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no oneさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 487
性別 男性
ブログのURL https://www.jtnews.jp/blog/23806/
年齢 41歳
自己紹介 多少の恥は承知の上で素直に書きます。

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1.  ホット・ファズ/俺たちスーパーポリスメン! 《ネタバレ》 
なんたるおバカ! 想像を絶していた。どんでん返しはコメディだからこそ許される力業だけど、普通にびっくりできたし、いいんじゃないでしょうか。短い時間に尋常ではない労力をかけ、ほんとうに丁寧に作られている。  さまざまなネタを片っ端からぶち込み、下手すると空中分解しかねないところを、二人の警官のシンプルな友情物語を軸に据えることで回避している。またいちいち伏線を張って確実に回収していくやり方ときたらほとんど偏執的で、ここまで来ると器用なんだか不器用なんだかよくわからない。『ハートブルー』はもちろん、白鳥やクロスワードまでそう、最後に医者が復讐にやってくるのだって銃撃戦での台詞を受けているのだろう(「医者だろ、自分で治しな」→自分で治すことができたので、逃走することも可能)。  欲をいうなら終盤のエピソードはもう少しだけ削れたと思う。最高に面白かったけれど、さすがにくどい。しかしながら一見優しげな老人達ががんがん撃ってくる絵や、スーパーマーケット内のアイテムで襲ってくる絵は最高にクールだった。  しかしまさかこんなにエグいとは……まったく覚悟してなかったので驚いた。シリアスにしたくなくてブラックユーモアを選んだのだろうが、前半を観た限りでは家族で観られるような作品だと思いかけていたので、ちょっぴり残念ではあった。
[DVD(字幕)] 7点(2009-09-08 01:40:05)
2.  ロスト・チルドレン 《ネタバレ》 
すごい。大勢のサンタクロースが現れる悪夢のプロローグから一気に惹き込まれた。ちょっとやそっとの秀逸な発想がある作品は珍しくないが、本作は最初から最後まで、散りばめられた小さなアイディアのひとつひとつが光っている。  おそらく作り手は、長い年月をかけてコレクションしてきた心のなかのおもちゃ箱をひっくり返して、「ほらほら面白いでしょ」と自慢してみせたかったんじゃないだろうか。それは独りよがりなマニアの自慢に近いものだが、そのコレクションがほんとうにユニークで素晴らしいものだったなら、自慢された側としても文句のつけようがない。  最大のピンチを幸運で乗り切るくだりには笑わされた。普通の作品なら怒るところだけど、ここまで確信犯だともはや突っ込みようがない。イメージを優先して内容を充実させることははなから放棄した、おとぎ話のようなでたらめさ。こんな片寄った方法論で充分以上に楽しませてくれるのだから、逆にすごい。これほど個性的な才能は稀有だろう(なので、趣味が会わない人はとことん合わないはず)。それでいてストーリーはテンポがよく、アート志向が強すぎて退屈ということもない。役者は最大限に個性を発揮しているし、ラストシーンは洒落が効いていて鮮やかだ。  とりわけ個人的に感銘を受けたのは、ミエットが夢の世界で敵の親玉と対決し、急速に老いていく容赦の無い映像。ミエットをあれだけ魅力的に描写しておいてのあれだ。居心地がいいだけのファンタジーに終わらず、美しさと隣り合わせの残酷さ、絶望を垣間見せる。けっして後味の悪い話ではないが、物語の舞台となる世界には犯罪が横行し、映像は常に暗みを帯びている。ディズニーのような真っ当な明るさとはまた違う、陰鬱な美しさのある作品といえるだろう。
[DVD(字幕)] 9点(2009-08-08 16:59:56)(良:1票)
3.  殯の森 《ネタバレ》 
以前真夏のある日に、神社の脇の林に囲まれた広場に入ったことがある。木の枝が広場全体を天蓋のように覆う、嘘のように涼しい場所だった。一陣の風が通り過ぎて草木がいっせいにざわめいた瞬間、なぜか鳥肌が立った。スピリチュアルなんとかの類は苦手なのだが、あのときばかりは深遠な雰囲気というか、何か得体の知れない存在に対する畏怖のようなものを感じずにはいられなかった。  この映画にはそんな気持ちを呼び起こす森林の風景が捉えられている。それも単に映像を撮っているというだけでなく、澄み切った空気の味や、植物や土の匂いまで伝わってくるような、生々しい臨場感がある。現実に疲弊した女性が認知症の男性を案内役に森を彷徨い、やがて言葉を超えた境地に辿り着く。わかりやすくオカルト的な要素は登場しないが、アニミズムやシャーマニズムを体現している稀有な映像作品だ。原初的な宗教体験、悟りの瞬間を説得力をもって描き出している。自然のなかの神様を感じさせる作品といえば宮崎駿監督の『となりのトトロ』ぐらいしか思いつかないが、あれとも全然違う。類のない作品じゃないだろうか。  ただ、海外でこういった作品が評価されるのは素晴らしいこととは思うけれども、欧米の方は日本文化について極端な評価をしがちなのも確かだと思う。日本人からすると深みが足りない、安っぽいと感じる部分があっても、あちらでは異文化万歳といった感じで簡単に見逃されてしまう。ありがたいことではあるけれども、ときには「その漢字Tシャツ変ですよ」と言ってあげたくなることもある。たとえば本作でいえば前半の日常描写がぎこちないし、服を脱いで肌を寄せ合う場面などにはあざとさを感じてしまう。リアリティを出そうという意図がみえみえで、リアルを超えて無骨な感じがする。  実は鑑賞直後は4、5点にしようと思っていたのだが、観て損をした感はなかったので点を上げた。普通の意味では退屈だが見入ってしまう、なんとも不思議な作品。
[DVD(邦画)] 7点(2009-07-26 19:02:49)
4.  ハプニング 《ネタバレ》 
多少の顰蹙は承知で、自分勝手な解釈を書きます。  おそらく毒素を出す植物が反応していたのは「人間の集団」ではなく、人間の集団に発生しやすい「憎悪」の方だったのです。  老婆が死んだとき、彼女は集団で行動こそしていないものの、直前までエリオットを罵っていました。また草原を2班に別れて移動していたときに兵士が錯乱したのは、先頭を歩いていた男性陣が激しい喧嘩を始めた直後。集団行動していれば否応なく軋轢は生じますから、エリオットが初めに立てた仮説は身を守るのにある程度は有効でした。だからてっきり正解だと思い込んだ。  毒素が「憎悪」への反応だとすると、直接的な原因は植物ですが、引き金を引いたのは人間自身。つまり集団自殺現象は、そのメカニズムにおいても文字通りの自殺行為、お互いへの憎悪で己の首を絞める、人類という種の自殺だったのです。  このように考えると、テーマとしてもしっくりきます。主人公のエリオットは情緒不安定な妻と行動を共にし、友達の娘も励ます優しい人物です。草原の移動中に高まりかけたパニックの気配を抑えて理性的に振る舞うし、妻のちょっとした裏切りにも寛大に接します。常に冷静で、人間関係の和を保とうとする性格なのです。  孤独な生活を送っていた老婆は生き延びていましたが、狂気の淵にあり、人と接した途端にあっさり破綻してしまいます。エリオットが最後に取った行動は老婆とは正反対。孤立した状況でも人と繋がり続けようとし、誰といても安全ではないことを知っていてなお、一人で死ぬくらいなら妻とともにあることを選ぶのです。  最後にエリオットが嵌める指輪が示した色は「愛情」でしょう。「憎悪」によって自滅しかけた人間の危機に、彼が生き残るのは必然でした。エピローグでの懐妊は予定調和にも見えますが、つまりは彼らこそが新しい世代を育み、人類を担っていくのだという象徴でしょう。  実のところ欠点がない作品とは言えませんが、批判は山ほどあるようなので自分は控えておきます。グロテスクなだけの場面もありましたが、集団の飛び降り、銃を手渡しての連鎖自殺などは、映像的にも鮮烈。首吊りの画なんかは残酷な宗教画のようで(不謹慎ですが)荘厳ですらありました。いかにもシャマランらしい、信仰心が滲んだ作品だと思います。
[DVD(字幕)] 7点(2009-06-21 20:38:14)(良:2票)
5.  シェルブールの雨傘 《ネタバレ》 
ずっと観損ねていたのを、劇場でデジタル・リマスター版を鑑賞した。すごくラッキーだったと思う。色あいも音楽もとてもきれいで、愛らしくおしゃれな小品に仕上がっている。悲しいラストシーンが白と黒を基調とした雪の吹きすさぶ夜であるのに対し、二人が愛し合っていた日々はカラフルで鮮やか、陽気な音楽とともに描かれる。二人が簡単に永遠の愛を誓うようすはいかにも若気の至りではあるけれど、この映画はそれを否定しているわけではなく、あくまでも美しい思い出として、彼らが成長してからも人生の宝物になりえるような記憶としてとらえているように思える。  それにしても、エッソのガソリンスタンドまでおしゃれなアイテムにしてしまうのだから、フランス人というのは空恐ろしい人種だ。
[映画館(字幕)] 8点(2009-06-01 12:06:50)
6.  隠された記憶 《ネタバレ》 
ラストシーンは正直、気がつきませんでした。観直そうとも思わない。多少ハードルが高くてもその難解さに意味があるのならちょっとは努力しようと思えるけれど、これは別に……。理解できてもさしたる感動はなさそうで、どうでもいいというのが率直な感想です。  監督はインタビューで「真相は重要ではない」と語ってましたが、人間の関心っていうのはどうしても隠された部分に向かうもので、本当に重要じゃないならこういう描き方はどうかと思います。人が罪とどう向き合うか、という大切な主題は、むしろブレてしまったのでは。  ただこの作品のすごいところは、物語としてはほとんど緩急がないのにも関わらず、張り詰めた緊張感がまったくといっていいほど緩まないこと。長回しを多用しつつもだれがない。つまらない映像でも音楽があれば誤魔化しが効くそうだけれども、あえて完全に排されている。  カメラワークを勉強した訳ではないので詳しい理屈はわからないけれども、映像の文法を知り尽くした人によって、完璧に制御された映画であることは明らか。物語としては平坦でも、視点の運動によってリズムが生み出されている。だから無理に集中しなくても自然と引き込まれるし、話の割には飽きが来ない。これって何気にすごい。  ショッキングな自殺の場面も、観る側の呼吸の間隙を突いた、いやらしいまでに絶妙のタイミングで差し込まれる。間の計り方、微妙な匙加減が憎いほどに上手い。かといっていかにも不自然に芸術ぶった構図があるわけでもなし、本当に、卓越した技巧だと思います。手放しに絶賛はできないものの、非常に見応えのある作品であったことは確かです。
[DVD(字幕)] 7点(2009-05-08 20:32:45)(良:1票)
7.  ファウスト(1994)
微妙。クレイアニメを期待していたら人形劇が中心で、肩透かしを食らった。ところどころに独特の発想があるのは確かだけれど、全体としては退屈だった。短篇集ならまだしも、このシュールな展開で九十分以上もたせるのは無理がある。  とくに人形劇やアニメーションではない場面の映像は非常に安っぽく、よく言えば味わいがあるのかもしれないが、普通の古い海外ドラマの映像と変わらないレベル。男が鞭を振るって呪文を唱える場面には正直、失笑してしまった。  湿り気のある不気味さはシュヴァンクマイエル独自の持ち味だが、さして刺激的でもなく、完成度が高いわけでもない。感性に任せて作られた意味不明な作品もあってもいいと思うが、それなら相応のクオリティとテンションを保ってほしいと思う。
[ビデオ(字幕)] 4点(2009-01-14 13:29:17)
8.  インランド・エンパイア 《ネタバレ》 
熱にうなされているときの、長く不快な夢のような時間だった。とにかく意味不明。秩序だった物語なしに、断片的なイメージの集積だけで一人の女性を表現しようとしたのではないかと思う――たぶん。なんとなく『リング』に出てくる呪いのビデオを思い出した。  デヴィッド・リンチの暗い精神世界に際限なく沈み込んでいくようで、不安を掻き立てられる一方で不思議と惹きつけられるものもあった。気持ちの悪い、しかしある種の美しさも備えている、洗練された悪夢。リンチはこと人の神経を苛む技術にかけては天才的だ。  正直集中力を保つのに苦労することもあったが、ひとつひとつの映像のクオリティが高いのでなんとか観ていられた。割と眠かったのに、観終えると妙な満足感がある。強烈な個性を持った作品で、はっきり言って楽しめる人の方が少ないだろう。こんな実験作を作って許されるのは大学の映画サークルの一年生か、巨匠だけだ。気安くおすすめはできないけれど、個人的にはそこそこ面白かった。
[DVD(字幕)] 7点(2008-12-10 09:13:12)(良:1票)
9.  ルネッサンス
映像革命と言うけれど、この程度の革命ならプロモーションビデオで充分。装いは新しいが内実は空虚、過去の作品の寄せ集めでしかないプロットとキャラクターは退屈そのものだ。  それどころか映像手法でさえ十二分に駆使されているとはいえない。やろうと思えばもっと美しい画を追求できたのでは? 白黒のなかに一部カラーを差し込むのは予想できたが……どうしてあんなくだらない使い方ができたのだろう? あらゆる面でお粗末な出来だ。  予告編にあった「構想十年」という言葉が事実なら、お気の毒としか言いようがない。
[DVD(字幕)] 4点(2008-12-07 09:08:46)
10.  やわらかい手
アイディアは独創的だけれど、あらすじから想像できる以上のものは何もなかった。俳優陣は与えられた役割を最大限果たしている。でも台詞のほとんどはあらかじめ引かれたストーリーのレールを辿るだけのもので、人物の体温が感じられない。  友達とのエピソードなんかは取ってつけたように思えた。息子さんとの関係も当然こうなるんだろうと予想される範囲内の展開で、それでも別に構わないんだけど、もっと丁寧な心理描写があればなおよかったと思う。どの登場人物もまるで脚本家の手で動かされるコマのよう。厚みを持った人間としての存在感がない。  全編を覆う鬱な音楽にも首をひねってしまう。一箇所も明るいトーンがないのは、なぜ? もしかしたら少しアキ・カウリスマキを意識しているのかもしれないけれど、あの世界観を中途半端に真似るのはあまりに危険でしょう。
[DVD(字幕)] 5点(2008-10-10 18:21:07)
11.  ボーン・アルティメイタム 《ネタバレ》 
世界中を飛び回る相変わらずの展開は楽しいけれど、ちょっと飽きた。スピード感あふれる展開はいいんだけど、前作までですでにやったアクションの焼き直しが多く、新味のある見せ場が少ない。雑踏のなかを素人を守りながら逃走する下りなんかは最高だったけれど、車に乗り込む辺りでまたかよと思う。というか冷静に考えるとあんな乗り方していたら数分でプスプスいって止まると思う。ジェイソン・ボーンが最強過ぎるので、どうせ今回もなんとかするんだろうなーと悪い意味で安心して鑑賞(結末もボーンの不死身っぷりを見せつけるのが最大の狙いであって、必ずしも続編を暗示しているわけじゃないと思う)。まあそれでも、取ってつけたような人間ドラマの部分に目をつむればそこそこ楽しめるレベルだった。でも平均8点というのはちょっと驚きかも。
[DVD(字幕)] 6点(2008-04-12 22:13:42)(良:1票)
12.  イル・ポスティーノ 《ネタバレ》 
唐突な結末に引いてしまったけれども、この映画に漂う空気は好きです。陽光きらめく海沿いを自転車で走る姿にあの音楽――ほんの少し、ジブリっぽいなと感じました。
[DVD(字幕)] 6点(2008-02-16 18:06:07)
13.  街のあかり 《ネタバレ》 
冴えない割には美形の主人公が、動物図鑑の草食動物の項目に載っていそうな女にたらしこまれていくのが納得行かなかったけど、その点を別にすればけっこう卒のない出来。『浮き雲』や『過去のない男』よりもっと前の作品に似て、暗くシンプルなストーリーだった。次に男にどんな不幸が訪れるのかが観ていて容易に予想できる。男自身もわかっていてあえて飛び込む。この男の強さは愚直さと同意義であるはずなんだけど、どういうわけか苛立ちは覚えなかった。全然自分の不幸に酔っている部分がないからだろうか? 鬱な展開しかないのに後味はすっきりしていて引きずらない。暗いけれどなんともいえず清々しい作品だった。
[DVD(字幕)] 7点(2007-12-23 00:49:21)
14.  大いなる幻影(1937) 《ネタバレ》 
面白かったけど、なぜか深い感動は覚えなかった。たぶんピエール・フレネーの部分だけに集中してくれていたらとても感動できたと思う。それに比べるとジャン・ギャバンの演じる人物はさして個性的ではなく、ラブストーリーはちょっと変哲が無さ過ぎるように感じた。俳優としての実力はともかく、キャラクターとしてローゼンタールが強烈なのもあって、ギャバンの印象が薄まった感じもする。  映像的には安心して観ていられるし、多彩な側面を持つ物語展開に、ときにはユーモアの要素まであって(優男の女装姿に収容所内が水を打ったような沈黙に包まれるとこ、爆笑)飽かされることがなかった。ドイツ人将校の現在の戦争では考えられないような振る舞いには目をぱちくり。  普通に戦争映画と聞いて想像するようなタイプの作品とはかけ離れた、格調高い、ちょっと渋めの作品だった。いぶし銀、とでもいいましょうか。
[DVD(字幕)] 7点(2007-11-25 00:04:27)
15.  禁じられた遊び(1952) 《ネタバレ》 
冒頭で入り込めないと結局最後まで感情移入できないことが多いんだけど、この映画がまさにそれだった。  まず感じたのは映像的な薄っぺらさで、モノクロだからまだいいものの、映画というよりは古いテレビドラマを観ているかのようで、想像以上に安っぽかった。とくにあの空襲の場面でのぎこちなさには興ざめしてしまった。  あと子どもに対して大人の描き方が偽悪的に過ぎるというか、狙ってやっているんだろうけど過剰に感じた。まず橋から犬の死骸を投げ捨てるシーンで唖然。ミシェルの家族にしてもあまりにも無神経な言動が多く、かなり引いた。戦争がそうであるように大人の身勝手な理屈の犠牲になるのはいつも子ども、ということだろうか。  終盤に至ってはミシェルの両親がまるで悪役のように思えた。孤児院に引き渡さざるを得ないのは仕方ないとしても、短期間とはいえ娘のように扱っていたのだから、もう少し配慮してあげてもいいだろうに。とくに平然と笑顔で引き渡そうとする母親は空恐ろしくすらあった。  テーマ曲については、まったく個人的な理由から受け付けなかった(というのはうちの両親の趣味がギターで、子供の頃からこの曲が家に流れているのがごく当たり前だったため、耳に入ると悲しみや切なさを感じるよりも全然関係ないことを思い出してしまうので)。この映画に音楽が果たしている役割は相当に大きいはずで、それがないから余計に脚本のあざとさや映像の貧しさに目が行ってしまった。  というわけで、平均点が非常に高い中心苦しいけれど、終始心を動かされることはなかった。八十分がひどく長く感じられた。
[DVD(字幕)] 5点(2007-11-18 19:56:27)(良:1票)
16.  イザベル・アジャーニの惑い
ウザすぎるこの二人……と思いつつも最後まで鑑賞。  映像や演出に関しては全然文句のつけようがなく、美しい映画だと思う。そういった面に関しては好きといってもいいくらいだ。でも話としては、二人ともマジうぜえ、しかなかった。「何やってんだよ」「嘘ばっかり…」「そりゃそーだ」「え、え~?」などなど、ぶつくさ突っ込みながら観た。  インタビューではエレノールは情熱的な女性として演じたみたいな話だったけど、自分の事情だけで動いてるから周囲と軋轢を起こしているだけじゃないだろうか。たまに思い切った決断――端的にいえばバカをやるだけで、「情熱的」というのとはちょっと違う。アドルフに関してはもう、理解不能。捨てるなら捨てるではっきりしろよ、もう。  勝手にやってろ、と思った。「エゴとエゴのシーソーゲーム」ってのはミスチルの歌の詞だったっけか。
[DVD(字幕)] 6点(2007-11-18 01:50:44)
17.  麦の穂をゆらす風
まるでその場にいる人間の視界をそのまま切り取ったかのようなカメラワークが絶妙。たとえばあの焼き討ちされている家をなすすべもなく傍観している場面の臨場感は凄まじいし、条約案が持ち上がったあとに大勢で議論する場面もすごい。どこをとっても過剰な演出が一切なく、当時のアイルランドの人々の記憶そのものを編集して観せられたかのような生々しさがある。それでいて美しい映像なのだから驚く。  ただ、脚本に登場人物の人間味を感じさせるような「余分」がないので、感情移入するのがやや難しい。鑑賞中はどうかと思っていたけど、最後まで観るとこれはこれでありかなと思わされた。仮にデミアンのちょっとした癖や、テディの好きな食べ物でも教えてくれたなら、もっと彼らに身を重ねて観ることができたかもしれない。でもケン・ローチが目指したのはメロドラマからかけ離れた世界なのだろうから、これできっと正解なのだろう。  誰もが正しいことをしようとして、何もかもが間違っていく。人の営みの中で必ずついてまわるそうした悲劇(何も戦争に限ったことではなく)の成り立ちを、この映画は巧みにとらえているように思えた。
[DVD(字幕)] 8点(2007-11-05 02:07:19)
18.  トランスポーター2
このハゲは限度というものを知らないのか? ジャッキー・チェンと007を足してアホで包みましたという感じで、あまりにアホなのでかえって爽快だった。
[地上波(吹替)] 7点(2007-09-30 23:08:11)
19.  王と鳥 《ネタバレ》 
寓話系ってあまり好きじゃないけれど、これは別だった。  まず、作画が素晴らしい。けっして昨今のCGのような迫力を持っているわけではないけれど、一枚一枚の絵が単純なようで工夫が凝らされていて、何度も目を見張らされた。城の造型はもちろん、巨大な機械兵の手の形など、諸処に独創的なセンスが表れている。キャラクターのちょこまかした動作はとてもナチュラルで、しかも愛嬌いっぱい。とくに王様の愛犬! あの可愛さはやばい。  宮崎駿作品との類似点の多さはちょっとびっくりするほどで、無条件に宮崎駿の才能を信じていたものとしてはショックだった。魔法と科学を融合したような不思議な世界観はジブリだけのものだと信じていたのに……。もっとも、似ているのは表層的な部分に留まっているし、ジブリはジブリで独自の境地に達しているから構わないと思うけれども。  この映画でいちばんコミカルなのが臣下たちが盲目的に王様を崇める下りで、次々とまぬけな銅像が製造されるシーンでは笑ってしまった。でもそこが同時にいちばん嫌なエピソードでもあって、笑う一方で薄ら寒い思いがした。実際、独裁者ってのは傍からみると明らかにバカでしかなかったりする。こんなにも滑稽な世界がある意味では「現実的」であるということに気づかされて、心底嫌な気分になった。  そしてこの結末は……尾を引く。普通なら煙突掃除と羊飼い娘が結びついて予定調和のハッピーエンドを迎えるところを、瓦礫の山を築いて放り出してしまう。機械兵が何かを考え込むかのようにたたずむ寂しげなラストシーンと、あの素朴だけどとても美しいピアノの音楽。愚かな独裁者を倒す正義もまた浅はかなものでしかなく、跡に残るのは廃墟に過ぎない。なんともまあシビアで、辛すぎる結末だ。  よくできた寓話だと思う。遠い時代の遠い世界の物語でありながら、まぎれもなく現代の、現実の物語でもある。
[DVD(字幕)] 8点(2007-08-05 00:48:54)(良:1票)
20.  ハイテンション 《ネタバレ》 
ある程度ホラーを観ている人ならわかると思うけど、この作品はほとんどコラージュといっていいほど過去の作品のパクリでできている。チェーンソーのシーンは『悪魔のいけにえ』で、斧のシーンは『シャイニング』。とりわけ、全体を通して『ファニーゲーム』に酷似している。そして結末があれなわけだから、あきれるのを通り越して感心した。ツギハギだけで一作できちゃうんだなーと。ほとんど『キルビル』状態。  ひとつだけすごいと思ったのは、主演のセシル・ドゥ・フランスの熱演だった。クライマックスの鬼気迫る演技は忘れ難い。血まみれのキスのシーンなんかは名場面だと思った(まさかこれもなにかのパクリだったり?)。脚本も穴が多いくせに、マリーの人物造型については伏線が張られており、厚みのあるキャラクターに仕上がっていたと思う。あのマスターベーションのシーンからして、いかにもフランス的なキャラクターだ。こういう精神の歪んだ人物を描くことに関しては得意なんだろうな、お国柄。  普通に考えれば駄作だけど、そういった部分は気に入ったので採点が甘くなりました。
[DVD(字幕)] 7点(2007-02-01 22:47:51)
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