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たましろさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 369
性別 男性
年齢 44歳
自己紹介 旧大河内です。最近全くレビューしてません。そろそろ復活したいです。


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1.  ストーカー(1979)
この映画の主題は二つある。一つはタルコフスキー映画全般のテーマである「時間」である。それは、ストーカーの家のテーブルにあるグラスが揺れるシーン、長回しで淡々と撮った前半の滑車で走るシーン(観る者はストーカーたちと同じ時間を共有させられてしまうのがおおきなポイント)や、後半、トンネルを作家が歩く場面(すさまじい時間の緊張が伝わってくる)、そして三人が、肉挽き機から難を逃れて、砂が敷き詰められた部屋に到達して、休む場面などで象徴されていると思います。こういった場面から分かるように、この映画での時間の次元の中心は過去の回想ではなく、現在進行形の時間の流れである。それをタルコフスキーお得意の水の描写を絡ませながら描いている。この水の描写で特に印象的なのが、望みが叶えられる部屋に入ることを断念し、座り込む三人の前で降り注ぐ癒しの雨である。そして、もう一つの主題は現実主義と理想主義の対比であろう。ゾーンという理想主義が渦巻く場所にしか自分の生きる意味を見出すことのできないストーカーは、同じような不幸な人間をゾーンへと導くことで生きる目的、一種の優越感を感じている。しかし、ストーカーの妻はゾーンにいくストーカーに嫌気がさしており、現実的な生活を望んでいる。妻は夢が叶うゾーンを否定し、普通の生活は苦しいけれど、そこに一筋の幸せがあると思っている現実主義の人間である。そこに理想と現実の対比があると思われるのだ。それはまた徹底的なリアリズムで描かれたストーカーの家と幻想的で不思議なゾーンの対比でもあるわけである。そして圧巻なのは、最後、こんな絶望的な世界に舞い降りた一筋の光 それが娘の超能力である。この奇跡はは一瞬、歩いているかのような錯覚を受けた娘のショット(実は肩車してるだけであるが)というこれから起こる奇跡の暗示が示されてから発生するわけだが、これによって観る者は救われるわけである。 タルコフスキーはこの映画を通じて、絶対的に非可逆である時間の厳しさを提示したあと、一つの光をみせることで、我々に生きる希望を投げかけているのではないか。
10点(2004-02-19 19:46:08)(良:3票)
2.  ノスタルジア 《ネタバレ》 
まさに映像芸術である。タルコフスキーの感性で捉える映像表現は圧巻である。この映画の主題は第一に故郷への郷愁であるが、それはやはり、タルコフスキー映画全般のテーマである「時間」からくるものである。主人公が苛まれるロシアへの郷愁が、現実と過去、夢や回想の中で美しく描かれている。特に圧巻なのはホテルのベットで眠る主人公が夢へと移行していくシーンを捉えたショットである。ここでは、非常に高いレベルで、雨や、現実と過去の媒介者を表す犬、固定画面からゆっくりとしたズームを用いることによって、すんなりと現実から夢への移行が表現されており、実に素晴らく、神懸かりと言えよう。もう一つの主題は贖罪であるが、このテーマはドメニコとアンドレイの精神的血縁関係を通して直感的に描かれている。ドメニコは世界の崩壊から家族だけを守ろうとしたことに罪の意識を感じている一種の狂人であるが、精神的血縁関係を見出したアンドレイに蝋燭をもって温泉を渡ることで世界を救済してほしいと願う。そして、了承したアンドレイが蝋燭をもって温泉を渡るのだが、このショットがタルコフスキー映画の中でも1,2を争うほど、時間のリズムをうまく表現した映像といえるのではないか。このシーンの前のドメニコの嘲笑的な自殺のシーンと打って変わって、長回しの効果もあり、時間の緊張が極限まで伝わってくるシーンであると同時に、火のイメージがまた素晴らしい。ここでの火は強くもあり弱くもあるものという火の特性が完璧に視覚化されている点がすごい。そして、この儀式に成功したアンドレイに起こるイタリアとロシアという現在と過去の奇跡の融合、これはまさにタルコフスキーの魂の叫びである。時間というものがある限り、絶対的に故郷を求める気持ちを埋めることができないというタルコフスキーの心の絶望を表現したシーンであろう。映画ではノスタルジーは満たされるが現実で決してノスタルジーは満たされないものだということを強く感じさせられた映画であった。
10点(2004-02-16 00:18:28)(良:2票)
3.  惑星ソラリス
クリスが人間へ再生していく所が興味深かった。妻、母、父への愛を取り戻していく姿に感動した。また、映画自体の独特の世界観、映像美が素晴らしいし、 時の描き方が長回しや固定画面の多用によって監督独自の感性で描かれており、否応にも同じ時間を共有させられてしまう点が見事だ(特に象徴的なのが、バートンが運転する車が高速道路を走るシーンである。長回しで延々と車の中を撮影することで、バートンが感じる「時の厳しさ」を観る者もバートンと同じように感じてしまうのだ)。タルコフスキーの映画で不可欠な水も忘れてはならない大切な要素である。母親との思い出を描いた回想シーンのなかで出てくる癒しの水、過去を象徴する水溜り、時のリズムを刻む水の音、水と触れ合うクリスやその妻ハリー(水と触れ合うというのは時間の非可逆性の中で生きるタルコフスキー的人物像を描く上で不可欠な要素)など、水の使い方が「時間」という観念をうまく表現しており、水の流れが未来へと流れ込むことによってタルコフスキー映画は完成するのである。そして、地球への帰還がそのまま惑星ソラリスへの残存となってしまうラストには驚嘆せずにはいられなかった。驚きと興奮が連続する映画であることは間違いない。 すごい映画である。
10点(2004-02-15 23:47:30)(良:1票)
4.  誓いの休暇(1959)
心の奥底に響く素晴らしい映画である。まさに愛の歌だ。母親へ会うために故郷へと急ぐアリョーシャ、正義感と勇気に満ち溢れた男である。戦争はこんな男ですら殺してしまうのか、と考えさせられてしまう。最後の母親との涙の再会はまさに本物の感動であった。娘とのはかない恋愛も悲しすぎる。娘との出会いも運命ならば、戦争での死も逃れられない運命なのか。引き返すことのできない列車がアリョーシャを運命に引きずり込んでいる気がした。ラストの母親が見送る中でのアリョーシャの後姿、地平線にむかって伸びる道の先に待ち構えている死へ自ら戻っていくようでいたたまれなかった。本当に心底、感動できる傑作だと思う。
10点(2004-02-06 22:29:08)(良:2票)
5.  ざくろの色
確かに色の使い方がやばい。ストーリー性がない分、映像が際立ちまくっている。詩人の内的世界の美しすぎる映像化に成功したセルゲイ・パラジャーノフに敬意を表したい。とてつもなく高いインスピレーション、私達、凡人には到底及ばない世界だと感じた。うーん、深い、深すぎる!
9点(2004-02-03 14:50:46)
6.  戦艦ポチョムキン
オデッサの階段のシーンなど、この映画においては、新しい手法など取り上げがちだが、単純に観ていて吸い込まれるオーラがこの作品の中には充満している。「イワン雷帝」同様、セルゲイ・エイゼンシュテインの魂が込められた映画と言うことができよう。ポチョムキンという名は初めて聞くと笑ってしまいますが。
9点(2004-01-17 22:14:19)
7.  ひまわり(1970)
なんとも悲しく切ない映画なんでしょうか。戦争に翻弄された男女の悲しすぎる物語を、ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニの最強コンビが熱演している。また、音楽もまたこの映画の切なさを助長しており、実に素晴らしい。映画を観ていくとどうしてもソフィア・ローレンに感情移入してしまうが、ロシアでマルチェロ・マストロヤンニを介抱した女性も人間的に素晴らしい。しかし、マルチェロ・マストロヤンニのことでどちらかが不幸にならなければならないわけで、観てる側としては二人の女性どちらも幸せになってほしいと思う分、それだけ戦争がもたらす不幸が浮き彫りになり、怒り、悲しみを覚えさせてしまうこの作品は傑作だ。感動をハリウッド的ないやらしさがないので素晴らしい。
10点(2004-01-07 20:04:50)
8.  イワン雷帝
セルゲイ・エイゼンシュテインの映画理論がギュッと詰まった作品。イワン皇帝を演じた主演のニコライ・チェルカーソフをはじめとする役者人の視線の演技を観ているだけでも非常に興味深い。2部におけるカラーの使い方も実に効果的だ。ストーリーも重厚で満腹感を覚えることは間違いない。今の時代では利益度外視のこのような真の意味で素晴らしい作品にお目にかかることは不可能だろう。
10点(2004-01-07 19:27:02)
9.  僕の村は戦場だった
イワンの幸福だった過去の表情と現在の復讐に燃える表情との対比が全てを物語っている。また、水の使い分けがすばらしい。幸せを祝福する意味で水を使う一方、ドイツとロシアを隔てる川は緊張感を持っていて、その後の不幸を予感させている。この映画を観て、戦争の残虐さを感じることはもちろん、さらに本質的な時間の厳しさというものがヒシヒシと伝わっってくる秀作である。
9点(2003-11-22 21:53:01)(良:1票)
10.  
断片的に流れている映像から主人公の懺悔の気持ちやノスタルジーが伝わってきて、更にそれが私的なものから普遍的なものへと広がっていると感じた。また、惑星ソラリスと違って、この映画のノスタルジーは充足することがないまま終わってしまうので、時間というものは残酷であると強く感じずにはいられなかった。それにしても 言葉では表すことのできないような美しさがありますね。
10点(2003-11-14 23:34:03)
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