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プロフィール
コメント数 1620
性別 男性
自己紹介 基本的に3~8点を付けます。それ以外は、個人的に特別な映画です。

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61.  由宇子の天秤 《ネタバレ》 
結局、この世界で正しく、そして真実で在れる人間というのは、その時点で確実に「強い」人間なのだ。ならば、弱くて、それ故に道も踏み外した「正しくない」人間を、その強くて正しい人間が踏み躙って勝ち誇るのが本当に「正義」なのか、と。恐ろしい程に残酷で、そして残忍な迄のリアリティだ。これもまた、凄まじい映画だ。  ひとつ、そんな何が正しいかも定かにならないこの世の中で、それでも自分ひとりだけでも「正しく」在り続けることの意味は、最低限そうすれば自分ひとりだけ・あなた自身だけは、自分が正しかったと「信じて」死んでゆくことが出来る、その位かな、とも思う(もちろんそれでも、それはあなたが自分が実は正しくなかったことを「知らなかった」だけだ、という恐怖は、常にどこかの片隅には残るものとしても)。  瀧内公美・光石研・あとは川瀬陽太あたりはともかく、比較的若手 or 新進気鋭の俳優さん達を揃えていた様にも思われますが、演技の出来・リアリティもまた粒揃いでしたね。無論、特に河合優実ちゃんは今売れに売れている理由が分かろうという出色の出来でしたが、個人的にはその父親役の梅田誠弘さんの掴みドコロの無い感じがかなり優れて感じられましたですね(クライマックスでもキーパーソンの役割を立派に果たしておられますし)。あと、和田光沙さんも(『岬の兄妹』以来でしたが)やはり存在感ありましたね。
[インターネット(邦画)] 9点(2022-11-15 16:56:21)(良:1票)
62.  インディ・ジョーンズと運命のダイヤル 《ネタバレ》 
思ったホドにはインディ本人の(締め括りの)物語というワケでもなくて、結構全編ひたっすらに(年甲斐も無く)冒険しまくっているのですし、だったらそもそもこんなに長尺にする必要ある?とだって少しダケ思ったりもするのですね(⇒折角、アクションシーンが意外にもドレも降板したスピルバーグばりの良テンポで纏まってるのに)。でも、その辺り+終わり方とかも含めて最終作はコレで好かったのではないか…と(素直に)思いましたよね。重ね重ね、アクションは総じて素晴らしいテンポ&疾走感で分量も豊富、かつ細部まで非常に丁寧につくり込まれていてもう一回スローでじっくり観たい…という様な惚れ惚れする出来だと思いました。クライマックスも、1~3作目と比べりゃあだいぶん「派手」「荒唐無稽」だとは思うのですケド、コレも今風と言えば今風(の味付け)だと思います。オーラスだって、年経た二人の様子も含めて個人的にはかなり気に入ったのですよね(人生という冒険は、生きてる限り終わらないのだ!と)。一点加点しておきます。
[映画館(字幕)] 8点(2023-07-03 23:50:48)(良:1票)
63.  アンダー・ユア・ベッド 《ネタバレ》 
主人公の孤独で静かな変態性の表現は、そこそこイイ線を突いているというか、部分的には共感すらできなくもないと思う。しかし、結局この彼は自分が何をどうしたいのか自分でもよく分かっていない(これは、そもそもそういう人物を描きたかったのだから、別にそれ自体が悪いという訳ではないのだけど)、ということからの行動のチグハグさというか、端的には目の前で千尋が凌辱されているのに(そのための武器も持っているのに)助けもしない、という部分には、正直言って「な~にやってんねん!」となってあまり感情移入できないし、だからこのキャラには(ある程度共感はできるものの)根本的に魅力や納得というものを感じない。  ヴァイオレンス面の描写の見応えも中々素晴らしいのだが、いかんせん少しやり過ぎたというか、このレベルで殴られてたらもっと早く逃げ出すだろ、という意味で話のリアリティは毀損してしまっている。総じて、お話としては観ていて歯痒い、やるせない、腑に落ちない、心が痛い、ムシャクシャする(→千尋の旦那に)、というネガティブ方面の感想しか出て来ない、という感じ。  しかし、そういう映画も偶には好いのではないか、という意味では、それでいてまずまず優れた見応えも得られる作品とは言えると思う。高良健吾は見映えも良いし(この話を中途半端なブサイクがやったらそれこそ観るに堪えんし)、無感情なモノローグの質も存外に高かったと感じる。一般向けでないのは確かだが、個人的にはそこそこオススメ。
[インターネット(邦画)] 7点(2020-09-12 22:17:27)(良:1票)
64.  妖怪百物語 《ネタバレ》 
なるほど、大映の怪談もの時代劇なのですね。年代的に少し前にあたる新東宝のそーいうヤツに比べても、尺自体はコンパクトですが全く手を抜いていない・つくり込みのしっかりした作品に見えますね(予想外に面白かったです)。怪奇描写にしても中々のクオリティですし種類も多彩で、かつまずまず怖い(少なくとも怖がらせようとしてしっかり不気味につくられてる)という感じにも思われました。妖怪もの…というコトで多少は子ども・ファミリー対象な雰囲気もありますが、本筋が比較的ハードな時代劇で人死に・陰惨なシーンもあるので、その意味でも怖さや凄みはしっかりみっちりとしてるかと。また、時代劇としても同様にしっかりとつくり込まれていて、藤巻潤なんかかなりカッコ好かったですよね!重ねて、コンパクトな尺で観易いですが、色々と多様な美味しさを楽しめる良作かと。
[インターネット(邦画)] 6点(2023-04-07 15:11:31)(良:1票)
65.  MEG ザ・モンスター 《ネタバレ》 
ジェイソン・ステイサムが主演な時点でホラーな訳は無いのだが、案の定怖がらせる描写の部分は結構に適当で、ここまでマイルドなのは一種の製作側の販売戦略なのだろう。じゃあステイサム満を持してのアクションはどうなのかというとこれもかなり月並で、何ともどっちつかずの中途半端でモッサリした凡作に思う(全体的に75点を狙って置きに行ったら65点だったという感じで相当にイマイチ)。また、モンスターパニックとしてイマイチな最大の理由は、色々とリアリティが無さ過ぎる点にある(かなりSF寄りな演出・展開運びにも関わらず科学面も相当いい加減だし、全編フルCGの質感も「つくりもの」感満載だし、こーいうのは中々スリリングにはならない)。ただ、金の掛かったサメ退治を金を掛けて撮ったという意味では、大変貴重なサメ映画であるとも思える(巨大サメの迫力は、まあそこそこ見応えは有る)。
[映画館(字幕)] 5点(2019-11-27 22:18:12)(良:1票)
66.  もみの家 《ネタバレ》 
様々な事情から自立支援施設「もみの家」にたどり着いた人たちが、施設での共同生活や農作業、地域社会との交流を通してゆっくりと立ち直ってゆく…というストーリーは、舞台となる地方の農村部のスローライフな雰囲気も相まって、実に穏やかで心地好く描き出されている。そして、単純に人間ドラマとしても実に「手堅い」。その部分、穏やかさ・心地好さを最大に重視した展開運びは、含まれるトラブル描写も最小限で、ややもすると少しばかり手堅すぎる、と言えるかも知れない。ただ、程好くコンパクトでテンポも良好、そして要所では様々に、かつしっかりとハートフルさを醸しているので、色々ととにかく心地好く、そして温かく観てゆける、というのも間違いないだろう。シンプルなそーいうジャンルの映画として、鑑賞しての満足感というものはある程度以上に期待に沿うものになっているのではないか、と感じている。  主演の南沙良ちゃんは、よく見りゃ結構可愛いのだけど、冒頭からのコミュニケーションに難のある様子・自分に自信の無い様子のお芝居は(意外と)そこそこちゃんと出来ていたと思うし、後半にかけて自信や主体性を取り戻し、文字通り「自立」していく様子の人間的魅力や微笑ましさ(あと可愛さ)とゆーのも結構しっかり表現できていたと思う。その他演技面では、施設の運営者夫婦も包容力全開!という感じでとても好かったですね。特に緒形直人、ワタシこの人ホントに好きです。
[DVD(邦画)] 7点(2021-04-28 00:38:07)(良:1票)
67.  大雷雨 《ネタバレ》 
コレは面白いな~豪華キャストが織りなすシンプルな三角関係が描かれますが、三人ともがごく善人で、それぞれが互いを思いやった行動を取ってはゆくものの、しかし愛というものはそういった論理や倫理を超えていってしまう…とでも言いますか。前述どおりキャラがいずれも魅力的なぶん、徐々に不穏さを増してゆく展開にはどんどん引き込まれてハラハラしながら観れましたし、クライマックスなんかはもう釘付けでしたね。”イケメン”ジョージ・ラフトが結局イイ所をかっさらってゆく結末には、この世で唯一絶対の理は「カッコ好いは正義」なのか!と非モテの私などはそこはかとなく不満も覚えましたが、それでもエドワード・G・ロビンソンにも哀愁を纏わせてこちらもカッコ好く送り出してくれる粋なラストはかなり快感でもありました。マレーネ・ディートリッヒの風情も素晴らしかったですし。  でもな~個人的にはハンクに幸せになって欲しかったな~中盤の朝食のシーンなんかスゴイ感じ好かったじゃないですかー(だからこそ、ラストの哀愁が絶品なワケですケド)。
[DVD(字幕)] 8点(2021-01-14 23:59:33)(良:1票)
68.  半世界 《ネタバレ》 
まず一点めは、紘と明の親子の関係。ガサツで無関心な父親と、それが許せない息子。思うに、人間社会ってここんとこは凄いスピードで進歩してて、社会生活に必要とされるコミュニケーション能力の水準なんかは特に急速に上がってきてる様にも思う。だから、ある面で子供の方が親よりも成長してしまってるなんてのが、結構普遍的な親子の在り方なのかも知れない。とりわけ今作みたいに、親が組織の一員として働いている訳では無い人とかだと、その面では特にそうなのかもとも思う。  率直に言って明の方が「大人」に見えるのですよね。まあこういう親子って割と多いのかもとも思うのだけど、今作ではそれが非常にリアリティが有るというか、納得がいく状況だなあと。でも紘にも事情はあって、親父の様に立派にやりたいんだけどそれもままならない、でもそれって、社会の要求に合わせて職人としての自分も進歩していかないとダメだからで、そういった所も総じて、紘は非常に頼りなく見える(それこそ中学生のバカなまま、中年に、親に、なってしまったかの様な)。  でも、ラストに明はそんな父親を肯定し、受け入れたのだと思う。子供が物心つくころには親ってもう完成しちゃってる歳だし、結局は子供の方から歩み寄るしかない。でも、父は最後に確かに、自分にも歩み寄ってくれた。ある哀しい結末を描きつつ、一方でひとつの望ましい親子の関係を描き切った映画だ、とも思うのですね。  もう一点は、瑛介の再生。厳しい言い方をすれば、彼も紘と同様(というのも何だが)、父に、夫に、そして「大人」に成り損ねた、といってもよいのかも知れない。でも最後には彼も、前向きな心を取り戻して逃げるのを止める。それは紘が彼とは違って、決して辛いことから逃げなかった、からなのではないかと思うのですね。  かなり繊細な映画だと思うが、色々と思う所が有るのを、はっきり台詞には出さないけど芝居の中に醸し出せるという腕達者を揃えているのもあり、十二分に伝わる優れた作品に仕上がっていると思う。一方で、紘だけはあんまり何も考えていない(という役な)ので、そこには稲垣吾郎を配した、というのも、実に適役だと言える。
[映画館(邦画)] 7点(2020-03-02 22:54:55)(良:1票)
69.  ハイテンション 《ネタバレ》 
大昔に観た時はやはり然程好い印象ではなく、理由は重ね重ねシンプルに、私はこーいう「今までのは実は全部幻覚だったのです!」系の映画がとにかく不得手…ってコトなのですね。でも、久方振りに今回観直してまずは感じたのは、この映画はその部分の「トリック」に関しては最早全く「整合性」を考慮してはいない、というコトであって、だから確かに本作を理の通った映画として(=整合性を高度に求めて)観てゆく、とゆーのはあまり好ましくない鑑賞方法かな~と第一には思い直したのですよね。  その上で、純粋にその「不条理」のもたらすモノも含めての「恐怖」を求めて今作を観てゆくならば、やはりコレもごくシンプルに実に優れた「ホラー」だな、とも思いますよね。繰り広げられる陰惨な血ミドロのキレ味といい、全編を貫く極上の緊迫感といい、ソレでいての緩急とゆーか、ジットリとイヤ~な怖さと逃げ出したくなる様なパワフルな怖さに終始サンドイッチされてゆく加減とゆーのが今回モ~堪らなく心地好かった!のですよね。加えて、実はその肝心のマリーのキャラクター的な部分の話の流れ・個々の描写の意味的な繋がりとゆーのは、コッチはワリと好く整っていてその面でも完成度の高さとゆーのまで感じられました(もちろん、その「オチ」の不合理を私の様な理論で「飲み込める」コトが大前提ではあると思いますが)。主演女優とフィリップ・ナオンの演技の高さも含めて、個人的には良作以上に思える作品でしたね。是非。
[インターネット(字幕)] 7点(2022-12-08 19:59:00)(良:1票)
70.  ネクスト・ドリーム/ふたりで叶える夢 《ネタバレ》 
ダコタ・ジョンソンてこんなに可愛かったケ?と思ったのですが、ダコタ・ファニングと勘違いしてました(でもつい最近『サスペリア』のリメイクとかでも観たハズなんですケドね…)。  お話の方は、音楽プロデューサーを目指す若い女の子の割とシンプルなサクセス・ストーリー、ですが、結論から申し上げますと、やや悪い意味でまろやか過ぎる、という感じなのですよね。主人公の当初の状況も結構恵まれてる方だと思いますし、彼女自身にもそこそこ才能がありますし、これも才能ある人材にも偶然にも簡単に出会えてしまいますし、そもそもいま仕えてるボスとゆーのもやや落ち目とは言え全然立派な歌手ですし、人間的にも実はごく立派な人物だし、という。  似た系統の映画の例でゆーと、『プラダを着た悪魔』のメリル・ストリープみたいにブッ壊れてないし、『ジュディ/虹の彼方に』のレネー・ゼルウィガーみたいに凄まじいドン底でもないし、あと成長物語ゆーても『ワイルド・ローズ』のジェシー・バックリーみたいに元がヒッドいポンコツ(人として)て訳でもないし…という感じで、それらと比較してパンチ・キレ・或いは起伏(アップダウン)が感じられない、とでも言いますか。これでラストも少し出来過ぎとも言える様な展開で軟着陸してってまう、となると、ちと歯応えとゆーのが物足りないかな、とも思いますのよね。  ただ、まろやかなのはそれはそれで利点でもあるかと思います。ノーストレスでノンビリホッコリな映画を観たい!(+可愛いコが出てればなお好い!)とかいうシチュエーションなら、全然使い道はあるかと。音楽映画だけあって使用楽曲はかなりセンスの好いのが揃ってまして、その意味でもリラックスして観てゆける気はしますしね。
[DVD(字幕)] 6点(2021-06-30 22:36:38)(良:1票)
71.  ライオン・キング(2019) 《ネタバレ》 
これも公開時はあまり興味無くスルーし、さほど評判も高くなくイマサラ観ましたが、想像より二回りは楽しめました。と言うか、超面白かったです。CGは超クオリティで、ライオンが実にカッコ好いコト!序盤にシンバとナラを助けに来たムファサのシーンなんかオジサン震えてしまいましたよ。内容はアニメ版より更にシンプルな感じにも思いますが、やはり実写的な動物のビジュアルではコミカル面やミュージカル要素の表現は中々難しいということかと思います。代わりに、シリアスなシーンや自然・生命の雄大さを表現するといった部分の良さというものが物語に取り込めていましたかね。動物のCGクオリティのみならず、そういった「大自然の偉大さ」を感じさせる部分のつくり込みも見事だったと思います。  いや~これは映画館で観るべき映画でしたね。。というかこれから、ディズニーは即・映画館行き、とする方が正しいのでしょうね。
[インターネット(吹替)] 8点(2020-12-31 20:03:34)(良:1票)
72.  リトル・ダンサー 《ネタバレ》 
比較的「よくある」話だとは思いますが、諸々含めて非常に上質な作品だと思いました。小学生・中学生には是非観て(観せて)貰えたら、というヤツですね。  自分の夢に目覚めた少年と、無理解な親…というテンプレート的ながら、より上質に仕上がっていると思われるのは親(父親)の方のキャラづくりですね。まず何より、見た目があまりにも怖すぎです…が、ソコからして非常に厄介な障壁となってゆくのかと思いきや、一番最初にブチ切れる時も(如何にも言いそうな)差別的な罵詈雑言を叫びたてるという訳でもなく、意外と抑制的な反応だったのが逆にちょっと印象的でした。要は、彼は本質的には分別ある大人なのであって、最終的には息子の強力な味方になってくれる、そのコト自体の爽やかさに加えて、その流れがウマいコト繋がってゆく部分がまず質が高かったなあ、と。  もう一つは、彼ら家族を取巻く街の状況の荒んだ感じですかね。80年代のイギリスの炭鉱町、かつ先の見えないストライキの真っ只中…とゆーことで、非常な高度でリアルな閉塞感が作品全体に漂っています。が、それが尚更に主人公が辿り着くゴールをまた爽やかで価値あるモノに見せていると思いますし、なんとゆーか「夢を持つことの意義は全ての人にとって平等だ(それだけが)」という様なメッセージにも感じられました。その意味でも、テーマの部分がより際立って価値あるモノに見えてくる(優れた)作品だったかと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2022-02-22 18:47:04)(良:1票)
73.  日日是好日 《ネタバレ》 
「茶道とは何か」を垣間見せてくれるような映画と言うべきか。  凡そ「道」と名に付くものにおいて、その本質的な目的は精神修養、つまり稽古・修行を通して人間として成長し、高みに登ることにこそあると言える。茶道においては、茶を美味しく味わうための技術、および客を美しく洗練された所作で持て成すための作法の習得は実は芸道のほんの足掛かりに過ぎず、その先により繊細で深い感性(それはある種「人間性」と言ってもよいものであるが)を養うことこそが、「道」としての茶道を修める主眼に他ならない。  メインシナリオにおいて、薄皮を貼り重ねていくかのように緩やかに成長していく黒木華はそれを見事に体現している。本作の彼女は、添え物度の高い薄目の主展開運びをほぼその演技力一つでモノにしており、演技面でも出色の出来だと思う。そして、稽古には厳しいがユーモアと人間味の有る「本物の」茶道の先生にしか見えない樹木希林は正に驚愕の出来映え。作中24年間全く老けないのも含めて。
[インターネット(邦画)] 8点(2019-11-15 23:43:40)(良:1票)
74.  血の魔術師(1972) 《ネタバレ》 
手品師がショーでやってる人体破壊の手品。一見はトリックだが、実は催眠術かけて本当に切り刻んでた…というアイデアは、監督の作品としてはまま優れてる方。グロ描写も、非常に雑ながらバリエーション変えてタップリ4回あるし、そこそこ気持ち悪いのでその面でもある程度は満足できる。「血の三部作」に比べればまた全体的に向上してる、とも言えるかと。  ただ、全編通して随分とタルいのよね。話の内容には前述のアイデア以上のものは本当に何も無い上に、グロ描写、つまり手品のシーンがまた妙にスローモーなのよ。実際の手品ってステージ上で前振りとか準備とかも色々あるワケだけど、実はソコを手際よく見せるというのが結構重要なステージ技術なのだろうね。今作ではそれを素人がやってるから随分とモタモタしてる、というコトかと(それが4回もあるから尚更)。正直、油断すると寝ちゃう、という類いの映画すね。
[DVD(字幕)] 4点(2021-04-30 19:45:27)(良:1票)
75.  タイトル、拒絶 《ネタバレ》 
デリヘル店を舞台にした群像劇。全体を通してのストーリーというものも特に無くて、個々の登場人物のキャラクター(=それを表現する演技)が見所という作品かと。  主人公はいちおう伊藤沙莉ということになっているが、彼女は別に風俗嬢じゃなくて単なるパシリで、人間的にもごく真っ当な人物である(風俗の面接にスーツで来ちゃうくらいに「真っ当」)。というか、風俗嬢になろうとするも最初の客でパニクって諦めた、という意味では(真っ当だけが取り柄の)馬鹿にもなり切れない程度に救い様の無い無能、と言っても好いかも知れない。ある場面で爆発する以外は全体的にもローテンションで、正直あまり目立っている訳でもないので、彼女目当てでワザワザ観に行った期待値に対しては若干肩透かしを喰らった様な気もする(まあ、今作に関しては引立て役ということで)。  彼女に代わって熱量のある演技で映画のハイテンションな側面を形成していたのが佐津川愛美。冒頭の超ハイテンションに笑い転げる陽キャ具合からして非常に癇に障って実にグッドだったが、その後のネガティブ展開におけるアバズレ感にも全く無理というものが無く、非常にリアルかつキレ味も有る出色の出来だった。流石である。  しかし、その佐津川の更に上をいったのが恒松祐里(少し意外)。基本的にニタニタ笑っている役なのだが、その秘める闇が明らかになるに連れて笑顔に「凄み」を生じていた(心は少しも笑ってないのに口だけだらしなく嗤ってる様子の気色の悪さったら)。彼女と佐津川の対決シーンにもキレがありましたね。火を点けるつもりなど無かった女と、火が付くことを何とも思っていない女。決着が一瞬で付いたサマには、これ以上無い「一撃必殺」の何たるかを感じ取りましたよ。  別に全然悪い作品では無いと思うが、内容というものがチャンと在る訳でもないし、演技面にもそこまで斬新なアイデアが在る訳でもない(前述の二人の演技はかなり面白いケド)。ただ、特にお話の部分は全体的に状況のリアリティとゆーのを少し欠く様に感じられるとも思うのだよね。つーかそもそも風俗関係者なんてみんな頭オカシイ…てだいぶヒドい偏見な気がするんですケド。
[映画館(邦画)] 6点(2020-11-15 15:28:23)(良:1票)
76.  イースター・パレード 《ネタバレ》 
ミュージカルとしては頭抜けて気に入っている作品で、4月には大体毎年観てる。史上最高の二大スター競演という豪華さも然ることながら、全編通してコミカルな描写も非常に楽しい。序盤、実はバリバリ踊れるガーランドがワザと頓珍漢なことをやって(完成度の低さを見せる完成度の高さ)アステアがアタフタするのからして実にコミカル。後半も程よく甘酸っぱいラブコメディで中々に心地好い。  しかし何と言っても本作の良さはダンスと歌の素晴らしさに在る。人類で唯一、地球の重力から解き放たれたアステアの華麗なステップは正に絶品。それについていけるガーランドはダンスの出来も上々ながら、彼女はとにかく歌がこれまた絶品(軽やかに歌い上げながらも奥行きのある歌声に聞き惚れる)。加えて、助演にアン・ミラーというこれも腕達者を起用する配役は、今観ると非常にゴージャスな上に役柄上でも適切であり、とてもグッド(中盤には十八番のタップダンスもタップリあってこれにも大満足)。ジンジャー・ロジャースに平謝りしつつ、このジャンルでは一番好き。
[DVD(字幕)] 8点(2020-04-11 19:15:32)(良:1票)
77.  ラストレター(2020) 《ネタバレ》 
前半、過去と現在が一人二役で入り混じり、加えて手紙の遣り取りも錯綜する展開は、中々に複雑でそれが単純に面白い。このパートの主人公は松たか子で、(いい意味で)間が抜けたコミカルな様子が非常に微笑ましくて和む。後半は一転して福山雅治が主役で、やや暗い展開も交えつつ進むが、過去の回想と死んだ人の話が主体で肝心の福山雅治自体の話の方はあまり進展していかないようにも思う(ラストは少し前向きになって終わるとは言え)。  やや前後半で断絶が感じられるのと、それもあってか少し話が取り留めなくなっているようにも思われる。例えば、もう少し全体に渡って「未咲」の存在感を強く保ち、その人格・人生を生きている主演陣を使って描き出していくというような構成であれば、ラストの手紙の意味なんかもより明確になるようにも思うが、正直未咲がどういう人だったのかもイマイチ良く分からないのだよね。  とは言え、前述どおり展開運び自体はそこそこ面白く観れるし、全体の優しい郷愁に満ちた雰囲気もかなり心地良いのは間違い無い。その意味では、一人だけ唐突にドス黒いトヨエツは優れたスパイスになっていると言える。  あと一つ、ドローンてヤツは結構雑に使っても、画に広々とした爽快感が簡単に出せるもんだなと思った(爽やかな夏の雰囲気が強い本作では、特にそうなのかもしれない)。
[映画館(邦画)] 6点(2020-01-18 01:07:07)(良:1票)
78.  ファンタスティック・プラネット 《ネタバレ》 
確かに、話の内容はかなり意味在りげではあるのですが、さほど含蓄というまでのモノも感じられず、やや平凡かも知れません。観るべきはその異様でシュールな美術的表現の方に在る、とゆーのも完全に同意です。ユニークな観る価値自体は間違いない作品でしょう。  その意味では、こーいうのはやはりフランス、というコトなのかも知れないとも強く感じますね。コレはアメリカ・イギリス・ドイツ、そして日本その他の東アジアにとっても難しいヤツでしょう(他にあり得るとしたら、ぎりロシア、ないし東ヨーロッパとかでしょうか)。それは、ここまで確信的にこーいうコトをやってのけられる(そしてそーいうコトしても誰にも怒られない)という意味で、ですが。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-06-04 23:59:20)(良:1票)
79.  スパイ in デンジャー 《ネタバレ》 
邦題は無難に『in Danger』ですが、原題は『in Disguise(変装)』、実際のトコロは『in ハト』というのが正しいかと(ウィル・スミスがハトになっている時間が大半を占めます)。もう少し色々「化ける」パターンがあるのかと思いましたが、ソコは期待を外されました。お話の内容も、メインストーリーにしても、主人公2人の絆が次第に深まっていくというもう一つのメイン部分にしても、どちらも非常に無難という感じです(=ややもすると平凡、というコトかと)。  アクション面のCGは個人的にはかなり面白く&痛快に観れました(これもキョウビのディズニークラスではまま普通の出来、なのかも知れませんが)。キャラも総じて無難で演技も同様、あまりハッチャケられてはいない感じです(主演がウィル・スミスだと気づいて吹替ではなく字幕で観ることにしたのですが、どっちでも好かったかも知れません)。  結果的になんだか、何から何まで無難&フツー、としか書いていない気がしますが、実際にそんな感じかと。暇潰しには十分ですが。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-12-20 22:45:45)(良:1票)
80.  ダーティハリー 《ネタバレ》 
イーストウッドはシブいイケメンだし、ハリーのキャラも悪くないのだが、この映画に引き込まれる要因の主要な部分は、とにかく犯人の「許せない度」が非常に高いことのように感じる(それによって終始持続する緊迫感と、ラストの特大のカタルシスが生まれている)。その意味では、ある面でハリーは「喰われて」いるとも言える。もう一点、各登場人物に関する人物の背景描写はやや軽めで、少し物足りなくもある。とは言え、刑事物としては最高レベルに良く出来ており、アクションも中々。重ねて、イーストウッド自体の出来も相当良い。
[DVD(字幕)] 8点(2019-11-19 20:36:57)(良:1票)

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