1. 記憶の扉
《ネタバレ》 こうして観るとつくづく「羅生門」って凄い映画だったんだなぁ、と思います。どれだけ他の作品に影響を与えているか気が知れない。う~む…それにしてもここまで凄いミステリー・サスペンスは久しぶりに観ました。ラストについては賛否両論ありそうですが僕の場合は断然"賛"です。普通に考えたら途中で気付きそうな気もするけど、どういう訳か最後の最後まで全く気付きませんでした。恐らく物語にのめり込んでいたのでしょう、余念の入り込む隙がありませんでした。ジェラール・ドパルデューの狂気に満ちた演技、それに呼応するかのようなロマン・ポランスキーの挑発的な態度。精神不安を掻き立てる水滴の音や、見せ過ぎず見せ無さ過ぎずというフラッシュバックの映像も効果的です。しかも後味は不思議と爽やか。同監督の「ニュー・シネマ・パラダイス」が余りにも有名過ぎて、影に隠れてしまっているのがちょっと残念です。 [ビデオ(字幕)] 9点(2005-11-23 14:37:13) |
2. 霧の中の風景
《ネタバレ》 映像詩、ドアの隙間から流れ込んでくる光でさえも美しい。まるで時が止まったかのように降り積もる雪を眺める人々、圧倒的映像表現!この映画には例え台詞が無くともストーリーを理解できるような気がします、寧ろ台詞は邪魔。中盤の展開はさすがに勘弁しろと思いましたが…、そこから物語もどんどん暗い世界へとのめり込んでいくような気がします。ヴーラが溜まった悲しみを吐き出すかのように泣くシーンではこちらも一緒に涙を流してしまう。空中に浮かぶ巨大な手のインパクト、けたたましいバイクの音でさえも流麗。ラストシーンは大木が二人を優しく包み込むかのようなパーフェクトショットでした。大大傑作。 [ビデオ(字幕)] 9点(2005-05-09 18:08:29)(良:2票) |
3. キートンのセブン・チャンス
《ネタバレ》 これ誕生日に観ました(笑)。別に取り計らったわけでもなく偶然そうなったのですが、おかげでもし自分が主人公と同じ境遇に置かれたら?と考えてしまいました(^^;。それにしても今の時代に観てもこれほど面白いサイレントってそうそう無いんじゃないでしょうか。女性を見つけるや否や手当たり次第に求婚しまくるキートンに笑い、牛の大群よりも怖い花嫁の大群にギョッとさせられる(これで花嫁恐怖症になった人は絶対いるハズ)。そして後半は何やら危なげなことを何なくこなしちゃっているし…。あの岩が作り物かどうか知らないけど、まともに直撃するシーンはさすがにヤバいだろと思った。そんな危険にもめげずに有刺鉄線を掻い潜り、愛する女性の元へと駆けて行く。もう随分前に観たので忘れてしまいましたが、リメイクの「プロポーズ」が面白くなかったのは(個人的に)おそらくこのスピード感が無かったからではないでしょうか。ラストは素直に良かったねって感じ。楽しい一時をありがとう、バスター!最高の誕生日プレゼントだよ。 9点(2004-11-14 19:51:51)(良:2票) |
4. 木を植えた男
揺らめゆく自然の情景に、今まで自分が忘れかけていた何か大切なものを思い起こさせてくれるような気がする。戦争にも惑わされず、ただ黙々と木を植え続ける男の姿には胸を打たれる。羊飼いエルゼアール・ブッフィエの影に、5年半の歳月をかけて二万枚の原画をほぼ一人で描いて完成させたというフレデリック・バック監督自身の姿を照らし合わせずにはいられない。心洗われる一本。 9点(2004-10-31 19:25:44)(良:2票) |
5. 奇跡の人(1962)
《ネタバレ》 あまりあからさまに感動作とか言われているのはそれほどピンと来ないのですが、これは素直に感動しました。障害に苦しめられながらも必死に生きていこうとするヘレン・ケラーの姿も凄いですが、やはり何よりもそのヘレンを支えるアニー・サリヴァン先生こと、アン・バンクロフトの忍耐強さに驚かされました。特にサリヴァン先生がヘレンにスプーンでの食事の仕方を教える場面はひたすら壮絶、まず並の人には真似できない芸当でしょう。そして最後にヘレンが名前というものの意味を知った時の無上の喜び、何とも言えない感情がこみ上げてきます。自分も頑張って生きていこう!という気持ちにさせられる、久しぶりに心が洗われた気分です。 9点(2004-07-05 21:49:30) |
6. キートンの蒸気船
《ネタバレ》 半端じゃないな~、バスター。やけに面白いと思ったら監督はチャップリンの助監督をやっていた人なんですね。序盤の帽子エピソードや、後半の刑務所騒動はホンの序の口。終盤の「デイ・アフター・トゥモロー」宜しく吹っ飛んでいく町並みは圧巻!ハリケーン・カトリーナもびっくり(不謹慎)何気に息子がどつかれると怒る、優しい父親も好き。ところで【どんぶり侍】様、私が観たバージョンには音楽が付いていましたが…(LDだったからかな?) [DVD(字幕)] 8点(2006-04-19 21:11:54)(良:2票) |
7. きみに読む物語
なかなか悪くない…、というか良かった。。初めは主演の二人が「男はただヘラヘラ笑っているだけ、女は魅力に欠ける」という感じで存在感が乏しいと思ったけど、後半の見事な変身ぶりに感動!ストーリー自体は割とシンプルなのですが、序盤の遊園地の乗り物に主人公がぶら下がるシーンや、道路の十字路に寝転んだり、家を改築したりと印象に残る場面が多いです(これは原作の力によるものが大きいんだろうけど)。そして何と言っても映像の美しさ、家と街画面に映る全ての物が自然と完璧に調和している。絵画を思わせました。何だか点数が低くて可哀想なのでその意味合いも込めてオマケして8点。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-03-20 18:44:16) |
8. きいてほしいの、あたしのこと ウィン・ディキシーのいた夏
《ネタバレ》 丁度引越しを終えたばかりの時にこの映画を観たので、思いっきり主人公の少女に感情移入してしまいました。差し詰めスヌーピーに出てくるペパーミントパティの内気な子版という印象ですが、演じているのは「チャーリーとチョコレート工場」で悪ガキの一人だったアナソフィア・ロブちゃんですか、才能有りますね~。個人的にはダコタ・ファニングよりもこれからの活躍を期待したいです(別にダコタ・ファニングが嫌いな訳じゃない)。物語の方はてっきり単なる少女と犬の友情物語かと思いきや、途中から町に住む人々の孤独が浮き彫りになっていったりと、ユーモアとペーソスを上手く使い分けています。そういえば監督のウェイン・ワンって、あの傑作「スモーク」を撮った人ですか。まだ現役だったんですね~(当たり前だろ)。さり気なく「波止場」や「北北西に進路を取れ」等のヒロインで有名な女優エヴァ・マリー・セイントが図書館の館主役で出演していたりと、映画ファンには嬉しい発見です。やはりどんな名優でも犬と子役には敵わないということで8点を献上します。それにしてもあのワンちゃん、本当に笑っているように見えるから不思議ですね。 [DVD(字幕)] 8点(2006-01-20 16:12:55) |
9. キング・コング(2005)
《ネタバレ》 言いたいことは沢山あるが、まずは一言。ブラボー!ジャクソン監督、よくやった。いろいろ異論はあるだろうけど、とりあえず名作映画のリメイクでここまでやれれば十分なんじゃないですかね。自分としてはもうコングとティラノの戦闘シーンで早くも「これは8点付けちゃる!」と決意してしまいましたが(笑)。何だか微妙にCGと役者が噛み合っていないように見える(気のせい気のせい!)カーチェイスならぬ"恐竜チェイス"も迫力があったし、伝説の"クモガニ"らしき物体も観られたので個人的には満足です。映画バカのカール・デナム役のジャック・ブラックが、途中で一瞬改心するのかと思いきや最後までバカを突き通してくれたのもGOOD。そして今回何より驚いたのがコングの表情豊かな感情表現。アンを苛めて悦に入るコング、黄昏に思いを馳せるコング。アンディ・サーキス、ゴラムから更に精進しています。ウィリス・H・オブライエンのコングがスクリーンに姿を現してから約70年、特撮技術が極限にまで進化した今、もはや映画に不可能なことは無いんだということを実感しました。最後にこれはエンドロールが始まっても最後の最後まで見なければなりません、理由はとにかく観れば分かります。 [映画館(字幕)] 8点(2005-12-19 13:59:18)(良:1票) |
10. キッチン・ストーリー
《ネタバレ》 「es」ほのぼの版という感じ。初めはあまり面白くないんじゃないか?と思ったけど、徐々に二人が友情を育んでいくところはしみじみとしていて良かったです。何よりもあの小さなキッチンの中で、男二人が対峙している間が何とも言えず好き。イザックの誕生日を二人で祝うシーンなど、監督の視点の温かさを感じさせます。キッチン・ストーリー、それはちょっぴり素敵なお話。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-07-20 15:57:08) |
11. キー・ラーゴ
《ネタバレ》 おや?意外と評価低いんですねぇ。僕もMrs.Soze.さんと同じくかなり面白いと思ったのですが(^^;。暴風によって封鎖された小島キー・ラーゴに集まってくる様々な価値観を持った人々、それらはまるで人生の縮図を見ているようで面白いです。「悪党を一人殺したところで世の中は良くならない」と嘯く主人公、しかし理屈ではなく心で行動した彼は立派です。嵐が過ぎ去った後の朝日のまた眩しいこと! [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-06-13 18:45:16) |
12. 昨日消えた男(1941)
《ネタバレ》 「あ、なるほどね」「いや、まったく」。まるで良質のコメディ作品でも観ているかのようにゲラゲラと笑ってしまいました。殺人事件によって浮き彫りになっていく人間関係、皆がそれぞれ少しずつ事件に関わっているというタネ明かしにもワクワクさせられます。犯人の名前を言われた時に密かに「誰?」と思ったのは内緒ですが…(もう一回最初から観ようかな)。豪快なアクションも有り、たった9日間でこれほどのものを撮り上げたというマキノ監督の手腕にはただただ脱帽です。姉妹編『待って居た男』も非常に楽しみであります。 8点(2005-03-23 17:00:59)(良:1票) |
13. キツネとウサギ
ウサギくんの愛らしさ、キツネの狡猾さ、狼の友情深さ、クマの陽気さ、牛の臆病さ、雄鶏の勇敢さ。これぞまさしくアニメーション!紙芝居のような画面構成も良いです。 8点(2004-12-24 23:08:34) |
14. 狐の呉れた赤ん坊(1945)
《ネタバレ》 スラップスティック・コメディのようなノリの作品ですね。穏やかなタイトルバックから突如画面の文字がずり落ち、そのまま乱闘へと突入するという奇抜なオープニングから度肝を抜かされますが、何と言っても主演の寅さんこと阪東妻三郎さん(この人他の作品で見たことないんですが)が全篇に渡って走る、暴れる、転げ回る姿がとにかく凄いです。製作年代から見てまたやけにかしこまった映画かな?と思っていたのですが、全く飽きることなく観ることができました。ストーリーは今ではもうありきたりな感じの話ですが、やっぱり見せ方が上手いです。個人的には小津安二郎の『長屋紳士録』を思い出しましたが、寅八と善太の両名に嫌味らしさがない分、私的にはこちらの方が好みです。頭がゆらゆら揺れる虎の置物や、相撲人形で時間経過を表すところがユニークで、また最後の「子供のために死ねるか?」という父親の葛藤も感動を誘います。 8点(2004-12-22 15:52:41) |
15. 奇人たちの晩餐会
《ネタバレ》 「馬鹿を馬鹿にする者は馬鹿に泣く」、これすなわち鉄則。 [地上波(字幕)] 8点(2004-05-30 20:39:56) |
16. キートンの探偵学入門
あれだけスピーディーな夢を見られたら気分爽快だろうなぁ。この映画はあらすじだけを読んでもよく分からないので、まずは実際に本編を観た方が良いでしょう。・・・すると度肝を抜かれます(^^;。こういう映画を観るたびに思うのが、「昔の人たちは頑張っていたんだな~」ということ。もちろん今の映像技術が発達した映画業界も凄いけど、CGもない時代によくあれだけのものを作れたなと思います。おそらく当時に存在する限りの、ありとあらゆる技術をかき集めて撮影したのでしょうね。その映画人としての熱意と根気だけでこの点数を差し上げられます。やはりウディ・アレンもキートンが好きだったのでしょうか。 8点(2004-05-21 23:20:17)(良:1票) |
17. キートンのハード・ラック(悪運)
《ネタバレ》 「キートンの自殺マニュアル」、台無しで自力で首を吊るところは笑った。それから有り得ない釣りのシーンも好き。最後は地球の反対側まで行って中国へと辿り着いてしまいました。これぞ正しくキートンの不死身さを証明した一本だと思います。これにて「キートンのハード・ラック」、一巻の終わり(澤登さんのパクリ)。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-01-09 14:36:07) |
18. キートンの警官騒動
「あれ、キートンもう刑務所に入っちゃったの?」と思わせられるオープニングからやられてしまいました。『セブン・チャンス』の花嫁軍団にも引けを取らない大迫力の警官隊、『マトリックス』のエージェント・スミス宜しくゾロゾロと出てくるところは笑いました。やはりキートンの見事な追いかけられっぷりは、チャップリンのそれよりも上手のような気がします。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-11-11 19:08:51) |
19. キートンの強盗騒動(悪太郎)
《ネタバレ》 恐ろしいくらいのテンポの良さ。物語はただキートンが追いかけられ続けて逃げ回るだけの話なんだけど、そのプロセスに詰め込まれたキートン流早業ギャグに抱腹絶倒!特にキートンを追う警官の数が一人、また一人と増えていくところはニヤニヤしながら観てしまいました。さり気なく巧みに影を取り入れた演出なども有り、最後のエレベーターが建物の屋根を突き抜けてしまうところなんて極地と言えるのではないでしょうか。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-11-11 19:04:28) |
20. キートンのハイ・サイン(ザ・ハイ・サイン)
《ネタバレ》 まず冒頭の字幕から洒落ています。ストーリーの結合性なんてほとんど無いけど、一つ一つのギャグがしっかりと練られて作られているので安心して楽しめます。特に中盤に亘って繰り広げられる射撃ネタには笑いました。序盤、キートンがメリーゴーラウンドの客から奪い取った新聞を広げると、それがどこまでも広がっていくというシュールさも好き。後半の仕掛けたっぷりの屋敷の展開は如何にもキートンらしくて面白く、家の様子をそのまま断面図にして見せてしまうなんて彼ぐらいでしょう。この手のドタバタ短編コメディの中ではなかなか完成度が高い作品だと思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-10-14 17:05:18) |