141. ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬
《ネタバレ》 とりあえず、最後まで通して楽しめましたし、笑えました。ただ、同じギャグでも、前振りやタメ、そしてギャグの後の受けをしっかりやっているかどうかで、切れは全然違ってくるんですよね。クライマックスのアホダンスシーンなんかはそれが成功していると思いますが、美味しいネタなのにもったいないと思った箇所も多々あります。それと、アクション方面をところどころやたら真剣に撮っていて、これが逆にリズム感を阻害しています。当然の顔でエレベーターであっさり追いつくとか、あの路線で十分なのにね。●あと、表情分析は最後に何かあるのかと思っていたら、何もありませんでした・・・。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2016-05-26 03:30:28) |
142. 11人のカウボーイ
《ネタバレ》 ホノボノムード全開の前半はあまり面白くないのですが、終盤のウェインとロングヘアーの対決の結果にはびっくり。その前に追跡を察知し、襲撃も想定している台詞があったので、まさかそれはないと思っていたのですが。途中までは区別がつかなかった少年たちも、ここから俄然良い顔つきになっています。あと、お姉ちゃん集団のその後が気になる・・・。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-05-06 00:23:00) |
143. 人生の特等席
《ネタバレ》 スカウト業を娘に継承していく主人公の姿を、イーストウッドは監督業をロバート・ロレンツに継承する自らの姿に仮託したのだろうか。そうだとすれば、彼は自ら主演すべきではなかった。長年にわたる自分のボスが主演ということで不必要に緊張したのか、この演出自体がすでに、直球は打てないことはないけどカーブは全然打てない、という状態に陥っている。もっと無名か中堅クラスの俳優にしておけば、エイミー・アダムスもティンバーレイクも伸び伸びと芝居ができたかもなあ、などと思ってしまう。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-04-17 00:09:31) |
144. 死刑台のメロディ
《ネタバレ》 この事件をきちんと記録化して後世に残したという功績だけで、低い点はつけられない。最後、ヴァンゼッティのサッコに対する「君が正しかった」という一言の重みなど、制作者の対象に対する真摯な姿勢も十分に伝わってくる。●ただし、どうしても気になるのが・・・まず、一審の弁護人が、いろいろ下手くそなこと。それと、最初は2被告人だけの事件だったのが、どうやって全米を巻き込む運動に伝わっていったのか、そのステップとプロセスにあまり踏み込まれていないこと。 [DVD(字幕)] 6点(2016-02-22 01:55:58) |
145. 十九歳の地図
何というか、ひたすら前衛的というか、無秩序というか・・・主人公自体が無軌道に行動してしまうことと、描写そのものが無軌道になってしまうこととは、意味が全然違います。 [DVD(邦画)] 4点(2016-01-12 00:25:46) |
146. 仁義なき戦い 頂上作戦
《ネタバレ》 ドンパチワーワーが再三繰り広げられる割に、作品全体に妙に陰鬱なやりきれない空気が漂っているという雰囲気は、さらに加速している。普通の作品だったら絶対にどこかで制裁が下るであろう山守も打本も、さしたる展開上のお咎めなし。主役のはずの広能は後半ほとんど出番なし。そして最後は吹きすさぶ寒風の中の2人の虚しい会話。前作で各登場人物がひりひりするつばぜり合いを展開した後の、本作は壮大な崩壊の物語ですね。 [DVD(邦画)] 6点(2015-12-04 02:22:09) |
147. 就職戦線異状なし
バブリーな時代背景を反映しているのは決していけなくはない。しかし、肝心の作品としての中身自体が、小ネタをいろいろ積み重ねてはいるものの、登場人物の芯とか方向性というものが不明なので、物語として成立していない。何かを表現するためのフィルターとして世相(この場合は就職活動状況)があるのではなく、はじめから世相の映像化そのものが目的になってしまったということ。というわけで、俳優陣も力を発揮する余地があまり残っていない。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2015-10-13 03:17:34) |
148. 幸せの教室
《ネタバレ》 トム・ハンクスという人は、もともと演技はそんなに上手くなくて、脚本や演出の巧妙さでその魅力や才能が引き出されてきたと思うんだけど、勘違いして自分で監督や脚本をやっちゃったらこうなりました、ということ。スピーチの授業が舞台なのに、肝心のスピーチ指導は何一つなされていない。クラスメートがまったく機能していない。若いカップルはあからさまなほど単なるダシ。ジュリア・ロバーツはよく出演をOKしたなあ。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2015-09-27 00:51:44) |
149. ジョン・レノン,ニューヨーク
《ネタバレ》 中心の軸は、FBIとの闘争、それを乗り越えてアメリカの永住権を獲得するまでといったあたりなのだが、その中にもその時期のアルバムの制作秘話などを織り込んで、順序立てて理解できるような構成になっている。別のドキュメント作品もそうだけど、この人はいろいろな意味で激動の人生を歩んだ人なので、事実関係をそのまま並べていくだけでも十分興味深い。あ、それと、"Kiss Kiss Kiss"って実は格好良い曲だったんですね。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-09-06 17:13:13) |
150. 地獄の黙示録
《ネタバレ》 オープニングからいきなりドアーズの"The End"なわけじゃないですか。しかもそれと一体化したベトナムの炎上風景。ここで実はすべて完結しています。つまり、全体が一つの悪夢、地獄、あるいは走馬燈なのです。一人称ナレーション(しかも呟くような)がやたら多いのも、派手な映像や音響とは裏腹に、この作品の本質は単なる個人の物語、というのを暗示していますね。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-08-24 01:29:00) |
151. 少女は自転車にのって
《ネタバレ》 少女が自転車に乗りたがっているというほのぼのホームドラマの体をとっていながら、実は至る所に皮肉と反骨がちりばめられている。一番のポイントは、コーラン暗唱コンクールで優勝し、校長からも賞賛されるほどの「勉強」をしていながら、少女の内面は実は何も変化していないということ(禁止されたはずのスニーカーをはき続けているのがその象徴)。つまり、「形だけで物事を強制し、それで事足れりとすることなど、何の意味もない」というメッセージなのだ、これは。●その中で、いったんは視界から消え去り、その後母の手を介して戻ってくる自転車は、希望や意志の象徴として確実に機能している。何よりも、最初に塀の上を走っている(ように見える)ショットの、鮮烈なインパクト。これと対比されるのが、仮設的に設置されて用が終われば撤収される照明設備であり、まさにハリボテで形だけのものとしての象徴。その中で選挙運動が行われる(つまり社会の物事が決まっていく)というのが、これまた強力な皮肉。●ラスト、二人で自転車で去っていくのかと思ったら、途中からは少年はフレームアウトしてしまいます。いくら純朴に求婚をしたとしても、違う部族の彼と結ばれることはありません、という暗示。その先に待ち受けるのは、それまで見たこともないような激しい交通網。それでも前を向いて微笑む少女のアップ。これ以外にはないフィニッシュ。●制作の社会的背景がどうのこうのという前置きを抜きにして、創造の動機と表現の手法、そして芸術としての完成度という点において、すでに優れている映画です。 [映画館(字幕)] 8点(2015-08-13 23:32:42) |
152. 序の舞
制作者がこの素材のどこに注目したのかが分かりません。ほとんどが説明台詞ばかりで、思いついた場面をそのまま並べただけのような感じ。しかも、慣れない京都弁のせいか、俳優陣の喋りもみんなぎこちないです。主人公も、いろいろな体験を経ているはずなのに、成長や変化というものが見えません。少なくとも後半は、もっと逞しさや凛々しさを備えた人間になっているはず。美術関係の頑張りに5点。 [DVD(邦画)] 5点(2015-08-08 02:36:26) |
153. J・エドガー
インビクタスもジャージー・ボーイズもそうだったんだけど、実在の人物や著名な人物を対象とすると、イーストウッドの演出はとたんにつまらなくなる。逆に、ミスティック・リバー以降の一連の作品に顕著なように、架空の人物を好き勝手に造形させた方が、よほど伸び伸びと創作が機能している。この作品も、そもそも何で対象がこの人だったのか、さっぱり分かりません。それから、ディカプリオはモノマネは頑張って行っていますが、演技はしていません。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2015-08-01 12:56:36) |
154. シャーロック・ホームズの冒険
シャーロック・ホームズという人は、もっと尊大で、高飛車で、芝居っ気と茶目っ気があって、頭脳が先走ったらほかのことは全部忘れてしまって、要するに一言で言うと変な人であるはずなんですが。こんな紳士的でおとなしい主人公、ホームズを見ている気がまったくしません。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2015-07-29 20:39:56) |
155. ジュリー&ジュリア
相変わらずノーラ・エフロンって、頭で考えただけの薄っぺらい脚本と演出しかできないんですね。根本的には、50年前のシーンと現在のシーンで同じ撮り方しかしていないので、重層構造が表現されておらず、話の前提が成立していません。メリル・ストリープも、そんな演出で元気が出るわけもなく、小手先で芝居をして乗り切っているだけ。輪をかけてまずいのが、料理を主題としていながら、何かの嫌がらせかと思うくらい、肝心の食べ物が全然美味しそうに撮られていないこと。もちろん、料理のディテールにはまったく踏み込まれていない。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2015-07-20 02:54:08) |
156. 春琴抄(1976)
《ネタバレ》 いきなりヒステリックで高飛車な百恵ちゃんというのもびっくりしたが、その百恵ちゃんと、それにひたすら忠実に仕える友和さんという図式で最後まで一貫して押し通したのには、もっとびっくりした。こういうのができるところからも、やっぱりこの二人、単なるアイドルカップルではなかったんですね。何と百恵ちゃんは、作中で笑顔の一つすら見せない。結構演技の難易度が高い役柄だと思います。妊娠の背景説明ゼロで謎を残したまま平然と先に行っちゃうというような作り方も、今日でも参考になると思う。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2015-07-15 03:00:08) |
157. ジョアンナ
何とも無秩序でやりたい放題な、いかにもlate 60'sらしい作品。ただし、だからといって当然に面白くなるかというとそういうわけではなく、ストーリーや骨格がない分はどこかで別のパワーを発揮しないといけないのだが、そうはなっていない。 [DVD(字幕)] 4点(2015-06-23 18:12:43) |
158. 十三人の刺客(2010)
《ネタバレ》 前半は頑張ってロー・キーの絵を作ろうとしているのは分かるが、肝心の大事なところに光が当たっていないので、ただ単に「暗い画面」を作っただけになってしまっている。クライマックスの決戦、刺客群が頑張って斬りまくっても、当たり前のように敵の援軍が、それも着物は新品ピカピカで「今までどこかで休んでたの?」と言いたくなる援軍が、毎回同じようにワーッとやってくる。その繰り返し。だから、いろいろなところに力を込めても、奥行きも面白みも出てきていない。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2015-06-17 03:23:59) |
159. 幸せへのキセキ
《ネタバレ》 キャメロン・クロウが監督として何が優れているのか、私はいまだに理解できないのだが、この作品でも、観念的なだけの人物造型や、机の上で考えただけのような登場人物の言動という習性は治っていない。なおかつ、一番まずいのは、動物園を題材としていながら、肝心の動物の出し方や映し方が、人間側の都合の良いようにしかなっておらず、単なる小道具の1つにしかなっていないこと。なので、ドラマはなくなり、作品構造としても底の浅いものになってしまっている。また、動物の飼育や園の経営のディテールを見事に素通りしているのも、対象に対する食い下がりが感じられない。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2015-05-22 04:36:55) |
160. 地獄門
《ネタバレ》 まあ、確かに衣装始め色彩は美しいのですが、演出の方向性がどうもはっきりしなくて・・・所詮はストーカー話なんですから、もっとアホ路線の方がよかったのではないでしょうか。または逆に、男同士の斬り合いやせめぎ合いの部分をメインに持ってくるかです。会話のやりとりだけが積み重ねられている感があるので、全体に迫力がありません。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2015-05-05 17:03:51)(良:1票) |