81. 地獄の英雄(1951)
いやー、これは地味に傑作!! 少々長く感じたのはご愛嬌、終盤に迫り来るサスペンス風味は独特の魅力あり。 音楽もそれを盛り立てる。 カーク・ダグラスが渋かっこいい。 アゴの割れ目が凄い。 そして、今も存命なのが凄い。 これって、隠れた傑作。 ジャーナリズムに対して、徹底的に皮肉を込めて描いている。 その皮肉の徹頭徹尾ぶりに、ビリー・ワイルダーの執念さえ感じた。 [DVD(字幕)] 8点(2016-09-08 00:47:05) |
82. ジャンクフード
《ネタバレ》 山本政志監督の、アウトローに対する愛情に溢れた作品。 いわゆる世間のはみ出し者ばかりが出てきて、それでいて躍動している。 色んな事情を抱えた登場人物たちが、終盤で偶然、一堂に会し、無邪気にゲームに興じる場面は、まさに秀逸。 東京ならではの、「知らない者同士の一晩だけの交わり」を、分かりやすく表現したシーンで、とても印象深かった。 東京のアングラな世界でうごめく人々。 そんな人たちの日常。 どこまでリアルなのかまでは分からないが、アウトローの生き様を描いた内容は、とっても面白い。 山本政志監督が描くと、特に面白い。 ますます、この監督が好きになった! [DVD(邦画)] 7点(2016-07-15 00:56:05) |
83. 十月
《ネタバレ》 10月革命について詳しくは知らなかった。 ネットで調べ、少しではあるが、前知識をもって鑑賞。 帝政ロシアを打倒すべく、貧しさにあえぐ人々が一念発起する。 特にラストの冬宮に進撃するシーンは、映画とは思えぬほどの迫力に満ちている。 こうして社会主義国家「ソビエト社会主義共和国連邦」が誕生したかと思うと、非常に興味深いし、感慨深い。 現在は、そのソ連も崩壊してしまった。 こんなに熱い思いで誕生したソ連が、今はもう無い。 そんな、はかなき思いも感じることのできる作品である。 歴史的出来事を映画化したという意味では、エイゼンシュテインの功績は大きいが、映画として楽しめるかは別。 楽しいというよりも、ただただ、目の前に起きている歴史絵巻に圧倒されつつ、茫然と観続けたという感触。 映画の枠を超越した映画。 [ビデオ(字幕)] 5点(2016-04-11 22:31:49) |
84. 十三人の刺客(1963)
《ネタバレ》 この作品を観ている時、まっ先に『荒木又右衛門 決闘鍵屋の辻』が思い浮かんだ。 緊迫感という面において、今一歩『荒木又右衛門 決闘鍵屋の辻』に及ばない。 殺陣もリアリティに欠けている。 多少、犠牲者は出たものの、千恵蔵サイドが生き残り過ぎの感もあり。 例えば終盤の殺陣シーンとして、強引に引き合いに出すとすれば、『宮本武蔵 一乗寺の決斗』と比べた場合、鬼気迫るレベルにおいて劣っている。 大声と気合いは凄いのだが、演技としての大声だと感じてしまい、リアリティが足りなかった。 監督の問題か、キャスティングの問題か、原因は分からないが、これら二本の時代劇と比べてみても、かなり弱いという印象。 [ビデオ(邦画)] 5点(2016-03-21 17:48:28) |
85. GF*BF
《ネタバレ》 筋書きは非常に良くできている。 凄い!と言い切れる程に、良くできている。 冒頭の、顔の似たハーフっぽい女の子が二人暴れるシーン、これも後で振り返ると、すさまじいまでの伏線。 筋書きと演出はトップレベルに良くできているのだが、いかんせん重い! 重すぎる。 そして不幸な話は、観ていて疲れるし、いい気分にもなれない。 そんなこんなで、非常に評価自体が難しい作品だった・・・ セクシャルマイノリティの苦悩、不倫のもたらす絶望的な道筋、子供という絶対的な存在、世の中を上手に生きていくならず者。 色んな要素に、台湾の歴史的背景も絡まって、とってもお腹いっぱいになる一本。 だからこそ重い。 いくら感銘を受け、筋書きと演出がピカイチでも、人生讃歌と真反対をいく本作を、高く評価することは、やっぱりできない。 人生たるもの、どこかに救いはあるし、いつだってやり直しはきくはず。 そんなメッセージがもし、この作品に込められていたら、満点をつけても良かったかな。 そんだけすんごい作品だし、そんだけもったいない作品。 しっかし、また台北に行きたいなぁ 夜市を歩きたいなぁ グイ・ルンメイは、やっぱり素敵だなぁ [DVD(字幕)] 7点(2016-02-22 01:58:13) |
86. シークレット・サンシャイン
《ネタバレ》 特別に美人でもなく、特別に若くもない、一人の女性を描いた、ドキュメンタリータッチの一本。 平凡とも思える日常から、最愛の息子を亡くすという、急転直下なイベントが中盤で発生。 女性は予想通り精神に破綻を起こし、奇行を繰り返す。 言ってみれば、どこにでも居そうな一人の女性を、淡々とリアルに描きつつ、息子を誘拐殺人で 亡くすという悲劇を絡めることで、不思議な雰囲気を作り出すことに成功している。 だけど、これ面白いか?と聞かれたら、間違いなく答えは「ノー」。 娯楽性は、ほとんどない。 ならばメッセージ性があるのか? あるといえばある。 ①宗教に対する批判的描写 ②脈の無い女性に対して男がいかにしつこく付きまとっても、結局は何も成就しない。 少なくとも、この2つはメッセージとして伝わってきた。 ①の宗教批判は監督の個人的価値観。 ②に関しては、男性の大半が一度は経験する、苦い糧。 ある女に対して男が魅力を感じ、しつこいくらいに面倒見たからって、恋愛感情が生まれること は滅多にない。 ファーストコンタクトで、男は脈ありか判断すべきで、この映画の男は脈がどうみても無かった。 脈なしと早めに判断し、女性の魅力に後ろ髪をひかれながらも、アッサリとあきらめるべきだった。 ラストシーンでも、この男女のとりとめのない絡みが映し出されるが、おそらくこの後も、何も 起きないだろう。 いや、起きたとしても、それは女が寂しさのあまり、その男に惹かれただけで、深い関係になった ところで、最終的にはダメになる。 そんなこんなで、体裁としては、一人の不幸な女性を淡々と描いた内容だが、内容的には、相いれない 男女の不毛な絡みを描いた、恋愛モノとも言えるかもしれない。 あとは、いやらしいくらい、しつこく描かれる宗教批判。 個人的には宗教は嫌いなので、別にどうでもいいんだが、少し回りくどいし、しつこいかな。 一人の人間を、淡々とドキュメンタリータッチに描く系統の映画は、結構好きな方なんだけど、 この作品は、そこまで魅力を感じずに終わった。 その最大の要因は、ただ一つ。 ヒロインに、性的な魅力を感じなかったから。 この手の映画は、ヒロインがおそろしく綺麗だったら、一気に見る気マンマンになるってものだ。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2015-05-10 03:08:04) |
87. 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程
《ネタバレ》 あさま山荘事件について、事実を忠実に再現している為、事件の理解には役に立った。 この映画の存在価値は、その一点に尽きる。 映画的な面白さに関して言えば、ほとんど無しと言ってもよい。 事件そのものを理解するだけなら、ドキュメンタリーとして語れば十分。 事件を映像として、単調に再現する価値があったかどうか、それが疑問。 革命を起こす為に闘った、彼ら連合赤軍は、彼らなりに命がけで真剣だった。 鬼気迫る状況だったに違いない。 ところが、本作では、その鬼気迫る感が全く伝わってこない。 というより、映画でそれを再現しようとすること自体が、やや無謀なのかもしれない。 何故なら、彼ら「革命戦士」達は、盲目的に国家に立ち向かい、全身全霊でもって国家に対峙したであろうからだ。 そこまで命がけで行動した彼らを、演技で再現しようとしても、無理である。 いくら頑張っても無理だ。 だからこそ、陳腐な雰囲気の再現映画になってしまう。 この映画そのものが、既に企画段階で失敗作であったのではないだろうか。 事件を忠実に再現するだけなら、映画でなくてもよかったと思う。 もっと映画的に作ってほしかった。 [DVD(邦画)] 5点(2015-01-18 03:50:18) |
88. シラノ・ド・ベルジュラック(1990)
《ネタバレ》 話としては大した魅力はない。 古典的というか戯曲的というか。 映画としてみると、違和感を感じる。 ラストの数十分はそれなりに魅力的。 人を外見でなく内面で愛することへの帰着。 それを巧くみせている。 恋愛への架け橋は外見がある程度は必要。 ただし絶対の愛を得るには内面も重要。 なかなか難しい。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2015-01-11 03:45:08) |
89. ジーザス・キャンプ
《ネタバレ》 ドキュメンタリー映画が好きだからという理由で、ツタヤのドキュメンタリーコーナーで、適当に手に取った1枚をレンタルしてきた。 これが近年、稀にみるほどムナクソの悪い作品だった。 アメリカにおけるキリスト教原理主義を追ったドキュメンタリー。 子供をとにかく洗脳する。 そこに選択の余地は与えない。 そもそも、選択の自由自体を否定していて、選択することの意義を完全に否定される。 私が今の日本に生まれたから、選択の自由を支持しているだけで、それ自体が間違えているという気持ちさせられるところが怖い。 まさしく洗脳ドキュメンタリーで、多少、反対派の意見も映像には出てくるが、実にひ弱な印象。 幼い子供を学校には通学させず、キャンプに送り、洗脳の毎日。 政治的なつながりもある。 こいつらの一番怖いところは、笑顔と幸せそうにしているところ。 現代社会でストレスにさらされ、いつもコウベを垂れている人間がこの作品に登場するヤツらをみたら、影響されるやもしれない怖さ。 洗脳されてもいいから、幸せな気分になりたい。 そう思っても仕方ないパワーを持った内容。 そういう意味で、非常に危険な洗脳ドキュメンタリーである。 結局は個人の価値観なのだが、私はコウベを垂れてでも、選択の自由を支持する。 幼少期にこんな洗脳キャンプに行き、自分の人生を周りの大人に決定されたくない。 選択の自由により、自分が選択した道だからこそ、障壁があっても後悔はしないからだ。 幼い頃、洗脳を受けて、その道に進み、人生もたそがれの頃、自分の歩んできた道に疑いを感じたら、それこそ不幸の極地だ。 [DVD(字幕)] 0点(2014-11-17 00:38:29) |
90. ションヤンの酒家(みせ)
《ネタバレ》 ヒロインの女性をとりまく災難や試練、憂鬱などは、すべて彼女自身が招いたものであり、因果応報、自業自得である。 しかし、だからといって、彼女が悪いかと言えばそうではない。 女が一人で生きていく上で、彼女がとった行動は必要なものだった。 彼女は逞しく生きている。 その生き様がたまらなくかっこいい。 舞台となった重慶の街並みも極めてアジア的で美しい。 ついでに彼女の脚も極めて美しい。 ハイヒールとスカートがこれ以上なくフィットしている。 鎖骨も綺麗。 大人の女性ならではの洗練された美を感じる。 [DVD(字幕)] 7点(2014-11-06 03:11:10) |
91. 上海恋香 Shanghai Lianxiang
《ネタバレ》 男女の愛情は、国同士の政治的障壁や戦争をも越える・・・ そういったテーマの純愛ラブストーリー。 何十年も一人の相手を想い続ける。 それが本当に可能かどうかは別として、ただひたすらそれを語る。 相手方の俳優が魅力に欠けるのが難点か。 それにしても冒頭のシーンが魅力的! 伊藤歩が、下着姿で寝ているシーン。 髪の毛キレイ、お肌もキレイ。 [DVD(邦画)] 7点(2014-10-27 00:29:54) |
92. シーサイドモーテル
脱力して観られる日本映画で、個人的には素直に楽しめた。 「人を不幸にする真実よりは、人を幸福にする嘘の方が良い」 これが本作のテーマ。 群像劇スタイルでもって、このテーマをとことん突き詰めるというより、散乱させる。 とにかく登場人物が豪華で、めまぐるしい展開も飽きさせない。 ただ、少々疲れたかな。 なんというか、「人を幸福にする真実」が一番にいいに決まってるからね。 そういう意味では、不毛なテーマの掘り下げかもしれない。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2014-03-22 02:08:24) |
93. シュトロツェクの不思議な旅
《ネタバレ》 『カスパー・ハウザーの謎』の続編として作られた作品だが、ブルーノ・Sは、前作よりまともになっていた。 奇人というより、まさに受難の人。 単にいじめられている様にも見える。 アメリカに渡るという設定が、ロード・ムービィ色を強める。 女を情けで拾ってあげたのに、一方的に逃げられる。 これはほんと切ない。 不器用な善人そのものだ。 逃避行というか、計画無しの無謀な旅。 その顛末は、図らずもがな。 あっけなく破たんする。 これは私自身の沖縄旅行を想起させ、どうにも憂鬱だ。 作品全体が暗めのトーンで曇りがち、話も湿りがち。 きっと、ヴェルナー・ヘルツォークが傷心気味の時に撮ったに違いない。 劇中でブルーノ・Sをいたぶる二人の男が憎たらしい。 大した奴らじゃないし、特別に強そうなわけでもないし、私がその場に居たら、きっとブルーノ・Sを守ってやる!そんな気になる。 この話って要するに、獄中に長く居た不憫なチビハゲおっさんは、シャバに出ても救われない。 守られていた閉鎖的な獄中よりも、むしろ外の方がむきだしに残酷で、容赦がない。 あげくの果てに・・・ この作品を観ていると、福祉というものの重要性を考えてしまう。 いや、そんな真面目な話以前に、いかに世の中は敵だらけで孤独なものなのか。 そんな単純な結論にたどり着く。 [DVD(字幕)] 7点(2014-02-08 22:25:42) |
94. シャニダールの花
前知識なしで鑑賞したのが悲劇の始まり・・・ こんなにもファンタジーな内容とは思いもよらなんだ! 突飛なストーリーに、戸惑った。 だがある意味、石井監督の新境地とも言えよう。 ストーリーはともかく、映像も透き通っていて、とても良い。 今作は、個人的にはハズレだったが、石井監督の、常に新しい映画を作ろうとするチャレンジ精神は、いまだ衰えを知らず、そういった意味では、とても安心した。 次回作に期待!! [映画館(邦画)] 3点(2013-09-06 22:39:55) |
95. 幸福の黄色いハンカチ
結末は知っていたけど、それでも泣けた。 私には家族がいるからこそ、余計に泣けた。 家族を持った後、この映画に出会えたことが、より感動を強めた。 やはり最後は理解ある妻の存在か。 これからもっと上さんを大切にしなければ、と身がひきしまる思い。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2013-06-16 00:05:46)(良:1票) |
96. シルビーの帰郷
なんてセンスの無い映画だ。 気色の悪い女どものオンパレード。 しかも、やっていることや発言全てがつらまない。 しかしただ一つ共感できたことはある。 それは、社会がはみ出し者を嫌うということ。 「個性」は尊重されるべきだが、しょせん社会という組織は、“異端”を問題視したがる。 ただ異端というだけで、排除しようとする。 そんな問題提起を、私は勝手に読み取った。 それ以外は、全くみるべき点の無い退屈な映画だ。 [ビデオ(字幕)] 2点(2013-02-03 01:33:15) |
97. 呪怨<OV>(2000)
《ネタバレ》 確かに気味が悪い雰囲気は漂っているが、ホラー映画として怖いかといえば、怖くない。 おそらく“恐怖”というものの感性に関して、世代の違いがあるかもしれない。 私の子供の頃は、とにかく心霊写真が怖かった。 だから、本作よりも『女優霊』の方が怖い。 『女優霊』は、心霊写真を動画化したような趣向を持つ映画だからだ。 『リング』と比較すると、『リング』に何度もしつこく出てくる古井戸の画像が怖すぎるので、やはり本作の方が怖くない。 よって、ホラー映画として怖くないので、失格(笑)。 [DVD(邦画)] 2点(2012-11-22 17:25:42) |
98. 女優と詩人
《ネタバレ》 1930年代の市井の人々の暮らしを活き活きと描いている。 作品名は「女優と詩人」だが、要するに、成瀬巳喜男が得意とした「夫婦」ものである。 妻が女優をしていて、夫は詩人。 その内実は、女優である妻が収入を得ていて、夫は詩人といっても家政婦そのもの。 妻に頭の上がらない夫が、いかに夫婦生活を送っているのか? その描き方が、今観ても斬新で、面白い。 [インターネット(字幕)] 6点(2012-10-10 07:54:18) |
99. 不知火海
非常に見応えのあるドキュメンタリー。 水俣病について、どんな歴史教科書を読むよりも、水俣病を学ぶことができるだろう。 映像資料としての価値は存分にある。 何より、水俣病に苦しむ人たちの姿を、映像を通して観ることによって、その実態を知ることができるのが貴重である。 17歳の少女にインタビューする。 この少女は胎児性水俣病と認定された患者さんである。 将来が見えないどころか、現在すら何をしていいかも分からないと、涙ながらに語るシーン。 水俣病におかされた少女が、こういった心境に陥るのは至極当然で、実にこの水俣病というものが、罪深きものなのかを雄弁に語っている。 また、認定すらされず、人知れず苦痛に耐えている人たちもいる。 僻地に住んでいるが故に、水俣病の申請すらできず、日々の苦痛に耐える毎日。 やがて死が待つのみ。 そんな人生の末期に、どんな希望があろうか。 実に悲惨極まりない話である。 行政の怠慢さが原因だとも思われるが、そう単純な話でもなく、監督のやるせない思いが伝わってくる。 水俣病は、過去の事件として忘れ去られるやもしれない。 歴史の教科書をただ暗記するのみでは伝わってこない、悲惨な日本の歴史。 だからこそ、この様な貴重なドキュメンタリー作品を、映像資料として、学校教育の中でどんどん見せていってもらいたい。 2時間半の作品だが、よくぞこれだけの時間で、これだけメッセージ性のある作品を撮りあげたものだ。 土本典昭監督の努力と執念に、拍手を送りたい。 [ビデオ(邦画)] 7点(2012-09-30 23:18:13) |
100. 四川のうた
古き物が廃れ、新しき物となって甦る。 中国の四川省成都が舞台。 その時代を駆け抜けた、多数の語り部によって描かれるセミドキュメンタリー。 歴史を刻んだ工場たち。 それらの映像が多数出てくる。 それは廃墟好きには堪らない映像の数々。 それらの廃れた工場を美しく捉えた映像もまことに魅力的で、素晴らしい。 戦争特需により隆盛を極めた時代。 その時代を語る人々の話題も豊富。 一人一人の思い出話が、一つの立派なストーリーとして成り立っている。 監督のジャ・ジャンクーが新境地を見せた作品。 画面に映る人達の生々しい息づかい、そして生活感さえも伝わってくるドキュメンタリー仕掛けな本作は、今までのジャ・ジャンクーとは異なる、また別の魅力が発揮されている。 [DVD(字幕)] 7点(2012-09-06 16:54:37) |