61. 天国の日々
ただ息をのむばかりの素晴らしい映像に圧倒されました。マジック・アワーの残照が照らす雄大な自然は、たしかに評判通りの美しさで映画史に残る偉業でしょう。マリックの演出は人間関係については意図的なのか非常に淡泊で、この映画は映像抒情詩として観た方が楽しめます。モリコーネの音楽も、いつもとは毛色の違った感じですが心に沁み入ります。それにしてもリチャード・ギアという俳優は、大根のくせして出演作には恵まれていますね。 [DVD(字幕)] 8点(2010-02-08 20:26:00) |
62. 天はすべて許し給う
破天荒なメロドラマ『心のともしび』が大ヒットしたのでフォローアップ企画として製作されたのが本作。J・ワイマン、R・ハドソン、A・ムーアヘッドの三人は共通キャストですが、作品の内容はメロドラマではありますが『心のともしび』とは無関係で、いわば岡本喜八の『独立愚連隊』と『独立愚連隊西へ』の様な関係です。未亡人のワイマンが出入り庭師のハドソンと歳の差を乗り越えて結ばれるという単純な物語ですが、前作に比べて作品の質は上がっています。特にハドソンの演技が見違えるほど上手くなっています。舞台は郊外の街で、その街の上流階級が集まるカントリー・クラブでの人間模様が巧みに物語の展開に生かされるところが良く出来ています。サーク映画の特長でもある美しいカラー映像が見事でした。 [DVD(吹替)] 6点(2010-02-03 23:28:49)(良:1票) |
63. デス・レース2000年
《ネタバレ》 まず驚かされるのが、登場する五台の車のデザインのショボさで、将に小学生の漫画レベルです。2年後に『ロッキー』で天下をとるスターロンが頭の悪い悪役で出ていますが、彼の車のデザインときたら、フロントグリル正面にでっかいナイフ、ヘッドライトのところにトンプソン短機関銃をそのままくっつけたという抱腹絶倒さですよ。いかにも低予算らしく、全米横断殺人レースという割には山の中や田舎ばっかり走っていますし、結構スピード出してるなと思いきやロースピード撮影の早回しでした。また音楽がひどく安っぽくいのですが、冷静に考えると却ってこの映画のチープなテイストにあっているかなとも思えます。ストーリーは思ったよりトンデモ度が低かったので肩すかしを食いましたが、出てくるねえちゃんたちが無意味に脱ぎっぷりが良いので、5点献上いたします。 [DVD(字幕)] 5点(2010-01-02 11:12:42) |
64. ディーラーズ
《ネタバレ》 主人公のダニーは、シティーの投資銀行に勤める凄腕債券トレーダー。このダニーのヤッピーぶりがまた凄い。田舎の自宅からなんと自家用水上飛行機でシティーまで通勤するのです。飛行機はテムズ川に着水して駐機させるのですが、こんなサラリーマン見たことない!彼は生き馬の目を抜く投資銀行でも腕のいいトレーダーとして評価されているのですが、同僚トレーダーが勝手に大きなポジションを作って大穴をあけて自殺してしまいます。ダニーの理解者だった部長は当然クビになり、後任には重役と愛人関係にあるバリバリのキャリア・ウーマンがやってきますが、この大損をとり返さないと銀行がつぶれてしまう、さあダニー、どうする? 当然のように二人は恋に落ちるというベタな展開ではありますが、過酷な債券トレーダーの仕事ぶりは良く描かれています。同じ世界で仕事したことがある自分の目から見ても、ダニーが損をとり返すために大博打を打つ息詰まる緊張感はリアルでした。投資銀行がする債券投資は丁半バクチ的要素が強いのです。90年代にはベアリング事件や大和銀行事件が実際に起きていること考えると、ちょっと時代を先取りした映画かなとも思います。 [ビデオ(字幕)] 6点(2009-12-02 21:55:10) |
65. 天地創造
《ネタバレ》 『この作品が製作されるとき、黒澤明も監督候補だった!』とDVDパッケージに書かれていますが、本当ですかね。音楽は黛敏郎が担当しているのであり得る話しなのでしょうが、黒澤明が聖書の映画を撮るなんて想像できますか?それはさておき、このジョン・ヒューストン版旧約聖書物語は、あまり期待してなかったのですが、そこそこ観られる作品です。確かに時間の長さはあまり感じなかったです。知っているようで良く知らない聖書のエピソードを再確認出来ました。一生に一度観ておけば十分でしょう。大作にふさわしい豪華出演陣ですが、やはりその中でもピーター・オトゥールの「三天使」がホラー映画並みの恐ろしいキャラクターでした。マジで、怖いですよ。 [DVD(字幕)] 6点(2009-11-01 23:08:51) |
66. 天才マックスの世界
《ネタバレ》 この映画は色々な観方ができますが、私はこのセンスは好きですね。単純に言ってしまうと、名門ラシュモア校の生徒であることがアイデンティティだったマックス君のパーソナリティの喪失と再生がメインテーマだということでしょうか。味のあるビル・マーレイの演技が、気持ち悪いジェイソン・シュワルツマンの個性を中和してくれています。しかし、なぜあそこで「セルピコ」なんだろうか、悩むなあ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-10-07 01:11:08) |
67. ディパーテッド
《ネタバレ》 オリジナルは未見ですが、スコセッシの豪快な演出で楽しめました。「本当はこの映画は撮りたくなかったんだ」なんてオスカー受賞式でスコセッシは言っていたそうですが、いろいろ複雑な事情がありそうですね。しかし、ジャック・ニコルソンはすごい役者ですねえ。レオとマットは完全に喰われていましたから。後半になるとちょっと展開に疑問符がつく部分もありまして、そこが残念なところでした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-05-23 14:02:56) |
68. デス・プルーフ in グラインドハウス
《ネタバレ》 一言で言うと、緻密に計算して撮ったおバカ映画でした。あのタランティーノらしさが爆発の、女たちの下品な無駄話についてこられるかがこの映画を楽しめるかどうかのハードルでしょう。後半のカーチェイスは、1970年代映画でよく観たプロットを21世紀の感性で再現した興奮ものです。ラストは本当に爆笑ですが、あそこら辺は完全にラス・メイヤー映画のオマージュになっていますね。予告編が流れる前のチープな音楽と静止画面は、30年前の洋物ポルノ映画館で観たものを思いださせてくれて懐かしかったです。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-05-02 09:38:06) |
69. デブラ・ウィンガーを探して
《ネタバレ》 ちゃんとインタビューしているのは、シャロン・ストーン、ウーピー・ゴールドバーグ、ジェーン・フォンダ、ロビン・ライト・ペン、バネッサ・レッドグレーヴ、メグ・ライアン、デブラ・ウィンガーぐらいで、後はなんか雑談をホームビデオで撮っただけという感じでした。彼女たちの言いたいことは、要するに「もっといい役が欲しい」ということで、女優の愚痴を延々聞かされました。中には、なんか勘違いしてませんかという人もいましたね。出演した女優の中ですでに二人(カトリン・カートリッジ、エイドリアン・シェリー)も亡くなっていることを知ってちょっと驚きました。 [DVD(字幕)] 4点(2009-01-06 18:53:30) |