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tottokoさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2001
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

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21.  完全なるチェックメイト 《ネタバレ》 
天才を扱った映画を観るたび思うこと。やっぱ「周囲」が苦労する。凡人には計り知れない脳を持っているから天才なんだが、その才に魅せられる一方、社会性を有しない彼に振り回されるストレスのハンパないこと。 映画は、ボビー・フィッシャーその人の苦悩にも迫ろうと苦心したあとは伺える。折り合いの悪い母親の代わりに姉に依存している姿を描いたり、肌に吹き出物を作りながらギョロ目で変人ぶりを余すところ無く演じたトビー・マグワイアは確かに精神病んでるし。 称賛を受けても喜ぶでもなくステージを後にするボビー。天才の感性などわかるはずないもんなあ。脚本もトビーも頑張ったけど、ボビーは何を思ったんかなあ、とやはり理解するには全然遠かった。マネージャーやセコンド役の神父らの苦労は手に取るようにわかったが。 残念ながら、ワタシはチェスについては全くの門外漢。史上最高と言われるレイキャビクでの第六戦、ソ連のチャンピオンが、自らの敗北を悟ったにも関わらず思わず笑みをもらしたのは、そこに「完全なる美」を見たからと思われる。ああ、それを目にすることができないわが身が、つくづく残念だ。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2017-11-06 17:28:04)(良:2票)
22.  カットバンク 《ネタバレ》 
カットバンクとは街の名前なのですね。アメリカのとある田舎町。人口3000人、住民はほぼ顔見知り。若者は町から出て行きたがり、ミス・カットバンクなるミスコンに優勝すべく独学でレッスンに励む垢抜けない女の子たち、変わり者には冷たい閉鎖性、と田舎のアイコンをずらーっと網羅しているカットバンクである。田舎で起こることといえば猟奇殺人と相場が決まっている(?)。今作は観客が犯人を分かって観るパターン。主人公が拵えた偽装殺人計画と同時進行で本ボシの殺人が起きる、なかなか凝った脚本である。 変人の殺人犯、ダービー・ミルトンはけっこう人を殺してるけど殺し自体が趣味なのではなく、本来の目的を果たすため他者が巻き添えになって死ぬ。その目的が何なのか分かった場面は戦慄しました。哀しさ漂うというか。 不満なのはラスト。主人公の彼ですが、ものすごい御厚意を保安官からもビリー・ボブ父ちゃんからも受けてますけど、そんなに目をかけてもらえるほど好青年でしたっけ?そんな良い奴だったかなあ。 さらに細かいこと言うと、後から銃創こしらえても検死したらバレるんでないの?と基本的疑問がわく。まあそこはなんとかなるんだろう、田舎だから。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2017-09-16 23:55:41)
23.  カイト/KITE
雰囲気作りばかりに頑張ってるけれど、演出、ストーリー展開の見せ方、人物紹介、カメラワーク等、もっと勉強すること多すぎな一本。復讐に燃えるロリータ暗殺者という設定だけではもはや新味はありませんし、一本調子な演技をずっと続けられて、ヒロインに対する興味も失せてきます。単調な殺しの場面はあまりにうまく行きすぎ、というか強すぎ。この娘はサイボーグか。黒幕は案の定そうくるよね、だし、サミュエルはなぜ出演を承諾したのか。 ちなみに元ネタのジャパニーズアニメも観ました。B級なアダルトアニメではありましたが、電車内での銃撃戦のシーンはカット割りも演出もおお、と見入るものがありまして、是非こういうとこを生かしてほしかったものです。
[映画館(字幕)] 3点(2017-06-05 00:14:33)
24.  渇き。(2014) 《ネタバレ》 
制作が「やりたかったこと」はうっすら分かるんですけど、(冒頭が露骨にタランティーノですし)これはもうセンスの問題といいますか、バイオレンスを料理できる人とそうでない人って明確に分けられると思うんですよ。 タラ風にスタイリッシュにしたい、北野風に乾いたバイオレンスを撮りたい、という思いばかりが募った結果、「いつか見た事ある」コラージュの寄せ集めみたいです。 イカれた若者の生態としてクラブで踊らせる、(それもフラッシュ点滅で)、ヤクザは暗い倉庫でリンチの画を撮る、じいさんと女子高生の援交場面を差し挟む。ああこの使い古した画づら。 中2病をこじらせたような内容ですので、ヒロインは3度見するような逸材であってほしい。集団アイドルの中から引っ張ってきたような普通の小娘では持たないです。 そして「狂気」が絶対的に足りない。役所広司はやたらと「クソが」を連発してケータイを叩き付け(よく壊れないものだ)、ヤクザは「ゴミが」の繰り返し。この語彙の乏しいこと。これでは知的レベルの低い”人格障害のひと”でして、狂気ではありません。怖いというより鬱陶しい。 ストーリーはそういえばこれミステリーだったか、と途中で思い出すほど話の構築度はおざなりですし、人が殴られる場面を好むわけでもないので、飽きましたしやや苦痛でした。
[CS・衛星(邦画)] 2点(2017-04-10 00:08:11)(良:1票)
25.  カオス・セオリー 《ネタバレ》 
時間徹底管理男のコメディだっていうから、スケジュールが狂ってパニックになっちゃうどたばた劇なのかなーと思うでしょ。パニックになるにはなるけど、原因が時間管理云々じゃなくて、もっと全然重たいの。重すぎて笑えないんで、コメディというジャンルに入るのかすら怪しい。 結局貞操観念の薄い女と結婚するからそーいうことになるんだよ。と、そもそも論を説いたところでどうにもならないんだけどさ。 「あんな早起きの子 殺しちゃって」とか「あの子が車に轢かれますように」とか、台詞のセンスも所々受け入れ難い。面白いと思って言ってるんだろうか。 どっかの夫婦の家庭事情にえんえん付き合わされただけです。疲れます。
[CS・衛星(字幕)] 2点(2017-04-03 23:36:41)
26.  カウボーイ&エイリアン 《ネタバレ》 
西部劇とSFを一緒にしたら面白いんじゃないか、って張り切って脚本作ったんだろうなー。アイデア自体は面白いと思うよ。見渡す限りの荒野を駆け抜けるカウボーイら、頭上にはでっかい飛行物体。この画には「おお、新しい」と思いましたもん。ここだけは。 なんせ企画がキワモノな上、ストーリーラインがベタもベタ、ありきたりな親子の確執に、おんなじような画が続くドンパチがだらだら展開して退屈した。なのにダニエルは大真面目に007で、ハリソンはインディ・ジョーンズの体で臨んでいるので、見てて生理的に合わないんですわ。これは監督が悪いよ。ちゃんと作品の方向性を役者に伝達しないと。そもそも脚本があちこちから手を入れられたそうで、その結果がこれ。なるほどなあと思います。 ところであの宇宙人に捕まったら、「人のことを考えない自己中な」性質が抜け落ちてしまうのですね。強盗だったダニエル然り、馬鹿息子然り。社会的に良い人になっちゃってて、それはそれであのエイリアンらのむしろ功績なのでは?
[CS・衛星(字幕)] 4点(2017-03-19 00:08:25)(良:1票)
27.  悲しみよこんにちは 《ネタバレ》 
ジーン・セバーグのPVだとふまえて観ました。途中から。セシル・カットも瑞々しい、細くしなやかな若い肢体。まさに輝ける17才、魅力が頂点の頃のジーン・セバーグ。 けれども私はサガン女史とは気が合わないだろう。いくらファザコンといっても、17才の女子がエロ親父の放蕩ぶりをあんなに暖かく見守るという設定に乗れない。娘というのはもっと潔癖なものだ。年配の男性には分別や落ち着きを期待する年頃だ。男親の生臭さなど、10代の女の子にとって唾棄すべきもの。 フランス娘と大和撫子では文化が違うのか?でも私は例えば大島弓子氏が確立したような、透徹した眼を持つわが国の少女像を信じている。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2016-04-25 23:50:06)
28.  鑑定士と顔のない依頼人 《ネタバレ》 
この監督とソリが合わないのはなぜか、この映画を観てわかった。この人の恐るべきユーモアの感性の無さだ。いつでも質感のしっとりとした小道具と背景で画を美しく撮り、芝居のしっかりしてる役者を使って雰囲気は極上だ。だけど、詐欺サスペンスの話で、してやったりやられたりといった爽快感が無くてどうするんだ。年寄りをマジ破滅に追い込んでどうする。 大問題なのは、オールドマンの財産だけでなく真心まで粉砕したってことだよ。押し込み強盗で絵画だけごっそり盗られた方が全然ましだ。 贋物の中にも本物がある=偽の愛でも真実かもしれないと心のどこかでクレアを待ち続けるオールドマン。でも来訪するのはかつての秘書のおじさんのみ。落胆のような絶望のようなオールドマンの表情。 一体どうしてくれるのか。ドレスや宝石をみつくろい、嬉々として自宅へ帰るオールドマンの姿を思い出すと私はこの上なく辛い気持ちになるんだが。 映画を観終わって、苦い感想を抱くものがあってもいい。けれど人の心の弱くて優しい部分を踏みつけにして可とする脚本などセンスが良いものではないと思う。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2015-10-19 00:13:29)(良:3票)
29.  カレンダー・ガールズ 《ネタバレ》 
なんか、英国の人って裸になるの好きですよね。おっさんはもとより、王室のプリンセスからおばちゃんに至るまでよく脱ぐなあ、という印象があります はい。 ヘレン・ミレンを代表に、おばさんたち皆あっけらかんとして楽しそうだ。迷いなんてほんの一瞬。ヨークシャーの風景も目に美しく、イギリス人らしいヒネリの効いた台詞も粋です。“事業”が成功してちょっと天狗になっちゃうクリスと、それをやんわり制するマギー。夫たちや女性連盟のお偉いさん達といった背景もきちんと織り込んだドラマの奥深さも、英国映画らしいなあと感じました。 ただ、ワタシが最も注目したのはクリスの息子のこと。オカンが人前に裸を晒すなど10代男子には耐え難いことでありましょうし、息子を愛して止まない自分としてはわが身に置き換えてみると、うーわ絶対こんなことできねえ、と思いましたね。彼の社会生活がどれほど支障をきたすことか。そこらへん、息子さんに関しての回収が今ひとつおざなりで物足りなかったのでした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-08-04 23:09:06)
30.  狩人の夜 《ネタバレ》 
古いながら、独特の感性を持つサスペンスです。このセンスは当時としては先鋭的すぎたのでしょうか、評価が今ひとつだったというのは意外です。 幼気な子供が邪悪な大人と対決しなければならなくなる。しかも周囲の大人たちは頼りにならないというプリミティブな恐怖はサスペンスの王道と言いましょうか、作中でも名の出る「青ひげ」この名作を読んだ時の芯から震えが来るような、純然たる”怖い”という感情を思い起こさせました。 モノクロがその効果をいかんなく発揮している映像美もまた特異で、目の奥に強い印象を残します。水草のように揺れる母シュリーの髪、遠くに認める殺人鬼の黒いシルエットは絵画のよう。庭に忽然と、ぽつりとそこにいる殺人者。その存在の異様さ。 まるで暗号のように聖書の教えが作中あちこちに流れます。キリスト教の観点からの道徳を説いているのかと解釈しながら観ていたのですが、ラストでは村人たちが掌を返したようなリンチ寸前の暴動で、その寛容の無さを丸出しにしています。リリアン・ギッシュも辟易して避けて通るほどの。いやなんというか、ひとクセもふたクセもある、どこまで奥行きがあるのかわからないお話でした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-07-20 00:19:55)
31.  カイロの紫のバラ 《ネタバレ》 
アレン作の中でも評価の高い本作を初めて観たのは20代の頃だった。好きじゃなかった。先行きに希望を持って生きたい若い年頃にとって、この作品の背景の不景気のやり切れなさや、ミア・ファローの薄幸な雰囲気・顔立ち・細い身体なんもかもが気を塞いだ。 映画スターと銀幕の中で夢を見る。でもたったひととき。その儚さが美しいとは思えなくて、むしろ気を持たせただけのように感じて、こんな思いさせるなよ、と思った。だってラストの彼女の呆けたような表情に現実と立ち向かう意志があるようには感じられない。映画にうっとりした後は、ああこの人、また現実世界に戻るんだ、あの暴力亭主のいる安アパートに。パートの職も失って、ほぼ詰んでしまっているセシリアの現実がひりひりと心に痛くてカンベンしてくれ、と泣きたくなったものだ。 霞を食って人は生きてゆけない。その霞が養分となっていればまだしもだけど、セシリアのその後はどうだったろう。 最近、また観た。やっぱり苦かった。映画からちょっと元気をもらったくらいでは、セシリアの現実はきつすぎる。
[ビデオ(字幕)] 7点(2015-05-31 01:50:34)
32.  彼女を見ればわかること
女の数だけ、抱えているものがある。それぞれの人生がぽつりぽつりと語られてゆく、その語り口は素っ気なく感じるくらいに盛り上がりには欠けるけど、その虚構性の無さこそがリアルな現実というもの。登場する彼女らは皆、見知った女性たちのようだった。かつての同級生だったり、隣人だったり。 女優陣が皆熱演していて心地よいけれど、なかでも思春期の息子と二人暮らしのシングルマザーを演じたキャシー・ベイカーが頭一つとび抜けた演技と思った。新しい隣人に恋愛感情を抱くには難度の高い設定だったけれど、彼女の心情に無理なく添って観ることができたから。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-03-10 00:40:17)
33.  華氏451 《ネタバレ》 
原作は禁書という思想統制のオソロシサをテーマにしていると思うのだけど、映像化されると何よりもう視覚に訴えてくる部分が強力で強力で。監督が未来はこうだろうと考えたテクノロジー発展型家電のスタイリッシュなこと、色鮮やかなこと。赤い消防車とちくりポストにくるくる輝くは真っ青なランプ。するすると空をゆくモノレール。翻って摘発された秘密図書館はアナログでノスタルジー溢れる空間。椅子に積まれた本や机の隅のランプシェードの紺色、美しい雑然。さすがはトリュフォーさんですわー、おフランスですわ。 お話は権力側の追い方がゆるくてあんまり怖さを感じないのだが、奇妙に人工的な未来予想図な映画、として印象的です。
[ビデオ(字幕)] 6点(2015-03-04 00:04:14)
34.  鍵泥棒のメソッド 《ネタバレ》 
こちらが勝手に期待していたほどの、内田流どんでん返しは前作ほどではないにしろ、いやあ面白いですね。今作は本来の自己とは違うペルソナを強制的に与えられちゃった男たちの一騒動を、卓抜なキャラ描写と台詞で笑わせてくれました。香川と堺の性格の違いを描写する芸の細かいこと。ノートに書く字も香川が見事な楷書できちんと書きとめるのに対して、堺の「愛人脱走計画表」はまるで子供の落書き。だんだん片付いてゆくアパート、一方高級なローブひとつ着こなせない堺。せっかく香川の記憶が戻った後も、堺が首突っ込んだせいで、架空の殺し屋「コンドウ」のパーソナリティが行ったり来たり。 やはり前半の、香川が記憶を無くしている間の話が可笑しい。劇的に似合わないチェックシャツとズボン姿の香川、それだけでこみ上げる笑いを抑えられない。「35にもなって仕事も無くて、こんな部屋に住んでいたら死にたくもなりますよねえ!」と自分の人生を全否定されちゃう堺くん。あはは。 やや大げさではあるけれど、役者全員が「こういうコメディだ」とふまえた上での演技をしていて脚本の狙い通りの仕上がり。上手いです。面白いです。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2014-08-22 00:05:54)(良:1票)
35.  カリフォルニア・ドールス 《ネタバレ》 
コロンボ警部でも、孫に物語を聞かせる祖父でもないP・フォークが口八丁のマネージャーを好演、実にしっくりきてます。ほぼ無名の女優二人のプロレスラー、ドールズの懸命さも良く伝わる人物描写のおかげで、ラストの大一番の大会までにはすっかりドールズびいきになってしまう。ここでがぜん輝くのが海千山千のP・フォークの根回し演出。投資とばかりに札びら切って、反則すれすれのヤラセ応援あり、過剰コスチュームあり。いや楽しい楽しい。資金源がイカサマ博打(とカツアゲ)というのもいかがわしくて良いですな。ストーリー展開は王道なれど、茶目っ気あふれる逸品であります。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-05-06 00:21:55)(良:1票)
36.  家族の庭 《ネタバレ》 
激苦な映画。人間の心の、「それを言っちゃあおしまいよ」な部分を映画にしているので覚悟が必要だ。メインの夫婦トムとジェリー夫妻は、非の打ち所の無い「良い人」たちなので、非難がしづらい。そしてそこが巧妙でいやらしいと思うのだ。全く良くできた夫婦だ。互いに自立し、尊重しあって菜園作りに精を出し、友人を招いてホームパーティだ。ジェリーの葬儀にはおそらくたくさんの人が集まることだろう。義兄の妻のリンダの時とは正反対の様子になるだろう。口々に皆「良い人だった」と言うことだろう。だけど本当にそんなにいい人か?普通の人だと私は思ったな。この夫婦に絡んでくるのがメアリー、見事なまでにイタさあふれる中年女で、彼女の造形が上手すぎる。自分の人生にことごとく焦っている自分好きなメアリーを“二十年来の友人”と位置づけ、付き合いを続けてきた夫妻だけど、実はちょくちょく彼女を「上から」見る目線が露見するんである。身内の義兄にはメアリーの話などしないし、初登場の息子の彼女よりも下に位置づける。“良き友人”をやってきたけど、ついにその面をキープできなくなった終盤の冷たさには、メアリー嫌いの私でも冷やっとする。まあもちろん人間関係など、ある程度の距離や節度が無いと保てないものだ。この夫婦はごく普通の人たちなのだ。知らなくてもいいことをわざわざ描き出す監督の皮肉屋な目線にたじろぐ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-04-10 17:39:11)(良:1票)
37.  カティンの森 《ネタバレ》 
ポーランドのトラウマを描き続けるワイダ監督。行方知れずの将校の妻を物語の中心に据えてはいるものの、視点が色々な人物にくるくると移って観賞しづらい。彼のこれまでの作品では一市民のドラマをもっと上手く描いてきたと思うのだけど。もっとも、骨太でリアルで容赦の無い筆致は相変わらず。軍人の大量虐殺はソ連によって行われたと、ソ連統治下では公に口にできない二重の理不尽さ。飲み込む人あり、抵抗する人あり。一筋縄でいかないポーランドの苦悩がべったりと描かれて息苦しい。 ラストの惨殺シーンは正視出来ないほどの酷さだ。人間が壊れている。ワイダ監督が突きつけてくる戦争の狂気、その淡々とした空気が恐ろしい。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2014-02-16 00:26:37)(良:2票)
38.  華麗なるギャツビー(1974)
さすがはレッドフォード、タイトルに違わぬ華麗な立ち姿、しゅっとしてGreatだ。それだけじゃなくてレッドフォードが巧いのは、ギャツビーの内面を滲み出す演技ができていること。金ピカぶりは実は張子の虎で、中身は純情、純朴、愚直なまでに一途。夫とはっきり別れようとしないデイジー、その夫との三すくみ場面や、子供が予期せず現われた時の困惑と動揺。レッドフォードの澄んだ瞳からは全く計算高さを感じない。謎めいたギャツビー氏のキャラクターがだんだんと見えてくるにつれて、客の気持ちはレッドフォードびいきの、デイジー憎しになってゆくのだった。 ああギャツビー、なんであんな女に惚れるかね?見る目が無さ過ぎる・・男子校出身なのか女のきょうだいがいないのか。いや激しい貧乏コンプレックスか。切なく絢爛な映画でありました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-01-26 18:11:52)
39.  隠された記憶 《ネタバレ》 
うわー、出たーハネケ節。ヒトの心の暗部を突いてくるのが得意な監督だ。観てるこっちもすっかり気分が沈む。すっきり答えを出したりしない監督だと判って観ないと、「で、何!?」と憤慨すること必至。劇場用予告版とかああいう編集はどうなんだろう。 昔の行為の負い目にとらわれて、一人でパニックになって結果無用に人一人を死に至らしめた男。子供の頃にした自己中行為によって派生した罪を一生抱えていくはめになるわけで、監督はものすごく性格暗いと思う。猟奇ホラーかとも思わせる雰囲気を纏っていて、物語の吸引力はハンパない。でもでも、実はそんなんじゃないんだ。ラストカットで現われるあっけない真実。・・監督性格暗いよ。
[DVD(字幕)] 7点(2014-01-20 22:39:52)(良:1票)
40.  カンバセーション・・・盗聴・・・
全編を支配するコッポラ仕様の映像美。さすがさすがと私は唸りっぱなし。70年代の空気の重たさ、社会の閉塞感とこの人の映像センスはなんてぴったり合うんだろう。G・ハックマンの部屋を定点カメラで捉える、その一コマが額縁に入れたいほどの美しさ。夜の灯、影、“盗聴”という行為の密やかさ。オチは驚くほどの捻りもないし、はっきり言って雰囲気だけで持っている感もあるけど、この陰気で後ろ暗いテイストが私の心の明るくない場所に妙に響いて、こっそりお気に入りリストに入れている映画であります。
[DVD(字幕)] 7点(2013-12-20 23:48:08)
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