1. 離愁(1973)
《ネタバレ》 戦火から逃れる疎開列車の道中譚が物語の大部分を占める。死と隣り合わせの緊張感が絶えず続く中で生まれた束の間の恋が丹念に描かれている。妻子と同じ客車に乗れていたならアンナに惑う事もなかったのに。長男誕生を受けてジュリアンのもとを去ったアンナ。ああ、よかったと安堵したのも束の間のゲシュタポ?の取り調べシーン。瞬きするのも憚られるこれ以上ない緊迫感の中でのジュリアンの選択に、あぁ、何故部屋をあとにせずに振り返るのか、何故頬に触れるのか、妻と二人の幼子よりも自分の命よりもアンナを取るのか、悲しくて身悶えする。耐えに耐えていた思いが決壊したアンナも同じく思った筈。勝ち誇った取調官の台詞が雑音にしか聞こえなく、迸る思いを一言も発することなくぶつけ合うジャン・ルイ・トランティニャンとロミー・シュナイダーのラストショットに見惚れる。 [DVD(字幕)] 9点(2017-01-14 01:50:28) |
2. リオの男
意外としっかりしたストーリーに於いて理屈抜きで彼女救出に奮闘するジャン=ポール・ベルモンド。その全力疾走シーンに惚れ惚れ。突き抜けたアクションにも体を張って全力で挑んでいるのでしょう。大満足の良作です。 [映画館(字幕)] 8点(2021-12-27 01:42:35) |
3. 輪舞(1950)
《ネタバレ》 娼婦に始まって娼婦に終わる物語そのものが輪舞となっている構成。端正な語り口はコリン・ファースのようで、人生を達観している眼差しはジェームズ・メイソンのようなアントン・ウォルブルックの狂言回しが絶品。唇を重ねる、肌を合わせるに到る各人の恋心は深みが何も無く明日にでも忘れそうなものの、上質な音楽並びに居並ぶ大スターのこれぞ「おフランス」と言うべき華麗な味わいを楽しめる逸品。 [DVD(字幕)] 7点(2018-10-13 21:24:44) |
4. リスボン特急
小学生の頃に観たいと思ってからウン十年、念願の初鑑賞となりました。犯行時に犯人達は一言も語らず非常ベルや列車の音のみが響いています。丹念な描写とあいまって見入ってしまいました。 そして全編を通じて登場人物全てが必要最小限しか語りません。しかし、その胸の内の溢れ出そうな想いは分かるのです。犯人一味のリストラされた重役とその妻、頬を黒い涙が伝っているゲイの情報屋、スコッチを空けるコールマン、シモン、カティのスリーショット等々。監督の力量と言えるのでしょう。 「刑事が人間に抱く感情は疑いと嘲りだ」と言い放つのとは裏腹さで現実を受け入れているラストシーンのコールマン。「因果な商売だが、これが私の仕事」との胸の内が想像されました。子供時分に抱いた憧れは薄れていますが、本作のドロンは素敵でした。 [DVD(字幕)] 7点(2009-04-19 15:07:50)(良:1票) |
5. リリオム
シャルル・ボワイエ出演以外の知識無く鑑賞。オトコマエではあるものの画質のせいなのか匂い立つような美しさは感じられず、ザンパノが浮かんだ粗野な男振りにも何だかなぁと盛り上がりません。 他愛ない話が他愛なくお開きと思ったらまだ30分ある??? フリッツ・ラング作品とは思えない「素晴らしき哉、人生!」風の展開に10000へぇ。 ラストでのジュリーの台詞には「それは違うだろう」激しく異議あるところです。 [インターネット(字幕)] 6点(2021-12-13 10:57:26) |
6. リピーテッド
《ネタバレ》 今作のコリン・ファースは誠実なのか不誠実なのか、あれこれ想像しながらの鑑賞。気怠い展開に催してきた眠気を体重の乗った左張り手が覚ましてくれました。そこからラストまで不誠実を堪能できました。鑑賞後にあれやこれやの疑問が。①壁に貼られている二人の結婚写真 ②先の事件でホテルから発見現場までの目撃者がないのか ③警察の捜査 ④あの場所にあったアイロン ⑤眠ると無くなる記憶はうたた寝や昼寝や徹夜の場合は。 毎朝「僕は夫のベン・・・」と説明する幸せに思えない生活を続ける彼女への愛情と犯行発覚の恐れが綯い交ぜになった歪んだ人格者を好演した彼に惹かれた思いが、無理があり深みのない展開に醒めてしまった作品です。 [DVD(字幕)] 6点(2016-11-25 14:08:28) |
7. リトル・ブッダ
監督、撮影、最強コンビが作りだす映像に点数の全てを。話の導入部が無理筋過ぎたシアトルパートは不要に思えました。 何が言いたかったのか分からず長さを苦痛に感じた作品です。 [DVD(字幕)] 4点(2024-05-26 23:58:20) |
8. 猟人日記(2003)
《ネタバレ》 私も女が海に落ちるまでは、何が何やらさっぱり解りませんでした。顔立ちのみ端整な負け犬男とただただ尻尾を振って身を任せる女達が繰り広げる数々のセックスシーンは畜生よりも劣る私の映画鑑賞史において最低最悪の下劣極まるものでした。無実の人間が破滅させられるラストシーンの後味の悪さもメガトン級です。心を鎮めて評価出来る点を考えてみましたが、何一つありません。よってこの点数です。 [DVD(字幕)] 0点(2007-03-24 00:03:55) |