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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1251
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  キスできる餃子 《ネタバレ》 
餃子といえば常識的には宇都宮と浜松だろうが、これは宇都宮の方の映画である。個人的には別にどちらを応援する義理もないが、これを見ると地元でも相当PRに力を入れているらしいとは思う。ただネット上では「浜松餃子まつり2018」といったイベントの記事も見られたので、両者なお競り合っているということらしい。  映画としては同じ監督の「クハナ!」(2016)に続くご当地映画の第2作とのことで、前作のような爆笑続きでもないが、題名で端的に表現されたようなラブコメ調の人生ストーリーと餃子PRを兼ねたものになっている。 物語としては、要は人間の活力の源泉をどこに求めるかという話だったらしい。主人公の父親の、技術よりもっと深いところまで刺さる鋭い指摘には感銘を受けた。ラブストーリーとしての結末は不明瞭なようでもあるが、要は活力の源泉としてのイケメンを実生活から分離した点が今回の革新の中核だったと解される。ほか餃子に関しては、まずは積年の課題だった「デートできる餃子」を達成した後に、主人公の本質をより強力に表現した「攻めの餃子」が登場し、さらにその先に題名の餃子があったと思えばいいのかも知れない(少し整理が難しい)。 また一方では、製作上の都合によるのだろうから絶対悪いとも言わないが、宣伝臭がかなり強い映画である。「特別協賛」の会社が前面に出て来て代表取締役社長も顔を出すほか(政治家よりマシだが)、餃子に限らず各種事物のPRをやたらに詰め込んだ印象があり、「ルルルンのとちおとめ」とは一体何だという感じだった(フェイスパックの商品名らしい)。映像上のPR以外にも協賛企業がタイアップ商品を出すとか、JRの誘客事業である2018栃木DCにからめたイベント列車「キスできる餃子号」を走らせるなど各方面での動きがあったようである。ちなみにホリプロの宣伝も兼ねた形になっていたらしい(地元出身の佐藤美希という人が本人役で出ていた)。  最後に個人的見解として、この映画の最大の価値は何といっても足立梨花さんである。少し前は女子高生役だったが今回はいきなり男に懲りたシングルマザーで、男をぶん殴って蹴りも入れる硬派なところと、円満で優しい笑顔を両極にした女優の魅力が全開状態だった。これまで見た範囲では「傷だらけの悪魔」(2017)とこれがあだっちぃー映画の双璧である(両方とも主演だから当然だが)。そのほか子役も笑顔に愛嬌があって和んだ。
[DVD(邦画)] 7点(2018-12-10 19:57:59)
2.  君の膵臓をたべたい(2017) 《ネタバレ》 
原作は読んでいない。事前の印象としては、奇抜な名前で人目を引いておいてからベタに泣かせようという魂胆が見えるようでまるでライトノベルかと思ったが、実際見ても「膵臓をたべたい」という言葉が物語から自然に導かれたようには思われず、やはりタイトルが先で理屈を後付けした感じになっている。 その一方ではとにかくヒロインの笑顔の魅力が絶大で、どうせラノベ並みの通俗映画だろうと突き放そうとしても抵抗不可能である。というより実はもともとこの人が目当てで見たわけなので、最初に図書館で幻影が現れたところですでに感動してしまった(あまりにも可愛い)。この人なら多少の都合のよさも許容して行動人格全部を素直に受け入れてしまうので、これはキャスティングの大成功と思うしかない。スイパラでのやりとりは脱力するほど可笑しく、またお泊り旅行での楽しげな様子も嬉しくなるが、最初から病気とわかっているので笑いながらも心は痛む。 また全体的にも結構悪くないと思ったのは、主人公男女が互いに「膵臓をたべたい」と思うのがわからなくはなかったからである。特に男の方には個人的に共感してしまうところがあり、「お門違い」という表現を自分はしないが気持ちはわかるので、そんな奴でもちゃんと見ていてくれる相手がいるなら嬉しいだろうと思う。見た目から入るのではなく人として心を通わせるのが先、というのもいい話だが、ただしこの映画ではヒロインが超カワイイ系美少女で男もイケメンのため、外見優先でないという本来のコンセプトから外れてしまっているのが最大の問題点かも知れない。 何にせよ万人が自分のこととして見るような映画ではないだろうが、しかし12年後の図書委員と森下さん(笑顔がかわいい)の関係は一般人に少し近い雰囲気を出している。この2人にはぜひ仲良しになってもらいたいが、ただしそれならそれでちゃんと生きていてもらわなければ困るわけである。  [2018-04-17追記] 原作を読んだ。若年者向けの小説だが、だからこそ人の心を無遠慮に突き刺す(今さら言われたくない)言葉が盛りだくさんのように思われる。個人的には原作で主人公の母親が「私は嬉しい」と言ったところは映画にも入れてもらいたかった。 そのほか原作との比較で残念なのは、省略のせいでいろいろ半端になっていることと、やはり映画で付加した12年後の部分に不自然な点が多く、観客に突っ込みを入れられても仕方ない状態になっていることである(自分は寛容な性格なので見ないふりしたが)。そもそも12年も待たずにすぐ心を入れ替えてもらいたかったものだが、しかし12年後の図書委員と森下さん(演・三上紗弥)にだけは否定的になれない。この2人はかなりいい感じである。 ほか題名の意味に関しては、原作だと誰でも知っている慣用句で端的に言い表せるので誤解のしようがないが、映画では変に深読みを誘うよう改変されているのが好ましく思えない。ただし自分としては、映画を見た段階でも原作と同様に受け取った(その方が解釈として簡明なため)ので、制作側の小細工は自分に対しては無効だったということである。
[ブルーレイ(邦画)] 7点(2018-03-17 18:49:22)
3.  傷だらけの悪魔 《ネタバレ》 
よくわからないがスマホアプリ「comico」で連載されたマンガの映画化とのことで、現時点でここのサイトに登録されている映画では「ReLIFE リライフ」(2017)と同様である。今も連載が続いているらしく、この映画はどういう段階でどのように切ったのかわからないが一応まとまった形になっている。ただしエンドロール後の追加場面は意図不明である。 自分としてはこういう映画が好きなわけでは当然ないが、ときどき見かける足立梨花という人が主演だからという理由で見た。その仇敵役の江野沢愛美という人も以前に他の映画で見たことがあり、この映画では思い切り黒い感じだが相変わらず高身長でモデル風の容姿である。また女王役の加弥乃という人はこの手の映画ではもう安定の中堅どころのような印象がある。  内容としてはありがちなイジメの話だが、昔の所業に対して復讐される展開のため加害と被害の関係が相対化され、善悪度外視の抗争として見ることができる。中盤でとんでもない恥辱を受けた主人公が、それで挫けることもなく猛然と反攻に出た後半は痛快だった。 終盤で最大の敵2人を打倒した後は、ついでに傍観者全員(観客を含む?)を糾弾してなぎ倒す形になっていたが、それだけで終わってしまっては物事を単純化し過ぎで面白くない。自分としては中盤で出ていたイワシ人間の否定の方が、年齢性別を問わず人間社会に広く通用するメッセージに思われる。要は個人の自立ということを説く物語であって、後半で主人公が人名を書いては消していたのは多数派形成が目的ではないとの表現と思われる。主人公の「で?」とか「だから何?」とかいう突き放した物言いは非常に好きだ。 映像的にもいわゆるポップでドライな感じなのがいい。クライマックスの「死ね」からの高揚感も心地よく、最終的には足立梨花さんの脚がきれいだ、という感慨が残るラストになっていた。大変結構な映画でした。
[DVD(邦画)] 7点(2017-10-12 23:53:14)
4.  君の名は。(2016) 《ネタバレ》 
見るつもりはなかったが、なぜか「シン・ゴジラ」と張り合っているかのような雰囲気が出ていたので見て来た。 印象としてはストレートな青春アニメであって、きれいに作ってはあるがあまり突出したものを感じず、映像的にもキャラクター設定もストーリー展開も至るところに既視感がある。SF的にも突っ込みどころが多そうに見えるほか、意外性の面でも弱いところがあり、時間のずれというのは観客としても想定の範囲内である。また突然の大災害も、冒頭の落下映像で最初から危惧を覚えていたわけなので、やはりそうだったのか(泣)という程度の衝撃だった。 最も意外だったのは、変に丸く見えた湖が火山に由来するもの(カルデラ地形など)ではなくクレーターだったということで、地球上でクレーターが2個接続した状態になっているのは珍しいのではないかと思われる(2個同時に近接して形成された事例はあるようだが)。もしかすると山上の聖地も恐山のような火口原ではなくクレーターであって、ご神体の岩塊は隕石というつもりだったのかも知れない。星の世界につながる特異点のような場所という設定とすれば科学考証的にはどうかと思うが、当方としては初めからファンタジーとして見ているので別に構わない。  ほかにも考えれば指摘すべき点はいろいろありそうだが、自分としては頭を使うのが面倒臭いのでそこまではしない。それよりも、若い登場人物に対して素直によかったねと言ってやりたくなる展開(見ている自分の境遇はさて置いて)だったのは当然ながら嫌いでなく、最終的には明らかにいい印象を残す映画になっていた。見ていてはっと胸をつかれるところが何か所かあり、特に終盤で並走する電車の場面では、一瞬の動揺を劇場内で隠すのが困難だった。 また「シン・ゴジラ」だけでなく、この映画でも何気なく先の震災が念頭にあったようで、今後起こりうる災害から目を逸らすことなく、まともに意識しながらしなやかな心で対していこうとする気構えが日本人の中にできて来ているとすれば心強いことである。 ちなみに、少女のオッパイが「転校生」(1982)だとすれば、ラストで記憶のない2人が再会できたのは「時をかける少女」(1983)に対抗したものではないか。切なさ優先で登場人物を不幸にするラストよりもこっちの方がよほどいい。(1953年のドラマのことは知らないので無視)
[映画館(邦画)] 7点(2016-09-19 16:55:43)(良:1票)
5.  鬼談百景 《ネタバレ》 
作家の小野不由美による同名の実話怪談集(全99話)から、10話を選んで映画化したオムニバスである。6人の監督が脚本を含めて担当している。 【追い越し】 原話の不思議さが不足、無駄話が多い。 【影男】 音そのものが神経に響く。異音が付随しているのも嫌な感じ。窓から見えた空も意味不明だが怖い。最初は睡眠時無呼吸症候群かとも思えるがそうともいえなくなって戦慄。 【尾けてくる】 作業着の男がいかにもそれらしい顔。女子高生~女子大生の見開いた目はいいが若干くどい。ラストの街角遠望は好きだ(渋谷二丁目、青山学院近く)。 【一緒に見ていた】 原話にない背景事情を大きく加えた形。一回やっただけというより人格低劣で因果応報。倒れた男子生徒、ぶつかった女子生徒のいた風景がいい。 【赤い女】 女子高生絶叫ホラー。怖いことは怖いが階段をドタバタ駆け上がるのはなぜなのか(笑)。登場人物が高校生にしては変に大人っぽく、加弥乃さんは可愛らしいがヒガリノ(比嘉梨乃)さんはひときわ色気がある。 【空きチャンネル】 普通。特殊効果はやりすぎだが一瞬怖い。 【どこの子】 小学生のくせに妙にエロい。取り残されるシチュエーションは怖いが方言の男には笑わされる。 【続きをしよう】 子役がいい感じ。出演は9人だが顔が見えるのは8人、声がするときに誰の口も動いていない。流血の連続で児童虐待のようだが、走り回る子どもらを見ていると、この監督は本当に子ども好きなのだろうと思った。 【どろぼう】 難解で意味深。果実の隠喩と時間の経過、スカートの下にジャージをはいていないなど。何にせよ流産監督らしいテーマと思われる。女子高生が美形なのはいいとして、子沢山の母親がこういう顔だとは原作からは想像していなかった。 【密閉】 原話の投稿者が隠していた真相はこれだ、という感じの話。主演女優の顔が好きだ。  第1話を除く各話が「こんな手紙が届いた」で始まるのは、夏目漱石「夢十夜」の趣向に倣ったものと思われる。基本的には全て原話の筋立てに沿っているが、映画的なイメージを膨らませたり独自の解釈を施したものもあり、必ずしも実話とはいえないものが多いと思われる。しかし本物の怖さを出したもののほか怖がりながら笑えるもの、ストーリーとして面白いなど多様であり、映像的にもいい出来のように見える。これまで見たオムニバスホラーの中では最も良質だった。
[DVD(邦画)] 7点(2016-07-16 22:30:45)(良:1票)
6.  君のためのタイムリープ 《ネタバレ》 
邦題の「タイムリープ」からすると時をかける少女かと思うが、台詞によれば「ターミネーター」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」だそうで、全体的には後者に近いが邦題の「君のための」は前者のイメージである。2017年で38歳の男が20年前の高校時代に戻る話になっている。 原題の「帶我去月球」(Take Me to the Moon)は張雨生というシンガーソングライター(1966~1997)の楽曲名で、劇中年代もこの人物が事故で死去した年に合わせている。仮にその事故がなければ映画のストーリーは成り立たなくなるが、それでも主人公が無理に警告しようとした姿に結構心を打たれたことからすれば、当時の若者にはこれがかなり衝撃的な事件であって(日本でいえば尾崎豊?)、観客の心情にも訴える場面だったのかと逆に思わされた。 ほかにも当時の社会描写らしいものが多く、登場人物と同じ30代末期にかかる人々が、自分の青春時代を回顧する映画かも知れない(よくあるタイプの)。  物語としては主人公の男が、自分の恋した相手が死ななくて済むよう過去を改変する話である。最初はとにかく死なないことだけ考えていたが、結果的には単に死なないだけでなく、相手の人生が輝く未来が実現でき、ついでに自分の未来も輝かそうと決意したということか?? よくわかっていないが悪くない話ではあった。 日本との関係では、冒頭いきなり日本語で始まるのは「悲情城市」か「海角七号」かと思わされる。1997年時点では日本の存在感が変に大きく、それはかつて文化面でも日本が台湾をリードしていたということだろうが、ラストの段階ではすでに台湾が台湾自身の安室奈美恵を生み出しており、若くして没したアーティストの後を引き継いでいたらしい。エンドクレジットに「特別感謝 魏德聖」とあったことから想像すれば、日本から受け入れたものと、台湾が生み出したものの融合が表現されていたとも取れる。  出演者として、宋芸樺 Vivian Sungという人は今どきまだ高校生役なのかと思ったが、18~35歳を幅広くカバーできる役者という意味なら変ではない。高校時代と現在が同じ演者なのは「私の少女時代」よりも著しい改善点といえる。今回は歌がうまいので感心した。 また「まるで男」と言われていた「小八」役は、「屍憶」で童顔が印象的だった嚴正嵐 Vera Yenという人である。中学生にも見える容貌だが弁護士志望という役柄は悪くない。今回はバンドでドラムを叩いていたのが目を引いた。年齢不詳のユニークな女優(兼シンガーソングライター)のようで好きだ。
[インターネット(字幕)] 6点(2022-04-30 13:59:22)
7.  京城学校:消えた少女たち 《ネタバレ》 
戦前の日本統治下での女子寄宿学校の話である。邦題は原題の直訳らしい。 題名によれば場所は京城だが、実際はほとんどが山中の学校で展開する。禁断の園のような場所に制服の美少女??たちがいて、いわゆる“少女の肢体”的なものも見えるが演者はほとんど20代だろうから特にロリコンじみてはいない。いわゆる百合要素もあるがグロ場面も結構ある。 部分的にはホラーっぽく見えるが実際はホラーでもなく、主に中盤から提示される謎をめぐるサスペンス展開になるが、最後はまたぶっ飛んだ感じで終わってしまう。発想としてはありきたりで驚きも何もないが、しかし古い洋風の学校を舞台にした陰惨なサスペンスの雰囲気は悪くない。映像面では、白と赤の対比に隠微で重層的な意味が込められていたように見えた(性的かつ侮日)。  ほかにこの映画で何か言いたいことがあるのかはよくわからなかった。まずは人類史上最も残酷といわれる植民地支配の非道を暴いたようではあるが、出来事があまりに荒唐無稽で非現実的なため告発にも糾弾にもなっておらず、単にいつでもどこでも便利に使える悪役としての日本が出ていると思ってもそれまでである。ちなみに劇中の軍人は日本語が得意でなかったようで、実は日本人でなく現地出身者だったと思っておく(朴正煕元大統領のような)。 その一方、なぜか劇中人物の間では東京に行きたがる風潮があったらしく、なんで憎むべき日本へわざわざ来たがるかと思うわけだが、校長に関していえば“ウンザリする朝鮮を抜け出したい”というのが本音だったようである。これがいわゆる「ヘル朝鮮」(헬조선)のことだとすれば、昔の話のようでも実は現代の自国の問題に触れた映画だったとも取れる。 主人公と親友は東京というより海に行きたかったようだが、実際は近場の池で間に合わせていたのが閉塞感の表現とすれば切ない。最後に2人で家へ帰ろうと言っていたのは地元回帰というより諦念の現れなのか、また過去の少女が英語の歌を聞きたがっていたのは本来もっと広い世界への憧れがあったようでもあるが、外国映画なので読み取りがなかなか難しい。  キャストに関して、主演のパク・ボヨン(朴宝英)という人は、日本人の立場からも親しみやすい可愛さがあって嫌いでない。ただし1990年生まれとのことで、この映画の時点では少女ともいえないのを童顔でごまかしていたようである。またその親友役のパク・ソダム(朴素談)という人は現地風の個性的な容貌だが、最近では「パラサイト 半地下の家族」(2019)にも出たようで存在感のある女優らしい。
[DVD(字幕)] 6点(2020-04-25 08:54:30)(良:1票)
8.  金メダル男 《ネタバレ》 
原作・脚本・監督・主演の人物がこだわりで作った映画のようで、本人の人脈で一定の豪華キャストが実現したということらしい。基本的にはコメディで、爆笑するほどのものはないが終始ニヤニヤしながら見ている感じだった。泣かせる箇所も複数あり、そのような悲喜こもごもの断片が連なって流れていくのが人生ということかも知れない。 ただしそれによって描かれた主人公の半生に感動を覚えるかというとそうでもない。これまでやってきたことはいつか必ず生きる、というのはいいとして(かなりわざとらしいが)、また人生の折り返し点を過ぎてなお挑戦を続けるのもいいとして(というか、これ以外の生き方ができないとわかった?)、そもそも主人公の性格が個性的すぎて共感しようがない。多才な芸能人ならこういう生き方があるかも知れないが、無芸な一般人にとって人生物語としての効用はかなり限定的というしかない。  ところで自分がわざわざ映画館まで行くのは映画自体より主に特定の女優を見るためであり、この映画に関しては森川葵さんが目的である。何でキャスト配列順がこんなに下なのかと思ったが、登場順とのことで仕方ない。少なくとも自分としては、この人の出番は強烈に可笑しかった。 また土屋太鳳という人がものすごく清純で可愛らしい顔で出ていたのがかなり意外だった。エピソードとしてもトリダンスは圧巻で、ほか坂本龍馬も含めて「表現部」全体が面白い趣向である。ほかの出演者としては、宮崎美子さんの最初の場面は20代相当とのことで、自分としてはカメラのCMの頃を思い出した(とまでいうと嘘だが)。平泉成氏も最初はまるきり年齢不詳の役柄で笑ったが、最終的には見事な老夫婦になっていて感動を誘う。 以上、本筋のところで共感しづらいところはあるが、楽しい要素も多いので否定できない映画だった。ちなみに背景音楽も個人的には時代背景を感じさせて悪くない。点数はかなり甘くしておく。
[映画館(邦画)] 6点(2016-10-25 19:59:49)(良:2票)
9.  君へ。 《ネタバレ》 
ストーリーに関して、“最後の終着点が見つからなかった”と出演女優がメイキングで言っていたが、これは脚本家が答えた通り、ラストまでの間に観客が主人公にシンクロできていれば問題にならないのだろうと想像する。しかし残念ながら自分はそうはならなかったので、個人的に思ったことを適当に書いておく。  まず主人公は自分が少女を守れなかったと悔やんでいたようだが、完全に他人の責任のもとで生きている人間などそういないわけだし、少なくともこの映画の二人はそういう関係ではない。まともに考えてしまえば潔く自決するしかないわけだが、少女の父親は免責どころか礼まで言っていたので、これは問題ないだろう。 次に、二人の思惑がすれ違った(と思った)まま、感情面の清算ができずに何年も過ごしたのは確かにつらかったはずだ。気持ちを確かめようにも本人はもういないわけだが、幸い終盤で少女の心が劇的に明らかになっていたのでよかったと思う。彼もここで初めて彼女にまともに向かい合う気になったということかも知れない。 最後に残るのは“忘れていいのか”という問題だが、ある程度は過去に整理を付けないとみな生きていけないわけだし、また誰かを忘れた自分自身もいつか忘れ去られると思えば、世の中全てお互いさまともいえる。月並みではあるが、これは時間が解決するというしかない。彼もそのうち風鈴をどこかへ大事にしまい込む日が来るだろう。 以上により主人公の方は解決だが、本当に厳しいのは優しい妻と娘をともに失って何も残らなかった男の方であり、これは忘れてしまえば済むという問題ではない。逡巡のあげく自宅に戻って死去したようだが(原因不明)、それならやはり主人公にだけは未来を精一杯生きてもらった方がいいと他人事ながら思う。  そういうわけで、これはけっこう考えて作り込んだストーリーかも知れないという気がして来た。映画としての出来がいいかは判断できないが、とりあえず志は買っておくことにする。
[DVD(邦画)] 6点(2012-07-27 21:29:50)
10.  禁じられた歌声 《ネタバレ》 
アフリカのマリ共和国にある世界遺産の町トンブクトゥを舞台にした映画である。撮影は郊外も含めて、現地に比較的近い隣国モーリタニア国内で行われたとのことで、監督はそのモーリタニアの生まれだそうである。 歴史的には2012年からの「マリ北部紛争」で武装集団が現地を支配下に置いた時期のことであり(※図書紹介「アルカイダから古文書を守った図書館員」)、この映画でも武装集団の構成員の出自や信仰の程度、及び支配言語がフランス語だった地域にアラビア語が入り込もうとする様子が見えている。またこの紛争には外来勢力のほか国内遊牧民の集団も関わっていたが、その遊牧民の個々の人を敵視すべきでないとの雰囲気も出ていたかも知れない(主人公一家と運転手)。  宗教の関連では、この映画の立場として信仰それ自体は否定していない(モーリタニア・イスラム共和国政府が協力しているので当然)。姦通での石打ち刑はあったが極端に残酷な場面はなく、主に音楽・サッカーの禁止や服装制限など、自由度の高い社会なら普通に理不尽に思われることを見せている。基本的には原理主義を批判しているのだろうが、ほかに結婚の強制など女性関係の問題が出ているのは西側自由世界へのアピール狙いのようでもある。 前掲書によれば「ここは1000年も前からイスラムの都」であり、「敬虔なイスラムの伝統」と「芸術と科学に彩られた文化」が併存して来た土地だったが、歴史上は「開かれた寛容な時代のあとには不寛容と抑圧」も度々あったとのことだった。この映画の出来事も、そういう歴史の延長上にあることを表現していれば厚みも出ただろうが製作上無理か。  その他雑記として、このあと2013年にはフランスが現地に軍事介入して原状を回復したとのことで、この映画でも最後に正義の軍隊が登場して人々を救うのかと思ったが出なかった。最近はこの周辺へのフランスの関与も弱まってきたようで、2022年にはマリ、2023年には隣国ニジェールから駐留仏軍を引上げ、一方でマリと隣国ブルキナファソではロシア勢力(ワグネル)の浸透を許しているとのことだった。 なお武装集団の車の後部にわざとらしくTOYOTAと大書されていたのは、1980年代の「トヨタ戦争」などでトヨタ車が各種武装勢力に愛用されてきたことの反映と思われる。優れた民生品が軍事転用されることに無策との批判かも知れないが、劇中の武装集団は具体名を出さないのに(旗だけ)トヨタだけ名指しで糾弾しているように見えるのは、何かトヨタに悪意でもあるのかと思った。
[インターネット(字幕)] 5点(2023-11-25 15:37:48)
11.  今日も嫌がらせ弁当 《ネタバレ》 
高校生のために弁当を作り続ける映画は「パパのお弁当は世界一」(2017)も見たので、個人的にはまたこれかという印象だった。しかしこの映画も原作者に当たる人物の体験をもとにしており、映画としては二番煎じでも全く別の話ということになる。劇中に出ていた弁当を本当に一生懸命作っていた人がいたというだけで和まされるものがあり、嫌がらせというよりも、ふざけたことを大真面目にやってみせるのが好きな人物が娘にじゃれついていたようでもある。ちなみにこの後に「461個のおべんとう」(2020)というのもあったようで、なぜか弁当映画が乱立している。 八丈島は実際に原作者の居住地とのことで、彩度が高めの明るい色調で島の風景を見せている。特に説明はなかったが、結構しつこく八丈小島(今は無人島)を映しており、また「八丈島のキョン」(特定外来生物)らしきものも出ていた。船は主に東海汽船の「橘丸」が見えていたが、ほか何気に青ヶ島行きの「あおがしま丸」も映っていた。  ストーリー的なことは実はよくわからなかった。キャラ弁なるものに関して否定と肯定が繰り返される展開に見えたが、弁当だけでは本当に嫌がらせになってしまいそうなところ、それとは別に心を通わせる機会を持ったことで真意が伝わったと思えばいいか。 またシングルファーザーの存在も半端な気がした。途中段階では一人親が孤独に頑張ることの限界を語っていたようだったが、その上でのご対面は、この先母親が助言者からパートナーの立場に発展していく予感の表現か、または人生まだまだ何が起こるかわからないという程度の緩い期待感か(なぜか娘の就職先の近所にいた)、あるいは単なるサービスカットのようなものか。少々困惑するラストだった。 特に絶賛する気にはならなかったが、実物をもとにしたという独創的な弁当を見て笑っているだけでも一定の面白さがある映画ではあった。なおネット上に原作者の顔写真も出ていたが、なるほどこういう感じの人がやっていたのかと納得した。  出演者に関して、芳根京子という人は今どき高校生役かとは思ったが、もともと可憐なタイプなので高校生に見えなくもない。また友人筆頭役の山谷花純さんは、「劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」(2018)で頭を丸刈りにしてから、少し髪が伸びてベリーショートの状態だったのがなかなかキュートで面白かった。
[インターネット(邦画)] 5点(2021-04-03 10:50:45)
12.  奇々怪々譚 醒めない悪夢の物語 《ネタバレ》 
全8話のオムニバスホラーである。以下個別に書く。 ①年取ってこうなったら怖いかとは思った。物悲しい。 ②オチ付きの小噺。ヒトコワ系だけかと思っていたら違った。 ③東京の安い一軒家は事故物件だろうという安易な予想が覆される。集合住宅に住めない理由はそれだったかと納得させるオチ。怪しい声がいい。 ④ラストは面白くないがそれほど悪くない。確かに、ユーズド商品として売っている古本など、こういう経過で市場に出たものではないかと思うことはあった。 ⑤第5話に至って初めて女性の俳優が出る。私事になるが、実は女性専用とされる掲示板サイトを時々見ることがあり(書いてはいない)、そこで「生霊を飛ばす」という表現が時々使われるので、そういう話かと思ったがそうでもない。その女性専用サイトには明らかに男が入り込んでいて嫌われているが(おれは書かない)、わざわざ女子だけの中へ紛れ込もうとする男の心情に通じるもののあるオチかとは思った。ただし面白くはない。 ⑥コーヒーを含めた総称として「お茶」ということは自分もあるので、その点だけは彼氏に共感した。それより彼女が発言しようとする顔に結構注目してしまう。表情に影が差していたのが輝きに転じるのもいい。これは結構好きだ。 ⑦川ゾンビと川テトラポッドと川河童(普通に河童)が語られる。何を探しているかわからない男が出たので、むかし読んだ夢に関わる非常に嫌な感じの怪談を思い出したがそれとは違っていた。二段階のひっくり返しは悪くなく、「めっちゃ恥ずかしい」の隣で時が止まったような男の顔も悪くない。これもいい方。 ⑧普通に怪談。  見ていると変な方向に発想が飛ぶが、結果的には違っていたという感じの意外性はある。また音の使い方が特徴的と思うところもある。いかにも低予算だが面白いところもあり、時々ある低劣オムニバスホラーよりはよかった。 なお各話冒頭の「こんな悪夢を見た」は、どちらかというと夏目漱石「夢十夜」の「こんな夢を見た」から直接取ったものではないかと思った(8話しかないが)。最初から夢オチ宣言かと思ったが、副題で「醒めない」とすることで現実との連続性を確保する微妙な戦術らしい。
[インターネット(邦画)] 5点(2021-01-09 13:52:55)
13.  ギョ<OV> 《ネタバレ》 
伊藤潤二の同名のホラーマンガを原作としたアニメで、腐敗臭のする無数の歩行魚が沖縄に上陸、次いで東京にも襲来して大混乱に陥り、やがて世界全体が滅亡に向かうという話である。怖いというより気色悪さを前面に出しており(反則気味)、全体的にはパニック物という印象がある。 ストーリーはわりと原作に忠実で、主要エピソードは何らかの形で拾っており、原作で脱線に見えたところも入れてある。大きく違うのは登場人物で、原作の中心人物だった男女の役割を交換して女の方を主人公にし、原作に出ない男とともに最後まで生き残る形にしたのはアニメ向きの趣向かも知れない。なお膨れてガスを噴出する女は別のキャラクターを用意してある。またラストは原作と変えてあり、悲壮感と同時に強さも感じさせる終幕になっている。  アニメーションに関しては特に目を見張るようなものはないが、そこら中に漂う臭気を映像化しようとしてゴッホの絵のようになっているのが目につくところはある。 一方でどうも登場人物の設定とか言動とか安易な展開など安手のアニメ臭が鼻につく。特に主人公が公的に禁止されたことをやろうとして制止されると、止めた側を悪人にして駄々をこねて同情を誘うといったことをいつまでやっているつもりかと思う。また“世界全体”ということを表現するために、香港?の街はまだしも凱旋門・タージマハール寺院・赤の広場・エンパイアステートビルを次々見せるというのはわざと昭和ステレオタイプにしたのか何も考えていないだけか。 アニメ独自のテーマとしては、「目で見たものだけが真実」ということかも知れないがあまり納得しない。自分の目で見なければ信じないと言い張るのは、自分周辺の狭い世界でしか生きて来なかったアナログ時代の高齢者かと思ったが、膨大な情報が流通する現代ではかえって原点回帰が必要だと言いたいのか。それにしても事実関係はどうでも信じ込みさえすればそれが真実だというのでは情報源がどうかは関係ないではないか。ほかにも最後に何か微妙に言いたいことがあったようだがはっきり言わないので無視する。 そういうことで気に入らないところもあって特に褒める気にはならないが、原作マンガのアニメ化ということでは悪くない。若干の独創性を評価するかどうかは人による。
[ブルーレイ(邦画)] 5点(2019-04-13 13:30:45)
14.  寄生獣 完結編 《ネタバレ》 
前回に続いて普通に面白かったが後半は少しバタバタした感があり、また物語の面でも特に切ないとか愛しいとかいう感情が湧くほどではなかった。しかし唐突な交合場面はけっこう痛々しい印象で、これを見た橋本愛ファンの反応は内心どうだったのかとは思った。ちなみに自分としては、いまだに大森南朋と新井浩文の区別がつかないので同じ映画に出すのはやめてもらいたいと思ったが、同じ映画に出ていることでかえって違いが目立ってわかりやすかったということはある。  以下余談として、前回から気になっていたことのうち、まず前回冒頭のナレーションに対応するものとしては市長の大演説が目立っていたが、環境テロリストの自己正当化の主張などまともに相手にしていられるかという感じで説得力どころでない。こういう糾弾型の主張はいまだに時々やっているが、聞かされる方はたまったものではない(やかましい怒鳴るな)。 また犬の件に関しては、要は共生の観念につながっていたようだが、どうもペットと散歩するとか添い寝する程度のイメージしかないようで正直落胆した。クマとかコモドオオトカゲが相手では寄り添いづらいだろうが、そもそも人類の身体を乗っ取らなければ生存できない生物など、自分のこととして考えれば誰も存在を容認できないはずである(奇特な志願者がいれば別)。 最終的には、人類が他の生物と折り合いをつけながらそれぞれに生きる、という現実的なあり方が一応示されていたと取れなくもないが、やはり通常の野生動物と同列に扱えない架空の生物を使って、人間と自然の共生にまで結び付けるには無理が出ている。原作の方は結構まともな内容だったとすれば、やはり映画では表現できていないことが多いのではないかと想像するが、これを見て何を書くかと一応考える機会にはなったといえなくもない。
[DVD(邦画)] 5点(2018-07-28 17:28:17)
15.  寄生獣 《ネタバレ》 
原作が有名なのは知っていたが読んだことはない。この映画を見る限り普通に面白い話にはなっている。 映像面でいえば、以前に「海賊とよばれた男」(2016)というのを見た時は(三丁目は見ていない)、かつて実在していたものを現に存在しているように見せられたので驚いたが、この映画ではマンガを立体化して実写映像と違和感なくすり合わせした感じなので、それ自体で感動というほどでもない。 また出演者に関して、個人的には深津絵里、橋本愛といった女優を好きだと思ったことがないので主要キャストに関しては不満足である。主人公の同級生役で出ていた山谷花純という人は前から知っていたので注目していたが、最後に二つになってしまったのは残念だ(原作では死なないはずではなかったのか)。ほかどうでもいいことだが、東出昌大という役者は身長が高すぎだ。  以下余談として、原作は1988年からの発表とのことだが、この映画でも冒頭からしていかにも20世紀の青臭い環境論が鼻につく。それほど人類による環境負荷を嫌うのなら、半分とか1/100とか言わず絶滅させてしまえばいいだろうがと思うわけで、何をどうしようという観念もなく声高にアピール(自己主張)して終わりの昭和臭さを感じる。何なら先進国が温室効果ガスを削減する代わりに途上国には人口を削減してもらうかといった皮肉も言いたくなる。 また犬に関することでは、生きた犬も死んだ犬も同じく尊重すべきと思うのは構わないが、そういうことをいえばヘビもカラスもカマドウマもコウガイビルも全部同じように扱わなくていいのかと言いたい。愛護動物を前面に出した方が一般にはわかりやすいとしても、地球環境問題を尖った形で取り上げる割に、生物多様性という面では大して考えていない状態のように見えた。 まあ続編があることがわかっているのでここで突っ込んでも仕方ない。
[DVD(邦画)] 5点(2018-07-28 17:28:14)
16.  きみの声をとどけたい 《ネタバレ》 
言霊を扱った映画は「学校の怪談 呪いの言霊」(2014)以来である(中身は全く違う)。 個人的には最後の展開が意外だった。まさかこうなるとは思わなかった。年少者向けアニメとはいえ一応は現実世界のこと(紫玉は主人公の主観的な現象という前提)として話が進んでいくので、キセキという名目で絶対あり得ないこと(皆が見ているところで紫玉が大量発生)を起こすとまでは予想していなかったわけだが、まあこれは初めからこういうものだったと割り切るしかない。意識障害からの回復は絶対あり得なくはないので、そういうことなら普通に奇跡として受け入れられる。 中心テーマのコトダマに関しては、悪口を言うと本人に返るというのは現実的な教訓だが、願いを言葉にすれば必ずかなうとも思われない。口に出すのが実現のための第一歩というならそうかも知れないが、それは努力家のお嬢様にこそふさわしい行動様式である。そこまでご立派でなかった主人公も、自分の言ったことを自分で受け取った結果として生きる姿勢を改めて、それがその後の就職につながった…と思えばいいのかも知れないが、どうも派手なキセキに気を取られて、まともな成長ドラマの部分が見えない気がする。  一方、音楽著作権には厳しい割に、その他社会通念は無視というのはこの手のアニメに必須だとでもいうことなのか。特に、いくら高校生の趣味的活動でも、商店街の協力者やリスナーを巻き込んだ時点でそれなりの責任が発生するのであって、病院の母親とさえ直接関係のない個人レベルの事情で放送を使うのには反感を覚える。いろいろ気に障ることは多いながらも、“これはほのぼの系アニメだから”と自ら宥めながら見ることを強いられて、それが最後に全部帳消しになるほどの大感動はない感じだった。 ちなみに劇中の女子高生が外見的にみな可愛いのはアニメなので当然として、人格的に最も魅力がないのは主人公だった(一般代表を兼ねているからか)。人間以外ではカエルの位置付けが半端である(仏様の化身?)。  なお余談として、「長寿の鐘 お題目を唱えてからおつき下さい。」と書いてあるのに主人公が完全無視していたのは自分が咎めることではないとして(この宗派に特に義理はない)、その方面では有名と思われる「龍ノ口法難」というのがこの辺のことだったというのは今回初めて知った。この宗派でも言霊は重要なのか。
[DVD(邦画)] 5点(2018-06-24 12:56:23)
17.  京都太秦物語 《ネタバレ》 
率直な印象としては、とにかく男二人が気にくわない。幼馴染もかなり痛い奴だが、研究者の方はあまりにもバカ丸出しで笑うこともできない。どちらも駄目な男で、観客としてはヒロインとの関係の発展が期待できない(したくない)ため、途中で今にも席を立ちそうになった。それでも他の客の邪魔になるのを避けて最後まで見たところ、ラストの場面だけは納得した。自分が泣けたわけではないが、思い当たることのある女性なら泣けるかも知れない。 ただ実は、キャッチコピーの印象からして最後にもう一つ波乱というか、もっと微妙な状態に陥る可能性もあるかと思ったのだが、何もなく普通に終わってしまったのは拍子抜けだった。この映画の性質上、これ以外の結末はありえなかったのかも知れないが。  ところで幼馴染の男が終盤、夢破れたときの滑り止め、というようなテキトーな感覚で一生の仕事を決めていたのは少し気になるが、それはまあいいとして(みんなそうだったろうから)、単純に親世代と同じく家族経営で豆腐店という前提だと、司書を目指していたはずのヒロインの夢までが消え去ることにならないか。男の方は実現困難な夢だったから断念するのは仕方ないが、ヒロインの夢は極めて現実的かつ実現途上にあり、観客としてもかなえてほしいという思いがある。地域連携映画という事情はあるにせよ、個人の志望より映画の都合(=商店街の都合)が優先するのでは、第三者の目からは理不尽に見えるので、ここは余計な不満の生じないようにしてほしかったと思う。 まあ特殊な成立事情の映画なので、あまり妙なところに突っ込まず、制作に関わった学生とともに映画の完成を喜んでやるべきなのかも知れない。しかし、そんなことまで斟酌しなくても、実は個人的にヒロイン(演:海老瀬はな)が好きになってしまったので、最終的な印象はそれほど悪くなかったというのが実態である。
[映画館(邦画)] 5点(2012-03-04 22:12:52)(良:1票)
18.  吸血怪獣 チュパカブラ 《ネタバレ》 
配給会社によればグロテスク・ホラーだそうだ。チュパカブラとは南米で有名なUMAらしい。 原題は「チュパカブラの夜に」であって、午後に始まり翌日の朝で終わるが、その間の一晩に壮絶な殺し合いがあって登場キャラクターがほとんど死滅する。動物の死骸とか緑色の吐瀉物とかシチュー状の血液とか人体損壊とか内臓を焼いて食う(肝臓か)とか汚い・グロい場面が多いので、苦手な人は見ない方がいい。 話としては人間同士が延々と殺し合うだけで怪物は脇役のようでもあり、そこに貧相な殺人鬼まで絡んで来るのでまとまりなく見える。しかし本筋に見える家族間抗争と怪物が全く関係ないわけでもなく、さらに例えば今回帰省した男が、怪物の出現を含めた全ての発端に関わっていたと思うべきではないかという気もしたが、考えるための材料が揃っているかいないかわからないので面倒臭い。実際それほど暇でないので未解明で放棄する。 なおチュパカブラは最初の目撃例が90年代でわりと新しいものらしいが、この映画の時代設定は現代というより近代のように見える。あえて昔の話にした意図もわからないが、昔はこの程度のことはよくあった、という雰囲気は出ていたかも知れない。今はないともいえないだろうが。  その他の事項について、 ・エスニック調のテーマ曲が特徴的だが、軽薄なBGMがうるさいところがある。 ・チュパカブラは昭和の仮面ライダーに出た怪人のようで、着ぐるみの人間が中腰になってケモノらしく見せようとするのが間抜けくさい。 ・唐突に出た殺人鬼は役名が「Velho do Saco」(袋の老人)になっている。これはもともと悪い子を袋に入れてさらって行く怪人のことで、英語でいうブギーマンと同様に、聞き分けのない子を親が脅す際に使う言葉のようだが、それをこの映画では下世話な感じでリアル化してみせたらしい。本筋と関係あったのかはわからない。 ・動物の死骸が目立つ映画だが、エンドロールでは“撮影中に動物を虐待したり怪我をさせたりすることはありませんでした”(Nenhum animal foi maltratado ou ferido durante as filmagens)と書いてあり、本当はどうだったか別として一応気を使ったようには見せている。カエルは殺されなかったので無事かも知れない。
[インターネット(字幕)] 4点(2022-08-27 10:07:07)
19.  きばいやんせ!私 《ネタバレ》 
九州最南端の南大隅町にある「御崎祭り」を題材にして、祭りの再興と、主人公である不倫女子アナの再出発を重ねた映画である。 冒頭の「大怪獣ガメラ」は笑った(「小さき勇者たち ~ガメラ~」(2006))が、あとは笑わせたいのか何したいのかわからない地味な雰囲気で進行する。抑制的に見えるのはいいとして、かなりの時間にわたってどの登場人物にも共感できない状態が続くのはつらい。中盤の展開もいい加減な印象だったが、そもそも女子アナの心情など思いやる気にもならず、最後の心機一転も当該個人の問題なので自分として喜ばしいとも思えなかった。  地元振興という面からいえば、劇中の安いTV番組など大した役にも立たないだろうと思っていたが、実は地元民もその程度の認識だったようで、結果的には和牛日本一の方が重く扱われていた。また自称映画プロデューサーの顛末を見れば、TVだけでなく映画なども当てにはできず、さらにいえばこの映画自体に関しても、一応まともに完成はしたが本質は同じと取れる。要は、TV番組や映画など何かのきっかけくらいにはなるかも知れないが、本当に大事なのは人間の底力だ、と言いたかったのなら確かにそうだと納得できる(主人公のドラマとしても同様)。よくある地域おこし映画のようでいながら、上辺を飾らず本音を通した点ではいい映画だった。 個別の場面では「責める価値もない」という突き放した言葉が出たところが好きだ。豚舎が臭いという正直な台詞も綺麗事排除でいいことだが、しかしそもそも外部の人間をやたらに入れるなとは言いたくなった。  出演者としては夏帆が出ているから見たわけだが、劇中人物としては最後まで嫌な奴だったので見た意味がない。一方で太賀という役者は、最初の場面ではこんな男だったか?と思ったが、最終的には外見的にも性格的にも人が違ったように見えたのが面白い。要は序盤の軽薄で上滑りする感じの態度は彼なりの防御姿勢の表現だったようで、個人的にはここが人物描写での見所だった。 なお南大隅町は食堂経営者役の愛華みれという人の出身地だそうである。自分も昔、佐多岬まで行こうとしたが遠いので途中で断念した覚えがあるが、映画の時点でもまだ現地にはコンビニもないとの話が出ていた。ただ少なくとも2021年現在では大手チェーンの店舗もあるようなので、東九州自動車道のおかげか何かで交通の便はよくなっているのかも知れない。
[インターネット(邦画)] 4点(2021-08-21 08:48:27)(良:1票)
20.  銀魂 《ネタバレ》 
原作は読んでいないが笑える映画ならいいかと思って見たところが大して笑えるわけでもなくかろうじて少し笑いかけてこらえたのは「てへぺろ」のところだけという有様でほかは橋本環奈の体形が気になってしょうがなかったという思い出しか残らず要は原作ファンが盛り上がるための映画だったのかと思いかけたところでネット上の評判を見るとどうもこのシリーズはイケメン揃いなことが売りになっているようでそういえば去年8月頃にうちの部署の女子が2を見に行きたいと言っていたのはそういうことだったのかと初めて得心がいってそれなら最初からムロツヨシも佐藤二朗も安田顕もどうでもよかったわけだと落ち着いた気分になったので大変よかったと思った。2は見ない。
[インターネット(邦画)] 4点(2019-01-19 08:58:25)
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