21. 恐怖の報酬(1977)
オリジナルが世界映画史に残る傑作だけに、リメイクに挑戦するには相当の覚悟とプレッシャーがあったに違いない。そういう意味では、名作に果敢に挑戦したフリードキンの意気込みが十分感じとれる作品とはなっているが、如何せん、登場人物たち個々の描き方にはどうしても物足らなさを覚えてしまう。さらに重要ポイントでもある豪雨による濁流の中、今にも落ちそうな吊り橋を渡るシーンも、視覚的には実に効果満点だが、いくらなんでもあれだけ揺れたらニトロの影響は避けられまい・・・と思うのだが。ビデオに完全版が出ていたとは全く知らなかったが、ここではあくまでも劇場公開されたものを批評した。 7点(2002-05-12 17:20:40) |
22. ギフト(2000)
S・ライミ監督作品は、ある種下品でハチャメチャなところから噴出する面白さにあるのだけれど、昨今の作品は何故か上品で手堅く小器用にまとめているという印象を受ける。それは本作にも言えることで、こういったスターバリューの作品からはどうしても上品な印象を受けるのは仕方ないとしても、テーマからしていかにも彼の作品世界そのものといったイメージがある以上、もっとオカルティックな作品に仕上げても良かったんじゃないかな。ヒラリー・スワンクはむしろハマリ役だと思うが、キアヌ・リーブスは「マトリックス2」までのギャラ稼ぎの為としか思えない。 7点(2001-07-01 00:08:53) |
23. 凶気の桜
ひと昔前の東映仁侠映画のアナログっぽさがぷんぷん匂う画作りが印象的な作品だが、それはあくまでも表層的なもので、作り手側の趣味の範疇を超えてはいない。白装束を身に纏った窪塚扮する(一見)ネオ国粋主義者的青年たちの無軌道ぶりには、そこいらの不良たちよりもよほど始末が悪く、暴力を振るうことでストレスを発散させているようにしか映らず、共感するまでには至らない。結局、彼等は何を遣りたかったのだろうか。本物のヤクザにも国粋主義者にもなれず、単に“ごっこ”だけで命を散らした若者たちの姿は無残だが、その無念さまでは伝わってはこなかった。凝りに凝った画面と独特の雰囲気を有した映画だが、製作者側の意図がよく解からず、意気込みだけが空回りした作品だったように思う。 6点(2003-07-24 11:49:27) |
24. キッド(2000)
描こうとしている事は良く分かるんだけど、J・タートルトーブ監督って演出が淡々としていてメリハリが無いんですよネ(そこが彼の持ち味でもあるんだけど・・・)。いい意味でのケレン味が無いので、本来感動的になるようなシーンにも涙腺を刺激されることもなければ、印象にすら残っていない。(だいたい子供時代の自分自身に対峙したときの、主人公のリアクションの少なさはいったいどういうことか?)いい話だけになんか惜しいような気がしてならないんです。 6点(2000-10-08 10:19:41) |