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281.  探偵はBARにいる3 《ネタバレ》 
前作から4年後に作られたシリーズ第3作。前2作を手掛けていた橋本一監督が「相棒」のメイン監督になった影響からか、今回の監督はNHKで「あまちゃん」や「サラリーマンNEO」を手掛けていた吉田照幸監督に代わっているが、多少軽さが増したとは思うものの、基本的な雰囲気は前2作と変わらず、今回も安心して楽しめた。相変わらず探偵(大泉洋)と高田(松田龍平)のやりとりは楽しいし、昔の探偵ものドラマのような少し古臭い感じなども監督が代わってもちゃんと出てるのが嬉しい。それでいて、軽さが増したことにより、笑えるシーンも前2作よりも増えているのは良かった。今回のヒロインは北川景子が演じているが、前2作のヒロインが探偵や高田と初対面だったのに対し、以前にも探偵と会っていて、その時、酔った探偵に言われた一言が今回の事件の鍵になるところなどはうまく設定しているし、今回も前作までとはいかないものの、少しウルっとくるものはあった。それに、北川景子ってなんか苦手な女優なのだが、この役は存在感があって、なかなかのはまり役だったと思う。高田を超える強さを持つ波留(志尊淳)はまさにアクション映画での主人公のライバル登場という感じで、高田と波留の対決シーンは本作のアクションシーンの中でいちばんのみどころで、ちょっと子供じみた感想になってしまうかもしれないが、やはり強い敵が出てくると本当に盛り上がるし、それがアクション映画の醍醐味だとあらためて感じる。探偵と高田の別れを匂わす部分もあるのだが、エンドロール後のおまけ映像(これが笑える。)を見て、このシリーズはこれからも続けてもらいたいと思った。同じキャストでドラマ化でもいいのでぜひ続けてほしい。
[DVD(邦画)] 6点(2019-08-10 18:56:24)(良:1票)
282.  子猫物語 《ネタバレ》 
「協力監督 市川崑」というクレジットに釣られて見てしまったが、正直言って「南極物語」の大ヒットに気をよくしたフジテレビが2匹目のドジョウを狙った映画としか思えなかった。「南極物語」と違って俳優を一切出さずに動物だけ登場させて擬似ドキュメンタリーのように仕上げているが、ブースケがチャトランを助けに川へ飛び込むシーンとか明らかに誰から見ても作為的なシーンが多くてかなり気が滅入る。(出てる犬や猫が可哀想。)露木茂のナレーションも最初は気にならなかったが、だんだんうるさくなっていくように感じたし、時折入る谷川俊太郎が書いた詩、詩自体は深みがあって良かったが、この映画の中に入れることで何の効果があるのか意味不明。さらにそれを朗読するナレーションがアイドル時代の小泉今日子というのがあからさまに彼女のファン層を映画館に引き寄せようという意図が丸見え。市川監督らしいショットはところどころにあり、チャトランが崖から落ちるシーンもそうなのだろうが、そこだけは、やはり市川監督の映像テクニック云々以前に可哀想という言葉が先に出てしまう。当時、日本映画界では動物映画を作ればヒットするというのがあったようだが、まさに客さえ入れば、ヒットさえすればそれでいいと言わんばかりの製作者(フジテレビ)側の姿勢には驚くばかりだ。おそらく市川監督の名前が無ければ見なかったと思える映画だが、本当に見なきゃよかったと思えるような映画だった。
[CS・衛星(邦画)] 1点(2010-05-11 12:24:57)(良:1票)
283.  最高殊勲夫人
最初にタイトルだけを見た時は若尾文子が悪女を演じるドロドロ系の映画かと思ったが、「青空娘」の源氏鶏太が原作ということで、ドロドロした重みの全く無い軽快なラブ・コメディーに仕上がっており、「青空娘」同様にとても気楽に楽しめた。初期の増村保造監督らしいハイテンションでスピード感あふれる演出は見ていて気持ちがいいし、電車の中で噂が広まっていくシーンやその後の会社で若尾文子を口説きまくる男性社員たちの滑稽さをコミカルに描いているほか、書道の先生のオーバーなアクションや生放送ドラマの本番直前にしゃっくりが止まらなくなる主演俳優などちょっとしたさりげない笑いも盛り込まれていてこういう喜劇でも増村監督はうまいと感じさせるし、後年のドロドロした人間ドラマで魅せる作品群とはまた違った魅力がある。若尾文子も「青空娘」で見せた清純な可愛さがまさにそのままでとーっても素敵で魅力的だった。はっきり言ってあの会社の男性社員たちや川口浩が羨ましくなってしまうほどの可愛さではないか。おっとちょっと興奮しすぎたか。脇の船越英二の女房の尻に敷かれたダメ男ぶりもいつものことながら見ていて楽しいし、ヒロインの父を演じる宮口精二も良かった。作風上、増村作品って他人に気軽に薦められる映画が少ない気がしてたけど、「青空娘」とこの映画は何の気がねもなく気軽に他人に薦められそうだ。
[DVD(邦画)] 8点(2010-01-12 14:06:31)(良:1票)
284.  ウホッホ探険隊 《ネタバレ》 
森田芳光監督が脚本を担当した離婚がテーマのホームドラマ。コミカルな雰囲気のタイトルとは裏腹にネタとしてはシリアス。でも、見ていてそこまで深刻な感じはなく、どこかコミカルでからっとした印象が残るのはやはり森田監督の脚本によるものなのだろう。しかし、森田監督と根岸吉太郎監督の作風の違いか同じく家族を描いた森田監督の「家族ゲーム」と比べてしまうと、あくまで正統派な感じで毒気がなく、そこが物足りなく感じてしまい、本作への森田監督の脚本での参加は根岸監督からの依頼だったそうなんだけど、もしも森田監督が自ら監督も手掛けていたらまったく違う映画になっていたかもと思わずにはいられない。でも、根岸監督の演出は丁寧で、傑作・名作とまではいかないもののドラマとしてはそこそこよく出来ていて、森田監督の脚本に多くを求めなければ普通に見られる映画ではある。十朱幸代演じる妻が悩んで疲れていくくだりはなかなかにリアルだし、彼女が小学生の息子たちに向かって「私はあなたたちの悩みを聞いて解決することができるのは自分も経験したことだから。あなたたちが私の悩みを聞いても解決できないのはまだ経験がないから。だから一人で悩んで一人で解決するしかないの。」という言葉を放つのは一見八つ当たりのようにも聞こえるが、思わず同情してしまう部分もあり、印象に残る。それにすべてを描くのではなく、離婚後に愛人と別れたことを夫が「元」家族に告げるところでパッと終わらせるのはそのあとのことを見る側がいろいろ想像できる余地を残しているのがいい。(今どきの映画であればたぶんこうはいかないだろう。)しかし、藤真利子演じる愛人の人物設定はよく分からず、相手の妻に嫌がらせもしておきながら、いざ離婚したとなると途端に別れてしまう神経は意味不明だった。ここをもうちょっと何とかしてほしかったな。夫役の田中邦衛は「北の国から」の五郎とはキャラ的にまったく違う役柄なのだが、「北の国から」とは逆に自らの不倫が原因で離婚をする役柄というのが面白い。
[DVD(邦画)] 6点(2017-12-16 23:55:05)(良:1票)
285.  死に花
老いというテーマが背景にあるため、シリアスな部分も当然あるんだけど、基本的には軽いコメディーで、前半あたりに少し退屈な部分があるものの、なかなか楽しめた。時代が時代なら東宝でクレージーキャッツ主演でやっていそうな印象も残り、穴を掘るメンバーに谷啓や青島幸男を起用していたり、メンバーが最終的に7人構成になるあたりはクレージーキャッツの映画を意識していると強く感じられ、クレージーキャッツの映画が好きな身(とはいえ最近は機会に恵まれず見れてないのだけど。)としてはなんかうれしい。しかし、(比べるのもどうかと思うが。)シリアスな部分があるからか、クレージーキャッツの映画ほどの爽快感はなく、最後のシーンあたりはなんか湿っぽく感じてしまったのも事実で、本当に60年代にクレージーキャッツ主演で古澤憲吾監督あたりが手がけていれば、爽快なままラストを迎えたのではないかとつい思ってしまった。とはいえ、山崎努をはじめとする主役の老人たちを演じている俳優たちはみな好演しており、安心して見ていられる。(長門勇が岡山を連想させていて笑える。)それからこの映画はちょうど一週間前に亡くなった森繁久弥の遺作である。出番は少なくセリフも一言だけなんだけど、さすがに登場シーンでは風格が漂い、出てくるだけで圧倒的な存在感を放っていて、まさに名優であると思う。また「社長シリーズ」などの喜劇映画で活躍したこの名優の遺作が喜劇映画なのは偶然ではないような気がする。白寿の老人役なのだが本当にこの映画の役柄のように白寿や百歳まで生きていてほしかったし、あらためて残念に思う。森繁久弥だけじゃなく青島幸男と藤岡琢也にとってもこれが遺作なんだなあと思うとなんだか切ないなあ。
[DVD(邦画)] 7点(2009-11-17 20:32:29)(良:1票)
286.  ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―
1話15分ほどの短編3本で構成されたスタジオポノックのオムニバス映画。米林宏昌監督の「カニーニとカニーノ」。行方不明になった父親を捜しに行くカニの兄弟を描いているが、セリフが全編カニ語という本作オリジナルの言語というのがユニークで面白いし、それでいながらもちろんストーリーもきちんと理解できるつくり。「メアリと魔女の花」で感じたようなジブリっぽさも本作ではあまり感じなかったのも良かった。それに映像も美しい。ただ、主な登場人物だけが擬人化されたふうで、その他大勢のカニは普通のカニなのは気にならないでもなかった。でも、「メアリと魔女の花」よりはぜんぜん面白かったと思う。百瀬義行監督の「サムライエッグ」。卵アレルギーの小学生男子と母親を描いているが、三本の中ではいちばん身近に感じられる。アレルギーの怖さがリアルに描かれていて、アレルギーを持つ子供を持つ家庭の日常がよく伝わってくる内容になっているためか、アレルギーとは無縁の自分が見ても胸にくるものはあった。確かに無防備な部分もあるのだが、学校での食物アレルギーの授業などにも使えそうな作品にもなっていると思う。山下明彦監督の「透明人間」。透明人間を題材にした作品だとSFを思い浮べるが、この作品は誰にも相手にされず、周囲から孤立しているような男を透明人間に例えているようで、主人公のデザインもそのまま透明人間に描かれている。そんな男の孤独が描かれているのだが、これまでの2本と違って大人向けな感じで雰囲気も良く、三本の中ではこの話がいちばん良かった。全体的に3本とももう少し長く(30分くらい)しても良かった気はしないでもないが、ポノックはいきなり下手に長編を作るよりも、まずはこういった短編をいくつか作っていって期が熟したあたりでまた長編を出せばいいと思う。「ポノック短編劇場」と銘打っているので、シリーズ化もあり得るかもしれない。
[DVD(邦画)] 6点(2019-09-21 23:32:59)(良:1票)
287.  バトル・ロワイアル
初めて見た深作欣二のバイオレンス映画だったのだが、70歳の老人が監督にしてはパワーを感じるし、面白かった。僕はこの映画を遺作だと思いたい。生徒役の俳優に関してはこの映画で初めて見た藤原竜也や柴咲コウ、栗山千明などが印象的。とくに相馬光子役の柴咲コウは怖すぎて今でもテレビなどで彼女を見ると相馬光子を思い出してしまう。桐山役の安藤政信もそれまで見た映画の印象とは違う一言も喋らない狂気に満ちた生徒役を好演している。それから、説明ビデオのシーンとビートたけしの役名が笑える。
[ビデオ(邦画)] 8点(2005-03-02 22:51:36)(良:1票)
288.  私は二歳
松田道雄の育児書が原作。何の変哲もない家族の姿をその家の小さな男の子の目を通して描いており、とても暖かく見た後は幸せな気分になれる傑作。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2005-08-31 16:30:20)(良:1票)
289.  サイドカーに犬 《ネタバレ》 
あまり期待はしていなかったし、淡々とした印象もあるのだが、だんだん引き込まれた。話自体は大人の視点から見ればけっこうなドロドロ系なのにあくまで小学4年生の少女・薫とヨーコさん(竹内結子)との交流に主題が置かれているためあまりそうは感じないし、純粋に小学生のひと夏の思い出を描いた作品としてよく出来た清涼感のある映画になっていて、ヨーコさんと自転車を一緒に練習したり、コーラを買ったり、一緒に旅行に行ったりといったエピソードや、そんなヨーコさんとの交流を通して少しずつ変わっていく少女が丁寧に描かれている。それがあるから、突然訪れるヨーコさんとの別れや、ラストの父に対する頭突きが切ない。ヨーコさんがとても魅力的で、演じる竹内結子もすごくハマっていた(とくにファンである女優というわけではなく、見た役柄で思い出すのは未だに15、6年前の朝ドラのヒロイン役だったのだが、それが少し変わるかも。)し、もちろん、主人公の少女を演じた松本花奈の演技の自然さも良い。同じく両親が離婚することになった小学生を描いた映画としては相米慎二監督の「お引越し」があり、見ながらつい思い出したが、あの映画とはまた違った良さがある。そして出番は少ないが、樹木希林のコミカルで強烈な演技はやっぱり面白く、シリアスな演技もいいが、やっぱりこの人にはこういう役がいちばん合っている気がする。
[DVD(邦画)] 7点(2015-10-17 23:21:36)(良:1票)
290.  大怪獣ガメラ
ガメラシリーズの記念すべき一作目。昭和ガメラシリーズは20年ほど前の小学校の頃にビデオでよく見ていたが、本作を見たのは今回が初めて。当然この当時のヒットシリーズであった東宝のゴジラシリーズに便乗して作られた怪獣映画だと思うのだが、カラー映画で作ってもおかしくないような時代に敢えて白黒で作っているあたりにゴジラシリーズの一作目を意識しているような感じがしなくもない。(単に制作費をケチっただけかもしれないが。)しかし、「ゴジラ」のような重厚感は微塵もなく、軽い仕上がりで、ドラマ的にも盛り上がる部分はなく、脚本もご都合主義全開な感じで、船越英二、浜村純といった大映映画でよく見かける俳優陣も生かしきれておらずイマイチな感じ。だが、1作目である今回から既にガメラと子供を絡ませるというシリーズのカラーが出ているのはちょっとすごい。(まだこの頃はシリーズ化なんて考えてなかったろうに。)それにやはりゴジラにないものをと考え出されたと思われるジェット噴射で空を飛ぶというシーンが初めて登場したシーンが印象的だった。でもやはりさっきも書いたように深みのないご都合主義なストーリーははっきり言って面白くないし、「ゴジラ」には確かにあった恐怖感というものがないので、ラストもカタルシスに欠けるのも本当のこと。なので、一本の映画としては完成度は抜群に低いと言わざるを得ない。だけど、昭和ガメラに対する懐かしさがあるので、まあ5点が妥当かな。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2010-02-04 02:24:13)(良:1票)
291.  今度は愛妻家 《ネタバレ》 
「世界の中心で、愛をさけぶ」など若者が主役の恋愛映画を手掛けることの多い行定勲監督が一転して結婚10年を迎えた中年夫婦(豊川悦司、薬師丸ひろ子)を描いた作品。行定監督は成瀬巳喜男監督のファンということで、トヨエツ演じる夫のダメ男ぶりはどことなく森雅之あたりが演じていそうな感じはあるし、妻が旅行に出かけると言い出して真っ先に自分の食事の心配をするあたりもなんとなく「めし」を思い出してしまった。ほかにも成瀬作品から影響を受けた部分があるのかもしれない。序盤はコメディタッチで描かれていて、この夫婦の会話も見ていて笑えるのだが、登場人物たちのそんな会話の中にのちの伏線を張っているのもうまいし、最初からよく見ていればこれはたぶんこういうオチなんだろうなと分かるような構成で、妻の死に関する説明も早い段階で成されるのだが、だからこそ切なく、妻に先立たれた夫にがんばれと声をかけたくなってしまう。だから映画としては倦怠期の夫婦の話というよりも、妻に先立たれた男の再生までの話なんだが、それをしっかりドラマとして魅せる脚本、そしてなにより主演のトヨエツと薬師丸ひろ子の演技のおかげですっかり引き込まれ、最後まで見入ってしまい、思わずジーンときてしまった。中でも写真家である夫が庭先で妻の写真を撮るシーンがとくに切なく、そこでのやりとりが一年前の沖縄旅行の時の夫婦の最期のやりとりとまったく同じというのも泣ける。行定監督の映画は何本か見ているが、自分的にはとくにこれという映画はなかったように思うけど、この映画は今まで見た行定監督の映画とは違うものが感じられるものになっているような気がした。劇中で二人が口ずさむ「夢の中へ」の使い方もすごく良かった。さっきも書いたように主演の二人ははまり役なのだが、妻を演じている薬師丸ひろ子はとても可愛らしく、魅力的に撮られていて、アイドル時代の彼女のファンだったという行定監督だが、そんな自分も薬師丸ひろ子の代表作になるような映画を撮ってみたいというのがよく分かり、そしてそれはじゅうぶん果たせていると思う。
[DVD(邦画)] 7点(2018-12-29 18:27:15)(良:1票)
292.  母べえ
山田洋次監督らしい丁寧な作品になっていてほろりとくるシーンもあれば笑えるシーンもあっていいのだが、やはり主演の吉永小百合がこの役を演じるのはミスキャストなのがかなりの致命傷になっていると言わざるを得ない映画で、どんなに主人公一家が慎ましい生活をしていても、吉永小百合が出ているとなんかうそ臭くなってしまい、リアリティーを感じない。志田未来ら子役をはじめとした脇の芝居がいいだけになぜ吉永小百合を使ってしまったのか理解に苦しむ。見ている間、田中絹代のほうがいいよなあとずっと思ってた。(既に現在は故人なんだけど。)海水浴で溺れた浅野忠信を助けるために海に飛び込むシーンとか最後の病院のシーンとかも主演の見せ場を作るためだけに入れたとしか思えない。このキャスティングが影響しているのか作品としての出来のほうも最初に書いたように丁寧な印象はあるものの、最近の山田監督の映画の中でははっきり言って凡作だと思う。「男はつらいよ」シリーズのマドンナにもう一度、吉永小百合を歌子役で起用する計画があったと聞いたことがあったので、ひょっとして山田監督が吉永小百合と仕事したかっただけの映画ではないのかと見る前に薄々思っていたが、実際その通りの映画のような気がした。
[DVD(邦画)] 5点(2008-10-14 13:09:57)(良:1票)
293.  その木戸を通って
市川崑監督が1993年に手がけた作品で、市川監督没後の去年11月に追悼上映として初めて劇場公開されたハイビジョン撮影の時代劇。原作は山本周五郎。「幻の名作、ついに公開」という触れ込みだったが、90年代の市川作品といえば外れが多い印象が強いためにあまり期待していなかったし、多少、製作会社の話題作りみたいな浅ましさも感じた。しかし、そんな不安は見ているうちに吹き飛んだ。市川監督らしい独特の映像美がこの作品でも健在で、元々はハイビジョン実験用のテレビ作品として作られた作品らしく、撮影もフィルムではなくVTRだが、明らかに映画を意識して作っているという感じがする。それに、同じ市川監督の「竹取物語」(いや、話の印象としては「つるー鶴ー」のほうが近いかも。)を思わせるようなストーリーながらイマイチだったあちらに比べるとこの作品はかなりの低迷期にあったこの時期の市川作品の中では佳作といえる出来になっており、ひょっとしたらこの作品が市川監督の90年代の作品の中ではいちばんいい気がするし、ラストシーンの余韻の残し方も良かった。出演者に目をやると、ストーリーの鍵となる記憶喪失の女をミステリアスに演じる浅野ゆう子が特によく、苦手な女優だが、こんなにいいと思ったのはおそらく初めてだろう。主演の中井貴一や、その他市川組常連俳優たちもいい味を出しているが、フランキー堺が市川作品に出演しているのはちょっと珍しい。
[DVD(邦画)] 8点(2009-07-15 20:19:47)(良:1票)
294.  警察日記 《ネタバレ》 
田舎の警察署を舞台にした人情もの。とにかく登場する警官みんなが情に厚く、演じる森繁久弥や三國連太郎といった面々の演技も実に温かみがあって素晴らしい。彼らを狂言回しに事件を起こした人々の人間模様を描いているのだが、その事件というのが殺人事件や誘拐事件といった凶悪事件ではなく、捨て子や万引きといったこの時代ならどれもが貧しさから来るようなものばかりで、戦後10年で日本がまだまだ貧しい時代だったのだなと痛感させられる。また、東野英治郎が演じた戦争で子供を亡くし、おかしくなってしまった老人などにもリアリティーが感じられる。森繁久弥演じる吉井巡査が面倒を見る捨て子の姉弟のエピソードが特に泣ける。二人に対しての吉井巡査の温かい眼差しも感動的なのだが、姉を演じた子役時代の二木てるみがなんといっても素晴らしく、弟に会いたいばかりに一人で会いに出かけていくシーンや、名乗り出た母親の乗ったジープを見つめる表情などなんとも切なく悲しげで、本当にうまく、思わず泣かされた。久松静児監督の映画を見るのはまだこれが2本目だと思うが、人間の持っている心の温かさというものを見事に描き出した正に名作だと思う。あと、書き忘れていたが、署長を演じる三島雅夫のユーモラスな演技は、普段腹黒い悪役や嫌味たらしい役のイメージが強いだけにすごく新鮮に感じられた。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-04-11 14:47:47)(良:1票)
295.  ハリーの災難 《ネタバレ》 
アルフレッド・ヒッチコック監督と言えばサスペンス一筋で有名な監督だが、この映画は森の中で発見された一体の死体をめぐる騒動を描いていて、緊迫感などはなく、実にほのぼのとしたタッチのブラックなコメディーに仕上がっている。死体を発見したら普通は驚くと思うのにこの映画の登場人物たちはすごくあっけらかんとしていて終始明るい雰囲気なのがいいし、みんないい味を出している。死体が登場人物たちの都合によって何度も埋められたり掘り返される展開は、死体に思わず同情しながらも実にブラックで、思わず笑わされてしまった。シャーリー・マクレーンのデビュー作とのことだが、なんともコケティッシュなかわいい風貌で魅力的。でもだからこそこんな若い美人が死体を前にしてもあっけらかんとしているのがある意味すごく、そのギャップも笑えたりする。でも、彼女がほとんど初対面の男といきなり結婚するというのはコメディーといえどちょっとやりすぎな感じがしいないでもない。舞台が秋の村なのだが、紅葉の映像も印象に残る。サラリと軽く作られたような映画ではあるし、傑作とも言い難いのだが、出来はよく、あまり見ていないのだが、サスペンスだけではないヒッチコック監督の幅の広さを感じることができる。個人的にちょっと疲れぎみでちょうど軽めのコメディーを見たいと思っていたところだったので、何も考えずに見て、楽しめる本作のような映画はちょうどいい。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-01-29 19:33:39)(良:1票)
296.  弁天小僧
のちに「切られ与三郎」でも歌舞伎を題材にした伊藤大輔監督がそれ以前に同じく歌舞伎の世界を映像化した時代劇で、主演も同じく雷蔵。歌舞伎のワンシーンがそのまま雷蔵らによって演じられる劇中劇のシーンもあって雷蔵の映画俳優としてだけではない歌舞伎俳優としての魅力も伝わってくるし、相変わらずの演技のうまさも感じられる。伊藤監督の演出ぶりや、宮川一夫の作り出す映像美、西岡善信による美術セットも素晴らしくいかにも大映らしい完成度の高い映画で、なかなか楽しめたものの、個人的には「切られ与三郎」のほうが好きだな。あと説明台詞が多いのがちょっとくどく感じてしまったのが残念。遠山の金さんを演じているのはまだ下積み時代を送っていた頃の勝新であるが、やはり勝新はこういう白塗りメイクの二枚目風より座頭市のような濃いアウトロー役のほうがかっこいいと思う。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2009-05-14 19:40:24)(良:1票)
297.  あの手この手(1952) 《ネタバレ》 
まだ東宝に在籍していた市川崑監督が大映に出向いて手がけた作品で、事実上、市川監督の大映での第1作となる。夫婦が突然家出してきた姪に振り回されるさまを描いているが、森雅之と久我美子ということでのちに川島雄三監督が東宝で手がけた「女であること」を思い出すが、印象としては小津安二郎監督の「淑女は何を忘れたか」に近いコメディタッチの映画で、それには及ばないものの、気軽に楽しむことができた。なんといってもアコちゃんのキャラクターが強烈かつコミカルで、それでいて可愛らしく、とても魅力的で、演じる久我美子はいつもは少しきつめのイメージのある女優なのだが、それをまったく感じさせておらず、こんな娘なら自分が振り回されてもいいかと思えるほどだ。彼女の恐妻家のおじを演じる森雅之もどこか茶目っ気があり、とくに妻を呼ぶときの「奥さん、奥さん」というセリフが可愛らしく、それがまた笑える部分でもあり、こんな芝居も違和感なく演じてしまうところに名優らしさが感じられる。久我美子のヒット作である「また逢う日まで」のパロディーシーンはまだ本家の作品を見ていないながら楽しく、このシーンには市川監督の余裕さも感じられた。ところで、森雅之はのちに出演した市川作品である「こころ」や「おとうと」でも作家の役だったが、父親が有島武郎であることからキャスティングされたのかなと想像してみたりできて面白い。
[DVD(邦画)] 7点(2014-10-23 18:28:03)(良:1票)
298.  ある映画監督の生涯 溝口健二の記録
溝口健二の伝記映画かと思っていたら、生前の彼を知る映画人たちへのインタビュー集でかなり意表を突かれた。インタビューアーは新藤監督自らが努め、溝口健二という監督がどういう人だったのかがよく分かる。インタビューを受けるのは溝口の映画に出演した京マチ子や田中絹代などのスターはもちろん、カメラマンの宮川一夫、脚本家の依田義賢、友人の映画監督 伊藤大輔、作家の川口松太郎、助監督を努めていた増村保造、元大映社長の永田雅一など今では故人となった溝口ゆかりのスタッフたちの姿が見られるのも貴重。皆それぞれ溝口への思いを告白しており興味深く、中でも田中絹代へのインタビューは圧巻である。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2005-03-05 10:55:14)(良:1票)
299.  ズートピア 《ネタバレ》 
久しぶりに見るディズニーアニメ。偏見や差別に対してかなりストレートに、またそれを決して重苦しくなることなく、ディズニーらしく子供にも分かりやすく描いている。しかし、込められているメッセージは子供よりも大人の方が考えさせられるものになっていて、ただの子供向けアニメとは侮れない完成度の高さがあり、そんなところが素晴らしい。主人公のウサギの新人警官と詐欺師のキツネがコンビを組んで行方不明事件を追うという刑事ものには定番のバディものとしての面白さもあり、刑事と罪人のコンビというのは「48時間」を彷彿させるものがあるが、最初に主人公のジュディが署長から言い渡された捜査の期限が48時間であるあたりはやはり意識している部分もあるのだろう。もちろんこの二人(二匹)のやりとりだけでも見ていてじゅうぶんに楽しい。夢を持つことや諦めない心を持つことの大切さについても深く考えさせられる映画になっていて、見終わった後には元気と前向きな気持ちをもらえた気がしたし、まさしくいろんなメッセージのつまった傑作で、本当に見て良かったと思う。
[DVD(吹替)] 8点(2017-06-17 17:05:38)(良:1票)
300.  友情(1975) 《ネタバレ》 
渥美清と中村勘九郎(現:中村勘三郎)主演による松竹80周年記念映画で、監督は山田洋次監督の初期の喜劇や「男はつらいよ」シリーズでも初期の何本かで共同脚本を手がけた宮崎晃。渥美清演じる源さんのキャラクターがどことなく寅さんを思わせていたり、作風も山田監督の映画のような雰囲気。主演が渥美清ということもあり、どうも「男はつらいよ 番外編」でも見ているような気持ちになるが、ラストが山田監督ならば絶対にやらないような結末なのがちょっと違うところか。渥美清という俳優を見る時にいつも意識してしまうのが寅さんで本作も途中まではさっき書いたように寅さんを意識して見ていたが、自分の家族の現在の姿を見た直後のシーンや、帰りの船の中で大泣きするシーンで寅さんとは何か違うものを感じ、「男はつらいよ」シリーズを見ていて寅さんに感情移入するのとはまた違う感覚で感情移入することができ、映画自体がとても感動できる名作だが、とくにこのクライマックスからラストシーン近くにかけての渥美清の演技には思わず泣かされた。まだ「男はつらいよ」シリーズ以外での渥美清の主演作を先週見た「白昼堂々」と本作の2本しか見ていないのだが、本作は間違いなく「男はつらいよ」シリーズ、寅さん以外での渥美清の代表作になるのではないかと思う。勘九郎と同棲している恋人を演じる松坂慶子もひたすら美しく、主役二人が彼女に看病されるシーンでは思わず羨ましくなってしまったが、それよりも渥美清の寅さんだけではない俳優としての凄さをこの映画のクライマックスの演技で改めて思い知らされ、やっぱり名優だと思った。(このクライマックスの演技で初めて寅さんを意識せずに渥美清を見られた気がする。)あまり機会がないのが残念だが、「男はつらいよ」以外の渥美清の主演作をもっと見てみたいなあ。
[DVD(邦画)] 8点(2010-03-02 17:24:20)(良:1票)

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