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221.  夕陽に赤い俺の顔 《ネタバレ》 
篠田正浩監督は喜劇をやるイメージがないのでどんなものなのかと思っていたら、松竹マークの出るいちばん最初の部分から日活映画と見まがうような音楽が鳴り響き、中身自体も松竹というより日活、それも鈴木清順監督の「東京流れ者」のようなぶっ飛んだ演出が光るカルト映画としか言いようのないものになっている。先に後年の篠田監督の映画を何本か見ていると、これが篠田監督の映画とは信じられないほどの怪作ぶりだ。タイトルの出し方も凝っているが、そのバックに流れる主題歌が強烈で、ここからもう一気に引き込まれる。ストーリーは単純だが、それを独特の演出で描き、インパクトを持たせる手法や、突然ミュージカル仕立てになるところも「東京流れ者」と同じ。「東京流れ者」のほうがインパクトは上だと思うが、製作されたのは「東京流れ者」よりも5年ほど前というからすごい。篠田監督の映画は今まで見た範囲では、面白いと思えた映画は少ないのだが、これは本当にカルト映画の傑作の一本と言っていい作品で、今まで見た篠田監督の映画の中ではいちばん面白かった。本作は篠田監督にとって3本目の監督作で、はっきり言ってこの調子でずっといけば篠田監督は清順監督のようなカルト映画の巨匠になっていたかもしれないとさえ思えてしまう。変な映画だが、それでも夕焼けをバックにしたラストシーンは非常に美しい。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2013-02-20 23:28:50)(良:1票)
222.  日本一の色男 《ネタバレ》 
「無責任男」シリーズの進化系と言われる「日本一の男」シリーズ第1作。「無責任男」シリーズ2本同様に植木等演じる主人公のパワーあふれるサラリーマンの活躍が見ていて楽しいし、冒頭から卒業式で歌われる「蛍の光」から突然、植木等がコミカルな曲を歌いはじめる導入部から笑えて、タイトルの出るタイミングも古澤憲吾監督らしい演出で引き込まれた。植木等演じる主人公はとにかく女にモテまくり、仕事も出来るという男にとってまさに理想ともいうべき存在で、本当にこの頃の植木等の姿を見ると元気が出る。ただ、ラストシーンはあれだけモテていた主人公が本命の恋人(藤山陽子)に振られるというもので、どこか「男はつらいよ」シリーズのような感じで少し切なかった。こういうのは植木等主演の喜劇映画ではかなり異色な感じで、このシリーズの雰囲気にややそぐわない気もするが、個人的にはこういうのもアリだと思う。クレージーキャッツのほかのメンバーも出演していて楽しいが、先日谷啓が亡くなったこともあり、もうメンバーの中で生きているのは二人だけなんだなと思うとやっぱりさびしい気がした。犬塚弘と桜井センリにはほかのメンバーの分まで生きていてほしいと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2010-10-06 18:22:24)(良:1票)
223.  TRICK トリック 劇場版 ラストステージ 《ネタバレ》 
劇場版にサブタイトルがつくようになってわずか2作目での完結編となってしまった。冒頭に一か月前に呪いをかけられ死を宣告された男(石丸謙二郎)が出てきたり、舞台となる異国の元首が菅井きんだったりと、連ドラファーストシリーズ第一話の「母之泉」を思わせる部分があって、最後にして原点回帰を目指しているようにも思う。印象としてはこれまでと変わらず山田(仲間由紀恵)と上田(阿部寛)のとぼけたやりとりや村上ショージを使った薄ら寒いギャグなどこのシリーズらしさは健在。(深夜枠時代のような雰囲気はもはやないが、シリーズが長く続くと作風の変化は致し方ない。)今回は最初で最後の海外ロケに出ていて、それがこのシリーズには少々不似合いのような気もするのだが、長年の関係者の慰労も兼ねてたんだろうなぁ。仲間由紀恵と朝ドラ「花子とアン」で夫婦を演じていた吉田鋼太郎が出演しているが、もし朝ドラ放送後の公開だったらこのシリーズのことだからそれに関するネタを絶対にやっていただろうなぁ。でも、そういういつもと変わらない軽い気持ちで見ていたからこそ山田が呪術師ボノイズンミ(水原希子)の代わりに自らを犠牲にして村を救うことになるあたりから突然目が離せなくなった。ここは本当に今までのシリーズを見ているとこみ上げてくるものがあり、山田を必死に説得する上田に感情移入しないはずがない。そして、事件が終わった最後の10分ほどこそが本作最大の見どころで、とくに主題歌の「月光」(やっぱりこの「トリック」という作品の主題歌は鬼束ちひろでないとしっくりこない。)のバックにしたこれまでのダイジェストを見て、シリーズが終わることを実感し、さびしい気持ちになったし、その後のいちばん最後のシーンで上田の前に現れた山田が「母之泉」で上田の前で初めて披露したコインと封筒を使ったマジックを始めるところで思わず泣きそうになってしまった。堤幸彦監督の作品では「ケイゾク」でも「SPEC」でも男女バディのコミカルなやりとりが面白いのだが、やはり「トリック」はそこがいちばん安心して見られる。今まで見続けてこれたのはそのためかもしれない。これでこのシリーズも見終わってしまったわけだが、実際、堤監督のバディものシリーズを最後まで見てこれほど名残惜しさを感じるのは初めて。それほどこの山田と上田というコンビがずっと見ていくうちにいつの間にか親近感がわいて好きだったんだろうなあと思えてくる。(あまり「ファン」という意識なく見ていたつもりなんだけども。)リアルタイムでずっと見ていたわけではないのだが、それでも最後まで見続けて良かった。
[DVD(邦画)] 6点(2017-11-18 18:21:01)(良:1票)
224.  五瓣の椿 《ネタバレ》 
自分の出生の秘密を知った女が母と関係のあった男たちを次々と殺していく復讐劇を描いた野村芳太郎監督による時代劇。こう書くと松本清張原作かと思ってしまうが、山本周五郎原作というのにまず驚かされる。とにかく女の怖さや執念がよく描かれた映画で、主演の岩下志麻はこの頃はまだ清純派女優だったはずだが、本作ではその美しさの中に父(加藤嘉)を弄んだ者たちへの恨みや情念を秘めた主人公にうまくハマっていて、これがのちの極妻などの後年の岩下志麻のイメージにつながって行くと思わずにはいられないし、また映画自体も見ごたえじゅうぶんな傑作になっているが、それもこの主人公おしのを演じる岩下志麻のキャスティングによるところも大きかったように思う。しかし、本作はただの復讐劇に終わらず、おしのの悲しみやつらさといったものもしっかりと描いており、それが映画にドラマとしての深みを与えている。おしのの母であるおその(左幸子)はまるで自分のことしか頭にないようなとんでもない女で見ていてとても憎たらしく思えてくるが、父の遺体のそばでおしのに真実をあっけらかんと打ち明け、平然と男と情事をしている姿にはさすがに唖然とさせられる、演じている左幸子の演技ももちろんすごいのだが、おしのによって放火されたあとの断末魔の絶叫とそれを無言で見つめるおしのが忘れられない。後半になって本格的に登場する加藤剛演じる同心(ちょっと「大岡越前」を思い出すが。)の人物像には好感が持て、この映画においてはまさに清涼剤のよう。野村監督とは名コンビの川又昂による映像も美しく、とくにおしのが犯行現場に残していく椿の花の美しさがよく出ていた。しかし、やっぱり本作は岩下志麻につきる映画で、「岩下志麻=怖い」というイメージになるきっかけになった映画(「鬼畜」を見た時からこのイメージは野村監督の映画でついたんじゃないかと思っていたがやはりそうだったかと本作を見て感じる部分もあるのだが。)かもしれないが、決してそれだけではない深さがこの映画にはあると思うし、そういうものを演技を通して感じさせてくれる岩下志麻はやはり名優なのだ。2時間40分少々の長い映画だが、その長さを感じることなく見れたのも良かった。
[DVD(邦画)] 8点(2023-05-05 02:30:26)(良:1票)
225.  雪国(1957)
川端康成の名作文学を「夫婦善哉」の豊田四郎監督が映画化した文芸大作。例によって原作は読んでおらず、「トンネルを抜けると雪国であった」という出だしの有名な一節しか知らない。最初のほうの再会シーンから初めての出会いを描く回想シーンあたりまでの雰囲気はけっこう良かったので駒子がなぜ芸者になったか判明したあたりからのドロドロした展開にはビックリしたが、格調高い叙情あふれる映画で、これは間違いなく名作と呼ぶに相応しい作品だと思う。駒子を演じる岸恵子がなんといっても素晴らしい演技をしており、この頃の出演作では「女の園」くらいしか見てないけど、雰囲気も「女の園」と比べると大人っぽくなり、後年の市川崑監督の映画とかで演じる女性像に近いものを感じた。60年代に松竹でも岩下志麻主演で映画化されてるみたいなんでそっちも見てみよう。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2007-10-27 02:01:35)(良:1票)
226.  踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望 《ネタバレ》 
シリーズ完結編となる劇場版第4作。今までの劇場版では複数の事件が並行して描かれていたのだが、今回描かれる事件は一つだけであまりゴチャゴチャしておらず、わかりやすいし、作り手も最後というのを意識してか、けっこう気合が入っているように感じる。しかし、途中までは面白く見れたのだが、青島が犯人(香取慎吾)の居場所を見つけ出すくだりが滅茶苦茶(バナナって。)だし、その後、体調不良のために刑事を辞めて故郷に帰るために夜行バスに乗っていたすみれがそのバスで倉庫に突撃するのももうどうなってるんだという感じしかせず、今までシリアスだった物語がここでいきなり壊れてしまった印象。それでも冒頭から松本晃彦のテーマ曲がかかるのは嬉しい(やっぱりこれがないと「踊る大捜査線」という感じがしない。)し、青島と室井のコンビもこうでなくてはと思わされる。もうこれだけで「踊る大捜査線」らしいと感じることができるし、このあたりは前作よりよっぽどいい。それだけにやはり犯人を逮捕に至る展開の適当さが残念。終わり方も完結編と謳っていながらそれらしい雰囲気がほとんどなく、いつもと同じような感じになってしまっていて、これでこのシリーズすべて見終わったという感慨がなにもない。せめて最後は青島とすみれが刑事を辞めて冒頭の張り込みでやっていた唐揚屋を本当に始めるという結末でよかったのではないかと思ってしまった。(冒頭のシーンを見てラストシーンの伏線だと思った人は多そう。)前作よりは面白く見れたので5点だけど、10年以上続いたシリーズの締めとしてはなんか違うし、投げやりな部分もありすっきりしない。「新たなる希望」というサブタイトルもただ「スター・ウォーズ」にあやかっただけでとくに意味はないような気がした。まさか数年後、「スター・ウォーズ」のように新シリーズぶち上げたりはしないだろうなあ。とりあえず本当に終わらせる気があって作ったのかと、見始めた時とは逆のことを見終わってから思ってしまったのは確か。
[DVD(邦画)] 5点(2013-09-17 02:54:28)(良:1票)
227.  MEMORIES 《ネタバレ》 
大友克洋が原作と総監督を務めた3話のオムニバスSFアニメ。20年前に初めて見た大友アニメがこの作品だったのだが、久しぶりに再見した。最初の「彼女の想いで」。三本の中でいちばんリアリティーを感じさせるストーリーで、冒頭部分は引き込まれる。しかし、エヴァが登場したあたりからちょっと話についていきづらくなり、結末もよくわからないまま終わってしまった感じなのが残念だった。次の「最臭兵器」は一転してコメディー調で気楽に見られる作品に仕上がっていて純粋に見ていて楽しいし、日本の山梨県が舞台のため、三本の中ではいちばん身近に感じられる。飲み薬を間違えたことで自分の知らぬ間に人間兵器と化した男が巻き起こす騒動を描いているが、彼に対して自衛隊が一斉攻撃を仕掛けるシーンはけっこう迫力もあり、見ごたえもじゅうぶん。桜と向日葵が同時に咲いている画もシュールかつそれでいて画的には美しく印象に残った。始まるや否やテレビから流れる「おはよう♪やまなし♪」という曲や、孫である主人公をテレビで見た祖母が次に登場したときには自衛隊のヘリに乗っているという行動力のすごさも面白かった。結局最後まで騒動の大元が自分であることに気が付かない主人公の無能さが滑稽で、オチもブラックなところが良い。確かに「老人Z」を見た後になってあらためて見ると話や雰囲気に似た部分があり、焼き直しかなとも思えるのだが、そこはあまり気にせずに楽しむことができた。最後の「大砲の街」は大友監督自身が手掛けた作品で、大砲を撃つことが職業のようになっている街を舞台に、そこに住む少年の目を通してその大砲の街の日常が描かれている。20分ほどの全編をワンカットで撮影していることもあり、ドキュメンタリーのような仕上がりで、繰り返し流れるスローガンや女性の職場などどことなく戦意高揚映画のような雰囲気もある独特な作品で説明的な部分も一切ないのだが、この独特の世界観の描写が実に良く、個人的にこの話が三本の中でいちばん気に入ったし好きだ。(ちなみに以前見た時は「最臭兵器」がいちばん気に入った作品だった。やっぱり久しぶりに見ると好みって変わるんだなぁ。)それと、思わず踊りたくなるようなエンドロールの音楽もノリがよく、エンドロールが終わってもしばらくこの曲を聴いていたいという気持ちになった。このあたりに見ている人に映画を最後の最後まで楽しんでもらおうという大友監督の配慮が感じられる。(2018年7月6日更新)
[DVD(邦画)] 6点(2005-09-11 00:34:44)(良:1票)
228.  お早よう 《ネタバレ》 
昔見た時もすごく楽しめた映画だったが、やはり久しぶりに見ても面白かった。小津安二郎監督の映画に登場する子供はどの映画でもみんなイキイキとしているが、子供が主役の喜劇映画である本作はとくにそれが感じられ、子供たちのオナラ遊びや、実と勇の兄弟が母親(三宅邦子)に「アイラブユー」、「オフコースマダム」とませた英語を話すシーンなどほほえましく、とにかく子供たちが本当にイキイキと元気に描かれていて、小津監督の子供の使い方のうまさや、喜劇のセンスの冴えもあり、やっぱり小津監督は喜劇映画の監督だと思わずにはいられない。中でもテレビ欲しさに一言もしゃべらなくなった兄弟が給食費のことを家族に伝えようとするジェスチャーのシーンはとくに笑ってしまったが、ここに小津監督のサイレント時代の経験が活かされているのは明白だろう。(筆談すればいいのにと思うのは野暮というもの。)そんな子供たちだけではない、舞台となる集合住宅の住人たちの噂話も、冒頭の会費の行方についてのシーンからこんな噂話してる人、周りにもいるなあと妙に親近感がわいて、本当に近所の主婦たちの井戸端会議を見ているようで面白い。この部分では会費の問題が解決したあとに実と勇がしゃべらなくなり、杉村春子が挨拶をしても返さないのを会費を横領したのを疑われた親がそれを根に持って子供に相手をしないようにしてるんだと話すシーンがとくに印象に残り、笑える。(三宅邦子、かわいそうに。)この杉村春子も良いのだが、キャラがたっているのが三好栄子演じる彼女の母。会費の行方の真相についてもそうだが、なんといっても押し売り(殿山泰司)とのやりとりが愉快痛快で楽しかった。笠智衆のセリフで大宅壮一の言葉を引用している(前に見た時も印象に残った言葉だった。)が、この当時の映画業界人の中にはこの言葉に共感する人も多かったのではないかとつい思った。なにはともあれ、肩の力を抜いて気軽に楽しめる喜劇映画で、もし、小津監督の映画にまったく触れたことがないような人がいたら、まず最初にすすめてみたい映画だ。(2020年1月13日更新)
[DVD(邦画)] 9点(2005-04-12 21:19:21)(良:1票)
229.  刺青一代 《ネタバレ》 
鈴木清順監督による任侠映画。話自体はストレートな任侠映画なのだが、クライマックス、主人公(高橋英樹)の弟が殺されたあたりからはそれまでの流れとは明らかに違う鈴木清順の世界が展開され、雷の光で影が映り込む障子や、延々と続くふすまのカラフルさ、どこか舞台劇か歌舞伎を思わせる殺陣と、とにかく清順美学と呼ばれる清順監督のこだわりが炸裂していて、とくに対峙する高橋英樹と河津清三郎を真下からとらえたショットはあまりも斬新で見事としか言いようがなく、このクライマックスだけで単なる任侠映画が前衛的な芸術映画に変貌してしまっているのは本当にすごいし、「東京流れ者」もそうなのだけど、本作も清順監督のほかの監督にはないような独特の映像感覚を堪能できる映画になっていて、もうこれだけでファンならば見る価値はじゅうぶんにある映画だと思う。出演者に目をやれば主演の高橋英樹は同じ時期の日活のスター俳優たちに比べると顔立ちが濃いのでさわやかさを売りにする青春映画よりもこういう任侠映画のヤクザ役のほうが役的にハマっていたと思うし、和泉雅子の役柄も悲壮感を感じさせず、逆に明るさや可愛さが際立ったキャラクターに描かれていて、東映の任侠映画に出てくる女優ではこういうのはあまりないので、新鮮に感じたし、また、こういうところに東映とは違う日活のカラーがよく出ていると思う。親方役の山内明も良かった。しかし本作はやはりさっき書いたようにそれよりもクライマックスの清順美学を堪能するための映画だと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2014-09-05 00:51:04)(良:1票)
230.  のど自慢
井筒和幸監督というと失礼ながらテレビで話題の映画を酷評しているイメージが強く、自らの監督作に対してとても自信過剰な人に見えてなんだかイヤで、あまり監督作を見る気がしなかったのだが、「パッチギ」が話題になったこともあり、ためしに一本見てみようという気になってすごく期待しないで見たのだが、予想を裏切ってすごくいい映画だった。既に青観さんが書かれているが、旅立った姉のために妹が「花」を歌うシーンはとても感動的。北村和夫が歌う「上を向いて歩こう」にも勇気づけられた。こんなに明るくて感動できて観終わって心が晴々とするような映画はかなり久々に見たような気がする。井筒監督のほかの映画もこれからは食わず嫌いせずに見てみようかな。
[ビデオ(邦画)] 8点(2006-02-07 02:55:31)(良:1票)
231.  わたし出すわ 《ネタバレ》 
今日は森田芳光監督の一周忌の命日。偲ぶ目的で本作を見た。小雪は友達に惜しげもなく大金を差し出す主人公の女をミステリアスに演じていて、三丁目の夕日シリーズのヒロミ役よりこっちのほうが合ってる感じなのだが、金の出所が判明してからはそのミステリアスな雰囲気が一気に感じられなくなり、ただの強運の持ち主というふうにしか見えなくなった。どうせなら最後に主人公が株で大損するとかすればよかったのだが、それをしないで、人命は金では買えないというあたりまえのことを描いて終わられても困る。主人公に金をもらった人々のエピソードに関しては路面電車運転士の夫が主人公にもらった金を勝手に使い込んで借金まみれになった妻が挙句の果てに主人公を殺そうとするのは完全に勝手に逆恨みしてるだけだし、簡単に騙されて殺された女も自業自得としか言いようがなく、底が浅い。一方で故障したマラソンランナーが主人公の出した金のおかげで手術を受けることができ、またカンバックできたエピソードや、冒頭で主人公に10万円渡された引っ越し業者の男のその後をラスト付近でその男が主人公に語るかたちできちんと描いていて、そこは良かった。ただ、この両者を対として描きたかったのであれば、バランスがあまり良くないような気がするし、仲村トオルの存在も意味不明だ。森田監督の本作の次の映画は再びお金をテーマにした「武士の家計簿」だが、そっちのほうがまだ面白かったと思う。
[DVD(邦画)] 4点(2012-12-20 14:07:31)(良:1票)
232.  八日目の蝉 《ネタバレ》 
特に興味もなかった映画だったのだが、見ているうちにだんだんと引き込まれた。他人の子どもを赤ん坊のときに誘拐して育てながら逃避行を続ける女・希和子(永作博美)を描いた過去と、成長した娘・恵理菜(井上真央)の葛藤を描く現代が交互に出てくるが、二つのパートとも丁寧で秀逸なつくりで、日本映画らしい日本映画になっている。本当は永作博美演じる希和子は憎らしい存在なはずなのに、話がすすむうちにこの二人が愛おしく微笑ましく見え、本当の親子ではないことをつい忘れてしまうほどだった。それだけに希和子が逮捕されるシーンは切ない。赤ん坊を誘拐された家族にとっては一刻も早くわが子に戻ってきてほしいという気持ちは分かる、でも誘拐された赤ん坊にとってはこのまま本当のことを知らずに育てられるほうがしあわせかもしれない、ふとそんなことを考えてしまった。あまり出演作を見ていないせいか現代パートで主人公を演じる井上真央には明るいイメージがあるのだが、暗い過去を持ち、その過去を肯定するまでの主人公をうまく演じており、幅の広さを感じた。ラストの恵理菜の決意も泣ける。暗く重苦しい映画だが、女性の強さや希望といったものを感じられるいい映画だったと思う。また、現代の希和子をあえて出さずに終わったのはいい意味での裏切り。後半の舞台である「二十四の瞳」でお馴染みの小豆島(二十四の瞳映画村が撮影協力としてクレジットされている。)の美しい風景も印象的だ。おそらくここでの生活が二人にとってもっとも幸福な時間だったのではないだろうか。
[DVD(邦画)] 7点(2012-05-24 18:02:04)(良:1票)
233.  サマーウォーズ 《ネタバレ》 
田舎の雰囲気はいいし、登場する一族の面々もいい味を出していて、この一族の絆はよく描けていたと思う。しかし、それがどうもネット上の仮想空間で起こっている事件との釣り合いがうまくいっていないように思うし、面白いんだけど、なにか詰め込みすぎな感じ。細田守監督初のオリジナル作品ということだが、終盤は「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!!」そっくりの展開で、正直、もっと頑張ってほしいと感じた。それでも、栄の部屋の黒電話や、何度も出てくる一家全員で食卓を囲むシーンなどレトロ感がよく出ている演出がいいし、有名芸能人による吹き替えもそんなに気にならなかった。(これは普段テレビを見ないせいで、馴染みのある人が少ないせいもあるのだが。)とくに、栄を演じた富司純子がよく、アニメ声優として見るのはおそらく初めてだと思うけど、素直にうまいと思えた。見終わってとくに何かが残る映画かと言われれば正直微妙な気がするのだが、栄が家族に宛てた手紙を読むところは思わずジーンとさせられる。侘助というキャラクターは伊丹十三監督がモデルだそうだが、「お葬式」での山崎努と同じ名前なので、やはりオマージュなのだろう。さっきも書いたけど、仮想空間の混乱と田舎のある一族の絆を描くというのにちょっと無理を感じるし、どちらか一方だけをテーマに据えたほうがよかった気もするが、おそらくヒット要素として仮想空間の混乱を描いているのだろうけど、二つの要素を混ぜたことでドラマとしての深みがそれほど感じられず、個人的には仮想空間での事件という要素はなくてもよかったんじゃないかと思う。(そうなると地味すぎる映画になってしまうが。)あまり自分の評価は高くないけど、はっきり言って「時をかける少女」のほうがドラマとしての見ごたえはあったと思う。さらにいえば、細田監督は東映アニメーションの出身なので、オリジナル作品を作るとどうしても東映アニメーションの少年ジャンプ系アクションアニメ的な要素が入ってしまうのかもしれない。ところで、小惑星探査機が原発に落下しそうになるクライマックス、東日本大震災後の今見たらなんか現実の原発で起こっていることと妙に重なってしまって少し怖かった。(このシーンを理由にしばらくこの映画のテレビ放送はないかも。)
[DVD(邦画)] 6点(2011-07-12 23:17:27)(良:1票)
234.  三大怪獣地球最大の決戦
このキングギドラが一番好きだ。「怪獣総進撃」のところでも書いたようにキングギドラの第一印象は僕にとって最悪のものだったが、本作では初登場だけあってさすがにカッコイイ。特に隕石がだんだん怪獣の形になっていく登場シーンは印象深い。ゴジラとラドンをモスラが説得するシーンは怪獣の言葉を小美人が訳すというのが笑える。ゴジラはこれ以降、人類の味方になってしまったのが今にして思えば残念だが、それでもこの映画は好き。
[ビデオ(邦画)] 8点(2005-03-05 00:59:33)(良:1票)
235.  ライジング・サン(1993)
ここのページを見て、どんなにくだらない映画なのかと逆に見たくなってしまった映画。刑事ドラマとしては普通。だが、やはりショーン・コネリーの「フジャケルナ」とか、「ベリー、ベリー、オコッタ」などのたどたどしい日本語が妙に印象に残った。話題(?)の女体盛りのシーンで(予想はしてたけど)かなり脱力した。でもいちばん笑いそうになったのは「ハマグリ社」とかいう会社の社名。いくらなんでもそんな名前はないだろう。武満徹の音楽は良かったけど、洋画で日本的な尺八とかの音がするのはちょっと違和感があった。この映画がコメディー映画だったら7点くらいだけど、一応、まともなサスペンス映画として作られてるみたいなんでこの点数。
[ビデオ(字幕)] 3点(2005-07-20 02:57:31)(良:1票)
236.  ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル 《ネタバレ》 
シリーズ第4作。1作目のレビューでもっと仲間たちの個々の活躍を見たかったと書いたが、15年後に製作された本作ではそれがきちんと描かれており、また2作目や3作目のようにアクションが派手な印象はなく、どちらかと言えば地味なつくりだが、いちばんの見せ場である高層ビルをよじ登るシーンは緊張感があり、作風としては1作目にいちばん近い感じがする。ただ今までのシリーズになかったギャグシーンが少々緊張感を剥いでいる感がなくはない(くどい感じは受けないが。)し、冒頭から存在感を放っていた敵方の女暗殺者を中盤であっさり死なせてしまうのはもったいない気がする。今までのシリーズはそれぞれ独立したストーリーであったが今回は前作の監督がプロデューサーをつとめていることもあってか、前作とも少し関連性を持たせているところがミソかもしれない。今回はタイトルが「M:I:Ⅳ」ではなく、サブタイトルのついたものになっているが、これは今後もこのシリーズを続けるというトム・クルーズの意思の表れだろう。ひょっとしたらこのシリーズは「007」のように長く続いていくかもしれない。
[DVD(字幕)] 6点(2012-11-20 17:46:12)(良:1票)
237.  拳銃は俺のパスポート 《ネタバレ》 
カルト映画と呼ばれる宍戸錠主演のハードボイルドガンアクション映画。モノクロの画面が渋い独特の雰囲気を醸し出していて、やはりこういう映画にはモノクロの映像がよく似合うとあらためて感じる。冒頭の組長暗殺シーンも緊張感にあふれていて、見せ方も手を抜かずリアルでこれだけでもう見てよかったと思える。暗殺の標的になるこの組長をこういう雰囲気の映画にはあまり似つかわしくないようなアラカンが演じているのが意外に感じるが、同時にそこがツボだった。(一言もセリフがないというのがまた良い。)そのあとは主人公たちの逃避行とそれを追うヤクザたちの攻防が描かれているが、それも見ていてハラハラドキドキさせられる展開で飽きさせない脚本が良い。途中で出会うヒロインを演じる小林千登勢も可愛らしく魅力的だ。冒頭のタイトル部分から西部劇のような音楽が流れているのもカッコいいが、クライマックスの決闘シーンは本当に西部劇を思わせる演出で、なるほどと思った。それにリアルタイムで見る宍戸錠というのは西部劇にかぶれた人という印象があるのだが、それも妙に納得。ラストこの主人公は殺されるのではと思わせておいての大逆転劇も(確かに敵が少し油断しすぎのようにも見えるのだが。)見事。これがデビュー作となる共同脚本の永原秀一はこの後、加山雄三や松田優作主演のハードボイルド映画を手がけることになるのだが、その片鱗はじゅうぶんに感じられる作品になっている。少し甘めなのだが8点を。
[DVD(邦画)] 8点(2016-01-15 23:30:05)(良:1票)
238.  昭和おんな博徒 《ネタバレ》 
加藤泰監督最後の東映作品となる任侠映画。主演は江波杏子というのが東映任侠映画では珍しいのだが、本作の企画意図としては時期的に藤純子引退後に新しい任侠映画のスター女優をというのがあったのだろう。どうかなあと思っていたのだが、江波杏子は大映で任侠映画のシリーズを持っていたらしく、そのせいか特に違和感はなく、良かったと思う。主人公・お藤が雨の中、標的を仕留める冒頭からいかにも加藤監督らしい演出で格調高く、ここだけでも印象に残るものとなっている。(この冒頭の雨とタイトルロールの汽車を見ると加藤泰の映画だなあとすごく感じられる。)物語としては夫(松方弘樹)を殺されたお藤の復讐劇で、夫 新二郎が殺されるまでのエピソードを前半に回想形式で描き、後半の復讐劇につなげるという二部構成になっているが、脚本としては前半部分が丁寧に描かれているのに対して後半部分がちょっと急ぎすぎに感じるのは尺の都合上仕方がないとはいえ、なにか物足りない感じがしたのが少し残念だったのだが、前半の松方弘樹も後半の天知茂もお藤と関わっていくドラマがみごたえあるものになっていてあまり退屈はしなかったのでもう30分ほど長ければもっと良かったかもとも思った。ところで、DVD特典映像の予告編を見ると「新シリーズ」とうたっていて、最初はシリーズ化を計画してたのがうかがえるのだが、2作目は作られることはなく、東映ヤクザ映画は翌年から任侠映画に代わって実録路線へ。そして加藤監督は次回作から松竹を中心に映画を手掛けるようになる。やっぱこの時期(70年代初頭)の東映の任侠映画を見るとそういう移り変わりの時期だったことを思わずにはいられない。
[DVD(邦画)] 7点(2017-09-09 23:58:54)(良:1票)
239.  ALWAYS 三丁目の夕日‘64 《ネタバレ》 
シリーズ3作目。今回は劇場公開時には3D版もあったということで、冒頭の東京タワーのふかん映像や、六子(堀北真希)の恋人(森山未來)が鈴木オート社長(堤真一)にぶん殴られて、ガラス戸を突き破って吹き飛ばされるシーンなどは、明らかに3Dを意識した演出となっているが、本作は特撮映像が売りではなく、東京オリンピックの時代を舞台にした人情喜劇なので、3Dでやる意味は(2Dで見たのだが)ほとんど感じられず、2Dであっても支障はまったくないように思う。話としては六子の結婚や茶川(吉岡秀隆)の父親(米倉斉加年)との関係、淳之介(須賀健太)の茶川の元からの巣立ちなどが描かれ、それぞれに感動のポイントはあるのだが、どうも、作り手が感動させようといろいろ詰め込みすぎた感じで、冗長とまでは思わないがゴチャゴチャした感じではある。2作目を見ていないのだが、子役だった須賀健太や小清水一輝がかなり成長していたのには驚き。
[DVD(邦画)] 5点(2012-10-03 15:51:31)(良:1票)
240.  刑事コロンボ/祝砲の挽歌<TVM> 《ネタバレ》 
今回は完璧に事故にしか見えない殺人をどうやって暴くかというところが面白く、また犯人である幼年士官学校の校長の殺人の動機がいかにもアメリカの厳格な軍人らしい考えに基づいたうえでの犯行で、個人的な理由ではない動機はじゅうぶん理解できるものであるし、この校長のキャラクターもよく描けている。ただ、生徒の一人に濡れ衣を着せようとした行動は校長としてやってはいけないと思うし、ラストで言ったセリフもこれがあるためにふてぶてしく聞こえてしまう。でも理論的に犯人を追いつめていく展開がこの作品の最大のみどころで、結末は犯人の性格を利用してボロを出させるというのが見事で、かなり見ごたえのある作品だったと思う。ランニングシャツ姿のコロンボは「自縛の紐」の青ジャージ姿以上に普通のおっさんに見え、やっぱり思わず笑ってしまった。犯人役のパトリック・マクグハーンはいかにも厳格な軍人の雰囲気をうまく出していてハマリ役だと思う。(この後も何回かこのシリーズに犯人役で出てるみたい。)吹き替えは「水戸黄門」のご隠居役を演じた俳優の中でも善人役の印象が強い佐野浅夫が担当していて、彼の声は物腰柔らかな感じがするのでどうかなと見る前は思っていたが、とくに違和感は感じることなく見ることができた。吹き替えといえばこのシリーズの吹き替え版は過去の吹き替え音源の欠落部分をほかの声優で補ったものが使われていて、今まではさほど気にしていなかったが、今回はその部分がけっこう多く感じられ、さすがにちょっと気になってしまったことも書き加えておこう。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2013-03-10 15:00:17)(良:1票)

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