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41.  スーパーマンII/冒険篇 《ネタバレ》 
「ドナー・カット」(6点)も見たがこのレスター版の方がよいと思え、(ドナーの1作目の方が品がよくても)シリーズ中一番愛着のある作品。 オープニング・クレジットも優美なこちらの方が好きだし、2・3作目を担当したケン・ソーンの音楽もジョン・ウィリアムズほど端正ではなくとも悪くない出来。 エッフェル塔(ドナー版では丸々なくなっており、全く別な展開になっている)を見ればこの映画を思い出し、撮影時期が異なるためシーンごとに顔のちがうロイスよりも、三悪人のひとりアーサ(サラ・ダグラス)のクールな美貌が魅力であった。 クリストファー・リーブがスーパーマン、クラーク・ケントとともに第三の男を演じており、故郷クリプトンにいたらこうだったであろう普通の青年カル=エル。 個人的理由のためにパワーを捨てたあげく自身の血を見た直後、ゾッドがホワイトハウスを占拠したことを知る彼は、ふがいなくとも要塞に戻り父に許しを請う道を選ぶ。 闇の中でグリーン・クリスタルがふたたび光りだすのは、作品中一番いいシーン。 「スーパーマン的」とは非人間的で蔑視的な表現だが、スーパーマンだって楽ではないのである。
[映画館(字幕)] 8点(2009-08-16 01:07:08)(良:1票)
42.  エイリアン3 《ネタバレ》 
ミュージック・ビデオで評判をとっていた20代のデヴィッド・フィンチャーが映画監督としてデビューを飾るのに、「エイリアン」のような人気シリーズでは荷が重すぎたと思う。 映像感覚は優れていても長編映画をまとめ上げる力量にはまだだろうし、脚本の改稿に次ぐ改稿。 それでも流刑惑星や女人禁制宗教のストイックな空気は、アクションよりも精神性重視なのがわかる。 冒頭で「2」のキャラクターをいきなり消してしまうのも(作品ごとに監督の違うシリーズらしい不整合とはいえ)リプリーを孤独にするため。 犬の口からエイリアンが飛び出すアイディアは「遊星からの物体X」を思わせ、「2」ではなくなっていた半透明なヘッドカバーが復活してエイリアン本来の姿に戻されており、斬新なエイリアンズ・ビューは作品最大のウリ。 リプリーと心を通わせる医者クレメンスは英国のチャールズ・ダンスが演じる。 前の年の「ターミネーター2」とラストが偶然にも酷似してしまうという不運にも見舞われ、緊迫した状況での位置関係がわかりにくいなどの弱点はあるが、落ち着いた渋い作品。 続編の監督たちは皆「1」が好きでやっていてその上で自分のカラーを出していたけれども、シリーズ中一番影が薄い作品ではあるかもしれない。 「1」「2」ではリプリーにとってエイリアンは倒すべき敵でしかないが、「3」以後は微妙に違ってくる。 何というか親密度が増してくるのだ。 リプリーが幼体を孕んでいても「1」のケインほどの異様さは感じず、それは彼女が女性であることにも関係している。
[映画館(字幕)] 6点(2012-03-08 06:59:59)(良:1票)
43.  TIME/タイム 《ネタバレ》 
「TIME IS MONEY」で映画を1本作ってしまった、タイムSFとして目新しいのは確か。 監督アンドリュー・ニコルの傑作「ガタカ」のように美意識で貫かれており、人もモノもみな美しく、それだけに脆弱ではある世界。(夜の海で泳ぐシーンがあの映画を思わせます) 後半迷走してる気はしなくもないけど、ユニークな設定だけでも評価したいです。(蛍光ペンで腕に数字書きたくなる) 茶髪のウィッグをつけたアマンダ・セイフライドが新鮮、「トロン:レガシー」のオリヴィア・ワイルドは見た目25才のママ、彼女があと一歩で間に合わなかった時は悲しかった。 タイムキーパーのキリアン・マーフィは意外とおマヌケ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-04-05 07:00:00)(良:1票)
44.  ビヨンド the シー/夢見るように歌えば 《ネタバレ》 
ケヴィン・スペイシー主演に加え、製作・監督・脚本(共同)。 演技派・性格俳優のイメージだけど、一番作りたかった映画がコレというのは人柄がわかる気がします。 50年代の人気歌手ボビー・ダーリン(「マック・ザ・ナイフ」のタイトルは知らなくても、聴いたことのある人は多いはず)になりきって歌い踊る彼は、それまでの俳優人生で一番幸せだったのではないかしら。 憧れの舞台としてコパカバーナも登場し、熟練した歌声を聴かせるスペイシーの情熱に圧倒されるばかり。 年若い妻となるサンドラ・ディーのケイト・ボスワースも役にあっていて愛らしく、彼らが再び共演する「スーパーマン リターンズ」よりこちらの方がずっとイイ感じ。 子供の頃は病に冒され、長じてからも出生の秘密を知らされたりスランプに陥るなど、紆余曲折あっても破滅には至らず、再び返り咲くボビーことウォルデン・ロバート・カソットを見つめるのが、かつての自分である少年なのも面白い。 この役を演じるには年令高く、歌手のイメージではないとも言われるけれど不思議とそういったことは気にならず、分身と手をたずさえてステップを踏む終幕のハイライトにも自分の夢を実現した喜びが満ち溢れているようで、それが何よりもすばらしいと思います♪
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-08-06 07:00:04)(良:1票)
45.  レッド・ツェッペリン/祭典の日(奇跡のライヴ)
あと1ヶ月でちょうど5年になるO2アリーナの再結成ライヴは、ツェッペリンのスクリーンにかかるものとしては「永遠の詩(狂熱のライヴ)」(76)以来となる映像作品。 その間LED ZEPPELIN DVD(03)はあったが、4:3の画面はやはり手狭な感じであったので、映画的な視野を得られる1.78:1のアスペクト比はうれしいし、シアターで見ることができた人は(音響設備もよければ)あの日のO2アリーナに行った気分になれたはず。 監督はそのZEP DVDのディック・カラザース。 恩人アーメット・アーティガン追悼を機に、彼らがツェッペリンに「戻る」までは6週間のリハーサルを要し、いかに本人たちといえどゼップを名のるには裏の努力も必要ということであろう。 その成果はあり、セットリストも十分なもので今月発売のソフトを買わなくてもよいほど満足できるものであった。 「永遠の詩」同様、「アキレス・ラスト・スタンド」「シック・アゲイン」が抜けているので完全に満足というわけではないが(なのでネブワースが貴重となる)欲をいえばきりがなく、現役時代の末期には割愛されていた「ホール・ロッタ・ラブ」のテルミンや「幻惑されて」のレーザー・ピラミッドも再現され、いたれりつくせりといってよい。 彼らの最大の魅力である、あらゆる曲想を備えていることが豊潤さにつながり、何より解散後のリユニオンの中では最もゼップらしさがあった。 ペイジとジョンジーがプラントをはさむ格好で、後陣にはボンゾの息子ジェイソンが控え、あのサウンドが生みだされる至福の2時間。 全世界で2日だけの上映という異例のプレミアも功を奏したかもしれない。 ソフトがほしくないわけではないが(5種類もあるのも商売上手すぎてどうかと思う)、あれほどの好条件で視聴することは不可能なのを考えれば、祭典の日はただ1日、祝祭はただ一度でもいいのだ、自分には。
[映画館(字幕なし「原語」)] 9点(2012-11-10 06:59:59)(良:1票)
46.  娼婦ベロニカ
「恋におちたシェイクスピア」の姉妹篇なのだとか、こちらはフィクションではなく史実に基いているそう。 16世紀後半のヴェネチア、後ろ盾がなく母と同じ高級娼婦(コーティザン)に転身する娘ベロニカ。 青年貴族と結婚する道を絶たれた彼女が美しく教養あるコーティザンになったとたん、身分の高い男たちが群がるのは皮肉でもあります。 ヴェネチアをトルコの侵略から守るため、フランス国王アンリ3世とも同衾するベロニカに降りかかる運命は辛いものですが、結果的に彼女を救うのは彼女のしてきたこと? ジウリアの涙は一人の娼婦と夫を奪われた妻たちの和解を意味するものでしょうか。 キャサリン・マコーミックは美女だけど少し華がないようで、ルーファス・シーウェルが形だけの妻を娶りながらベロニカを忘れられないマルコ。 ジウリアのナオミ・ワッツはノーメイク風で気ずかず、母親パオラ役のジャクリーン・ビセットはお年を召してもさすがの美しさ。(「お前より私の方がキレイ」っていうのはアレだけど~) 「恋におちた…」より内容はいいと思うのですが、アメリカ製ヨーロッパらしくライトでキンキラなとこはあってまずまず。
[DVD(字幕)] 6点(2012-08-08 07:00:04)(良:1票)
47.  クレアモントホテル
日本公開が遅れた05年の作品です。 おばあちゃまと青年の交流というと「ラヴェンダーの咲く庭で」もあったけれど、あまり現実味のないメルヘンチックな世界ではあるかもしれません。 スティングの「ブリムストン&トリークル」では中年主婦だったジョーン・プロウライト(ローレンス・オリヴィエ夫人)がロンドンのプチホテルに逗留するミドルクラスの高齢者の中でもアッパーな雰囲気、でも気どったところのない品のいい老婦人に扮し、偶然知り合った作家志望の青年ルード(ルパート・フレンド)にはからずもつれない孫息子の代役をつとめてもらうはめに。 好奇心のつよいお仲間に面目を保てた上に年若い友人ができた夫人のみならずルードにも影響がおよぶ。 現代人の役はめずらしいフレンドが役には色気ありすぎかもしれないし、「ラヴェンダー・・・」が現実的な苦味が切なさを生んでいたのに比べて女性の原作らしい理想的な甘さはあるけれど、人生の黄昏とやさしい余韻があっていい作品。 原作が書かれた40年前は、今より世の中が世知辛くなかったのかもしれません。 パルフリー夫人が縁でルードが知り合うグェンドリン(ゾーイ・タッパー)が美しい少女ですが、ホテルのウェイトレスさんのお茶目なキャラも印象に残りました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-02-02 07:00:05)(良:1票)
48.  キャリー(1976) 《ネタバレ》 
キャリー(シシー・スペイセク)の最大の不運は、異常な母親に育てられたこと。 萎縮してしまい、本来の自分を出すことができずに学校でも「変な子」扱いの彼女がほんのちょっと自信が持てると、プロム用の素敵なドレスも自分で仕立ててしまうほどの才気が顔をのぞかせ、どんなに抑圧されていたか。 スー(エイミー・アーヴィング、スピルバーグの最初の奥さんです)が急にいい人になってしまうのは唐突にも感じられ、最後なんか悪気はなくともきっかけを作った彼女への報いじゃないかとも思えて。 トミー(ウィリアム・カット)は、名前といいへアスタイルといい、ロック好きのデ・パルマが「Tommy/トミー」にあやかったとしか。 最初は頼まれ仕事だったのが、だんだんと変身したキャリーに惹かれていく流れが自然なので、彼と先生は「除外」してほしかったな。(カット自身はTV「アメリカン・ヒーロー」で復活) トラボルタや10年後「ロボコップ」のルイス巡査となるナンシー・アレンが悪役。 監督の「ファントム・オブ・パラダイス」より映像的にも洗練(アレで導入された画面分割が、コレでは動くようになってるのが効果的)されており、スゴイ映画ではあるけど無差別殺戮なので、そのヘンちょっと気になります。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-05-07 06:05:25)(良:1票)
49.  天空の草原のナンサ 《ネタバレ》 
ビャンバスレン・ダバーが「らくだの涙」と同じモンゴル遊牧民を描いてより映画的、空の青と草原の緑が美しいコントラスト。 影の主役はナンサや妹より末っ子弟クンか、巧まざる仕草が笑みを誘う。 厳しい遊牧の暮らし、迷い犬のツォーホルもかわいいというだけでは飼ってもらえない。 定住しない彼らの家ゲルの解体は手間のかかる大変な作業でも、彼らには日常的な儀式なのだろう。ドキュメンタリータッチの中に最後はドラマ仕立て。 猛禽の群れに歩みよる弟は、望遠の圧縮効果による見た目より距離があるはずだが、一瞬ヒヤッとさせるのが淡々と進む作品のスパイスに。 定住化が進み遊牧民たちはいずれ時の流れに静かに姿を消していくのが予想されつつ、今を生きる彼らをいとおしむような視線。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-08-02 06:59:59)(良:1票)
50.  落下の王国
映画監督だけが仕事なわけではないアーティスト、ターセム・シンの作品数は少なく、1本1本が貴重。 近作「インモータルズ」が影と闇に支配されていたのとは対照的に、この映画の空想部分は光と色に溢れ、世界遺産めぐりの旅でもあり、至福のひととき。 遺跡を舞台としイメージや舞踊をとりいれることで、それ自体も新たな生命を帯びてくるよう。 一方現実の方はかなりシビア。 たびたびスタントのことにも言及したのは、縁の下の力持ちの彼らが映画を支えているのに思いをはせてほしいからなのですが、負傷のスタントマンにスポットをあてるなぞ嬉しくもあまりない趣向。 ラストは「ニュー・シネマ・パラダイス」より好きかもしれず、無謀より果敢という言葉がふさわしい、表舞台に出ることはないはかない英雄たちの勇姿の数々。 彼らの代表であるロイと少女アレクサンドリアの繋がりが、夢のような映画を夢で終わらせておらず、「落(堕)ちる」ことの痛みとそれへの抵抗が、美しい映像に縫いこまれていたように思います。 力強さより浮遊感のある作風も特徴か。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-10-01 07:00:04)(良:1票)
51.  愛を読むひと 《ネタバレ》 
ドイツ原作で米独合作、少年時代のクロスはじめガンツ(教授)やクラウスナー(判事)らドイツ人俳優も出演していてアメリカが勝手に作ったわけではないのですが、微妙なホロコースト映画。 監督やメインの俳優がイギリス人の英語劇なのはマーケットを考えてか。 公判でも公平さを保ちつつもハンナを強引に罪人にしているような部分がありました、スケープゴートか必要悪として。 マイケルは刑務所のハンナに献身的に朗読テープを送り続けながら彼女の手紙には返信せず、出所にも戸惑いを見せるやや身勝手な男。 気難しく奔放だったハンナは老いてコンプレックスを克服するのだけど、そのきっかけを与えてくれた相手にとって自分がお荷物であるのを悟った時の選択はあっけなく、自責の念に駆られたマイケルの行為もさして感動はおぼえない。 性愛からのスタートなので関係が脆く、愛や知性よりプライドと自己満足が勝る彼らの人間的な弱さを戦争にかこつけているのはどうかなと思いました。 ケイト・ウインスレットが「いつか晴れた日に」から6度目のノミネートでオスカーを得たのは嬉しいけれど、それほどいい作品かどうかはわからないです。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2011-04-04 00:00:12)(良:1票)
52.  王さまの剣
キャラクター・内容も充実だが、デッサン力バリバリの作画が素晴らしく、ディズニー随一?輪郭線というものを持たないCGアニメはテクスチャーは出せてもこうした描線によるタッチの味は望むべくもない。若き日のアーサー王ワートの修行の日々、マーリンとミムの魔法合戦が楽しく、リスに姿を変えた主人公にぞっこんの女の子リスの叶わぬ恋が小さな余韻を残す。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2006-02-25 16:30:21)(良:1票)
53.  ブレードランナー/ディレクターズカット<最終版>
劇場公開版ではなく、こちらを先に見ていたらどうだったろうか?ボギー風のナレーションや楽観的な結末、美しいビスタは姿を消し、タイトに絞られたBR。そのかわりにデッカードの身上を仄めかすユニコーンが視界を駆け抜ける。H・フォードのモノローグは確かに洗練とは程遠いが、既にインプリントされた声を頭から消し去るのは難しい。あれを嫌っていた人間も情報だけはしっかり頂いているのだし。ラストの印象も全く違うので好みが分かれるところ。複雑な経緯があって世に出たコンクルージョンだが、自分にはBRヴァリエの一つでしかない。
[映画館(字幕)] 8点(2006-02-19 18:21:54)(良:1票)
54.  俺たちダンクシューター
(まだ空き部屋ですけど、いいでしょうか書いちゃって?空き部屋に侵入するのは「スカーレット」「ムーミン」「チャタレイ」「エトワール」に続いてですが…)この国ではウィル・フェレルの「俺たち」シリーズになっていますがスタッフ違うし、これは時代設定が70年代としても少し地味すぎじゃないでしょうか・・・ボールゲーム物としても「ドッジボール」よりおちるし、女性がERのアビーだけなのもサビしすぎ。ウィルが幕間のイベントで本物のクマさんとマッチするのはちょっとびっくりですが。なんとなく始まってなんとなく終わってしまって盛り上がりがなかったかな、残念。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2009-10-20 02:03:35)(良:1票)
55.  ブラス!
このバランスの悪さ、ばらまかれた不安定要素こそがリアリティ、真の人生と呼ぶべきもの。それは承知の上で「リトル・ヴォイス」同様この監督との相性はどうもよくないのを感じる。サントラCDを持っているのもこの映画が好きというよりは曲と演奏がいいからにすぎない。この映画のパーツは何処かにはめ込まれるためではなく、それ自体が存在するためだけに散らばっているので一人よがりな印象を与えかねない。スカッと気持ちのよい作品を連想させる邦題もこの陰気な作品には似合わないように思う。
[映画館(字幕)] 6点(2006-03-14 19:53:33)(良:1票)
56.  プリティ・ベビー
数年前ニューオーリンズが洪水に見舞われた時、実在のヴァイオレットがいた館も水に沈んだのだろうかとふと思った。 12才の少女と娼婦の写真を撮り続けた写真家ベロックを結びつけ物語を織り上げたのはルイ・マル、アメリカ映画ながらフランス映画の佇まい。 娼館にロートレックのような画家、そしてこのベロックのような写真家ら芸術家が入り込み、日々彼女らの姿を二次元に写しとる作業を行うと、そこは濃き香り漂う美的空間に変貌する。 「芸術家と女たち」はそれほどそれ自体が絵になるのだ。 スヴェン・ニクヴィストの撮るアンティークな色合いにブルック・シールズの子供と女が共存する美しさが映え、その母として遜色ない妖艶なスーザン・サランドンと陽気な娼婦たち。 マルはこの世界を悲惨なものとして描かなかった、こういう世界があったとだけ。 この少女は何も恐れない、新参者ベロックが自分を愛さぬこと以外は。 自分が値打ちのある商品であることに自負さえ持つ屈託なさ。 「教授」(「スタハチ」のアントニオ・ファーガス)がサロンで弾くピアノがメランコリックに流れ、彼が可愛がっていた彼女が水揚げされ、値をつけられていくのを聞きながら顔を歪める場面が印象的だ。 彼にどう出来よう? 彼女の稼ぎも彼の生活を支えるになくてはならぬものなのだ。 ヴァイオレットに近づきすぎたせいで破滅に陥るベロックのものとはまた違う、彼が小さなコケットに注ぐ眼差もこの作品中で忘れがたい。
[映画館(字幕)] 9点(2007-07-21 12:09:20)(良:1票)
57.  ポセイドン・アドベンチャー(1972)
ジーン・ハックマンは自分には何といってもレックス・ルーサーだけれども、2番目はこのスコット牧師。信仰のない人間は聖職者には距離を感じるものだが、この牧師には独特の味付けがされているためにそれを感じることがない。神に隷属することなく理不尽な仕打ちに怒りをあらわにする彼は、捨て身で運命に逆らってみせるのだ。「すべて神の御心」でなく。アーネスト・ボーグナインが彼を引き立てる格好で、シェリー・ウィンタースの水の中と外の演技も「人の役に立ちたい」という気持ちの重みを教えてくれる。「モーニング・アフター」を歌うバンド歌手キャロル・リンレイの吹替えをしているモーリーン・マクガヴァンは、これと次作でテーマ曲を歌ったためにディザスター・クイーンのあまりありがたくない呼称を賜ったが、2曲は彼女のベストアルバム(米国盤)を飾っている。監督ロナルド・ニームよりも実質的にプロデューサーのアーウィン・アレンの作品であり、彼は次作でこの路線を拡張することになる。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2009-09-27 01:00:09)(良:1票)
58.  JUNO/ジュノ 《ネタバレ》 
「普通じゃなくてもいいじゃない」がテーマ?「命、命」ってウルサイ映画も苦手だけど、これはまたドライな★ CMみたいな作りやジャカジャカ鳴る音楽と、赤ちゃんを成長過程の道具みたいに使ってるのがマジメな人の神経にさわりそうですね。ジュノのシブいサブカル好み、里親夫婦のシフトしていく比重、ヘタレそうに見えたBFが意外とシッカリ者なのはイレギュラーで面白いけど、継母が女性検査士を一喝するとこは少し言いすぎじゃないかな?ジュノが「いい気なモン」なのは事実で、理解ある両親の愛にくるまれている彼女は個性的ではあってもしょせん甘ちゃんの域からでない。「やっぱりアタシが育てる!」とか言いだしても逆にゲンナリしたと思うんでコレでよかったのかなって気はしますが、同じサーチライト・フォックスの小品ヒットで米国外でも共感を集めた「リトル・ミス・サンシャイン」よりは評価がバラけますよね、これは。いろいろな意見があっていいと思いますが、斬新というだけでは評価しにくいです。今はよくても10年後、20年後のジュノは品物のように他人に手渡した「息子」にどういう気持ちを抱いて生きていくんだろう?
[CS・衛星(字幕)] 6点(2010-04-11 06:30:40)(良:1票)
59.  ブリムストン&トリークル
スティングの2本の主演映画(一般映画)のうちの1本。 モントリオール映画祭グランプリでも日本で劇場公開されなかったのは、英国らしいブラックな内容が日本のポリスファンにはそぐわないと判断されたせいかもしれない。 スティング演じるマーティンはいわば詐欺師であり、寝たきりの娘を抱えるベイツ(デンホルム・エリオット)の家に言葉巧みに入り込み看病に疲れた妻に取り入り、赤子同然の娘を玩具としていいように弄ぶ怪しき人物である。 アメリカのサスペンスものと違うのはベイツも娘の病に関わる後ろ暗い部分を持ち、悪党であるはずのマーティンが幸運をもたらすグロテスクな諧謔か。 一見善でも善ならず悪が善を生み出すという着想は欧州的屈折といえようか。 スティングは当初デヴィッド・ボウイも候補とされていた台詞の多い役をこなしているが、演技力より存在感が勝っている印象。 映画に興味があっても輸入盤のサントラを聴くしかなく後年ヴィデオで一度観た事があるだけだったが、映画の内容もさることながら重要なのは、音楽と歌曲の大半をポリスとスティングのソロ名義で担当していることだ。(スティングが今でも取り上げる「君に夢中/I burn for you」初出) 裏ポリスアルバムといってもいいダークかつ意味深な内容で、「ゴースト・イン・ザ・マシーン」と「シンクロニシティ」の間という成熟期に作られた余裕のある音が、一風変わったロンドンの一家の物語を静かに盛り上げる。
[DVD(字幕)] 7点(2011-02-19 00:45:00)(良:1票)
60.  白雪姫と鏡の女王
グリム童話200年ってことで白雪姫の第2弾。 陰の「スノーホワイト」に対して陽なカンジで、どちらもいいと思いますが、こちらの方が楽しく見られるかも。 ターセム・シンは作品数は少ないものの、優れたヴィジュアリストの一人。 あの独特のカメラワークも見られ、ファンタジックな世界を展開しています。 白雪姫リリー・コリンズはフィル・コリンズの娘さんだそうで、ミュージシャンの娘で女優ってリブ・タイラー以来かな? まゆげクッキリの彼女の明るい個性で、イキイキした映画に。 「スノーホワイト」とちがいスノーのお相手は一人だけど、その王子さまのキャラもひと工夫ありで(犬になるのがかわい)、小人さんたちの活躍シーンも多く、ジュリア・ロバーツは初の悪役・鏡の女王。 女王さまが破産しそうだったり王子さまにちょっかい出したりするのもおもしろいトコ。 ショーン・ビーン国王はカッコよく、側近ネイサン・レインのコスチューム姿は初めて拝見。 音楽いいなー♪と思ったらアラン・メンケンで、プリンセスものの華やかさ十分。 ターセム作品のすべての衣装を担当した故石岡瑛子さんの、布をたっぷり使った夢のようなドレスが有終の美を飾るのも見どころ。 最後ニギニギしいのは、監督がインドの人なのもあるか。
[映画館(字幕)] 7点(2012-10-01 07:00:00)(良:1票)

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