1. 恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ
ジャズだけどニューヨークじゃなくってシアトル。ニューヨークよりも田舎っぽくカラフルでポップな感じ。そこがいかにも80年代って感じがする。でも奏でられる音楽はどれもこれも聴かせる。そしてたぶんどの歌も最後までちゃんと聴かせていたはず。途中でフェイドアウトして場面が切り替わったりってなかったはず。音楽映画でそれやっちゃダメってよくわかってる。一回だけ途中で切られちゃうシーンがあるんだけどしっかりジェフがそのことに対してブチ切れる。他のことにはクールに兄をなだめていてもここだけはブチ切れる。やっぱりよくわかっている。ジェフの立ち振る舞いがいちいちかっこよすぎるのが難。ラストシーンの街の風景がいい。 [DVD(字幕)] 6点(2011-06-30 13:54:54) |
2. コクーン
《ネタバレ》 欲望の塊のような老人たちの醜悪な行動がはるか彼方から仲間を救いにやってきた宇宙人たちのその仲間たちを無残にも殺してしまう。とんでもない蛮行である。にもかかわらず宇宙人たちは老人たちを死の訪れない世界へ招待してくれるという。我も我もと群がる老人たち。友好的宇宙人と接触するには子供、あるいは子供のように澄んだ心の持ち主と相場は決まっていたが、この映画の超友好的宇宙人たちはなぜ老人を選ぶのか。それは老いた者にとっていかにこの世界で生きてゆくことが厳しいものかを宇宙人たちがその醜い蛮行の中に見たからだろう。でも宇宙人たちにはそれがわかったが、我々にはいまひとつそのへんの絶望とやらが伝わりきれていないかもしれない。娯楽映画なんだし、あんまりリアルな絶望を見せられても困るのだが。あまり必要とは思えない若い男と宇宙人の女との恋とか触れ合わない愛の営みとか別れとかいうのは無理矢理にでも入れなきゃならなかったに違いない。ハリウッド資本というのはいろんな縛りがあって当然。そんななかで無難に仕上げてみせたロン・ハワードの力量は相当なものだと思うが、一方で物足りなさも拭えない。 [DVD(字幕)] 6点(2010-09-03 17:51:04) |
3. 恋しくて(1987)
ベタベタもここまでくるとかえって良かったりするのかな。高評価にびっくりした。いや、私自身はベタでもいいんだけど世間は違うだろって思ったんで。金持ち高慢ちき野郎があまりに金持ち高慢ちき野郎だし、不良はいいやつすぎるし、キスの練習って、んなアホな、だし。でもやっぱ単純でわかりやすいほうが甘酸っぱさを共感しやすいのでしょうかね。個人的に片思いで悩んだりヤキモキしたりときめいたりって経験がないのでこの辺よくわからんのだけど。当然なんだけどファッションから音楽までもろ80年代で、この80年代特有のカラーは正直苦手かも。ラストシーンの夜の道の異様なまでの輝きが印象的です。 [DVD(字幕)] 6点(2010-03-18 14:06:45) |
4. ことの次第
《ネタバレ》 見るからにSFと解かる画が長々と続いたかと思うと唐突にカット!の声。SF映画を撮影するスタッフたちが映される。その海に面したロケ地にゴダールの『軽蔑』を思い出したのだが、続いて監督がドイツ人で名前がフリッツ(『軽蔑』ではフリッツ・ラングその人が出演している)、プロデューサーがアメリカ人、そして商業主義への批判と、まさに『軽蔑』の映画製作部分が模倣されてゆく。さらにはだいたい時を同じくして作られたであろうゴダール『パッション』の映画内映画製作に描かれる物語の有無における対立、あるいはトリュフォー『映画に愛をこめて アメリカの夜』のようなハプニングに会いながらも仲間内のなごやかで、どこか楽しげな撮影風景が映し出される。映画は後半、アメリカに舞台を移したところから全く別の色合いを帯びてくる。言い換えればヴェンダースらしくなっているのかもしれないのだが、前半に登場した魅力的な面々がことごとく置いていかれてそのまま忘れ去られてしまって、なんだかなあという感じ。ラストの銃声と銃声に反応してカメラを構える姿がかっこいい。 [DVD(字幕)] 6点(2008-09-19 12:52:46) |
5. 恋におちて
なんのひねりもない不倫ドラマを名作の域にまで持ち上げたのは、デ・ニーロとストリープの演技力によるところが大きいと思う。とくにストリープの一種の癖のように、そして相槌のように意味無く漏れる笑いの自然さは完全にデ・ニーロを食ってる。二人ともがどこにでもいる普通の人を演じているのだが、その二人が飛びぬけて演技が巧いのでかえって二人以外の人たちが異常に映っているのが面白い。恋愛を勧めておきながら本当にそうなっちゃうと戸惑いの表情を見せる女の友人が妙に物語から浮き始め、女の旦那はサスペンス映画の犯人のように悪者顔に見えてきて、男の妻もえらく現実離れしたドラマチックな表情になり、もともと浮いた存在のハーベイ・カイテルは最後まで馴染まない。誰かが映画の中で浮いた存在になるというのは作品として失敗なのだと思うんだけど、これに限っては偶然か計算かわかんないけど、けっきょく不倫という非常識な行動をしている二人だけが映画の中で普通の人として安定した存在であり続け、二人以外が浮いてしまうことでどこかブラックユーモア的な世界観が出来上がってしまい、そこがかえって私をそそる映画になっている。不倫というよりも普通の恋愛映画のような爽やかさを感じるのは、二人に裏切られた人たちがあっさりと画面から消え去った後出てくる気配さえ感じさせないからなのだろう。とにかく良くも悪くもデ・ニーロとストリープあっての作品。 [ビデオ(字幕)] 6点(2008-04-07 19:49:32)(良:2票) |
6. 殺しのドレス
《ネタバレ》 デ・パルマ版『めまい』(『愛のメモリー』)の次はデ・パルマ版『サイコ』。ちょいと横領を考えちゃった女に対し、ちょいと浮気をしちゃった女に降りかかる恐ろしすぎる罰。剃刀の切り口と切られるときの音楽。主役の変更。二重人格。どこまでも『サイコ』。中年女の性欲を露骨に描くあたりがいかにもこの当時のデ・パルマっぽい。あのオチもデ・パルマのオリジナリティを感じる。ただ、ナンシー・アレン出演のデ・パルマ作品ってどうも細かいところでごちゃ混ぜになってしまう(私の頭ん中で)。あと、無駄に裸が多いのがどうにも安っぽい。 [DVD(字幕)] 5点(2008-03-25 19:14:36) |
7. 五月のミル
五月革命の最中、母が亡くなり久しぶりに家族が集まるが話題は遺産のこと。なんとも不快な展開ではあるけども、ブルジョワのブルジョワゆえの身勝手さや楽観的な行いを見ているうちに不快感は薄れていく。その気楽さ、正直さにフランスの田舎町ののんびりとした美しい風景があいまって「なんだか楽しそう」と思うに至る。しかしドンチャン騒ぎの傍らで黙々と墓穴を掘る使用人の描写で再び不快感を呼び戻す。だからブルジョワ狩の噂に総出で逃げ出す場面はちょっと気分が良かったりする。結末はなんてことはない。五月革命と同じようにこの人達はなにも変わらずそれぞれの家に帰ってゆく。ミルの人格が素晴らしく、そしてそのミルだけがひとり寂しそうなエンディングを見ると、一貫したブルジョワ批判ではなさそうではある。ルイ・マル監督のブルジョワ階級への憧れと嫉妬が垣間見れたような気がする。 6点(2004-11-12 12:45:29) |
8. コックと泥棒、その妻と愛人
あのオッサン、このレストランのオーナーでしょ?なんであんなに下品な振る舞いを自分の店でするの?いやいや、これはストーリーを見てはいけない映画でした。ストーリーを追わなければ、人物を食材や調理器具を隔ててとらえる画といい、緑や赤の色使いといい、”美”を作れば同時に”汚”も生み出すという判っていても目をつぶってきたものを見せつけるこの作品の意図的な無神経さ(なんか日本語おかしいですね、、)といい惹かれるものはいたるところに散らばっている。でもいくらストーリーを追わないっていってもあのオチはどうかなぁ。コックが一度は断わっておきながら「それならば」と了承した、その「それならば」がよく解からん。てか、妻とコックの会話は無いほうが最期までストーリーを無視して鑑賞できたような気がする。 5点(2004-10-27 10:52:11) |
9. ゴダールのマリア
ゴダールの公私にわたるパートナー、アンヌ・マリー・ミエヴィル の短編「マリアの本」とゴダールの長編「こんにちは、マリア」の二部構成というまたまた新たな試みで攻めてきた。そして「こんにちは、マリア」の内容が、聖母マリアの処女懐胎のゴダール流現代劇パロディなもんだから、当然キリスト教団体からは猛烈な抗議運動があったらしい。ゴダールといえば鮮やかな”赤”ですが、この作品はトーンを抑えた”青”が支配する。大いなる意思の象徴たる太陽や月の映像が美しい。大学の授業のシーンではE.Tの話まで出てくる。つまり宇宙の神秘のひとつとして処女懐胎伝説にせまる。処女懐胎は旧約聖書の誤訳と聞いたことがあるが、そんなことはどうでもよい。ゴダール流アプローチは神秘そのものである。耳慣れた数々のクラシック音楽が流れては相変わらずブチッと切れる。わけが解からない部分も多々あるが、私の感覚という感覚にゴダール作品の中でも特に刺激を与えてくれた作品である。完全版があるらしい。ぜひ観てみたい。 8点(2004-04-08 11:50:56)(良:1票) |
10. ゴールデン・チャイルド
チベットからの使者の清楚で凛としたべっぴんさんが軽薄を絵に描いたようなアメリカ人と一夜を共にする。エッチなシーンは皆無だが、その辺の想像力にかけて秀でた私にとってはこれで十分。ゲスな感想ごめんなさい。それだけ女性が魅力的だったということで...。あぁ、内容?うん、まあまあ。坊主が良かったかな。 5点(2003-12-12 18:52:42) |
11. 告発の行方
ジョディー・フォスター のレイプシーンを売りにしただけの作品という印象。レイプは弱い者いじめであり、その後の人生に大きくダメージを受けさす卑劣な犯罪行為であり、絶対やってはいけない事であることは大半の人は解かっていること。解かっていない人がこの映画を見たところで何も伝わらんでしょう。性犯罪における裁判の難しさも然り。では、ストーリーが面白いのかと言えばいたって普通。では、見所はどこか?ジョディー・フォスター のレイプシーンしか無い。 4点(2003-10-30 18:16:46) |