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プロフィール
コメント数 646
性別 女性
自己紹介 2006年のレビュー本数4本ってあんまりですわね。
2005年には「姑獲鳥の夏」まで見ていたクセに。
ってこういう使い方やっぱ邪道ですよね。来年こそは。

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61.  パニック・ルーム
娯楽映画と割り切ればかなり高レベルの作品だとは思うのだが、いかんせん観客はデビッド・フィンチャーの最新作を期待している。そういう意味で、これはマスを相手にした普通の娯楽作品でしょう。設定もおもしろいし、キャスティングもかなり成功している。ストーリーは安易とも取れるが、支えている着想がオイシイのでそれほど質は下がっていない。ついにジョディ・フォスターがお母さん役になったか、という感慨や、フォレスト・ウィテカーが最後まで信じ切れないキャスティングの妙でラストまで飽きずに観られる。あくまでもフィンチャー作品としてではなく、娯楽作品としての合格点。ただし期待するものとはやっぱり少しズレている。
8点(2003-12-28 11:29:37)(良:2票)
62.  狼たちの午後 《ネタバレ》 
いろいろな価値観があるとは思うのだが、とりあえず「何回観ても飽きない」ということを一つの価値観として捉えるなら、オチがわかっているにもかかわらず何度でも夢中になって観てしまう作品としては「太陽がいっぱい」と並んで迷わず挙げる作品。あまりにも無計画な銀行強盗を企てた一味が、絶望的な包囲網の中で繰り広げる人間性剥き出しの数時間のドラマは、人質との間に生まれた奇妙な連帯感や仲間同士の裏切り、挙句は主人公ソニーの「愛人」まで登場して予想外の方向へと転がって行く。愚かな人間たちの、哀れな中にも笑いを誘う人間模様は、やがて観客の祈りも虚しく最悪の結果へと流れ着いて行くのであるが、後味の悪さとは裏腹に奇妙な安堵感をもたらすのはひとえにソニーの絶望的な人生と、その先に待っているであろう二重、三重の後悔にまみれた汚辱の後半生が誰の目にも明らかであるからだ。根っからのワルでなく、弱さゆえに愚かな賭けに踏み切らざるを得ない人生の落伍者たちの姿が、何故か人々の心を惹きつけて離さない。これがあるから私は、アル・パチーノが何をやっても許してしまうんだよなあ。そういう意味では、私も同罪なんだ。早逝した個性派、ジョン・カザールの演技も特筆モノ。本当に惜しい人を亡くしたものである。
10点(2003-12-03 01:30:37)(笑:1票) (良:1票)
63.  太陽がいっぱい 《ネタバレ》 
音楽と映画って切り離せない存在である。ニーノ・ロータのあまりにも有名なテーマ曲を聴くたびに、あの美しい海の青と空の青、何も知らずに電話の呼び出しに応じるアラン・ドロンの、孤独な、なのに満ち足りた表情を思い出して涙してしまう。ただでさえ青と黄の強いこの頃のカラー映像は、最近の映画では滅多にお目にかかれないほど、この暗い個性の俳優の目と、海や空の色をどこまでも青く映し出してしまう。まるでその瞳の奥に隠された富への狂おしいほどの憧れを映し出すかのように。友を殺し、女を欺いてまで彼が欲しいと願ったものは、決して友の持つ財産だけではなかった。彼が心の底から望んでいたのは、たまたま運命のいたずらから太陽の当たる場所に生まれて来た友人の存在そのもの。アメリカから渡って来た貧しい青年は、ヨーロッパで豪勢な毎日を送る友人になり代わることを願ったのだ。羨望から殺人を犯す若者の卑屈な個性に、飢えた目をしたアラン・ドロンが見事にはまった。原作のトム・リプリーは、卑屈というよりはむしろ大胆不敵さが売り物の稀代の天才詐欺師だが、映画はその彼のキャラクターをどこまでも暗く、陰鬱なものに変えて人々の心に永遠の哀愁を刻み、パトリシア・ハイスミスの名声を確固たるものにした。それにしてもあの音楽がなかったら、この映画はこれほどまでの傑作になり得たのだろうか。
10点(2003-12-10 22:07:27)(良:2票)
64.  チャーリーとチョコレート工場
この原作を映画化するならティム・バートン以外にあり得ないし、主演はもちろんジョニー・デップ以外にあり得ない。全ての意味で製作前から完璧が約束され、その約束が完璧に果たされたこの作品は、まさに映画史上に残る奇跡。誰よりもこの作品を映画化したかったであろうティム・バートンが、盟友ジョニー・デップを主演に、フレディ・ハイモアをチャーリー役に迎えてまさに水を得た魚状態で大暴走。バートンが本気でやりたいことをやればこうなるのだと誰にでも予想出来たがまさか本当にここまでやってしまうとは。ファンタジーの残酷さ、カラフルでコミカルでグロテスクなブリキのオモチャの世界、この世界観あってのバートンであり、バートン作品ならではのジョニデであり、悪ノリもここまで行くかと脱帽させられながらも物語は孤独と癒し、トラウマと再生、家族と友情の物語へと昇華して行く。だから絵空事で、だからファンタジーだ。バートンの最新作は常に最高傑作で、その奇跡は未だ終わることがない。このコンビは奇跡だ。
[DVD(字幕)] 10点(2006-02-03 23:56:35)(良:2票)
65.  未来は今
この映画のツボは「とてつもないバカバカしさ」、この一語に尽きます。どう考えても普通の人より数段抜けてる主人公が、大企業の郵便仕分け係から社長にまで出世するドス黒い笑いに満ちたお話。どこまでも悪役に徹したポール・ニューマンのいまだかつて類を見ない冷酷非道の悪役ぶりと、間抜けさゆえに人を疑うこともなく、蹴落とすことにも興味のないシンプル一筋のティム・ロビンス。強烈なしたたかさで特ダネ求めて突っ走るジェニファー・ジェイソン・リーの「コピー!」の声にシビれて下さい。何もかもが必要以上に大がかりで、やりすぎ。だからこそこのイヤな笑いがシニカルにアイロニカルに人の心の醜さを暴き出します。悪はどこまでも悪、善はどこまでも善、そして神様は意外と何でも知っている。バカバカしいまでにファンタジックで、どぎついほどにリアリスティックな、この矛盾と破綻に満ちたストーリー展開にノレた人なら、コーエン兄弟にどこまでもついて行くことができるでしょう。個人的にはコーエン兄弟のベスト作品と思っているのだが、非常に残念なことにティム・ロビンスとジェニファー・ジェイソン・リーの踊る「カルメン」がちょっぴり長く感じられるので涙を飲んで1点減点。でもおもしろいです。これはおすすめ。 
10点(2004-04-18 03:01:36)(良:2票)
66.  素顔のままで
これって、本当にわざわざ時間とお金をかけて観なきゃいけないようなシロモノ?予告編だけはまあまあおもしろかった記憶があるけど・・・だからナニ?確かに私はヒマだ。ヒマでヒマでしょうがないから毎晩シネマレビューに膨大な時間を費やしている。たまには罵詈雑言を書き連ねるためだけに10分も費やしていることもある。もうちょっと建設的な時間の過ごし方ってあるよなあ、とこのレビューを書き始めて心の底から改心することが出来た。少なくとも当面、「素顔のままで」のことは思い出さないようにする。
0点(2003-12-18 23:35:57)(笑:2票)
67.  忘れられない人
あまりにもベタな直球のメロドラマにすぎないはずが、ヒヒの心臓を持ち出したことで突き抜けたファンタジーになった。この心臓はヒヒからもらった大切なものだから、とどこまでも信じ切る主人公の現実離れした純情ぶりに、あくまでも俗っぽい普通の女の子だったマリサ・トメイがメロメロになっておかしなリアリティが発生する。ちょっとあり得ないぐらいベタなストーリーでここまで涙を絞り取るんだから、やっぱりこの二人って異常に上手いんじゃないだろうか。これが泣けるっていくら説明されても普通信じられませんよね。私も実際観るまで信じなかった。世の中にはまだまだ信じられないようなことっていっぱいあると思う。
7点(2004-01-17 23:42:23)(笑:1票) (良:1票)
68.  遠雷(1981)
私は都会育ちなので、実際に田舎の若者像というものを想像したことすらなかったんですよ。そういう意味で、この作品にはちょっと頭をぶん殴られたような衝撃を受けましたね。とにかく娯楽が何にもないから、若い二人が見合いをしてやることといったらセックスしかない。実際に地方出身の友達に聞くと、そんなものよと口を揃えて言いますが、都会だと普通もっと手順がややこしいじゃないですか。細かいストーリーとかあんまりよく覚えてないんですが、二人が最後に調子っぱずれで歌うのが桜田淳子の「青い鳥」というのも衝撃的でした。だって当時ですら既に懐メロでしたし、若い子が人前で歌ったりする歌じゃなかったですから。都会こそ素晴らしい所だ、都会じゃなきゃ駄目なんだという当時の圧倒的な価値観の中に、地方に根を張って生きて行くことのしたたかさ、たくましさを正面からはっきり言ってのけた、そういう「出て行かない選択」をした若者たちの強さに、これは勝てないと悟った一瞬でした。
8点(2004-01-20 23:04:24)(良:2票)
69.  アイズ ワイド シャット
キューブリック監督でなく、しかも遺作でなく、ニコール・キッドマンとトム・クルーズ夫妻(当時)主演でなかったら誰が観に行っただろう?と思うと辛目の評価にならざるを得ない。過激な描写としてかなり話題になった気がするが、今どきもっと過激な映像なんか捨てるほどある。残念ながら世間はちょっとキューブリック・ブランドに騙されているのではないかというのが率直な感想。ここに描かれている貞操観念自体が既に前時代の遺物でしかないのに、過激さで時代の最先端を行けるわけがないのだが。キューブリックはこの作品の公開を拒んだという噂がまことしやかに囁かれたが、数百本もあると言われるオファーを断り続けて2年間もこの映画に捧げてしまったトム・クルーズの関係者によって暗殺されたのではないかと真剣に考えてしまう。映像は美しく、音楽は厳選されており、特に言うほどの欠点も見当たらない映画なのだが決め手に欠ける。とは言うものの、派手な見せ場の多いトム・クルーズに比べ、抑えた演技を要求されたニコール・キッドマンの素晴らしい演技はもっと評価されるべき。なんとなく前夫の七光り的な評価を受けることの多かったニコールだが、この映画でもその秘められた実力を十分に発揮できない苦しさを感じる。実は凄い力を持った女優さんだと思うのだが。
6点(2003-11-23 23:28:16)(笑:2票)
70.  インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア 《ネタバレ》 
飛ぶ鳥を落とす勢いのブラピに、トップスターの座を譲り渡すまじと崖っぷちに立たされたトム・クルーズの捨て身の演技に、底力を見せつけられた作品。白塗りの化粧にフリフリ衣装のコスプレで、笑っちゃうぐらいシリアスなストーリーが、最後の最後で「全部、いつもの泣き言」であったと知らされるラストには正直、人生最高に笑わせて戴いた。おまけにカーステから流れ出すBGMがストーンズの「悪魔を憐れむ歌」なら最高でしょ。全編に漂うミステリアスな雰囲気に魅力的な子役、かなり先の読みにくい筋立てで、こういう世界が好きな人なら比較的楽しめる内容。インタビュアーのマイロ役には、急逝したリバー・フェニックスの代役としてクリスチャン・スレイターが好演。彼は場をわきまえてますよね、特に見せ場もないし地味にやっている。関係ないけどこの映画の「原作」は絶対に萩尾望都の名作「ポーの一族」。ルイ、レスタト、クローディアの三点ショットはマンガに出て来る1場面とまったく同じところまである。これもまあご愛嬌。オチははっきり楽しかったし、こういう遊び心っていつまでも大切にしたいですね。
8点(2003-12-06 23:10:09)(笑:1票) (良:1票)
71.  フォーン・ブース
「オメェ、なんとかせんかいっ!」とハリセン持って駆けつけたくなる主人公泥沼系一人芝居。たまたま鳴っている公衆電話に出てしまったら、電話の向こうから不気味な声が、「切ったら殺す」ですもんね。かような事情で公衆電話ボックスから出られなくなってしまった主人公が繰り広げる緊迫の81分。この短さ、メインキャラがたった1人の密室劇としてはギリギリのところだと思いますが、こういう映画をハリウッドで、しかも監督ジョエル・シューマカーでやっちゃう時代が遂に来たんだナ~と感動しました。無駄にスターが大勢出て来て無駄に爆薬がばんばん吹っ飛び、無駄に長い映画をさんざん見せられた後にこういう映画は新鮮です。面白いと思います。非常に実験的で、なんかやたらインディーズのニオイが漂うんですが監督はジョエル・シューマカーで主演はコリン・ファレルです。この組み合わせが新しいです。人間が集中していられるのは大脳生理学的に見てきっかり90分。だから昔の映画には傑作が多い。この映画は私のようなばかでもちゃんと集中して最後まで観れます。拍手喝采。願わくばディレクターズカット160分バージョンなんか公開されませんように。キチンと整理すれば短くできるのよ。誰とは言わないけど最近3時間以上の映画撮った監督たちはコレを観て思いっきり反省するべき。ビューティフル。
9点(2003-12-07 22:14:46)(良:2票)
72.  コールド マウンテン
マイナス90点。怒りに手が震えるのを深呼吸で抑えながらこのレビューを書いている。私は映画を観てつまんなくても「カネ返せ」とは滅多に思わないというか、選んだ自分も悪いでしょ、と比較的穏やかに諦める方だけど、今度ばかりはおさまりません。だってこれは映画じゃないでしょ。朝のTV小説総集編でしょ。ニコール・キッドマンがデカいので、ジュード・ロウがちっとも素敵に見えません。ジュード・ロウが美しすぎて、ニコール・キッドマンがちっとも輝きません。美しさにかけては他の追随を許さないこの二人が、思いっきり共倒れてしまいました。フレームインが少なかったのがせめてもの救いですが。あらゆる点はともかく、この二人を美しく撮れなかった責任は重いです。最大の見せ場であるはずの山場のシーンで、二人のアップの醜かったことといったら、もう泣くに泣けません。フィリップ・シーモア・ホフマンにジョバンニ・リビシ、ナタリー・ポートマン、ただ話を長くするためだけに次々と登場するゲストキャラは豪華かつ大変魅力的です。だから何?戦争映画好きな私は冒頭の7、8分だけ楽しい思いをしましたが、「イングリッシュ・ペイシェント」の例を見るまでもなく戦争を題材に取ったわりには案の定全然関係ないところに帰着してしまいました。あまりのアホらしさについつい最後まで観てしまいましたが、正直二度と見たくないです。期待のレネー・ゼルヴィガーも「なんでこれがオスカー?」と首をかしげたくなるつまんない役。強いて言えば、今まで一度として演技が出来るとは思わなかったナタリー・ポートマンが非常にいい芝居をしていました。むしろ彼女に何かあげてもいいくらい。オスカー助演賞を撮る映画ってたいていハズレがないと思ってましたが(以下略)誰かアンソニー・ミンゲラに映画の撮り方教えてあげましょうよ。この人、映画見たことあるんでしょうか。ないでしょうね。「イングリッシュ・ペイシェント」とこれと、どっちか1本見れば十分です。どちらも見ないで一生済めば、ホントに幸せです。これは詐欺。
0点(2004-04-25 02:03:54)(良:2票)
73.  恋人たちの予感 《ネタバレ》 
フェミニズムの嵐吹き荒れる1977年に大学を卒業し、ジャーナリストを目指してNYに出て来たサリー。日本で言えばさしずめ「クロワッサン」世代の彼女が、実に11年間の「友達」づきあいの末、大っ嫌いだったはずの悲観主義者ハリーとの結婚を選ぶ、というある意味70年代の女性解放運動を全面的に否定するかのようなこの作品が、アメリカはもちろん日本でも、女性達から圧倒的な支持を得たことは実に興味深い事実である。強くあれ、キャリアを磨け、経済的に自立して男を頼るな、という信念に支えられて生きて来た世代がこの時30代前半。結婚や出産を脳裏にちらつかせながらも、刷り込まれた価値観との板ばさみに苦しんでいた女性達を再び解放したこの作品は、行き過ぎたかつてのフェミニズム運動に対する一つの回答とも言えるだろう。サリーの歩んだ道は、現実にこの時代に学業を終えて世に出た多くの女性達に通じるものだ。実に11年もの長い歳月を経て、サリーは愛する男性に素直に「YES」と言うことを学び、結婚しない人生をキャンセルして新しい人生を歩み始める。フェミニズムに洗脳され尽くしたかのようなサリーの言動が全編を通して笑いを誘い、あるいは彼女たちと同時代を生きる男性としてあらゆるトライ&エラーを繰り返しながら共存の道を見つけて行くハリー。この二人にシンボライズされるものは、実はこの時代に生きる全ての男女にとって避けて通ることのできないジレンマだったりする。小粋な台詞回しと、この映画で大ブレイクしたメグ・ライアンのコケティッシュな魅力、さらにコメディアン出身のビリー・クリスタルの達者な話芸で、最後まで楽しませてくれる傑作。一見、ライトなコメディのスタイルを取りながらも、隠し込まれた意外にも辛辣なメッセージに思わずドキッとさせられる作品でもある。
10点(2003-12-16 00:38:00)(良:2票)
74.  気狂いピエロ
つまんなかった。監督の狙いは「映画にお金を払うことの無駄さを多くの観客に訴えたい」ということかと思った。そういえば「不味かったのでお金返して下さい」と言ったら本当にタダにしてくれたレストランはあったが、「つまんなかったのでお金返して下さい」と言って返金してくれる映画館ってあるのかな。コドモだったから言えませんでしたが、今ならためしに言ってみると思います。そのぐらいつまんなかったです。
0点(2003-12-13 00:19:03)(良:2票)
75.  パトリオット 《ネタバレ》 
「前説が長ぇなぁ」と思いながら観ていたらうっかり終わってしまって愕然とした。なんか壮大な戦争映画を期待してしまったせいか、ラストの銃撃戦もイマイチな感じ。せめて「ジャンヌ・ダルク」ぐらいのレベルを期待していたんだけど大コケ。たぶんリアリティを追及した結果この当時の戦闘自体はきちんと再現してるんだろうけど、結果的にアメリカが勝つことは誰にでもわかっている勝負なわけで、せめて絵的に盛り上げるぐらいはしてくれてもよかったんじゃないかと思う。鉄砲の音も「ぱん。ぱん。」とか言っててショボいし。だいたいアメリカ人なら喜んで当たり前のテーマなんだから、日本人が観て喜べというのが無理なのかも知れないが、イギリス人が徹頭徹尾冷酷で残虐、いかにヤツらがヒドかったかVSアメリカ人がいかに正しく勇敢で熱意に溢れていたか、という図式に終始していて肩入れできるモノが何もなかった。メル・ギブソンは家族を守るために闘った英雄だと言いたいのはわかるのだが、子供が7人はちょっと多すぎたんじゃないだろうか。物語に直接影響しない、ただ手を振るためだけに出て来る子供なんかは、メル・ギブソンの頑張れ父ちゃんムードを盛り上げる役にしか立っていないし、ムダに生活臭をあおった結果英雄がただのお父ちゃんになってしまった。3人ぐらいいれば充分だったような気がする。結果、息子夫婦だけ死んでしまったのに父ちゃんは後妻をみつけて幸せな家庭を再生するというオチも全然不条理だし納得が行かない。父ちゃん、家族のために命を投げ出せよぉ。と叫んでしまったのは私だけなんでしょうか。最近立て続けに観たアホ映画の中では最も脱力させられた作品でした。私にはやっぱり「アルマゲドン」の方が向いているらしい。
3点(2004-01-03 12:44:20)(良:2票)
76.  バッファロー'66
ダメ男映画はけっこう好きな方ですが、なんかこの作品は狙いすぎた感じがして全然共感できなかった。ビンセント・ギャロの「マルチな才能」があまりにも持ち上げられすぎてしまったせいか、もうひとつ主人公が本当のダメ男に見えなかったのも一つの理由かも。おもしろいな、と思ったカットもいくつかあったが、どれも「素人が感覚的に撮った新鮮な映像」を狙ったヘンに技巧的なものに見えてしらけ気味。何より公開ルートがものすごく限定されているわりには、雑誌のタイアップなど全国規模の過剰な宣伝で、ちっぽけな劇場に連日長蛇の列を作らせた某百貨店系列のあざとさには反感というか怒りしか感じなかった。アメリカでこの映画を観たことのある人なんかほとんどいないのに、「今年最高にHOTな映画!」みたいに売りまくっちゃって、安く買って来て高く売ってるだけじゃんか。バカにすんな。と、映画とは全然違うところで評価が下がってしまった。でもクリスティナ・リッチは可愛い。
5点(2003-12-14 17:09:47)(良:2票)
77.  ガタカ
青の強い画面。静かな映像。イーサン・ホークの暗い個性と、ジュード・ロウの冷徹な表情。不適正者の烙印の下、それでも宇宙を目指す孤独な若者と、スーパーエリートの資質を持ちながら不幸な事故で半身不随となった挫折者の間に芽生える不思議な友情。時には自虐的に、そして自嘲的に、将来を限定され、夢見ることを否定された時代に生きる出来損ないのジェミニとも言うべき二人の姿を軸に、夢を見る自由の尊さを静かに、だが切々と訴えた至高のSF映画。優性な遺伝子を持つ若者になりすましてガタカに採用され、エリートとして宇宙を目指す主人公の身の回りに空気のように横たわる恐怖。同じように限定された将来に向かって歩き続けるヒロイン。そして不適格者でありながら命をかけて烙印に挑戦する友人に最後の夢を託す挫折したエリート。3人の一風変わった恋と友情の物語の中に、人は遠い昔に未来を夢見た幼い頃の自分の姿を重ねる。幻想的とも言うべき美しい映像は、人間世界の不条理さをほんの少しシニカルに描きながらも、明日を生きるささやかな勇気を与えてくれる。
[映画館(字幕)] 10点(2003-12-06 01:42:06)(良:2票)
78.  エイリアン
「スター・ウォーズ」を皮切りに、空前のスペースオペラブームに沸いた70年代末期。アメリカはベトナム戦争とJFK暗殺の暗い時代からようやく脱却し、人々が未来への夢と希望に溢れていたこの時代、「宇宙ではあなたの悲鳴は誰にも聞こえない」という名コピーと共に、突如夢と希望の空間を隔絶された恐怖の密室へ転換させてしまったのがこの作品である。いきなり人々の憧れに「NO」をつきつけたのも新しければ、それまで難関をくぐり抜けた一握りのエリートたちばかりだったはずの宇宙船の乗組員が、貨物船に乗り組む肉体労働者たちという宇宙を労働の場とするブルーカラーに設定したのも新しい。これってアレですよね、現代ならさしずめマグロの遠洋漁船に乗り組んでる人たちみたいなやつですよね。元々がそういう連中だから、宇宙で発見した異質な生命体に科学者ほどの危機感を持たない。「なんだこれ~」と軽いノリで、ちょっと調べてみちゃったりする。この安直さがやがては宇宙船ノストロモ号を壊滅の危機に追い込んで行くワケだが、ジョン・ハートやイアン・ホルム、ハリー・ディーン・スタントンやベロニカ・カートライトなど、渋めのバイプレイヤーを集めながらも、始まった時点では誰が助かりそうなキャラで誰が真っ先に死にそうなのか全然読めないところもミソ。集団ホラーにありがちな「主人公は絶対死なないの法則」を適用させないようにしたことで、オチが皆目予想できなくなった。H.G.ギーガーのグロテスクな世界観の中で、絶対に殺すことのできない超完全生物エイリアンと丸腰のブルーカラーたちの壮絶な戦いは、他をの追随を許さない圧倒的な存在感で映画史上に燦然と輝き続ける。
10点(2003-12-08 23:03:19)(良:2票)
79.  スネーク・アイズ(1998)
デ・パルマだから、映像の魔術師だからってついつい大目に見てしまう周囲もイケナイとは思うが、俯瞰で長回しでミラーでスプリット画面、というデ・パルマ得意技の集大成と思えばけっこう笑える作品ではある。目撃者14,000人、容疑者14,000人という大仕掛けのわりにストーリーが5人ぐらいの間でチマチマとまとまっているのが非常に気になるが、要するにどんなに容れ物を大きくしてもこの人に見合ったスケール感というのはこのぐらいがちょうど良いのでしょう。本来「群集」という物の持っている圧倒的なエネルギーがまったく伝わって来ないあたり拍子抜けは避けられないのだが、なんだかデ・パルマだしなぁ、で許せてしまうのは世代的にちょっとデ・パルマに甘すぎるんでしょう。どう考えても意外性もへったくれもないゲイリー・シニーズのいかがわしさとか、良くも悪くも期待を全く裏切らない凡作にすぎないと思うのだが、「いやぁ~。デ・パルマ節健在ナリ」と思わず頭を垂れさせられてしまう問答無用さを評価してあげたい。だってやっぱり、周囲に惑わされずわが道を行く人っていまどき貴重じゃないですか?
7点(2003-12-20 14:17:12)(笑:1票) (良:1票)
80.  ネバーランド
素晴らしかったです。ジョニー・デップ主演と幻想的なシーンの取り合わせはすごくティム・バートンの香りがしたんですが、物語はバートン作品には無いリアルさで、この違和感を埋める存在としてケイト・ウィンスレットがベタハマリでした。どう見ても健康そのもののケイト・ウィンスレットが少女の透明感と不屈の闘志に溢れたシングル・マザーの両面をさりげなく見せてくれるのも素晴らしかったし、子供たちを決して子供扱いせず、徹底して「友達」として扱うジョニー・デップの個性も良くハマッていました。ベタな話のベタな展開なのに見ている間中思いっきり引き込まれてしまったことは、すなわちこの作品がストーリーや技術的な要件をはるかに超えて優れた作品であったことを意味していると思います。子供で泣かせる映画かと思って観ましたが、全然そうではなく、むしろ大人のために作られた人生観溢れる作品になっていたと思います。なんで出て来たのか誰にもわからないダスティン・ホフマンとか、ラストの5分間は本当に必要だったのか、とか言いたいことはいろいろありますけど、とにかくケイト・ウィンスレットの演技者としての技量に圧倒された作品でした。別に減量しなくたって死にかけの病人に見せられるんだって。それがプロというものでしょう。納得です。 わたしが「感涙評価」に10点をつけるのはこれが初めてじゃないかと思いますが、場内はもう、すすり泣きの声で充満していました。くれぐれもハンカチをご持参下さい。 【かーすけさん】あの役はたぶん、ウィノナ・ライダーだったんじゃないのかなーと思います。なんかイメージ的に狙ってる世界がそうだったんじゃないかな、と。
10点(2005-01-16 02:27:20)(良:2票)

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