281. 涙するまで、生きる
《ネタバレ》 舞台は1954年、独立戦争のアルジェリア。西部劇と「さらば冬のかもめ」が思い浮かんだ不思議な作品。部族の因習を甘んじて受けようとするモハメドに「生きろ!」と励ますダリュ。自身もアルジェリア生まれのスペイン人移民としての諦念を振り払おうと教師を辞める。授かった命は事切れるまで諦念に押し潰されず全力を尽くして生きるのだと認識させられる。 [DVD(字幕)] 6点(2017-05-12 01:20:47) |
282. 燃えつきた納屋
攻める予審判事と受けて立つローズの攻防は見応えがあるものの、欲を言うと、もう少し感情を露わにした判事であってほしかった。事件を通して大家族の絆が燃えつきた結末はうら悲しい。絶品のシモーヌ・シニョレを堪能できた。 [DVD(字幕)] 7点(2017-05-06 23:01:44) |
283. ライヤーゲーム
話がイマイチ把握出来ず結末も理解し難く、再見して確認しようという気にもなれず。小洒落た感じが何となくしただけの作品。 [DVD(字幕)] 3点(2017-04-17 16:10:44) |
284. マラヴィータ
《ネタバレ》 マーティン・スコセッシ、リュック・ベッソン、デニーロの組み合わせでのお決まりの暴力シーンが満載なのはまだしも、嫁・娘・息子までもが暴れて鬱憤晴らしをしているのに嫌気がさす。ラストのドンパチではトミー・リー・ジョーンズの見せ場が無いわ、敵方がアッサリとやられてしまうわ、ご近所さんを始め多くの人が巻き添えになるわで後味の悪さこの上ない。去り行く車を「お前等だけ幸せに暮らせると思うなよ」と思いながら眺めてた。こんな犬畜生にも劣る一家を保護するFBIジョーンズさんの心中お察し致します。 [DVD(字幕)] 3点(2017-04-16 15:01:35) |
285. イル・ポスティーノ
朴訥なマリオが世界的な詩人に感化されながら友情を育む様子は穏やかで心地良かったのに、切ない結末の唐突さに戸惑う。鑑賞後にマッシモ・トロイージが本作で力尽きた事を知り、額に汗が滲んでいる姿は命を懸けていたのだと思うと何ともやるせない。 [DVD(字幕)] 8点(2017-04-10 00:50:06) |
286. ミッション:8ミニッツ
アフガンの戦場で肉塊となったスティーヴンスを道具として使用する事しか頭にない博士と人格を尊重するグッドウィンの対比が見応え十分でした。存在する魂の世界観の描かれ方が見事な作品。 [DVD(字幕)] 7点(2017-03-19 23:29:33)(良:1票) |
287. 抵抗(レジスタンス) 死刑囚の手記より
《ネタバレ》 「死刑囚は逃げた あるいは風は自ら望むところに吹く」原題を忠実に映像化しています。望みを叶える為に出来る事を独りコツコツとやり抜く。些細な気の緩み失敗が即処刑に繋がるので細部にまで気を配る丹念な作業の緊張感が物凄い。これ程の準備をしても一人では成功できなかった事実に風が吹いたのを見ました。脱獄ものの最高作。 [DVD(字幕)] 10点(2017-02-19 23:55:49) |
288. スリ(1959)
《ネタバレ》 あの手この手のスリの手口の滑らかな美しさにウッカリ見惚れてしまう。金儲けしても青年は侘しいアパートで覇気のない暮らしをしている。悪運尽きて捕まった事で幸せを掴む結末だが、驕り高ぶった性根を入れ替えて働くことは出来るのか疑問が残る。 [DVD(字幕)] 7点(2017-02-14 15:26:48) |
289. 独裁者と小さな孫
《ネタバレ》 舞台である国を特定せず寓話を装っているが、これまでも今もこれからも地球上で起きている話。独裁者と孫の逃亡劇。無垢な孫が最後に「こんなゲームはもうしたくない」と涙する姿に、力だけが正しい統治の虚しさを観る。独裁者を擁護する者の台詞は蛇足だった。 [DVD(字幕)] 6点(2017-01-31 23:59:16) |
290. 黒猫・白猫
何時の時代? 舞台は何処? ガチョウの大群? 何故にリックとルノー署長? 等々、「何じゃこりゃ?」が満載。 どことなく詩情を感じる賑やかにも程がある音楽と共に繰り広げられる突き抜けたハチャメチャぶりに何だか元気を貰う。特に大爆笑させられた楽団が病室になだれ込み爺さんを連れ帰るシーンは「天才バカボン」の世界。ラストの二人のカサブランカダンディの粋な台詞に、バカボンのパパの決め台詞「これでいいのだ」が浮かんだ。掘り出し物の珍作・快作に出会えた喜びを味わった。 [DVD(字幕)] 8点(2017-01-14 23:28:59)(良:1票) |
291. 離愁(1973)
《ネタバレ》 戦火から逃れる疎開列車の道中譚が物語の大部分を占める。死と隣り合わせの緊張感が絶えず続く中で生まれた束の間の恋が丹念に描かれている。妻子と同じ客車に乗れていたならアンナに惑う事もなかったのに。長男誕生を受けてジュリアンのもとを去ったアンナ。ああ、よかったと安堵したのも束の間のゲシュタポ?の取り調べシーン。瞬きするのも憚られるこれ以上ない緊迫感の中でのジュリアンの選択に、あぁ、何故部屋をあとにせずに振り返るのか、何故頬に触れるのか、妻と二人の幼子よりも自分の命よりもアンナを取るのか、悲しくて身悶えする。耐えに耐えていた思いが決壊したアンナも同じく思った筈。勝ち誇った取調官の台詞が雑音にしか聞こえなく、迸る思いを一言も発することなくぶつけ合うジャン・ルイ・トランティニャンとロミー・シュナイダーのラストショットに見惚れる。 [DVD(字幕)] 9点(2017-01-14 01:50:28) |
292. 殺しが静かにやって来る
トランティニャン、キンスキー共演に惹かれての鑑賞は大当たり。どこまでもストイックな男とどこまでも卑劣な男の対決に手に汗握り、決着の衝撃に打ちのめされる。雪景色に流れるモリコーネの物悲しいテーマ曲に更に冷え冷えとさせられる。 [DVD(字幕)] 8点(2016-12-30 22:03:22) |
293. 奇跡の海
《ネタバレ》 少し頭が弱いベスが神に縋ってヤンへの盲愛に突き進んだ果ては想定内の救いの無いもの。彼女の気持ちを考えず彼女を地獄へ追いやったヤンがすっかり回復して感慨深げに鐘の音を聞く姿は想定外で、言いようのない憤りに体が震えた。しつこい演出の冗長さに我慢しながら鑑賞の甲斐も無く、監督の鼻持ちならない陶酔感に反吐が出る。愚作。 [DVD(字幕)] 1点(2016-12-04 17:08:42) |
294. リピーテッド
《ネタバレ》 今作のコリン・ファースは誠実なのか不誠実なのか、あれこれ想像しながらの鑑賞。気怠い展開に催してきた眠気を体重の乗った左張り手が覚ましてくれました。そこからラストまで不誠実を堪能できました。鑑賞後にあれやこれやの疑問が。①壁に貼られている二人の結婚写真 ②先の事件でホテルから発見現場までの目撃者がないのか ③警察の捜査 ④あの場所にあったアイロン ⑤眠ると無くなる記憶はうたた寝や昼寝や徹夜の場合は。 毎朝「僕は夫のベン・・・」と説明する幸せに思えない生活を続ける彼女への愛情と犯行発覚の恐れが綯い交ぜになった歪んだ人格者を好演した彼に惹かれた思いが、無理があり深みのない展開に醒めてしまった作品です。 [DVD(字幕)] 6点(2016-11-25 14:08:28) |
295. サムライ(1967)
《ネタバレ》 仕事の完遂に向けて喜怒哀楽が皆無の姿はサイボーグのようなマネキンのような。他人を一切寄せ付けない孤独がサムライとは思えない。ピアニスト殺しの依頼に空の拳銃で向かった理由は分からないが、孤高な死に様はサムライを連想させた。そして、柔和な物腰と裏腹に犯人逮捕の意志を見せる警部もまたサムライ。演じたフランソワ・ペリエの存在感はキレッキレのアラン・ドロンに劣らぬものだった。 [DVD(字幕)] 7点(2016-11-08 01:48:45) |
296. ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期
《ネタバレ》 43歳になったブリジット。体型はスリムになっているが皺っぽく老けた印象が観ていてツラい。ダニエルに代わって登場したジャックが没個性なのが物足りない。品の無い会話が飛び交うドタバタラブコメはあまりにも都合が良過ぎる起承転結。しかし、マーク・ダーシーから受けた時めきに劇場に足を運んだ値打ちを感じた。点数の全てをコリン・ファースに捧げます。 [映画館(字幕)] 8点(2016-10-29 17:38:35)(良:1票) |
297. まぼろし
《ネタバレ》 ジャンは失踪なのか、事故死なのか、自殺なのか。マリーも観る者もわからないところが歯痒い。寂しさの穴埋めにされた挙句、ジャンの代わりになり得ず「あなた軽いのよ」と申し渡されるヴァンサンはいい面の皮。現実を直視できないマリーを演じたシャーロット・ランプリングの美しさにハッとさせられ、老いた姿にドキッとさせられた。 [DVD(字幕)] 5点(2016-09-13 14:28:34) |
298. ビフォア・ザ・レイン
マケドニアに於いてのマケドニア人とアルバニア人の内戦。親族であっても躊躇いなく殺してしまう下劣さ。度々見られるグロテスクな映像の下劣さ。第2部のストーリーの下劣さ。監督の言わんとしたいのは何なのか、自国の惨状なのか、人間とはこの程度もものなのだということか? ひたすらに陰気臭い作品にゲンナリ。 [DVD(字幕)] 2点(2016-08-08 00:56:20) |
299. 現金に手を出すな
《ネタバレ》 年寄チームVS若造チームの他愛ないお話であってもジャン・ギャバンのオーラに見惚れる。無法者に対する因果応報な結末に耐える姿は絶品。 [DVD(字幕)] 5点(2016-07-15 02:50:19) |
300. 死刑台のメロディ
《ネタバレ》 初見。事件の知識無し。題名からして二人の死は免れないと分かっていたが、法の名の下に繰り広げられる検事と判事の一言一句は暴力であり、偽証の強要、証拠隠滅は殺人。もう、怒り心頭。判事が都合が悪くなると力一杯打ち下ろす木槌、この男の脳天に叩き付けてやりたいと何度も思った。全米や世界各地の良識を振り切った州知事の判断「法の定めにより死を宣告する」は国の黒歴史。人種がヒトを隔てるのは90年近く経った今日に於いても変わらなく「〇〇人は強姦魔」と演説する大統領候補者が人気を博している。リカルド・クッチョーラ熱演のサッコが回復して妻子と作品を観る者に遺言を残してくれた事に救いを見た。 [DVD(字幕)] 8点(2016-04-29 12:37:52) |