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プロフィール
コメント数 344
性別 男性
自己紹介 「昔は良かった」という懐古主義ではなく
「良い映画は時代を超越する」事を伝えたく、
 昔の映画を中心にレビューを書いてます。

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81.  ホイットニー ~オールウェイズ・ラヴ・ユー~ 《ネタバレ》 
私はドキュメンタリーに啓蒙的要素を求めるひねくれ者。 であるからして、「才能がショウビジネスの闇に潰される」 という没落セレブに良くありがちな題材だし、 内容も想像の範疇内なので作品の評価はこんなもん。  彼女の生涯最後のワールドツアーである、 さいたまでの2010年2月ライブを見ている。 たまたまファンの友人(彼は1988年のライブを両親と 鑑賞しそのスケールとテクニック、まさに「天下を掴む」 直前の彼女を見て大感激したのだそうだ)と同行。 ライブ終了後、友人の表情に漂う「見なきゃよかった」 感は忘れられない。彼女はMCで語ってた。 「ステージが久しぶり過ぎて、ドキドキものなのよ」 観客はわかってた、緊張でなく限界だったこと。  但自分、このライブには満足というか、感動した。 何というのかこのツアーにカムバックをかけ、 声が出なくとも必死にステージをこなそう としてる彼女にテクニックとかスケールとか を越えた、一途さを感じたのだ。 あの頃には戻れない、だけど 酸いも甘いも味わった彼女には 新しい魅力・未来があるのではと。  でこの映画だよ。 歌が喜び/幸せを表すものではなく、苦役/義務となった事、 自分の幸せよりも愛情を与えてくれた周りに恩恵を施すこと を生きがいとしてしまった事。(だから夫のボビーもこの 映画目線でいえば、悪人ではない気がする。個人的だが) たぶん私がステージで見たのは、彼女が歌の喜びを 取り戻そうとするリハビリの一環だったのだ。 (その後彼女の体調不良は次のツアー場所:ヨーロッパで 顕著になり、結局ツアーは中止、生涯最後のものとなる)  そんな感想をこの映画を鑑賞してつれずれに書いてみた。 長文ですが気障に終わらせます。ありあした。  And if, by chance, that special place That you've been dreaming of Leeds you to a lonely place Find your strength in love
[映画館(字幕)] 6点(2023-01-04 07:32:05)(良:1票)
82.  質屋 《ネタバレ》 
シドニー・ルメット監督の初期作品として映画評論家の町山智浩氏が「トラウマ映画館」で取り上げられたこの作品がようやくDVD化=販売/レンタルされたので、何十年ぶりかに鑑賞。ニューヨークの貧民街で質屋を営むユダヤ人、もともと大学教授で幸せな家庭を持っていた彼だがホロコーストによって人生が一変する。お金のみが生きる糧。自分を慕ってくれる者はいるものの人々の優しさに触れる度に思い浮かぶ過去の辛い経験。町山氏曰く「ユダヤ系が中心のアメリカ映画界が始めてホロコースト(によるPTSD)を題材にした作品」であり、「アメリカ映倫が始めて女性の裸を映し出すことを認めた」映画であるそうな。という事で今の映像表現に慣れている我々からすればもっと刺激的な、刹那的なインパクトが足りないとは思うが戦争終結から20年経ってようやく取り上げた事を考えれば、その傷の重さがわかろうというもの。演出的には過去のフラッシュバック情景が増長すぎる気がするが、監督ルメットの特長である手持ちカメラでとらえたニューヨークの風景(名カメラマン=ボリス・カウフマンの撮影)+クインシー・ジョーンズの音楽も相まって雰囲気抜群。そしてロッド・スタイガー。「夜の大捜査線」の警察署長と同一人物であるとは思えないでしょ、素晴らしい。  最後に一言。今回のDVD化は嬉しいが、字幕はちょっと物足りない。約30年ほど前のソニー・ビデオライブラリー版/wowowの「トラウマ映画館」で見た際には言及あったユダヤ系・黒人ヒスパニックに対する蔑称が省かれている。「作品の意図を尊重する」という意味でもう少し考慮しましょうね、映画会社の皆様。という事で機会があれば(解説資料があればなおOK)。
[ビデオ(字幕)] 8点(2018-05-13 10:16:32)(良:1票)
83.  電撃フリントGO!GO作戦 《ネタバレ》 
金もあり、女にも不足せず、尚且つ凄腕のスーパー・スパイ、デレク・フリント:という触れ込みで始まるこのスパイ映画の冒頭、ジェームス・コバーンの空手の型から(なにせ彼は一応ブルース・リーの弟子だし)「多分、この人は煩悩溢れすぎて『感じるよりも考えやすい』キャラなんだろうな」と観客に思わせてしまう位の緊張感のなさがこの映画の魅力なんだと思う。敵の組織に侵入する方法として「自分の心臓を止める」という民明書房にやり方が掲載されてそうな体術の持ち主にも関わらず、美女を侍らすフリントは下腹部がぽっちゃり気味でビキニパンツを着用、というある意味拷問なシーンもあり。しかも結構長い時間。 後年の「オースティン・パワーズ(’97)」シリーズは007というより、この映画にインスパイアされたんではないかな?と思うのですが如何でしょうか。 ...でもってこの映画を日本人にとって更に記憶に残したのはコバーンの吹替えフィックス、小林清志さんの演技力。毒針に付いていた料理の匂いから「ブィヤベィ~ズ!」=フランスからの刺客、と叫ぶコバーンは眉唾ものなんだが、小林氏の声で「ブイヤベースだ!」と言われるとなんか説得力が増す。贔屓目もあるが、コバーンの軽妙洒脱さをより強調する事でこのある意味くっだらない作品をちゃんと成り立たせてしまう「声優マジック(小林氏ご自身はあくまで「俳優」としてのスタンスを保ち続けられていましたが)」を堪能できる作品として、この点数。氏自身も印象的な吹き替えとして挙げておられるこの作品をもって、追悼文とさせていただきます。小林清志さん、本当にお疲れさまでした。 
[地上波(吹替)] 6点(2022-08-08 17:17:54)(良:1票)
84.  ストレンジャー・ザン・パラダイス 《ネタバレ》 
「予定調和を壊す空気・間」を堪能する映画。  1986年4月、今は無き有楽町スバル座での単館ロードショー。 中学3年生の自分が始めて一人でチケットを買い、劇場鑑賞したのがこの作品。 といってもちろんジャームッシュも主演ジョン・ルーリーも、(字幕の)戸田奈津子女史 だって知るわけない、単に親離れして、大人じみた背伸びをしたかっただけの事。  当時の世評としては「映画ファンには大好評、一般的には?」というのが通説。 そりゃあそう、80年代はまだ「脱力系ギャグ」という笑いは認知されてないから。 観客が想像するストーリーをことごとく外していく、ずっこけロードムービー。 ズレというか不調和を楽しむ映画として、私は彼の映画が好きだ。 気付いたら最新作「デッド・ドント・ダイ」までちゃんとスクリーンで追いかけている。  ヴィム・ヴェンダースやニコラス・レイ、そして小津安二郎を知ったのもこの映画だし、 音楽(スクリーミン・J・ホーキンスとかジョン・ルーリー、後にトム・ウェイツ)なんかも 彼から知った気がする。 彼の文化的教養に、自分影響されまくり。  そして齢50代になりつつある私、この度リバイバル上映(ヒューマントラストシネマ有楽町) にて鑑賞。「この映画が人生最初の映画館(おひとりさま)体験で本当に良かった」、 心底思ったよ。   この映画はぜひ、スクリーンで見て欲しい。 特に若い映画ファンに。
[映画館(字幕)] 9点(2021-07-11 19:36:53)(良:1票)
85.  馬鹿まるだし 《ネタバレ》 
確かに「男はつらいよ」シリーズの完成度や安心感と比べれば落ちる所は多々あれど自分はこの映画、嫌いではない。「無法松の一生」に感激した男の行動は感動以前にはた迷惑以外の何者でもないし、実力を伴わない義侠心によって失明してしまう羽目になる主人公。ヒロインへの熱い想いも表面的にはまったく報われる事もなく、結局ダサいオヤジとして一生を終えた主人公。客観的に自分を見る事が出来ない、憧れのヒーローに近づくべくがむしゃらに奮闘する男ハナ肇は、スクリーンの中では愛すべき「馬鹿まるだし」である。憧れの人物になりたいと思っていても何やかんや理由をつけて「彼(彼女)は彼(女)、自分は自分」で片付けてしまう現実からすれば、主人公は自分の思うがままに行動しとりあえずは自己満足でもそれを最後まで誇示し続けたのだ。いいじゃないですか。といっても私も関わりたくはないですが。
[映画館(邦画)] 7点(2006-06-03 00:10:22)(良:1票)
86.  静かなる男 《ネタバレ》 
「大らかな」という形容がぴったりな名作。野を越え山越え谷越え川を渡り、殴り殴られ話は進む。私のハートも殴られる(失礼)。名匠ジョン・フォードはアイルランドの緑溢れる地を映画ファンへの「桃源郷」として提供したのか。(私にとってはモニュメントバレーよりもここ)スクリーンで見る事の出来た人達、本当にうらやましい。文句なしの10点。
[DVD(字幕)] 10点(2006-04-16 22:07:42)(良:1票)
87.  真田風雲録 《ネタバレ》 
この時代劇に「爽快感」などを期待してはいけない。真田幸村/猿飛佐助で加藤泰+中村錦之助なんだから「風と女と旅鴉(58)」「瞼の母(62)」を期待していた観客からすればなんだこりゃ、であり関西では上映6日間で打ち切られたという失敗作であったのもむべなるかなである。ただしこの作品が現在まで残っているのはそんな「どっちらけ」感によるものだったのだなぁと思っている次第。福田善之原作の脚本を読了する機会があり基本は60年代学生運動の風刺=どんなに立派な理想論/イデオロギーを掲げても結局人間の欲望に挫けてしまう現実+若者の情熱を悪用する偽善者たる大人たちという主題は変わらないのだが、若者のエネルギー=狂騒感溢れる馬鹿馬鹿しさ・くだらなさを存分にフィルムに映し出すことが出来た(ジェリー藤尾やミッキー・カーチス+トッテチッテターな戦争シーン)点で良い映画化なのだろう。さらにこの作品が後世の人々に影響を与えた事実も忘れてはならない。助監督鈴木則文はさることながら勝間田具治は東映アニメ―ション演出家として名匠。さらにもう一人...脚本家福田善之は大河ドラマ脚本(風と雲と虹と)だけでなく出演の経験もあり、大河ドラマ史上脚本・出演した脚本家はこの人と三谷幸喜だけ(wikiより)。...あれ、もしかしたら堺雅人、転んでそのまま槍にグサー、なのかな。加藤泰作品としては中級者におすすめ。
[映画館(邦画)] 7点(2016-06-26 20:52:25)(良:1票)
88.  空の大怪獣ラドン 《ネタバレ》 
2023年初・映画館鑑賞はこの作品。 スクリーンで特撮映画を見るのは、いいもんだ。  「ゴジラ(’54)」が(核)戦争体験、「モスラ(’62)」が神話/御伽話 という点を観客に想像させる作品としたら、この映画で自分が 感じたのは身近にある恐怖=人間社会に被害を及ぼす 害獣(それこそ熊とか虎とかワニとか)の存在。 なので個人的にはメガヌロン発生~ラドン出現に至る、 前半パートの方が出色、と思ってる。  とはいえ後半、ラドンが北九州を衝撃波で蹂躙してゆく 一連のシーンはゴジラ(’54)からわずか2年しか 経ってないのに、カラー映像も含めて特撮技術の 進歩・当時の映画業界の隆盛ぶりが垣間見え、 これはこれで一見の価値はある。  上映時間の短さが不満なのと 前年の「モスラ/4Kリマスター」に感動しすぎて インパクトという点では今回レビューとして この点数なんだけど、ちゃんと入場料金分の モトは取れた。機会があれば是非。
[映画館(邦画)] 7点(2023-01-02 14:01:40)(良:1票)
89.  リリー
愛すべき佳品、この言葉に尽きるMGMミュージカル。レスリー・キャロンは「パリのアメリカ人」よりも絶対にこっち。蛇足的なナンバーも無い、時間の短さも好印象。映画会社の皆さま、同じ作品を「~キャンペーン」で飽きるほど繰り返し売るのもいいけどこういった小品にも光を当ててくださいよ。
[ビデオ(字幕)] 8点(2006-06-11 21:44:15)(良:1票)
90.  8 1/2 《ネタバレ》 
「観客をおいてきぼりにする様な」意味のわからない作風/映像表現を世界中に巻き起こした、という後世への影響から考えて「去年マリエンバートで(61年)」と並び仲間内ではあまり評判がよろしくないこの一本。そんな時私はいつも抗弁している「これこそ映画的な話でありとても面白い」と。1.現状の色々な重圧から潰されそうになっている自分+2.そんな自分が描いている妄想+3.作品で撮りあげたい映像、これらのコラージュ。そんな雑然とした風景がラスト主人公の述懐=人生って素晴らしい/登場人物たちが輪になって周り巡るあそこでひとつになる、それを見て感動で胸いっぱいになってしまう自分がいるのだ。あとは主演のマストロヤンニ。この作品が成り立っているのはひとえに彼の存在感があってこそであることは間違いない。
[映画館(字幕)] 9点(2013-04-02 02:50:22)(良:1票)
91.  道成寺(1976) 《ネタバレ》 
これはアニメーションと人形浄瑠璃の幸福な組み合わせであり、作家川本の最高傑作だと考えている。安珍・清姫伝説の話のポイントである「情念」をここまで的確に捉えられた映像はないだろう。これは超一流のホラーでありまた、「叶わぬ想い」が伝わらなかった女性の悲劇であるとも言える。人形中心で進められた前半よりも清姫が蛇身に変化した後半部分、大蛇の造形に迫力が無いため話がパワーダウンしてしまったのは仕方が無いか。日本のアニメーションはジブリやガンダム、エヴァだけじゃないよ。
[映画館(邦画)] 9点(2009-08-16 20:13:15)(良:1票)
92.  素晴らしき哉、人生!(1946)
人生には何一つ無駄な事はない。あなたがいるだけで、ほっとする。無駄になる努力はあるかもしれない、ただ目標に向かい進み続けろ。人より優れている必要はない、ただ心優しい思いやりがあれば。個人的には「スミス都へ行く」「或る夜の出来事」の方が作家キャプラの凄みを表して好きだけど、人間は性悪説の生き物だからこそ善意や思いやりは人の心に残るもの。この映画は絶対にクリスマスにレビューしようと待ちわびておりました。日本の騒々しいクリスマスにはぜひこの名作を!
[ビデオ(字幕)] 10点(2007-12-24 11:14:21)(良:1票)
93.  教育と愛国 《ネタバレ》 
国民の意思統制という点において「国威掲揚・愛国教育」がどれほど効果的なものであるかを若い頃の駐在経験で何となく認識してる自分でも、このドキュメンタリーで描かれている現在の日本政治と教育/宗教の結びつきを告発してるこの内容にはちょっと驚いてしまった。①度が過ぎるほどの愛国心教育は視野の狭窄化を招き、他国民への偏見を生み出す土壌となりかねない。それを情操教育時に組み込む時点でどうかしてる。(お花畑、と言われるかもしれないが私は「国民あっての国家」を信じたい)②人間の営みが積み重なったものが歴史上の出来事なので、関わる人一人一人に言い分やそれぞれの観方があるはず。なので「歴史教科書に書かれている出来事は100%真実ではない、一つの事象には多面性/多様性があるのだ」という授業・教材こそが歴史教育に絶対必要と思ってる。ところがこの国の教科書検定に携わる方々はそういった多様性/多面性を遮断するような方針に力を注いでいるどころか、「目にすると不快だから」みたいな感覚で戦争の惨禍や他国への侵略の歴史といった出来事を矮小化した記載で済ませてしまってる。そんな出来事すら記載しない、「薄っぺらい」教科書ってなんなのだろうか。③最大の問題は思想と政治が結びつく危険性を全く認識しないまま「得票数と政治資金」の為に喜々としてそういった団体に協力している日本の政治風土・風習、と合わせてそんな彼らに投票してる我々国民なんだろうな。あの事件があった後、報道各社はあら探しに邁進してるけどどうせのど元過ぎれば、であんな事があったよねで終わってしまうんだろう。 その前に皆様、心の防災ベルがぬるま湯につかったまま動かないなんてならない様、良し悪しはともかく鑑賞ください。長文失礼いたしました。
[映画館(邦画)] 8点(2022-09-04 18:48:14)(良:1票)
94.  女は二度生まれる 《ネタバレ》 
増村保造/溝口健二作品で見受けられる「官能的で、情念溢れる役柄」とはまた違った、川島雄三監督における若尾文子(様)の演技演出に惹かれてるこの頃であります。「若尾文子を女にしてみせます」と、上層部の前で啖呵を切った川島監督の大映デビュー作。扱ってる題材(『営み』に至る事前事後描写は邦画史上屈指の生々しさ)もあるし、台詞も艶があるってのかエロエロなのに、川島監督の物凄く冷めた視線:建前と本音が見えかくれしている演者演技もあって不思議な空間を生み出してるんですよね。(弟子の今村昌平なんかは「ノリノリでバンバンだぁ~」なんだからわからないもんだ) ポイントは2点。「かわいらしい若尾文子(様)」を鑑賞する点において極私的ベストはこの一本である事。あと珍しく川島監督が「作家性」を意識されたのではないかという瞬間=靖国神社のシーンを入れた事。社会全体の価値観がまるっきり変わってしまった事を表す隠喩として、入れたのではないかなぁと思ったわけですよ。 最後に私見をば。今回2023年「大映4K映画祭」で映画館鑑賞したのだけど、せっかく4Kリマスターした名作を上映してるのだからKADOKAWA映画、もう少し宣伝がんばれ。
[映画館(邦画)] 8点(2009-06-28 21:25:35)(良:1票)
95.  ながらえば<TVM> 《ネタバレ》 
こんなに素晴らしいラブストーリーだとは思わなかった。突発的に旅立った主人公の当初の目的は単に病床の妻を案じての心配から来る「見舞い」で、自身の本心には向き合っていなかった。(切符の紛失+電車乗り遅れでお金がないまま一晩を知らない場所で過ごす羽目になる=信念の欠如を暗示しているのが上手い)それがたまたま泊まった宿屋で宿の老婦人に不幸があった事・亡くなった妻との想い出を語る宿の老主人(宇野重吉=名演!)等の後押しもあって「愛してるという想いを伝えたい」という真の目的へと変わるその経緯が自然で、胸打たれてしまう。そしてラスト、病床の妻に向かって背中を向け、泣きながらつぶやく「おまえとおりたい」。一般的に「御前様=好々爺的」イメージしか無かった俳優笠智衆の気骨溢れた男っぷり(寝ている老妻にキスしようとしてる!)に改めて名優だ、と実感させられました。65分という短い時間にこれだけの内容を詰め込んだ、この当時の山田太一の作家性、まったくもって素晴らしい。機会があればぜひ。
[地上波(邦画)] 9点(2015-01-02 19:29:07)(良:1票)
96.  若草の萌えるころ
個人的考えで恐縮だけど、女優ジョアンナ・シムカスで魅了されるのは「冒険者たち」のレティシアではなく、この作品のアニーの方。それは彼女の魅力が健康的な肢体ではなく、「はかなげな」雰囲気によるところが大きいからと感じている。そしてこの映画での彼女は愛する者の死に対してどう対応して良いのかわからない女性を演じ、名女優としての片鱗を見せてくれた。映画ファンにとって残念なのがこの後若くしてシドニー・ポワチエと結婚し、引退をしてしまった事。確かに汚れ役等を演じず、「きれいな」役どころで消えていった点については良かったのかもしれないが何ともいやはや。そして彼女がいなくなった後の監督アンリコの映画は好きな女性を失ったような、痛くやるせない感じを受けてしまうのは気のせいか。彼も彼女の「はかない美しさ」に好意をもっていたんだろうなぁ。
[映画館(字幕)] 8点(2008-04-18 19:57:31)(良:1票)
97.  不良姐御伝 猪の鹿お蝶 《ネタバレ》 
はっきり言ってこの様な高評価を付ける輩は多分自分ぐらいであろう。話は荒唐無稽であるし、女優も当時は凄いグラマーで美人だったかもしれないが現在の目で見れば劣ることこの上ない。そしていつもの私ならば憤然と反論するが、この作品に関しては『「馬鹿馬鹿しい」と片付けられた』世評の方がまったくもって、正しい。ただ私は邦画界の斜陽化が進む中、観客の要求に応えるべくまさに「ど根性」で撮りあげたこの作品が大好きで仕方がない。冒頭の襲撃・惨殺シーンからオープニングに至る流れはまさに任侠映画で名を馳せた東映の実力の片鱗を見せており素晴らしい。森鴎外「舞姫」の換骨奪胎である異人女スパイと若者の恋物語も笑ってしまうかもしれないがたまらなく良いのだ。そして池玲子。初めて伝説の「全裸殺陣」を見た時はドキドキするどころかその役者根性に対して圧倒されたというのが正直な感想であった。そして復讐を終えた彼女が胸に着いた血を拭き取れないままよろよろと歩き、苦悶の表情のまま雪が花札に変わるラストシーンの中で彼女はポルノという範疇を超えた、まさに名女優と化した。昨今の「脱いだ脱がない」で騒いでいる女優・風潮に本当、池玲子の爪の垢の1ミクロンでも飲ませたい気分である。日本最高のバットガール、池玲子の魅力がダイナマイトのごとく炸裂する!(なんじゃこの文章。でもこんな感じなのよ、実際。)
[映画館(邦画)] 8点(2008-11-15 17:39:08)(良:1票)
98.  生きる 《ネタバレ》 
この映画に関しては語りつくせぬほど個人的な想いが溢れてたまらない。自分の人生をいかにして生きてゆくのかを黒澤明が教えてくれた。何でも良い、自分自身が後々後悔する事があってもその目標に向かって進む勇気。そして日常のささやかな幸せを忘れずに感謝の念を想い生きてゆく事。生ける者に対して必ず訪れる「死」に対しての心構えやその行動。下手な文学を100冊も読む必要はない、この映画を見れば十分だ。魅力的な配役・素晴らしい脚本・映像効果もさることながらやはり役者志村の映画の神が舞い降りたような奇跡の名演。(トム・ハンクスや幸四郎にはできるわきゃぁない!)この映画によって今を「生きる」人間がどれだけ励まされ、頑張っているか。感謝の念でいっぱいだ。今日も異国の空の下夕焼けを見て心に残る感動をかみ締めよう。そしてこの名作をより多くの映画ファンが見て何でも良い、心に何かを残して欲しい。この映画に関わる全ての人々に、本当に有難う。
[映画館(邦画)] 10点(2007-09-14 17:26:53)(良:1票)
99.  女はそれを我慢できない 《ネタバレ》 
「底抜け」シリーズの監督タシュリンが送るスクリューボール・コメディの快心の一撃!とにかくこれは面白い。名優オブライエンがステージで唄い踊る、まさに怪演。リトル・リチャード、アビー・リンカーン、プラターズそしてジュリー・ロンドンの歌。(主人公トムが酔って幻覚を見る名唱「Cry me a river」のシーンは抱腹絶倒)21才の若さでこの世を去ったエディ・コクラン。これなどはMTVなどもちろん無かった時代の彼らの演奏している映像記録として、音楽史的にも価値がある。しかもゴージャス・ライトカラー、バイ・デラックス+ワイドスクリーンだぁ!マイナス点はこの当時人気絶頂だったE・プレスリーの不参加(ギャラが合わなかったとか)。最後にこの映画は50年代を代表するセクシー女優、(何せ彼女の歩いた後には氷が溶け、牛乳が沸騰し眼鏡が割れる!)不慮の交通事故で芸能生活に別れを告げたコメディエンヌ、マンスフィールドの最良の一本として記憶に残る。ロックのリズムでThe girl can't help it!
[DVD(字幕)] 8点(2008-04-25 14:58:13)(良:1票)
100.  ウォレスとグルミット/ペンギンに気をつけろ!
魅力的なキャラとストーリーの楽しさについては皆様とまったく同感なので割愛。私の感じるこの作品の魅力は「クレイアニメの魅力たるほのぼのとした手作り感」と「クレイアニメの限界を超えたスピード感ある映像表現」が絶妙なバランスで成り立っているという点。特にラスト5分の追跡シーンは、1コマ1コマを撮影するクレイアニメの手法から考えればありえない程の労力と時間がかかっているわけで、その心意気に拍手。30分しかないの?では無くて、30分もあるの、これ?というのが初見した時から今でも続く感動。
[DVD(字幕)] 9点(2006-05-13 10:07:49)(良:1票)

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