41. アンネの日記(1959)
初めて知った8名による2年間に亘る隠れ家生活。精神的支柱たるオットー・フランクの沁み入る一言一言。見たことある・・・誰だったか・・・ジョセフ・シルドクラウト! ガッテンガッテン、見惚れる名優振りでした。 大空を自由に飛び交うカモメを窓から見るアンネが人間の本質は善であるとするのに悲劇の本質を見ました。 再見での冒頭シーンが何ともやるせない。 [DVD(字幕)] 7点(2022-07-16 02:52:18) |
42. 愛する時と死する時
《ネタバレ》 ダグラス・サーク監督作品と言うことで鑑賞。独ソ戦でのドイツ兵。休暇帰郷での幼なじみとのロマンス模様が丹念に描かれています。ジョン・ギャビンの線の細さが物足りませんが、リゼロッテ・プルファーの透明感ある存在が特筆もの。弾けるような笑顔が明日への希望を抱かせるのですが、邦題を思うと悲しい結末が浮かびます。 戦場での命の儚さを痛感するラストショットに消沈。意外だった戦争ものですが、監督が東部戦線で亡くなったご子息に捧げた作品なのだと思うと切ないです。 クレジットのクラウス・キンスキーをまだかまだかと待ち続け、待ってましたの登場シーン。ゲシュタポ中尉にしては大人しいもののギロリとした目力は流石の怪優ぶり。 見応えある秀作でした。 [DVD(字幕)] 8点(2022-07-06 02:13:17)(良:1票) |
43. あの愛をふたたび
《ネタバレ》 ロケ地アメリカの撮影現場で知り合った女優と作曲家のダブル不倫劇。意気投合しながらもそれぞれがパートナーに電話連絡を入れている割り切った間柄、だったのが、女優のほうが徐々に本気になってゆくものの最後に梯子をはずされる。 男女逆の立場であってもそうですが、その気にさせたほうが悪いのか、その気にさせられたほうが悪いのか。 アニー・ジラルド、ジャン=ポール・ベルモンドなので、カラリと明るい作りになっています。なので、ラストシーンでのアニー・ジラルドの自嘲と諦めと寂しさが入り混じった無言劇(リプレイタイム)がフランシス・レイの名曲も相まって深い余韻を残します。 [DVD(字幕)] 7点(2022-06-24 01:28:54) |
44. あらくれ(1957)
今作での森雅之さんには、この人は有島武郎の息子さんであるのを実感させられました。 高峰秀子演ずるお島は、浜屋の旦那も含めたどうしようもないダメ男達との関わりで「どうしてこんなに男運が悪いのか」メソメソする事が無い。言いたいことを言う、張られたら張り返し取っ組み合う、動いて働いて人生を創造する、荒ぶる姿が眩しかった。 「お辞儀はこうやってするんだよ!」に喝采! 見応えたっぷりな秀作。 [インターネット(邦画)] 8点(2022-06-17 10:59:40) |
45. ANNA/アナ(2019)
ヘレン・ミレン目当ての鑑賞。綿入れはんてん着て火鉢にあたっているのが似合いそうなヘアメイクに苦笑ですが、有り余る貫禄で美味しいところを全部持っていったのは流石! キリアン・マーフィ、ルーク・エヴァンス共にいい面の皮だったのを初めとして筋立てが既視感満載だったなぁと思っていたら、エンドロールでの監督名に「やっぱりねぇ、さもありなん」 ご親切な作りで話が分かりやすく、「あれだけ人殺しといて自由に暮らしたいって、ド厚かましいクソ女」を封印して観るぶんには楽しめた作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2022-06-05 00:04:43)(良:1票) |
46. あの日の声を探して
《ネタバレ》 本作で生々しく描かれているチェチェンでの攻められる側と攻める側の陰惨さは、そのまま今のウクライナで起こっている事なのですね。同じプーチンだし。孤児とロシア兵がシンクロするラストシーンが見事。ため息しか出ません。お目当てアネット・ベニングは何か思うところあっての出演だったのでしょうか。 [DVD(字幕)] 8点(2022-05-21 13:47:06) |
47. 安城家の舞踏会
華族制度廃止をリアルタイムで尚且つ終戦直後に豪華キャストで豪華セット装飾に驚き。財産税で没落してゆく安城家、新興成金親娘、元運転手の会社社長。各人思惑が生々しく迫ってきます。浮世離れした安城家の面々で長男を演ずる森雅之さんの不安に蓋をして斜に構える言動が絶品。いつの間にか無くなってしまったたおやかで美しい日本語が印象的。育ちの善し悪しがあっても自分の価値観に従って生きる事に考えが及びました。秀作です。 [インターネット(邦画)] 8点(2022-05-13 14:40:08) |
48. アイム・ノット・シリアルキラー
《ネタバレ》 昼食摂りながらの鑑賞は無謀でした。即停止、仕切り直し(恥・省) ゲテモノ作品かと思いきや、しっかりとした筋立てでした。 ソシオパス≠シリアルキラー、尚且つ、妻を守る為に生きる、その為の殺戮行為≠シリアルキラー 脚本にも携わっているクリストファー・ロイドは流石の名演熱演怪演。 もんの凄いシーンには息が止まりました。掘り出し物の一品です。 [DVD(字幕)] 8点(2022-04-27 16:12:07) |
49. アジャストメント
《ネタバレ》 無理筋な筋立てを押さえ込む魅力が何一つとしてありません。こんなつまらん男が大統領候補になるとは・・・・笑わせるわ。安物のロマンス模様にも欠伸連発。お目当てテレンス・スタンプの艶あるお声にウットリながらも、しょうもない役柄で痛々しさがありました。 たらればの繰り返しである人生。顧みて・・・・・・・・自分で決めてきた事なので良しとしなければ・・・おかしな余韻がありました。 明日には忘れてそうな愚作。 [DVD(字幕)] 3点(2022-02-07 10:16:24) |
50. 雨のしのび逢い
お目当てジャン=ポール・ベルモンドは「モラン神父」同様にアクション無しコメディ無しでも魅入ってしまう繊細な姿で満足。 工場長の妻と工員の7日間のお付き合いが描かれた作品は、一から十まで説明する英米流とは違います、想像して下さいと言いたげな作りで雰囲気は悪くないのですが、ジャンヌ・モローの持ち味(違いますか?)な欲求不満の有閑マダムぶりが一本調子でこちらの感情の起伏も無く。なので「はぁ?」な結末もそれほど目くじら立たず。凡作でした。 [DVD(字幕)] 4点(2022-01-09 00:43:18) |
51. あの手この手(1952)
「淑女は何を忘れたか」が浮かびますが、妻の自立や同権を意識した内容は、21歳設定のアコちゃんの浅知恵なお節介にウンザリで最後まで興に乗れず仕舞い。安全運転な演技であっても目を惹いた森雅之さんに点数の全てを。 [DVD(邦画)] 4点(2022-01-07 15:13:04) |
52. アマゾンの男
監督とジャン=ポール・ベルモンド36年ぶり同窓会として観るならば味わいもありますが、ファンタジー色が強いストーリーはイマイチでベルモンドの人物像は曖昧、けたたましいだけの女性に辟易という残念な作品。 [映画館(字幕)] 6点(2021-12-27 23:55:01) |
53. 悪魔の美しさ
「ファウスト」未読。覇権主義への皮肉な視線も垣間見えるなかなかに重苦しい話でありながら名優ミシェル・シモンの怪演に楽しませて貰えました。互角に渡り合う27歳ジェラール・フィリップは天才ぶりを改めて実感するところ。結末の肩透かし感が物足りないものの、見応えがあった夢の共演に大満足の作品。 [DVD(字幕)] 8点(2021-09-27 09:22:17) |
54. 暗黒王マルコ
《ネタバレ》 禁酒法が終わった日からスタートする物語。密造酒製造販売のギャングボスであるレミー・マルコ。「暗黒王」に似合っている(?)名前ですが、いたって普通のボスをエドワード・G・ロビンソン通常運転にて演じています。彼は大真面目なのですが、ストーリーがクスッと笑えるコメディで、上品に振る舞おうとしても地が出る物言いの嫁さんや悪漢とのすれ違いシーンや娘の許嫁が警官なのが最後に生きてくるという脚本・演出はなかなかにお見事。破産回避の無理筋も白けるものでなく楽しめました。ビールが超絶不味い件は密造酒なら無いよりマシでも堂々と購入出来るとなると見向きもされない、不味い事を子分達は言えなかったというのは現実味を感じるところです。笑えるギャングものであり良作です。 [DVD(字幕)] 7点(2021-09-13 16:50:53) |
55. 明日は来らず
《ネタバレ》 初見。この歳では鑑賞時のコンディションに左右されてしまうかと。橋田壽賀子作品を上品にしっとりと謳い上げている作品。 母親が長男に「二人だけの秘密よ」決心を告げるシーンに大泣き。親として力を尽くしてきたつもりでも不甲斐なさを悔いると共に子供には幸せになって欲しい、せめて、その足枷にはなるまい。いや、もう、堪らない。最後のデートシーンでのバンド指揮者の心遣いは監督の持ち味がでています。長男としての立ち位置心情を垣間見せるトーマス・ミッチェルは持ち味の癖の強さを封印していても魅せてくれる名優ぶり。夫婦再会の日は必ず来る、来なくてどうする、確信するエンディング。名作。 [DVD(字幕)] 9点(2021-09-05 14:57:26) |
56. 青い戦慄
《ネタバレ》 レイモンド・チャンドラー書き下ろし脚本でのアラン・ラッド主演に寄せた期待は、ヘレンの性悪さに膨れ上がったのですが、彼女の死以降の酔いが醒めるのが早い事と言ったら。グダグダな脚本&グズグズな主役二人の台詞回しに違う意味での戦慄を覚えました。鑑賞後に知ったやっつけ仕事のような製作も納得の愚作。残念。 [DVD(字幕)] 3点(2021-09-05 01:44:20) |
57. 赤い闇 スターリンの冷たい大地で
《ネタバレ》 スターリンによるウクライナ人大虐殺。死んだ兄の肉を口にしている幼い子供達の虚ろな姿は、外貨獲得目的で食糧を取り上げる手口の鬼畜ぶりが極まるものでした。現地潜入し惨状を伝えようとする青年記者(報復により29歳で死亡)とピュリツァー賞受賞者でありながらスターリンの御用記者(天寿を全う)の姿に、真実を正しく伝える尊さと難しさを見せつけられます。ジョージ・オーウェル、エイダとのロマンスなど詰め込む事で展開がモタついて集中できなかったのが残念なところです。 [DVD(字幕)] 4点(2021-07-24 01:52:45) |
58. アリス・スウィート・アリス
《ネタバレ》 ブルック・シールズ12歳デビュー作と言うことで鑑賞。カレンはまさに可憐な美少女、別次元の美しさ。あっという間に退場してしまい呆然。ブッサイク(ゴメン)なアリスの「コラッ! 大人を舐めとったらアカンで、この・・・以下自粛」あまりの性悪さ加減に、実はこのガキは無実で真犯人はカレンではなかろうかと思い始める。いまいち話が分かりづらい、モヤモヤしているところでの犯人ご登場に「アンタ誰?」戻して調べ「あぁ、アンタか」動機不明で結末までグダグダ。「赤い影」もつまらなかったですが、「黄色いコート」もしょうもないオハナシでした。ブルック・シールズでなければ闇に消え去ってたであろう激駄作です。 [DVD(字幕)] 3点(2021-07-21 01:59:41)(笑:1票) |
59. アメリカン・ジゴロ
《ネタバレ》 大の苦手であるリチャード・ギア出演と知っていながらの鑑賞理由は、私のテンション爆上がり曲 Riding High が本作主題歌 Call Me のパクリであるかどうかの確認。パクリでした。ビックリです。イキッてペラッペラな男娼役ははまっており、スッポンポンでアソコもボカシ無く丸見え(驚)(思わず一時停止しそうになったのを、確認無用! 踏み止まる)姿も披露しておりました。サスペンスのサの字も無い殺人事件ネタは丸ごとカットで良かったかと。予想通りで落胆も無い凡作です。 [DVD(字幕)] 3点(2021-07-12 03:07:20)(笑:1票) |
60. 雨の午後の降霊祭
《ネタバレ》 降霊ものとアッテンボローの組み合わせでおどろおどろしさに身構えていましたが。まさかの展開で憤りともどさしさに支配された2時間でグッタリ。精神は病んでいても犯行計画は理詰めで的確なマイラと、幼女とその母親への気遣いを見せながらも犯行実行役のビリー。妻の暴走を食い止めようとしても言い負かされて押し切られる夫にもどかしさで身悶え。引き立て役にもなっていない捜査当局ももどかしい。誘拐幼女殺害シーンは描かれていません。自主規制したのかもしれません。私はビリーが殺害せず発見されやすいあの場所に寝かせたと思います。彼のクレイトン夫人をマイラ同様に悲しませてはならないとの思いと、マイラを絞首刑にさせはしない思いを感じました。マルチな映画人アッテンボローの役者としての絶品振りが記憶に刻まれる傑作です。 [DVD(字幕)] 8点(2021-06-14 16:17:40) |