご意見無用アクションシーンの数々。無理筋ストーリーを考えるなベルモントを感じろな作品であってそこらへんの俳優とは違う大スターのオーラにウットリ。行きつけのお店は閉まっていたのでおうちで一盃、余韻に浸りました。あぁ、嬉し。 [映画館(字幕)] 7点(2022-09-19 11:07:02) |
9. ハンナ・アーレント
ナチスもの作品に見る、ごく普通の人間が戦争時にはどんな残虐な事でも淡々とやってのける恐ろしさ。実際のアイヒマンの証言模様はそこらへんの無責任社員の物言いでやはり恐ろしい。物事を自分なりに考える自分の目で確かめる感情気分だけで判断しない、小はそこらへんのオバハンの寄ってたかっての1人への悪口ヒソヒソ話、大は本作のハンナ・アーレント。彼女の知性はもとより揺るぎない態度は真似の出来ない凄みがありました。 [DVD(字幕)] 7点(2021-05-07 13:20:44) |
10. パターソン
《ネタバレ》 ♩ 何でもないような事が幸せだったと思う ♩ を地でゆく展開。笑いどころも含めてひたすらに物静かながら、かったるさを感じる事のない不思議な味わいある作品。「この人は永瀬正敏なのか?」思わずリプレイ確認タイム「違うような気もするけど永瀬正敏やね」(正解でした)唐突過ぎると言うか嬉しいと言うか加齢が寂しいと言うか唯一の仰天シーンに+1点。 [DVD(字幕)] 7点(2020-05-17 01:42:23)(良:1票) |
11. ハンターキラー 潜航せよ
《ネタバレ》 ロシア≠悪という展開が目新しく、ロシア艦長生存を筆頭にご都合主義に白けながらもアクションに徹した演出に楽しめる事が出来た作品。お目当てゲイリー・オールドマンの誰が演じてもいいようなステレオタイプな人物像が残念。もう一人のお目当てリンダ・カーデリーニは小野文恵アナが思い浮かぶ姿でこれまた物足りなく残念。そんな中で大統領SPの「ご無事で」(リプレイタイム)が胸熱シーンでした。 [DVD(字幕)] 7点(2019-12-19 16:56:09) |
12. 薔薇のスタビスキー
「ファニー」から13年が過ぎたシャルル・ボワイエは立居振舞・台詞回しにいささかの衰え無く、気品と包容力が溢れるお姿に見惚れるばかり。このような齢の重ね方に憧れ、同じ(じゃないか)人間の端くれの端くれとしてあやかりたいものであります。余談ながらこの4年後、44年間連れ添った奥様が病死なさった2日後に睡眠薬自殺を遂げられた事実に胸が詰まってしまいます。 ジャン・ポール・ベルモンドとアニー・デュプレーの目の覚めるような着こなしや、室内装飾の重厚さにため息が止まりません。 この見た目で騙したのか稀代のペテン師によるフランス史上最大の疑獄事件は興味深いのですが、時系列をいじくったり、トロツキーのエピソード挿入など展開が分かり辛く消化不良な作品でした。ただ、金はあくまでも只のカネに過ぎない事を掌返しの人々が見せてくれます。そんな中で最後まで友情を育んだシャルル・ボワイエがやっぱり心に残ります。 2022.9.11追記 シャルル・ボワイエ スクリーン初体験にただただ感激。 [映画館(字幕)] 7点(2019-01-14 19:17:14) |
13. 犯罪河岸
「恐怖の報酬」の監督&ルイ・ジューヴェ出演という事で映画館のはしごをして鑑賞。ジェニィの華のあるパフォーマンスに見惚れ、モーリスのどことなしの屈折感に見入る。お待ちかねのルイ・ジューヴェ演ずる警部は、先に観たマクラウド刑事のような、コロンボ警部のような強烈なキャラクターで存在感ありまくり。追い詰められた3人の運命や如何に! 手に汗握った身にとって、「ヘッ?」椅子からずり落ちそうな結末に、これでいいのかよくないのか考えさせられました。 [映画館(字幕)] 7点(2019-01-13 23:15:50) |
14. パリの灯は遠く
《ネタバレ》 冒頭の牛馬の如く扱われる女性が当時のユダヤ人の立場を見せつけます。ロベールの奔走を手に汗握って応援していたので出生証明書が届いた事にも耳を貸さない姿に唖然茫然でつまらなさにガックリしました。しかし、直後のロベールと彼に絵を買い叩かれた男とのラストショットで感想が一変。ユダヤ人に対する不遜な仕打ちに対する天罰なのか、言いようのない恐ろしさで一杯に。故国を追われた監督の心情も考えさせられた良作。 [DVD(字幕)] 7点(2018-01-11 14:52:03) |
15. ハイヒールを履いた女
《ネタバレ》 寂しさを埋める為のパーティ参加はまだしもその後のジョージとの行為は共感出来ない。犯人であることは容易に解りますが、精神が何処か病んでいる様子に不気味さを感じていた中での誰も乗っていないブランコを押す姿に寒気が。そんな彼女に惚れてしまった警部さん。久々のガブリエル・バーンに期待は大きかったのですが、よく解らない人となりのキャラクターで残念。ラストで警部にしがみついて号泣するアンナに二人の行く末を想像させられる。アンナを演じられるのはシャーロット・ランプリング以外は考えられない。 [インターネット(字幕)] 7点(2017-08-15 17:54:16) |
16. 花咲ける騎士道(1952)
起承転結、良く練られたストーリーがテンポ良く展開し、大団円(ちょっぴり強引ではありますが)で幕を閉じる。理屈抜きに面白く、小粋な会話も楽しめた活劇に満足しました。 お父さんに飛び乗られてグラついた馬は「あ痛たた~、もぅ・・」と思った事でしょう。 [DVD(字幕)] 7点(2009-08-28 14:12:10) |
17. 白痴(1946)
1951年版と比較して ジェラール・フィリップ ≦ 森雅之 エドウィジュ・フィエール = 原節子 リュシアン・コエデル < 三船敏郎 日本版の圧倒される迫力には欠けるものの、洗練された作りで分かりやすく飽きる事無く楽しめました。 [インターネット(字幕)] 6点(2021-12-14 14:39:44) |
18. バリー・リンドン
《ネタバレ》 「善人悪人死んでしまえば皆同じ」 そうではあっても何時の時代に何処でどのように生きたのか、書籍や映像に遺すこと並びにそれを目にして思いを馳せるのは他の動植物にはない人間だけの特権。 レドモンド・バリー成り上がりから没落までの一代記。監督の持ち味は映像にのみ発揮されており、脚本演出は目を惹くものは無かったものの、自身若い頃の不義理・不誠実なシーンが甦り何とも言えない気分に。長尺さも相俟ってグッタリとなった作品。 [DVD(字幕)] 6点(2019-04-08 11:33:08) |
19. ハムレット(1990)
《ネタバレ》 初見、原作未読。苦手なメル・ギブソンの嫌味のない熱演に好感が持てました。僅かな出番で物語を引き締めるポール・スコフィールドの凄味に魅入ります。結末は人を呪わば穴二つの上に叔父と母まで死んでしまう重苦しいものでした。諸悪の根源である叔父の淡白さが残念でした。 [インターネット(字幕)] 6点(2017-10-21 23:16:58) |
20. パリ空港の人々
抜け出したくとも抜け出せない。さりとて抜け出す事に腰が引ける。如何ともし難い胸中が透けて見える大晦日の面々の様子に胸が痛くなります。ラスト、抜け出して、暮らしの保障が何もない明日へ歩いて行く二人の背中にエールを送ります。 [DVD(字幕)] 6点(2012-05-26 16:32:21) |