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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1874
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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1.  カニバル(2013) 《ネタバレ》 
初めて獲物を愛してしまった――。普段は仕立て屋として真面目に働き、家では静かな独り暮らしを謳歌している孤独な中年紳士、カルロス。少々変わり者だが、仕立て屋としての腕も良いと近所の人たちからも評判で、教会の司祭からは高価なマントの修繕を頼まれるほど信頼されている。ところが彼はその仮面の下に、誰も知らないドロドロとした醜い欲望を隠し持っていたのだった。そう、彼は生まれついての冷酷な殺人者であり、殺した若い女の肉を夜な夜な食べる恐ろしい食人鬼でもあったのだ。その暗い欲求を抑え切れなくなった彼は、いつものように近所に越してきた女性を殺すと、切り分けた彼女の肉を冷蔵庫へと保管する。ディナーのごちそうとして、カルロスはその肉をワインと共に夜毎味わっていたのだった。そんなある日、彼の犠牲者の妹を名乗る美しい女性が現れる。彼女の名はニーナ。新たな獲物の出現に欲望を抑えきれなくなったカルロスは、「一緒にお姉さんを捜そう」と彼女に提案し一緒に警察署や行きつけの場所を廻り始める。ところが、しばらく一緒に過ごしていくうちに、カルロスはそんなニーナに名状しがたいある“感情”を抱き始めるのだった……。生まれついての快楽殺人鬼とそれを知らない若い女性との間に芽生えたそんな禁断の愛を淡々と綴ったサイコ・ラブ・ストーリー。なんですけど、ホント退屈極まりない映画でしたね、これ。映画が終わるまでほとんど音楽も流れないし、主人公である根暗~~な殺人鬼とコチラも同じく根暗~~なヒロインとの大して面白くもない言ってしまえばしょーもないラブストーリーが延々と垂れ流し。もう5分に一度は強い睡魔が襲い掛かってきて、僕は最後まで観るのが苦痛で苦痛で仕方なかったです。肝心の主人公が食人鬼という設定も、どうして彼がそんな猟奇的な行動に走るようになったのか、生まれついての宿命なのか、それとも過去に経験した強いトラウマが原因なのか、最後まで一切説明されないので物語に全く入り込めません。このおっさん、ただ単にナイフとフォークで、ずーーっと肉喰ってただけですやん(笑)。監督としては恐らく芸術映画を撮ったつもりで良い気になってるんだろうけど、もう独り善がりもいいところ。ホント久し振りに、「時間と金を返せーーー!」と大声で叫びたくなるほどのこんなにもつまんない映画を観てしまいました。
[DVD(字幕)] 3点(2023-09-21 13:53:44)
2.  帰らない日曜日 《ネタバレ》 
1920年代、第一次大戦の傷跡が未だ根強く残っているイギリスのとある地方都市。大戦で二人の息子を亡くしたニヴン家に務めるメイドのジェーンは、幼い頃に孤児院に捨てられ以来一人で生きてきた天涯孤独の身。年に一度、メイドたちが里帰りを許される母の日の日曜日、帰る家などないジェーンは一人自転車でピクニックに行くといって屋敷を出てくる。だが、彼女の本当の目的は違うところにあった。ニヴン家と仲が良い同じく上流階級のアプリィ家の息子ポールと密かに会う約束を交わしていたのだ。婚約者のいるポールに初対面の時から言い寄られていたジェーンは、その後何度も逢瀬を重ねていた。誰もいない広い屋敷の中で今という時間を楽しむ若い二人。だが、彼らの親の世代に当たる当主たちは大戦で失ったものの大きさにいまだ心を引きずられていて……。自然豊かなイギリスの田園地帯を舞台に、秘密の恋に溺れるとある若い女性と彼女を取り巻く様々な人々の心理を繊細に描いた文芸ドラマ。確かに作品としての完成度は非常に高い。孤児として育った若いメイドのとある一日と、のちに作家となった彼女の悲恋、そして世界的な文学賞を受賞することになる晩年の彼女を俯瞰的に描くことで、20世紀という激動の時代をラディカルに見つめるその視線の鋭さは特筆に値する。時間軸を頻繁に行き来し、しかも過去パートは作家となった彼女の創作かもしれないメタフィクションともとれる複雑な構造なのに、観客をまったく混乱させないこの完璧な構成力は見事としか言いようがない。そして、センスあふれる美しい映像と気品に満ちた音楽も見どころの一つ。長い伝統と格式を感じさせるイギリスの古い屋敷の中を全裸で気の向くままに歩き回るヒロインなど、まるで中世の重厚な絵画の世界に入り込んだかのよう。きっとこの監督の才能は確かなのだろう。ただ自分は、その才能をまるでひけらかすような感じが少々ハナについてそこまで好きになれなかった。技巧に溺れすぎたのか、肝心のストーリーがいまいち心に残らない。登場人物がみな上品に振る舞いすぎていて、血の通った人間味が感じられないのだ。泥臭くてもカッコ悪くてもいい、自分はもっと心に響く物語を観たい。
[DVD(字幕)] 6点(2023-09-21 07:13:00)
3.  カモン カモン 《ネタバレ》 
さまざまな問題を抱えたアメリカの各地方都市を廻り、そこに住む若者たちの声を聴くという企画に現在取り組んでいるジャーナリスト、ジョニー。録音機材を抱えたった一人で各都市を巡っていた彼にある日、しばらく疎遠にしていた妹から電話が掛かってくる。話を聞いてみると、精神に深刻な問題を抱えている彼女の元夫の容態があまり芳しくないというのだ。彼のもとにいってしばらく面倒を見てあげたいので、その間まだ幼い息子を預かってほしいらしい。「お願い、兄さんしか頼れる人がいないの」――。妹とは母の死を巡りずっとギクシャクしていたが、甥っ子のためにジョニーは彼女の住むロサンゼルスへと向かうことに。1年振りに会う甥っ子ジェシーはもう9歳、何事にも好奇心旺盛で彼の持つ録音機材にさっそく興味津々。しばらく会っていなかったのが嘘のように2人は意気投合するのだった。あの子には心配かけたくないから父親のことは何も言わないでと言い残し、元夫の元へと向かう妹。ジョニーはジェシーの気分転換も兼ねて彼を助手として取材を続けるのだが、何かを察したジェシーも次第に情緒が不安定になってきて……。大都会で孤独に生きるジャーナリストが突然預かることになった9歳の甥っ子、彼らの共同生活を淡々と描いたヒューマン・ドラマ。最近ハリウッドのベテラン勢の間で密かに流行っている子供を主人公に全編モノクロームで描いた作品で、確かにこのノスタルジックな雰囲気はほのぼのとしていて心地良かった。フォアキン・フェニックスの肩の力の抜けたナチュラルな演技も巧いし、なにより彼と本物の親類なんじゃないかとしか思えない子役の溌溂とした演技も素晴らしい。彼らが2人でアメリカの大都市を巡る旅路はまるで自分も同行しているかのような気分にさせられる。精神に深刻な病を抱えた彼の父親の存在もともすれば軽くなりがちなこの物語にいいアクセントを与えている。ただ、これは個人的な感想なのだが、自分はこれら一連の演出に終始あざとさのようなものを感じてしまい、後半になるにしたがって次第に心が離れていってしまった。要所要所に主人公の読む本のタイトルを入れるのも、「どうだい、俺って知的だろ」と言わんばかりの監督のナルシズムが透けて見えて終始癪にさわる。子供たちのインタビュー映像も同様。また、この甥っ子のワガママ放大なところも自分は好きになれなかった。特にタクシーの中でトイレにいきたいと嘘をついて、主人公を飛行機の時間に間に合わせなくさせたのはかなり腹がたった。ちょっと甘ったれ過ぎなのではないか。最後、誰もが丸く収まってのハッピーエンドもなんだかとってつけたよう。ノスタルジックな雰囲気は良かったのだが、肝心の内容の方は終始自分には合わないものだった。
[DVD(字幕)] 5点(2023-09-18 11:01:46)
4.  カイト/KITE 《ネタバレ》 
近未来――。経済が崩壊したアメリカはもはや無法地帯と化していた。実質的に地域を支配するのはギャング集団である「ナンバーズ」。次々と子供をさらい人身売買組織に売り捌くことで豊富な資源を得ている彼らは、人々から最も恐れられている。組織のボスの名は、エミール。絶大な力を持つ彼には、警察ですら手出しできない。だが、そんな彼に密かに復讐を誓う少女がいた。幼いころに彼に両親を殺された彼女の名は、サワ。辛い過去を忘れたいがために麻薬に溺れながらも、今日もサワはその真紅に染められた髪を揺らし、男どもを密かに葬り去ってゆく……。日本の成人向けアニメをサミュエル・L・ジャクソン主演でリメイクしたスタイリッシュ・ハードボイルド・アクション。と、言えば聞こえはいいのだけど、まぁなんとゆうか、ぬるーい映画でしたね、これ。とにかく脚本が穴だらけ。「そこ、けっこう重要なトコですやん」っていう映画の見せ場になりそうなところをことごとくナレーションやテロップで説明するものだから、全く物語が盛り上がりません。最大の突っ込みどころは、敵であるギャング集団がどいつもこいつもアホばっかりで、サワという女の子に簡単にやられまくるところでしょう。もう最後のラスボスであるエミールまで、びっくりするくらいあっさりとやられちゃいます。サワが過去に超人的な力を手に入れたという設定でもあればそれでもいいんですけど、そーゆーのんは一切ないんで後半見事なまでにグダグダになっちゃってます。「あ、ここまで簡単にいくってことは、これは最後にどんでん返しがあるなぁきっとあいつが真犯人で最後はああなるんやろうなぁ、でもまさかそんなベタベタな展開って今どきないよね?」って思ってたら、びっくりするくらいその通りの展開に(笑)。期待のエロ要素もサワちゃんが下着姿でくねくねするだけだし、かなり拍子抜けでした。うーん、完全なる凡作です。主役のサワを演じた女の子がヒットガール時代のクロエ・グレース・モレッツにちょっぴり似ていたので、+1点で。
[DVD(字幕)] 5点(2023-05-04 12:40:27)
5.  カリフォルニア・ダウン 《ネタバレ》 
アメリカ西海岸を中心にマグニチュード9.5の大地震が発生。各地に甚大な被害が出る中、主人公のレスキュー隊員・レイが家族を救うために大活躍する姿を描いた大災害パニック・ムービー。こういういかにもベタベタなディザスターものって、映像6割・人間ドラマ4割くらいがちょうどいいバランス配分だと思うのですが、本作はそのバランスがかなり悪いような印象を持ってしまいました。まあいかにもお金掛かってそうな迫力満点の映像は充分鑑賞に耐えうるレベルだとは思うのですが、いかんせん人間ドラマがあまりにもお粗末。こういう頭空っぽにして観るべきエンタメ映画でも、最低限押さえておかなければいけないツボっていうのがやっぱりあると思うんです。でも、本作ではこのツボをことごとく外しているから、一向に面白くないんですよね、これが。以下、この映画の駄目な点を思いつくままに挙げてみました。①主人公である父親と娘の仲が最初からかなりうまくいっている。気難しい年頃の娘と頑固な父親が最初はいがみ合っていたけれど、困難を乗り越えるうちに絆を取り戻すというお話にした方が盛り上がると思うのになんでこんなのっぺりとした展開にしちゃったんでしょう?②別居中の妻の現在交際中の男が、あり得ないほどの大金持ちでリアリティ皆無。大都会に高層ビルを幾つも持つ大富豪が、多少美人で巨乳とはいえ、なんで子供つきで旦那つきのオバハンをいこうと思ったのでしょう?普通、もっと若くてきれいなピチピチギャルをいくでしょうに。③けっこう重要な役どころである地震学者が「地震が来るぞ!!」と警告するだけの役割でしかなく、ドラマの中でほとんど意味をなしていない。きっと、こういうディザスタームービーは群像劇にしなきゃいけないという監督の固定観念があって、だから群像劇にしたいがために無理やり作り上げた人物としか思えないんですよね。④主人公をはじめとする全キャラクターに全く魅力がない。特に娘を助けることになる兄弟の弟なんか、ほとんど居る意味がありません。⑤レスキュー隊員である主人公が大災害を目の前にして、家族を最優先して職場放棄するばかりか先々で窃盗行為を繰り返す。この点に関しては改めて言うまでもないでしょう。結論。映像はそこそこ迫力があったけど、肝心のドラマ部分がこれではね~。ぎりぎり暇潰しにはなるかなぁってくらいの凡作でありました。4点。
[DVD(字幕)] 4点(2023-05-01 14:02:45)
6.  完全なるチェックメイト 《ネタバレ》 
東西冷戦が激化し始めた1970年代、プロチェスプレイヤーのボビー・フィッシャーはその類稀な才能でもって輝かしい戦績を挙げていた。だが、極めて偏屈で自己中心的な性格からその私生活はかなり破天荒なものだった。スタッフに到底不可能な要求を何度も繰り返し、見るに堪えない悪態など日常茶飯事、気に食わないことがあれば試合会場にすら現れない…。それでもひとたびチェス盤に向かえば、天才的なひらめきと緻密に考え抜かれた戦略でもって相手を翻弄する。天才の名をほしいままにする彼が当時の世界王者、ソ連のスパスキーと対戦することになった。世界中から注目を浴びた彼らの対戦は、いつしかアメリカとソ連の代理戦争の様相を呈してくる。すると、ただでさえ細いワイヤーの上を歩くように張り詰められていた彼の精神は、ますます崩壊へと向かうのだった――。実在した天才チェスプレイヤーの破滅的な生涯を、世界王者スパスキーとの今や伝説となった対戦を軸に描き出す社会派ドラマ。監督は、社会性に富んだエンタメ・アクションを得意とするエドワード・ズウィック。病的な性格で回りを翻弄するボビー・フィッシャー役には、まさにはまり役とも言えるトビー・マグワイヤ。もうこれだけで映画として一定の水準は保証されたようなもの。その期待に違わず、ズウィック監督のストーリーテリングは手堅く纏められ、狂人一歩手前のボビー・フィッシャーというこの人物の生きざまが濃厚に伝わってくる佳品となっていた。数奇な運命を歩んだ彼の人生を、その生涯の中でも最高の対局と評されるスパスキーとの第6局へと収斂させる流れも巧い。特に、精神が崩壊寸前まで追い詰められたボビーを鬼気迫るように演じたT・マグワイヤはなかなかのものだった。これまで馴染みのなかったチェスという世界の凄みを充分味合わせてもらった。だが、正直何か物足らないものを感じてしまったのも事実。例えば、同じようにプレッシャーから狂気へと捉われるプリマを描いたアロノフスキー監督の傑作『ブラックスワン』などと比べると、その狂気の迫力が幾分か劣るように感じてしまうのだ。これは監督の資質の問題だろう。ズウィック監督の才能はこのような個人の精神世界を描くのにはいまいち向いていないように思う。あと、この対戦の後にまるで世捨て人のように世界中を放浪した彼の人生を自分はもっと見たかった。
[DVD(字幕)] 6点(2023-04-17 09:37:18)
7.  ガール・オン・ザ・トレイン 《ネタバレ》 
物語は、三人の女性の視点によって語られる。一人は、レイチェル。過去の夫婦生活の破綻によって現在は重度のアルコール依存症に悩まされている。離婚によって家を失い友達の家に居候をしている彼女は、酒が原因で現在は無職の身だ。毎日することと言えば酒を飲みながら一日電車に揺られ、かつての夫と彼の新しい妻との幸せそうな生活を車窓越しに盗み見ること。ますます酒の量が増えいつも記憶をなくすほどひどい状態なのに、それでもまた電車に乗り込んでしまうどん底の毎日だ。一人は、アナ。レイチェルの元夫と結婚し、生まれたばかりの赤ん坊と満ち足りた幸せな生活を謳歌している。でも、一抹の不安も感じている。原因は夫の元妻からひっきりなしにメールや無言電話がかかってくること。そんな現実から逃げたいと漠然と思うものの夫に経済的に依存してる彼女は何も行動できない。一人は、メガン。かつてレイチェルが夫と過ごし、今はアナが新たに暮らしている家の隣に住む平凡な女性だ。束縛の強い夫に嫌気を感じながら、今はアナの娘のベビーシッターとして働いている。過去に経験した辛い出来事が原因で誰にも心を閉ざし、唯一カウンセラーの精神科医に心の慰めを得ている――。同じ電車で同じ場所をぐるぐると廻り続けるような閉塞感に満ちた日常を送っていた、そんな三人の女性たち。だがある日、過度の飲酒で酩酊状態となったレイチェルがアナの暮らす家へと不法侵入したことから運命は大きくうねり始める……。ほとんど予備知識もないまま、印象的なタイトルとアルコール依存症に苦しむ主人公をエミリー・ブラントが演じているということで今回鑑賞してみました。前半、語り手が交互に入れ替わり時間軸も行ったり来たりするため一見とっつきにくいお話なのかと思いきや、すぐに物語の骨格が力強く表れ始める。泥酔したレイチェルが本当に子供をさらおうとしたのか。この日を境に失踪してしまったメガンはどこに消えてしまったのか。そして3人がそれぞれに抱え込んだ心の闇とは?いやー、なかなか考えられた脚本ではないでしょうか。そしてストーリーの進行とともに次第に明らかとなってくるどろどろの愛憎劇もまた見応え充分。誰もが決定的に悪いわけでもないのに些細なボタンの掛け違いから、誰もが負の連鎖に嵌まってゆく。この不安感の煽り方、すごくうまい。なんともいやーな感じのお話なのだけど、微かな希望が感じられるこの終わり方はけっこう好きですね。うん、なかなか面白かった。7点!
[DVD(字幕)] 7点(2023-02-10 09:23:41)
8.  怪物はささやく 《ネタバレ》 
複雑な家庭環境に生きる孤独な少年、その彼の元に夜な夜な現れては幾つもの物語を話す巨木の怪物。怪物は彼にささやく――。「これから三つの物語をお前に話す。それが終わったら四番目の物語をお前が話すのだ。お前の真実の物語を」。僕のこよなく愛するダーク・ファンタジーの秀作『永遠のこどもたち』の監督の最新作ということで、今回かなり期待して鑑賞してみました。うーん、期待が高すぎたのか、僕はいまいち嵌まれなかったですね、これ。なんだか現実世界とファンタジーがうまく嚙み合っていないような印象を受けてしまいました。結局この怪物って少年の妄想の産物で、あくまで現実には影響を及ぼさないのでこの二つの世界に統一感がなく、いまいちストーリーに入り込めませんでした。主人公である、暗い影を背負った男の子もなんか魅力に乏しく最後まで感情移入出来ません。まあ映像はさすがに迫力があったし、怪物が話す物語世界のアニメーションも独自の世界観を構築していたしでそこは充分楽しめましたけど。
[DVD(字幕)] 5点(2022-11-04 10:43:31)(良:1票)
9.  ガンパウダー・ミルクシェイク 《ネタバレ》 
彼女の名は、サム。幼い頃から弱肉強食の裏社会で生きてきた凄腕の殺し屋だ。強大な力を有する犯罪組織「ファーム(会社)」に所属し、日々くだされる過酷な任務を神経をすり減らしながらこなしている。同じく暗殺者だった母親は15年前にへまを犯して組織を逃げ出し、以来行方不明のままだ。そんなある日、サムに極秘の任務がくだる。それはファームの金を盗んで逃亡した会計士を殺し、盗まれた金を全額回収してくるというものだった――。すぐさまターゲットが泊まるホテルへと向かうサム。だが、その会計士は9歳になる娘を人質に取られ、脅されて仕方なく金を盗んだだけだった。早く金を持っていかなければ娘の命すら危うい。それでもファームは、子供なんて知ったことか、今すぐ金を持ってくるんだの一点張り。「そんな!子供を見殺しになんて出来ない!」。自身の悲しい過去から、サムは子供を救い組織を裏切ることを決意する。9歳の少女とともにそんな彼女が逃げ込んだのは、表向きは図書館でありながら裏では殺し屋たちに武器を密売する危険な女たちの砦だった……。男たちが仕切る強大な犯罪組織を相手に孤軍奮闘する女殺し屋たちの活躍をノンストップで描いたバイオレンス・アクション。リアリティなどはなから度外視、荒唐無稽な漫画みたいなお話なのですが、全編に漂う独特の雰囲気、徹底的に無駄を削ぎ落した分かりやすい脚本、キレッキレのアクションの連続に僕は最後までテンション上がりっぱなしでした!とにかく主人公サムをはじめとする女たちがカッコ良すぎ!全員キャラ立ちしまくった図書館の3人の女殺し屋はもちろんのこと、サムとバディを組む9歳の女の子エミリーがかわいすぎました。腕が麻痺してしまったサムのために彼女がハンドルを操作するカーチェイス・シーンは、監督のセンスが炸裂しまくりで思わず拍手。実は生きていた母親と図書館の女たちが組織の男どもを相手に武器を振り回すシーンで、ジャニス・ジョプリンを流すなんて反則過ぎますわ~。全編にセンスの良いユーモアを散りばめてるのも大変グッド。クライマックス、サムが図書館の色んな本に隠された武器を捜しながら戦うシーンは、バカバカしすぎてサイコーでした(この図書館どーなっとんねん!笑)。何気に、女たちの自立と連携を意味するシスターフッド的視点をテーマとしているのも現代的で良いですね。うん、面白かった!8点!
[DVD(字幕)] 8点(2022-09-05 06:55:13)
10.  海底47m 《ネタバレ》 
メキシコへとバカンスで訪れた若く美しい二人の姉妹。現地で知り合った男たちに誘われるまま、彼女たちは鮫が目の前で見られるというアクティビティを楽しむことに。船で沖合へとやって来た彼女たちは、その強固な檻の中に入り、凶悪な鮫がうじゃうじゃいるという海中へと沈めてもらうのだった。間近にまで迫って来る強大な鮫の姿に興奮を隠せない二人。だが、その直後にあり得ないような悲劇が二人を襲う。船の上で檻を支えていたワイヤーが折れ、彼女たちを閉じ込めていた檻が暗い海の底へと瞬く間に落ちてしまったのだ。辿り着いたのは、海底47メートル――。そこは凶悪な鮫が縦横無尽に暴れ回り、助けてくれる者は誰も居ない、海上の光すら届かない暗黒の世界だった。ボンベの酸素も残り僅か。果たして彼女たちは無事にまた日の光を見ることが出来るのか?海底に取り残された姉妹の究極の恐怖を、ワンアイデア・ワンシュチュエーションで描いたパニック・スリラー。まあいかにも低予算で撮られたであろうそんな本作、これがなかなか演出のキレが良いエンタメ映画の佳品に仕上がっていたと思います。事前の想像通り、お話の7、8割方は海の中で展開されるのですが、このブルーを基調とした映像がキレイ過ぎず汚過ぎないちょうどいい見やすさでした。カメラワークの専門的なことは分かりませんが、この映像技術はなかなかのものなんじゃないですかね。そんなリアルな海の中に取り残される姉妹も、姉は冷静沈着だが臆病、妹は行動的で活発だが少々無計画と各々のキャラがちゃんと立っているのもポイント高い。そしてもちろん最後までナイスな水着姿なのも大変グッドです(笑)。この手の作品に必ず必要な適度なグロ描写も抑制が効いていて良かったと思います。まあシュチュエーションがこれだけなんで、途中で若干ダレてしまうとこはあるものの僕は最後までそこそこ楽しめました。もっと鮫さんたちに活躍してもらってもよかったような気がしなくもないですが、そこは予算の関係なのかな。ただ、ラストの展開には僕は少々否の立場。努力の末、主人公たちは助かった→と思ったら実は主人公の幻覚でした。バッドエンドか→と思ったらやっぱり救出部隊がやってきて……ってちょっとクドいよ!!そこらへんがイマイチでしたけれど、真夏の熱帯夜にビールでも飲みながら観るには最適な映画でありました。
[DVD(字幕)] 6点(2022-08-08 10:36:11)
11.  カムバック・トゥ・ハリウッド!! 《ネタバレ》 
低俗で低予算の主にB級ばかりを制作する小さな映画会社、ミラクル映画社を経営するマックス。オスカーに絡むような話題作や全国公開されるような大作映画とは無縁だが、得意のはったりだけを武器にプロデューサーとしてこれまで数々のB級映画を手掛けてきた。そんな彼だったが今、人生最大の危機に直面していた。最新作『尼さんは殺し屋』が、カトリック教会から「神を冒涜している」と猛烈な抗議を受けてしまったのだ。映画は大こけ、しかも製作費を借りた街のギャングからは35万ドルもの返済を迫られていた。窮地に陥ったマックスは思い悩んだ末、とある方法を思いつく。それは、新作映画の撮影中に主演俳優を事故死させ、保険会社から莫大な保険金をせしめようというものだった――。老人ホームを巡り、いつ死んでもおかしくないような落ちぶれた元ハリウッドスター、デュークを担ぎだしたマックスは早速意気揚々と撮影に挑む。作品は、ベタな西部劇。だが、撮影初日に暴れ馬から落ちてデュークに死んでもらおうという彼の計画は、しょっぱなから躓くことに。もはや人生を諦めたはずのデュークが、なんと久しぶりの撮影でその俳優魂に火がついてしまったのだ。その後も彼の計画はことごとく裏目に出て、撮影は順調に進んでしまう。このままでは自分の命が危ない。何とかしてデュークに死んでもらおうと躍起になるマックスだったが……。1970年代のハリウッドを舞台に、主演俳優を死亡させて保険金をせしめようという悪徳プロデューサーの悪戦苦闘をスラップスティックに描いたコメディ。ロバート・デ・ニーロ、モーガン・フリーマン、トミー・リー・ジョーンズというもはやハリウッドの生ける伝説が豪華共演ということで今回鑑賞。まあ観る前から八割方内容の予想がつくベッタベタなお話なのですが、この三人のレジェンドが画面にそろうと不思議と観ていられるんですから大したものです。この三人が本当にのびのびと楽しそうに演じているのを見られるだけで、もはや眼福。まあ、内容がかなりゆるゆるでネタのほとんどが余りにもベタすぎてほぼ笑えないというのもそれで許せるかな?とは言え、さすがに最後、ギャングのボスが乗り込んできてからのオチのつけ方は余りにテキトー過ぎてもはや苦笑しちゃいましたけど(笑)。ま、そんな感じです、はい。
[DVD(字幕)] 6点(2022-07-14 06:06:48)
12.  カオス・ウォーキング 《ネタバレ》 
西暦2257年、ここは地球から遥か遠くに浮かぶ、未開の植民地惑星。この地を人が住めるように開拓しようとやって来た先遣隊は、この星の原生生物の反撃に遭い、壊滅的な打撃を受けてしまう。そればかりか、男たちは自らの考えた思考が映像となって見えてしまう謎の現象「ノイズ」に悩まされていた。原生生物によって女がすべて皆殺しにされてしまったこの星で生まれ育った青年トッドは、そんな男社会の中で鬱屈した日々を過ごしていた。そんなある日、なんと地球からやって来たと思しき宇宙船が近くに不時着するのだった。そしてその宇宙船の生き残りの中には、彼が生まれてから一度も見たことのない〝女〟がいたのだった――。ヴァイオラと名乗る彼女は、トッドをはじめとする男たちの思考が丸わかりになるノイズに戸惑いながらも、地球に帰る道を探り始める。そんな彼女を執拗に捕らえようとする村の首長。トッドは彼女のために二人で村を逃げ出そうとするのだが……。男の考えていることがすべて映像となって見えてしまう謎の星を舞台に、未来を求めて走り出した男女をダイナミックに描いたSFアクション。今もっとも勢いのある若手俳優トム・ホランドとデイジー・リドリーが初共演ということで今回鑑賞。いやー、久しぶりにきましたね、こーゆー設定勝負の出オチSF。『ハンガー・ゲーム』が大ヒットして以来、一時期大流行りしていたこのタイプの映画って、とにかく荒唐無稽な設定を勢いとお金だけを大量に掛けたCG映像とで強引に見せ切るのが常。ただ、本作はそんな勢いもないし、お金もそんなにかかってなさそうだしで、正直イマイチな出来でした。本作の最大のウリは、男の考えてることが女に丸わかりになっちゃうという日本のライトノベルなんかにアリがちな設定。童貞男子が大喜びしそうな、「僕のこの好きという気持ちをあの娘に伝えたい!でも、そんな勇気もないし、フラれるのも嫌だし、なんか僕の想いがあの娘にいつの間にか勝手に伝わったら良いな。ついでに僕の日々考えてるエッチな妄想も伝わっちゃって頬が赤くなったりしたら、なんかもう……ヒャハ!」というこの設定も、イマイチうまく使いこなせていないような。ここら辺、やはり日本のラノベの方が上ですね。またここまで大風呂敷を拡げといて、最後は二つの村同士の小競り合いみたいなんで終わっちゃったのも肩透かし感が半端ない。それに、あの途中で出てくる原生生物も何のために出したのか分からないくらい中途半端に退場してしまったのも残念。まあ簡単に言うと、さして面白くなかったです。
[DVD(字幕)] 4点(2022-04-07 08:04:26)
13.  ガール・イン・ザ・ミラー 《ネタバレ》 
自己主張が苦手で大人しく、クラスでも浮いた存在である17歳の女の子、マリア。その内気な性格が災いしていじめっ子の格好のターゲットにもなっていた。保守的で厳しい両親とも折り合いが悪く、家庭にも居場所がないという鬱屈した毎日。やり場のない気持ちを持て余し、バスルームで密かに自慰行為にふけっていた彼女は、急に誰かの声を聞く。「マリア、あなたを救ってあげるわ」――。何と鏡の向こうに居るもう一人の自分がそう話し掛けてきたのだ。戸惑いつつも、鏡の向こうに居る自分へと日々の悩みや夢を語り始めるマリア。いつしか鏡の向こうの自分が現実の自分を支配するようになり、やがて悲劇が訪れるのだった…。孤独な少女が鏡の中で出会ったもう一人の自分、そんな〝彼女たち〟がプロムの夜を境に豹変し、自分を貶めた人間へと復讐してゆくさまをエロティック&ダークに綴った青春ホラー。まあやりたいことは分かるし、主役を演じた女子高生がロリロリでかなり可愛いし、じっとりとした不穏な世界観も良いとは思うのですが、いかんせん物語の構築の仕方が恐ろしく下手な作品でしたね、これ。まず、この主人公が激しいいじめに遭う理由にいまいち説得力がない。こんなに可愛いのにここまで激しくイジメられるようになるには、それ相応の説得力が必要となるはず。例えば、クラスの人気者の顔に致命的なほどの泥を塗ってしまっただとか。そういうのもなく、ただ根暗だからこんなにクラス中からイジメられてますって言われても、ねえ。両親もそんな彼女に「この子は出来損ないだ」なんて平気で言うのも、なんで?って感じで腑に落ちない。そういう設定の詰めの甘さが最後までいっぱい出てきて、僕はさっぱり物語に入り込めませんでした。彼女といつも一緒に居る親友も彼女を助けたいのか実は内心嫌ってるのか、まったくもって意味不明。後半、鏡の中の自分に支配されたマリアはどんどんと犯罪行為に手を染めてゆくのですが、その描写も中途半端。だいたい頭を一回打った程度であっさり死んじゃうって、この世界の人間はどれだけやわなんですか(笑)。警察もこんなにこいつを疑ってるならとっとと拘束しろっちゅーの!挙句、最後は変にアートな感じにしてお茶を濁して終わり…。主人公を演じたロリロリダークな女の子のおっぱいに+1点!
[DVD(字幕)] 4点(2022-03-24 11:15:17)
14.  勝手にふるえてろ 《ネタバレ》 
彼女の名は、江藤ヨシカ。地味で大人しい何処にでもいるような平凡なOLだ。毎日同じ時間に出社してはひたすら数字と向き合う事務の仕事をこなし、営業の空気読めない同僚やウザい上司の説教攻撃にひたすら耐えるようなしんどい毎日。家に帰ってからも絶滅した古代の動物をネットで検索したり、タモリ倶楽部の空耳アワーを見てにやにや笑うのが自分へのご褒美。一番の心のオアシスは、高校の頃に一方的に好きだったクラスメートの男の子、「イチ」との思い出を脳内再生して妄想にふけることという、いわゆる典型的な〝拗らせ女子〟だ。そんな彼女に最近、大事件が発生!なんと、彼女のことが大好きだという彼が出現したのだ。だが、ヨシカの中で「ニ」と名付けられた彼はやることなすこと空回りばかりで正直、引いてしまうことだらけ。思い出の中にしか居ない理想の彼か、イケてないけれど安定感は抜群の現実の彼か――。思い悩む彼女は、人生最大の賭けに挑むのだったが……。芥川賞作家・綿矢りさの同名小説を原作に、オタク系拗らせ女子の生態をコミカルに描いたキュート&ポップなラブ・ストーリー。ちなみに僕は原作者である綿矢りさの昔からの大ファンで、本作は芥川賞受賞以降、長らく低迷していた彼女が見事な復活を遂げた名作。結論を言うと原作に負けず劣らずの素晴らしい出来でしたね、これ。綿矢りさって若い女子のリアルな生態を描きながら、文章がしっかりしているのでおっさんでもキュンキュンしながら読むことが出来る――というか、彼女の主な読者はほとんどおっさんなんじゃないかってくらい(笑)――幅広い読者から共感を得るその普遍性がウリなんですけど、それが見事に再現されてました。「イチ」に名前も覚えられていないと知った主人公が急にミュージカルになって、「私なんて絶滅すべきでしょうか」と切なく歌い上げられた日にゃ、もはや薄汚れたおじさんである僕も思わず泣きそうになっちゃいましたわ!!あの不自然極まりない街の人たちとの会話も全てこのシーンへの伏線になっていたなんて最高すぎる!!そう、世界のほとんど全ての人間は自分の名前なんて知らないんです。なのに自分が生きている意味とはなんなのか。若い女子の恋愛を描きながら、そんな実存主義的な深いテーマまで視野に入れている。見事というしかない。また、ヨシカを演じた松岡茉優も見事なまでに嵌まっていて素晴らしい仕事ぶり。空耳アワーの名作、レイジ・アゲインスト・マシーンの『ナゲット割って父ちゃん』を見て大笑いしている彼女なんてめちゃキュートで思わず抱きしめたくなりました(もちろん妄想で)。最後が唐突に終わっちゃったのがちょっと残念だったけど、それを上回るような魅力が随所に溢れた傑作でありました。以下余談。原作が雑誌『文學界』に最初に掲載されたとき、ヨシカがアカウントを乗っ取るSNSが思いっ切りミ〇シィって明記されてました。単行本発売時に変更されてましたけど、さすがにヤバいって編集部の間でなったんでしょうかね。
[インターネット(邦画)] 9点(2021-11-11 01:56:04)
15.  カポネ 《ネタバレ》 
暗黒街の顔役として史上最も恐れられたギャングスター、アル・カポネ。だが、その晩年は長かった刑務所生活と梅毒による記憶障害、そして肉体的な衰えとで非常に寂しいものだった。本作は、そんな彼の知られざる最晩年を描いたもの。かつて残虐非道なギャングたちのボスとして恐れらたもの、今や下の世話も自分でできずおしめが手放せなくなるほど衰えた彼を演じるのは、人気俳優トム・ハーディ。という訳で今回鑑賞してみたのですが、正直微妙な出来でしたね、これ。ストーリーなんてほとんどあってなきが如し、ただひたすらボケ老人の妄想に付き合わされただけの二時間弱でした。こういうのって普通、全盛期のかっこいい主人公の姿を回想シーンで描くなりすれば、より衰えた現在の悲哀が浮き彫りになるものだけど、予算の都合か本作はずっと落ちぶれてしまった主人公の今を描くのみ。それもことあるごとに漏らしちゃったり、妄想から暴言を吐きまくったりでまったくもって不愉快というしかありません。クライマックスで主人公がいきなりマシンガンをぶっ放すのもやはり妄想で、「結局だからなんやねん!」と思わず突っ込んじゃいましたわ。ありきたりの伝記映画にはしたくなかったのか知れませんが、どうにも退屈と言わざるを得ない内容でありました。悪夢のような妄想シーンに若干センスを感じたのと、トム・ハーディの熱演に+1点。
[DVD(字幕)] 5点(2021-08-18 02:51:11)
16.  カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇 《ネタバレ》 
都会の喧騒を逃れ、アメリカ郊外の田舎町へと越してきたガードナー家。納屋で飼っているアルパカが生きがいの父ネイサンに、神経質な母親やオカルトに嵌まっている長女、そして二人の息子たち。彼らは皆、それなりに幸せな日々を過ごしていた。だが、そんな家族の平凡な日常はある夜を境に一変する。紫の光を放つ謎の隕石が、自宅の裏庭へと墜ちてきたのだ。強烈な悪臭を放ち、禍々しい光を発するその隕石は恐らく宇宙の彼方からやって来たに違いなかった。当初はテレビの取材を受けたり、町の噂の的になり浮かれていたガードナー家だったが、やがて不可解な出来事が周りで多発するようになる。突然変異した紫色のカマキリ、無意識のうちに自らの指を切り落としてしまう母親、突如狂暴になるアルパカたち……。果たしてその隕石の正体とは?クトゥルフ神話で有名なアメリカの恐怖小説の巨人、H・P・ラブクラフトの小説をニコラス・ケイジ主演で映画化したというSFモダン・ホラー。この映画、率直に言って全く中身がありません。ストーリーなんてあってなきが如し、ただひたすらグロテスクなホラー描写満載で、ある一家族が徐々におかしくなっていくのが延々と続くだけ。その潔いまでの中身のなさは、観ていて逆に清々しく感じるくらいでした(笑)。その分、グロ描写にはけっこう気合が入ってます。ニンジンをとんとんと切っていた包丁でそのまま指を切り落としちゃうママに始まり、徐々に腕の皮膚がただれてきちゃうお父さん、全身の皮がめくれちゃったアルパカなどどれも生理に直接訴えてくるような嫌なものばかり。特に後半、幼い息子と同化しちゃうママなんて夢に出てきそうなほどエグかったです。もはやお家芸とも言える、ニコラス・ケイジのとち狂った演技もナイスな仕事ぶり。モンスターと化した自分の妻とキスしたときに、ニコケイの唇に糸引いてたシーンはさすがの僕でも「ひえぇぇ」と声が出ちゃいましたわ。うん、そういうものだと割り切っちゃえば、このやり過ぎなぐらいのグロ描写はなかなか良いんじゃないでしょうか。それに古き良きSFを髣髴とさせる紫色のエフェクトも個人的にツボでした。という訳で、僕はぼちぼち楽しめましたです、はい。まぁ完全なるB級ですけどね。あと全体的に長いかな。前半のかったるい部分を削って、もう少し短くしても良かったかもしれない。
[DVD(字幕)] 7点(2021-07-07 04:09:36)(良:1票)
17.  海底47m 古代マヤの死の迷宮 《ネタバレ》 
海沿いのリゾート地へとバカンスに訪れた4人の女子高生がたまたま海底47メートルにある古代マヤの遺跡を発見し、そこでわーきゃーわーきゃー楽しんでいたら、突然巨大ザメに襲われて超大変!!ってお話。それ以上でもそれ以下でもありません。監督は、前作に引き続きキレイな映像とエンタメ性溢れる作風がウリのヨハネス・ロバーツ。いかにも彼らしい映像への拘りは相変わらず健在で、今回もほぼ舞台は海中となるのだけどこれが凄くキレイで見やすい!主人公たちが海面に飛び込んだ時の波しぶきやどこまでも続く大海原などこちらにまで潮の匂いが漂ってきそうで、もう見ているだけで涼しくなっちゃいますね。主役となる女子高生たちも健康的なお色気が炸裂してて癒し効果倍増(ビキニのお尻の面積がちょうどいい感じに小さいのもナイス!)。肝心のサメさんたちもずっと地下洞窟で進化してきたために盲目で、代わりに発達した聴力でもって獲物を追いかけてくるというのもなかなか新しい。死亡フラグの立ったキャラクターがちゃんと順番通りに死んでゆくのもセオリーどうりで、その死に方がどれも適度にグロいのも大変グッド。とまあ肩の凝らないエンタメ映画としては充分合格点ではありました。ただ一つ難を言うなら、さすがにこれは肩が凝らなさすぎですかね。お話としてはあまりにもオーソドックス過ぎて、心に残るものがほとんどありません。もう少しこの作品ならではという一捻りが欲しかったところ。主人公をイジメていた、あのいじめっ子のクラスメートも最後にサメに喰われるんだろうなと思ったらまさかの見てるだけでちょっと肩透かしでしたし。結論。真夏の熱帯夜にビールと枝豆片手に観る分にはちょうどいいくらいの内容でありました。
[DVD(字幕)] 6点(2021-05-28 01:55:58)
18.  華氏119 《ネタバレ》 
泣く子も黙るアメリカのパヨクおじさん、マイケル・ムーア監督によるトランプ猛批判ドキュメンタリー。この人お得意の、悪意ある編集と底意地の悪いユーモアは今回控え目で、なんとも切れ味の悪い作品になっちゃってましたね、これ。かつてブッシュ大統領をばっさばっさとぶった切ってたあの頃のエネルギーはどこへやら。今回の相手はドナルド・トランプと言うこれ以上ないくらいの好敵手であるはずなのに、途中から水質汚染問題やら銃規制問題やらに脱線しまくって、最終的には民主党も悪かったしオバマなんて最悪だったんだよで終わり。いやいや、これじゃトランプ大統領に完全に負けてますやん!「もう俺はこの国の未来に希望を持つのなんてやめた。あとは若い奴らで頑張ってくれ」って、ちょっと諦めすぎちゃいまっか。もはやこれでは敗北宣言に近いと思います。マイケル・ムーアさん、あんた最近大丈夫なん?と思わず心配になっちゃうレベル。正直、一本のドキュメンタリーとしてみても非常にレベルの低い作品だったと言わざるを得ません。
[DVD(字幕)] 3点(2020-07-30 16:50:21)
19.  ガラスの城の約束 《ネタバレ》 
ニューヨークの高層マンションでセレブな生活を送る雑誌記者ジャネット。金融マンの婚約者とともに何不自由なく暮らしていた彼女はある日、街の片隅でゴミを漁るホームレスの夫婦を目撃する。眉を顰め、すぐに立ち去るジャネット。だが、そんな年老いたホームレスの姿は、幼かったころの悲惨な思い出を彼女に蘇らせるのだった。何故なら、そのホームレスこそジャネットの実の両親だったから――。酒浸りでロクに働かない父親と夢見がちで生活能力が皆無に等しい自称画家の母親。彼らとともに借金取りから逃れ全米各地を転々とするかつての日々。ほとんど学校にも行かせてもらえず、ろくに食べるものもない悲惨な状況で、ジャネットは幼い姉弟たちとぎりぎりの生活を強いられていたのだった。成長とともにこんなどん底生活から抜け出そうともがくジャネットだったが、親子という絆は彼女を簡単には開放してくれない…。親としての責任を放棄した両親の元、過酷な生活を余儀なくされた子供たちのどん底の日々を実話を基に描いたヒューマン・ドラマ。そんな典型的な毒親を演じるのはウディ・ハレルソン&ナオミ・ワッツと言う個性派コンビなのですが、まあとにかくこの両親、これまで色んなダメ親の映画を観てきましたが、その中でもトップクラスの最低夫婦でしたね。無計画に4人も子供を作りながら、ろくに働かず飢えた子供たちをほったらかして一日4箱の煙草と2リットルの酒と言う自らの欲望にだけは忠実な父親。金にもならない絵ばかり描いて幼い子供たちに家事を強要させた挙句、小さな女の子に大やけどを負わす母親。もう徹底的に反吐が出そうになるほど最低の両親なのですが、それでもときおり見せる子供たちへの愛情が本物なのがまた厄介。行政が出てきて強制的に保護されるぎりぎり手前のラインなので、ある意味、こいつらが一番最低な両親とも言えます。そんな彼らの姿が、成長し今や成功した次女ジャネットの目線で描かれるのですが、その愛憎相半ばする葛藤が凄くリアルなんです。最低で悲惨なことばかりだったけど、それでも楽しかった思い出もたくさんあった。そう、まるでガラスの城のように――。「死んだら誰も悪うに言わんからはよう死ね!」。これは無頼派漫画家、西原理恵子が作品中でよく親に使っていた言葉なのですが、それと通じる屈折した想いがここにはある。どんなに最低でも親は親、死と時間がいつか解決してくれる。深い諦めにも似た、そんな境地で最後、家族とともに過去の思い出を楽しそうに語るジャネットの姿に思わず涙してしまいました。この監督の作品は初めて観ましたが、この貧困の現実を冷徹に見つめるスタンスは素直に素晴らしい。かなり重たい作品でありますが、親と子の関係に悩む多くの人に是非観てもらいたい優れた良作でありました。
[DVD(字幕)] 9点(2020-04-26 22:49:40)
20.  彼の見つめる先に 《ネタバレ》 
ブラジルに暮らす生まれつき目の見えない青年の恋と成長を何気ない日常の中に描いた青春ドラマ。確かにこの全編に漂う品のいい空気感は、なかなかいいセンスしてると思います。主人公を取り巻く少年少女たちも等身大の魅力に溢れていて、彼らが悩み足掻きながらなんとか現状を打破しようとする姿は見ていて微笑ましくなりますね。そして、主人公である青年。目が見えないながらも必死で自立しようと、アメリカ留学を立案したり両親と喧嘩したりと奮闘するところは素直に好感持てました。自らが男しか愛せないと自覚しそんな自分を受け入れて成長してゆく彼と、そんな彼への淡い恋心にもがく親友の女の子との関係性も凄く繊細に詩情豊かに描かれていて大変グッド。あまりにもオーソドックス過ぎて若干物足りなくもありますが、監督の瑞々しいセンスが光る青春ドラマの佳作と言っていいでしょう。
[DVD(字幕)] 7点(2020-01-04 01:00:49)
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