1. 忠臣蔵外伝 四谷怪談
《ネタバレ》 深作監督はもともと「赤穂城断絶」で忠臣蔵はやってたんだけど、あの作品は、この監督らしからぬオーソドックスにまとまった感じのものでした。しかし、この間に商業的実績を積み、好き放題できるようになったということなのでしょう。忠臣蔵と四谷怪談を1つの話にセットして映画を作るなんて、そんなことができるのはこの人だけです。そして、両方がきちんと描かれて、しかもつじつまが合っているという驚くような世界が展開されています。●爆乳+お岩メイク+ブリザードアタックと、頑張りまくった(監督の無茶な要求に応えまくった)高岡早紀には敢闘賞を。渡瀬恒彦や火野正平は、必要以上に前に出てこないのが、かえって存在感を増しています。石橋蓮司や渡辺えり子の白塗りはいらなかったんじゃないかな。そんなものがなくても、あるように見える芝居ができる方々なのですから。そして、せっかく真田広之を内匠頭にしたんだったら、松の廊下では、もっとこれでもかというくらい暴れまくってから取り押さえられてほしいところでした。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2023-11-23 00:44:08) |
2. チャーリーとチョコレート工場
《ネタバレ》 チョコレート工場の見学という甘く楽しい設定が、毒々しい原色と悪意あふれる展開(子供に対してでも容赦なく制裁を下す)で彩られる中盤までは実に良かったのです。ところがその後、やっぱり家族は大切なんだみたいな優等生的なまとめ方で一気に収束してしまって、いきなり普通レベルになってしまいました。あの設定だったら、途中で消えた子供はそのまま帰ってこないくらいでもよかったと思うし、かりにチャーリーは家族を重視して家に帰るとしても、ウォンカは「だったら俺はそのまま引きこもるよ」と格好良く工場内に1人消えてほしいところでした。 [DVD(字幕)] 6点(2023-10-30 02:17:32) |
3. チャ・テヒョンのハッピー☆クリスマス
警察官とヤクザのそれぞれの立場からの恋路のいろいろという趣なのでしょうが、設定が生かされてもいなければ、そもそもストーリーとしても成り立っていませんでした。終始どのシーンもグダグダで、ラブロマンスとしての弾み感がまったくありません。 [DVD(字幕)] 2点(2023-06-11 01:39:36) |
4. 蝶の舌
良い雰囲気の話なのに、内容があちこちに拡散していて、肝心の先生との交流がかなりボケてしまっている。ラストのインパクト一発でそれなりの印象を確保しているというだけ。 [DVD(字幕)] 4点(2023-05-27 01:35:02) |
5. 沈黙の断崖
《ネタバレ》 すでに「沈黙の要塞」という迷作があるにも関わらず、性懲りもなく環境問題に取り組んでしまうセガール・・・ただ、「要塞」に比べればまだ頑張って作り込もうとする気配だけはありますが、そのため全体の雰囲気は何かチマチマすることになりました。一番の突っ込みどころ(気に入りポイントとも言う)は、ほとんど手がかりなしの状態からいきなりヒロインの過去を全部当ててしまう、推理面でも超人のセガールです。二番目は、まだ何もばれてないのに、いきなり全力疾走して自らニセエージェントであることをばらしてしまう2人組です。ただし、ヒロインの生活感あるほのかな色気はなかなかいい感じでした。 [DVD(字幕)] 3点(2022-09-17 00:25:11) |
6. 沈黙の要塞
環境問題とイヌイットを入れてやろう!と真面目に思ってしまった時点で失敗。サシのアクションが少なくて爆薬に頼りまくっているのは、疲れてたんでしょうか?●しかし一番可哀想なのは、こういう作品に曲を提供してしまったばっかりにラジー賞ノミネートという経歴を刻んでしまったスコーピオンズでしょうね、やっぱり。 [DVD(字幕)] 2点(2022-09-15 00:17:00) |
7. ちょっと今から仕事やめてくる
《ネタバレ》 パワハラに遭っている社員が、変な兄ちゃんと出会って変化し、会社を見返していく系かな・・・と思いながら見ていたら、序盤の進行がえらく速い。いったん成功する(新規大口契約ゲット)→そこで予想外のピンチが起こる、といういわば定番の流れも、早々に登場する。これからどうするのかな、と思っていたら、そこからの展開はなかなかいい方向に予想を裏切ってくれました。良かった点は、田舎の両親というクッションのアクセント、メインの退職のシーンで啖呵の一つも切らずにやっぱり腰低いこと(でも表情が違う)、そして退職後は会社を一切映さないこと。バヌアツ云々はやっぱり唐突なんだけど、それまでは世界のすべてだったオフィスの狭苦しさ(物心両面の意味で)を事後的に強調する手法としては、やっぱり必要だったのかな。ちょっと余計なモノローグとか台詞も一部目にはつきましたが、許容範囲内でした。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2022-07-12 00:44:58) |
8. 地球の静止する日
宇宙人来訪系のいろんな後発作の源流はこの作品にあるのだなあ、ということはとてもよく分かる。よって歴史的意義は大きいといえるのだが、今見てみると、単に作風が大らかで牧歌的なのを通り越して、制作者の世界観自体が単純に過ぎるので、やはり食い足りないといわざるをえない。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2022-05-24 00:58:11) |
9. 智恵子抄(1967)
《ネタバレ》 何と、この芸術家の主人公に丹波哲郎?そしてメンタルに弱さを抱えた智恵子に岩下志麻?というキャスティングに、別な意味でのどきどき感が湧いていたのですが、意外にもイメージを逸脱しない範囲で収まっていました。その上で、展開としては、一部脇役がちらほら出てきはするものの、基本的には2人の関係をひたすら追っている。そうすると往々にして単調になりがちなのですが、そうもなっていません。勝因の一つとして印象に残ったのは、道具関係美術の丁寧さ、そしてその効果的な使われ方です。作品上必須の絵の数々を筆頭に、缶々とか(えっ?あの太郎ちゃんが石立鉄男!?)、機織り機とか、レモンとか、彫刻小物とか、切り絵とか。中でも、発症し始めた頃の智恵子の「前と全然違っている絵」の一瞬の説得力は強烈でした。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2022-05-06 20:56:16) |
10. 沈黙の復讐
《ネタバレ》 マフィアと手を組むってのが、まあ、ちょっと捻ったつもりなのでしょうが・・・かえってグシャグシャになっただけでした。しかもラスボスの平時の業が「侵入強盗」って、証拠残しまくりな上に金銭的な意味では効率も悪そうで、速攻で捕まるんじゃないか? [CS・衛星(字幕)] 3点(2022-04-10 02:59:50) |
11. 長江哀歌
《ネタバレ》 導入部では、ランニングシャツのオッサンがあちこち訪ねたりどうしたりしているだけなんだけど、その無力ぶりがかえって面白い。また、じわっと動くカメラで撮られる長回しや、人物の沈黙や静止の活用、さらには画面内の人物配置バランスなどは、テオ・アンゲロプロスを彷彿とさせる部分もある。しかし、もう1人の主人公である女性が絡んでくるはずが、これが媒介として機能していないのです。シンプルにオッサンを最後まで追い続けて尺も短くしたら、もっと強力な作品になったのにと思いました。ラストの「え、そう落とす?」という着地には、別な意味でインパクトがあっただけに。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2022-03-27 22:03:36) |
12. 地球を守れ!
《ネタバレ》 とりあえず自分を正義の見方と信じている(妄想している)青年が、エイリアンを討伐しようとする。そういうナンセンス暴走系コメディかと思ったら、ターゲットの社長を監禁し始めてから、一気にグロ系サイコサスペンスになってくる。このグロ描写に変に気合が入っているため、最初の設定はどこいった状態になっています。終盤の大風呂敷は嫌いではないのですが、そうするとやっぱりそれまでは何だったのかということになります。90分くらいでテンポよくまとめていたら、もう少し何とかなったかもしれません。 [DVD(字幕)] 3点(2021-08-25 00:28:03) |
13. チャンス!(1996)
とてつもなくお馬鹿で面白い設定のはずなのに、変に中途半端に真面目に作られているので、笑うことも唸ることもできない。つまり、演出の方向性が間違っているのである。ウーピーとダイアン・ウィーストというキャスティングも、重厚で安定感がありすぎて、この種の馬鹿話には向いていない(少なくとも、秘書の方は、「何も分かってなさそうな若くて一見頼りない人」を選ぶべきだった)。 [DVD(字幕)] 4点(2021-07-17 01:17:24) |
14. 沈黙 ーサイレンスー(2016)
《ネタバレ》 中盤過ぎくらいまではキリシタン弾圧場面がやたら執拗で、これはやっぱりキリスト教万歳映画だったんかいな、スコセッシは何がやりたかったんだ、と思ってきた頃に、待ってました、ニーソンとガーフィールドの対決。「日本人は毎朝登る太陽に神を見ている」というニーソンの一言は強烈で、この辺の議論をもっと聞きたかったのですが。また、「日本の信者は神のために死んだのではない、君のために死んだのだ」という一言も、本質を突いています。このシーンがあっただけで作品が大幅に救われました。あと、美術や衣装や役者の立ち居振る舞いは、最近の作品には珍しく、時代劇として及第点です。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2020-09-30 01:34:23) |
15. チャップリンの独裁者
メッセージは、突き詰めるほど、また純度が高まるほどに、言葉は単純化されて明確になり、かつ力強くなる。当たり前のことを当たり前に言うことこそが、最も難しく、かつ最も輝かしい。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-05-23 00:28:26) |
16. チェンジリング(2008)
《ネタバレ》 前半は、厳しい視点の中にも地に足の着いた安定感のある描写が良い。特に、母親がスーパーウーマンでも何でもなく、ただ泣くだけ、立ちつくすだけ、または弱々しく抗議するだけというのが、逆にその中にある我が子への信念と愛情を、リアリティをもって裏打ちしている。●後半は、公聴会やら死刑執行やらと幅が拡がりすぎなんじゃないかなあ・・・と前は思っていたのですが、再見して気にならなくなりました。おそらくイーストウッドは、そこにあったもの、コリンズ夫人が体験したものはきちんと盛り込もうとしたんだろうけど、彼の場合、「これも入れようかな」とふと思っただけで、あっという間にまとめて入れ込んでしまえるんですよね。●それと、ぞくっとしたのは、偽ウォルターと実母の対面シーン、実母は物腰丁寧だし、再会を喜んでもいるんだけど、偽ウォルターが何か重大なことを言おうとすると、それに耳を貸さずに、ささっと汽車に押し込んでしまうのです。この一瞬が表す描写の重さ、奥の深さ!●カメラワーク、照明、音楽は相変わらず文句なし。 [映画館(字幕)] 8点(2020-03-04 01:42:29)(良:1票) |
17. チョコレート・ファイター
《ネタバレ》 全体に漂う不協和音的な不穏な雰囲気。その中から徐々にアクションが立ち上がってくるのですが、まあこのアクションは、とにかく凄すぎです。人間の動きの限界に挑戦しているかのようです。ラスボスとの和風クラブ(?)対決のあたりですでにお腹いっぱいなのですが、さらにその後の和室対決では阿部ちゃんも乱入してくるし、そしてあのビル壁対決は、一体何なんでしょうか。思いつくだけでも大概ですが、それを本当に撮るか、と思わず突っ込んでしまいます。この作品そのものが、一発の鋭い蹴りとなって見る側に襲いかかってくるかのようです。気になったのは、敵のラスボスがムッシュかまやつに似ていること。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2019-09-05 01:28:06)(笑:1票) |
18. チャイナ・シンドローム
単なる原発反対作品ではないのが良い。本当に怖いのは、原子力そのものよりも、それに関与する人間の心理なのであるが、この映画はそれをきちんと描写している。だから、内容に普遍性があり、20年以上経った今見ても面白いのである。主人公がヒステリックでも超人的でもなく、普通に冷静にきちんと段階を経ているのも、説得力を高めている。●再見して気づいた点。専門用語の数々を、見る側が理解できるかどうかとかいらん配慮なく、随所にちりばめているのが良い。登場人物のそれぞれが、自らの任務一直線(私生活の描写ほとんどなし)。だから、緊張感が最後まで途切れない。現実の厳しさや壁の高さと、それでも前を向く意志の力を同時に表現し、そしてさっと切り上げるラストも絶妙。 [DVD(字幕)] 8点(2019-06-24 03:16:52) |
19. 小さなスナック
GS映画のいろいろの中で、これはパープル・シャドウズ。なんですが、ほとんどは藤岡と奈々ちゃんのやりとりばかりであって、実はシャドウズがいてもいなくても何の影響もない!にもかかわらず途中ではゲスト的にヴィレッジ・シンガーズまで登場するというこの無駄さ!!で、内容なんですけど、これが見事なほど何もないです。シーンの前後のつながりがどうとかその意味がとかいう前に、まず、各シーンがシーンとして成り立っていません。GSには甘い私でも、これはつまらなかったと言わざるをえない。 [DVD(邦画)] 3点(2019-05-10 00:13:06) |
20. チェイス・ザ・ドリーム
田舎のオッサン同士がああだこうだ喋っているだけの作品にしか見えなかった・・・。レースがどうのこうのというのももっともらしく出てきますが、実際にレースに取り組んでいる場面はごく一部だし。そもそも、農場を舞台としていながら、農業のディテールに全然踏み込んでいないのが敗因だと思います。 [DVD(字幕)] 4点(2019-04-25 01:45:11) |