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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2384
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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41.  さよならミス・ワイコフ 《ネタバレ》 
衝撃的な原作小説を過激に映像化しました、感じでしょうか。50年代のアメリカ中西部の田舎町が舞台で、人種問題やフェミニズムを背景にしているのですが、原作の持ち味を活かした人物造形は上手いと思いました。先生を犯す黒人青年が白人からも黒人仲間からも忌み嫌われるクズ野郎と言うのが面白いところです。邦画で良く観られる「社会的弱者=善」という単純極まりない図式じゃないところが気に入ったし、アカ狩りから助けてやった同僚教師(まあこいつは見るからに軟弱な奴だから想像付きましたが)や最初に診察してもらった高校の同級生だった医師まで自己保身にはしってワイコフ先生を見捨てるとところが生々しい。でもこの先生がやったことはさすがに現代の日本でもばれたらクビになってもおかしくないことなので、彼女にもあまり感情移入できないですね。いくらなんでも学校内でヤルのはまずいでしょう。たしかに自殺を思いとどまって薬を投げ捨てるラストはちょっと希望の光が見えましたが、とにかく後味の悪さが残るのは否めないですね。 下宿の女主人を演じているのはマーロン・ブランドの実姉のジョスリン・ブランドなんですが、彼女の前で下宿人の女教師たちが『欲望という名の電車』を観に行く話をして「マーロン・ブランドってセクシー❤」と女子トークするシーンが冒頭にあります。それを聞いて「なんてけがらわしいこと!」と彼女のご主人は怒るのですが、彼女は意に介さず一緒に観に行ってしまいます。この楽屋オチは笑うところでしょ。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2015-11-15 23:57:07)
42.  サンセット物語 《ネタバレ》 
ナタリー・ウッドを主演に据えた『ウェスト・サイド物語』『マンハッタン物語』に続く『物語』三部作の第三弾、というのは冗談でして『ウェスト・サイド』以外は原題に“story”はなく日本の配給会社が勝手につけた邦題で、もちろん映画の内容に関連性はありません。でも『物語』以上に理解不能だったのは『サンセット』で、邦題を考案した人はどこからこの単語を捻りだしてきたのか一度じっくり話を伺いたい(笑)。 というわけで映画のプロット自体は邦題からは想像もつかない『スタア誕生』の様な手垢のついたバック・ステージものです。時代は1930年代(たぶん)でカリフォルニアの海岸でプロマイド屋を営んでいたデイジー・クローバーという15歳の娘がミュージカル・スターとして抜擢され一躍アメリカの恋人的な地位に登りつめるが、わずか2年で芸能界を去るまでがストーリーです。自分は60年代のナタリー・ウッドが大好きなんですが、この映画に出演した66年当時はその魅力が頂点に達していますね。さすがに当時28歳の彼女が15歳の役を演じるのは無理があるんじゃないかと思いましたけど、我の強い少女を違和感なく演じています。まあこういう奔放な女性キャラは素の彼女に近いのでやり易かったかもしれませんけど、この人の視線というか眼ヂカラの強さはずば抜けてます。映画の撮影シーンではウッドのミュージカルパフォーマンスが愉しめますけど、残念ながら唄は吹き替えです。実は『ウェスト・サイド物語』の“トゥナイト”を含めて映画での彼女の歌唱は全て吹き替えなんです、ダンスは素晴らしいんですけどねえ。 なんかこの映画の印象が悪くしてるのは、彼女を取り巻く映画界の面々たちの個性が活かされていないところでしょう。役名が同じで『ファントム・オブ・パラダイス』のスワンのモデルの様な撮影所のボスであるクリストファー・プラマーや母親役のルース・ゴードンはさすがに持ち味を出しています。でもこれが初の大役になるロバート・レッドフォードが、なんかヘンなんですよね。ウッドにちょっかいをかける気障な大スターなんですけど、こいつが何を考えているのかさっぱり意味不明ですし活躍もしません。ウッドと結婚しますが新婚旅行中に失踪してしまい、どこに消えたかと思えば何と男の愛人のもとに逃げてしまったのです。つまりバイ・セクシャルだったというわけですが、いくら駆け出しの頃とは言え天下のレッドフォードがホモのキャラを演じていたとはちょっとびっくりでした。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2015-10-01 22:00:46)
43.  魚が出てきた日 《ネタバレ》 
これは『その男ゾルバ』を観たときにも感じましたのですが、監督マイケル・カコヤニスの同胞ギリシャ人に対する眼差しは痛烈なまでに辛辣です。ぶっちゃけて言うと、孤島の欲の皮が突っ張ったギリシャ人たちがパンドラの箱を開けてしまったために世界が滅亡の危機に瀕するというお話しで、最近のギリシャ危機問題のことを考えますと鋭い予言じゃないかと思います。 ブラック・ユーモア仕立てなのでストレートな緊迫感を与える撮り方はしてないですが、昼も夜も狂ったように踊る観光客たちが迫りくる危機のメタファーになっています。この観光客たち、とくに女性たちのファッションと化粧がまた奇抜で、まるでパリからファッションモデルの団体客が押し寄せてきたみたいです。考古学者という役柄のキャンディス・バーゲンもあんなぶっ飛んだファッションで発掘調査に来る学者なんて世界中どこ捜したっていませんよ。この映画はなんとコスチューム担当が監督マイケル・カコヤニスで、それだけあの突飛な衣装には彼の思いがこもっているんでしょうね。それにしてもキャンディス・バーゲン、スタイルはいいのに凄い貧乳なのにはちょっと驚きました。 でも福島原発で苦しんでいる今の日本人には、核物質が海で拡散して魚が死滅して浮いてくるという絵は、ちょっと現実的過ぎてシャレになりません。
[DVD(字幕)] 6点(2015-08-30 00:19:00)
44.  サプライズ(2011) 《ネタバレ》 
配給会社の担当者は、この映画のどこを観て『サプライズ』という邦題を思いついたんでしょうかね?、やはりあの殺人マシーン・女ランボーの彼女のことだったんでしょうかね。彼女の口からサバイバル・キャンプのことが語られるのを聞いたときには、あまりのご都合主義な脚本に思わず感心してしまいましたが、良く知らないけどあちらのサバイバル・キャンプって殺し屋教室なんでしょうかね。でも敵があまりにも弱すぎかつ頭悪すぎなんでつまらなかったです。いちおうスプラッター・ホラーの定石を再構築したいという意気込みは認めますけど、種明かしするのがちょっと早かったのも失敗でした。前半の家族兄妹のやり取りをみただけでも犯人フラッグが立っている奴は判りますけど、それがほんとのフラッグでしたという展開はこの手の映画としては珍しく、自分にはこれこそがサプライズでした。 それにしてもあの女ランボー、殺し方がほんとエグ過ぎです。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2015-08-15 22:00:44)(笑:1票)
45.  残酷女刑務所 《ネタバレ》 
女囚エクスプロイテーション映画と言うジャンルを開拓した至高の逸品(?)です。ロジャー・コーマンがフィリピンの弟分エディー・ロメロを使って初めてフィリピンで製作した、コーマン製フィリピンロケ映画群の始祖でもあります。監督はジャック・ヒル、本作で起用したパム・グリアーが気に入ったみたいで、ヒルはその後『コフィー』や『フォクシ―・ブラウン』も監督してパム・グリアーを世に知らしめることになります。 さて映画の内容ですが、変態女看守および刑務所長による拷問、女囚たちのレズ・泥レスといったこの手の映画の決まりごとは全て網羅してます。ヘボな脚本のせいで女囚の誰が主役なのか判りづらいんですけど、パム姐さんが主役じゃなかったことは確かです。なんせ脱獄の前にヤク中の女囚に刺殺されちゃうんだから、実にあっけないものです。この刑務所は、東南アジアの某国にあるみたいなんですが、なぜか所長はディートリッヒなんていうドイツ女(実際にドイツ人女優をわざわざ使っている凝りよう)で女囚も大部分が白人、だけど女看守はみんなフィリピン系という奇妙なところなんです。またパム姐さんを始め女優さんたちがみんな演技下手くそでアクションもへっぴり腰のユルさなんですけど、なぜか許しちゃうんですよね、自分は。脱ぎと言ってもパム姐さん以外は鑑賞に堪える様なナイス・バディは皆無なんですけどね、どこかこの映画に私の様なB級映画好きの琴線をくすぐるところがあるみたいです。 怪優シド・ヘイグの若きころのお姿も貴重でしたが、まだツルっ禿げまで行ってないけどこの人はやっぱり若いころから怪優でした(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2015-07-15 23:26:11)
46.  ザ・キープ 《ネタバレ》 
この映画を酷評してしまうのはたやすいことなんだけど、マイケル・マンとタンジェリン・ドリームのコラボにはやはり捨てがたい魅力があります。初っ端からトランシルヴァニアのドヨーンとした曇り空が映り、そこにタンジェリン・ドリームのスコアがかぶさって掴みはもう文句なしです。城(キープ)の内部も雰囲気ある美術セットで、ドイツ軍兵士の装備や服装も凝りまくっています(武装SSに関してはちょっと手抜きましたね)。でもそれも封じられていた魔物が出現するまでで、はっきり言って魔物の造形と光学処理にはガッカリさせられました。 でもいちばんの問題はストーリー展開とあまりに首を傾げたくなるキャラ描写で、どうもこいつは善玉の超能力者みたいなんだけど、程度しかスコット・グレンのキャラなんかは理解できません。原作は分厚い上下巻の大作小説みたいで、それを90分程度に収めようとすること自体がムリだったんじゃないでしょうか。マイケル・マンの仕事とは思えない様な雑な編集からも、どうもプロデューサーあたりが尺をだいぶ切りまくった形跡が窺えます。マンもまだ駆け出しでこれが長編第二作目ですから、あまり文句も言えなかったんでしょうね。もしディレクター・カットがあるのならぜひソフト化して欲しいものです。 余談ですけどSS将校役のガブリエル・バーンの髪形が、北朝鮮のあの若将軍さまを思い出させてくれて困りました(笑)。
[ビデオ(字幕)] 5点(2015-07-09 20:28:09)
47.  最後の審判(1965) 《ネタバレ》 
東宝はBプロ用に海外の推理小説を翻案した作品を60年代半ばごろに製作していますが、本作もその中の一本です。海外の推理小説といっても低予算ですからアガサ・クリスティーの様なビッグ・ネームの作品を使えるはずもなく、本作もW・P・マッキ―ヴァーンという聞いたこともない様な作家の小説が原作です。 プロットは人妻と出来ちゃった愛人が旦那に殺人犯の濡れ衣を着せて抹殺しようとするという手垢のついたお話しです。この頃の仲代達矢は、イケメンなんだけど野心でぎらぎらした爬虫類的な男というキャラはもうハマり役です。淡路千景も、ヤクザな仲代にのめり込んでゆくインテリの女医というキャラを好演していて、熟女の色気がムンムンです。でも肝心の夫を陥れる策略がグダグダなんです。淡路が同僚医師を自宅に連れ込んでいるところを夫に見せつけて離婚させるという筋書きだったんですが、どうもこの作戦の意味が判らない、あまりにまどろっこしいんです。また仲代が利用できるとして喫茶店の吉村実子と関係を結ぶんですけど、彼女は仲代の殺人のアリバイ作りに使われます。でもその殺人はあくまで偶発的に起こったことで、これでは仲代が始めから猟銃殺人を計画していたことになってしまい訳が分かりません。仲代もたいがい大バカ者で、硝煙反応を知らないし捨てればよいのに犯行時に着ていたジャケットを硝煙反応が消せると思ってクリーニングに出す体たらくです。極めつけは、夫が犯人だと信じていた淡路に「自分がやった」と愛の告白のつもりでばらしてしまうことでしょう。 これはもう、原作小説じたいが駄作なのか脚本家の腕が悪すぎるのか、まあ両方なんでしょうね。後半には伴淳三郎が刑事として登場しますが、これがもう『飢餓海峡』の弓坂刑事そのまんまのキャラだったのには笑ってしまいました。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2015-05-27 20:11:17)
48.  サイレントパートナー 《ネタバレ》 
まさにデ・パルマ風タッチを模倣した様な作風の映画、デ・パルマの様なキレ味鋭いめくるめくような映像美はないですけどね。でも良く考えてみれば、この映画が撮られた78年ごろと言えばデ・パルマはまだ『フューリー』を撮ったぐらいの頃で巨匠と呼ばれるには程遠く、『殺しのドレス』や『ボディダブル』は80年代のお話しです。それなのにこの濃厚なデ・パルマ臭は実に不思議です、ラストのクリストファー・プラマーの行動なんか『殺しのドレス』をパクったのかと思ったぐらいです。 スザンナ・ヨークが意外とストーリーに絡まないで謎の女が中盤に登場し、そこから始まる三すくみの騙し合いがなかなか面白い。エリオット・グールドの部屋とその下にある電話ボックスからのやり取りは印象的です。驚くほど残虐なクリストファー・プラマーがまた秀逸で、グールドの部屋のドアの郵便受けからいきなり顔をのぞかせるシーンは(どんだけ幅の広い郵便受けだよ、という突っ込みはさておき)、心底びっくりさせられました。でもこのプラマーを罠にはめて警察に逮捕させちゃうグールドも、飄々としたただの銀行員じゃない曲者ってところが良かったですね。あとただうろうろしてるだけの銀行の同僚役だったんですが、ジョン・キャンデイが妙に目立ってました(笑)。 この映画は脚本はカーティス・ハンソンなんです、そりゃ面白くないわけがありませんよね。
[DVD(字幕)] 7点(2015-05-17 19:16:09)
49.  猿の惑星 《ネタバレ》 
間違いなく史上もっともネタばれしている映画です。「人類滅亡後の猿が支配する地球に帰りついた宇宙飛行士」なんて映画紹介を書くジャーナリストまでいるぐらいで、おそらく20歳以上でこの結末を知らない人はいないでしょう。でも公開間もない頃に何も知らずにこの映画を観てしまった時の衝撃ときたら、自分の中では未だに三大トラウマ映画のひとつに君臨しています。 昨今の邦画と違っていろいろなプロット上の謎を放置したまま物語は終わってしまいます。宇宙船は何を目的としていたのか、人間はなぜ言葉どころか声さえ出すことが出来ないのか、などけっこうあるんです。でもこういうあまり細かいところを追求しないストーリー・テリングも観る者の想像力をかき立てる効果がありますね。脚本上どうしてもクリアできなかったおバカな部分は多々あります。だいたい猿が使っているのが英語だという時点で、テイラーはここは地球じゃないかと気づかねばなりません。そりゃ広大な宇宙では生命体が存在する地球に酷似した天体があるでしょうけど、使われている言語まで一緒だなんてさすがにあり得ないです。洞窟の中で人形や眼鏡まで発見しているのに「これは地球の文明に良く似ている」なんて講釈たれるところなぞ、もうコントみたいな感じですよね。まあそこら辺はいきなり人間と猿が逆転している世界にほうり込まれたら、普通の人なら混乱して冷静な思考が出来なくなるだろうからということで、大目に見ておきましょう。 原作者ピエール・ブールの日本軍による捕虜体験(どうもこれはウソみたいです)をカリカチュアしたストーリーだと解釈する向きがありますが、猿の文明における進化論が出てくるところなど観ても、私には製作当時のアメリカ社会に対する風刺が色濃い脚本じゃないかと思います。あまりによく出来たプロットなので、色んな時代や社会の暗喩として捉えることができるのは、まさにこの映画の偉大なところでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2015-05-02 15:11:48)
50.  ザ・パシフィック<TVM> 《ネタバレ》 
スピルバーグとトム・ハンクスが製作総指揮をとったいわば『バンド・オブ・ブラザーズ』の太平洋戦争・海兵隊版と呼べるTVミニ・シリーズです。“ミニ”と言いましても全篇通してみれば8時間半あまりもあり、製作費も200億円(!)かけているぐらいですから凄いもんです。原作はドラマにも登場するユージン・スレッジとロバート・レッキーがそれぞれ書いた従軍回想記で、それに海兵隊の伝説的な英雄ジョン・バジロンの物語を加味した脚本構成となっていますが、この脚本は『バンド・オブ・ブラザーズ』よりも優れているんじゃないかと思います。この三人は所属する連隊も実戦参加時期も違っていて物語の中では絡むところはないのですが、観終わってみるとこの三人が同じ中隊で肩を並べて戦っていた様な錯覚に陥るほど秀逸なストーリーテリングでした。 ●ガダルカナル まず彼ら第一海兵師団はガダルカナル島に投入されるのですが(スレッジはまだ入隊していない)、米軍側から見たガダルカナル戦がまた興味深いところです。夜に海上で砲火が瞬き砲声が聞こえてくるのを見物して「海軍が日本艦隊を追っ払ってくれてるな」と歓声をあげてるんですが、実は米艦隊が惨敗した第一次ソロモン海戦を陸から見ていたわけで、夜が明ければ艦隊も輸送船もいなくなっていて孤立無援になっていることに気がついて愕然としまう。これはもう『遠すぎた橋』の英空挺部隊と同じ様な状況で、この状態から日本軍を撃退したんですから決して楽な闘いじゃなかったことが判ります。この戦いでバジロンは名誉勲章を授与されて本国帰還し戦時公債ツアーのスターになります。●ペリュリュー 三話も使って繰り広げられるのがぺリュリュー島の死闘で、ここから実戦経験したスレッジの視点で描かれます。さきに両陛下が訪れたことで少し知名度は上がりましたけど、あまり現代日本人には馴染みがないこの島で海兵隊がいかに苦戦したかが判ります。ガダルカナルでは輸送船から縄梯子を伝って上陸用舟艇に乗りこんでいたのに、この作戦では水陸両用戦車を使う様になってきて、海兵隊の戦術の進歩がよく判ります。日本軍も九五式戦車(もちろんレプリカですけど良く出来ています)を繰り出して反撃するけどあっけなくやられちゃいます。このシリーズでは武器考証はハイレベルですが、全篇を通じても代表的な分隊火器であるブローニング自動小銃が使われていないのは解せないところでした。●沖縄 それまでは民間人のほとんどいない孤島が戦場でしたが、沖縄戦になってくると日本人としては観るのが辛くなってきます。米軍にも苛酷な自然環境は平等ですし、ずぶぬれの泥だらけで野宿しなければいけないというのは、歩兵のつらいところです。育ちの良いスレッジまでもが日本兵の死体から金歯を集める様になってきて、戦争が人間性を狂わせる恐怖をひしひしと感じました。 このシリーズでは一話をまるまる使ってスレッジとレッキーが復員する姿を描いているのが、物語に深みを与えてくれたと思います。狩りに行ったけど「もう死ぬまで銃を撃ちたくない」と父親の胸で泣くスレッジの姿で物語は終わります。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-04-29 20:52:55)
51.  最後のマイ・ウェイ 《ネタバレ》 
この映画を観るまではクロード・フランソワという人の事は正直知りませんでした。60年代から70年代にかけてフランスで大人気だったアイドル歌手で、いわばフランスの郷ひろみか西条秀樹という感じでしょうか。またあの名曲『マイ・ウェイ』も実はこの人が歌ったシャンソンがオリジナルだというけっこう凄い人だったんです。 あまりにダサい邦題のせいもあり世間によくある歌謡もの映画と思っていたら、これがどうしてグイグイと引きつけられるパワーを持った作品で、最後にはホロリとさせられてしまいました。物語はスエズ運河会社の偉いさんの息子として生まれたフランソワが、歌手として成功してゆきこれから全米に進出だというところで信じられない様な事故で他界するまでを追ってゆきます。主演のジェレミー・レニエはメイクもあるでしょうが実際のクロード・フランソワにそっくりで、歌も上手いなと感心したけど良く調べると実際のフランソワの音源を使っているみたいです。この映画の巧みなところは、フランソワに決して感情移入させない様な距離を置いた撮り方をしていることでしょう。たしかにかなり自分勝手な男だし、若いころから整形して顔をいじっても平気だし、落ち目のときには仮病を使ってステージで倒れて同情を買うなんてことまでやってのけます。女性関係も男の眼からも勝手邦題で、フランス・ギャルとのエピソードでは“なんなんだ、こいつは!”って観てて腹が立つこと請け合いです。でもこれもジェレミー・レニエの名演のなせる業なのは間違いないでしょう。母親もまたろくでもなく、ギャンブル狂で借金の山を築くんだから困ったもんです。 成功した中盤以降はこの種の映画ではふつうだれるもんですが、変幻自在な映像を駆使してそのパターンに陥らないように工夫されていてそれが成功しています。朝起きてからファンが群がる自宅を出て始まるある日のフランソワを、長回しを多用して見せてくれたのにはこの監督の才気が良く出ていました。各所で見せてくれるフランソワのド派手なステージ・パフォーマンスも観ていて愉しかったですね。 スターと言うのは頂点に立った瞬間から落ち目になって忘れられてゆく恐怖が始まるものなんですね、そういうスターの強迫観念がとても切実に伝わってくる映画です。ちょっと長尺でしたが、時間を感じさせない濃い一篇でした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-04-27 00:27:05)
52.  ザ・レイド 《ネタバレ》 
噂には聞いていましたけどこれは本当に凄い、私にとっては『燃えよドラゴン』を観たとき以来の衝撃でした。『死亡遊戯』へのオマージュなんでしょうけど、15階建てのボロマンション内に舞台を限定させているのはグッド・アイデアです。その中で、SWATとギャングたちがひたすら銃撃戦・剣闘戦と超ハイレベルな肉弾戦を繰り広げるこの単純明快さ! 格闘技の世界には疎い自分ですが、人間の脚というのは恐ろしい武器になるんだということが良く判りました。またギャングたちがそろって悪そうな面構えなんですよね、プロの俳優じゃなくて本業の人たちを使ってるんじゃないかと思うぐらいです。その中でもちょっと笑わせてくれるのが中ボス(?)“マッド・ドッグ”さんで、わざわざ銃を捨ててたり拘束を解いてやったりしてまで肉弾戦に拘るんですから、この人はもう“肉体戦依存症患者”と呼んであげたい。 カメラワークに関してももう無茶苦茶で、斧を何度も振り下ろすカットで上下する斧の動きにカメラを連動させるところなんかは、この監督何を考えてるんだ!と思わず叫びたくなりました。ラストのオチもカッコ良いし、これは10年に一作の掘り出し物だと思います。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-11-10 21:34:26)(良:1票)
53.  殺人容疑者 《ネタバレ》 
全篇野外ロケで撮影されたセミドキュメンタリー風犯罪映画として知る人ぞ知る映画なんですが、実際観てみると脚本にはかなり?なところがありました。 まず事件は①渋谷でサラリーマンが殺される②被害者が直前まで飲んでいた店の女将を刑事が訪ねると、女将は同じ手口で刺殺されていた③その女将と一夜を共にしていたお役人を割り出すけどそいつは無関係④女将の指輪を質入れしたチンピラを逮捕するがなかなか自白しない、そのうえミスで保釈してしまう⑤そのチンピラは他の強盗殺人事件の口封じのため、親分の丹波哲郎たちに殺される⑥丹波一味は指名手配されて銃撃戦のすえに逮捕される まあこういう展開なんですが、女将を殺したのは結局誰だったんだよと言いたいし、最初の渋谷の殺人事件はどっかに消えてしまってるんです。 と、シナリオはかなりメタメタですが鬼才鈴木英夫が監督なので映像はリアルな迫力です。拳銃や手錠は警察から借りた本物を使ってるそうです。丹波哲郎と土屋嘉男はこれが映画デビューで、二人とも痩せて精悍で丹波なんか後年の手抜き演技から想像できない好演でした。こういう古い映画は当時の風俗の研究資料として眺めるとまた違った面白さがあります。渋谷や銀座でもちょっと裏にまわると舗装されていない泥道なんですよね。車はみな外車ですが、タクシーなんか1934年型のダッジというポンコツを使ってるんです。ほんと日本はまだ貧しかったんだなと納得するのは警察署のボロボロなところで、会議室もなく道場みたいなところでみんな胡坐をかいて捜査会議をしてるんですから。 でもいちばん驚いたのは、伝説のストリッパーであるジプシー・ローズが出演していることです。2カットで十数秒ぐらいですが衣装つけてのセクシー・ダンスを見せてくれます。彼女の全盛期ですがこの時彼女は17歳!、なんと15歳でデビューしたそうですから児童福祉法なんて完全に無視ですよ。ジプシー・ローズが映画に出たことがあったなんて知りませんでしたが、これはある意味貴重な映像だと思います。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2014-09-04 23:49:06)
54.  ザ・ディープ(1977) 《ネタバレ》 
さてこの映画、公開当時もロバート・ショウやニック・ノルティを目当てで観た人はまさかいないでしょう、そりゃジャクリーン・ビセットの透け乳目当てに決まってますよね。ところがこのお目当てのシーンは冒頭だけ、2時間の上映時間中でも彼女の水中シーンは二つしかないというのはがっかりだった事でしょう。せめて新東宝の海女映画ぐらいのサービスがあっても罰は当たらなかったでしょうにね。悪党が狙っているのが海底に沈んでいるモルヒネのサンプルというのも、ちょっとなんだかなあという感じです。サスペンスの盛り上げ方も冗長の一語で、鬼才ピーター・イエーツが監督してるとはとても信じられない凡庸な映画です。彼がここまでヤル気を無くしてしまったのも、ピーター・ベンチリーの原作小説自体がスカだったのが大きな原因でしょう。『JAWS』の原作者として一世を風靡したベンチリーだけど、『JAWS』にしたって小説としては凡庸で、歴史に名を残せたのもひとえにスピルバーグの天才の賜物です。しょせんこの人は一発屋だったということでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2014-06-21 21:49:37)
55.  サブウェイ123 激突 《ネタバレ》 
シンプルだったオリジナルのプロットに余計なディティールを加えて平凡なアクション映画に仕立てました、という感じでしょう。まずデンゼル・ワシントンの収賄容疑なんて要素は愚の骨頂。おまけに奥さんまで登場させてお話しを湿っぽくさせるセンスも最悪。トラボルタも、最近こればっかり、という感じのサイコ犯罪者風のキャラでオリジナルのロバート・ショウが持っていた知能犯的な雰囲気が皆無です。無線でアイスランドの話なんかしちゃってそれが身元判明に繋がっちゃうなど、バカ丸出しです。このデンゼルとの無線会話あたりには知能犯らしい駆け引き能力が感じられず、まるで『ダイハード』のマクレーンとパウエル巡査の交信みたいでした。身代金輸送のドタバタはオリジナルでも最大の突っ込みどころでしたが、ジョン・タートゥーロの「誰もヘリコプター使うこと思いつかないのか」というセリフはナイスな楽屋落ちでした。脚本のブライアン・ヘルゲランドは本来上手い人なんですが、まさか『椿三十郎』みたいにオリジナルを一文一句いじらないというわけにはいく訳もなく、苦労は偲ばれますけど。 無理なお願いだと承知いたしておりますが、人質の若造にチャットで「愛してると言って」と無理難題を吹っ掛けるあのKYな女を、ぜひトラボルタに撃ち殺して欲しかったところです(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2014-05-07 00:19:55)(笑:1票)
56.  サンキュー・スモーキング 《ネタバレ》 
才人ジェイソン・ライトマンの監督デビュー作、映画監督の処女作にはその人の個性がすべて詰まっていると言われますが、まさにその通りと言うべき一編です。私はこの人のストーリー・テリングのリズムが好きなんですよね。オープニングから中盤にかけての展開はもうすこぶる快調です。ハリウッドの中堅として活躍しているアーロン・エッカートの数少ない主演作ですが、もうこのニック・ネイラーはこの人しか考えられないという当たり役だったんじゃないでしょうか。マイケル・ダグラスみたいな頑丈そうな顎をしていて、ウソ臭い笑顔を浮かべながらペラペラと詭弁をまくしたてるところは最高に愉快です。いろいろと痛い目に遭いながらも、ラストでは例の笑顔を浮かべながらしゃべくりを活かした別の職業についている彼、それでも人間的な成長はあったんだという視点で閉めてくるところが良かったです。この監督は色んな刺激的なプロットを詰め込みながらも話を大きく広げない脚本を書くのが得意なので、ちょっと物足りないと感じる人も多いかもしれませんが、小品映画を撮るには正しい方法論だと思います。 そう言えばタバコをテーマにした映画なのに、登場人物が喫煙しているシーンが劇中で皆無なんですよね。まあ言われなくても理由は判りますが、ちょっと不思議な感じがしました。そして上院議員が過去の映画からタバコを画像処理して消してしまえと主張するところ、日本でも最近『風立ちぬ』の喫煙シーンの多さを一部のアホが非難していたことを思い出させてくれて、ちょっとゾッとしました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-03-09 21:15:32)(良:1票)
57.  ザ・ウォード/監禁病棟 《ネタバレ》 
精神病院が舞台のサスペンス・ホラーなのでスコセッシとディカプリオが最後に組んだあの映画に似ているなと思い、そこで思考停止してそのまま鑑賞してしまったので、あのオチには「またヤラれた!」と叫びたくなりましたよ。この手の映画はふつうの監督なら色んな映像的な伏線を張りまくるものですけど、カーペンター御大がそんなせせこましい事に拘るはずもなく、客観映像でアレを見せられちゃったらふつうにこれは亡霊系のホラーだと思っちゃいますよね。もうこれは“信頼ならざる語り手”ならぬ“信頼できない監督”とカーペンターを呼びたくなりました(笑)。 映画の撮り方自体はカーペンターらしからぬオーソドックスな洗練さを感じますが、ファンとしてはそんなこじんまり纏まったカーペンターなんて求めていないと思いますよ、少なくとも私はそうです。あなたもいい歳で映画を撮るチャンスは少ないんだから、最後にド派手な花火を見せてください、期待してますよ。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-12-27 20:24:23)
58.  三文オペラ(1989) 《ネタバレ》 
クルト・ワイルの有名なオペラの四度目の映画化です。このオペラの下品でアナーキーなところは他の追随を許しませんが、ボビー・ダーリンが唄って50年代に大ヒットさせた『マック・ザ・ナイフ』のメロディーは誰もが一度は耳にしたことがあるのでは。監督はキャノン映画の総帥メナハム・ゴーラン、イスラエルのロジャー・コーマンみたいな人で、ゴダールをして「映画を撮っているマフィア」と言わしめた男です。 “三文オペラ”を観るのはこの映画が初めてですが、映画の流れ自体は原作や過去の作品とほぼ同じみたいです。意外だったのはメナハム・ゴーランが監督という悪イメージを吹き飛ばすようなダイナミックな撮影と豪華なセットです。19世紀ロンドンが舞台ということもありますが馬車のカーチェイスまで有り、これがけっこうな迫力でした。 主役のメッキー・メッサーはラウル・ジュリアで、過去にはローレンス・オリビエも演じたキャラですが、これがまた堂々としてほれぼれさせられます。狂言まわしの辻歌師はロジャー・ダルトリー、この役はセリフが全部歌なんですが、演技させると暴走しがちなロジャーにはちょうどいいんじゃないでしょうか(笑)。 驚いたのはラストの展開で、あわれメッキー・メッサーは絞首刑となった瞬間ロジャー・ダルトリーが登場「やっぱハッピー・エンドじゃなきゃね」とウィンクするといきなり世界が劇場で上演中のオペラに変わるというメタ・フィクショナルな構成、そしてフィナーレへ。うーん、メナハム・ゴーラン、あなどり難し!
[ビデオ(字幕)] 7点(2013-12-08 21:20:43)
59.  ザ・クラフト 《ネタバレ》 
学園ものホラーとしては、こじんまりとしているけど良くまとまった映画だと思います。魔法対決と言うから『ハリー・ポッター』シリーズみたいな派手な技が観れるかと期待しましたが、人体浮遊で盛り上がっている程度なのが可愛い。その分、他人に呪いをかけるとそれが凄いことになってしまうわけです。 蛇を持ってなんか言いたげにヒロインに近づく怪しい男や、オカルト書店の奥にある開かずの間など、思わせぶりなのにちっとも伏線になっていないなんて脚本書いた人は何をねらっていたのか首を捻ってしまいます。でも4人の女の子の個性がけっこう丁寧に描かれているから、まあ良しとしましょう。個性と言っても、F・バークのキャラと言うかメイクばかりが目立った気もしますけどね(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-08-21 23:28:00)
60.  ザ・タウン 《ネタバレ》 
街の雰囲気が『ディパーテッド』に似ていると思ったら、そりゃそうですよね同じボストンでした。銀行強盗と現金輸送車襲撃の発生率が全米一だなんて、NYやロスよりも物騒なところなんでしょうか、ちょっと意外でした。 B・アフレックの『アルゴ』の一本前の監督作ですが、もう『アルゴ』の成功が約束された様なお見事な演出です。ラストの展開には賛否があるでしょうが、わたしはこういうのは好きです。氷が張られて子供たちがプレーしているスケートリンクを見せるラスト・シーンも、『トラフィック』と似ていますがなんか心がホンワカして良い後味が残りました。『ヒート』を強く意識していることは判りますけど、緩急をつけたストーリー・テリングは『ヒート』を超えているんじゃないでしょうか。もっとも花屋のボスを仕留めるところはさすがにご都合主義が目立つのは事実で、その直前のJ・レナーが射殺されるシーンが実に良かっただけに残念でした。 それにしても、レッドソックスのホーム・ゲームでの売り上げが一試合で350万ドルもあるなんて、凄くないですか?
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-05-26 01:45:44)(良:1票)
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