Menu
 > レビュワー
 > にじばぶ さんの口コミ一覧
にじばぶさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 3241
性別 男性
自己紹介 監督別鑑賞作品数

成瀨巳喜男 69
溝口健二 34
川島雄三 41
小津安二郎 37
石井輝男 24
豊田四郎 19
石井岳龍 18
矢崎仁司 12
西川美和 8
山下敦弘 15
今泉力哉 21
フェデリコ・フェリーニ 24
ミケランジェロ・アントニオーニ 14
ピエル・パオロ・パゾリーニ 16
ルキノ・ヴィスコンティ 17
ジャン=リュック・ゴダール 36
フランソワ・トリュフォー 24
ルイ・マル 17
ジャン・ルノワール 15
ジャック・ベッケル 13
ジャン=ピエール・メルヴィル 11
ロベール・ブレッソン 12
イングマール・ベルイマン 27
アルフレッド・ヒッチコック 53
ジム・ジャームッシュ 15
ホウ・シャオシェン 19
ウォン・カーウァイ 14
ジャ・ジャンクー 9

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順123456789
投稿日付順123456789
変更日付順123456789
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  帰れない二人 《ネタバレ》 
ジャ・ジャンクー監督の魅力炸裂。 リアルな中国の描写とクセになる音楽。 ダンスシーンと、そこに流れる音楽は本作でもクセになる味わい。  ヤクザな男とその女。 男はヤクザな稼業なので危険にさらされる。 そこに居合わせたその女は、男を守るために銃を発砲し5年の刑務所行き。 服役している間、救ってあげたはずの男は一度も面会に訪れず、その女が出所する時も迎えに来なかった。 出所したその女は男の行方を追い、なんとか見つけだした。 しかし男は、その女が刑務所にいた間に別の女を作っていた。 その女は復縁を迫ったが断られ、失意の中故郷に戻った。 数年後、その故郷に車椅子に乗った男が現れる。 自分を捨てた男なのだから見捨てると思いきや、献身的に介抱し、男はなんとか歩けるまでに回復する。 しかし歩けるようになった男は再び、その女のもとを去った…  とまあ、男と女の関係を特に時系列をひねることなく、シンプルに描いただけの内容なのだが、何故だか心に残る作品だった。 理屈抜きにジャ・ジャンクー監督とは相性が良いらしい。
[インターネット(字幕)] 9点(2023-06-15 00:38:28)
2.   《ネタバレ》 
数多あるフェデリコ・フェリーニ作品群の中から、『崖』を鑑賞。  フェリーニ作品は全て観たが、この『崖』が一番のお気に入りだ。  世間では、同時期に作られた『道』(1954)の方が有名である。 でも私は『崖』の方が遥かに好きである。  一番のお気に入りシーンは、「主人公と小児麻痺の少女との会話」シーン。  詐欺を働き、その人生自体も汚れきった中年の主人公。 片や、小児麻痺と戦いながらも人生と真正面から向き合い、純粋さを失っていない少女。  この対照的な二人の会話は、ただただ見入ってしまうほど感動的で印象的なシーンだ。  主人公が、純粋な少年や少女と会話をするシーンは、『甘い生活』(1959)や『青春群像』(1953)などの初期フェリーニ作品でもよく出てくる。  『甘い生活』は非常に尺の長い作品で、ややもすると退屈さに襲われる危険性大の作品だが、ラストの「海辺での主人公と少女との会話(実際は会話が成立していないが)」シーンが一気にそのもやもやを吹き飛ばしてしまう。  『青春群像』でも、ラスト間際の「汽車が出発する直前の、主人公と少年の会話」シーンがあり、最後にとてつもない余韻を残す。  私にとって、初期フェリーニ作品が大好きな理由は、まさにこれらの名シーンが存在するからなのだ。  中期から晩年にかけてのフェリーニ作品は、まさに「映像の魔術師」的作品が多く、それらは高く評価されているかと思うが、私の好みには合わない。  やはり私にとってのフェリーニ作品といえば、『甘い生活』であり『青春群像』であり、そしてこの『崖』であるのだ。  “あの会話シーン”を観たいが為の理由で、私はこれらの作品をまたいつの日か観ることだろう。  最後になってしまったが、ニーノ・ロータの音楽も言わずもがな素晴らしい。 やはりフェリーニはロータあってのフェリーニである。
[ビデオ(字幕)] 9点(2007-09-01 20:36:48)(良:1票)
3.  ガルシアの首 《ネタバレ》 
冒頭から緊張感がありまくりでシビれた。 そして最後まで楽しめた。  最後あんなことしなくても、金だけもらって帰れば良いのにもったいない。 命がもったいない。  が、愛する女性を失ったから、もはや大金をもらっても意味ないし、彼女を事故に巻き込む原因を作った、ガルシアの首のそもそもの依頼者をぶち殺したかったんだろうな、自分の命を投げ打ってでも。 とはいえ最後の最後まで車で逃げようとしてたからよく分からんけども。  メキシコの荒涼殺伐とした雰囲気、汚いアメ車で大地を疾走するシーンの数々、クセのあるメキシコ人たち、汚いバラック街やホテルなど、ストーリー以外の見どころが沢山あるのも堪らない。
[DVD(字幕)] 8点(2023-01-08 16:40:54)
4.  カッコーの巣の上で 《ネタバレ》 
ジャック・ニコルソンの演技が実に素晴らしい。 話としても、非常に面白い。  精神病院という閉鎖空間での出来事を、ヒューマン色豊かに、そして精神的に残酷なシーンを織り交ぜながら描き、観る者を虜にするゾクゾクワクワク感。  ジャック・ニコルソンが看護師長に襲いかかり首をしめ、看護師長が白目を剥いている時、私は残酷なシーンと思いながらも、「いや、ひと思いに絞め殺してしまえ」と思ってしまった。  ラストには、あれだけ人間味と野性味あふれたキャラだったジャック・ニコルソン演じる主人公が、ロボトミー手術(開頭手術)を施され、その人間性を永遠に封じ込められてしまうというショッキングなシーンが出てくる。 人間味と野性味あふれたキャラだっただけに、余計にショッキングなシーンである。 チーフという大男が自分の殻を破り、病院の外へ走り去っていくラストも味わい深い。  ヒューマンドラマとして、アメリカ映画史に残る傑作である。 
[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-10-13 00:28:59)
5.  華氏451 《ネタバレ》 
フランソワ・トリュフォー作品の中で唯一未見だった作品で、ようやく見ることができた。 これでフランソワ・トリュフォーをコンプリート。  活字や本が違法とされた近未来を舞台としたSF。 もちろんトリュフォーの作風からすれば異端の内容で、それが原因で今まで見るのをためらってきた。 おそらくつまらないんじゃないか? 地下鉄のザジみたいに気色の悪い内容なんじゃないか? ジャック・タチ作品みたいに奇妙なだけでつまらないんじゃないか? そうした憶測を勝手に自分の中で持っていて、この作品を敬遠してきた。  だけど、かの蓮實重彦氏が推薦している作品だ、見ない訳にはいかない。 というわけで、土曜日の暇な時間に意を決して鑑賞開始。  これが独特の世界観を構築していて、意外と完成度が高い。 奥さんも綺麗。 主人公も存在感抜群。  ところがその主人公、最後は奥さんに逃げられ、上司を火炎放射器で焼き殺してしまう。 なかなかのショッキングな展開だったが、ラストは本大好き人間の桃源郷に逃げ込み、難を逃れた。  奇妙な作品であり、決してトリュフォーの得意分野とは思えないが、そこが逆にこの作品の独創性に貢献しており、飽きずに最後まで見ることができた。
[インターネット(字幕)] 7点(2023-02-25 11:48:31)(良:2票)
6.  母べえ 《ネタバレ》 
父べえが思想犯だとかの序盤はとても退屈したが、中盤辺りから俄然、面白くなってきた。 山田洋次の底力とも言うべきか。  ラストの母べえが死にゆくシーンは見ていて辛いものだったが、この女性が必死に生きてきた生涯が一気に甦って、人の一生の重さというもの、大変さというものを走馬灯の様に思い起こさせる何とも言えないシーンだった。  吉永小百合の女性としての色んな魅力を感じた作品でもあった。 ただ綺麗なだけの人ではなく、女性としての優しさと強さを身に纏った女優さん。 そんな吉永小百合の魅力を感じられただけでも、この作品を見た甲斐があった。
[インターネット(邦画)] 7点(2022-12-25 17:25:40)
7.  怪盗ルパン 《ネタバレ》 
軽妙洒脱とは、まさにこの作品のことを言うのではないだろうか。 様々なトリックもしっかりと見せてくれるのも楽しい。  ヒロインの女優さんはとにかく美しい。 アメリカ女優なんかより断然魅力的だ。  ルパンの私生活を覗けるのもまた楽しい。 ジャック・ベッケルの作品にハズレ無し!と言いたいところだが、何かが足りない。 そうだ!平手打ちだ! ビンタが一度も出てこなかった。 だからどこか物足りないんだ。
[DVD(字幕)] 7点(2022-10-15 17:10:44)
8.  関東無宿 《ネタバレ》 
鈴木清順作品を何本か見てきて、今回でようやくその魅力を感じることができた。 とにかく目の覚めるような赤色が印象的。 カラー映画で躍動する真っ赤な赤。 照明の使い方や音楽、効果音にいたるまで、鈴木清順監督の強い個性を感じられる逸品。
[インターネット(邦画)] 7点(2021-09-25 08:22:14)
9.  紙の月 《ネタバレ》 
一番印象的なシーンは、宮沢りえが駅の反対側ホームから消えたと思いきや、階段をゆっくりと降りてくるシーン。 このシーンは、ハッと息を呑む印象的なシーンだった。  横領したお金で楽しんだところで、その楽しいひとときは偽物にすぎない。 偽物だから、いつ終わっても当たり前だ。 いつ終わっても当たり前の楽しさだからこそ、心底楽しめる。 この理屈、筋は通ってるけど、刹那的で物悲しい。  破滅的な話なのに、どこか美しい、そんな作品だった。 儚いからこそ、美しいのかな。
[インターネット(邦画)] 7点(2021-07-13 23:08:58)
10.  ガス人間第一号 《ネタバレ》 
五日市街道を横道に逸れ、山中にひっそりと佇むお屋敷。 夜更け、蛍が舞い、蛙が鳴いている。 そこで踊る八千草薫。 なんと幻想的なことか。 下手したら雨月物語に肉薄する幻想美。 このシーンだけでも特筆に値する。  ストーリーや設定は無茶苦茶。 そこには敢えて目をつむりたい。
[インターネット(邦画)] 7点(2021-05-05 00:27:26)
11.  空(カラ)の味 《ネタバレ》 
インディーズ映画との事だが、素晴らしい出来。 内容は決して楽しめる類のものではない。 だけど、ものすごく見入ってしまった。  主人公に性的な興味を持ってしまったのは秘密。  それはさておき、身近な家族が理解者でなかった場合の苦悩。 これはおそらく経験した人にしか解らないであろう孤独。 どうにもならない。 だけど、救いは家族や学校とは別の場所にあった。 それも意外なところに。 人生、分からないものですね。  明日晴れるといいな、か。
[インターネット(邦画)] 7点(2020-07-25 00:40:11)
12.  カリートの道 《ネタバレ》 
この映画から学んだこと。  ●出世する為には、仲間を裏切ればよい。 ●最期まで味方でいてくれる人間は、自分を愛してくれている女性のみ。 ●冒頭で結末を見せてはいけない。  以上。  
[DVD(字幕)] 7点(2012-11-24 00:18:03)
13.  鍵泥棒のメソッド 《ネタバレ》 
内田けんじ監督&オリジナル脚本の強味は、本作でも発揮されていた。 しかし、脚本の強引と都合の良さも、同時に弱みとして散見されたようにも思う。  冒頭の音楽が、後に効果的に使われるなどの、布石の数々も面白い。 又、「金より恋」という恋愛至上主義的な監督の主張も、最後の最後まで貫かれていた。 それに対し、それらの演出を効果的に見せる為、細かい不自然さについては、観ているこちらも意図的に目を反らすしかないだろう。 なぜなら、この監督の映画を楽しむには、監督に気持ち良くだまされるという姿勢が重要だからだ。 「この部分はおかしいだろ!」とか、「ここの展開は都合良すぎだろ!」とか、いちいちツッコミを入れると、十分には楽しめない。  キャスティングに関して言えば、広末涼子が恋に奥手な女性を演じたのは、少しミスキャストかな、と個人的に感じた。 香川照之はやはり巧かったが、歌舞伎俳優になってから、急に眼光が鋭くなったのは、ひょっとして整形では?と勘繰りたくなる。 境雅人も好演していたように思う。  さて、ここまで発表する作品に、極端なハズレの無い内田けんじ監督だが、少しワンパターン化してきた感がある。 次回作では、是非、新境地を見せてほしい。  にしても何にしても、とにかく香川照之のダサ服装が最高に面白かった! あれは、全くもって似合ってない(笑)。 チェックのシャツと、だぼだぼのジーンズ。 香川照之が着ると面白過ぎ!
[映画館(邦画)] 7点(2012-10-18 20:44:43)
14.  顔(1999) 《ネタバレ》 
殺人を犯した人間が逃走する様を、実にリアルに描いている。 人間、何がなくても何とか生きていけるもんだなぁ、と別なところで感心してしまった。  行く先々で色んな人と出会い、別れ、ひどい目に遭い、ちょっとした幸せも感じた。  そして何より、劣等感の塊だった一人の女性が、逃亡生活の中でちょっとずつ自我を発掘し、今までの人生で抱えていた劣等感を克服して、活き活きとしていく様が実に興味深い。   社会から隔絶していた人間が、反社会的な行動に出た時、初めて社会と本当の意味で接することができた。 何たる皮肉、何たる人生の数奇さよ。  人間、どこまで堕ちたとしても、とりあえずは生きているべきだということ、それを本作から学ぶことができた。 実に有意義な2時間だった。
[DVD(邦画)] 7点(2011-10-20 02:34:31)
15.  からみ合い 《ネタバレ》 
さすが小林正樹監督作品、重厚な味わいで内容も面白い。 美術や音楽も独自性に富んでおり、ストーリーとは別に、映画として、画として楽しめるのがまた良い。  小林正樹監督作品の『化石』と似たような設定で、大企業の経営者が不治の病に侵され、今までの人生を反芻し、余生をどうにか全うしようと苦悶する姿が主軸となっている。  その社長の死に臨み、その遺産を狙う人々。 さまざまな欲望と策略、そして嘘が複雑に“からみ合い”、醜悪な人間たちの内面を見せつけられた。  法律の知識を武器に暗躍する企業顧問弁護士、愛人のごとく体を武器にして遺産相続人に名乗りを挙げる社長秘書、必至に自分の立場を守ろうとする若き妻、そしてその妻の元愛人・・・と実に複雑巧みに人間がからみ合う。  ドロドロとした人間ドラマで、もう一度観たいとは思えない内容ながら、これまたハズレのない小林正樹作品に、どっぷり黒々酔いしれることのできた2時間弱だった。
[ビデオ(邦画)] 7点(2011-07-28 23:00:15)
16.  華麗なる一族 《ネタバレ》 
山崎豊子原作、山本薩夫監督コンビ作品として、『不毛地帯』に続き鑑賞。 『不毛地帯』とはまた違った意味で、見応えのある内容だった。  佐分利信の独壇場的様相を呈してはいるが、仲代達矢も相変わらずの熱演。 香川京子と中村伸郎と志村喬などは、異常なほどにチョイ役でびっくり。 京マチ子は、二重アゴでこれまた異常なほどに気色が悪い。 酒井和歌子の美しさを発見し、目黒祐樹のニヒルさにも驚いた。 田宮二郎のリアル猟銃自殺を誘引したかのような自殺シーンにゾっとする。  こうした登場人物たちのインパクトも見所の一つだが、やはり山崎豊子の情報収集力に裏打ちされたリアルで重厚なストーリーが、なんと言っても最大の魅力だろう。  結局、言いたいことはシンプルで、日本の資本主義社会の構造は、政官癒着、資本家が労働者を搾取し、結果として、一番の犠牲者は末端の労働者であること。 そして、官僚が権力を欲しいままにし、大企業の資本家すら利用される。 つまりは、弱肉強食の世界。 そして、権力闘争に肉親も恋人もないということ。  佐分利信が、仲代達矢を実の子と知った後でも、その死に対して「企業家である限り、企業存続の危機に直面したら、肉親も何もない」という言葉をはくシーン。 これは実にショッキング。 老いてなお権力に執着することの怖さ。 企業家であろうとも、それ以前に人間なわけで、企業存続のためなら息子も犠牲になるのは仕方ないという論理は到底間違ってはいるが、3時間半も濃厚に財界の内幕を見せられると、そう考えてしまう可能性も十分あり得ると感じてしまったから恐ろしい。  現代日本経済は、不景気から脱出できず低迷が続いているが、その反面、こうした「仕事が全て」といった考え方そのものが薄れてきているのも事実。 そういう意味では、現代の不況極まる日本も、いい面はあるんだと思いこみたい。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-09-13 01:44:05)
17.  化石 《ネタバレ》 
死生観を綴った作品であり、真っ向から「生」と「死」というものに取り組んだ内容の作品である。  自分がガンだと知った辺りから、「これは単に暗いだけの作品か?」と思ったが、ガンの手術に成功し、次は「なんだ、単なるハッピーエンドの作品か!」と思った矢先に、今度は「ガンの手術に成功したのに会社を辞めて浮かぬ顔」・・・という、死の病に対峙した人間が持つ複雑な心境の変化を細やかに描いており、なかなかの力作となっている。  主人公を演じた建設会社のオーナー社長役の佐分利信は、終始画面に出ずっぱりで、しかも3時間を超える長尺作品ということもあり、晩年の佐分利信をこれでもか!とばかりに堪能できる仕上がりとなっている。  1975年の作品なのに、杉村春子が出てきた時には感動すらおぼえた。 『午後の遺言状』の時は、ずっとサングラスをかけたままの演技だったし。 70年代以前の杉村春子を沢山観てきただけに、1975年の作品で、往年の杉村春子らしさが出た彼女をスクリーンで観られたのは、懐かしさをも感じることができた。  その他、若さと美しさの残る小川真由美や栗原小巻、渋み全開の宇野重吉や宮口精二などが脇を固めていて、キャスティング的にも満足。 そして何と言っても、神山繁! 最近の白髪でハゲた外見の神山繁しか知らない私にとって、黒髪をなびかせた四十過ぎの神山繁は、最大のインパクト、というか、正直笑いそうになった(失敬)。  内容に話を戻すと、3時間以上の間、ずっと「生」と「死」について、佐分利信が悩み、それを加藤剛がナレーションするという、極めて重い内容ではあるのだが、観終えた後は、自分自身も「これからどう生きていくべきか」、「死に臨んで何をすべきか」みたいなことを、映画館を出た後も考えさせられたりして、余韻を残す作品であった。  決して観ていて楽しい気分になれる作品ではないので、娯楽作品にしか興味のない人には、まったくオススメできない日本映画である。 一方で、映画によって深く感銘を受けたり、映画が自分の人生観に影響を与え、それにより色々考えてみる機会を得たいと思っている人には、是非オススメしたい重厚な日本映画である。
[映画館(邦画)] 7点(2010-03-13 20:14:11)
18.  彼女と彼(1963)
団地に住む平凡な夫婦と、そこに起る何気ない日常を、普通に、だが、不気味に綴った作品。 武満徹の音楽がマッチしているかどうかは微妙なところだが、団地の何の変哲もない風景すら不気味に見えてしまうその音楽の影響力は凄いものがある。  左幸子が珍しく魅力的に見えた。 普通の主婦だが、どこかに団地妻的なエロスを感じた。 その夫を演じた岡田英次は、役所勤めというお堅いサラリーマンを見事に演じていた。 平凡でそれなりに幸せだが、どこか充ち足りない。 そんな団地住まいの中産階級な夫婦を、淡々とモノクロ映像に映しただけの作品なのだが、サスペンス的な風味も相まって、最後まで予想以上に楽しめた。  羽仁進はドキュメンタリー出身の監督だと聞くが、その作風には多分にその影響が見て取れる。 団地には数多くの世帯があり、その中の一家族の生活を、覗き見するような感覚にさえなった。  ラストは不思議な余韻が残った。 何を言わんとしているのか、いまいち理解に苦しむが、それがまた不気味で、いい味を出していたように思う。 左幸子の演技の巧さも再確認できる作品である。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-01-09 17:53:44)
19.  カフーを待ちわびて
新宿のバルト9で、上映開始時刻を勘違いしてロードショーを逃して以来、待ちに待った鑑賞。 まさに『カフーを待ちわびて』を待ちわびてました。  沖縄の今帰仁村で、むさぐるしいヒゲを生やし、髪は長くてボサボサ、仕事もせずにニート状態のうだつの上がらない玉鉄の元に、この上ない美人が突然やってくる・・・  主演女優のマイコは、スレンダーながら、出るところ、つまりは胸とお尻が出ていて、腰のクビレは十分で、髪の毛もすこぶる綺麗で、服装も色っぽく、肌は透ける様な色白で、文句ナシの美人であります。 こんな女性がいきなり家にやってきたら、うだつが上がっていようといまいと、男なら誰しもが溺れてしまうことでしょう。  舞台が元々綺麗な沖縄なので、その点を考慮すると、もう少し綺麗に撮れなかったかな、と多少の不満は残るものの、それでも沖縄独特の風土と文化、雰囲気などは満喫できるレベルの映像である。  ストーリーは、ほどほどといったところだが、ラストのお約束的な再会シーンは、期待を裏切らず、健やかな気分で観終えることができる。 沖縄やマイコといった良い素材を活かしつつ、無難なストーリーでまとめ上げているので、十分満足できる作品に仕上がっている。  でも、変に裏のあるストーリー設定にするより、玉鉄とマイコの二人だけの時間の流れを、沖縄の自然と文化をふんだんに使いながら、ゆっくりと進行していった方が、万人には好まれずとも、沖縄映画として日本映画史に残る傑作となり得たと思うだけに、残念ではあった。
[DVD(邦画)] 7点(2009-12-05 18:28:10)
20.  カノン 《ネタバレ》 
“デブババア”と“臭いバアサン”の二人との同居生活が語られる冒頭から、かなり引き込まれた。 流れる様なダークストーリー。 いや、ダーティストーリー。  どんどん落ちぶれ、精神的に崩壊し、閉塞していく様がリアルに、そして流れる様なリズムで語られる。 これは面白い!  と思っていたのも束の間、後半はかなりグロテスクな映像を交えての、陰鬱なモードへと突入する。 ネガティブでしつこいモノローグには閉口した。 そして、首から血がドクドク流れ出たり、脳が飛び出るシーンを繰り返ししつこく流す。 これは観る者を不快にさせるのが目的なんじゃないだろうか。  前半の流れがとてもリズム良く、そして映画的な楽しさに満ちていたのに対し、後半はネガティブ一色、それも表現がしつこくて悪意に満ちていた。 気に入った部分と不快に感じた部分との振れ幅が非常に大きく、評価するのがとても難しい。  ラストはなかなかうまくまとまっていた様な気がする。 理にかなっているというか。
[DVD(字幕)] 7点(2009-08-03 02:31:43)
0431.33%
1772.38%
21344.13%
32517.74%
42918.98%
563819.69%
685326.32%
769621.47%
82016.20%
9471.45%
10100.31%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS