21. 忠臣蔵外伝 四谷怪談
忠臣蔵と四谷怪談がほどよく重なりあう映画構成がすばらしい。特に中盤の「曾我兄弟仇討ち」を舞う赤穂浪士と伊右衛門の祝言で舞うお梅、そしてそれに毒を飲まされたお岩が舞い狂う。この3つの場面を琵琶の演奏でひとつにまとめあげたのは芸術的というほかない。顔の白塗りは最初気色悪かったが、古き時代を幻想的に仕上げるのに効果的で映画によく合っていたと思う。ただお岩さんの扱いがやや弱く怪談にしては物足りないかも、それに対して荻野目慶子のお梅の演技は目を見張るほど圧倒的。それにオルフの「カルミナ・ブラーナ」は効果的かもしれないが、マーラーの「巨人」はどうだろうか、映画と合っていないような気がする。 [DVD(邦画)] 7点(2012-08-20 17:21:07) |
22. チェンジリング(1980)
ホラー映画は好きでないのでたくさん見ていないが、これは良作だと思う。子どものボール、メタル、車いすなどたくさんの小道具が出てくるが、それをうまく使って恐怖感を引き出している。目に見えないものが現れたり動いたりする。それが本来のホラーであり、血がとばっと飛び散ったりゾンビが出てきたりするのはただ単に怖がらせているだけで、それとは大きく異なる。静かな中にミステリアスで謎解きに始まる展開が良い。こんなに良い映画なのにDVDがないのは不思議だ。 [映画館(字幕)] 7点(2012-08-01 09:26:56) |
23. チャンプ(1979)
映画館で見たのは、もちろんこっちの方のチャンプ、あのときは素直に感動した。子役がとてもかわいかったし、ボクシングの試合もすごくリアルだった。何より父親と息子の関係が実に良い。後にオリジナルをDVDで見たけれど、内容的にもこっちが良い。 だけど、元ボクシングチャンピオンがけんかしたら駄目でしょう。素手も凶器なのだから・・・。ただフェイ・ダナウェイの母親がいまいち馴染めなかった。 [映画館(字幕)] 7点(2012-07-15 17:04:16) |
24. 痴人の愛(1934)
とんでもない女に捕まってしまったと言えばそれまでだが、男と女、人間と人間の結びつきは理屈では計り知れないものがある。それが人間の絆というものだろうか。一度や二度でなく、三度も四度も・・・。心の底から私が悪かったと惚れた女性から謝られるとついつい・・・。端から見ればなぜ、どうしてと思うのが当然なのだが、人体の模型が恋する女性に見えるくらいなのだからどうしようもない。 この憎たらしい女性から、妖しげな女性、惨めな女性までを演じたベティ・デイヴィスの演技は神業か。 [DVD(字幕)] 7点(2012-07-07 15:58:19) |
25. 血と砂(1941)
《ネタバレ》 ルドルフ・ヴァレンティノ主演のサイレント映画「血と砂」は見たことがないので比べようがないが、これはこれで立派な映画である。タイロン・パワーが演じる闘牛士とその妻が若干17歳のリンダ・ダーネル、そして二人の仲を裂いた妖婦がリタ・ヘイワース、クラシック映画ファンにとってはまったくうらやましい限りの豪華なキャスト陣だ。おっと忘れてはならない主人公の母親アラ・ナジモヴァは、サイレント映画の女王だったそうな。 貧困・無学故の無鉄砲さなのか、映画は闘牛士の華やかさと哀愁を見事に描いている。非常に印象に残る映画だった。 なお、主人公がカルメンに愛を打ち明けるシーンで、ギターと歌で演奏されるのが「愛のロマンス」禁じられた遊びで一躍有名になった曲。しかしこの映画はその10年以上前なのだ。 [DVD(字幕)] 7点(2012-03-08 23:03:54) |
26. 忠臣蔵(1958)
今まで数多くの映画やTVドラマが作られた忠臣蔵、何本見たことだろう。もちろん私が生まれる前の忠臣蔵は知らないが、子どもの頃見た忠臣蔵はずいぶん重みがあった。 この長谷川一夫の忠臣蔵はその筆頭といえるだろう。何といっても豪華なキャストとたくさんのエピソードを盛り込んだ内容は、秀逸である。 ただ私好みとしては、片岡知恵蔵の方が好きであり、松本幸四郎も捨てがたい思っている。長谷川一夫はやや浪花節調であり、刀を振り回す内蔵助は好きでない。この映画で好きなのは、幕府目付役の多門伝八郎だ。内匠頭の切腹に対し、堂々と進言しているのに応援したくなる。 [DVD(邦画)] 7点(2011-12-15 21:53:44) |
27. チップス先生さようなら(1969)
《ネタバレ》 初めて見たのは学生の時教員になる前だった。それから40数年経って、DVDで再鑑賞したのだが、大変なつかしかった。 教育熱心だが頑なで堅物のチップスが、奥さんとなったキャサリンとの愛によって親しみのある先生となるのがすばらしい。ロバート・ドーナットもピーター・オトゥールもどちらも好演であり、それぞれの良さがあると思う。 この映画では、キャサリンを追いかけるシーンが2つある。ひとつは前半終了直前そしてもう一つは校長となったことを告げようとするシーン、どちらも非常に印象的で忘れられない。 キャサリンを演じたペトゥラ・クラークはさほど美人とは思えなかったが、歌はうまく親しみやすかった。 [映画館(字幕)] 7点(2011-10-23 10:05:36) |
28. チャッカリ夫人とウッカリ夫人
私の子ども時代の人気ラジオ番組に「チャッカリ夫人とウッカリ夫人」というのがあり、13年も続く長寿番組となった。この映画はシリーズ化された最初のもので、DVD発売によって見ることができた。 柳家金語楼、横山エンタツという名喜劇俳優や後に社長シリーズで活躍する森繁久彌らが登場し、おもしろさ満載である。 これらの登場人物に混じって、香川京子がチャッカリ夫人の妹を演じ、姉に負けないチャッカリぶりを発揮する。 [DVD(邦画)] 7点(2011-05-22 15:11:33) |
29. 忠臣蔵 櫻花の巻・菊花の巻
映画やテレビでどれだけたくさんの「忠臣蔵」が作られたことだろう。私も子どもの時映画を見たが、今となってはたくさんある中のどれかはわからない。 DVDの時代になってどれか1本は見てみようと手に取ったのがこれである。大石内蔵助はそれこそ何人も役者・俳優が演じたが、私は片岡知恵蔵が威厳がありベストだと思っている。それにこの映画が作られた頃は時代劇の東映と大変有名であった。 さてこの映画の俳優陣は大変豪華である。まさに東映時代劇スターオールキャストと言ってもよい。子ども時代に覚えた名前がずらり出ている。(50年以上たった今でも出ているのは、NHK大河ドラマ「江」の徳川家康くらいだろうか) この映画のよさは、忠臣蔵を単に仇討ちや人情物とするのではなく、内匠頭がなぜ刃傷に及んだかをていねいに描いていることだろうと思う。 [DVD(邦画)] 7点(2011-03-03 20:56:49) |
30. ちはやふる 上の句
小倉百人一首は子供の頃から親しみがあり、競技かるたについても一応のことは知っていたが、これほどすさまじいものとは思ってもいなかった。主人公千早を演じる広瀬すずが一際美しいし、それにつられると奔放な性格とのズレがまたすさまじい。白目をむいてねむりこけるなんてまさに漫画チックでストーリーも結構おもしろかった。 [DVD(邦画)] 6点(2018-05-14 20:15:05) |
31. チャーリーとチョコレート工場
誕生日プレゼントのチョコをみんなで分け合う心優しい少年が、拾ったお金でチョコを買うとは、おまえも他の4人と変わらんじゃないかと言いたくなるが、それは置いといて····。 原色のけばけばしさとストーリーの毒々しさが気にはなったが、こういう映画なのだろう。それにしてはハッピーエンドが違和感あり。 [DVD(字幕)] 6点(2015-11-22 09:07:36) |
32. チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密
ちょっとばかりお馬鹿なストーリーだけど結構楽しめる。ジョニー・デップは本当にいろんな役がこなせる俳優だと思う。チャーリーが活躍しているようだけどほとんどジョックのおかげ、こんなに忠実でタフな部下は頼もしい限り。 [映画館(吹替)] 6点(2015-02-16 14:04:12) |
33. 智恵子抄(1957)
資産家の家に生まれ、画家の道を歩んだ長沼智恵子。彫刻家で詩人の高村光太郎と出会い結婚したが、実家の破産等で心労が多く、病気がちだった彼女の身体が次第に蝕まれていく。映画としてはおもしろみに欠けるが、智恵子を演じる原節子は絶品、大変際だっている。統合失調症で記憶が薄れていくなかで、時折蘇る記憶にハッとする。 [映画館(邦画)] 6点(2013-09-27 23:10:52) |
34. チキンとプラム ~あるバイオリン弾き、最後の夢~
ヴァイオリンの美しい音色に誘われ鑑賞。コミカルでファンタジックで切ないロマンスもある。最初バラバラだったストーリーが、後半になって繋がっていく過程が良い。 [DVD(字幕)] 6点(2013-07-24 06:25:46) |
35. チャップリンの冒険
脱獄した囚人が逃げ回るのがどうして冒険なのかと思ったが、まあまあおもしろい。この時代の喜劇、サイレントはこれで良いのかも。 [DVD(字幕)] 6点(2013-06-09 05:20:02) |
36. チャップリンの移民
真ん中あたりの自由の女神を境にして、前半の揺れる船のシーンと後半の船を降りてからのレストランシーンに分けられる。その前半はおもしろいしよくわかるのだが、後半のレストランの払いがどうなったのかわかりにくい。それはそれとして、移民の哀愁感が漂う。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-05-28 15:00:28) |
37. チョコレート(2001)
看守、死刑執行とくるとグリーンマイルを思い出さずにはいられないが、この映画もまたハードな内容だ。のっけのセックス・シーンもこれは何だ、見る映画をまちがえたのかと思うほど。しかし考えてみれば、役目柄とは言え、死刑執行とは大変な仕事だ。正常な神経でできるものだろうか。原題の"Monster's Ball"もそこらあたりにあるようだ。それに対して邦題のチョコレートは好物として登場してくるが、何とも味気ない。もしかしたら、黒人のチョコレート色の肌の意味もあるのかな。 [DVD(字幕)] 6点(2013-05-25 20:04:50) |
38. 痴人の愛(1949)
「パパ、スクーター買ってよ」で始まったときは先が見えているようで、それだけの映画かと思ってたけど、最後はなかなか良かった。お互いが悪かったところを省みて幸せになってくれればと願う。それにしても終盤の佐藤春夫の詩「秋刀魚の歌」は意味深長だ。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2013-03-06 21:29:46) |
39. 小さな恋のメロディ
《ネタバレ》 初演の時、すでに教職に就いていたので、教師の目からのコメントですが・・・。 歴史の授業でウェリントンのイベリア作戦がテーマ、それを「STMTBMC」と覚えさせる試験のためだけの授業、それに対しオーンショーが「なぜスペインと戦ったのですか」と質問する。これはとても意味深なシーンだ。 子どもの純粋な疑問「なぜ」に正面からきちんと答えていかないと、大変なことになると思う。大人を信頼することなく、無知なままとんでもない方向へと発展してしまうのだ。 幼き少年少女の「結婚する」という宣言はまさにそれだった。結婚が何かを知らず、ただ一緒にいたいという願望だけだったのに・・・。 「オリバー」で主演したマーク・レスターだったが、3年たってもまだ幼さが残る。女の子メロディの方が年上に見えるくらいだった。 [映画館(字幕)] 6点(2012-02-28 21:35:11) |
40. チャップリンの給料日
短編はさすがに笑いが凝縮されている。次々と起こる愉快なシーン、中でもレンガを積み上げるシーンは最高、ここの誰もが認めているようだ。給料日の一日(翌朝まで)が描かれるが、一抹の寂しさを感じるのは私だけだろうか。 [DVD(字幕)] 6点(2011-09-05 07:10:01)(良:1票) |