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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1874
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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1.  キリングゲーム(2013) 《ネタバレ》 
18年間、ずっと捜したよ、血眼になってな。ようやく奴の尻尾を捉まえることが出来た。これからどうするかだって?決まってる、ハンティングに行くのさ――。1990年代、泥沼の民族紛争が続いたボスニア・ヘルツェゴビナ。そんな狂気の戦場に従軍したフォード大佐は、心に深い傷を負ってアメリカへと帰って来る。以来、大自然に囲まれた山奥の山荘でひっそりとした生活を営む彼の元に、〝あの男〟がやって来るのだった。そう、ボスニアの戦場でフォード大佐と因縁浅からぬ関係にあったあの男が……。鬱蒼と茂る森を舞台に、ボスニア紛争に端を発する2人の男のそんな命を懸けた“キリング・ゲーム”をスリリングに描いたネイチャー・アクション。ロバート・デ・ニーロ&ジョン・トラボルタの夢の競演ということで今回鑑賞してみたのだけど、いやー、なんなんですか、このショボい出来上がりは(笑)。だいたいこの2人ってボスニアで何があったんですか?最後まで観たのに、いまいちよく分からなかったんですけど!!核となる部分がこれなので肝心の物語が盛り上がるわけもなく、その後の2人の森の中での決死の追跡劇もけっこうトホホな理由で立場が入れ代わったりするものだから、もう自分は苦笑するしかなかったです。だって、トラボルタとか相手が狙っているのを分かっていながらワインを取りにノコノコ姿を見せて、案の定脚を弓矢で射抜かれたりするんですよ!対するデ・ニーロもせっかく相手を捕まえて机に縛り上げたのに、自分で斧を打ち下ろして間違ってその縄を切っちゃうってどんなけアホやね~~~ん(笑)。脚の傷にロープを通してそれで木に吊るしたり両頬に矢を貫通させたりといった、無駄にグロいシーンが多いのにも辟易です。挙句、最後は中途半端に薄っぺらい反戦メッセージを残して終わり…。うーん、何年かに一本、こういうネイチャー系鬼ごっこ映画が出て来ますが、その中でもかなりレベルの低い作品でございました。
[DVD(字幕)] 3点(2023-11-06 06:39:39)
2.  きっと地上には満天の星 《ネタバレ》 
彼女の名は、リトル。女手一つで自分を育ててくれる母親とニューヨークに暮らす、何処にでもいるような5歳の女の子だ。ただ、彼女が住む場所は普通の人とはちょっと違う。そこはなんと、現在運行中の地下鉄のさらに下に掘られた廃トンネルの片隅。行政の手の及ばないそんな地下深くで暮らしてきたリトルは当然、これまで地上の光を見たこともなかった――。彼女の母ニッキーは麻薬に溺れる売春婦。愛娘のためになんとかして生活を立て直そうともがくのだが、麻薬がらみのトラブルのせいで何もかも上手くいかない。運悪く、それまでほったらかしだったこの廃トンネルを何とかしようと行政が動き出し、彼女たち住民は突然立ち退きを迫られてしまう。このままでは自分は逮捕され、大切な一人娘のリトルは施設に保護されてしまうだろう。八方塞がりに陥ってしまったニッキーは、リトルを連れ地上に出てくるのだった。リトルは、そこで初めて光に満ち溢れた地上の世界を目にするのだった……。ニューヨークに実在した地下生活者たちをモデルに、ずっと地下の暗闇の中で育てられた5歳の少女とその母親の逃避行を淡々と描いたヒューマン・ドラマ。結論を言うと、なんか凄く良かったです、これ。ほぼ、ホームレスと変わらない生活を送っている少女と麻薬中毒の母親がその日の食事と泊まる場所を求めて駆けずりまわるという、もう観れば観るほど気が滅入ってくるお話なのですが、とにかくこの主人公となる少女が魅力的!地下の暗闇でただひたすら母親の帰りを待つ健気な姿、無邪気に笑いながら母親に身体を洗ってもらうシーン、隣人のホームレスに計算を教えてもらう時の好奇心満々の表情、どれもがキラキラと輝くような魅力を放っていて、この悲惨な物語を明るく照らし出すことに成功している。そんな彼女が行政の手を逃れて初めて地上に出るシーンは、彼女の不安感や焦燥が生々しく伝わってきて胸が締め付けられそうでした。その後に彼女たち親子が辿る運命……。優しく接してくれた売春宿の元締めが実はロリコン野郎にこの少女を高値で売りつけようとしてたり、食事を分けてくれたホテルのコックが何も事情を聞かずすぐに警察に電話しようとしたりと、あくまでリアルでそこがまた辛い。「きっとこれはどう転んでも幸せな結末にならないんだろうな」と思ったら、まさかの母親の最後の決断。余りに辛く、哀しい母親のその結論に僕は思わず涙してしまいました。恐らく母親はこのまま麻薬を止められずボロボロになって死んでゆくのだろうし、5歳のリトルは「ぼんやりと憶えているあの人がきっと母親だったんだろうな」との想いを抱きながら施設で独り育ってゆくのだろう。きっとお互いもう会うこともなく、それぞれの人生を歩んでゆく……。それでも僕はこの先、2人が再会して幸せな人生を歩んでほしいと願わずにはいられませんでした。小品ながら、心に深く突き刺さる傑作だと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2023-09-25 07:40:39)
3.  記憶探偵と鍵のかかった少女 《ネタバレ》 
記憶探偵――。それは他人の記憶の中に入り込み、その人にしか知り得ない無意識下の真実を探り出すことによって、世の中に溢れる様々な難事件を解決へと導き出す特殊な職業だ。業界最大手の一流企業、マインドスケープ社に所属するジョンもそんな記憶探偵の一人。ところが2年前に妻を亡くしたショックから、彼は長いスランプに陥っていた。このままでは妻の思い出が沢山詰まった家まで売り払わないと明日にも破産してしまう。ジョンは上司に掛け合って、記憶探偵としての仕事を何とか廻してもらうのだった。「大富豪の一人娘がもう1週間も飯を喰ってない。きっと過去のトラウマが原因だ。ジョン、どうだ?簡単な仕事だろう。すぐに向かってくれ」。藁にも縋る思いですぐにその大富豪の邸宅へと向かうジョン。そこには謎めいた言動を繰り返す16歳の美しい少女、アナが待っていたのだった。彼女のトラウマの原因を探るため、ジョンはすぐさま彼女の記憶の中へと潜り込んでいくのだったが……。他人の記憶の中に自在に入ることが出来る特殊な能力を持った探偵が彷徨い込んだ、そんな一人の少女の深層意識という名の迷宮を濃厚に描き出すダーク・ミステリー。クリストファー・ノーランが生んだ傑作『インセプション』が公開されてから、こういう人の深層意識の中へと潜り込んでいく系の作品がやたらと流行ってますね~。でも、その多くは『インセプション』とは比べるべくもない駄作ばかり。本作もその例に漏れず、『インセプション』のような世界観を頑張って構築しようとして(主人公の妻が記憶の世界に留まり続けて鬱状態から自死へといたったという設定なんて、そのまんまですやん笑)、見事なまでにお話が破綻しちゃってます。クライマックスで種明かしされる事件の真相も「いやいやそんな馬鹿な」と呆れるようなもので、僕は思わず失笑しちゃいました。ラストのハッピーエンドなんて、無理やり捻り出した感が半端ない。そして、こういう作品の一番の肝となるのはやはり主人公が彷徨い込む精神世界をいかにセンスよく映像化しうるかどうか。確かに、監督がゴシック趣味全開の少女ワールドを濃密に描き出そうと頑張っているのは分かるのだけど、うーん、残念ながら僕はそんなにセンスを感じませんでした。こういうのを観るといかにクリストファー・ノーランが天才かがよく分かりますね。記憶の中に入り込まれるアナという少女を演じた子がなかなかの美少女で、そんな彼女が太ももムチムチのホットパンツ姿を惜しげもなく披露してくれたことを考慮して+1点しときます。
[DVD(字幕)] 5点(2023-08-15 09:22:40)
4.  キャメラを止めるな! 《ネタバレ》 
低予算ながら類い稀なるアイデアと優れた脚本の力で日本で大ヒットを飛ばしたゾンビコメディ映画『カメラを止めるな』。そんな大ブームを巻き起こした作品がまさかのフランスでリメイク!しかも監督は、『アーティスト』でアカデミー賞の栄誉に輝くミシェル・アザナヴィシウス。と言う訳で今回鑑賞。世間ではいまいち評判が良くないみたいですけど、自分はこれはこれでけっこう面白いと感じました。オリジナルはとにかくコメディ全振りで最後の方なんて大笑いしながら観てましたけど、こちらはけっこうブラックな皮肉が効いていて思わずニヤリとしてしまう感じですかね。ここらへん、日本とフランスの国民性の違いなのかな。最近の行き過ぎたポリコレを揶揄するようなきわどいネタをサラっとぶっこんでくるとこなんてナイス!冒頭、ゾンビ映画の主人公たちがバリバリ西洋人なのに何故かみな日本名という不自然さの理由が明らかにされたとこなんて普通に笑っちゃったし。なるほど、パール・ハーバーですか(苦笑)。ただ惜しいのは、肝心のそのワンカットゾンビ映画のクオリティが明らかにレベルが低くなってしまっているところ。キレの良さとかテンションの高さとかはやはりオリジナルの方が圧倒的に上ですね。あとこれは好みの問題なのかも知れませんが、主人公の女性が致命的なほどタンクトップとホットパンツが似合ってないのはひじょーーーに残念!!とは言え、オリジナルを忠実に再現しながらも独自のセンスを織り込んだ本作、僕はそんなに嫌いじゃなかったです。
[DVD(字幕)] 6点(2023-08-14 08:25:12)
5.  ギリシャに消えた嘘 《ネタバレ》 
1962年、ギリシャ。3度目の結婚を果たし、新たな若い妻と新婚旅行でこの地を訪れた初老の証券マン、チェスター。その正体は本国アメリカで詐欺まがいの取引によって多くの被害者を生んだ証券詐欺師だ。ある夜、高級ホテルに泊まっていた彼らの部屋に怪しげな男が訪れる。どんな手を使ってでも金を取り戻したいと言う投資家に雇われたという彼に、チェスターはいきなり拳銃を突きつけられるのだった。だが、チェスターは思わず反撃し彼を殺してしまう。さらに間の悪いことに、数日前に知り合った怪しげな現地の観光ガイドにそれを見られてしまう。「あなたとあなたの奥さんを助けてあげてもいい」。何故かそう訴えるその若い観光ガイドの名はライダル。その日から、証券詐欺師とその若く美しい妻、そして彼女に熱い視線を向ける観光ガイドという3人の危険な逃避行が始まったのだった…。風光明媚な観光地ギリシャを舞台に、嫉妬と愛情、そして犯罪が渦巻く男女の逃避行をミステリアスに描き出すサスペンス・スリラー。ヴィゴ・モーテンセンとキルスティン・ダンストという実力派俳優2人が、そんな刹那的な逃避行を続ける夫婦を艶かしく演じていると言うことで今回鑑賞してみました。夫婦に何故か現地の貧しい若い男が割り込み、アテネからクレタ島へと逃走を続けていくうちに、彼らに何だか三角関係的な葛藤が芽生えていく様を本作はスリリングに描き出していきます。確かにこの最後まで続くねっとりとした緊迫感はなかなかのもの。歴史や文化に彩られた60年代ギリシャの風景もとても美しく、そんな3人のミステリアスな関係を盛り上げるのに一役買ってます。そこらへんは素直に楽しめました。ただ、演出的に爪の甘さが目立つのが本作の弱点ですね。特に、簡単に人が死んでしまうのは如何なものか。冒頭、私立探偵がホテルにたった一人でやって来て主人公ともみ合ううちに浴室に頭を打って呆気なく死んでしまうというのは、さすがに物語の導入としては弱いと言わざるを得ません。他にも、若い観光ガイドが何故か主人公たちの逃避行についてくる理由付けや主人公の妻が辿る運命など、色んなところに粗さが目立ちます。3人の男女の嘘と嫉妬が交錯する怪しげな雰囲気は凄くよかっただけに、そこらへんが残念な作品でありました。6点。
[DVD(字幕)] 6点(2023-07-28 12:43:57)
6.  奇跡の海 《ネタバレ》 
僕の思想信条に多大な影響を与えたと言っても過言ではない傑作「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を撮った、暗黒の虚空に燦然と輝く天才映画作家ラース・フォン・トリアーによる哀切極まりない人間ドラマ。そんな本作を語る前にあらためて「ダンサー~」で描かれたテーマについて述べたいと思う。それは結局人間の幸せは全て相対的なものでしかなく、自分がいま幸せかどうか、自分の存在に本当に価値があるのかどうかを判断するのは最終的には自分の主観でしかないということだ。もしそんな自分の主観では到底受け入れられないような不幸な境遇に追い込まれたり、あるいは自分の幸せを守るために取り返しのつかない罪を犯しそうになったとき、人の心は果たしてどのようにその危機を回避しようとするのか?きっと、自分以外の第三者によって自分の挫けそうな心を補強してもらいたいと願うはず。そう、その第三者こそが〝神〟に他ならない。ではもしこの世に神が居なければ、この残酷な出来事で溢れ返る醜い世界で、人はどのようにして生きていけばよいのか。また、キリストの如き真の心優しき人間は最終的には人々の悪意によって十字架に掛けられ襤褸布のように死んでゆくしか道がないのではないか?ドストエフスキーが「白痴」などの大作群で追求したそんな深甚なるテーマを、トリアーは映画という手法でもって現代に受け継いでいる。「ダンサー~」では、神を持たなかった女の悲劇を追及していたが、本作の主人公ベスは見れば分かるとおり、冒頭からはっきり神へと縋り付いている。セルマもベスも宗教的に言えばどちらも〝聖なる愚者〟。だが、トリアーはこの世に神など居ないということを、ベスが完全なる善意でもって売春婦となる過程でつぶさに炙り出してゆく。〝神〟とは人間が造り出した生きる為の、そして数々の罪から目を逸らす為の理由付けに他ならないとでも言わんばかりに。そんな残酷な現実を突きつけながらも、トリアーは最後に鳴り響く鐘の音に「それでも人間は生きるために神へと縋りつくしかない」という人間本来の普遍的な切なさをぎりぎりのところで肯定している。「この世に神が居ないなら、どうして人は自殺しないで生きていけるのですか?」これはドストエフスキーの「悪霊」の中の言葉だが、本作にはそれへの答えが――完璧ではないにせよ――提示されている。その後、トリアーは「ダンサー~」を撮ることでその思想を根底から覆してしまうのだが…。正直、「ダンサー~」が僕に与えた影響があまりにも大き過ぎて、その姉妹編とも言える本作を観ることでその影響に揺るぎが生じるのではないかと懸念し、今まで鑑賞してこなかったのだが、それは僕の杞憂に過ぎなかった。こちらも人間の愚かさと美しさを冷徹に見つめた傑作と言っていい。
[DVD(字幕)] 9点(2023-07-19 09:29:37)
7.  嫌われ松子の一生 《ネタバレ》 
原作も、小説の神様が降臨してしまったかのような傑作だったけど、この映画もそれにまったく見劣りすることない傑作だった。そもそも山田宗樹の原作って、「夫も子供たちも送り出して掃除も洗濯も済ませた昼下がり、安心安全な私の家のリビングで美味しいお紅茶でも飲みながら、ロクでもない男に騙されてひたすら堕ちていく女の人生を追体験してみたいわぁ」という、多くの日本の主婦たちの願望を叶えるために書き始めたのだろうお話。けど、狙ったのか筆がどんどん滑ってしまったのか、あまりにもその堕ち方が凄まじくて、そんな主婦たちの健全な願望を返り討ちにした挙句、多くの人の心をとらえて離さない傑作に仕上がっていた。中島哲也監督はそんな原作の持ち味をものの見事に捉えて、ファンキーでトリッキーで猥雑でしかもとてつもなくエネルギッシュな映像で原作に負けず劣らず凄い作品に仕上げてしまった。素晴らしい。こんな狂った世界で、ちっぽけで愚かかもしれないけれど、松子は必死に足掻きながら幸せになろうとした。そんな彼女の強さも弱さもすべてひっくるめた圧倒的な情熱が深く胸を打つ。
[DVD(字幕)] 10点(2023-05-13 05:58:18)
8.  キャロル(2015) 《ネタバレ》 
私の天使、天から落ちたひと――。1950年代のニューヨーク、まだ同性愛に厳しい保守的な思想が色濃く残っていたこの時代。デパート店員として平凡な日々を過ごしていたテレーズはある日、運命の人と出逢ってしまうのだった。相手の名は、キャロル。愛のない結婚生活に終止符を打ち、かけがえのない一人娘とともに新たな生活に踏み出そうとしていた美しい女性だった。人目を忍んで何度も逢瀬を重ねた二人は、ある夜、重大な決断を下す。「このまま何もかもを捨てて二人で旅に出ましょう。気の赴くまま、どこまでも西へと……」。離婚するなら娘の親権は渡さないと強硬な態度に出る夫、どうせすぐに自分の元へと戻ってくると言い張る横柄な彼氏。面倒なしがらみを一切捨てて、ただ運命の赴くまま西へと逃避行を続けてゆくキャロルとテレーズ。やがて、二人は女同士の友情を遥かに超えた運命の恋という名の美酒に溶けてゆく……。同性愛者でもあった人気ミステリー作家が別名義で発表した恋愛小説を詩情豊かに映像化した大人のラブストーリー。この映画の最大の美点は主役を演じた、ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラの二人の魅力に尽きると思います。社会の理不尽な仕打ちに抗うためプライドと美意識で必死に武装するキャロル、かたや自分の感情に常に忠実であろうとする若く美しい女性テレーズ。正反対であるがゆえ、またどちらも社会の中で生まれついてのマイノリティであるがゆえに、お互いの魅力に強く惹かれ合ってゆく二人。極めて純粋で情熱的な愛の形をこれほどまでに美しく演じた彼女たちの奇跡の共演に、最大限の賛辞を贈りたい。特に、二人が初めて身体を重ね合わせるシーン、僕がこれまで観たすべての映画の中でも比肩しうるもののない、もっとも官能的で美しいベッドシーンでした。もちろんそんな二人の複雑な心理を繊細に紡いだ、監督の演出力の高さも忘れてはなりません。女と女という狭い枠を超越する普遍的な愛の物語。至高の映画体験をさせてもらいました。8点。
[DVD(字幕)] 8点(2023-03-27 13:18:22)
9.  キャッシュトラック 《ネタバレ》 
彼の名は、パトリック・ヒル。通称〝H〟。最近、現金輸送を専門とするセキュリティ会社に就職したばかりの普通の男だ。10年務めた欧州の警備会社が倒産し今回この会社に応募、採用試験もぎりぎり合格点レベル、妻とも離婚、家族もおらず無口で不愛想。同僚からも少し浮いた存在である彼は、簡単に言うと冴えない男だ。ロサンゼルスの街で日々黙々と働いていたそんなある日、彼が運転する輸送車が武装した凶悪な強盗集団に襲われる。だが、Hは全く取り乱すことなく冷静沈着な判断力と高い射撃能力でやすやすと敵を排除するのだった。そればかりか、後日襲ってきた別の強盗集団も彼の顔を見た瞬間、金には目もくれずすぐさま逃げ出してしまう。上司も同僚もこれには驚くばかり。果たして彼は何者なのか?FBIや会社の上層部が疑念を深める中、全米で最も現金が動くブラック・フライデーが近づいてくる……。世界でも有数の危険区域であるLAで現金輸送車のドライバーとして働く謎めいた男の過去を巡るドラマを重厚に描いたクライム・アクション。監督・主演は、ハリウッドのエンタメ映画界を牽引するガイ・リッチー&ジェイソン・ステイサムコンビ。と言う訳で、そこそこ期待して今回鑑賞してみました。そんな僕の期待をそこそこ上回るそこそこ面白い映画でしたね、これ。まあベタっちゃあベタですけどツボを押さえた演出はどれも嵌まっていて、最後までそこそこ楽しめました。いかにもガイ・リッチーらしい現代と過去を行き来する脚本も分かりやすく練られていて、後半の急展開にもけっこう驚かされました。まあかなり力技でしたけど(笑)。重低音を効かせた重苦しい雰囲気も嫌いじゃなく、ひたすら口をへの字にして無双するジェイソン・ステイサムも相変わらず渋い。各シーンにタイトルをつけて章仕立てで見せる演出もかっこいいし、特に最後の「肝臓・肺・脾臓・心臓」のタイトルの意味が分かるラストシーンは痺れました。まあ内容の方は3日も経てばきれいに忘れそうなお話だったけど、そこそこキレのいいアクション、そこそこ面白い脚本、そこそこ華のある役者陣と、そこそこ面白い映画の見本のような作品でありました。うん、そこそこの7点!!
[DVD(邦画)] 7点(2023-03-10 07:20:56)
10.  消えない罪 《ネタバレ》 
彼女の名は、ルース・スレイター。過去、保安官を射殺した罪で捕まり、20年も服役して今日出所してきたばかりの哀しい女性だ。当然仕事もなければ貯金もゼロ、両親はすでに亡くなり友人ももはや音信不通、頼るあてもない。そんなルースの唯一の心の拠り所は、彼女が捕まったときに離れ離れとなってしまった幼い妹の存在だった。当時5歳だった妹との生活は、これまで辛いことばかりだったルースの人生の中で一番光り輝いていた瞬間だった。だが、これまで獄中から何度も手紙を書いたが返信は一切なし、面会すら叶わず、知っていることは風の便りに何処かの裕福な家庭に養子に貰われたという情報だけ。生きていれば今頃25歳になっているはず。小さな水産加工会社に採用され働き始めた彼女は、独力で妹の行方を捜し始める。でも、警官殺しの過去は簡単には彼女を許してくれない。世間からの厳しい目に晒され、次第に孤立してゆくルース。さらには事件の遺族から嫌がらせの電話まで受けるように。どんどんと追い詰められてゆくルースだったが、相談を聞いた優しい弁護士から妹の居場所を突き止めたとの知らせが届き……。許されざる罪を犯してしまった孤独な女性の更生の日々を淡々と見つめたヒューマン・ドラマ。世間から孤立し、次第に行き場を失くしてゆくそんな元犯罪者を演じるのは実力派女優サンドラ・ブロック。観ればみるほど気が滅入るような陰鬱なお話なのですが、監督の丁寧な演出のおかげで最後まで惹き込まれて観ることが出来ました。刑務所から出所してきたばかりの彼女の日常をひたすら追うのではなく、彼女と偶然知り合うことになった弁護士一家、彼女と生き別れ今は義理の家族と幸せに暮らしている妹、そして彼女に父親を殺された被害者遺族、それぞれのドラマに焦点をあてる演出は相当巧み。互いに信じる価値観や信念があり、それが相容れないためにどんどんとぶつかり合ってゆく様は、誰もの気持ちが分かるぶん切なさが半端ないです。ただ唯一の肉親に会いたい主人公、今やかけがえのない家族の一員である娘を守りたい義理の親たち、主人公に父親を殺され人生をめちゃくちゃにされた兄弟……。「きっとこれは誰も幸せにならない暗い結末を迎えるんだろうな」と正直、げんなりしながら観ていたのだけど、でも、最後のシーンで自分は救われたような気持ちになりました。確かに現状は何も変わっちゃいない、何なら事態はますます複雑で不幸になるかもしれない。それでも主人公は最後、生きる希望を取り戻した。不幸で理不尽な現実に微かな希望の光を当てる、慈しみに満ちた秀作。
[インターネット(字幕)] 8点(2023-02-13 06:52:50)
11.  ギレルモ・デル・トロのピノッキオ 《ネタバレ》 
命を宿した木彫りの人形の大冒険を描いたイタリア児童文学の名作『ピノッキオ』。アニメや実写などこれまで何度も映像化されてきたこの名作を今回クレイアニメという手法で映画化。しかも監督はなんとギレルモ・デル・トロ!これは観ないわけにはいきますまい。早速インターネットで鑑賞してみました。そんな僕の期待を裏切らない、素晴らしい出来の作品でした!とにかく圧倒的に手間暇かけたであろう映像が凄い。見た目はちゃんと手作りの人形なのにここまですべらかに動くんですから、いったいどれだけの時間をかけたのやらと気が遠くなりますなぁ。ゼペット爺さんに造られたという主人公の造形も思いっ切り木彫り感が残っているリアルな質感で、可愛すぎず気持ち悪すぎずという絶妙の匙加減でした。嘘をついたときに伸びるハナも思いっ切り普通の樹木なのも拘りが感じられて良い。当時のムッソリーニ政権がもたらしたファシズムの暗い影をテーマとした物語も深みがあって非常に良かったです。声優陣も豪華で、特にコオロギのクリケット氏を演じたユアン・マクレガーが声だけなのに彼と分かるほどの存在感が凄い。最後の歌声なんて聞き惚れてしまいました。ウサギたちが働く死者の国もユーモラスで大変グッド。僕の大好きな『パンズ・ラビリンス』を髣髴させる、この何処か暗い世界観がとにかくツボでした。うん、なかなか面白かったです。8点!!
[インターネット(字幕)] 8点(2022-12-29 07:19:27)(良:1票)
12.  キュア ~禁断の隔離病棟~ 《ネタバレ》 
ニューヨークの大手金融機関に勤めるエリートサラリーマン、ロックハート。順風満帆な生活を送っていた彼だったが、ある日、過去の不正行為が明らかとなり窮地に追い込まれてしまう。事実を知った会社はそんな彼にあるペナルティを課す。それは一通の手紙だけを残しスイスの療養所へと入所してしまった社長を速やかに連れ戻してくるというもの。選択の余地などないロックハートはすぐさま荷物をまとめ、スイスの人里離れた山奥にあるというその療養施設へと旅立つのだった――。19世紀の古城を改装したというその施設へとようやく辿り着いたロックハート。そこは世界中の富豪老人たちが集まり、地下水を利用した独特の療法が行われていた。ところが、面会時間を過ぎているという理由で彼は門前払いさせられてしまう。仕方なく引き返すことにしたロックハート。直後、彼の乗った車が事故を起こし、意識不明となった彼はそのまま施設へと入院させられてしまう。やがて目覚めた彼はすぐに知ることになるのだった。この施設に隠された恐るべき闇の部分を……。ハリウッドのヒットメーカー、ゴア・ヴァービンスキーの最新作はそんな怪しげな雰囲気が全編に漂うサスペンス・スリラーでした。うん、なかなか面白かったですね、これ。禍々しい空気に支配された美麗な映像がとにかく素晴らしい。一見掃除が行き届いた清廉潔白な施設のように見せかけて、お話の進行とともに少しずつ闇の部分があらわになっていくところなど見せ方が凄く巧い。随所に差し挟まれる黒いウナギのような生物が暗い水の中で蠢く映像なども悪夢的で強烈。何日も不眠に悩まされ目の下に隈を作りながら、そんな悪夢のような世界を彷徨う主人公を演じた若手俳優ディン・デハーンもまさに嵌まり役。何処かカフカや阿部公房を髣髴させるこの不条理な世界観は見応え充分でした。ただ、本作には致命的な欠点が一つ。とにかく長い!この内容で2時間20分はさすがに長すぎます。明らかに無駄なシーンが何か所かあり、そこら辺を削れば絶対2時間以内に収まったはず。最後、急にオカルトテイストになったのもちょっと唐突で違和感が拭い切れませんでした。この美しい悪夢とも呼ぶべき独特の世界観はすこぶる好みだっただけに惜しい。あと、決して美少女では無いもののヒロインを演じたミア・ゴスの存在感は抜群でした。彼女がウナギだらけのお風呂に入ったり施設長におっぱい揉まれたりとなかなか体当たりで頑張ってたのも良かったです♡。
[DVD(字幕)] 6点(2022-11-28 11:33:41)
13.  キングスマン: ゴールデン・サークル 《ネタバレ》 
世界を密かに?救ってきた謎の英国紳士たちのぶっ飛び大活躍を、お下品&エログロアウトぎりぎりのセンス溢れる映像で描いたスパイ・アクション第2弾。いやー、相変わらず面白かったです!ほんとにこのおバカな世界観をひたすら真面目に追及するマシュー・ボーンのキレッキレの演出力は今回も冴え渡ってましたね~。ただ、さすがに前作のインパクトが強烈だっただけに、今回はそこまでの衝撃はなかったですかね。悪役のジュリアン・ムーアがいまいち弾けきれてないないような?まあ普通に面白かったですけど、前作ほどではなかったってことで7点!
[DVD(字幕)] 7点(2022-11-18 12:43:14)
14.  キャンディマン(2021) 《ネタバレ》 
鏡に向かってその名を5回唱えると〝やつ〟が現れる――。左手に美味しそうなキャンディを掲げ、何も知らない子供たちをおびき寄せると右手に隠した鋭い鉤爪で次々と血祭りにあげるという、恐ろしいキャンディマン。長らく都市伝説だと思われていたそんな恐るべき殺人鬼に執拗に狙われる人々の恐怖を描いたクラシックホラーのリメイク。カルト映画として名高いオリジナルの方は未見。だからなのか、非常に分かりづらい作品でしたね、これ。とにかくストーリーがさっぱり分からない。結局キャンディマンって何だったの?なぜに主人公であるあの黒人アーティストを執拗に襲うの?途中で急に出てくる女子高生はなぜにキャンディマンを呼び出して殺されるの?伏線も説明も何もないまま、ただお話だけが強引に展開してゆくので観客は最後まで置いてけぼり状態。この監督って、実は映画の基本となるお話の語り方が恐ろしく下手な人なんじゃないかしら。長年差別され不遇の境遇に追いやられてきた黒人たちという社会問題をテーマとして扱い、単なるホラーとしては終わらせないという監督の意気込みはわかるのだけど……。身も蓋もないことを言ってしまえば、映画として単純につまらない。肝心のホラー描写も変に現代アートのような見せ方をするもんだから、はなについてちっとも怖くないですし。差別や貧困といった社会問題を広く世間に訴えたいのなら、まず面白い映画を作ってこそだと僕は思います。
[DVD(字幕)] 4点(2022-11-04 09:03:45)
15.  キング・ホステージ 《ネタバレ》 
ここはアメリカのとある地方都市。貧しい家庭に生まれながらも幼いころからずっと力を合わせて生きてきたマイキーとJPは、世界一仲のいい兄弟。特別な絆で結ばれた彼らだったが、その後の人生はまるで正反対なものだった。街のギャングたちのボス、エディ・キングに見入られた兄マイキーはクスリがらみのチンピラとしてずっと日陰の世界を生き、実業家として成功の足掛かりを得た弟JPは愛する妻とともに充実した毎日を送っていた。だが、そんなJPの元にある日、予期せぬ手紙が届けられる。コカイン取引に失敗した兄が誘拐され、三日以内に35万ドル払わなければ命の保証はないというのだ。犯人は間違いなくエディ・キングだったが、確実な証拠は何もない。知り合いの刑事に相談しても親身になってくれるどころか、兄の偽装誘拐まで疑われる始末。もはや頼れるのは自分だけ。JPはたった一人の兄を救うため、自ら行動を起こすのだった――。毎度おなじみニコラス・ケイジがイカれたギャング役を演じた本作、あまり期待せずに今回鑑賞してみました。正直、さっぱり面白くなかったんですけど!なんかこれ、脚本がテキトーすぎません?だいたいこのどうしようもない兄をそこまで慕う主人公にさっぱり感情移入できません。なのでまあ物語が盛り上がらない盛り上がらない。悪役であるギャングのボスもイカれてるというよりただ単純に頭が悪いだけだし、ジョン・キューザック演じる刑事なんて最後まで何もせずぐだぐだ文句を言うだけで居る意味がほぼ皆無。また、ただでさえストーリーのテンポが悪いのに、要所要所に差し挟まれるスローモーションがそれに拍車を掛けています。だいたいこのスローモーションを多用した映像も見にくいだけでセンスが欠片も感じられない。挙句、取って付けたような薄っぺらいハッピーエンドで終わるとこなんてもう目も当てられません。最近のニコケイ映画の中でもかなり出来の悪い駄作でありました。3点。
[DVD(字幕)] 3点(2022-10-26 12:00:22)(良:1票)
16.  君の名前で僕を呼んで 《ネタバレ》 
イタリアの避暑地で出会った青年たちの男同士の恋愛を濃厚な映像で描いたラブロマンス。とにかく若い男たちの引き締まった肉体美が素晴らしいですね。滴り落ちる汗の匂いがこちらにまで漂ってきそうで、何とも官能的でいい。なんだか昔読んだ三島由紀夫の小説を思い出しました。この昔のヨーロッパ映画のような古風な作風が個人的にそこまで嵌まらなかったですけど、いい映画だったと思います。
[DVD(字幕)] 7点(2022-09-16 08:51:03)
17.  THE GUILTY ギルティ(2018) 《ネタバレ》 
「私の名は、イーベン。今、元夫の車に拉致され何処かへと向かっている。私、このままじゃ殺される、お願い、助けて」――。ある日、緊急通報センターに掛かってきた、そんな一本の電話。通報を受けたのは、少し前にここに配属されたばかりのオペレーター、アスガーだった。追い詰められたような彼女の口調に緊急性の高い案件であると直感した彼は、すぐさま警察と連携を取り、発信元である高速道路にパトカーを向かわせる。だが、正確な位置も車両ナンバーも分からないため、パトカーはその車を発見することは出来なかった。事態は一刻の猶予もないと判断したアスガーは、携帯の登録情報を元に彼女の実家へと電話を掛けてみる。電話に出たのは、イーベンの長男である幼い子供だった。詳しく話を訊いてみても、血だらけの自分のママが父親に連れ去られたと泣き叫ぶだけ。どう考えても異常な事態。居ても立ってもいられなくなったアスガーは、警察とは別に独自の行動を取るのだが……。緊急通報センターの狭い一室を舞台に、拉致監禁事件へと巻き込まれた一人の女性を救うために孤軍奮闘するオペレーターの姿を描いたサスペンス。登場人物はほぼ主人公であるこのオペレーター一人のみ、あとは電話の向こうにいる幾人かの人々とのやり取りのみで描くという挑戦的なスタイルで描かれた本作、これがなかなか緊迫感に溢れたサスペンス・ドラマの佳品に仕上がっていたと思います。同じような設定の作品はすでにハル・ベリー主演の過去作にあったのですが、あちらは設定こそ秀逸だったものの後半はかなり残念な仕上がりになっていたことを思うと、本作の後半の展開はけっこう考え抜かれていて素直に面白かったですね。何より、驚愕の展開を見せるクライマックスはこちらの予想を遥かに上回ってきました。「まさか、そう来るか」という感じです。そこに主人公の過去に起こした罪を絡めてくるところなんかも巧い。こんなにも地味でこんなにもお金が掛かっていないのに、ここまで面白いドラマを創れるんですから、この監督の才能はなかなかのものなんじゃないかと思います。まあここまでオペレーターが好き勝手に電話できるのかという脚本の突っ込みどころはありますが、それも僕的には許容範囲内。ハリウッド・リメイクも決定したということで、今からそちらも楽しみな逸品でありました。
[DVD(字幕)] 7点(2022-06-16 10:07:35)
18.  THE GUILTY ギルティ(2021) 《ネタバレ》 
ここは、ロサンゼルス各地からかかってくる911コールを一手に引き受ける緊急通報センター。自らのデスクで今日も業務にいそしむ彼の名は、ジョー・ベイラーだ。数日前に発生した大規模な山火事により、その日はいつもよりも通報が多くもう目が回るような忙しさだった。ようやく勤務が終わるというその時間に彼はある一本の通報を受ける。「私の名は、エミリー。今、元夫の車に拉致され何処かへと向かっている。私、このままじゃ殺される、お願い、助けて」――。明らかに切迫した彼女の悲痛な声に、ジョーは運転しているであろう夫に悟られないよう慎重に言葉をかける。警察と連携を取り、すぐさま発信元である高速道路へとパトカーを向かわせるジョー。ここで彼の仕事は終わったはずだった。だが、自らも幼い娘を抱える彼は、携帯の登録情報から彼女の実家へと電話を掛けてみる。電話に出たのはエミリーの幼い子供だった。詳しく話を訊いてみても、血だらけのママが父親に連れ去られたと泣き叫ぶだけ。さらにはまだ赤ん坊の弟までナイフで刺されて血だらけになっているという。どう考えても異常な事態。居ても立ってもいられなくなった彼は、現場の警察とは別に独自の行動を取るのだが……。緊急通報センターという閉じられた空間を舞台に、主人公であるオペレーターとあとは電話の向こうにいる幾人かの人々とのやり取りのみで描くという挑戦的なスタイルでスマッシュヒットを飛ばしたデンマーク製サスペンスをリメイクしたという本作、監督は男臭いエンタメを得意とするアントワン・フークワでしかも人気実力ともに今一番脂ののっているベテラン俳優ジェイク・ギレンホールが主演を務めております。ちなみに僕はオリジナルの方は鑑賞済みで、そのワンシチュエーションな設定ながら練られた脚本の力で最後まで見せきったなかなかの佳品だったので、今回楽しみに鑑賞してみました。結論を言うと、ほぼオリジナルに忠実なリメイクでしたね、これ。状況設定もお話の展開も最後のあっと驚くどんでん返しも。なので新たな驚きはなかったのですが、やはり見どころは主役を務め、ほぼ最後まで独り芝居を披露したジェイク・ギレンホールの熱演でしょう。オリジナルで主役を演じた方も決して悪くはなかったのですが、ハリウッドの第一線で子役の頃から何十年もキャリアを積んできた実力派はやはり違いますねぇ。最後までぐいぐい惹き込ませる素晴らしい熱演でした。特に最後、自らの過ちに気づいた彼の真に迫った表情には圧倒されるものがあります。新たに追加された山火事設定がいまいち活かされていなかったのがちょっと気になったけど、なかなか見応えのあるサスペンス・ドラマの逸品でありました。お薦めです。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-11-01 03:49:39)
19.  CURED キュアード 《ネタバレ》 
人間を狂暴化させる新型ウィルスが爆発的に蔓延し、大混乱へと陥ってしまったヨーロッパ。感染した者たちは見境なく人々を襲い、そしてその肉を喰らうという常軌を逸した行動へと走るようになるのだった。自らの親や子供、友人たちを容赦なく襲う感染者たち。世の中がそんな地獄絵図へと化す中、ここ、アイルランドも例外ではなく、社会は壊滅的な打撃を受けてしまう――。だが、人々はその後、治療法を開発し、感染者の七割以上が無事に回復するまでになっていた。残りの回復しない感染者をどうするのかという問題に直面するなか、回復した元感染者たちの社会復帰が開始される。ここでもう一つの問題が浮き彫りとなる。回復した元感染者たちは皆、狂暴化していたときの記憶を何一つ失ってはいなかったのだ。無事に日常生活へと戻ってきた元感染者であるセナンもまた、狂暴化していた時期の自らの記憶により、心に深い傷を負っていて……。パンデミック後の混乱した社会に生きる人々の苦悩を、とある一人の男の姿を通して描いたサバイバル・スリラー。という内容を聞いて、もっとエンタメ寄りの作品だと思って今回鑑賞してみたのですが、意外にもこれって社会派寄りのシリアスなドラマだったのですね。だとしたら、いまいち深みが足らないように僕は感じてしまいました。貧富の格差や移民問題、それによって拡がる社会の分断のメタファーとしてゾンビを扱うというアイデア自体は悪くないんです。異物を排除しようとする社会的多数派と暴力によって自らの主張を認めさせようとする社会的マイノリティ、そしていつまで経っても反社会性を失わない者どもを密かに抹殺しようという権力の暴走……。911から続くそんな深刻な社会状況をゾンビという分かりやすい要素で捉えようというのは非常に興味深い試みだったとは思うんですよ。更生したテロリストたちの社会復帰という問題もメタファーとしてよく効いている。ただ残念ながら彼らの思想的対立がいつまで経っても深まっていかず、ただ淡々と物語が進んでゆくので僕は正直中盤から退屈に感じてしまいました。エンタメ映画として観るには圧倒的に娯楽性に欠けるし、社会派映画として観るにはいかんせん深みに欠けるという、なんとも中途半端な作品でございました。
[DVD(字幕)] 5点(2021-07-29 05:24:05)
20.  キャッツ 《ネタバレ》 
初回上演から現在まで、ロングランヒットを続けるミュージカルの名作を映画化したもの。原作舞台に特に思い入れがあるわけでもなく、有名な劇団四季による日本公演なども未見でしたが、何かと話題だったので今回鑑賞してみました。ネット上でも話題沸騰の、あの猫のリアルな擬人化具合は確かに気持ち悪かったですね~~~。普通に考えて彼らは服を着ていないわけですから、もちろん性器も肛門も丸出しなわけじゃないですか。それなのにお股をおっぴろげにしちゃうとことか、あまりにもハレンチでもう見てられなかったですね。普通に服を着ている猫も居たんで、より彼らの全裸感が強調されるという謎のダメ押し具合(笑)。さらに呆気にとられたのは、ゴキブリたちまで擬人化されて歌って踊りまくるところ。キッチンで行列作ってケーキに群がってたと思ったら、最後は猫に食べられちゃうという普通に考えて悪夢としか言いようのないシーンをご陽気に見せられた日にゃもう苦笑いするしかありませんでした。歌って踊ってる人も特殊効果した人も振り付け担当の人ももちろん観客もいったい誰得なんでしょー(笑)。肝心の内容の方も、好きな人には申し訳ないですけど、ここまで内容のないお話を見せられて、正直、僕は最後まで一切楽しめませんでした。うーん、自分には何がいいのかさっぱり分からなかったです。
[DVD(字幕)] 3点(2021-05-12 02:05:44)
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