1. ドゥ・ザ・ライト・シング
ちょっと逸れたところから入るが、以前ジョナサン・デミ『レイチェルの結婚』のレビューの中で同監督『サムシング・ワイルド』がスパイク・リーの映画のように云々と書いたことがあったんだけど、そのとき念頭にあったのがこの『ドゥ・ザ・ライト・シング』。でかいラジカセを担いで歩く黒人が印象的だったり、劇中に多彩な音楽がかかったり。あと、『サムシング・ワイルド』は劇中の人物がエンディング曲を歌い『ドゥ・ザ・ライト・シング』は劇中の人物がオープニング曲をバックに踊る。『サムシング・ワイルド』で使われる歌「ワイルド・シング」と「ライト・シング」まで言っちゃうとこじつけか。スパイク・リーのほうが後なので同じニューヨーカーのデミに敬意を表し、また人種のるつぼとしてのニューヨークを描いていることに対してのリスペクトなのではと。いや知らんけど。と、そんなことを書いてると内容に触れるスペースがなくなってきたのだが、要するに何が言いたいのかというと、何かとメッセージ性を語られる監督だけど、実はメッセージよりも映画としての見せ方の工夫とかのほうにしっかりと力が入ってて、それゆえにメッセージがどこか冷めた視点となり、結果映画がより深みを得ているんじゃないかと。この作品は特に。 [DVD(字幕)] 7点(2010-08-19 15:15:24) |
2. 時をかける少女(1983)
尾道の古風な町並みが背景にあるおかげでかなり救われていると思う。その背景に合わせて『ねらわれた学園』のようなトンデモなSF映像が抑えられているのも救い。古風な街で古風な性格をした原田知世が古風な格好してる(下駄履いて石段下りてくとか)のもSFという非現実的なものがより非現実的なものに見えてよかったかもしれない。それでも大林監督の演出ってなんか苦手かも。セリフ棒読みとか大根演技とかはべつにいい。でも大林監督の求めてる棒読みと大根演技はちょっと違う。なんか独特の空気持ってる。それさえクリアできればけっこう楽しめるんだろうけど。だいたい尾道なのにみんな標準語ってだけでもう独特な雰囲気になってるというか、これが大林ワールドなのか。ゴローちゃんが一番かわいそうってのは激しく同感(↓)。あと根岸季衣のホットパンツはきついものがあった。 [DVD(邦画)] 5点(2009-06-24 16:49:01)(良:1票) |
3. ドラッグストア・カウボーイ
ガス・ヴァン・サントはキレイな顔の男にそのキレイな顔に見合った哀愁を漂わせることに長けている。精一杯の虚勢と優しい瞳。マット・ディロンがいい。ドラッグストアの襲撃も病院襲撃も警官だらけのモーテルからの脱出もイマイチ盛り上がらず、ひたすら同じトーンを維持する。物足りなさはあるけれど、スタイリッシュとかクールとか言うんだろうか、そんなちょっとシャレた感覚を生んでいる。ドラッグと共生しているかのようなジャンキー神父にあまりにもはまり役すぎなウィリアム・バロウズ。なんか、うわぁ~本物だ~って感じ(笑)。 [DVD(字幕)] 6点(2008-05-08 17:13:00) |
4. ドレミファ娘の血は騒ぐ
何故「。」とか「、」を言葉にするのか?何故ブラームスなのか?何故戦場と化すのか?意味があるのか無いのか解からんが変態教授曰く「何故?と問うてはいけない」らしい。意味を求めてはいけない。しかしどの描写も意味ありげなもんだからもう一度観たいという欲求に駆られる。まあでも、解からなくたっていい。オープニングの洞口依子のアップと語り、そしてエンディングの洞口依子の歌がめちゃくちゃいいんだもん。黒沢清と洞口依子の出会い、それだけで価値がある。黒沢映画に頻繁に登場するアキ子という名の女と吉岡という名の男。この作品の吉岡はサイテー野郎だったのだが、それ以前にキャラクターに古さを感じずにはおれず、そこんところが残念。 [映画館(邦画)] 6点(2007-06-12 17:50:09) |
5. 翔んだカップル オリジナル版
薬師丸ひろ子主演のアイドル映画だが相米監督の拘りが随所に垣間見られる。後に描き続ける子供から大人への通過点が偶然にもこの映画でも描かれ、相米の主要な記号となる雨が効果的に登場し、的確な照明と相米印の長回しで綴られる。しかしなんといってもこの映画の異質な点は、薬師丸ひろ子主演のアイドル映画のはずなのにどっからどう見ても鶴見辰吾の映画になっているところ。物語は常に鶴見辰吾の視点。二人がお互いに田舎に帰ったときも鶴見辰吾しか映さない。それどころかオープニングもエンディングも鶴見辰吾の独り舞台。このオリジナル版しか見ていないのでなんとも言えないけど、よく会社が許したなあと思う。それでも、『ションベンライダー』同様に親の存在が消え去った相米ワールドの中で大人への渇望を幼い薬師丸ひろ子がじゅうぶん体現してくれている。ラスト、リングに向かう鶴見辰吾の顔はいいんだけど、バックに流れる歌、あれはちょっとねえ。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2006-08-22 16:08:33)(良:1票) |
6. トム・ホーン
《ネタバレ》 私がリアルタイムで劇場鑑賞できたマックィーンは、既にガンに冒されていたというこの作品と遺作となった『ハンター』だけである。映画に目覚めたのが遅すぎたことを悔やむと同時に渾身の2作品に間に合ったことを感謝したい。しかし、マックィーン自信が製作総指揮を兼ね、西部開拓史上最後の賞金稼ぎといわれたトム・ホーンを演じた今作の当時の印象は、まだ子供だった頃の浅い映画観のせいでお世辞にも良かったとは言えなかった。とにかく主人公の処刑で終わるというのがひっかかっていたのだと思う。でもその後、テレビやビデオで見ているうちに、イーストウッドの『許されざる者』よりも先に人殺しが正当化された西部劇においてその罪を描いていることに気づいた時、この作品は私の中で輝きだした。『ブリット』以降のマックィーン流リアリズムはアクション映画を地味にしているところがあるが、だからこそ主人公の動きのひとつひとつが重みを増し、作品に深みを与えているところもある。そして『ハンター』同様に、主人公の生き様がマックィーンと被る。 [映画館(字幕)] 7点(2005-11-01 16:15:02)(良:1票) |
7. 隣の女
テニスコートの経営者のおばさんの恋は確かに究極の恋なんだろうが、主人公二人の恋はよくよく考えれば大人の普通の恋愛である。いっしょにいると苦しいが一人では生きてゆけないという愛のカタチは結局のところ大人の恋愛は得てしてそういうものであって、トリュフォーはそれをリアルに描いたにすぎないのではなかろうか。しかしながらこの恋物語は、愛を肉欲でしか表現できない大人ゆえにタチが悪い。お互いに家族があり、しかも男には子供がいるという設定が最悪な後味を残す。”恋は盲目”とは思春期の男女だけのものではないということか? 5点(2004-06-21 19:25:24)(良:1票) |
8. トップガン
一応リアルタイムで映画館で見たんですが..そんでもってサウンドトラックも借りたんですが..。ストーリーが薄すぎる。でも戦闘機の発着陸の迫力はビデオでは伝わらんだろうなあ。てんこもりの名曲にプラス1点! バル・キルマーのことは、しばらくアイスマンと言ってました。 6点(2003-11-13 12:50:41) |
9. どついたるねん
相良晴子がすごくいい。赤井は下手だが、かえって無骨さが出てていい。(ロッキーのスタローンと同じ) これを初めて見たとき、わざとらしくない関西弁の映画に好感を持ちました。(関西人なので敏感なんです) 通天閣のエレベーターのシーンが印象的。 7点(2003-11-12 17:45:37)(良:1票) |
10. となりのトトロ
ほのぼのとして昔を懐かしむような夢物語。でも時代設定が一昔前の日本の田舎で、昔はいたかもしれないと思わせるが、今の世界にはいないといわれているようで寂しい。この作品も他の宮崎アニメ同様に、人間は自然に対してとり返しのつかないことをしてしまったというメッセージが込められているのかも。そう考えると、ただ昔を懐かしむだけで、宮崎アニメのなかでは一番夢のない作品かもしれない。(他は一筋の光明がある) しかしトトロや猫バスなどが登場するこの世界観はそんな気持ちを一掃するほどのファンタジーワールドである。 <<追記:2004.3.15>>二歳の娘のせいでここ二週間家にいれば毎日今作を観さされる。オープニング曲の「さんぽ」が大好きなようです。昨日一日二人で留守番をしていたのだが、3回も見さされた。でも飽きない。「くまのプーさん」はいい加減飽きたが今作は飽きない。あらためて名作なんだと思いました。それから最初の頃はうるうるっとくるシーンはなかったのに、先週あたりからさつきが泣くシーンでうるうるしてしまった。昨日なんか、さつきがめいを捜して裸足で走るシーンやその後トトロにお願いに行くシーンでもうるうるきてしまった。何十回と観ているうちにやっと童心で観れたのかもしれない。そんなこんなで1点加点します。 8点(2003-11-12 13:19:03) |