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目隠シストさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2255
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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341.  ヅラ刑事
「かつら」という言葉には、意外とポジティブなイメージがあります。パーティーのアフロ。時代劇のちょんまげ。ウィッグなんておシャレな言い方もある。日なたの匂いがします。ところが「ヅラ」と言われるとどうでしょう。とたんに湿度が5%ほど上がります。かつらはサラサラ。でもヅラはムレムレなのです。それは禿げを隠すために真剣だから。ヅラ、豊胸パット、ビガーパンツ…。コンプレックスと共にあるアイテムは、いつの世も日陰の存在です。そこで本作。主人公は自らのヅラを投げるという。堂々と自身のコンプレックスを人前に晒します。これは本来在り得ない行為。ヅラの存在価値を否定することになってしまう。本作ではその大いなる矛盾を、ある“荒業”でクリアします。もはや主人公のヅラは単なる道具ではありません。『トミーとマツ』や『あぶない刑事』などの、名だたるコンビ刑事ものと肩を並べたと言っていいでしょう。(すいません。やっぱり言い過ぎでした。)そういえば、名作刑事ドラマ『太陽にほえろ』にもリアルヅラ刑事がいたとかいないとか。本作はコンプレックスを笑いものにしています。被ってるキャラのイジリーを、デカチンにキャスティングするなんて皮肉もいいところ。でも好意的に捉えれば、コンプレックスを持つ者たちへの応援歌と考えられなくもない。モト冬樹はスタイル抜群ですし、イジリーもメガネがよく似合う。よく考えれば、彼らは悪く描かれていないことに気付きます。さあ、耳を澄ませてみましょう。きっとステキな応援歌が聞こえるはずです。もっとも、自分は最近耳掃除をしていないので聴こえませんが。
[DVD(邦画)] 4点(2007-05-16 17:53:06)(笑:2票)
342.  いいかげん馬鹿 《ネタバレ》 
前作『馬鹿まるだし』と比べると、相当こなれた印象。岩下志麻の語りをベースに、丁寧に物語が進行します。ただ、人情喜劇としては正直面白味に欠けました。最大の要因は、ハナ肇の馬鹿っぷりの弱さ。シリーズ他作品と比べると明らかにパワー不足です。常識人といっていいくらい。やっぱりハナには無茶苦茶やって欲しかった。また、物語としてソツなくまとまっているのも逆効果。前作のある意味不細工さが、作品の魅力であった気がします。なお、ラジオドラマきっかけで、島が観光地化するエピソードについて。かつて自分の住む島でも全く同じ現象がありました。観光バブルで、浮き足立って設備投資。地に足が着かない事業の末路は、何処でも同じです。リアルに想像できて結構切なかったです。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2007-01-30 18:06:08)(良:2票)
343.  サボテン・ブラザース 《ネタバレ》 
特に感銘を受けたのは書き割りのシーンです。どんな作品でも、“作品の法則”(自然と観客が理解する決まり事)というのがあると思います。本作の場合、野外シーンは野外ロケ、室内シーンはきっちり作りこんだセットというのが法則だと思いました。ところが突如、野外シーンのはずなのに、一目でスタジオの書き割りと分かるセットが登場します。明らかに変なんです。書き割りで歌うアミーゴ。このバカさ加減にひと笑いします。と同時に“このセットは作り物なんですよ”という強いアピールを感じました。これが最後になって効いてきます。無法者を倒し、アミーゴが“作り物の正義の味方”から“本物の正義の味方”に変わる爽快なラストシーン。初めの作り物感が、より一層本物のヒーローになったときの感動につながります。3人のにやけた顔を観ているとこっちまでにやけてしまいます。あの踊り、あのキメポーズ最高です。本当にバカバカしい展開なのですが、素晴らしい。気持ちのよい映画をありがとう。
[DVD(字幕)] 8点(2006-06-20 18:20:44)(良:2票)
344.  オールド・ボーイ(2003) 《ネタバレ》 
自身幻の0点作品。鑑賞後すぐに投稿した際は怒りに任せて0点を付けました。(翌日冷静になって点数変更)。後味最悪だったから。韓国映画をほとんど観ていなかったことも災いしたのでしょう。毒気にあてられた感じ。それだけ本気になったということ。感情移入しまくりで、物語に引き込まれました。振返ってみると、パク監督の復讐3部作の中ではダントツに面白かったと思います。まず設定がイかす。何の前触れもなくいきなり拉致。妻は殺害され、主人公は15年間も監禁生活を余儀なくされる。頭にあるのは復讐の2文字。怒りが人を動かします。これは快感だと思う。倫理のタガが外れた自由さは、普段の生活では得られない。武器がまたいい。トンカチ。殺傷能力はナイフや銃器類に劣るものの、相手に痛みを与えた感覚が直に伝わってくる。見た目滑稽なところも含めて、このチョイスに監督のセンスを感じます。一通り実行犯への復讐が済んだところで本丸へ。この展開だからこそ、黒幕をすぐに殺さないという選択が出てくる。とりあえずの怒りは収まった。それに殺すだけならいつでも殺せるという自信もついたでしょう。「何故監禁されたのか?」15年間抱き続けてきた疑問の答えを聞かずに、殺すわけには行きません。でも終始イニシアチブは相手にある。手のひらで踊らされているような漠然とした不安がつきまといます。果たして予感は的中。「“何故監禁されたのか”ではなく“何故開放されたのか”」復讐者の言葉にしびれます。復讐しているつもりが、復讐されていた。100%逆恨みです。直ぐに相手を殺すことも可能でした。しかし主人公は娘のことを思い遣ります。冷静になればいくつもの方策があったでしょう。勿論言い訳もつく。でも娘を傷つけたくない(そして嫌われたくない)という父親の心は理屈ではなく理解できる。ラストもそう。決してハッピーエンドとは言えませんが、この結末を望んだオ・デスの気持ちに涙します。時折挟まれるギャグテイストが隠し味。何とも濃く、深い味わいの作品だと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2006-05-20 01:26:42)(良:2票)
345.  ペーパー・ムーン
詐欺師の男が、母を亡くした少女を彼女の親戚の家まで送り届けるロードムービーです。この作品、何といっても子役のテイタム・オニールに尽きます。表情、仕草、声質、すべてが魅力的で、作品に輝きを与えています。もちろん、実父ライアン・オニールとのマッチングも絶妙で、2人のいる場面ひとつひとつが画になります。2人の掛け合いとメリハリのあるエピソードで終始楽しく観られます。詐欺のテクニックも見ていて勉強になりました(笑)。ハートウォーミングではありますが、甘ったるくなく、凛とした味わいの作品です。(最後に2人が抱き合ったりしないところが良い!)ペーパームーンというタイトルの付け方も実に見事。ちなみに自分も92小菊さんと同じように、物語中でも2人は血がつながっていると思いました。何よりあごの形がそっくりですし(笑)。親ゆずりの才能も感じます。もっとも鳶が鷹を生んだってところでしょうが。
[DVD(字幕)] 10点(2006-06-05 18:21:00)(良:2票)
346.  パラサイト 半地下の家族 《ネタバレ》 
主人公家族は身分を偽り富裕層一家に取り入りました。労働の対価として報酬を得ているものの、正当な見返りとは言い難いため確かに『寄生』とみなすことが出来そうです。宿主に覚られず、こっそり生き血を啜るのが寄生の本流でしょう。しかるに本ケースでは寄生者が宿主を殺害しました。寄生虫の中には宿主を殺す捕食寄生というものがあるそうですが、今回は違います。何も利益がありません。ただ感情のままに殺したと。理由は『自尊心を傷つけられたから』。これは半分正しく、半分間違っていると考えます。いくらプライドを傷つけられたにしても、普通なら一発殴れば済む話ですから。 父が凶行に及んだのには大きく2つ理由があったと思います。1つ目は『スイッチが入った』から。大量出血する我が子の姿を目の当たりにして、父の脳は「戦争」モードに切り替わりました。これはある意味当たり前の話。自己防衛は本能的にも社会的にも認められた権利。ただここで面白い現象が起きました。怒りの矛先は加害者ではなく富裕層一家に向けられました。ここで2つ目の理由『感情のすり替え』が登場します。いわゆる吊り橋効果に同じ。加害者に向けられるはずの殺意を富裕層一家に転嫁した訳です。普段から富裕層一家に対して負の感情を溜め込んでいたからこそ起きた「必然のすり替え事故」と言えましょう。身分と感情のすり替えが産んだ悲劇でした。富裕層一家にしてみれば、完全なもらい事故でお気の毒としか言いようがありませんが、サバを酢で締めもせず常時刺身で食べていたら、そりゃねえという話。ですから悲劇の理由を、貧富の差だとか社会システムの弊害だとかに求めるのはお門違いという気がします。単純に危機管理が甘かっただけ。寄生虫が疑われる食材は、きちんと処理しないと危険ですよという教訓と理解します。きちんと知識のある人が料理した刺身やお寿司を食しましょう。あとしっかり噛むのも寄生虫対策になるそうですよ。
[インターネット(吹替)] 7点(2022-10-08 18:46:07)(笑:1票) (良:1票)
347.  CUBE 一度入ったら、最後 《ネタバレ》 
本作は、大流行したソリッドシチュエーションスリラーのパイオニア『CUBE』の日本版リメイク。『12人の怒れる男』に対する『12人の優しい日本人』と同じ日本人的価値観を持ち込んだ『和訳リメイク』と言えましょう。説明不足を補い、物語にテーマを与え、商業映画としての大衆性を担保しました。オリジナルが危険度MAXの投げっぱなしジャーマンならば、本作はきちんとクラッチが効いたジャーマンスープレックスホールド。映画として美しいのは本作の方だと思います。ただし、サスペンスの正義は『緊張感』にあり。粗削りで刺激強めのオリジナルと比較して物足りなさを感じるのも道理ですし、オリジナルという正解例がある以上、どんなリメイクも不正解に思えるのも当たり前です。しかし本作単独で評価するなら決して捨てたものではなく、きちんとオリジナルとは違うアプローチを試みたリメイクの姿勢は評価されるものと考えます。超激辛ラーメンは人目を引きますが、実際美味いのはちょい辛ラーメンの方だったりします。
[ブルーレイ(邦画)] 7点(2022-04-08 00:48:23)(良:2票)
348.  レディ・イン・ザ・ウォーター 《ネタバレ》 
率直に言えば、随分とお手軽に映画にしたなという印象。わが子に聞かせるために監督自身が創作した御伽話がベースとのこと。確かにそんな感じ。基本的に思いつきのお話なので、設定のワキは甘い。「何故、海の精は命をかけて人間世界を変えようとするの?」「何故ナーフを襲う化け物がいるの?」子供に聞かれるとお父さん(監督)は困ると思う。「どうしてだろうね」と優しくかわすか「どうしてもだ!さっさと寝ろ!」と逆ギレするくらいしか無いのではないかと思う。ご都合主義のオンパレード。特に荒唐無稽な話を住民たちが信じていく過程を省略したのは手抜きだと思います。おそらく人心掌握もストーリーの不思議な力のひとつなのでしょう。でもそれならば、作中で説明するべき。何でも「ファンタジーだから」で逃げられるものではありません。世界を変えるキッカケとなる“器”を、監督自身が演じているのも寒い。どんだけ自信家なんだと思う。完成度という尺度で本作を測るなら、決して褒められた作品だとは思いません。でも、自分はキライじゃありません。“大筋の”発想は結構好き。次々と役割に住人たちが当てはまっていく様は爽快だし、“世界を変えよう”というメッセージ性も悪くない。ですから、脚本だけ練り直してセルフリメイクしたら、上質なファンタジーに生まれ変わると思う。ストーリー役のブライス・ダラス・ハワードの透明感は相変わらず素晴らしい。そして何より本作を憎めないのは、もし自分が子供だったら、こんな面白い御伽話を聞かせてくれるお父さんを、大好きだと思うから。
[DVD(字幕)] 7点(2007-08-20 18:04:57)(良:2票)
349.  世界最速のインディアン 《ネタバレ》 
「レクター博士がバイクに乗って平原を疾走する」。本作について自分が持っていた知識はこの程度。でも鑑賞する動機には十分でした。風を切る爺さんの画が途方も無く魅力的に思えたから。ひとつのシチュエーション、一枚の画によってイマジネーションが広がりました。そういう空気を持っている映画は好きです。自分の夢を叶えるために、長旅を決める主人公。その決断までに劇中で要した時間は僅かです。しかし長い歳月、ずっと心に思い続けてきた夢。だから即断出来た。残された時間は長くない。今行動しなくては、夢は夢のまま終わってしまう。主人公の強い意志が伝わってきます。その決断には納得できました。彼と同じ境遇なら、誰もが同じような気持ちになると思います。でもほとんどの人は、現実の行動には至らないとも思います。失うものは目に見えるのに、得るものは定かではないから。勝ち目の薄い戦いに挑むのは、若者の専売特許だから。酸いも甘いも噛分けた老人が、自らの夢をまだ追える。それだけで元気が貰えます。羨ましいと思う。もっとも、残された時間の重みを知る老人だからこそ、決断できたのかもしれません。一歩間違えば死が待っている危険なレースに命を懸けられる理由も同じ。納得できる時間を使いたい。なるべく後悔が無いように。そういう時間を多く持てた人の人生は、きっと素晴らしい。良い結果が得られた人はベリーハッピー。そうでない人もハッピー。ですから、記録を塗り替えたこと以上に、あの場所までたどり着けたことに感動します。レースに参加できたことを喜びたい。沢山の良い出会い無くして、彼はあの場所に辿り着けなかった。インディアンに乗ることは叶わなかった。彼は人に恵まれました。半分は運です。でも、もう半分は彼の人徳ゆえ。主人公の人柄が幸運を呼び込んだのだと思います。人は一人で生きているのではない。多くの人の支えで生かされている。活かされている。旅は人生を端的に表しています。だから自分はロードムービーが好きなのだと思う。
[DVD(字幕)] 9点(2007-09-25 18:41:10)(良:2票)
350.  プロメテウス
和食を食べたくて入った割烹が実は鰻屋だった、みたいな映画でした。確かに鰻も和食だし、そもそも鰻は大好物だし、ていうかこの蒲焼めっちゃ美味いし。流石老舗の味です。でも、何となく釈然としないんですね。何なんでしょう、この感じ。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2013-01-31 18:55:03)(笑:1票) (良:1票)
351.  オトシモノ 《ネタバレ》 
デモリッシュな脚本とエキセントリックな演出、そしてプリンセスエリカ。この三位一体の連鎖のもとに生まれた奇跡。それが「オトシモノ」だ。もはや既存のジャパニーズホラーのモノサシで本作を語るのはナンセンス。カエルの子はオタマジャクシ、ポメラニアンの子供がコポメラニアンなんて常職に捕らわれたらダメだ。それは足枷に過ぎない。「オトシモノ」を楽しみたいなら、全ての常職をオトシモノべきだ。  ………一見すると、リアリティを欠く場面が目に付く。というかそんなシーンばかりだ。例えば消えた男の子の家を訪ねる沢尻。チャイムも押さず、いきなりドアノブに手をかける。さして家人を気にかける様子も見せず、ズケズケと室内に上がり込んでいく。本来であればリアリティの無い「ダメだこりゃ」な演出だ。でもいかりやはもういない。今や時代はオッパッピー。「そんなの関係ねぇ」何だってアリなのだ。沢尻節のオンパレード。女優オーラ出しまくり。随分お手軽に演じているように見える。勿論それを責めるなら、そんな演技を許した監督に非があるというべきだろう。でもエリカ様に逆らえる人間がいったいこの世にどれだけいるというのだ。むしろ舞台挨拶で「別に」と言わなかっただけ、マシというものだ。もっとも舞台挨拶があったのかどうかは知らないが。トンネルの中の秘密。謎の空間。異形の神のような(というかハエみたいな)モニュメント。事件の真相は一体どこにあるのだろう。青沼八重子も被害者だって?あの赤ん坊が花と蛇?サッパリ分からない。妹だけが生きていたのも不思議。でも分からないからこそ考える楽しみがある。この物語を読み解いてくれた人には、心の中でそっと何かを差し上げたいと思う。象印賞あたりでどうだろう。オチは“友情は素晴らしい”。全くもって取ってつけたようなメッセージだが、何も無いよりはいい。点数的には3点が限界だ。でもよくみて欲しい。これでも平均点は上がる。
[DVD(邦画)] 3点(2007-11-13 18:27:35)(笑:1票) (良:1票)
352.  アンジェラ(2005) 《ネタバレ》 
主人公は、自分がダメな人間だと知っています。短所についてはよく分かっている。でも長所については気付いていません。いや“気付かないように”していると言ったほうが正しいのかも。窮地に追い込まれたのは、“自分がダメだから”。一見自己責任を認めているよう。でも違います。ダメが故に失敗した。つまり失敗しか在り得ないのなら、もはや自分に責任はありません。必然だから。これは自虐的だけど、本当は凄く“楽な心のあり方”なんだと思います。でも決して心は満たされません。彼はアンジェラによって、本当の自分と向き合います。アンジェラは彼自身だという。彼のあるがままを映し出す鏡。短所も長所も含めて自分を認めることから、自分らしい生き方がはじまる。それが本作のテーマだと思います。そしてもう一つ大切なこと。それはアンジェラが地上に残った意味です。アンジェラが天に戻ってしまったら、彼女の存在は無かったことになってしまう。主人公が束の間見た夢。でも彼女は間違い無く存在しました。これが重要だと思います。大切なことに気付いただけでなく、2人で行動したことに意味がある。今在る自分は、生きてきた(行動してきた)結果の積み重ね。笑ったり、悩んだり、泣いたりしてきた自分の選択だから、信じなきゃならない。それが自分を偽らないこと。そして自分らしく生きること。「自分は何処から来たのか分からない」と泣くアンジェラ。ずっと誰かの鏡であり続けてきた彼女。常に主体ではありません。積み重ねてきたものが無いから不安なのです。彼女はこれから積み重ねていけばいい。物語は起伏に乏しく、問題の解決の仕方には無理があります。気取った演出も鼻につく。でも大目に見ようと思います。主人公は、自分自身だから。(あんなに純粋じゃないですけど。)恥も外聞もなくアンジェラにしがみついたアンドレ。カッコ悪いけどカッコイイ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-04-16 18:02:43)(良:2票)
353.  TAKESHIS’
本作は監督にとっての“遺作”だと思いました。あるいはファンに向けての“プレゼント”と言ってもいい。もちろん、北野監督は終わったという意味ではありません。これからも多くの作品を世に残すでしょう。しかし何作残せるかは分からない。“遺作”は結果的にそうなるもので、最初から“遺作”と分かって作るものではありません。でもいつか必ずその時がくる。そこで監督は、“遺作”にふさわしい作品、自身の集大成となるべき作品を、今のうちに撮ったのではないかと思うのです。金銭的にも、肉体的にも好きなことがやれる今のうちに。ファンに長く楽しんでもらうことを念頭において。本作は難解です。イメージの連鎖であり集合体。しかも題材は北野監督自身。正解があるのか無いのかも分からない。だから観客は答えを探す気になれば、いつでも、いつまでも北野ワールドをさまようことが出来ます。それは一部のファンのみに許された特権であると思いました。いつか自分がその域には達したならば、きっと本作は満点に変わるでしょう。今後いくら北野作品が世に出ようとも、本作が監督にとって最後の作品であるような気がしてなりません。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2006-12-22 18:25:18)(良:2票)
354.  片腕マシンガール 《ネタバレ》 
ストーリーだけを評価するなら0点でも甘いくらい。胸糞悪い。悪趣味極まりないないです。ところが映画として観てみるとコレがなかなかイケる。『キル・ビル』や『プラネット・テラー』を煮しめて煮しめて、バカを塗りこんだ感じ。どんなジャンルでもそうですが、振り切れている映画は魅力的です。クサ過ぎる芝居も、グロ過ぎる描写も、チープ過ぎる設定も、トータルバランスが取れているので心地よい。アクションも見応えがありました。何気に感心したのは弟くんの友達が、イジめっ子と戦う場面。ダサダサの弱虫キャラが本格志向のローキックを放つのです。これが超ウソ臭い。見るからにインドアのオタク系ですから。でも母親に格闘技の素養があるなら、その息子だってあれくらい蹴れてオカシクない。気の利いた設定です。もちろん残りの99%はバカ設定ですけど。難点は他人に薦められないこと。自分が鑑賞した事も出来れば隠しておきたいくらい。ちなみに監督主演の「本作の正しい鑑賞法」はギャグというより作品批判(モラル批判)に対する保険だと思います。マジで怒らないでネっていう。気持ちは分かりますが粋じゃない。無くていいかも。
[DVD(邦画)] 7点(2009-04-24 20:59:49)(笑:1票) (良:1票)
355.  漂流教室 《ネタバレ》 
SFサスペンスのカテゴリーで本作を評価するなら、確かに点数は付きません。特にストーリー上の肝である“タイムスリップ”を、専門家(?)の勝手理論で早々に片づけてしまうなど暴挙もいいところでしょう。原作の超有名シーン、母の愛で息子に届ける武器のプレゼントも無茶な改変で処理されていました。しかし、です。楳図かずおの名作にして迷作、奇書『漂流教室』の魅力は、大筋で外していないと感じました。前頭葉が痺れるような原作が持つ圧倒的な熱量は、本作からも感じられたと。楳図のトンデモ展開+画力=大林の奇天烈演出+謎ミュージカルで置き換えられます。要するに、どちらも“どうかしている”ということ。『漂流教室』の看板を借りた、大林節炸裂の“やりたい放題”映画とも言えますが、コレはこれで正しい漫画原作の映画化の姿だと思いました。舞台をインターナショナルスクールに変えた辺りも、監督の信条がよく表れていると思います。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2016-01-20 20:59:43)(良:2票)
356.  恋するマドリ 《ネタバレ》 
「丁寧に~慎重に~モノを壊すのはリングの上だけ~」こんな掛け声の引っ越し屋はイヤだなと苦笑いで観始めた映画は、驚くほど典型的な王道ラブコメでした。それも主演“新垣結衣”が魅力的に映るよう最大限に配慮されているのが特徴です。空港突破の件など“ガッキーが両脇を抱えられながら連れ去られる(キュートで可笑しい)画”が欲しかっただけの無理筋な脚本。ラブコメに似つかわしくない性格俳優を新垣の相手役に選定したのも同じ理由でしょう。そういう意味では、間違いなくガッキーは可愛かったので、この映画は大成功と判断します。ただ個人的には、ラブコメはベタならベタなほど好みなので、例えば柴咲コウみたいな“ザ・美人タイプ”、竹野内豊のような“正統派男前”そして瀧や中西学ではなく本職のコメディリリーフを使った、キャスティングの方も王道のラブコメを希望する次第です。
[DVD(邦画)] 5点(2017-11-20 19:25:59)(良:1票)
357.  母性 《ネタバレ》 
①女性には2種類の人間がいる。一つは母親で、一つは娘である。子どもができたら娘は自動的に母親に移行するのではなく、娘で居続けようとする者もいる。②母性は最初から備わっている、あるいは子どもができると自然に湧き上がる感情ではなく、学習し習得するものである。清佳(永野芽郁)の持論は、彼女から見た母ルミ子(戸田恵梨香)に対する人物評でもありました。この見解に異議はありません。そういう人もいるでしょうし、勿論そうではない人もいるでしょう。いずれにせよ親には子を産んだ責任があります。子が親に求める責任とは「愛して欲しい」それだけです。「無償の愛」なんて言いません。愛する分だけ愛して欲しい。ですから母の言葉「子どもはまた産めばいい」はどんなに残酷なことか。清佳の記憶から消去されたのも無理からぬ話です。こんな呪いを抱えたまま生きていけるはずなどありません。一方、華恵(大地真央)にとってもルミ子の発言は衝撃だったでしょう。愛する娘に母性が備わっていないとは痛恨の極み。彼女は自らの命を賭して「親の愛とは何か」を娘に伝えようとしたのだと思います。 幼少期~思春期にかけ、清佳は本当に苦しんだことでしょう。親の機嫌を察知できないのも困りものですが、親の顔色ばかり窺っているのは不幸です。「愛情」という「心の栄養」を満足に受け取れなかった影響は如何ばかりか。よくぞまっすぐに育ったと感心します。いや「曲がる事さえ許されなかった」でしょうか。その結果「遊びのない」娘が出来上がりました。真面目と言えば聞こえは良いですが「受け流せない」は危険です。いつかポッキリ折れるかもしれない。事実彼女は一度自死しかけました。強い風には適度に曲がり、時には流され、逆風への耐性を付ける事が肝要であります。 物語のラストは、清佳自身が娘から母へ立場を変え、両親へのわだかまり解消を口にする大変前向きなもの。この心境変化は彼女の中に芽生えた「母性」による効果でしょうか、あるいは結婚や出産時に発現する「はっちゃけ」の類でしょうか。私が清佳なら絶縁以外の選択肢はありませんけども。ここで注意が必要なのは、彼女が抱えるリスク「遊びがない」が解消されていないこと。居酒屋での言動をみると大変不安になります。子育ては思い通りに行かない事だらけ。そんな時重要になるのがサポート体制であります。義理の父母そして夫。いや夫はサポートする側ではなく、育児の当事者ですね。そもそも父親がきちんと機能していれば、清佳がこんなに苦しむ事もなかった訳ですが。ちなみに華恵(大地真央)-ルミ子(戸田)-清佳(永野)の母娘関係がメインであったうちは「母性のありか」「愛情の行方」に物語の焦点が合っていた気がしますが、華恵退場後は「嫁いじめ」が強烈過ぎてそちらに気を取られてしまいました。父の浮気やその浮気相手の言い分も胸糞でしたし、後半はややメインテーマと物語の軸がブレたかもしれません。 最後にミステリーパート「母と娘、それぞれの真実」について。これは『ミステリと言う勿かれ』で整くんが述べているように、事実はひとつ。でも真実は人の数だけあるが正解だと思います。「弁当が落ちた」という事実に対して、母は「ショックのあまり手が滑った」娘は「腹立ち紛れに叩きつけた」と認識していていますが、この程度の解釈の違いはあって当然です。ただ自殺未遂直前の行為についてはどうでしょう。「抱きしめた」と「首に手をかけた」では違い過ぎます。これはどちらかが(あるいはどちらとも)事実を改変している事を意味しました。ここからは完全に推測ですが「首に手をかけた」が事実と思われます。現実に耐えられなかった娘は自ら首にロープを巻くことで「事実を上書きしようとした」が真相ではないかと。何と不憫な自殺理由でしょうか。本当に娘を殺す気があったとは思えませんが、ルミ子が錯乱していたのは間違いありません。精神的に極めて追い込まれた状態であり、すぐに入院治療が必要なレベルかと。ですからその後ルミ子が適切な治療を受けていないとすれば、状況は悪化こそすれ好転などしていないはずです。娘の妊娠報告をうける場面。ルミ子がそっと閉めた扉の向こうには要介護の姑がいたはず。何やら寒気がするのは、気のせいであって欲しいのですが。
[インターネット(邦画)] 6点(2023-09-19 18:54:50)(良:1票)
358.  ブリジット・ジョーンズの日記 《ネタバレ》 
周りの人たちは彼女に諭します。「もう時間が無いのよ」と。チクタクチクタク時計の針真似。デリカシーを欠いています。というかバカなのでしょう。ただ、言っていることは間違いではありません。主人公は30代前半。もし出産を望むなら、そろそろ本腰を入れなくてはヤバイのは事実。彼女自身がその事を一番承知しています。だから禁酒・禁煙・ダイエット。自分を磨く必要性を感じています。感じてはいるけど、そう簡単には行きません。彼女を「努力が足りない」と切り捨てるのは簡単なこと。だけど、みんなが立派なわけじゃありません。努力が空回りすることだってよくあります。彼女の境遇に、そして性格に親近感を覚えるのは自分もダメ人間な証拠でしょう。本来ブリジットは賑やかしの脇役か、エキストラ程度のキャラ。だけど『自分自身』という物語では、誰もが主役に違いありません。人の数だけ物語があります。勿論ラブストーリーだってそう。少々浮世離れした展開ではありましたが、こんなドラマがあっても構わないと思いました。ただ、個人的にはもうちょっとヒロインに頑張って欲しかったというのが本音です。タナボタ的に幸せが転がり込んできたのがちょっと不満(もっとも、努力が報われるとは限らないところが、恋愛の妙ではありますが。)文字通り「果報は寝て待て」で得た幸せ。そういうパターンもあるでしょうが、極めてレアなケースかと。真似せぬが吉だと思います。
[DVD(字幕)] 6点(2007-12-25 19:16:53)(良:1票)
359.  普通じゃない 《ネタバレ》 
可愛らしい子供の姿をしたキューピッドは恋の天使。ファンタジックな存在です。本作の天使も目的は同じ。でもオジサンとオバサン。おまけに“恋をさせること”が職務だと言う。急に現実味を帯びてきます。サラリーマンの営業ノルマと同じ。“2人の幸せのために”なんてキレイ事は言いません。ノルマを達成しないとキツイペナルティが待っているから。なりふり構っていられない。出会いのキッカケなんて無茶苦茶。ドラマチックではあるけれど、その後の人生に悪影響を及ぼすこと必至。吊り橋効果を狙って?銃を撃ちまくる。最悪天界に戻れないのなら、ユアンを殺して報酬を戴こうとまで考えています。人間と変わらぬ現実主義と利己性。それが本作のウリ。面白い設定だと思います。でもそれなら、天使の視点で物語をすすめればいい。主体がキャメロンとユアンである必要はありません。また、天使のキャラクターの描き方も中途半端。ルックス的に“イイ人”風だし、最後の奇跡も“若い2人の愛のため”を装っています。やっぱり天使は善なのではないかと錯覚させます。でも本当は違うと思う。神様を上手く言いくるめたに過ぎません。天使のスタンスの不安定さが、そのまま作品の印象に繋がっていると思います。天使はあくまで事務的に冷酷に、2人はそれを知らずにハッピーに、なんて展開の方が、メリハリが効いて良かったのではないかと。結果的にキャメロンの小悪魔的ルックスとユアンのイイ人ぶりが幸いして、物語の後味は悪くありません。でも物足りないです。撃たれた男天使が動いたときの親父さんのリアクション、声にならない「イーア」という顔がツボだったので+1点。
[DVD(字幕)] 6点(2007-11-19 18:35:40)(良:1票)
360.  ホーム・アローン 《ネタバレ》 
ファミリー向けハートウォーミングコメディ…なのでしょうが、私は正直乗れませんでした。理由は2つ。一つ目は、マコーレ君の泥棒撃退法がやり過ぎであること。特に火炎噴射。あれはシャレになっていません。もちろん、爆発炎上で頭チリチリでも許されるのがコメディの流儀。でも本作は、そこまでギャグ処理が徹底されていません。普通に事故案件に思えてしまいます。おそらく“人の財産に手を出そうとする輩は、撃ち殺されても文句は言えない”という米国スタンダードが根底に在るのでしょう。その証拠に、マコーレ君はきちんとおもちゃで銃撃しています。本来なら撃ち殺されるところを火傷で済んだのですから、御の字ということ。まあ、正論です。でも屈託なく笑えないです。二つ目は、マコーレ母の家族愛アピール。公衆電話を奪い取り、金にモノを言わせて航空券をゲット。それもこれも、愛する息子を思うが故のこと。母の愛、ここに在り。ここでも、かの国の個人至上主義の価値観が観てとれます。これも正論と言えば正論でしょう。でも迷惑な話です。隣のおじいさんがワダカマリを捨て家族と打ち解けるサイドストーリーの方が、よほどホロリとさせられます。
[地上波(吹替)] 5点(2016-01-10 18:56:15)(良:1票)

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