1. ジョン・ウィック:チャプター2
《ネタバレ》 ワタクシ史上、これまで観てきたアクション映画での死者数を大幅に更新しました。死にすぎ。しかも今回も念入りに殺すなあ。二発目三発目と撃ち込んで。これはサバイバルゲームの世界観まんまですよね。近年は(仮想空間で)人がばたばたと斃れるシーンに皆脳が慣れてしまってるんですね。映画の脚本に影響が及ぶのもむべなるかな。 現実にはもちろんのこと、ゲームであってもまあキアヌのようにやってのけるのはほぼ無理。互いに撃ち合っても仕留めるのはキアヌの方。彼の銃だけ連射速度がずば抜けて速いとしか思えません。あと体力がハンパなさ過ぎ。なにせ撃ち合いながら500mは走った後に揉みあって階段を200段近く転げ落ちたのち、取っ組み合いなどできましょうか。プロアスリートだってこの状況なら猫パンチを繰り出すのが精一杯ではないですかね。 しかしそこは伝説の殺し屋キアヌは出血を抑えながら次々襲い掛かる刺客らの腕を折り、首を鉛筆貫通させ死体の山を築くのだった。ああ痛たたた。 1作目よりドラマ性はぐっと減り、より「スタイリッシュに人を殺す」画ヅラとなっております。良くも悪くもすごく今風。数十年後にはどういう評価をされるのかな。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-10-22 15:15:18) |
2. 情事(1960)
《ネタバレ》 冒頭の、令嬢行方不明事件を追い続けて観ていると酷い目にあいます。私は酷い目にあいました。この作品てミステリーの範疇に入るのか・・。”ミステリー”てそっちか。人の心のわからなさ、を指すのか。 とかく直列思考のワタシにとっては冗長とも感じる長い中盤がなかなかの苦痛でした。モニカ・ヴィッティの絶世の美貌がなければ観続けることができたかどうか。 美術画を思わせるようなカット、奥行きのある構図等、美的偏差値が高いのはわかるんだけども、芸術って飽きちゃうんだよなあ。いやアンナどこ行った。 現恋人の友人に目移りしたり、かと思えばまた別の女に手を出す。いかにもイタリア人気質のこの男の役はマストロヤンニクラスの愛嬌と深みがあってこそ、ラストの女の「しょーがないわねまったく」的な裁量を引き出せるのです。しかしガブリエレ・フェルゼッティではそこまで魅力的ではなかったなあ。にやけた中年オヤジにしか見えなくて。オメーが泣くんじゃないよ。ほんとある意味驚天動地のエンディングでした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-12-08 15:42:46) |
3. シンプルメン
《ネタバレ》 私は映画雑食なので、インディーズにアレルギーは無いです。ジャームッシュやソダーバーグらのおっそろしく地味な卒業作品も、面白いと思いました。 でもハル・ハートリーの本作、これは相性が合わなかったみたいだ。インディーズってそもそも自分のセンス全開で「わかる奴にだけわかってもらえば良い」というスタンスだから、つまりハートリー氏とは感性が合わないんだろうな。 途中で出会う鼻ピアス女子高生の存在、意味がわからない。何人かの登場人物がぶつぶつと単語を繰り返すその意味も。 へんてこなダンスシーンは奇妙ではありますけど、いかにも非営利、アート感、ザ・インディーズな作り手の過剰な自意識がすごくうるさい。 すぐ手を上げる女性らが、やたらと乱暴なのも嫌です。 当初の目的の父親探しが達成されてもびっくりするくらいアクションが何も無いんですね。人物らのちょっとした「間」を読ませるといったジャームッシュ的な技巧もないですし、もうどうにも退屈してしまいました。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2018-08-05 16:35:22) |
4. 自転車泥棒
《ネタバレ》 多分、100人がこの映画を観たとして、97人位は主人公とストーリーを共にするうち「ああーっ自転車盗んだ奴許せねえっ」と憤慨し、ヤケクソで高い食事をする父親の切なさに「わかる、わかるよ」と心寄り添い、ラストに一台ぽつりとそこにある他人様の自転車に良からぬ考えを抱いて心がざわざわしてしまうはずなのだ。人にみな共通の心の弱さだったり、人生の理不尽さが無慈悲に展開し、ワタシの心はすっかりかき乱された。チキショー、つらいなあ、お父さん。飲みに行きましょう、おごりますよ。 [地上波(字幕)] 8点(2014-04-12 00:27:15)(良:1票) |
5. 白いリボン
鑑賞中は、異様な吸引力に息を詰めていた。観終わって脳が情報を整理するにつれて、じわじわとくる怖ろしさ。ナレーションが「村はいつもの平和に戻った」と何度も言うけど、いやいやいや、この村の病根のハンパないこと。陰惨で、閉塞で、それでいて苛烈な暴力。“白いリボン”は抑圧の象徴だ。一見優等生のクララの眼差しをあんなにも暗い狂気にしたリボン。怖い。冒頭で「この出来事は当時のわが国のありようだ」と語られた。この後、第一次大戦が勃発し、やがてナチスが台頭する時代を迎えるドイツ。戦禍に巻き込まれた形のヨーロッパ周辺国にとっては「やだドイツ訳わかんない。何考えてんの」という思いが数十年にわたって積もり積もってきたであろうから、この映画の不気味さにはカンヌの審査員達もなんかすごく諒解できるものがあったんじゃなかろうか。想像だけど。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-09-25 00:26:41) |
6. 真実の瞬間(1965)
《ネタバレ》 一攫千金とばかりに闘牛士を夢見た男が見事スター・マタドールに成り上がり、しかし日々命をすり減らすショービジネスに徐々に消耗してゆく・・、と話はややありきたりではあります。でも闘牛のシーンは迫力があり、主人公の彼の牛をかわす身のこなしが流麗でセクシーで見惚れます。闘牛の人気って命がけのハラハラ感のほかに、刹那的な美しさも魅力なのかなあ、と新しい発見でした。マタドールの素敵さはよく分かったんだけども、でも牛が血まみれで絶命するのにやんやと喝采はできないなあ・・ヒト様の文化なので何も言えませんが。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2013-04-19 01:05:06) |
7. シシリーの黒い霧
モノクロなのに印象強烈な陽光。影がくっきりと黒く濃く、舞い上がる砂埃に乾いた空気を感じる。映像は鮮烈なのだけど、ではお話はというと人物の見分けにも失敗し、古きイタリア映画特有の寡黙さに忍耐力もぎりぎり、シチリア独立戦争の知識もはなはだ乏しいときて、なんの感想も抱くことできず、つまり完敗した映画でありました。 [ビデオ(字幕)] 4点(2012-08-14 15:01:24) |
8. シャンドライの恋
《ネタバレ》 怪しい贈り物と、こぼれ落ちるピアノの音。ぽろぽろぽろぽろ・・。加えて濃密な映像と螺旋階段に悪酔いしそうになった、中盤までは。あー、シャンドライはきっとこのヘンな男のせいでノイローゼになるに違いない、と思った私はとんだ青二才だった。ストーカーだと思っていたのが純度の高い愛に百八十度転換したそのときの衝撃たるや、もう・・。なんだか身動きがとれないラストも忘れ難い。 [映画館(字幕)] 8点(2012-02-05 16:10:01)(良:2票) |