1. 旅の重さ
もうじゅうぶん大人の体なのに本人は全くそのことに気付いていない田舎少女。と書くとずいぶんエロいことを想像させてしまいそうだが、その少女がこの映画で経験するあんなことこんなことはやっぱりエロいのだ。なのにエロさよりも別のもんが襲ってくる。純粋さ。違う違う。純粋さはエロを強調するもんだ。もっと大きなもの。タイトルにある「旅の重さ」だ。あぁこれが「旅」なのだ。「生」があり「死」があり、人との関わりがある。人と人が寄り添うことの必要性を体現する。人生の摂理、みたいな大きなものが描かれ続けているからエロさもそこに吸収されちゃうのだ。しかも少女はこの「旅」をやりぬくわけで、その強さにもエロが吸収されちゃうのだ。でもちょいエロ。 [DVD(邦画)] 7点(2011-05-19 17:22:30) |
2. ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー
強盗やって逃げるただそれだけの映画なんだけど、例えばもっとシンプルにただ爆走するだけだった『バニシング・ポイント』や同時代のこの手の先駆的ロードムービーの『イージー・ライダー』のように「アメリカ」を平行して描いたりもしない。本当にただ強盗やって警察に追っかけられるだけの映画なのだ。いわゆるBの線なんだけど、逃げる者メインのドラマにカットバックで挿入される追う者の描写がなかなかに絶妙。単純なんだけど楽しい。こういうのが映画らしい映画なのかもしれない。『バニシングIN60”』ばりにしっかりとカーアクションが撮られているのも嬉しい。直線を走るだけでもここまで迫力満点のカーチェイスはそうそうお目にかかれない。数々のプロフェッショナルなドライビングテクニックがバシッと画面に収まっているのは今どきの揺れる画面に慣らされちゃうと実に新鮮に感じる。 [映画館(字幕)] 7点(2010-09-28 15:14:31) |
3. 大統領の陰謀
事件のドラマ性を排除して、国家の圧力や情報操作をはっきりとしたカタチで見せず、ひたすら二人の記者の行動のみを羅列する。聞き込みと書き込みとタイプライターの打ち込み。ドラマ部分は事件とは関係のない、どの記事にどれだけの枠を与えるかの編集会議とその中で二人の若い記者を支える上司の姿ぐらいに抑えているのでかなり淡々としているはずなのだが、この抑揚の無さが事件の重大性を露としているようでもあり、作られた緊張感とはまた違った妙な生々しさを伴う緊張感の持続がある。とは言ってもこの作品の最大の功労はアメリカ史上最悪の政治スキャンダルをたかだか2年か3年ほどしか経たないうちにエンターテイメントで見せてしまうところにあり、大統領を辞任に追いやった実際の報道とともにアメリカ映画の正義と自由を声高々に発したところにあるのだと思う。2大スター共演はいろんな意味で適任であった。 [DVD(字幕)] 6点(2009-06-10 14:55:15)(良:1票) |
4. ダーク・スター
ジョン・カーペンターとダン・オバノンに限らず皆が様々な仕事を兼務している。スタッフのその後の仕事を見ても、オシムもうらやむ(なわけない)ポリヴァレントぶりにはびっくり。『スターウォーズ』の光速移動の原型にはオォォ!となるも、全編で低予算であることを前面に押し出しており、どんなにシリアスな場面でも乾いた笑いを伴っているという脚本との相性もバッチリ。エイリアンの造形のしょぼさは限度を超えているような気もするが(笑)。『2001年宇宙の旅』をパロった妙にやさしいコンピューターと意固地な爆弾が最高。乗組員にもう少しインパクトがあったらもっと良かったんですが。 [ビデオ(字幕)] 6点(2007-09-19 11:28:11) |
5. 太陽を盗んだ男
原爆を作る過程が一番面白かった。バスジャックをした老人の要求と現代人の代表・城戸の要求の対比も面白い。だが、アクション色をどんどん色濃くしていく中盤以降は思わず「おいおい、、」と突っ込みをいれたくなる展開へとなだれこむ。ド派手なカーチェイス、あり得ない行動をするラジオDJ、ヘリから飛び降りても死なない文太、撃たれても死なない文太、撃ちまくられても死なない文太、、、。それでも初代RX-7のどう考えても法定速度をはるかに越えた爆走ぶり、そして大量のエキストラが登場するデパートの騒動など、この映画にはゾクゾクしてくるようなパワーを感じる。皇居前の撮影も国会議事堂の女装潜入も首都高カーチェイスもすべて許可無しゲリラ撮影。警察が出るたびにスタッフを一人、また一人と留置場へ行かせて撮影を強行したとか。それ相応の覚悟と意気込みがなければ出来ない。そしてその覚悟と意気込みが確かに映像ににじみでている。 6点(2005-01-20 14:42:57) |
6. ダーティハリー3
人間、年を重ねると皆成長する。ハリーも基本姿勢は変わらないが丸くなっている。でもそんなハリーは見たくない。ストーリーがよほど面白いのなら別ですが。 4点(2003-10-03 14:55:21) |
7. ダーティハリー2
1を思い出そうとするとハリーが決め台詞を言うシーンなどで2を思い出そうとすると犯人グループだったりする。ハリー・キャラハンという個性にスポットを当てた1に対して、2はストーリーにスポットを当てているように感じた。確かに2のほうがはるかにストーリーは良い。それゆえの高評価なんだろうが、個人的には1が好き。 6点(2003-10-02 18:26:41) |
8. ダーティハリー
冒頭の銀行強盗のシーンだけで満足できる。アクションといっても派手さは無く法の矛盾を題材にした刑事モノだが、とにかくハリーがかっこいい!これにつきる映画。 7点(2003-10-02 13:16:46) |
9. タワーリング・インフェルノ
子供の頃大好きだった映画。お金をかけた超大作、豪華スター競演、まさにハリウッド大作。近年だとそれだけの映画で終わってしまいがちだが、これは「いっちょー、すげーやつ作ったろかー!」という作り手の力強さみたいなのが伝わる。でも多少はお金と豪華キャストに頼ってる感は否めない。マックィーンが出てなかったらここまでのヒットはなかったと思う。彼のかっこよさは彼にしか出せない異質なかっこよさがある。 8点(2003-09-03 16:45:45) |
10. タクシードライバー(1976)
《ネタバレ》 トラヴィスは決して異常ではなく普通の人間である。むしろ真面目で純粋な人間である。戦争中は皆がそうであるように彼もまた、国のために誇りを持って従事していたに違いない。しかし帰ってみると社会は帰還兵を受け入れてはくれなかった。そしてその社会は犯罪と差別がはびこり生かされるだけの退廃とした社会。その象徴がニューヨーク。それでも彼なりにそんな社会に溶け込もうとする。何かしなければと。彼の使命感は病んだ社会と相俟っておかしな方向へずれていく。結果、最悪の事態は回避されるが、今度は病んだ社会によって皮肉にも英雄となる。これでやっと病んだ社会の一員だ。と感じとったのですが、ちょっと違うか?次見たら、また違う感じ方をするのだろう。 8点(2003-08-19 18:43:30)(良:1票) |