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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1246
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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21.  ウルトラセブン 失われた記憶<OV> 《ネタバレ》 
1967~1968年に放映された特撮TV番組「ウルトラセブン」の続編のようなものとして、1994~2002年にTVやOVで断続的に16本が制作されたいわゆる「平成ウルトラセブン」の3つ目である。 しかしそもそもの話として、せっかくTVシリーズが切ない余韻を残して終わった(完全に終了した)のに続編を作るなどは製作側の都合でしかない。またこの回に関しては作りがかなり粗い感じで、前半から非常識な場面が連続し、後半はブツ切れで必然性不明の場面を無理につないだ印象もある。ほか旧作の著名BGMを気安い感じで使っているのがかなり苛立たしい。 加えてストーリーもすっきり整理がついていないようで非常にわかりづらくなっている。メッセージ性の面では、文化財や緑を壊す開発行為には反対だ、というような時代がかった素朴な問題意識が堂々と提示されていたようだが、本当のテーマはそのことよりも、題名にも出ている「記憶」の方であるらしい。この「記憶」は宇宙人の侵略ツールとしても使われていたが、話のスケールを大きくするためか“記憶の遺伝”などという荒唐無稽なアイデアを突拍子もなく持ち出してきたのはかなり呆れる。またそれとは別に、主人公に関わるドラマも「記憶」を軸に展開していたが、これも素直に納得できるものになっていない。 結局この「記憶」をテーマにしたのは製作側の思惑として、これ以降の続編製作を正当化するのが真の動機だったと見える。確かに旧作で名を成した制作会社にとっては、その記憶が「私たちの存在を証明する」ことにはなるだろうが、しかし「積み重ねられた記憶」を前提にしなければ「新たなる記憶」が作れないというのも困るわけで、いつまでも昔のヒット作をこねくり回すのも大概にしてもらいたいというのは「ウルトラセブン」に限ったことではない。  ちなみに自分としては、この回はとにかく主人公の境遇が羨ましすぎることだけが心に残るドラマだった。色っぽいアラフォー女子には頼りにされ、可愛らしいその娘にも慕われて、これならもう昔の記憶など捨ててしまってこの家のお父さん役で何が悪いのかとしか思われない。特に埋文調査の現場に届け物をしたところや、ラストの堤防上で3人揃った場面は心に残る。そのほか当時はハヤカワ・サトミ隊員(演・鵜川薫)という人が、性格はきついが顔は可愛いというタイプで好きだった。基本的には続編など認められないが、見るべきものが全くないわけでもない。
[DVD(邦画)] 4点(2017-08-04 18:57:52)
22.  ウルトラセブン 《ネタバレ》 
1967~1968年に放映された特撮TV番組「ウルトラセブン」(全49話)の第18話で、これだけが1968年夏の「東映まんがパレード」で劇場公開されたために映画扱いになっている。高畑勲氏が監督で宮崎駿氏も動画制作に関わった「太陽の王子 ホルスの大冒険」(1968)と同時上映だったとのことである。 この第18話「空間X脱出」(1968/2/4放映)は第2クールのいわば安定期に入った頃のもので、特別に面白い回ともいえないが、日常を離れた異世界が舞台になるため若干の特別感はなくもない。また宇宙生物が4種類も出るので若干豪華といえなくもないが、着ぐるみは「音波怪人 ベル星人」(スズムシの宇宙人)だけで、あとは操演と上からバラバラ落ちて来るだけのものである。ちなみに樹上から吸血生物が落ちて来るとか底なし沼とかは、戦時中に南方へ出征した人々の体験に基づくものという話を読んだ気がする。 ドラマとしては、人間だれしも長所と短所があるので協力して補い合うことが大切だ、といったような、シリーズ初期らしい年少者向けの生真面目な教育的意図が込められている。またラストではかなり唐突に格言のようなものを出してそれなりの教訓に結びつける形だが、その「神なき知恵は…」というのは玉川大学創立者の言葉を一部アレンジしたものだったらしい。 登場人物はいつもの通りだが、この回ではマナベ参謀が出ており、人事交流か何かでアメリカ(ワシントン基地)に行っていたという経歴を披露している。またこの時期はまだショートヘアだったアンヌ隊員がかわいい。すでにモロボシダンのことを人一倍気にかける様子を見せている。
[DVD(邦画)] 5点(2017-07-05 19:44:56)
23.  宇宙からのメッセージ 《ネタバレ》 
「スター・ウォーズ」(1977)直後に東映が製作した宇宙映画である。同時期の東宝「惑星大戦争」(1977)が旧来の和風疑似SF映画なのに対し、この映画はスペースオペラ色を強めたことに特徴が出ているとはいえる。 しかし中身としては単純な便乗企画であって、メカニックデザインはあからさまにSW風、他は手持ちのありあわせのもので埋めた感じになっている。センス・オブ・ワンダーのかけらもない一方、戦争で受難した者と儲けた者の明暗の差とか損を承知で政権を引き継ぐ心意気とか、俗世の一般人が容易に思いつく程度のディテールが目につく。「SF考証」のスタッフもいるにはいたが、科学知識でまともなところは「200万光年」の数字だけで、その200万光年を星一個が超光速で渡って来たのは奇想天外というしかない(何時間くらいかかったのか?一昼夜とか?)。 お話としては八犬伝のように見せておきながらいつまで経っても8人揃わず、これ以上の新しい人物はもう出ないだろうと思ったあたりでその辺のキャラクターを適当に指名したかに見えたのは非常に間に合わせ感があった。地球人が下賤の民であるところを延々見せておいて、特に関西人など勇士らしい特性を全く見せないまま挽回もせずに終わったのは完全に変だ。ほか戦闘テーマがショスタコーヴィチの引用というより丸ごと真似というのは節操がなく、毎度のホルンソロも煩わしい。 役者についてはジャパンアクションクラブの面々はまだしも、成田三樹夫氏とか織本順吉氏とかまともな役者を無駄に使った印象で中身と釣り合っていない。ほか変なのは老婆役が二人とも男優だったということだが、それはまあ別に問題ない(これでいいかも知れない)。 以上、まともな大人が見られるような作りでもなく、正直見るのがつらい映画だった。これよりなら「惑星大戦争」の方がまだましだと思うが、向こうも映画としての出来の問題があるので同点としておく。  なおこの映画で褒めたいのは、「自由への夢を奪い取ることはできないのです」という志穂美悦子嬢のキリっとした表情が素敵だ、ということと、ラストで地球との名残を惜しむ帆船の場面が絵的に美しいことだった。自分としては宇宙が青いというところに東映らしさを感じる。
[DVD(邦画)] 3点(2017-05-08 21:44:44)
24.  太秦ライムライト 《ネタバレ》 
京都・太秦といえば個人的には大映の「大魔神」三部作(1966)だが、この映画は東映である。劇中で大御所役の松方弘樹氏も、大魔神と同時期の東映特撮時代劇「怪竜大決戦」(1966)に出ていたが、これは映画自体がそれほど知られていない。 この映画では冒頭から現代的な映像で斬新な印象を出しており、また特にラストが非常にすっきりした形で終わったのは感動的で、続くエンディングの曲も騒がしくなく素直な余韻を残していた。主人公は非常に謙虚な人物に見えたが、その場になれば大御所でも挑発してみせたりして、大御所の方もまたそれなりの顔で応じていたのはベタなようだが盛り上がるのは間違いない。  全体としては福本清三氏の時代劇への貢献を顕彰し、いわば記録保存する映画のように思われる。終盤、川島Pが突然変節したように見えたのは悪い意味で意外だったが、序盤でもこの人物は「人気のダンスグループ」の男の扮装を見て表情を曇らせた場面があったりしたので、別に時代劇を破壊するつもりだったのではなく、この人物なりに若者向け時代劇を再構築しようとしていたと思われる。この映画の監督は、年齢(と経歴)からすれば劇中の若手監督に相当するだろうが、実は劇中プロデューサーと同じ立場で先人に敬意を表する映画を作ったのかも知れない。 また本編の英語字幕が完備していて「北米劇場予告編」というのがあったりするので、時代劇というものを国内限定の文化遺産にせず、いわば人類全体で共有できる文化的価値として知らしめる意図があったとも思われる。実際この映画の監督が、このあと海外向けに「NINJA THE MONSTER」(2015)といった映画を作っているのは実践例かも知れない(が、中身を見ると少し心許ない気がしなくもない)。 ちなみに自分としては松方弘樹氏が、戦国時代を舞台にしたアイドル映画「ギャルバサラ -戦国時代は圏外です-」(2011、有村架純初主演)で織田信長役をやっていたのを見たことがあるが、これも前記の特撮時代劇と同じように、基本のところがしっかりしていてこそのバリエーションということだろう。その時代劇の基本部分(歴史的事実の尊重を含む)をどのように維持していくかも重要ではないかと思われる。  なお余談として、主人公の妻役で出ていた海老瀬はなという女優は京都の出身で、これより前の松竹映画「京都太秦物語」(2010)には主演で出ていたが、その相手役が著名ダンスグループのメンバーだったことが映画の価値を落としていた。また軽薄なアイドル女優役で出ていた中村静香という人も、京言葉を話す場面はなかったが実は京都出身であり、特に意味のないキャスティングのようでも一定の意図があったのかも知れない。
[DVD(邦画)] 7点(2016-11-24 22:22:33)
25.  海の金魚 《ネタバレ》 
「チェスト!」(2008)の監督が、同じく鹿児島の海を舞台にして撮った青春映画である。前回は結構よかったが、今回は残念な結果になっている。 まず台詞が変に説明的で不自然なところがあり、また肝心のストーリーも観客が素直にわかるようにできていない。不法係留少女に関する物語はあまりにファンタジックで、「冒険」「宝探し」とかいう要素が現実世界の中で浮いて見える。一方で人殺し少女はより現実世界に寄せた形だが、これはこれで設定や展開の現実味のなさが目についてしまって共感できない。 加えてテーマ上は些細なことかも知れないが、地元の若手漁業者を最底辺のゴロツキのような扱いにするのは許されるのか。不法係留しておいて開き直った上に、咎めた漁業者のほか県当局までを悪役扱いしており、これでよく鹿児島県の推薦などもらえたものだ。また人殺し少女の父親が、実行委員としては動けないが父親としては動けるというのでは、親の情を示すというより親の権威を背景にしてルールを曲げた話にしか思われず、いったい現実社会というものをどの程度まともに意識して作ったのか疑わしい。  また一方では終始画面に赤黄青緑というような色がかかっているのが目障りで、空や海の素直な青が出ていない。あからさまに歌詞の入った歌や、悲しい場面での悲しいメロディなども過剰で苛立たしい。 そのほかご当地映画的に見た場合、桜島は何度も映るもののそれで地元らしさが出ていたのかどうかわからない。ヨットレースの扱いに関して自分としては何もいえないが、ヨットマンはともかく漁師には見せられない映画だったろう。 そういうことで映画全体としては褒められないが、不法係留少女役の若手女優はけっこう好きだ。かなり人工的な感じのするマンガのような人格をちゃんと演じていたのはご苦労様である。微乳なのでボーイッシュで活発な役に向いていると思ったがそれはよけいなことか。
[DVD(邦画)] 4点(2016-10-25 19:59:44)
26.  ウィンター・ウォー/厳寒の攻防戦 《ネタバレ》 
第二次大戦初期の1939年11月~1940年3月に、フィンランド共和国とソビエト連邦が戦った「冬戦争」の映画である。この戦争は基本的にソビエト側からの侵略で始まったもので、これに小国フィンランドがほぼ独力で果敢に抵抗したことは当時から賞賛されていたらしい。 字幕によれば「第23歩兵連隊の軍事日誌と、同連隊で戦った兵士たちの記憶に基づいて作られた」映画とのことで、開戦前の動員のところから話が始まる。部隊はフィンランド南西部のカウハヴァの周辺住民で編成されたもののようで、みな近在の知り合いばかりのように見えたが年齢差もあり、1918年の内戦に参加した者や、1932年のマンツァラ蜂起で動員された経験のある者もいたらしい。銃は自宅に配備されていた(日頃の訓練などでも使っていた?)ものを持って行ったようである。 当初はまだ「戦略的な動員」であったために人々の本気度も半端のようだったが、認識票に関わる一連の発言などは、自分が死ぬかも知れないという覚悟を少しずつ固めていく過程のようにも思われた。配属先は当然ながら地続きの自国内で、到着後にいきなり現地女性と親密になろうとしてみたり(慰安所はない)、長目の休暇を取ったりして気が緩んできた矢先、突然戦端が開かれて慄然とすることになる。 その後は大勢がよくわからないまま眼前の敵との戦いを強いられていたが、最後はまた突然に講和条約が締結されて戦闘が終了し、その時点で生き残っていた者が結果的に助かった形になっていた。戦闘停止が知らされた後の両軍兵士の反応の差は、無理やり動員されて来て終われば帰るだけの連中と、戦いの意義はわかっているが犠牲が多すぎたと思う人物の対比を示していたようにも思われる。 この戦争の結果として、フィンランドはソビエト側の要求を容れる形で大面積かつ重要な領土の割譲を余儀なくされたわけだが、しかしここで断固として屈服しなかったことで「独立を守った」(字幕)というのがこの映画としての見解になっている。そのような認識は恐らく、劇中人物が言及していたバルト三国でも共有されているものと思われる。  ところでこれを普通にドラマとして見ると基本的には退屈であり、最後の最後だけわざとらしい演出で何とか形をつけようとしたかに見える。上映時間が当初は199分あったのをInternational Cutで125分に大幅短縮したとのことだが(DVDではなぜか122分)、いわば当時の再現映像のようなものであるから、個別エピソードを落とすことでいくらでも削減可能な性質のフィルムだったのかも知れない。それにしても登場人物の間でそれなりにできていたはずの人間関係が短縮のせいでよくわからなくなり、それでドラマ性に乏しく見えていたとも考えられる。 そういうこともあって、日本人では基本的にフィンランドの歴史、または軍事関係に関心のある人以外にはお勧めしない。軍事マニアなら199分版の方を見たくなるかも知れない。
[DVD(字幕)] 5点(2016-08-13 22:28:28)
27.  丑三つの村 《ネタバレ》 
個人的に思い入れのある「八つ墓村」(1977)の関連映画として見たが、そのほか出演女優の大胆な演技が見られるというのも大きな動機である。しかし当然ながら主人公には全く共感できず、この男のドラマとしては見るところがない。 劇中では「天才と○チガイは紙一重」という発言が出ていたが、少なくとも天才には見えないのでこの言葉が当たっているとは思えない。主人公が徴兵検査から帰ると村人の態度が一変していたのは情報伝播が早すぎて不自然に見えたが、これが主人公の被害妄想による主観映像だったとすれば、これから精神状態が悪化していく最初の兆候だったとも取れる。何かと不安定な逢魔が時に“不要な人間は山に埋める”などという話を聞いたため、殺される殺されるで頭が一杯になってしまったのはまことに気の毒なことである。 また決行に当たり、女が来るのを期待して手紙を出すというのもみっともない話だが、終盤の別れの場面なども、もしかするとこれで本人としてはヒロイックな(格好いい)つもりだったのかも知れない。とにかく若年者のこっ恥ずかしい妄想を大真面目に映画化したようで、同感というより単に痛々しい。 最後の山上の場面では、近くの山に送電線の鉄塔が建っていたり眼下の集落の道路がアスファルト舗装のように見えたりで、まるで主人公が突然時間を飛び越えて現代に出現したような変な印象があった。ここで主人公がカメラ目線で皆様へ別れを言ったりするので、これは現代の観客に対して直接何かを訴えかけているのだろうとは思ったが、自分としては全く聞く気がなく、早く映画を終わりにしろと思っただけだった。 そのようなことで、決して内容のない映画ではないとは思うが、個人的には出演女優それぞれの持ち味を賞する以上のものにはならなかった。点数は女優陣に入れておく。
[DVD(邦画)] 3点(2016-07-25 19:52:24)
28.  宇宙人東京に現わる 《ネタバレ》 
子どもの頃、東京のビル街に巨大な宇宙人が立っているスチル写真を見た記憶があるが、実際に映画を見るとそういうものでは全くなかったので騙されたと気づいた。他の写真を見てもあからさまな嘘が多いが、こういうのは突っ込まずに笑って済ませることが期待されていたらしい。 また宇宙人の着ぐるみは、アクションが不要だからか中の人に合わせる気がないようで、頭と手足が全て同じ大きさで揃えてあるので均整が取れている。しかし立っていると着ぐるみに皺ができ、いかにも布のような薄手の素材で作ったように見えるのはシーツを被ったオバケのようでもあるが、制作側としてはこれで特に問題があるとは思っていなかったらしい。  内容的には、前半は普通の娯楽映画のようで気楽に見られる。市井の人々の会話が楽しいが、学者一家がまるで身分の違う人のように扱われていたのは当時の社会通念を示したようで興味深い。また当時の東京郊外の風景や(杉並区?)、開発初期の小型ロケットが出ていたのも時代を感じさせる。しかし後半はあまりにも適当な展開になってしまうのが残念なことで、博士を誘拐した悪党連中は行方不明で終わり、また満を持したかのように宇宙人が介入したタイミングも合理的には説明できない。 テーマとの関係で見れば、人類を救うための使用を最後にして原水爆が地上から消えた、という感じのハッピーエンドにしたかったのかと想像される。しかしそれに心から共感するためには、実物が失われても知識や技術や保有の動機は失われていないはずだ、と考えないようにする必要があるので難しい。反核にしても観念論にとどまっており、とても「ゴジラ」(1954)のようなインパクトは感じられない。 また最後のミサイルは宇宙人が製造したわけだが、これは心正しい人々が正しい目的で核兵器を使うのは容認されるということなのか。一般に反核というのは核兵器の存在自体が悪なのであって、目的を問わず製造・使用などとんでもないというのが普通だろうが、この映画では保有国によっては批判の対象から除外するのと同様の印象があって理不尽に思われる。 ただ、他のレビュアーが書かれているように、ラストの妙なほのぼの感が非常に印象的な映画ではあった。
[DVD(邦画)] 4点(2016-06-04 09:23:56)
29.  ウォーターボーイズ 《ネタバレ》 
若い連中がバカをやらかす映画は嫌いなので、なんでこの監督はこういう面白くもないおふざけをやっているのか、と醒めた目で見ながら半分以上が経過する。ときどき突発的に可笑しいところはあるがその気分があとに続かず、こんな映画に時間を使っているおれはアホではないかと思っていた。 しかし転機になったのが桜木女子の伊丹弥生さん(演・秋定里穂)の登場である。この人はもう個人的に大好きだというキャラクターで、ここから気分が一気に好意的な方向に変わる。その後は男どもの大舞台であって、満場の女子に大受けというのは男子にとって最高の見せ場といえる。男子校と女子校を分けていたのはそういう意味だったかとここで初めて納得した。最初の方では何のためにいるのかわからなかったヒロインもこの場で俄然輝きを増し、バカな主人公を全面肯定してくれる存在になるのが嬉しい(:例のパンツは、本当は前の晩に用意していたのを当日になって渡すことができた、という話だったのか? 物わかりの悪い観客ですいませんが)。 上達の過程をろくに描かないのはスウィングガールズと同じだが(製作順と逆に見た)、クライマックスは映像+音楽の面でもかなりインパクトのあるものになっており、見る者をしあわせな気分で一杯にして終えるので細かいことはもう関係なくなる。監督はこの時点で30代前半だったわけだが非常に才気ある人物という印象だった。 なお関連して、「桜木の天使たち」3人組が出るサイドストーリー(監督・脚本:矢口史靖)も好きだ。この連中の漫才は腰が抜けるほど可笑しい。
[DVD(邦画)] 7点(2015-12-31 09:31:13)(良:1票)
30.  宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟 《ネタバレ》 
オープニングの止め絵とバイオリンが軽薄な感じで、いかにも番外編的なのが期待感を減衰させる。 本編に関しては、斉藤に始まって斉藤に終わるという趣向は面白くなくはない。また序盤のラブコメ展開が可笑しく、山本玲もなかなか可愛いやつだと思わされる(前作でも可愛く見えたが)。中盤の大和ホテルは明らかに脱線のようだったが、終盤では銀河スケールに広がる異種族間での交配が可能な理由を説明していたようで、これはシリーズ初のことと思われる。 ところで劇中のバーガー氏は老けて見えるが、設定資料によるとまだ27歳(地球年齢換算)とのことらしい。この男の荒んだ心を和ませて、異種族間でもわかりあえるとの実感をもたらしたのが桐生美影嬢(18歳)の存在だったのだろうから、どうも今回は“かわいい女の子が宇宙を平和にする”というようなのが主要メッセージだったと解される。わが国のカワイイ文化が宇宙を席巻する時がいずれ来るのかも知れないが、そういう面でガトランティスは全く可愛気のない種族であるから、滅ぼしてしまっても一向に差し支えないという気分になる。もしこの延長上で続編を製作するのなら、次はガトランティス人のかわいい女の子も出して、最後は平和に収めるのが望ましい。  なお続編に関していえば、現実問題として波動砲が使えないヤマトのままで続編を作ることなどありえない、ともいえなくはない。前作のような経過で封印したからには、これを復活させるとまるで日本が核武装したかのような印象を生じるわけで、それでもやるというならやってみろ、という感じだが、とにかく愚行は繰り返さないと約束したのだから守るよう期待したい。 まあそれはそれとしても今回は見事に枝葉というか、2199の枠から逸脱しない範囲で収めた形になっており、これは自分としても感謝しておかなければならないかも知れない。ラストで「俺たちの銃は、同胞に向けるためにあるんじゃない」に続けての「ヤマトです」は、ベタではあるが泣かせるともいえる。エンディングテーマの最後のフルートが余韻を残す終幕だった。
[DVD(邦画)] 6点(2015-10-14 19:21:21)
31.  宇宙戦艦ヤマト2199 追憶の航海 《ネタバレ》 
総集編としては説明不足かも知れないが、TV版26話を一通り見た立場としては特に支障なく、イスカンダルを出発したところで本編が終わってしまったのも別に構わない。エキサイティングな(見たい)映像をもらさず手際よくまとめた映画になっている。 ただし一つ不満をいえば、この映画では異種族間でもわかりあえることが大きなテーマだったはずで、その意味では「マゼランパフェ」の場面が省略されていたのは非常に惜しいことである。恋バナまで再現しろとは言わないので、せめてナレーションの背景映像としてでも入れてもらいたかった。本編中にこれがあってこそエンディングのイラストで、一人でパフェを前にした山本玲との対比が生きるのではという気がするが、まあどうせ初見の人々にはわからないか。ちなみにそのエンディングでは、副総統のにやけ顔が何とも可笑しくまた嬉しい。  ところでこの総集編も悪くはないが、TV版の方は旧作世代としては大感動モノだった。今さら変えられない部分は多いにせよ、可能な限り現代の常識に照らして違和感を減らすよう設定を変えており、また旧来のヤマトファンのほかにも美少女好きのアニメファンや軍事ファン、またサイエンス・フィクション志向の人々にも目配りしながら極めて誠実に作られた印象だった。特に旧作のヤマトがガミラスを滅ぼしてしまったのに対し、今作では逆にガミラスの民を救ったというのは感無量である。大人の事情を勘案した上で若干の寛容さをもって見るなら、ほとんど文句を付ける気にもならない出来だった。 また映像面も満足のいくもので、結構な質量を持つはずの物体が意外に軽快な動きをするのが新鮮に見えたが、特にバラン星でヤマトが画面の端から端まで横切って駆け抜けていくのは非常に印象深かった。メカニックデザインもリファインされており、今になって初めてガミラスの駆逐艦が格好よく見えたほか、三段空母(四段?)の美しさも特筆しておきたくなる。ほかに新規要素としては三式弾の迫力も見どころで、これこそが戦艦、という感じだった。音楽は旧作の曲の多くが再現されているが、新作では大ガミラス国歌「永遠に讃えよ我が光」を聞くと忠誠を誓いたくなってしまって困る。 そういったことで映画の感想としては反則だろうが、ここは総集編というよりTV版に対する評価をそのまま点数にしておく。個人的にはこれが宇宙戦艦ヤマトの決定版である。  [追記] 上記の大ガミラス国歌「永遠に讃えよ我が光」にはなぜか日本語の訳詞がついているが、歌詞に字余りの箇所があるのがいかにも外国語の歌に日本語を当てたように聞こえて本当に感心する。ついでに地球側の歌「銀河航路」を聞くと「ケンタウリ」や「カイパーベルト」のところで、イスカンダルから技術供与を受ける前の地球の状況がうかがわれて興味深い。
[DVD(邦画)] 9点(2015-10-14 19:21:17)(良:1票)
32.  宇宙戦艦ヤマト 復活篇 《ネタバレ》 
旧作のヤマトではほとんど毎年のように大事件が起こっていたが、今回は前作の17年後になって時間が少し飛んでいる。これは公開年の差を反映しているというよりも、古代夫婦の娘の年齢設定に合わせたものと思われる。ほかにもアニメ美少女のようなのが出ていて華やかなのは大変結構なことだった。 新しいだけあって映像面はさすがに高水準になっており(主にメカニック関係)、劇中に挿入されている前作(1983)との差が著しい。また特に色彩感が豊かで、とりあえずこういう点だけでも楽しめなくはない(ただし有名クラシック曲はうるさい)。 ストーリーの面でも、少なくとも開始後1時間程度は普通に面白い。これまでヤマトが何度も人類を救ったことは劇中でも強調されていたが、本来このシリーズでの人命はメインキャラの物語を見せるための消耗品でしかなく、本当に人類全体を守っているという実感など全くなかった。しかし今回は移民船という守るべき対象が明示されており、この船団に億単位の人間の人生が詰まっていると思えば見る側としても緊張感を覚えなくはない。護衛戦でヤマトが見せた献身的な行動に敵が感服したというのも感動的なエピソードではあった。 しかしその後の展開を見ていると、強権に対抗するためには民がどれだけ犠牲になっても構わない、というような決定が平気でなされていたのは困ったことである。また戦いが始まってみれば強大な敵の本拠地がすぐその辺にあって、そこにいきなり突っ込んで行って撃滅するというお手軽感覚は昔のままらしい。結局は、従来からこなしてきたイベントを21世紀になっても繰り返しただけのようで、これでまた続編を作る気満々だったというのはさすがに呆れるしかない。
[DVD(邦画)] 5点(2015-10-14 19:21:09)
33.  宇宙戦艦ヤマト 完結篇 《ネタバレ》 
劇中の水惑星の名称はラテン語由来であるから地球人が命名したのだろうが、新天体にわざわざ“みずがめ座”という名前を付ける人間の気が知れない。 内容は前作をさらに上回る超超大作になっており、従来の路線を集大成してパワーアップした大仰で独りよがりでくどい映画になっている。「わたしは××」と名乗る謎の女が唐突に出現するとかは通例であってこの映画が特別なわけではないが、ただし最後に2人がやっと結ばれたという場面を置くことで、ここで本気で終わらせようとした意気込みは感じられる。 この映画で珍しいのは僚艦の乗員救助の場面があったことで、また避難民の輸送船が全滅させられるといった展開は民間人を巻き込む紛争の悲惨さを感じさせる。要は敵の冷酷さを強調するためだろうが、逆に今回は制作側が柄にもなく人命を気遣っているように見えたのが特異な印象だった。そのほか純粋に面白かったのは、敵の君主が自ら騎馬兵団を率いて突撃した場面である。古代シュメール人の末裔らしく前近代的な行動様式だが、その心意気はまことに立派であり、彼の人間的な魅力のなさもこれで許せる気になった。  ところで空中に出現する謎の女は台詞が長いので聞くのがつらい。最初はとにかく戦って勝てと言っているのかと思ったが、そればかりを目指していた敵が滅んだところをみるとそうでもなかったらしい。まずは現世的な(いわば横の)つながりを作ることが勝利に結びつき、その結果として人類の命が未来に続いていくということなら、唐突にデスラーが参戦したのもこの映画的には必然性があったことになる。これまで人類(というか古代)が培った友情がここで実を結んだということだろう。 またこの映画で素直によかったのは終盤で古代と雪が黙って敬礼していた場面で、その後の「お父さん」というのも何気に感動的だった。ここで見送られていた艦長にも亡くなった子がいたはずだが、その分も背負って二人の子孫が未来に続く(いわば縦のつながり)というのなら、これも謎の女のメッセージにもかなうことだろう。宇宙戦艦ヤマトを見て感涙するなどまともな大人としてどうかとは思うが、ここは少々泣けた。その後の子作りの場面はやりすぎだが、少子化の時代の今こそ見てもらいたい(しかし誰も見ない)映画といえなくもない。
[DVD(邦画)] 5点(2015-10-10 22:20:23)
34.  宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち<TVM> 《ネタバレ》 
次回作のヒロインと敵を紹介したプレイベントのような映画である。 地球にしてみれば恩義ある個人(と乗組員の身内)のため、またデスラーにしてみれば惚れた女のための戦いだろうが、地球そのものが壊滅の危機に瀕するヤマトの通例からすれば緊迫感も悲壮感も感じられない。結果的にはスターシャが死んだことで、デスラーが未練を振り切ることができた?のは幸いだったともいえるが、それだけのためにガミラス人全部が滅亡しかけたように見えており、またヤマト側にも明らかに死者が出ている。こういうメインキャラクターの個人的感情のためにどれだけ人が死んでも構わないというのはまるで他人の痛みを感じられない人間が作ったようで、「戦争のためのエネルギー源なんか採掘させてたまるか」などという唐突な台詞がいかにも空虚に感じられる。だいたいイスカンダルの2人を助ければ済むはずなのに、相手の申し出を蹴ってまで戦闘を始めるのではどちらが好戦的かわからない。 個人的にこの映画の価値と思われるのは、新作の劇伴で「新コスモタイガー」という曲が出て来たことである。ただしそれほど印象的な使われ方でもなかった。
[DVD(邦画)] 3点(2015-10-10 22:20:13)
35.  ヴィタール 《ネタバレ》 
知り合いにDVDを貸されたので一応真面目に見た。お勧めというだけあって好きな人は好きかも知れないが、自分としてはまあ普通というところである。 その知り合いは、一生の最高の瞬間が「匂い」とともに思い出される、というところに感動したのだろうと勝手に想像していたらそれは当方の思い込みで、実際は映像の色彩感が好きだとのことだった(彩度の高い部分ではなく、灰色だか何だかわからない微妙な色がいい、というような話だったが理解不能)。自分としては相手役の女優2人が、演技のキャリアにかかわらず映像的に好印象なのが評価ポイントである。  ところで自分としては当初、解剖を通じて呼び覚まされた記憶や感情はどうせ主人公本人のものだろうと思っていたのだが、最後は死者との交感のようになっていた(生きろ、と言われていた)のは、いわば物的な人体に“魂”までが内在しているという感覚だろうか。だとすれば本当の別れが斎場になるのも自然なことと思われる。 主人公が最後に「医者の勉強は続けたい」と言っていたらしいのは一体何を研究したいのか怪しいもので、そのうちその辺の人間を無差別に解剖し始めるなどということになると別ジャンルの映画になってしまうわけだが、あるいはこれが医学上の大発見(心理学との統一理論など)につながる研究ということなのかも知れない。  なお劇中では解剖中の学生がオイデオイデをやっていたが、こういう場合の定番である「壁に耳あり」をやらなかったのは意外だった。
[DVD(邦画)] 5点(2015-04-05 00:22:19)
36.  裏切りの戦場 葬られた誓い 《ネタバレ》 
一応説明すると、フランス領ニューカレドニアで1988年に起きた独立派による人質事件の経過を描いた映画である。邦画「天国にいちばん近い島」(1984)のわずか4年後であり、その場所も同作の主人公が“天国にいちばん近い島”を発見したウベア島でのことだというのは皮肉な話である。 ストーリーは事件の経過を主人公の視点から丁寧に追う形で進められている。主人公が一貫して交渉により人命の損失を防ごうとするのは理性的であり、またどこまでも次善の策を追求する執拗さも備えている。本人は「交渉人」(字幕)と自称していたが、これはいわゆるタフ・ネゴシエーターの部類だろう。最後は武力行使で終わってしまったが、そこに至る過程の方がこの映画の本体であり、戦闘場面があるからといって戦争映画というわけではない。真面目に見れば密度の濃い映画だが、真面目に見なければ何をやっているのかわからなくなるので疲れる映画でもある。なおこの映画を見る上で「国家憲兵隊治安介入部隊」(GIGN、字幕の略称では「治安部隊」)と、その他一般の「国家憲兵隊」の意味は調べた方がいい。  ところで最後のキャプションでは2014年に独立の是非を問う住民投票が行われると書いてあるが、実態としては現時点でメラネシア系住民の人口は全体の半数を下回っており、その中でも独立派が大多数というわけでもないだろう。また現地のニッケル鉱山に関わる利権がこの問題にどのような作用を及ぼしているのかわからない(個人的に知見なし、劇中にも出ない)が、何にせよ現実問題として、19世紀からの植民地支配に由来する現状を今から完全に覆すのは困難ではないかと想像される。 また劇中で軍隊が自国民を弾圧していたのは許されないことだろうが、しかし軍というもの自体はフランス共和国にとってなくてはならないものだろうし、一方でそれをコントロールすべき政府が選挙戦略で左右されるような現実にしても、当事者である政治家が一国の巨大な利害を背景にして動いている以上は個人レベルの倫理で対応できるものでもない。 そのようにどうにもならない世界であっても、まずは現状を起点にして、これから先を少しでも改善するよう粘り強く努力を続けるのが現実的な道であり、それをこの地味な交渉人物語は訴えていると感じられる。フランスの植民地支配が許せないとか、だから軍隊はいらないとか簡単に言い捨てて済ませられるような話ではない。
[DVD(字幕)] 7点(2014-11-07 22:06:34)
37.  51(ウーイー) 世界で一番小さく生まれたパンダ 《ネタバレ》 
ひたすら微笑ましいパンダ映像が延々と続くというわけではなく、基本的にはパンダの生育過程を描いたドキュメンタリーである。成長してしまえばのっそりして薄汚いだけなので、見どころはやはりパンダ幼稚園が中心ということになる。飼育員の女性の物言いがきついので呆れてしまうところがあるが、本人はこれでも愛情をこめた罵倒のつもりかも知れない。  この映画で特徴的なのは見ている人間が感情移入できるよう作られていることで、特に後半ではナレーションと音楽での脚色が過剰なため個人的には全く歓迎できないが、これはまあ子どもだけでなく、一緒に映画館に来ている両親にも楽しんでもらおうという趣向だろう(それにしては少々きつい内容だが)。パンダが好きで見ようとする人々は、そういった点が気にならなければ素直に楽しめると思われる。また人によっては、制作側の意図のとおりパンダ映像に乗せた人間の物語に感動するかも知れない。  なお余談だが、以前にここの現地(成都大熊猫繁育研究基地)に行った際、パンダは人間を襲ったりしないのか、と同行していた地元の人に聞いたところ、いかにも心外だという顔で「優しい!」(日本語)と否定された。しかし外見的にはどう見てもクマであり、山奥では人を食ったりしているのではないかとまだ疑っている。
[DVD(邦画)] 4点(2014-11-04 20:38:34)
38.  海と夕陽と彼女の涙 ストロベリーフィールズ 《ネタバレ》 
主要人物がみな可愛いので多少のことは許すといったタイプの映画だが、別に外見だけで優遇しなくても、個人的には演技の面で特に不満は感じない。特に佐津川愛美の情けないような泣き顔は微笑ましいというか笑ってしまう。 しかし当然ながら話の内容には全く感心できない。特に終盤で、みんなが友達になれないのは学校のせいだ、大人のせいだと言っていたのはいかにも前世紀的な発想で、かつ劇中でそのことが十分に表現されていたとも思われず、制作側の思い込みがここで唐突に表面化したようにしか見えていない。またどうすれば友達になれるかといった話も説明的で底が浅く、そんなことを台詞で延々と言われて死神までが感動したというのも難がある。それよりも、例えばイチゴの持つ意味をもっと明瞭にして、高校生の友情物語が素直に心に染みるよう作ってもらいたかった。 ほかにも苦情を書けばいくらでも出るが、それでも決定的に悪い印象にならないのはやはり主要人物4人のおかげである。また主人公の姉(演:三船美佳)が恐ろしく可愛気のない女になっていたのは少しビビった。そういったこともあって、点数は少し高目に付けておく。
[DVD(邦画)] 3点(2014-06-28 23:50:45)
39.  宇宙からの侵略生物 《ネタバレ》 
敵の秘密工場は、ロンドン近郊のテムズ川河口にあったシェルヘブン製油所(Shell Haven (Oil) Refinery)という場所で撮影したらしく、これで当時としては現実離れした未来的な風景だったのかも知れない。内容としても前作よりSFらしさが増しており、反撃のためにいきなり「原爆ロケット」(原子力推進のロケットを地表から発射するらしい)を飛ばし、敵星を破壊してしまうというのは豪快である。 またドラマ部分も適度にスケールが大きく、映画の開始時点ですでに政府機関の内部に敵勢力が浸透していて、国家予算を敵の計画に取られたために教授の月計画が頓挫したということだったらしい。劇中の下院議員が「公的資金を投入したばく大な損失の隠蔽」といった、それっぽいことを疑っていたのも結構まともな感じに見えている。 一方で、アンモニアで腐食されて死ぬ男が出るとか、パイプの中に人間を「つぶして詰め込んだ」とかいう話が出て来ていたのは、子どもの頃に見ていれば結構イヤな印象を残したのではないかと思われる。映像的には終盤までずっと地味で、どうせ最後までこの程度だろうと侮っていたところ、最後は一応のミニチュア特撮になっていたのは少し驚いた。 以上により、個人的には前作よりは退屈せず、それなりに見るものがあると思わせる映画だった。なお敵の秘密工場を襲った村人の集団が銃器の扱いに慣れていたのは大戦からあまり間がない時期であり、また戦後の兵役に従事した者もいたためではないかと想像される。
[DVD(字幕)] 5点(2014-05-03 18:56:15)
40.  宇宙大怪獣ギララ 《ネタバレ》 
上映当時は見ておらず、衛星放送が始まった直後くらいが初見だったが、昔の怪獣映画など期待して見ても落胆させられる場合があることを初めて思い知らされた映画だった。 まず一応褒められる点としては、ミニチュアセットの中で小さい車両を動かすのにこだわっていたことである。また怪獣のデザインも未来的で、外見だけ見れば「宇宙大怪獣」にふさわしい。しかしこの怪獣が変にオーバーアクションで、鳴き声もBGMも単調でやかましいのは評価を落とす。ストーリーに関しても、特に人類の火星到達を阻止しようとした勢力が何だったのかわからないまま終わってしまい、せめて登場人物の台詞で“宇宙にはまだわからないことが多い…”くらい言わせないと最後が締まらないだろう。   一方で登場人物としては、主役のオヤジじみた男、香港映画にでも出そうな通信士、可愛くない外人女性、わがままいっぱいの外人医師など全てが魅力に欠けている。特に主役は和洋で両手に花状態になるのが極めて不自然に思われる容貌だが、まああまりこの人の悪口を書いてしまうと「ミラーマン」<TV>(1971~1972)の村上チーフに対して失礼ということになるので自粛する。 劇中でかろうじて好意的になれるのは日本人ヒロインであり、見た目はわりと地味だが外人女性に比べていかにも若々しく(撮影当時は17歳程度?)、またすらりと背の高い人のようで外人女性に負けておらず、日本人の男連中が低身長に見える。この原田糸子さんという人は女優としての活動期間が短かったようだが、この映画のほかには「レモンのような女」<TV>(1967)の第6-1話(佐々木守脚本、実相寺昭雄監督)で主演しており、昭和特撮ファンにとっては少し重要人物かも知れない。
[DVD(邦画)] 4点(2014-01-06 23:46:23)(笑:1票) (良:1票)
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