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性別 女性

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101.  リトル・ランボーズ
80年代のイギリス、自分たちで「ランボー」の映画を撮ろうとする少年たちのお話。 娯楽を知らないウィルの唯一の楽しみは、頭に浮かんだイメージを絵にすること、これがすごい。 学校の金魚鉢のところで知り合いになる、おとなしいウィルと悪ガキのリー・ターナー。 彼らの家庭環境がちょっと普通と違うのもあって見ていてダウナーなことも多く、ともに父親がいなくて厳格な信者のウィルのお母さん、弟を召使いにしてるリー・ターナーのお兄ちゃんが難物。 もう一人フランス留学生を放り込んでいて、ディディエは「バティニョールおじさん」「ぼくセザール」の子なんだね、彼のキャラも面白い。 子供の頃「ランボー」が好きだったPV出身の監督のポップな感覚も生かされているけど、映像を見せつける感じではないのが好ましく、新鮮さのあるBGMや使われる曲にもさりげなくセンスが。 楽しいこと辛いこと含みの二度とない夏が輝き、流れる水の中で光る石のような感触。 イギリス映画らしくベタでなく淡々としてるから、ラストが効く。 映画の使用許可を出したスタローンも嬉しかったんじゃないだろうか。 友情と家族愛と子供の夢を描いた素敵な作品。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-01-06 07:00:04)(良:1票)
102.  ムーラン・ルージュ(2001)
音楽も映像もハデな映画だけれど、だからといって好きなわけでもなく。 バズ・ラーマンが一時期もてはやされた後急速にフェイドアウトしたのは、やっぱりアダ花だったからじゃないかと。 「ロミ+ジュリ」のように既存のものを自分流に作りたいのだろうけど、舞台も歌も「借り物」じゃ凝っててもお手軽な感じ。 前売券についてたミニCDもすぐ人にあげてしまったし、好きな歌が使われて喜ぶ人ばかりじゃないのだよ。 仲間として登場する画家トゥールーズ=ロートレックのファンにも好かれにくい映画ではないかと思うし、洋楽やアート好きな人はかえって抵抗あるかも。 ニコールとユアンは歌がんばってるけど、ムーラン・ルージュ(赤い風車)にあわせて赤が基調なのも落ちつかず、デコラティヴで喧騒多き猥雑さ。 いつも地味なジム・ブロードベントの派手なジドラーと、「イヴェット・ギルベールが観客に挨拶する」をアレンジしたサティーンのポスターと、ティンカー・ベルみたいなフェアリーになって飛びまわる可愛いカイリー・ミノーグかな、好きなのは。 ムーラン・ルージュの名を知らしめたかもしれないけど、「ロミ+ジュリ」と同じ点にしとこ。
[映画館(字幕)] 5点(2012-01-04 07:00:05)(良:1票)
103.  ピアノ・レッスン
音や映像はカンピオン作品でも随一といえるものでしょうけれど、内容がいいとは思えません。悪い意味で文学的・映画的でキャラクターは偏屈で勝手な人物ばかり。カイテルとニールの役が逆だったらまた違ったかもしれませんが。即物的なラブシーンも要らないし、女性監督が女性を描く場合思い入れが先行して魅力あるものにはなりにくい気がします。陰惨で重ったるい雰囲気がパキンちゃんの海草ダンスで救われていますが、一番よくないのはピアノのイメージが下がっちゃうこと。不可解で難解なものをよしとするマニア向き。
[映画館(字幕)] 6点(2009-10-16 00:20:42)(良:1票)
104.  ダークナイト ライジング 《ネタバレ》 
クリストファー・ノーランの作風があまり得意でないのは、自分にとって気持ちのいい暗さではないから。 期待に応えるべく周到に準備されたと思しきバットマン最終作も「闇フェチ?」と思ったり。 ただ、ジョーカーにオンブしていた前作とは異なり大変凝った力作だとは感じ、ノーランなりに人間らしくなってきているのかと。 廃人同様のブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)と彼の元を去るアルフレッド(マイケル・ケイン)になりかわり、警察官ブレイク(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)とフォックス社長(モーガン・フリーマン)が暗躍し、二大美人女優(前作のマギー・ギレンホールが不美人といわれたせいか…彼女よかったと思いますけどネ)によるキャットウーマンことセリーナ(アン・ハサウェイ、彼女がもどってくるのがよかった)と謎の美女ミランダ(マリオン・コティヤール、「インセプション」につづいての出演)、後半失速する不気味なべインはマスクをつけて、ブルースの再起はイタそうで。 バットサインに感化される副本部長がマシュー・モディーン(「バーディ」)なのはうれしかった。 終盤レヴィットの比重が大きい理由が判明し、「なーるほど!」 「お膳立て」しときながらその後の彼らが見られないのはチョイ不満ですが。(ベールとレヴィットの共通点っていったら、ともに子役出身ってこと) 最後アルフレッドが、公私ともに立ち直ったブルースを見守っていた慈愛のまなざしがしみじみうれしく、命より大切な「ぼっちゃま」から離れるわけナイと思っていたけど。(コレがあるからホッとできる) これで三部作終了でも、バットマンは2年後スーパーマンと共演予定らしく、ノーランがDCアメコミ・ヒーローを着々と仕切るのはイイのか悪いのか。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-09-08 07:00:01)(良:1票)
105.  ソウル・キッチン
守りたい場所がある。 彼の場合は手塩にかけたレストラン。 古倉庫を改造して作られたレストランのたたずまいは、それだけで絵になって。 ベルリンはよくドイツ映画の舞台になるけれど、ここは北に位置する第二の都市ハンブルク。 主人公ジノスはギリシア系ドイツ人のオーナーシェフ。 彼と仮出所の兄、ウェイトレス、遠恋の彼女、凄腕シェフ、役人、不動産業者などが入り乱れるドタバタ劇。(必要以上にイターイ映画なので、腰痛持ちの人は見ない方がいいかも) トルコ系ドイツ人監督アキンの若者映画は、乱暴でヤリ過ぎなとこもあるけど不思議な味つけがされ、ジノスの自分の店への真摯な愛着に満たされているのもいいと思う。 ただの雰囲気キャラかと思ってた船長さんにもちゃんと活躍の場があり、ポッチリのお金にも使い道があったりと小技もきいてる。 ただ、さんざん引っかきまわした後で最後はこじんまりまとまった気もして、も少し何かあるかと期待してしまった。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-06-08 07:00:02)(良:1票)
106.  スーパーマン リターンズ
鉛色が重く垂れ込めるこの作品にはJ・ウィリアムスのテーマはあまりにそぐわない気がするが、それすらなかったら一体どうなっていたのだろう、この陰鬱な映画は?自分にとって英国映画シリーズ、米国TVシリーズに続くシンガーズ・スーパーマン。旧作から切り出され、象眼のように嵌め込まれた幾つかのピースは格落ちを恐れたからにも思え、一から創ってほしかった気もする。クリプトン・スモールヴィル・メトロポリス・デイリープラネット、そして北極のフォートレス、不可欠な舞台装置は丹念にしつらえられ、新しいスーパーマンはグラヴィティに逆って虚空を切り、シックな衣装のロイスはキャラ変容、航空機レスキューは最新仕様でも、何か足りない。クラークの心が見えにくいからか。ヒロインや市民との関わりはすでに蜘蛛男が出来のいいサンプルを提示ずみ。父の言葉を自らが口にする場面も感動、のハズだけれど、全体的に温度の低い中ではそれも難しい。スペイシーであってもルーサーには足りず。でも空を飛ぶ憧れ、それだけは再び満たしてくれる。
[映画館(字幕)] 6点(2006-08-13 05:24:05)(良:1票)
107.  スパイダーマン(2002) 《ネタバレ》 
今となってはなつかしのライミズ・スパイディ。 1作目だけワイドサイズでないのもB級感があっていいかも。 トビー・マグワイアの強い眼差しがヒーローにはまり、人生訓をたれるベンおじさんがあーなっちゃうとか、職場が新聞社とかスーパーマンに似たトコもあるヒーロー。 ビルの谷間の飛翔は、街をすべてデータ化する新世紀のVFXがあってこその勇姿。 キルスティンのMJはマッカな髪にチャイナドレスがインパクト、スクリーミングがフェイ・レイばりに豪快なヒロイン。 グリーン・ゴブリンのチープさはほほえましく、ウィレム・デフォーからジェームズ・フランコにスパイディへの憎悪が引きつがれるもよし。
[映画館(字幕)] 7点(2010-07-23 01:55:15)(良:1票)
108.  50回目のファースト・キス(2004) 《ネタバレ》 
映画にリアリティは求めない方ですが、これや「アイ・アム・サム」のように障害という現実的な事柄を愛で強引に解決しようとする映画はちょっと別。 ロケーションは最高、ドリューも可愛くて一見いいお話なんですが、気が遠くなっちゃいました、ヘンリーの毎日を考えると。 ここまでして愛し合ってることにしなきゃならない? 愛を育む力のないルーシーにサポートし続けるには、へンリーの人生はあまりに長い気がするのです。 「覚えてないのに夢にでてくる」にはさすがにグッときたけれどね。 きっと別な結末の方が自分の心に残ったと思います。 キーポイントとなる歌はビーチ・ボーイズの「素敵じゃないか」。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2011-11-07 07:00:00)(良:1票)
109.  リトル・ミス・サンシャイン 《ネタバレ》 
おじいちゃんの「戦争でナチと戦った」というのがホントなら、A・アーキンは実年令より少し上の役を演じたことになる。それでも、もう「おじいちゃん役」というのがまずショーゲキテキ。(フツーのおじいちゃんではないけど。アーキンもこの役でもらったオスカーを床においてスピーチするんだからフツーではないです)彼と息子であるパパの普段は見えない絆。パパと喧嘩しながらも大事なところでは支えるママ。ママを気遣うお兄ちゃんのメモ。お兄ちゃんの絶望をリダクションするオリーブ。オリーブのためにダッシュする叔父さん。オンボロの黄色いミニバスも後ろから押してあげればちゃんと走るように、誰か背中を押してくれる人、あるいは押してあげられる人がいれば、人はがんばれるものなのだ、自分だけのためでなく。数々の名言を散りばめる中で「幸せな日々は無駄に過ぎて何も学ばない」という言葉が頭をはなれない。
[映画館(字幕)] 8点(2007-03-04 16:03:20)(良:1票)
110.  シュレック フォーエバー
ついに完結! タイトル(原題)もよいね。 「4」にはしないで、フォー+エバー・アフター(めでたしめでたし)= FOREVER AFTER。 エバー・アフターの強調にもなるし。 内容は(「コナンが一番」さんがおっしゃるように)あの映画に似たパラレル・ワールド、「失ってみて初めてその価値がわかる」パターン。 フィオナは2・3作目とはちょっとイメチェンして野性味あるヒロインに、シュレックが彼女との愛をとりもどせるかがポイント。 太ってブタネコになった長靴猫の必殺技もみがかれて三連発、進化してる・・・☆ 「3」より活気がありますが、画的に物足りないのはキレイどころが少ないせいか。 エンドクレジットは二部構成、一部はスティービー・ワンダーの"FOR ONCE IN MY LIFE"にのってキャラクター総出演、チャーミング王子はこっちに♪ 楽しいけれど、これでホントに終わりかと思うとシンミリしてしまったりも。 (でも長靴猫のスピンオフがありますね。 一番のスターかもだ) 「トイ」も好きだけど優等生なピクサーとちがってイタズラっ気のあるのがこのシリーズの魅力だったけれど、「美女と野獣」な1作目がやっぱり一番よかったかな。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-02-08 07:00:09)(良:1票)
111.  クローバーフィールド/HAKAISHA
ヴィジュアルが突出した作品はもっと評価されていいと思う。映画によって見るところは違ってくるし、生ぬるいヒューマン物などよりよほど清々しい。英国ダブル・ネガティヴが創りだしたハンディ映像に完璧に同調しているモンスターも一見の価値があるし、TBWPのような素人芸には終わらず高いレベルまで持っていっているので、災害に遭った場合のかなりリアルな擬似体験ができるのではないか。ドラマもキャラクターも音楽もないから「映画はかくあるべし」といった固定観念のないオーディエンス向き。ただこの手は一度しか使えないし、愛着をもったり何度も観るような人はいないだろう。そういう意味ではワンタイム・ディスポーザブル。
[CS・衛星(吹替)] 8点(2009-07-19 01:05:22)(良:1票)
112.  クリスマスのその夜に
ノルウェーの叙情派ベント・ハーメルの最新作。 短編集を元にしたオムニバス形式ですが、一番描きたかったのは多分ポスターになっているサンタさんのエピソード? 顔の見えないサンタの衣装がこんな使い方をされるとは思わず、切なかったです。 手の届かない人にどんな形でも愛を伝えようとするのは、「ラブ・アクチュアリー」のキーラ・ナイトレイのエピソードにも似て。 国境を越えた愛に動かされる医者、若い頃の友人の女性に出会う不遇な男性の話などもあり、不倫カップルの末路はスカーフを使った無言劇。 子供たちのエピソードもあるのでR15の要素があるのがもったいない気はするけれど、夜空に輝くシリウスとオーロラが、それぞれに思うことのある人々のいる地をやさしく照らしていました。
[DVD(字幕)] 7点(2012-12-07 07:00:03)(良:1票)
113.  アラン・ドロンのゾロ
オペラ座の怪人やマスク、そしてこのゾロと仮面物にはめっぽう弱い。 ZORROは狐の意味だそうで、この「黒いきつね」が大のお気に入り。 深刻で暗いイメージの強いドロンだけど、息子のために作ったこの映画では精悍なヒーローそのもの。 陰謀に倒れた亡き友人の身代わりとなるニセ総督の周りを煙に巻くオカマぶりも、意外なほどハマッていて楽しい。 悪役(ベイカー)やヒロイン(ピッコロ)も魅力的。 シンプルで小気味良くまとめられたこの快作には、バンデラス&ホプキンスのダブルゾロが束になってかかっても敵わないと思われるのだ。 先頃めでたくDVD化され、♪ZORRO IS BACK♪ 弾むテーマ曲も心を奪う。
[地上波(吹替)] 8点(2005-12-09 19:10:03)(良:1票)
114.  ブレードランナー
アジアンな喧騒に包まれながら、その内包するものはヨーロピアンな感覚の近未来LA。 映画の完成を見ずして逝ったP・K・ディックの原作をベースに、リドリー・スコットの世界が広がる。 リック・デッカード(ハリソン・フォード)が人間と感じられる劇場公開版は、ビデオの完全版とともに最もなじみのあるもので、最初に見たものから逃れえぬ観客もいる。 人間とレプリカントの闘争でなければ、ロイ・バティ(ルトガー・ハウアー)の最期の輝きも生きてこず、レイチェル(ショーン・ヤング)との関わりも同類相憐れむようなものとなってしまうのではあるまいか。 説明過剰を好まず、デッカードをもレプリカントに転生させたい思いのあるスコットは、ボイス・オーバー(ナレーション)が気に入らずなくそうとしてきたが、あれがあっては到底そうは思えないというのもあるのだろう。(「別れた妻」がいるレプリなどいるだろうか?) 物憂げなモノローグは多少古風であっても、デッカードの内面や情報を伝えてくれるものだが。 キューブリックから譲られた美しい空撮を使ったエンディングも、閉塞感に支配される作品において唯一開放を感じさせるシーンであり、デッカードの台詞も味わいをもつ。 スコットがそれら嫌いな部分をそぎ落として磨きあげたファイナル・カットは素晴らしい出来だが、その二つを無意識のうちに脳内補完する自分もおり、物足りなさや喪失感を感ずることおびただしい。 監督の好みがかならずしも観客のそれと一致しない一例で、不本意な任地に赴いた父親の子供にとってはそこが故郷になるようなものか。 魅惑的なヴァンゲリスの音楽も、長らくサントラが出なかったせいでカヴァー盤の方に愛着があるという煩雑さ。 ジョン・アルヴィンによるオリジナル・ポスターは素朴だが味があり、このシアトリカル・カット同様今も愛されている。
[映画館(字幕)] 10点(2012-09-10 07:00:02)(良:1票)
115.  ブラザー・サン シスター・ムーン 《ネタバレ》 
「ロミオとジュリエット」の成功で力を得たフランコ・ゼフィレッリの、次なる青春映画。 苦手な宗教が題材ではありますが、歴史物として見応えがあります。 キリスト教はその性質から天文学や自然科学と相容れない過去を持ちますが、ジョバンニ(グレアム・フォークナー)こと聖フランチェスコは自然にとけこみその中に神の存在を見出した人、フォーク歌手ドノヴァンの歌と美しいアッシジの風景で彼の自然派ぶりを強調。 前半は富裕な商人の父と、後半はきらびやかなローマ・カソリック教会との対比で若きフランチェスコの清貧さを際立たせ、美しい金髪を落として仲間となるクララ(ジュディ・バウカー)が彩りを添えます。 ローマ教皇インノケンティウス3世(アレック・ギネス)との謁見は、金銀宝石で飾られた豪華な法衣を脱ぎ捨て純白の衣でフランチェスコに歩みよる教皇が、一瞬権力を忘れ初心に立ち返ったかのような象徴的な場面ですが、まわりの枢機卿らに再び教皇としての権威で覆われるのが、組織としてのカソリック教会の強大さを感じさせます。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-09-04 07:00:04)(良:1票)
116.  タイムマシン(2002) 《ネタバレ》 
H・G・ウェルズの謎めいた主人公に名前をあたえタイムマシンを作る動機となる婚約者エマを加えたのは映画らしくするためでしょうが、大多数の観客はここに執着してしまうから首をしめる結果になっていますが、ここはオマケだってわかっている既読の方はあまりこの作品をけなさないと思います。脆弱なイーロイ人のイメージは思いきって変え、モーロックも野蛮なだけの存在でなく、タイムマシンの造形、時間移動、空虚なミュージアムや異形の月と視覚的なイメージ豊かで、その中で変わっていく科学者。エマからマーラに簡単に乗りかえたように見えるのと、終末期の地球の画像が貧弱なのが残念ですが、最後の過去と現在がシンクロする場面での、時の彼方に消えた主人を思う家政婦(エマ・トンプソンの母フィリーダ・ロウ)の愛情がアレクサンダーにとどいたら、と思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-01-06 07:00:23)(良:1票)
117.  フラッシュダンス
エイドリアン・ラインも英国のCM出身ですが、それほど好きな作品がない。この映画も映像は洗練されていてもあまり心にこないし、奔放なキャラがおっとりとしたジェニファー・ビールスにあってないような。マイケル・ヌーリーは混血の彼女にあわせたキャスティングなんでしょうけど、恋人より兄妹みたいに見えます。(彼がリッチなのもイ~ジ~)複数のダブルを使ったオーディション・シーンは、アクション映画以外でスタントが活かされた好例ですね。「フェーム」のアイリーン・キャラが歌う主題歌はとてもエイティーズ。
[映画館(字幕)] 5点(2010-03-09 06:48:20)(良:1票)
118.  仕立て屋の恋 《ネタバレ》 
ルコントは「イヴォンヌの香り」という作品があるように女性の香りにこだわる。 イールが息絶えるまで握っていたハンカチにも女がつけていたのと同じ香水を染(し)ませてあった。 いってみれば彼は愛した女の一部と共に逝ったのであるが、このイメージは原作にはない付加されたもの。 まだ若いサンドリーヌ・ボネールは孤独な男の心を捉えるアリスを演じるに十分な魅力を放ち、部屋を覗いていた男を最初は畏れながら、いつしか眼差しが快感となり心を赦し、戯れに接吻までしてみせる。 それが純粋な好意からだけではないのをイール自身が熟知しているのがまた哀しくもあり。 アリスが失意の彼が駅から戻る時間を見計らってした行為には慄然とするが、映画では彼女の態度に曖昧さを残しているせいで生じる劇的な効果でもあろうと思う。 「君を恨んではいないよ。 喜びをくれたから」 この感傷的で痛切な台詞も本にはない。 イールが自分を捧げた女の裏切りにそれほど永く苦しまずにすんだのは温情といえるかもしれないが、これは本当に心に痛い。 ルコントがジョルジュ・シムノンの短編小説「イール氏の婚約」から儚い恋を掬い上げ昇華した逸品。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-01-29 23:59:58)(良:1票)
119.  星の旅人たち 《ネタバレ》 
もう一つの「サン・ジャックへの道」といってもよいのでは。 「監督」エミリオ・エステべスが父親マーティン・シーンに贈った、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼の旅。 父親が自分たちを養うために、二流映画にも出演していたのを知っているエステべスからのプレゼントは、シーンにとって何よりもうれしいものであったはず。 飄々としてコミカルな「サン・ジャック」よりシリアスな作風、それもそのはずシーン演じる眼科医トムは急死した息子ダニエル(エステべス)の遺灰を背負い、息子のかわりに聖地を目指す。 800キロの行程を共にする3人の仲間の存在が、時に彼を元気づけ時に苛立たせもするが、息子を失った彼は経験したことのない旅の実感と新たな家族を得たようなもの。 遺灰が要所要所に撒かれバックパックから減るごとに、トムの重い心を軽くしていくかのよう。 サンティアゴを越え、スペイン最西端の波高い海に最後の灰を撒く彼はふっきれた表情。 遠かった息子を身近に感じ、その心と共に歩んだトムはもう一人ではないのだろう。 トムとダニエルの父子の情と同時に、シーンとエステべスのそれも感じとれる静かな佳品。
[DVD(字幕)] 8点(2013-04-04 07:00:04)(良:1票)
120.  かもめ食堂
ミドリさんがヘルシンキの書店で読んでいたのは「ムーミン谷の夏まつり」。シリーズ9作の中からこの本が選ばれたのは内容的に示唆する部分があるからだろうか。洪水で流され、劇場ねずみエンマが一人守る劇場に谷や周辺の住人たちが流れつき、当座の住居として住みつく。エンマの指導のもと、劇を上演し劇場として機能させるべく彼ら(特に疎外感に悩まされていたミーサ)は劇団員の一人としての自覚を持ち始める。劇場もレストランも、客がきて初めて生きたものとなるという点では同じだと思う。客に何かを提供し満足してもらうことで自分たちも何かを得られる。サチエさんの場合はこだわりの和食。彼の地から漂泊してきたミドリさんとマサコさんもそれに加わり、やりがいと居場所を見出していく。「ですます」調が古風にも清新にも感じられ馴れ合いになることもない。踏み込みすぎないさっぱりとした関係が好みの方向きで、家の小さなキッチンもぴかぴかに磨きたくなる。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-03-25 09:19:01)(良:1票)

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