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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1246
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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21.  愛しのハーフ・ムーン 《ネタバレ》 
最近たまたま特殊な事情で「いとうまい子」という名前を目にする機会が多くなったので、昔に遡って若い頃の映画でも見るかと思ったのがこれである。この人にとっては女優として2つ目の出演(主演)作で、いわゆる濡れ場があるほか何かと性行為に関わる発言が多く、清純派アイドル時代からのファンにはかなり衝撃的だったはずである。また原作者が有名女優だったことにも一定の話題性があったものと思われる。 ネット上の記事を見るとこれをポルノ映画扱いしたものもあり、この監督がここまでの間に成人映画(「痴漢電車シリーズ」など)で実績を重ねてきた延長上でみればそうなるのかも知れないが、しかし実際はこの監督が一般映画に転じてからの2作目ということになるらしい。劇中では主演女優を含めて女3人男2人のからみが生じるが、少なくとも現代の目で見れば特に過激ともいえない。  内容に関しては、簡単にいえば結婚を前にした女性の迷いを扱ったもので、映画の作りとしてはかっちりできているように見えるが、しかし個人的には物語自体に面白いと思う要素が正直何もない。またコメディ調ではあるが特に笑えない。 劇中の男女関係を見ると古い時代から現代への変化の過程を示しているようでもあり、序盤で白昼堂々と刺激的な言葉を発していたあたりは、これが時代の趨勢だと殊更に宣言してみせたかのようで気恥ずかしい。一方で親世代の「結婚なんてあんまり悩んでするもんじゃないよ」という発言は、序盤の主人公の言葉と対をなしているわけではあるが、これが実は結構な世代間の断絶を示しているのではという気がした。個人の欲求は素直に肯定する一方、個人の人生を規定してしまうものには慎重になる、ということかと自分としては受け取った。  キャストに関しては、まずは主演女優が見事に可愛らしい。世間的にはこの人のラブシーンが見どころだろうが、この人と並んで、亡くなる前年の堀江しのぶ嬢が自制の利かない緩い女を演じていたのが印象的だった。またその関係で、新郎に「兄弟」と呼びかけていた津村鷹志氏(「ウルトラマンタロウ」の北島哲也隊員)が非常に格好いい。ほかに主人公の友人役の川村一代という人も、昔よく見た顔で懐かしい気がした。
[DVD(邦画)] 4点(2016-11-01 23:16:04)
22.  怒り 《ネタバレ》 
真面目に見たが釈然としない映画だった。見た後で原作を読むと、全体としては原作にかなり忠実に、うまく要約して作られているのはわかったが、それでもなお釈然としない理由は次の3つである。  ①題名と内容が一致しない 題名の意味について、どうにもならないことへの憤懣を「怒り」という言葉で表現していると考えれば、劇中の至るところに大小の「怒り」があることは理解できるが、しかし物語としては3つとも“人を信じること”を主題にしているように見える。これは原作段階でも同様の指摘があったらしく、それに対して映画では、ラストに追加した少女の場面(ギャーと叫んでいた)で「怒り」をより強く印象づけようとしたのではないかと想像する。 ②登場人物の心情に共感しにくい 千葉編と東京編に関しては、それぞれ相手を疑う理由が第三者的にも理解できるものであり、かえって当事者の悔悟と自責の念の方に共感できなかった。しかし原作を読むと、さすが小説では登場人物への共感レベルがまるで違っており、小説の情感が映画では失われてしまって無味乾燥になった感じがする。長さの関係もあるだろうから仕方ないが。 ③全体的に結論を出さず観客に投げる形になっている まず「怒り」の根源について、派遣労働や外国の駐留軍(現時点ではアメリカ軍)、あるいは母親が自堕落だとかいうことなど、大小各種どうにもならないことへのやるせなさがあったとしても、それを観客に訴えてどうしようというのかという疑問が生じる。また“人を信じること”は一応の共通テーマのようではあるが、これも闇雲に“人を信じることが大事”などと訴えていたのではないらしく、映画でも沖縄編は少し複雑だが、原作では映画で省略した4つ目の物語がこの問題の難しさを示している。 答えが出ないようで不全感は残るが、元からそういう作りなのは仕方ない。観客の内なる「怒り」を期するということかも知れないが、あまり期待されても困る。  そのほか原作段階では真犯人の犯行動機がわからないのが不満との声もあったようで、それに対して映画では、犯人の行動と心境に関する台詞での説明を入れてある。またそのことに伴い、真犯人が必ずしも真の悪人ではないということも示唆されていたようで、つまり「怒り」は専ら米軍に向けよということだったのかも知れない(ちなみに原作では白人だったのを映画では黒人にしていた)。 なお出演者に関しては当然ながら広瀬すず嬢が圧倒的な印象を残す。二度は見たくない映画である。
[映画館(邦画)] 5点(2016-09-23 19:58:15)(良:1票)
23.  犬飼さんちの犬 《ネタバレ》 
事前知識なしで見たが「幼獣マメシバ」とリンクしているとは思わなかった。芝二郎というキャラクターを知らない人が見るとかなり当惑するのではとも思うが、まあ犬好きの人であれば一通り全部見て当然のように知っているのかも知れない。自分もたまたま見たことのある人物だったので笑わせてもらったが、さすが先行企画の主人公だけあって発言に説得力がある。「犬を擬人化するのも大概に」というあたりはケモノ全般に通じることだろうから、うちの家の者にも言って聞かせたいものだ(犬はいないがネコはいる)。  ところで、別に犬嫌いではないが犬好きでもない立場でこの映画を見ると、まるで“犬を愛する素質は全ての人にあり、それに気づくことで人は幸せになれる”といったような、いわば神の視点から教訓を垂れるような話になっている。劇中家族や犬好き関係者(一部)の理不尽な行動も、主人公を正しい方向へ導くために神が与えた試練だったのかと思うが、そもそも犬好きでない人間までを共感させるものにはなっていない。最初から犬好きの世界で閉じられた物語であって、犬好きとそれ以外の間を結ぶ話にしようとは思っていないようである。 また劇中では犬限定でない一般論として、相手の気持ちになって考えるとか同じところに安住しないで自分を変えるとか自ら動かなければ結果は得られないとか丸く収めるばかりが能でないというような断片的な人生訓が各所にちりばめられており、これはTVシリーズの方で使ったネタかも知れないが、この映画を見る限りそれほど心に染みるものにはなっていない。主人公が犬嫌いになったエピソードも経験者向けの内容ではあるが必然性が感じられず、またエンディングの歌は本編と全く別の話ができてしまっている。自分が見る限り映画全体としてのまとまりが感じられないが、最低限、犬が出ているというところで筋が一本通っていればいいということかも知れない。 それにしても何で犬嫌いのいる家でわざわざ犬を飼わなければならないのか。ネコにしておけばいいだろうが。
[DVD(邦画)] 4点(2016-08-18 22:19:13)
24.  緯度0大作戦 《ネタバレ》 
東宝特撮の延長で見たわけだが、日米合作のためか違和感が大きい。なぜか悪玉側に日本人女がいて外人男に媚びまくった上に捨てられて醜態をさらすのが見苦しいが、そもそも生き物を職人技で切り貼りしてバケモノを作るというのが悪趣味で、アメリカ人の好みに合わせるとこういう下劣な映画ができるのかと呆れる。またキャスティングの意図はわからないが中高年同士の三角関係など見たくもないのであって、比較的若手の女医にしても変に露出部分が多い割に顔が可愛くないので存在意義が感じられない。  加えてラストが全く不可解で、当時はこういうものが洒落ていると思ったのかも知れないが、どう考えても合理的解釈が不可能なものを作られてしまうとさすがに困るわけである。並行世界という考え方もあるようだが、同じ顔で同年配の人物がたまたま揃ったことは説明できていない。こんなことなら単なる夢オチの方がまだましである。 そのほか特撮面では船舶関係(潜水艦含む)の出来がなかなかいいとかいうことはあるが、ライオンさんとコンドルさんの様子を見れば昭和特撮だからといって不問に付す限界を超えているので全体的には相殺される。また出演者に関しては、黒部進氏ほどの人を正体不明の外国人役で使うなと言いたい。  ここまでさんざん書いておいて少し褒めることはないかと考えたが、上に少し書いた以外にないので困る。日本側ヒロイン役である中山麻理という人のことも書くべきだったろうが書かないで終わってしまった。ちなみに劇中で世界的科学者が誘拐されたときに、米ソが互いに相手方の陰謀だと中傷していた発言の中で「中共の侵略的計画」という言葉が出ていたのは、中ソ対立以降で西側との関係がまだ改善されていなかった時期の感覚を反映したものと思えば少し興味深い。 追記:ほかの皆さんのレビューを見て思い出したが、海底火山の爆発がうまくできていたというのは同感だった。こういうのはもう円熟の技法である。
[DVD(邦画)] 3点(2016-05-14 20:08:37)
25.  いしゃ先生 《ネタバレ》 
戦前から戦後にかけて山村の医療に尽力した実在の医師の物語で、現在の山形県西村山郡西川町大井沢という場所が舞台である。景観面では一般的な山間風景が地味な色調で多少美的に見える程度のようだが、季節や天候によって はっとするような風景に出会うこともあり、劇中ではそのような現地感覚が映像化されていたようで好印象だった。別の場所での撮影も多いとのことだが、月山・姥ヶ岳・湯殿山が並んだ映像は現地付近からの眺望と思われる。また現地で見られるという「春もみじ」も映っていたようである。  医師の物語であるから人の生死も当然関わって来るわけで、撮影地の近辺でいえば「おくりびと」(2008)など、人を死なせて観客を泣かすタイプの映画は多いだろうが、この映画では劇中の様々な出来事が少しずつ見る者の心に染みて、次第にその効果が累積していく感覚があった。少なくとも初見時に大泣きする場面はなかったが、終わってしばらくの間、何となく涙腺が緩んだような状態が後を引く映画になっていた。また撮影時に、実際に診療を受けたことがある地元の老婦人が主演女優を見て、本物の先生のようだと落涙していたというエピソードは感動的だった。 劇中では住民の言動が理不尽に見えるところもあったが、昔は出生率も死亡率も高く、病気になれば仕方ないといういわば社会通念と、それでも家族を失いたくない思いの対立が医師への反発に形を変えていたと解される。医師の存在によって“金がないから見殺し”という構図がかえって明瞭になってしまうということもあっただろう。そういう時代にこの映画の医師は、近代的な倫理そのままに“失われても仕方ない命など一つもない”との理念をまともに実践しようと奮闘していたように見えた。劇中では住民に知識が必要という言葉も出ていたが、それだけでなく人の命に関する意識の変化を、時代に先駆けてこの山村に持ち込んだこともこの人物の功績だったのではと想像する。  ところで脱線になるが、幸子役で出ていた上野優華という人は歌手兼女優とのことで、ほんわかして和む顔で他の映画でも見て知っている。自分がこの映画を見たのも、単にこの人が出ているから、という軽い動機だが、劇中では本当の田舎娘にしか見えずに少し呆れた(方言が下手すぎ)。舞台挨拶に来てくれなかったのは残念だが、この人が歌う主題歌のCDも入手したほか原作本も買って読んだので、動機が不純とはいえけっこう上客のはずである。また舞台挨拶では監督の人柄も見えた気がして大変よかった。 自分にとって郷土の映画というものでは全くないが、そういう狭い郷土意識に頼らずとも地味に応援したくなる映画になっていた。   [2017-06-10再視聴による追記(BD購入済)] 主演の平山あやという人はよく知らなかったが、この映画に関していえば目が強い印象を残す。20代半ばの場面ではまだ可愛らしさを残していたが、30代後半になると充足感が顔に出ていたようで、自分としては川原の場面の表情が好きだ。最後の授賞式での晴れやかな姿は見違えるようで、ここはさすが女優さんといったところである。
[映画館(邦画)] 8点(2015-11-16 00:49:03)
26.  いちばんきれいな水 《ネタバレ》 
かなり残念な映画だった。登場人物で見る限り、妹は利発そうで愛嬌もあり、また叔母は本職の役者でないながらも独特の風格があって大変いいと思ったのだが、肝心の姉がこの顔でこの声で小学生でもやらない放埓な行動をするのは非常に苛立たしい。そのため姉が目覚めてからは一気に見るのがつらくなる。 またストーリーの面でも、「この夏は…」という唐突な発言以降は素直に納得できなくなる。それまでの妹は感性豊かで頭脳明晰で判断力もあってそれ自体何の問題もないように見えていたので、今回の事件で初めて世界が広がったという説明が取ってつけたように感じられる。また外国人の件はどういう意味だったのかわからず(ラテン系は小学生と仲良しになれる?)、手の写真も伏線回収しましたという以上のものになっていない。 ほか水の場面は映像的な見せ場なのだろうが、自分としては最近見たホラー「仄暗い水の底から」(2001)を連想して不吉感を覚えた。まあそれはこの映画のせいではないわけだが。  ところで、特典映像に収録されているサイドストーリー「夏美のなつ~いちばんきれいな夕日」(監督 武正晴、脚本 足立紳)の方は普通に面白い。当然ながら姉は出ないが妹が活発で可愛らしく、バカ少年らとのやり取りも微笑ましいほのぼのドラマである。何より妹役が女優として輝いており、本編の主役にも負けていない(勝っている)のが感動的だった。ほか「小林さん」(演・青木崇高)というのも何気にいい感じを出している。 以上のようなことで、点数は本編だけだと4点だが、サイドストーリー込みで5点にしておく。
[DVD(邦画)] 5点(2015-11-11 20:08:33)
27.  生贄のジレンマ 《ネタバレ》 
よくもこれだけ似たような映画を次々に作るものだと呆れるが、加えてこの映画はとにかく長く、DVD3本の時間表示を単純に加算すると4:37:09にもなる。連続して見る前提でなければまあ退屈せずに見られる内容だが、長さに応じた内容が詰まっているかというとそれほどでもない気がする。 特に問題なのが主人公の行動に全く共感できないことで、死ぬな死ぬなと怒鳴るばかりで自分も死なずに言い訳するとか出来もしないことをやろうとして予定通り失敗するとか俺は何もできないと暴れておいて結局何もしないで終わるとかで本物の馬鹿にしか見えないが、ラストのカミングアウトまで聞けば動機だけはわかる。行動面でうまくいかなくとも、まずは心の指向性(=こころざし)をしっかり持つことが大事だと若年者に訴えるために、あえて逡巡と試行錯誤と愚行の部分を描いてみせたと取れなくもない。これはこれで新しい試みかも知れないが、しかしとにかく見ていて苛立たしい主人公であり、最後はヒロインにまで馬鹿が伝染したように見えるのはやめてもらいたかった。 また終盤で明らかになる真相が後付けで妄想話をでっち上げた印象しかないこと、最後に死人が生き返るのではこの映画自体が人生は簡単にリセット可能というゲーム感覚のように見えること、及びバグだらけのクソゲーというのがこの映画自体の言い訳のように聞こえることを苦情として挙げておく。個人的には最後に残った連中よりも、初回に青木さんの様子を見かねて自分に投票した男に最も共感した。  ところで個性的な若手女優が多数出ているのは大変結構なことで、これが長時間それほど飽きずに見続けるための大きな要因になっていると思われる。ヒロイン役の女優はこれと同時期(少し後)の似たような映画にも出ているが、こっちの方が出演時間がはるかに長いので見ごたえがある。また当初は冷たい感じと思ったミステリアスな少女が、実は弟思いのお姉さんだったというのは心和むものがあった。ほか自分としては2組の保育士志望の生徒(演・佐々木萌詠)の卒業ビデオに泣いた(が生き返った)。 なお余談として、映画部の男2人が「大林」「大森」だったのは微妙な冗談である。また「仮面ライダーW」<TV>(2009)で恋人役だった2人が揃って出ていたが、この映画ではくっつかないのだった。
[DVD(邦画)] 6点(2015-06-21 19:20:20)
28.  インモラル -凍える死体- 《ネタバレ》 
主人公の葛原巡査部長は小柄で可愛らしく、これで刑事というのは呆れるが、人間的には心優しい人のようで大変結構である。またその相棒で長身の雨宮巡査部長は、演者本人(赤井沙希)によれば地のままだそうだが、この人がまたとぼけた感じで面白いキャラクターになっている。この2人のやり取りはほのぼのして心なごむものがあり、そういった登場人物の関係性があればこそ、終盤で凶行に及ぶ犯人を憎む心も増すように思われた。ラストの場面では他の2人も加えて和気藹々で気勢を上げていたので、これからシリーズ化でもしそうな感じだったがこれで終わりのようだった。 なお見ていて非常に気になったのは、雨宮巡査部長が明らかに風邪をひいているのになぜかマスクをしようとしなかったことである。鼻水が垂れるのなら、鼻の穴にティッシュを詰めてその上からマスクをすればいいだろうと思われる。
[DVD(邦画)] 4点(2014-06-28 23:50:50)
29.  偽りなき者 《ネタバレ》 
まず劇中の園長に関して、知性によらず嫌悪感だけで全否定に至るような態度は知的生物たる人類の一員として恥ずかしい。責任者として児童と保護者に申し訳ないという思いで頭が一杯なのか、客観的にどうすべきかが全く見えていないらしいのも組織の管理者としては不適格である。自分の感情処理が最優先になっているにもかかわらず、本人は他人のためと思っているのだろうから始末が悪い。さらに周辺を動員して攻撃対象を孤立させるやり方は卑劣で悪辣であり、これも当人の本性が表に出たのだろうと思われる。これで責任感が強く良心的な人物などと思われているとすれば腹立たしい。 また児童の父親は、要は自分の子が嘘つき扱いされたことに反発したのだろうから主人公の訴え方はかなりまずい。せっかく直接話す機会が得られたのだから、淡々と経過を説明してあとは判断を任せればよかっただろう。親馬鹿はまだ仕方ないとしても、主人公までが感情に訴えるしか能がないのでは全く共感できず、こいつはバカかと呆れるだけである。なお主人公の支援者も基本的には情で動いていたように見えており、その点では対立勢力と同類と思われる。客観的な視点の持てる人物が劇中にいない(裁判所を除く)のは見ていて非常に苛立たしい。 そのほか自分の罪悪感を他人に転嫁して憎悪するタイプの人間もいたかも知れないが、何にせよ大多数の周辺住民は、特に切実な動機もなく自分なりの検証もせず態度保留するわけでもなく単に付和雷同で叩いていただけと思われる。日本の映画なら“これだから田舎は困る”で終わってしまいそうな話だが、外国映画のため素直に普遍的な問題として受け取ってもらえるのは幸いである。  以上、どうせ人間というのはこの程度のものであり、理性的な話が通用するなどと考えない方がいいのは世界共通のことらしい。こんな世の中に生きているよりも、おれはやってない、お前ら全員呪ってやる、と叫んで衆人環視の前で自決して果てれば、関係者全員に一生残る心の傷を負わせて復讐できるだろうが、ただし主人公には息子がいるのでそういう破滅的なことはできないわけである。 なお点数は個人的趣味の問題であまり高くできないが、客観的な評価としてはここの平均点(自分のを除く)に納得する。ストーリーが初めから主人公を追い込む方向で組まれているのは制作側の都合優先に思われなくもないが、映像が美しいのは印象に残った。
[DVD(字幕)] 5点(2014-06-11 20:28:33)(良:1票)
30.  遺体 明日への十日間 《ネタバレ》 
被災の直接描写は省略されているが、どうせもう見たくないので結構だ。死んではならない多くの人々が死んで、自分などが生きているのが情けない。劇中では若い女性がそのようなことを言っていたが、この人物にこの台詞は似合わない。  ところで原作の登場人物のうち、映画では民生委員の人物を主人公とすることで“人間の尊厳”に焦点を当てようとしていたらしく、これは題名との関係でも妥当と思われる。ただし原作では、被災地で働いた全ての人々がそれぞれの職務を果たそうと苦闘したことを伝えているのに対し、映画ではいちいち大げさに嘆いてみせる饒舌なこの主人公が特別の存在感を発揮していたのは正直なところ違和感を覚えた。 また原作は現地の実態を淡々と伝えようとしたかに見えているが、映画では明らかに独自のお話を作っているのがどうも気になる。現実には肉親のことを後回しにしても職務を優先した人々が多くいたはずだが、映画では友人と連絡が取れないという理由で部屋の隅に隠れてしまうような人物をわざわざ出してきて、こんな男の成長物語など見たくもないという気にさせられる。 そのほか原作から台詞だけを借りて来て周辺事情を伝えていないため、登場人物の真意がわからず苛立たしいだけの場面もある。こういう題材を扱ったものを低評価にすると人格を疑われるかも知れないが、残念ながらこの映画にはあまりいい点を付ける気にならない。  なお個別の場面としては、女性職員が小学生の遺体を見て泣き出したのは唐突で不自然だったが、ただし取り乱してしまってわけのわからない行動になっている様子自体は迫真の演技とも取れる。また目の前で娘を亡くした女性が他人を罵りながらも、実は言っていることが全て自分自身に向けられているのを全身で表現していたのは鬼気迫るものがあった。ほかにも女性の嗚咽は聞いていてつらいものが多かった。
[DVD(邦画)] 5点(2014-03-14 19:55:15)
31.  生きていた信長 完全版 《ネタバレ》 
「四月物語」の前座として見たが、これはひどい。どう突っ込めばいいのかわからない。 この信長は先見性というより何かよほどのズルをしている。ひそかに山川の歴史教科書でも入手したのか。こんな歴史操作が許されるなら、一向宗が信長を滅ぼしても文句は言えないだろう。そうなれば次は一向宗の天下だ(うちの寺は真宗)とも思ったが、この信長はあくまで歴史の正統性を盾にしているため対抗しにくいところがある。どうも小狡さの感じられる男だ。 こんな信長は尊敬できないので、悪いがいい点はやれない。だいたいこれで映画一本見たことにしていいのか。
[DVD(邦画)] 2点(2013-02-10 19:24:44)
32.  生きない(1998) 《ネタバレ》 
最後の笑いの解釈にもよるのだろうが、何を意図した映画なのかは結局わからなかった。劇中で女子大生が言っていたことはまさに正論で、この人物でこの年齢ならそれで十分なわけだが、こういうのを叩きのめすのが目的だとすれば大人気ない。生きることの意味、存在の意味に疑念を抱く立場との間で相対化するなら納得できるとしても、ラストは結局後者のみを支持しているように見え、それなら一人で勝手にやれよと言いたくなる。あるいは単に破滅願望を満足させたいだけのようでもあり、それも世間的には一定のニーズがあるだろうが、他人を巻き込まなければ気が済まないというなら個人的には全否定する。 それから、世の中普通にしていても交通事故に遭わない人間の方が圧倒的に多いわけで、都合よく一度に全員死亡などというのは作為しか感じられず、TVの短編ドラマ並みの安易さである。これではとても世の無常などには考えが及ばず、死人の山ができて大喝采というようにしか受け取れない。シリアスな話でこれはないだろうと思うが、それとも最初からこの映画はブラックコメディだったのか? 何にせよ意図がよくわからない映画である。 以上、もしかすると優れた映画なのかも知れない(そのように取る人がいるのもわかる)が、クソ映画の懸念も払拭されないので念のため低評価にしておく。舞台版というのはまた違うのかどうか。 なお女子大生、及びその他の脇役の面々は好印象だった。映像面も音楽も悪くない。
[DVD(邦画)] 2点(2012-09-02 19:52:38)
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