1. アマデウス ディレクターズカット
《ネタバレ》 「才能は過信により齎される。故に慢心を改めてはならない」というのが持論。 これ系の話はきまって途上で生き様を悔い改めさせるのだが、クリエイターにとってそれは決して成長と呼べないと思う(処世術ぐらいは備えてないとまずいでしょうが)。 才能の取り扱いとドラマの処理をごちゃまぜにして万事解決としてしまうような不条理をよく見掛けますが、「才能」を扱い徹す今作にとってこの内容は理想的。 [DVD(字幕)] 10点(2007-09-06 13:47:46)(笑:1票) |
2. アヒルと鴨のコインロッカー
《ネタバレ》 ドルジがボブ・ディランを口ずさむ椎名に出会ったシーンが私にとってのクライマックス。 結果的に復讐の後押しとなる出会いでしたが、ドルジには神の赦し(ひいては自身の肯定)を受けたようなことで、さぞ心地よかったことでしょう。 あの出会いで彼は随分と救われたと思います。 作品の構成をただ「やってみたかっただけ」じゃないかと、このシーンに至るまでは思っていたのですが・・・浅はかでした。 あのシーンの彼の笑顔に涙っ。 他者との出会いは、いつも何かを残していくものだなあ~、と感慨深い。 ワンアイデアものにも拘わらず、ここまで突き刺さる作品が作れるなんて。勉強になりました。 [映画館(邦画)] 10点(2007-08-01 18:27:21)(良:1票) |
3. アダプテーション
私たちは社会に適応(アダプテーション)するべく、多くの選択を迫られる。例えば恋愛を取るか、仕事を取るか。どちらも有益であると判断しても時間という有限な流れの中ではどちらかに決めなければならない場合がある。それは合理化である一方で選ばれなかった可能性を切り取る作業でもある。しかも、それはそういった社会的な態度の限定だけに留まらず、内面的な部分にまで侵食する。自らの行動を納得させるべく「主義」へと姿を変えた選択は意識のカスタマイズ作業であると同時に制御可能な世界へと自らを隔離する。しかし、当人にその自覚はないだろう。それは処世術であり、オリジナリティとして解釈してしまうからだ。そして、ついにはこのように設定された世界「ワタシ」を主張する。 一度設定してしまった世界は容易に変更できない。それまでの自分を否定することでもあるからだ。無闇に刃向かおうものなら、その設定にそぐわないと敵意すら示すだろう。「ワタシ」という枷こそが限界をも設定し、他を拒むファクターとなる。即ち、世界は「ワタシ」によって整理され、限定されているのだ。 本作では他を知ることで広がる可能性とともに「世界をつまらなくしているのはお前だよ!」。そして、「世界は君のものだ!」と提起されているのではないだろうか。 [DVD(吹替)] 10点(2007-06-25 11:04:24) |
4. アンナとロッテ
《ネタバレ》 敵対することとなる両国へ姉妹を分けたことで時代の激動はよく理解できましたし、その中でのすれ違いエピソードや要所要所に挟まれる現在の彼女たちの描写は興味を惹かせる意味で効果的。 ただ、作りたいシチュエーションに急ぎ過ぎて、彼女たちの感情についていけない箇所が多少ありましたけど。 それにアンナを殺す必要はなかったと思います。 それにしても、自分ならこんなにも信じていたものがコロコロと覆されては気が狂ってしまうでしょうね。 [DVD(吹替)] 8点(2008-01-26 20:26:09) |
5. アパートの鍵貸します
《ネタバレ》 観客へのアプローチが巧妙。内容自体は至極単純な話。 それにしても、この内容のままでは最後の展開がどう転ぼうと、このお嬢さんは安い女のような気がするんですが。 不倫相手とくっつくのは勿論のこと、看病してくれて自分のために会社辞めた男だからといって、その程度で恋心に変わります? なんとも安くて痛い女性だな~。男の妄想の域に留まっているのが勿体ない。 [DVD(字幕)] 8点(2007-01-09 13:19:51) |
6. アザーズ
ホラーの秀作。 短編的内容なのでもうちょっと短くまとめて欲しかった。 [地上波(吹替)] 7点(2007-12-05 05:20:15) |
7. AKIRA(1988)
結局なんでもありの世界観に終始する内容なので、普通なら評価の下がるところですが、このハッタリの妙技に脱帽。構成も素晴らしい。 毎週「次が気になる」で締めくくらなければならないという週刊誌で鍛えられた作家ならではの技術とセンス。 金田と鉄雄の心理劇とSFガジェットの融合はSFの理想型と言ってもいいぐらい。 映像的演出もこの頃の大友克洋は神ですね。 [ビデオ(邦画)] 7点(2007-07-21 14:15:04) |
8. アイアン・ジャイアント
結構淡泊ですが、良く出来た秀作。 少年がロボットにそれ程執着するに至るエピソードがもっと欲しい。 [試写会(字幕)] 7点(2007-07-17 09:31:27) |
9. アメリカン・プレジデント
大統領という立場の人の色恋というだけで、さして特筆したものはないのですが、真っ当なラブ・ストーリー。 [地上波(吹替)] 6点(2007-12-05 04:29:51) |
10. アメリカ物語
《ネタバレ》 家族を探すという命題を随分とほったらかして別の騒動に巻き込まれ、そこでの活躍が家族との再会に繋がる・・・良いのか悪いのか判断に困る内容ですが、ユニークな構成ですね。 再会出来たからアメリカって素晴らしい国ねってなってしまう発想には笑っちゃいました。 妙にアメリカ万歳にしたい向きがあるのは何故なんでしょう? ドン・ブルースの作るアニメーションは個人的には理想的なものに感じる。 コミカルな演技や描写でも量感の表現は外さない。 [ビデオ(吹替)] 6点(2007-11-17 17:53:29) |
11. 或る夜の出来事
あちこちにご都合的な展開や設定があるし、何より男側が彼女に惚れるに至る描写(あるいはバックストーリー)がないので、どうにもすっとぼけた内容にうつる(女側は世間知らずのご令嬢という設定でとおるかもしれないが)。 偶然出会った二人が恋に落ちるなんていかにも映画的なものですが、説得力が無ければ意味はない。 映画的でロマンチックなエピソードってだけで評価が上がるのなら、いくらでも名作は生まれてますよ。 やっぱり古い映画の評価はあまり信用できないな・・・。 と、辛口でしたが、男女の舌戦や窮状への対応、すれ違い展開はそれなりに楽しめました。 構成や設定に対しての不満もちょっとした配慮で修復できそうなものが多いので、それなりの採点を。 [DVD(字幕)] 6点(2007-10-02 12:03:49) |
12. アベックモンマリ
《ネタバレ》 個人的にはバッド・エンディングの方がすっきりいくと思う。「それでも夫婦はやっていく」というのに作品自体のテーマもあるのでしょうが、やっぱり関係性に希望や得るものが見えなければ続けるのは難しいでしょう。あの状況、状態の二人が元に戻ってもねぇ・・・。 和製ウディ・アレンの誕生だ、と初見の時は思ったものですが(そういえば、ウディ・アレンならこんな無闇に希望を与えるような方向でまとめないですよね)、最近はすっかり商業映画に取り込まれちゃいましたね、この監督・・・。 [DVD(邦画)] 6点(2007-07-17 09:22:50) |
13. 赤ちゃんに乾杯!
《ネタバレ》 そこそこ楽しめたものの・・・ 麻薬騒動と道楽仲間との社交でのトラブルがひとつのプロット上で機能していればよかったと思うのですが、ひとつひとつ消化していくだけなのがなんとも惜しい。 ドラマに於いても短絡的なので、道楽者として刹那的に生きてきたことへの葛藤をもっと描けていればよかったと思う。 [地上波(字幕)] 5点(2008-01-06 02:48:02) |
14. あなたが寝てる間に・・・
《ネタバレ》 基本的に少々強引なシチュエーション。 だからこそどうケリをつけるのかと思っているとすぐに方向性が見えてきて納得。 それ故に納得して以降の展開は妙に予定調和の中から飛び出すこともできないままに終わる(結婚式までずるずるいっちゃうのもどうかと・・・)。 アイデアが優秀だっただけに勿体ない作品。 [DVD(吹替)] 5点(2007-12-16 23:49:34) |
15. 青の炎
主人公にもう一歩暗部に踏み込んだ演出を施すか、多少のカリスマ性や何か欠落した部分が見える描写がなくては、どうにも違和感が付きまとう成り行き。 [映画館(邦画)] 5点(2007-09-26 12:47:42) |
16. あの頃ペニー・レインと
《ネタバレ》 一度の挫折で何か学んだ気にさせるだけの淡泊な文学作品。 脚本賞なんて獲る作品には構造的な匠を感じさせられるようなものであってほしいものです。 多数の人のドラマを処理しているということで甘めの評価。 [DVD(吹替)] 5点(2007-06-23 20:55:36)(良:1票) |
17. アンタッチャブル
アル・カポネは悪党である、と知っていることを前提に作られているので詳しくない私にはもっと説明が必要に思えた。 大体禁酒法自体が問題あるだろうという認識ですし。 [地上波(吹替)] 5点(2007-03-21 03:37:31) |
18. アトランティス/失われた帝国
《ネタバレ》 設定の曖昧さや(王女は何であんなになるの?、敵ボスキャラは何であんなになるの?)、短絡的な展開や(王女とのロマンス、敵の味方への寝返り)、対決は力のぶつかり合いでしかないなど、大人の鑑賞にはもっと説明や内容が必要。 主人公がアトランティスに残るほど執着する意味がない。 画面は結構ダイナミックなものがあり、アトラクションとしては見応えがあるのでは。 [地上波(吹替)] 4点(2007-12-31 10:44:50) |
19. あなたになら言える秘密のこと
《ネタバレ》 傷の舐め合いで多少癒されたとしても、それを男女に於ける愛情と誤認してしまうのは如何なものだろうか。 確かに「愛」という観念のなかには「癒し」というイメージも含まれているのでしょうが、その部分だけを期待して結ばれた男女の関係に未来はあるのかな。 まあ、何はともあれ彼女が一歩踏み出せたことには変わりないので、他者との関わりの意義をテーマとして打ち出せたとは思う。 [DVD(吹替)] 4点(2007-12-29 02:24:31) |
20. アナライズ・ミー
《ネタバレ》 もっていきたい方向は充分にわかるのですが、医師とのエピソードが強引ですし、彼の人物設定が曖昧。 マフィアの父の死の真相を知って捜査協力を放棄する理由がないし、会合での堂々とした立ち振る舞いへの豹変など。 医師の内的変化を要する流れなのだから、ドラマが施されていなければ腑に落ちない代物になるでしょう。 [DVD(吹替)] 4点(2007-12-17 13:14:18) |