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プロフィール
コメント数 2402
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  タンポポ 《ネタバレ》 
『お葬式』に続く伊丹十三の監督第二作目ですけど、この初期二作はサブカル寄りの視点が濃厚で次作『マルサの女』からは社会派的な作風に変化します。でもこの『タンポポ』こそが伊丹の作家性がもっとも色濃く出ているんじゃないかと私は感じます、海外でも評価が高いというのは納得です。 世はあの『美味しんぼ』の連載が始まったころ、膨らみ続けるバブル景気の熱気の中で日本人の関心が食に向き始めてきます。その中であえて伊丹が今でいうB級グルメ的な位置づけだったラーメンをテーマに選んだところは秀逸な観点で、これこそまさに食のサブカルと言えるでしょう。設定やディティールは“ラーメン・ウェスタン”と称するだけあって西部劇のカリカチュアと捉えることができ、登場人物たちを漫画チックなキャラにマッチした撮り方だと思います。ストーリーと並行して挿入される食にまつわるエピソードというか小話がこれまた絶妙。駆け出しの頃だった役所広司を始め、豪華な大物たちがショートコントみたいな寸劇を見せてくれるとはなんと豪華なことでしょう!でもまだ無名だった役所の白服の男の存在感は大したもので、とくに洞口依子との牡蠣のエピソードはヤバいですね。初期の伊丹作品では劇中に一か所はフェティッシュなエロをぶち込んでくるのがお約束ですけど、その中でも直接的な脱ぎや表現はないこのエピソードがエロ度最高峰じゃないかと自分は思います。そして食の映画でもっとも大事なのは、その料理がいかに美味しく見せるかということです。その点では本作でのラーメンは、たとえ深夜に鑑賞していても食べたくてしょうがなくなるまさに“飯テロ”と言ってもいいんじゃないでしょうか。今や定番のネギラーメンは、本作がきっかけで全国に広まったという説があるそうです。あとあまり認識されていないようですけど伊丹十三は音楽のセンスが絶妙で、役所広司のエピソードでのマーラーの使い方は『ベニスに死す』に匹敵するんじゃないでしょうか。 製作から35年経ちましたが、いまだ本作を超える食がテーマの映画は日本映画界では撮られていないのが現実です。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2021-12-18 22:14:38)
2.  誰かに見られてる 《ネタバレ》 
原題の“Someone to Watch Over Me”は言わずと知れたガーシュイン兄弟の名曲で、タイトル・ロールではスティング、エンド・ロールではロバータ・フラックがそれぞれ渋い声で歌唱してくれます。確信犯なんでしょうけど「誰かに見られている」という邦題はまるでストーカーに付け回される恐怖を表しているかの様な印象を与えてくれますが、本来は「誰かが見守ってくれている」という風に訳すのが正解です。 なんと言いますか、リドリー・スコットの最初で最後のロマンス・ミステリーはどう観ても失敗作としか言いようがなかったです。ストーリーからして退屈の極み、犯人の素性も動機も行動も理解不能だし、トム・べレンジャーの刑事も最後まで良いとこなしです。ミミ・ロジャーズは面通しの際に犯人を特定しなかったと解釈して間違いなさそうですが、その犯人がなぜ彼女を殺そうとするのかがイマイチ理解できない。時がたつと証言を覆すかもしれないという不安はあるかもしれませんが、人質までとって立てこもったりしたらもう終わりだって。この犯人ベンザ役の俳優の面構えだけは強烈でした、極悪人としか見えません。 それでも映像にはしっかりとリドリー・スコット印がついていまして、闇と光の対比は彼の得意とするところですが、それが一種の臭みにつながるのも事実です。同僚刑事が撃たれた後の病院のシークエンス、病棟をつなぐ廊下の奥の方が室内なのに霞がかかっているんです、いくら何でもやり過ぎでしょ(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2019-11-06 23:33:48)
3.  台風クラブ 《ネタバレ》 
製作当時の80年代にはなかった言葉だけど、この映画は中二病を患った中三が集団発作を起こすお話しだと思います。その中で彼ら彼女たちは性の目ざめや人間の根源的な生死の問題に苦しみ、そしてその中の一人はその問題に決着をつけたってわけです。この物語は徹底的に中学生たちの世界を描いていて、大人は実質的に三浦友和が演じる数学教師とその関連人物しか登場しませんでした。この三浦友和の演じる教師がいかにもいそうないい加減な俗物で、実にリアルです。山口百恵との共演でアイドル俳優というイメージが定着していた彼がよくこんな役を引き受けたと思いますが、本人の回想にもあるようにこの役が現在まで続く俳優人生の大転機となったことは言うまでもありません(当初は糸井重里にオファーしていて断られたそうです)。半面、工藤夕貴ら生徒たちの親は家庭内のシーンがあっても全くといっていいほど登場せず(寺田農だけが暗がりで誰だか判らないようになってワンカットだけ映る)、これが本作の独特のテイストを形成しています。またこの映画には有名な『犬神家の一族』のパロディとしか思えないカットやオカリナを吹く白装束の男女など理解に苦しむところが多々ありますが、相米慎二は脚本にはほとんど異議を唱えない監督だったそうなので、これは脚本家にそういうクセがあったってことでしょう。まあ、土砂降りの中で下着姿になって『もしも明日が』を踊り狂うところをワンカットで見せるという相米らしいシーンもあるので、これは良しとしましょう。とにもかくにも、本作は日本の80年代青春映画の最高傑作だと思います。 この映画は、長野県佐久市の中学校で夏休みに集中してロケしたそうで、在校生もエキストラ出演しています。完成後に体育館に生徒を集めて披露試写会を学校は企画していたそうですが、中身やストーリーを知らずに協力していた先生たちが怖気づいてけっきょく企画は立ち消えになったそうです。これはぜひ実現して欲しかったですね、きっと家族団らんで観ているTVに突然濃厚なラブシーンが流れて気まずくなるような雰囲気だろうなと、想像しただけで笑えてきます。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2019-09-12 18:43:46)(良:2票)
4.  ダーティハリー5 《ネタバレ》 
監督はイーストウッドとは長い付き合いのスタント演出のバディ・ヴァン・ホーン、もうシリーズ最終作だからということで今までの労をねぎらっての監督起用、というか製作陣はこの映画を名作にしようとする努力を端から放棄しているとも言えます。まあこの脚本じゃ誰がメガホンとっても結果は変わらなかったでしょう。イーストウッドもさじを投げたって感じで、シリーズ中でこれほど情熱を感じないハリー・キャラハンはなかったし、ただ脚本通りに動いているってところでしょうか。恒例の相棒ネタは一回りして第一作に戻った感じで、エスニックの中国系となりました。この相棒がカンフー使いなのはお約束通りです、でもシリーズ中で最も印象が薄かったのは否定できません。原点に帰ろうとしたのは犯人像で、スコルピオに負けない凶悪さを出そうとしているのは認めましょう。でもそいつを明確にキチ〇イということで片付けてしまうストーリーテリングじゃ、話が膨らむはずもありません。だいたい此奴が出現した途端に可哀想にもリーアム・ニーソンの存在意義が霧消してしまい、ストーリーからもいつの間にかフェード・アウトしてしまう情けなさ。まったくしょうもない脚本です。 まさかハリー・キャラハンの最後の一発が銛だとは、愕然とさせられました。そういや、シリーズ中でハリーは一度も犯人に手錠をかけて逮捕しなかったよな、ひょっとして手錠を持ってなかったりして。まあとにかく、さらば、ハリー・キャラハンよ永遠に…
[CS・衛星(字幕)] 3点(2018-03-26 23:03:51)
5.  第27囚人戦車隊 《ネタバレ》 
デンマークの資本でハリウッド俳優とユーゴスラビア人俳優を使いユーゴで撮影されたという典型的なB級戦争映画。70~80年代のユーゴでは『戦略大作戦』や『戦争のはらわた』といったハリウッド戦争アクションが撮影されていますが、ユーゴでロケするメリットはもちろん西側と比べて物価が安いことと、第二次大戦の両陣営の兵器がけっこう残って使えたことに尽きます。 本作はドイツ兵を主人公にしたプロットが珍しいと言えます。囚人兵を集めた懲罰戦車部隊がソ連軍を相手に特殊作戦を展開するという、内容自体はよくあるパターンです。前半は戦車が動き回るのが見どころという風情ですけど、出てくる戦車は大戦中の実物ですけど全部ソ連戦車ばっかり。それに鉄十字マークを付けてドイツ戦車ですと言われても、少しも似せようとしてないので実感がないことは夥しいです。ドイツ戦車兵の軍服もなんかおかしなレプリカなのでこれまた雰囲気が出ません。おまけに肝心のソ連軍後方に潜入しての特殊作戦が、戦車を捨てて徒歩で実行とくればなんか騙された気分です。また脚本がヘロヘロで何を訴えたいのか良く判らんというのも致命的。世間に名が少しは知れていると言える出演者はデヴィッド・キャラダインとオリヴァー・リードぐらいです。そのオリヴァー・リードの出演シーンはラストの五分にも満たない超短時間ですから、もう開いた口が塞がりません。この二人が出演している80年代の映画はそれぞれ駄作ばっかりというのが定説ですけど、その二人が曲がりなりにも共演してしまったというわけで、その破壊力は想像通りでございました。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2017-07-11 22:30:07)(良:1票)
6.  第四の核 《ネタバレ》 
原作はフレデリック・フォーサイスのポリティカル・ノヴェルです。原題は直訳すると『第四の議定書』という感じですね。冒頭で「米ソ間では核軍縮条約を締結したときに四つの議定書を交わしたが、四番目の議定書は未だに内容は秘密になっている」なんて意味深なテロップが流れます。実はこの議定書のことはその後のストーリーではまったく出てこないので結局なんのことやら判らずじまいなんですが、これは膨大な原作小説を端折ったせいなんでしょう。まあそのことは忘れてしまっても、この映画を観るのにはなんの支障も有りませんけどね。 かいつまんで言うと、英国の米軍基地で事故に見せかけて小型核爆弾を爆発させて英国をNATOから離脱させるという陰謀を強硬派のKGB議長が計画し、その任務のために潜入してきた凄腕エージェントと英国情報部MI5の闘いを描いています。いわば『ジャッカルの日』のリサイクル・ヴァージョンみたいなプロットなんですけど、サスペンスとしてはけっこう面白く撮れています。そのジャッカルとルベル警視に相当する役を演じるのがピアース・ブロスナンとマイケル・ケインというわけです。ブロスナンはまだジェームズ・ボンドに抜擢されるはるか前ですが、とにかくこのKGBエージェントが渋いというか不気味なんです。登場シーンでは1シーンを除いてまったく無表情で押し通し、自分の行動の目撃者はもちろんのこと、核爆弾製造の支援のためにソ連から派遣されてきた女スパイですら役目が終わると表情ひとつ変えずに殺してしまいます。対するマイケル・ケインは、かつての当たり役ハリー・パーマーを彷彿させるカッコよさです。こういう上司には反抗的だけど有能なキャラを演じたら彼はピカイチです。 ケインがブロスナンを追いつめてゆく過程や、土壇場で二人が邂逅し秒殺で勝負がつくところなんかは、『ジャッカルの日』とそっくりなんですが、原作の政治的な要素をばっさり捨ててエンタテイメントに仕立てたのでまあしょうがないというしかないですね。そこそこ面白かったというのが感想ですが、これが日本では未公開だったというのはちょっと不思議ですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-03-17 22:37:23)(良:1票)
7.  ダーティハリー4 《ネタバレ》 
シリーズ唯一のイーストウッド監督作ですけど、まだ作風がドン・シーゲル風味だったころですので出来としてはB級色の強い刑事アクションという感じです。前作以上に「泣けるぜ」とぼやく回数が多かったようで、ハリー・キャラハンもちょっとくたびれてきたかな、という印象ですね。「ゲームのルールは変わったんだぞ」という上司のお説教のおかげでしょうか、本作ではとうとうオート・マグナムを使う様になってしまいました。ラストのオート・マグナムを構えてシルエットになって悪漢の前に現れるところなぞ、「待ってました!」と掛け声をかけたくなるカッコよさですね。でも殺しのシーンではソンドラ・ロックの“股間撃ち抜き殺法”の方がはるかにエグくて、どっちかと言えば主役は彼女じゃないでしょうか。 シリーズとしての疲弊感はキャスティング面において濃厚で、『ガントレット』組のソンドラ・ロックやパット・ヒングルは我慢するにしても、ハリーの相棒が『3』にも出てたアルバート・ポップウェルというのはさすがにどうかと思います。だってこの人、前作では悪役だったんですから、いくら7年のブランクがあったとしてもちょっとあり得ない配役ですよ。良く観るとこの俳優は第一作から全部に悪役として出演していて、とうとうハリーの相棒にまで登りつめたって訳です(笑)。イーストウッドのお気に入り黒人俳優だったみたいで、彼の後継者がモーガン・フリーマンということになるんでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2015-06-30 00:52:09)(良:1票)
8.  タッカー 《ネタバレ》 
『ワン・フロム・ハート』『コットン・クラブ』といった大コケ大作を連発して青息吐息の状態だったコッポラにプレストン・タッカーの伝記映画を撮らせるなんて、製作総指揮ジョージ・ルーカスの激励と友情をひしひしと感じました。まさに夢を追う男タッカーはコッポラの生きざまと重なるところが多く、彼自身も良く判っていたんじゃないでしょうか。もっともこの映画自体も興行的にはこけてしまったみたいですけどね。 でもわたくしはこの映画が好きですね。ジェフ・ブリッジスは山師みたいな要素もあるタッカーを好演しているし、何より脇を固める助演陣が素晴らしい。とくにマーティン・ランドー、オスカーノミネートも納得の名演です。彼の演じるエイブ・キャラッツがこう言います。「良く母に言われたよ、人に近づきすぎちゃダメ、夢がうつるから」、なんて含蓄のあるセリフでしょうか。タッカーを破滅させようとする上院議員はロイド・ブリッジスで、これがブリッジス父子の唯一の共演映画なんですね。終盤はお約束の法廷劇になるのですが、タッカーの最終弁論は格調高くてなかなか感動的でした。ジェフ・ブリッジスは演説するのが実に上手い役者です。 それにしてもタッカー・トーピードはほれぼれするほどカッコ良い車ですね。撮影当時にコッポラの所有する2台を含めて47台が残存していたそうですが、現在では何台が残っているでしょうかね。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-05-21 23:23:35)
9.  第七の予言 《ネタバレ》 
黙示録や“さまよえるユダヤ人”の伝説などをモチーフにしているショボい滅亡オカルトなんですが、これはもうデミ・ムーアのマタニティ・ヌードを見せたいがための企画としか言いようがないです。ていうか、同時期に雑誌でもヌードになっているし、デミ・ムーア自身がよっぽど見せたかったんでしょうね(露出狂かよ)。でもこんなお腹が大きいときに、良くこんな胎教にも母体の精神上にも悪影響を与えそうな役を演じられるもんだと感心しちゃいます。この時生まれたブルース・ウィリスとの子供は、今はどういう風に育ったんでしょうかね。 この映画で堪らなく不快だったところがあります。デミの旦那がマイケル・ビーンで弁護士としてある死刑囚(実は予言では救世主になるはずの人物)の処刑を中止させようと奮闘するのです。彼が何をしたかというと、近親結婚をした自分の両親を“神の掟に背いた”と殺害したのです。ふつうの感覚では死刑になってもしょうがない狂信者だと思いますが、この映画ではなんか無垢な精神を持った清らかな人みたいに描いているんです。しかもそれを演じているのが障害を持った俳優(ダウン症みたいでした)で、つまり彼は“神の子”だということみたいです、監督の意図は。もうシャレにもなってませんよ、まったく!
[ビデオ(字幕)] 3点(2013-09-29 22:34:25)
10.  ダイ・ハード 《ネタバレ》 
こけおどしのアクション映画が量産されていた80年代に、突如出現した“頭のいい脚本”で初めて撮られたコップアクション・ジャンルの金字塔です。 派手な画も多いのでカネかかっている様に見えますが、基本はこの映画良い意味でB級テイストなんです。B・ウィリスのランニングシャツが、シーンが替わった途端に下地がまったく見えないこげ茶色にまで汚れちゃうなんて、ふつう超大作映画ではあり得ないけど、そんなこともちろん誰も気にしない。今でこそ中年アクションスターの座を守り続けているB・ウィリスですが、そもそもこの作品に抜擢されるまではコメディ・ジャンルの人だったこともお忘れなく。つまりキャスティングには全然おカネをかけていないわけですが、その“安い”俳優たちがウソみたいにその演じるキャラにはまりまくっているのはもう奇跡としか言いようがありません。 中でもA・リックマンのH・グル―バーは、その悪役ぶりがあまりにリアルだったので、その後の映画に登場するテロリストのキャラに多大な影響を与えています。私もこの人はてっきりドイツ人だと永いこと誤解してました。実は素のリアクションだったというH・グル―バーの最期の表情も、“悪役の死にざまベスト10”というランキングがあれば上位に入るのは間違いないでしょう。
[DVD(字幕)] 9点(2013-06-01 00:34:07)(良:1票)
11.  ターミネーター
B級・低予算映画として製作されたと良く言われますが、SFX職人だったジェームズ・キャメロンらしくそんなこと感じさせない映像は、現在の眼で観ても遜色ないところです。予算の少なさはキャスティングにしわ寄せが行ったのでしょうが、まるで演技ができないドイツ訛りの大男をターミネーター役に抜擢したことで、本作をレジェンドに高めることになりました。脚本を書いた当時は予想してなかったでしょうが、タイムスリップや自我を持ったコンピューター“スカイネット”といった荒削りながらも骨太なプロットのおかげで、その後に三作も製作された一大サーガに発展出来たわけです。ターミネーター役が、当初のランス・ヘンリクセンではなくてシュワちゃんになってほんと良かったですよね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-01-01 23:33:20)
12.  ダントン 《ネタバレ》 
フランス革命史はナポレオンが執政になるまでがゴチャゴチャしていて面白い。フランス革命のこの時期に起こったことは、20世紀に発生した幾つもの革命でも予言された様に繰りかえされていることは注目に値します。 このアンジェイ・ワイダの映画はロベスピエールとダントンの確執とダントンの失脚と処刑までを重苦しくもピリピリとした緊張感で引っ張る映像に圧倒されます。まるでリゲティを使った様な不安感をあおる音楽は、あたかも政治の激動に苦しめられる民衆の呪詛の様にも聞こえます。製作当時のポーランド事情からして、ダントンが『連帯』のワレサ議長、ロベスピエールはヤルゼルスキ将軍を暗喩していることは想像できます。ただこの映画は題名にも関わらずダントンよりもロベスピエールの描写の方に比重が重い様な感じで、彼を従来よりも人間的に見せているところが興味深い。「革命はサトゥルヌスに似て次々と我が子を喰らう」、これはダントンが裁判で放った文句ですが、歴史に残る名言です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-11-25 00:43:12)
13.  太陽の帝国(1987) 《ネタバレ》 
この映画は、スピルバーグ作品の中では知名度の低さ1・2位を争うのですが、思うにこの時期のスピルバーグは暗中模索、自分の方向性を探って悩んでいたのではないでしょうか。収容所という題材は後年「シンドラーのリスト」につながっていくのですが、殺伐とした良く言えばドライに人間の本質を描く術をこの映画で体得したようです。それはやはりジョン・マルコビッチの深い演技に助けられたところが大です。正直脚本は上映時間の長さを意識させられるもたもたした出来で、少年クリスチャン・ベールにも感情移入できなかったですが。父親との関係が希薄というパターンは、ほんとスピルバーグ作品の「癖」ですね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2009-09-04 21:26:20)
14.  ダウン・バイ・ロー 《ネタバレ》 
こんなに渋くてカッコ良いオープニングは初めてです。全編に漂うゆるーい雰囲気がいいですね。舞台がニュー・オリンズなのも一役買っているのでしょう。強面のトム・ウェイツとジョン・ルーリーの二人にロベルト・ベニーニを投げ込んでこんなに絶妙なハーモニーを生み出せるとは。ラスト・シーンは、「第三の男」を彷彿させる忘れなれない名シーンでした。
[DVD(字幕)] 8点(2009-09-03 21:40:58)
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