21. カティンの森
《ネタバレ》 アンジェイ・ワイダのこれまでの映画人生はこの作品を世に出すためにあったのではないかと思わせるほど、思い入れの強さが伝わってくる作品でした。ワイダ監督の作品だからこそ、この作品は日本でも公開されたのだと思いますし。 自らの肉親の命を奪った事件を、その卓越した技量と名声によって世界中に、そして後世に残していきたいという意気込みが感じられましたね。また、この作品はドイツとソ連という大国の中間に存在するポーランドの苦しみ、悲しみを全世界に伝えてきたワイダ監督の総決算とも言えると思います。 とにかく、この作品をこれから観ようと思われている方は必ず事前にこの事件について予習しておいていただきたいですね。ドラマとしては後味は悪いですが、「カティンの森事件」の悲劇性の全てをこの作品は描いていて非常に興味深い映画となっていると思います。 [映画館(字幕)] 7点(2010-01-18 00:34:08) |
22. 隠された記憶
《ネタバレ》 すべてが綿密に計算されており、全く以って隙が無い映像を我々に提供(というか挑発)してくれるハネケ監督には感服するしかありませんね。そして、誰しもが抱えている問題(秘密や嘘そして罪)をサスペンスという緊張感に満ちた形式をとりながら突いてくるその嫌らしさは、まるで悪夢を見ているかのようでした(でも面白いからついつい見てしまうんですよね)。 何というか、何回も見返して、その緻密さを確認したくなるような映画でした。 [DVD(字幕)] 8点(2009-12-28 23:40:58) |
23. カフーを待ちわびて
《ネタバレ》 沖縄の離島に流れるゆったりとした独特の雰囲気がとても心地よい映画でした。そして、島を理想郷としてだけではなく、現実に流れている生活観も含めてしっかりと描いているのも良かったと思います。 偶然とすれ違いが織り成すストーリーは、一見ありえないファンタジーな展開に実はありえる理由があることが徐々に明らかになっていくように進んでいき面白かったです。 とりあえず、大事な事は早めに伝える、疑問に思ったことはしっかりと確認する事が肝要だということを強く感じましたね(まあ、それをしていたら物語にはなりませんが・・・・・)。 [DVD(邦画)] 7点(2009-12-05 10:32:17) |
24. 風の丘を越えて~西便制
《ネタバレ》 人生そのものを芸に昇華させる・・・その鬼気迫る芸道の追求ぶりはまさに「巨人の星」のパンソリ版といった感じでしたね。良く韓国には「恨」の文化があると言われますが、その一端を見ることができたような気がします。 [DVD(字幕)] 7点(2009-09-17 00:29:19)(良:1票) |
25. 蒲田行進曲
《ネタバレ》 ちょっと、強烈に辛辣でネチっこい「格差」の描き方にはちょっと「もうわかりましたから・・・」といいたくなりましたけど、それでもやっぱり面白い映画であることは間違いありません。 風間杜夫・平田満・松坂慶子のキャスティングも見事にはまっていて、非常に見ごたえがありました。 しかし、封切当時はこの作品をみて「芸能界って凄い世界だな・・・」と他人事のように思っていたのが、今見ると「世の中ってやっぱこうなんだよな・・・・。負け組は勝ち組のおこぼれを預かって、なおかつ階段落ちみたいな一世一代の大ばくちを打たなきゃ這い上がれないんだよな・・・。」という感想に変わってしまったのですが、これって不幸なことなんですかね? [ビデオ(邦画)] 8点(2009-08-04 20:00:06) |
26. 革命前夜
とりあえず、プロモーションビデオかと思わせるほど、 アドリアーナ・アスティ が魅力的に撮られているのが非常に印象的でした。 イタリア映画でありながら、フランス映画を見ているような感じでしたね(まあ、途中でゴダールの映画も出てきますし、影響を受けているのでしょう)。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-07-27 18:23:23) |
27. 風の痛み
《ネタバレ》 非常に詩的で美しい雰囲気に包まれてはいますが、内容は中上健次の「路地」の物語を東欧移民社会に置き換えたようなドロドロとしたものになっています。 主人公は、厭世的でストーカー気質で鬱屈した感情を溜め込んでいるちょっと近寄りがたい人間ですし、展開も正直心底ハッピーなものでは無いのですが、映像の美しさとストーリーの面白さに不思議と惹かれる映画でした。 [DVD(字幕)] 7点(2009-05-25 19:43:51) |
28. 輝ける青春
《ネタバレ》 6時間強の長い作品ですが、ストーリーの面白さとイタリアの60年代から21世紀初頭までの社会の動きが見事に絡み合っていて全く飽きることなく一気に鑑賞することができました。基本的には、普遍的な家族の物語ですので、予備知識がなくても楽しめると思います(当然、あった方が楽しめますが)。 イタリア社会そして主人公たち家族の影の部分も映し出されてはいるのですが、全体的に「人生は美しい!」と前向きなトーンで貫かれているのがラテン系らしくて良いなと思いました(日本人の視点から言えば、マッテオに一番共感できましたね)。 [地上波(字幕)] 8点(2009-05-16 14:17:29) |
29. 戒厳令下チリ潜入記
《ネタバレ》 軍事独裁政権下のチリの様子が描かれていて興味深い作品でした。特に、ピノチェトの軍事クーデターのドキュメントでは、当時の無線記録や関係者の証言により生々しく当時の光景が伝わってきました。 [ビデオ(吹替)] 6点(2009-03-04 14:38:18) |
30. 風の絨毯
《ネタバレ》 一枚のペルシャ絨毯に込められた人々の思いが伝わってきましたね。派手さは無いですが、日本とイランの伝統的な文化の交流や人々の心が打ち解けていく様は見ていて興味深かったです。 [地上波(邦画)] 7点(2009-01-05 21:00:39) |
31. ガン・ホー
《ネタバレ》 まあ、コメディなので日本の企業やサラリーマンを誇張して面白おかしく描くのは別に良いと思います(アメリカ人労働者たちの身勝手さも誇張して描いていますし)。 ただ、まともに日本語を話せない役者を主要な役で使うのはどうなんでしょうかね・・・・・。まともなのは社長役の山村聰位であとはみんな片言で意味不明で、日本語の会話の意味を英訳で確認しなくちゃならない始末です(吹替バージョンだと日本語に吹替がついていて笑ってしまいました)。 自動車会社の名前が「圧惨」自動車というのは大笑いしてしまいましたけど、まあ全体的に粗の目立つ作品でした。 もしかしたら、映画においてもアメリカ製は結構いい加減だということを示そうとしているのでしょうかね? なわけないですねw [DVD(字幕)] 3点(2008-09-07 22:16:16) |
32. カオス(2000)
《ネタバレ》 時系列を崩した構成で、次々と仕組まれた狂言誘拐の種明かしをしていく中盤までは中谷美紀の魅力もあって結構面白かったです。ただ、終盤の展開がややグダグダで、最後も「えっ、これで終わり?」という感じで何となく不完全燃焼な気分でした・・・・。 もう少し、中谷美紀が演じる女性の人物像を深く描いて欲しかったですね。 [地上波(邦画)] 6点(2008-07-16 13:55:45) |
33. 戒厳令(1973)
《ネタバレ》 非常に静かな緊迫感に包まれた作品でした。自らの思想が己の想像、度量を超えた影響力を持つようになり暴走していく状況の中で、不安に畏れ慄く思想家の姿を三國連太郎が見事に演じています。 「神」は「神」であるが故に「神」であり、人間は決して「神」になり得ない・・・・。観終わった後、そんな事を考えてしまいました [DVD(邦画)] 7点(2008-07-15 18:14:58) |
34. ガッジョ・ディーロ
《ネタバレ》 ロマの人たちの情熱的で奔放な姿が描かれています。ただ、彼らには社会から差別を受けている厳しい状況もあり、後半はその状況が悲劇を招きます・・・・・。 ジプシー(ロマ)音楽の情熱的で奥底に哀しみを湛えた旋律が非常に印象的でした。 [DVD(字幕)] 7点(2008-06-25 18:31:48) |
35. ガスパール/君と過ごした季節
《ネタバレ》 南仏の美しい風景・ミシェル・ルグランの素晴らしい音楽に、いきなり姥捨てのシーンからスタートする等実は結構シビアな話なんですけれどもユーモラスな雰囲気が相まって心暖まる世界を作り出しています。 ラストのガスパールの姿には「男だねえ!」と声をかけてあげたくなりましたね。 [DVD(字幕)] 7点(2008-06-13 18:20:01) |
36. カルラのリスト
《ネタバレ》 非常に興味深いテーマの作品でした。戦争の当事者達がそれぞれの思惑を主張している中で、自らの正義を貫こうとするカルラ達の姿に感銘を受けました。 [DVD(字幕)] 7点(2008-05-19 19:26:31) |
37. 亀も空を飛ぶ
《ネタバレ》 イラク戦争時のクルディスタンの状況、人々の暮らしぶりをドキュメンタリータッチで描いた非常に貴重な映像作品です。 正直言って、この映画について簡単に感想を表現する術を私は持っていません。ただ、何とも言えないやりきれなさを感じてしまうだけです・・・・。 アメリカはイラクをフセインから解放すると言っているが、イラン・イラク戦争時にフセイン政権を支援しクルド人虐殺を黙認したのは一体どこの国なのか?結局のところ、この作品に出てくる子供達はアメリカという国の利己主義が産んだ犠牲者とも言えるのではないか(もちろんアメリカだけが悪いわけではないですけど。アメリカに対する大人と子供の感じ方のズレも興味深かったです。)?というような事をいろいろと考えさせられました。 鑑賞後、DVDに収録されているメイキング映像を見てちょっとホッとしました。その位、重い内容の作品でしたね。 [DVD(字幕)] 7点(2008-02-19 18:30:03)(良:1票) |
38. がんばれ、リアム
《ネタバレ》 良い映画であることは間違いないのですが、この邦題はちょっとどうなんでしょうか・・・・。何か、タイトルから思い描いていた内容と全然違っていてちょっと騙された気分です。 ただ、ストーリーとしては、第2次世界大戦前になぜ欧州にファシズムが台頭していったのか、今も残る移民問題は何故起こるのかということを加害者側(実は被害者でもあるのですが・・・)の視点から描いていていろいろと考えさせられました。 「弱い者がさらに弱い者を叩く」という人間社会の負の連鎖は見ていて本当に哀しくなってきます。日本も他人事ではありません・・・・ [ビデオ(字幕)] 8点(2008-01-17 19:19:49) |
39. ガンジー
《ネタバレ》 もう、この作品は人類必見と言っても良いでしょう。本当に、「偉人」と呼ぶに相応しい一人の人間を描いた作品です。 よく引き合いに出される「非暴力・不服従」の精神についても、決して弱腰な姿勢ではなくある意味非常に強烈な思想であることが良くわかります。 ただし、この精神を実践するには自ら死に臨むくらいの覚悟が必要ですから、よほど強大な敵でないと難しいでしょうね。だから強大な大英帝国に対しては出来ても、国内の異なる宗教間の争いでは出来なかったんだと思います。 つくづく宗教対立というものの恐ろしさを感じました。 [ビデオ(字幕)] 8点(2007-11-18 14:52:54) |
40. 監督・ばんざい!
《ネタバレ》 北野武の皮をかぶったビートたけしが贈る究極の嫌がらせ映画という感じですね。いかに映画の観客というものが、映画監督に踊らされているのかを思い知らされる作品でした。そういう意味で「監督・ばんざい!」というタイトルを付けたのは見事としか言いようがありません。 まあ、前半のいろんなジャンルの映画をパロディ化しているところは、面白かったんですけどね。特に昭和30年代映画なんかはリアルな「3丁目の夕日」という感じで良かったです。 「ザマーみやがれ、この野郎」と笑っているビートたけしが目に浮かんできましたね。彼の笑いにどっぷり浸かってきた世代なもんで、それもまた嬉しかったりするんですが。まあ、ビートたけしの笑いを通過してない人にはただの糞映画でしょうね。 [DVD(邦画)] 5点(2007-11-13 20:13:30) |