121. 相続人(1973)
スーツ姿がビシッと決まったジャン=ポール・ベルモンドの立ち居振る舞いに惚れ惚れ。先代父親の死因に迫る展開が雑で曖昧で興に乗れず仕舞い。音楽に聞き覚えがあり、過去に観ていたのかもしれません。 [映画館(字幕)] 7点(2021-12-27 23:47:14) |
122. 獣人
《ネタバレ》 冒頭に示される特異体質の記述にジャン・ギャバン狂乱模様に期待大。ところが、ん? 観たことある? 25分位経って「仕組まれた罠」のリメイク元作だと分かりました。身勝手な三人を淡々と眺めていましたが、大きく違った結末は断然今作。忘れた頃にやって来た発作での殺意の瞬間に見せるエドワード・G・ロビンソンと肩を並べる切れ味迫力が怖い。気の良い相棒の悲しみがやるせないエンディング。 また、蒸気機関車の骨太さを感じる描写、疾走の力強さ、流れる風景に、私も幼い時分必ず靴脱いで座り窓にへばり付いて外を眺め、大人になっても先頭車両からの眺めにワクワクする事が浮かびました。 元カノ、ジャン・ルノワール芸達者ぶりを見せた間違えられた犯人、新たな彼氏が単発エピソードだった脚本の物足りなさがあるものの、記憶に残るであろう良作です。 [DVD(字幕)] 7点(2021-09-03 16:50:31) |
123. 大頭脳
《ネタバレ》 天才と言われ澄ました顔していても何処か抜けているデヴィッド・ニーヴン、トニー・モンタナのような妹を溺愛するガサツなイーライ・ウォラック、全編トホホ顔のブールヴィル&超お気楽ジャン・ポール・ベルモンド。現金強奪に於ける個性溢れる三つ巴の争いで最後に笑うのは誰かという展開ですが、観ているこちらが笑いっぱなしのドタバタコメディでした。この手の作品におけるお決まりな宙を舞う札束ももの凄い量で爽快です。ニーヴンとベルモンド直接の絡みがほぼ無かったのが残~念~なところですが、 製作時においてフランス映画史上最大の製作費をかけたという力作且つ快作で十二分に楽しめました。 [DVD(字幕)] 7点(2021-08-29 23:35:03) |
124. 43年後のアイ・ラヴ・ユー
《ネタバレ》 往年の名舞台女優リリィが認知症を患い施設に入所している事を知った元演劇評論家で当時の恋人クロードが、会いたい一心から親友兼悪友の手助けを受けて認知症を装い施設に入所するも、彼女に彼の記憶は無かった。 諦めない彼があの手この手で彼女の記憶を呼び覚まそうとする展開はありがちなものですが、当時から彼女には夫が居た不倫関係で、一線を超えない結末が味わい深いものがあります。クライマックスである「冬物語」での足るを知るかのような切ない二人にグッときます。ブルース・ダーン、ブライアン・コックス、共に安定の名演。 MIPはリリィを演じたカロリーヌ・シロル、1949年フランス生まれの名舞台女優さんという彼女。派手さの無い若々しい装いでの上品さが目玉飛び出そうな高級施設で一際輝いており、且つ、記憶のジグソーパズルを繋ごうとしているのだろうかと思わせる姿が絶品。 スタッフとキャストの上質な仕事ぶりが光る上品な小品。 [DVD(字幕)] 7点(2021-08-15 17:54:39) |
125. ムッシュとマドモアゼル
オープニングの小粋なアニメーションと軽快な音楽に期待が膨れ上がります。音楽が「ジャガー」で重厚さに心揺さぶられたウラディミール・コスマによるものというのに100へぇ。素晴らしい才能です。ジャン・ポール・ベルモンド、ラクエル・ウェルチが演じるスタントマンカップルのラブコメ。本作のベルモンドのアクションシーンは盛り沢山でやっぱり凄い。スタントマンの悲哀を感じさせるところもありますが、ハチャメチャおバカキャラ炸裂が特筆もの。「コラコラやめなさい」苦笑した社会保障局ネタ、一人二役高所恐怖症なゲイの大スター、生身のトラとのお戯れ、ルパン三世実写版のようで役者としての引き出しの多さに感嘆。ラクエル・ウェルチはずぶ濡れでの透け透けナイスバディ(死語)披露を始めとするお色気ムンムン(死語?)で華やかな作品に相応しい存在感。落ち着くところに落ち着いた結末も爽快な快作です。 [DVD(字幕)] 7点(2021-08-13 23:32:19)(良:1票) |
126. 大盗賊(1961)
金持ちから奪う義賊のようでありながら山賊には違いないのでいくら格好つけても・・・・・この部分を封印出来れば楽しめるかと思われる活劇の快作。オープニング音楽に「あっ、これは!」すぐに分かったジョルジュ・ドルリュー、毎度の事ながらこれから始まる物語が素晴らしいとの確信でワクワクさせられます。安定のかっこよさを見せつけるジャン・ポール・ベルモンド、渋~いジャン・ロシュフォール、噛ませ犬キャラが光るマルセル・ダリオ、それぞれ輝いていました。そんな彼等を霞ませてしまったのがクラウディア・カルディナーレでため息の出る瑞々しさでありました。 [DVD(字幕)] 7点(2021-08-09 22:05:36) |
127. 危険を買う男
《ネタバレ》 今作ベルモンドはお上に雇われた高額の報酬で危険な任務を請け負う仕事人であり邦題は「恐怖の報酬」がしっくりくる。凶悪強盗犯「タカ」を追うストーリー。「タカ」役が「恐怖の報酬」(フリードキン版)のブルーノ・クレメルで、ソフトな物腰と反比例する残虐さに盛り上がったのですが。途中消えてしまって???でその理由に「その設定はおかしいよ!」異議あり。お目当てベルモンドのアクションシーンは少ないながら、キレ味は流石。そしてラスト対決で見せる男気は毎度の事ながら「惚れてまうわ~」状態であります。 [DVD(字幕)] 7点(2021-08-05 22:28:14) |
128. ジャン・ポール・ベルモンドの恐怖に襲われた街
スタントを使っていないというのが信じられないジャン・ポール・ベルモンドのアクションシーンの数々。地下鉄シーンを筆頭に失敗すれば即あの世行きで凄いとしか言いようがありません。猟犬のように犯人を追う警部役は彼の持ち味「男気」を存分に発揮した魅力に溢れるものでした。犯人の見た目と御大モリコーネの不穏な音楽も印象的。ただ、アクションありきで作られたようなストーリーはもう一踏ん張りして欲しかったところです。「筋肉は正しく使えば役に立つ」は筋肉バカとは違いますよというベルモンドのプライドなのでしょう。 [DVD(字幕)] 7点(2021-07-18 13:33:26) |
129. 大追跡(1965)
《ネタバレ》 オープニング音楽に、子供時分の旅行で電車が動き出した時のワクワク感が浮かびました。流石名匠ジョルジュ・ドルリュー。撮影アンリ・ドカエに、刑事もの?ギャングもの?音楽と合わないなぁ?本編始まって直ぐの接触事故でバラッバラになった車と当事者同士の掛け合いにコメディ作品だとわかりました。この二人、私は知らなかったのですが、フランスで知らぬ者無い喜劇役者というのが納得の存在感で、プッ、クスクス、アハハハ、ア~ハッハ~、大小取り混ぜて笑わせて貰えました。フランスならではの哲学的な台詞も印象的な2人の女性とのロマンスも盛り込まれた展開結末はお見事。あ~面白かった~、芯から楽しめた快作です。1965年度フランス興行収入第1位獲得も納得です。 [DVD(字幕)] 7点(2021-07-09 15:49:22) |
130. ハンナ・アーレント
ナチスもの作品に見る、ごく普通の人間が戦争時にはどんな残虐な事でも淡々とやってのける恐ろしさ。実際のアイヒマンの証言模様はそこらへんの無責任社員の物言いでやはり恐ろしい。物事を自分なりに考える自分の目で確かめる感情気分だけで判断しない、小はそこらへんのオバハンの寄ってたかっての1人への悪口ヒソヒソ話、大は本作のハンナ・アーレント。彼女の知性はもとより揺るぎない態度は真似の出来ない凄みがありました。 [DVD(字幕)] 7点(2021-05-07 13:20:44) |
131. クロワッサンで朝食を
地味で淡々としながらも目が離せなかった作品。フリーダとステファンの関係がいかにもフランス映画的。財を成し豊かな暮らしを送るフリーダが噛みしめる寂しさに、財の無い私はどうなるのだろう・・・・・・・・ ジャンヌ・モロー貫禄の着こなしに脱帽です。 [DVD(字幕)] 7点(2021-04-30 01:35:09) |
132. フランス組曲
《ネタバレ》 禁断の恋愛模様以上に、「戦争は人の本性を剥き出しにする」劇中の台詞そのままの人々の丹念に描かれた姿に感じ入るものがあり、特に子爵の無残な姿に陥る過程が強烈な印象を残します。エンドクレジットの作者の化身である手稿に+1点。格調ある作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2021-04-04 03:56:52) |
133. ピクニック(1936)
他愛ない物語でありながらも、川の流れに二人の人生の先行きに思いが巡ります。本作が戦禍をくぐり抜けて奇跡的に存在するところに点数の全てを。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-01-31 19:14:04) |
134. この庭に死す
《ネタバレ》 ダイヤモンド鉱山をめぐる軍と鉱夫たちの衝突とジャングルでの逃避行という2部構成のような物語。脱獄山師、娼婦、娼婦に片思いの爺さんとその娘(口がきけない)、神父の人間模様がなかなかの見応え。監督らしさが出ている大蛇と蟻の描写(ギャー、嫌~)を筆頭とする苛烈なサバイバル。シモーヌ・シニョレはどこまでズタボロになるのだろう、よくこんなの引き受けたなぁと思っていたら、綺麗なお姿になる展開に呆気にとられました。神父が「私が責任を持つから」と意思を通してことごとく事態を悪化させているのに監督の視線を感じるところです。衝撃の結末に「何で?」キョトンとなりました。 [DVD(字幕)] 7点(2021-01-15 14:26:02) |
135. デデという娼婦
《ネタバレ》 ストーリーは他愛なく「新しい人生が始まるのね・・・」ってそうはいく筈もない事が容易にわかります。デデをとりまく3人の男が印象薄く残念。シモーヌ・シニョレの得も言われる唇の美しさに+2点。 [DVD(字幕)] 7点(2020-11-11 01:17:34) |
136. 海を飛ぶ夢
《ネタバレ》 ラモンの一言一言から滲み出る聡明さに唸らされます。そんな彼だからこそマヌエラを始めとする家族に感謝の気持ちを一言も残さない事に許せないというか幻滅です。車を見送るマヌエラの万感こもった姿に泣けてしまいました。35歳というのが信じ難いハビエル・バルデム円熟の演技に+5点。 [DVD(字幕)] 7点(2020-10-16 01:18:05)(良:1票) |
137. ちいさな独裁者
《ネタバレ》 最後に示された実話である事に信じられない思いです。制服を着て大尉を騙ったところで21歳の小僧上等兵がなりすませる程ナチスの大尉は安くない(人間性は別として)のであり、照会すれば即バレる筈です。乱痴気騒ぎで「會議は踊る」での珠玉の名シーン名曲「ただ一度だけ」を合唱しているのに汚物を浴びせられた気分。邦題のイメージとはかけ離れた胸糞悪い作品。考えさせられるエンドロールに+2点。 [DVD(字幕)] 7点(2020-09-30 01:49:59) |
138. シシリアン(1969)
《ネタバレ》 念願の初鑑賞。アラン・ドロンにゾッコンだった当時とは違い、ジャン・ギャバンはもとより、リノ・ヴァンチェラと比べても格下感があり、一太刀も浴びせられなかった最期は別の意味で哀れさがありました。宝石強奪の件は無理筋過ぎて冷めてしまいますが、そこから結末まではなかなかの見応えでした。モリコーネの手による音楽は物憂げで一族の胡散臭さ(ビョヨ~ン)を感じさせる印象深いものです。 余談ながら、大盛りにも程があるパスタは先日の「他人の家」でエドワード・G・ロビンソンが同様に取り分けていて、イタリアンファミリーの日常なのかと驚きました。 [DVD(字幕)] 7点(2020-09-29 13:14:02) |
139. エストラパード街
《ネタバレ》 夫の浮気疑惑に端を発した若夫婦のロマンティック・コメディ。キュートなフランソワーズの存在に尽きるかと。ノワールを思わせる不穏キャラ達の手に落ちそうで落ちない、夫婦の絆が壊れそうで壊れない、さじ加減が絶妙です。名匠の手による瑞々しさ溢れる一品に心地よい一時を過ごさせて貰えました。 [DVD(字幕)] 7点(2020-09-22 10:21:34) |
140. パターソン
《ネタバレ》 ♩ 何でもないような事が幸せだったと思う ♩ を地でゆく展開。笑いどころも含めてひたすらに物静かながら、かったるさを感じる事のない不思議な味わいある作品。「この人は永瀬正敏なのか?」思わずリプレイ確認タイム「違うような気もするけど永瀬正敏やね」(正解でした)唐突過ぎると言うか嬉しいと言うか加齢が寂しいと言うか唯一の仰天シーンに+1点。 [DVD(字幕)] 7点(2020-05-17 01:42:23)(良:1票) |