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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1888
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  永遠の僕たち 《ネタバレ》 
両親を事故で亡くしてしまったショックから精神的に不安定となり、学校も辞めて今や見ず知らずの人たちの葬式に勝手に参加することだけが生き甲斐の孤独な青年イーノック。重度の癌を患い余命数ヶ月であることをただ淡々と受け入れ、詩や渡り鳥の絵を描きながら残された日々を静かに過ごす少女アナベル。太平洋戦争中に遂行したカミカゼ特攻によって見事に玉砕し、いまやイーノックにだけ見える幽霊となってしまった日本人青年ヒロシ。社会のどこにも居場所を見つけられないそんな2人と1体の幽霊の、今にも壊れてしまいそうな危うげな日々をリリカルな映像と美しい音楽とで瑞々しく描き出す青春ラブストーリー。昔からこのガス・ヴァン・サントって監督、僕の中では毀誉褒貶がほんと激しくって、これまで駄作から秀作まで本当に色んな作品を撮ってくれる人。でも、この末期癌に苦しむ可憐な少女と鬱屈した日々を過ごす孤独な青年との刹那的な恋というともすれば極めて陳腐になりかねないテーマを、彼お得意のセンス溢れる美麗な映像や若者たちの心の闇に鋭く迫る深い視線等によって、観終わった後も切ない余韻がいつまでも心に残る青春ラブストーリーの逸品へと仕上がっておりました。いやー、けっこう良かったですよ、これ。もうこれでもかってくらいの美男美女が手を繋ぎ肩を組み肌を触れ合わせ何度も唇を重ね、そして誰も居ない夜の山小屋で…キャー!という観てるこっちが腹立ってくるくらいこっ恥ずかしい青春ドラマが延々と続くのだけど、もうここまで徹底的にやられたら反対に潔さすら感じて素直に良かった!俺もこんな青春送りたかったよ、こんにゃろー(笑)。そして、この作品の胆となるのは、やっぱりあの元特攻隊員の幽霊ヒロシの存在でしょうね。本作が、決して単なるベタなラブストーリーにとどまらない普遍性を得ているのは、やはり彼が「人間は死ねばそれで終わりなんかじゃないはず。きっと…」という誰もが願う想いを体現しているからだと思います。賛否両論あるだろうけど、そんな難しい役どころに日本の特攻隊員を持ってきたその発想が凄い!彼が本当に幽霊なのか、それともイーノックの妄想に過ぎないのかを最後までどちらとも取れるように描いたところも深みがあって良かったですね。うん、久し振りに「あぁ、良い映画観たな~、自分」と素直に思える映画に出合うことが出来ました。
[DVD(字幕)] 8点(2024-06-07 17:49:52)
2.  エンダーのゲーム 《ネタバレ》 
「姉さんへ。僕はこれから敵の母星に程近い訓練基地に向かいます。そこで最終試験を受け、合格すれば、僕は侵攻艦隊を任されることになります。本当は嫌だけど、戦争は避けられないでしょう。姉さんの無事を祈っています。エンダーより」――。凶悪な異星生命体“フォーミック”の突然の襲撃により、滅亡の危機へと陥ってしまった未来の地球。人類は偉大な英雄の犠牲により、辛うじて敵を追い返すことに成功するのだった。だが、戦力を回復した敵の再襲撃が近いことは明白だった。人類は世界中から天才児を集め幼いころから英才教育を施し、彼らにすべての希望を託したのだった。その中の一人である聡明な少年エンダーは、訓練施設内で様々な葛藤を抱えながらも仲間たちと共に少しずつ成長してゆく。人類の未来を守るために……。数々の権威ある賞に輝くベストセラー小説を、ハリソン・フォード&ベン・キングスレー主演で映画化したごりごりのSF作品。徹底的に拘りぬいて創られたであろう、その美麗な映像は確かに見応えありました。冒頭の訓練施設内での、『フルメタルジャケット』のハートマン軍曹へのオマージュとも言える描写が象徴するように、SFの枠を借りながらも戦争がもたらす人間性の破壊とそれでも戦争を続けざるを得ない人間の宿命を寓意的に描き出す、その視線の鋭さには感服するものがあります。そして、この全編に横溢する半端じゃない緊張感にも圧倒されました。ただ…、あくまで個人的な好みなのだけど、僕はこういう登場人物誰一人として最後まで心の底から笑わず、ずっと眉間に皺を寄せて、延々とクソ真面目に任務を遂行するような超クソ真面目な作品って個人的に苦手なんですよね~。この子供たちっておならとかしないんですかね(笑)。それに、終盤辺りまで一向に敵と開戦しないものだから「あんたら何時まで訓練しとんねん!」と突っ込みそうになったら、最後に「実は…」という展開を見せるところも僕は「はぁ、マジで(怒)」って感じでした。そこのところを許容できるかどうかが、今作の評価の分かれ目でしょうね。でもまあ、通好みのハードSF作品として、「スタートレック」や「エヴァ」シリーズが好きな人は充分楽しめると思います。主人公エンダーを演じた少年の目力も凄かったですし。
[DVD(字幕)] 6点(2024-05-18 14:50:18)
3.  エスケイプ・フロム・トゥモロー 《ネタバレ》 
この作品はフィクションです。ウォルト・ディズニー社や実在する企業、団体、人物などとは一切関係ありません――。愛する家族とともにディズニーリゾートへとバカンスへとやって来た会社員、ジム。ところが、旅行最後の日に、彼は会社から掛かってきた一本の電話で解雇を通告されるのだった。妻に心配させまいとそのことを内緒にしたまま、ジムは楽しい夢の国で最後のバカンスを謳歌しようとホテルの部屋を出てくる。無邪気にはしゃぐ幼い息子や娘たちとともに、そんな夢の国へと直行するモノレールへと乗り込むのだが、やはりジムはこれからのことが気がかりで心は落ち着かない。そんな浮かない気分のジムの前に現れたのは、ピチピチした身体で周りに色気を振りまくセクシーな2人の若い女たちだった。辿り着いた夢の国で、子供もそっちのけにしてそんなセクシーな2人組を追いかけ始めるジム。さらには、車椅子に乗った横柄な中年男性や、自分のことを誘惑してくる妖艶な美女といった謎めいた人々が次々と彼の前に現れ、ジムは不穏で淫靡なもう一つの“夢の国”へと迷い込んでいく……。誰もが知る某超有名テーマパーク内で展開されるそんな不条理な世界を、運営会社の許可も得ずにゲリラ的に撮影した映像で綴ったシュルレアリスム劇。はっきり言わせてください!!恐ろしくしょーもなかったです、これ。まず言っておきたいのは、この映画の舞台がディズニーランドである必然性ってなんですか?ただ単に無許可でこのパーク内で撮影したってことをウリにしたかっただけで、このディズニーランドという舞台が一向にストーリーに利いてきませんやん。きっとそうやって撮った映像を何とか頑張って無理やり一つのストーリーに仕立て上げようとして完全に失敗したパターンでしょう。もう独り善がりもいいところ。それに全編白黒で描かれる映像だってただ単に奇を衒っただけの凡庸なもので、1ミリたりともセンスを感じませんでした。中盤あたりからは、この主人公のおっさんのゲロやらうんこするシーンやらが何度か差し挟まれて、汚いったらありゃしない。とにかく不愉快千万!こんなしょーもない映画で観客から金を巻き上げたこの監督は、犯罪者といってもいいくらい酷い。ディズニーさん、今からでも遅くないんでこんなしょーもないクソ映画で金儲けしたこのアホ監督には大弁護団を組んで訴訟を起こしてコテンパンにやっつけちゃってください!!
[DVD(字幕)] 2点(2023-09-21 13:33:51)
4.  EVA エヴァ(2011) 《ネタバレ》 
「目を閉じたら何が見える?」――。そう遠くない近未来。雪深いスペインの地方都市にアレックスという名のロボット工学者がやってくる。その街には最先端のロボット工学を集中的に研究する施設があり、さまざまなロボットと人間がともに暮らしていた。アレックスは、さっそくこの街でとある研究へと取り掛かる。それは人工知能を有し、自らの感情によって動く子供型ロボットを完成させるというものだった。モデルとなるべき子供を求めて街を彷徨っていたアレックスは、そこでエヴァと名乗る個性的な少女と出会う。大人たちの常識になどまったく捉われず、自由奔放に生きるそんな可憐な少女に、次第に心惹かれていくアレックス。自宅の地下にある誰も居ない研究室へとエヴァを招きいれたアレックスは、彼女をモデルにして究極の少女型ロボットを創ろうと試みるのだったが……。エヴァという可憐な少女の姿をしたアンドロイド、彼女を巡ってさまざまな研究者たちの思惑が入り乱れるSFドラマ。とにかくストーリーが一本調子過ぎて、途中でだれてしまうのが本作の最大の欠点ですね。人型ロボットを創ろうとする主人公とモデルとなる少女との交流が物語の中心となるのですが、これが大して面白くもないのに延々と続き、さすがに途中で「とっととロボット完成させろよ!!」と僕はキレそうになりました。主人公がかつて街を去ることになった理由が、兄と一人の女性を巡る三角関係にあるらしいことを匂わせる展開もあるのですが、これも匂わせる程度で曖昧なまま。この設定を活かして、過去と現代を交錯してみせるとかの工夫があればまだ見れたものになっただろうに、最後まで特に心惹かれることもなくひたすら単調な展開でございました。せっかく奔放な美しい少女に翻弄される孤独な中年男性という魅力的な設定を扱っているのに、それを全然活かせていないのが凄く勿体ない。もっとこの淫靡な世界観を全面的に追求していたら、もしかするとSFロリ映画という新たなジャンルを作ったエポックメイキングな作品になりえたかもしれないのにね。残念!物語の鍵となるエヴァちゃんが僕のロリ心をいい感じで突いてくるなかなかの美少女ちゃんだった(泡風呂の中でお母ちゃんに髪を洗われてるシーンなんて、「もうちょっと肩をあげてくれ~」と思わずエキサイトしちゃいました!)のと冒頭のガラス細工のような人口頭脳作成シーンにちょっぴりセンスを感じたので+1点。それ以外は、完全に凡作です。
[DVD(字幕)] 4点(2023-09-04 12:03:40)
5.  エクソダス:神と王 《ネタバレ》 
「出エジプト記」――。それはユダヤ教、キリスト教、イスラム教という世界の約半数の人々の精神的支柱であり、さらにはあらゆる文化的生活の基礎となり道徳心や倫理観の規範となるべきものでもあり、時にはその解釈を巡って歴史を揺るがすような諍いを巻き起こし続けた旧約聖書、世界宗教の原点とも言うべきその中でももっとも重要な部分と言っていいだろう。そして恐らく人々が歴史に刻んだ原初にしてもっとも有名な物語だ。本作は、そんな誰もが知るお話をいまやハリウッドの重鎮となったリドリー・スコット監督が、新たな解釈のもとに映像化した重厚な歴史スペクタクル巨編である。特徴的なのは、そんな宗教掛かった原典から出来るだけ神秘性を排除し、あくまで科学的に解釈出来るように神の奇跡を描いていることだろう。特に〝エジプトを襲う十の災い〟と〝追い詰められたヘブライ人のために海が割れる奇跡〟。現代の常識ではあり得ないこの奇跡を、監督は――多少の無理があるとはいえ――あくまで科学的に証明できるものとして描き出してゆく。また、モーゼが縋る神の存在も見えるのは彼自身にのみであり、子供の姿で現れる神はあくまでモーゼの妄想が創り出した想像上の産物かもしれないものとして描写されている。ここでこの老監督の狙いが明らかとなってくる。「神は死んだ」。これはニーチェが唱えた有名な言葉だが、神とはもしかしたら人が生きるために創り出した一つの壮大な物語ではないのか。科学が極限まで発達し、この世に神が居ないということを論理的に証明しつつある現代においてもなお、宗教が現代のあらゆる問題に影を落としている。もしかして、人は生きるために神という物語を必要とする生き物なのかもしれない、たとえそれが間違った物語であったとしても――。本作の優れている点は、宗教という人間の生きるうえでの根源的なものをテーマとしながらも敢えて否定的な視点をも備えているところだろう。そこには、それでも自分は映画という世界で物語をずっと創り続けてきたというスコット監督の矜持が力強く貫かれている。ただ、本作はよくも悪くもR・スコット作品。長い間、人が生きるうえでの倫理的規範であり続けてきた〝十戒〟を根底から否定するわけでもなく、かといって狂信的なまでに肯定するわけでもないそのスタンスは「浅い」と非難されても仕方がない。『グラディエーター』や『ロビンフッド』という、その重厚な世界観には圧倒されはするものの肝心の内容のほうは――あくまで個人的にだが――そこまで深いものが感じられなかった過去の作品に比べればより芸術性は増したものの、彼の代表作の一つとして映画史に残るほどの出来かというと残念ながら“否”と言わざるを得ない。それが僕の本作に対するあくまで冷静な評価だ。
[DVD(字幕)] 7点(2023-08-09 13:32:53)
6.  エンジェルの狂気 《ネタバレ》 
かつて荒れた生活を送っていたものの、臨死体験を経験してからは生まれ変わったように神秘的な世界に傾斜し始め、いまや心理セラピストとして活躍するトミー。愛する妻にも恵まれ、本の売れ行きも好調な彼の前にある日、刑務所に服役していた兄が数年振りにやって来るのだった。昔のチンピラ仲間との関係を清算するために大金が必要だと願う兄のために、トミーはサイン会に来ていたエンジェルと名乗る怪しげな中年男性と連絡を取る。自分にしか見えない死んだ母の霊に悩まされているというエンジェルは、トミーに個人的なセッションを施してくれと言うのだ。金のために仕方なくエンジェルのセラピストとなるトミー。だが、彼は次第にその狂気性をあらわにしてゆく。やがて〝エンジェルの狂気〟を持て余し始めたトミーは、とうとうセッションの中断を申し出るのだった。だが、それを聞いたエンジェルはついにその内に秘めていた真の狂気を爆発させ、トミーを自宅の地下室へと監禁すると2人きりのセッションを再開させるのだった……。母の死や妻との離婚によって精神疾患を患ってしまった孤独な中年男性エンジェル、彼によって地下室へと監禁されてしまったそんなセラピストの恐怖を描いた密室型サイコ・サスペンス。と、スティーブン・キング原作の同じく監禁型サイコ・サスペンスの秀作『ミザリー』を髣髴させる本作なのですが、そんな狂気に囚われた孤独な中年男性を実力派俳優のフォレスト・ウィッテカーがリアルに生々しく演じていることもあり、僕は最後まで緊張感を途切れさせずに観ることが出来ました。鎖に繋がれ自由を奪われた主人公に対して、次にどんな〝痛い〟ことを仕出かしてくれるのか全く予想がつかない(床に転がる様々な工具がこれまたヤな感じ!!)F・ウィッテカーの不気味な佇まいは、まさに『ミザリー』のキャシー・ベイツにも匹敵するほど怖かったです。地下室でそんな残虐行為に及びながら、階上に戻ってくると幼い娘を溺愛する優しい父親に戻るところなんてなんとも不気味。ただ……、肝心のストーリーの方が物凄くこじんまりと小さく纏まってしまっているのと、後半設定上の明らかな破綻のあるのが本作の難点。特に、最後に明かされるエンジェルの母親の死の真相がかなり強引で説得力に欠けるのが残念でした。それに最後のオチもかなり後味悪いですし…。と、いろいろと惜しい作品でしたね、これ。うん、5点!
[DVD(字幕)] 5点(2023-08-09 12:16:28)
7.  X-MEN:ファースト・ジェネレーション 《ネタバレ》 
正直、このシリーズには何の思い入れもなかったのだけど、最近観た『キングスメン』というスパイ映画がすこぶる面白かったので、同監督がメガホンを取った本作をあらためて鑑賞してみました。うーん、確かに面白かったのだけど、やはりこのシリーズを好きかそうでもないかで評価が分かれると思います。僕は後者なので、評価は若干厳しめです。やはりマシュー・ヴォーンの才能はこういう真面目なヒーローものより、もっとぶっ飛んだ悪乗り系の作品の方が映えるんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 6点(2023-04-26 11:16:58)
8.  エージェント・ウルトラ 《ネタバレ》 
戦車は進む。マンデルブロ集合が動く。コーラスは破られ、ボールを受け止める――。アメリカの片田舎で平凡なコンビニ店員として働くマイクは、どこにでもいるような冴えないフリーター。自己主張が苦手で漫画を描くことが唯一の趣味、マリファナを愛好し多少のパニック障害も患う彼だったが、それでも長年付き合っている彼女フィービーとそれなりに毎日をやり過ごしている。そんなある日、サングラスを掛けた謎の女がコンビニで働くマイクの前に現れる。唐突に意味不明な言葉を投げかけると、何事もなかったかのように店から出ていく女。だが、その言葉を聞いた瞬間、マイクの中に眠っていた何かが目覚めるのだった。直後に現れた二人組の車泥棒を、なんと彼はスプーン一本であっという間に殺してしまう。どころか一度も握ったこともない銃や兵器を難なく使いこなせるようになっていた。そう、彼はかつてCIAが開発したトップ機密の凄腕エージェントだったのだ!動き出したCIAの激しい追跡が始まる中、マイクは唯一の理解者であるフィービーと共に決死の逃亡を図るのだったが……。覚醒したコンビニ店員と彼を追うCIAとの激しい攻防を小気味よく描いた青春スパイアクション。とにかく一言言わせてください。これ、むちゃくちゃテンポが悪かったんですけど!!こういう気楽に観るタイプのエンタメ映画には、サクサク進むノリの良さが最も必要なのにそれが一切ありません!!あまりにもだらだらした展開に何度も睡魔に襲われてしまいました。きっとマシュー・ボーンを思いっきり意識して撮られただろうアクションシーンも、本家に比べて圧倒的にセンスが不足しているせいで全くキレがないし。脚本もとにかく矛盾だらけ。結局あのタフガイと呼ばれてた人たちは何だったの?あの悪玉のボスはいったい何がしたかったん??主人公の彼女の目的も意味不明。90分がものすごく長く感じちゃいました。観るだけ時間の無駄の凡作です。3点!!
[DVD(字幕)] 3点(2023-04-05 11:03:09)(良:1票)
9.  エルサレム 《ネタバレ》 
地獄への入り口は三つある。一つは砂漠に、一つは海に。もう一つはエルサレムに――。イスラエルへと観光にやって来たアメリカ人女性サラとレイチェル。楽しいバカンスになるはずだった。そうその日、行き先をテルアビブから三つの宗教の聖地とされるエルサレムへと変更するまでは……。地獄への門が開くとされる贖罪日の夜、突如として異形の怪物たちが現れ、人々を見境なく襲い始めたのだ。さらにはイスラエル政府が軍隊を投入したことで、この歴史ある街は大混乱へと陥ってしまう。これは実際にその日、現地でこの災厄と遭遇したアメリカ人女性が撮影した映像を独自に再構築して公開された作品である。と、まあよくあるタイプのPOV作品なのだけど、目新しいところといえばこれまであまりホラー映画の舞台とされることのなかったエルサレムで撮影されているとこでしょうかね。地獄の門が開き、鬼や悪魔が人間界に襲い掛かってきたという荒唐無稽な設定に説得力(まああくまである一定の、ですけどね笑)を与えています。それに多少の観光気分が味わえるのもグッド。エルサレムという現実に渡航するのは勇気がいるけれど一度は行ってみたい聖地を実際に訪れたかのような気にさせてくれます。もう一つは、画面を記録するアイテムがそれまでの単純なビデオカメラなどではなく、スマートグラスという眼鏡型のウェアラブル端末であるという点。新しいキャラクターが画面に登場するたびに顔認証されてその人のフェイスブックが表示されたり、目的地までの地図が表示されたり、音楽が流れたりと、単調になりがちなPOV作品の弱点をそれなりに補っております。まあ主人公が男友達とエッチする前に、何故かその一部始終がばっちり見えるところにその眼鏡を置くのはご愛敬ですけど(笑)。と、評価できるのはその二点ぐらい。あとはこれまで何度となく制作されてきた凡庸なPOV作品と大して変わりありません。だいたい物語の肝となる、魔物たちの復活までが無駄に長すぎます。もっとテンポよく進めてくれないと。あと、最後のオチの肩透かし感も酷い。「はぁ?これで終わり?なにそれ?!」って感じでした。
[DVD(字幕)] 5点(2023-03-22 14:00:08)
10.  エンド・オブ・トンネル 《ネタバレ》 
最大の武器は、動かない自分の身体――。かつて不幸な事故によって愛する妻子を失い、自らも車椅子が手離せない身体となってしまったホアキン。残された大きな家の中で孤独に生きてきた彼だったが、生活苦から家の一画を貧しいストリッパーの母子に貸し出すことに。最初はあまりにも自由奔放な母親ベルタに鼻白むホアキン。だが、二年前から原因不明の失語症に陥ったという娘ベティに次第に失った子供の面影を重ね合わせてゆく。そんな折、ホアキンは地下室の壁の向こうからある物音を聞いてしまうのだった。どうやら凶悪なギャングたちが彼女を手引きにして地下室に穴を掘り、ここから少し離れたところにある銀行を襲う計画を立てているらしいのだ。しかもより詳しく話を聞いてみると、彼女たちは半ば強引に計画に加担させられているらしい。計画実行まで残り僅か。ホアキンは不幸な母娘を救うため、そして盗んだ金を横取りするためにとある策略を思いつくのだったが…。下半身に障害を持つ孤独な男が巻き込まれた銀行襲撃計画を巡り、ストリッパーの母娘と凶悪なギャングたちのそれぞれの思惑、そして愛憎が複雑に絡み合う濃厚なクライム・サスペンス。明らかな低予算作品でありながら、考え抜かれた脚本が光るなかなか技ありな一本でありました。ギャングたちの計画を出し抜くために狭いトンネルの中を匍匐前進する主人公、ところが背後から男たちの声が…。なんてところはお約束ながらやっぱりサスペンスフルで手に汗握っちゃいますね。死期が迫っている老犬の扱いなども巧かったです。途中、地下室に娘のベティが迷い込むとこなんてもうハラハラドキドキ。狭いトンネルという設定が存分に活かされたいいシーンでした。ただ、脚本に多少の突っ込みどころがある(ギャングたちは悪戦苦闘しながら爆弾で銀行の床に穴を開けようとしていたのに、主人公、あっさりと工具で床を破っちゃうとか)のと、少々時間的に長いのが残念だったかな。もう少し短くても良かったような気がしなくもない。それでも総合的には充分面白かったです。最後、クッキーのくだりが出てきたときは素直に「やられた!」と思っちゃいました。
[DVD(字幕)] 7点(2022-12-26 11:42:17)
11.  エイリアン:コヴェナント 《ネタバレ》 
SFホラーの金字塔『エイリアン』の前日譚をリドリー・スコット自らが描いたシリーズ第二弾。前作の内容をほぼ覚えていないまま今回鑑賞してみたのですが、まあだからと言って改めて観返すほどでもないかなぁというのが正直な感想。って言うか、スコット監督ってやっぱり根っからの映像作家なんだなって改めて思いました。粘着力のある映像美は他の追随を許さないほど素晴らしいのですが、その脚本によって作品の質は毎回大いに変わります。今回は正直微妙かな。その映像美に6点で。
[DVD(字幕)] 6点(2022-11-13 13:48:50)
12.  エンジェル、見えない恋人 《ネタバレ》 
生まれつき全身が透明な青年と目が見えない女の子とのピュア・ラブストーリー。それ以上でもそれ以下でもありません。物語としてのリアリティなど度外視、雰囲気重視のアーティスティックな作品なのですが、それでも本作は物語の押さえるべき最低限のポイントをことごとく外してしまっているように感じました。別に僕は必ずしも映画に整合性を求めているわけではありませんが、この主人公が生まれつき透明人間であるという理由がお父さんがマジシャンだったというだけでは余りに適当すぎやしませんか。また、透明な赤ん坊が生まれてきたら助産婦さんらを巻き込んで大変なことになりそうですが、そこも適当にスルー。どうやら彼はお母さんが収容された精神病院と思しき施設で、誰にも知られることなく大人になったみたいな感じでお話が進んでいくのも違和感しか感じませんでした。恋人となる少女の家族が一切登場しないのも、それしちゃうと面倒くさくなるからという消極的な理由しか浮かんできません。こういった特殊な世界観を成立させるためにはこれらのポイントに最低限何らかの説明がないと、観客はうまく物語に入り込めないものです。特にこういうファンタジックなお話にはそういった部分によりきめ細やか配慮が必要で、そのためには長い時間をかけて脚本を練るべきなのですが本作にはそういった努力の後がほとんど感じられないんですよね、残念ながら。これでは独り善がりで散漫な映画と言われても仕方ありません。また、全体的なお話がいかにも拗らせ童貞男子が考えそうな妄想っぽいところも個人的に受け入れられませんでした。この主人公、人間味がなさ過ぎて感情移入も何もあったものではありません。透明な身体で生まれてきた健全な一般男子なら、あんなことやこんなことや誰しもまずするべきことがいっぱいあるでしょうが!ポール・ヴァーホーベンの『インビジブル』を観て勉強し直してこいって感じですね(笑)。でもまあ透明人間と恋人とのベッドシーンは、なかなかエロティックで映像もキレイだったので+1点で。
[DVD(字幕)] 3点(2022-09-05 09:50:17)
13.  永遠の門 ゴッホの見た未来 《ネタバレ》 
情熱の画家、ゴッホの波乱万丈の生涯を終始淡々と見つめた伝記映画。そんな不世出の画家を演じたのはまさに嵌まり役というしかないウィレム・デフォーで、本作でアカデミー主演男優賞にノミネートされております。確かにもう本人としか思えないほど役になり切った彼の演技は素晴らしく、何度も自画像で見てきたあの人が南仏の雄大な大自然を背景にキャンバスに絵筆を動かしている〝画〟は感動的ですらありました。ただ、お話的には正直微妙。こんなに有名でありながら未だミステリアスで神秘的な魅力を放っている人物を扱っているのに、どうしてここまで退屈なお話に仕上げてしまったんでしょう。今でこそ何億もの値が付くというのに生前自らの絵は三枚しか売れなかったという不遇の境遇、日本の浮世絵との運命的な出会い、社会的に成功した弟テオとの関係、そして画家ゴーギャンとの確執とあの有名な「耳切り」事件……。彼の生涯の重要なトピックとなるであろうそういったエピソードが、ことごとくスルーされてしまっているのはそういう狙いなんですかね。特にあの耳切り事件に至る過程など、画面が切り替わったらもうあっさり切っちゃってましたというのは、さすがに端折り過ぎっしょ!一観客としてはそこが一番知りたかったところなんですけどね。そうかといって彼の名画の数々――ひまわりや幾つもの自画像、そして晩年の傑作とされる星月夜の創作過程に迫るのかと思えば、それも気づいたら描き終わってましたって、いくらなんでもクローズアップするポイントがおかし過ぎます。ただひたすら観念的な芸術論が最後まで延々続き、もうほんと退屈。こんなに魅力的な題材を扱い、しかも役者陣の演技も素晴らしいのになんとも勿体ない。映像の美しさとウィレム・デフォーの熱演に+1点!
[DVD(字幕)] 5点(2021-03-24 22:44:17)
14.  エジソンズ・ゲーム 《ネタバレ》 
発明王エジソンの知られざる一面を、彼とライバル企業との激しい経済戦争を通して描いた社会派ドラマ。偉人として名高いエジソンを演じるのは人気俳優ベネディクト・カンバーバッチ、彼と激しい対立関係にあった実業家にマイケル・シャノン。全編に漲る緊迫感はなかなかのものがあり、実力派の役者陣の熱演も相俟って興味深く観ることが出来ました。ともすれば地味になりがちな題材なのに、センスの良いカメラワークや終始緊張感を煽る音楽のおかげで最後まで飽きさせません。現代社会になくてはならない「電力」というものがいかにして生まれ、そして発展していったのか――。そこには先人たちの血の滲むような苦労と努力の結晶があったというのが知れただけでも大変意義深いものがあります。それにしてもエジソンってこんなヤな奴だったんですね。特に、ライバルを蹴落とすために電気椅子の開発へと手を染めていたというのには非常に驚きました。しかも自身のイメージを守るために匿名で……。子供のころ、何にも考えずに「エジソンは偉い人~♪そんなの~じょうしき~」なんてノー天気に歌っていた自分が恥ずかしくなりました(笑)。ただ、史実を基にしたから仕方ないのでしょうけど、ストーリー展開がかなり駆け足で若干分かりづらい部分もチラホラ。それにエジソンの発明品である電球の偉大さを表すためなのでしょうけど、前半の画面が終始暗く、かなり見辛かったのもマイナスポイント。ま、総評としてはぼちぼちってとこでした。この監督の前作が個人的にお気に入りなので、次作に期待しておきます。
[DVD(字幕)] 6点(2021-02-28 02:48:57)
15.  エンテベ空港の7日間 《ネタバレ》 
1976年、パレスチナへの不当な弾圧に抗議するため、ドイツ赤軍のメンバーがフランスの航空機をハイジャックする。機長を脅し、当時独裁国家として世界から孤立していたウガンダへと向かわせるテロリストたち。乗客の多くはイスラエル人であった。当地のエンテベ空港へと降り立った彼らは、イスラエル政府へ人質と引き換えに仲間の釈放を要求する。だが、イスラエルは断固としてテロリストとは交渉しないという立場をとっていた。焦った彼らは、一週間以内に要求を呑まなければ人質を皆殺しにすると宣言するのだった。自国の民を救うため、イスラエル政府は密かに特殊部隊を現地へと派遣するのだが…。本作は、そんなサンダーボルト作戦と呼ばれた極秘任務を実話を基に描いたドキュメンタリー・ドラマだ。過去に幾度か映画化されたという、そのエンテベ空港事件のことは恥ずかしながらほとんど知らないまま今回鑑賞してみた。飛行機内や空港施設での犯人と人質たちとのやり取りなどはなかなかリアルで、混乱したイスラエル政府内での権力闘争なども分かりやすく描かれており、総じて充分見応えはあった。犯人が、ふとしたきっかけで人質の老婦人の腕にアウシュビッツで刻まれたであろう囚人番号を見つけてしまうというシーンも巧い。現実を知らず、理想論だけで突っ走ったドイツ赤軍のインテリたちのなんと愚かなことか。ただ後半、肝心の作戦実行シーンの緊迫感の盛り上げ方はもう一つだった。実話とはいえ、もっと巧い見せ方があったはず。前衛的な舞台のダンスシーンを差し挟むという演出もそれほどうまく機能していない。ロザムント・パイク演じる女性テロリストが、電話で架空の相手と延々一人で喋っていたというシーンも、その意図がいまいちよく分からなかった。題材は良かっただけになんとも惜しい。
[DVD(字幕)] 6点(2020-10-19 19:32:46)
16.  エクスティンクション 地球奪還 《ネタバレ》 
サルは見て、サルは真似る――。彼の名は、ピーター。何処にでも居るような平凡な電気技師だ。まだまだかわいい盛りの二人の娘とキャリア・ウーマンの妻とともにささやかながらも幸せな日々を過ごしている。でも、そんな彼にも最近一つだけ悩みの種があった。それは夜毎、謎の悪夢にうなされること。夢の中で彼は、突如として地球に侵略してきた凶悪な宇宙人によって目の前で家族を惨殺されてしまうのだ。とても夢とは思えない生々しさに満ちたそんな悪夢に、ピーターは日々神経を擦り減らしていた。だが、彼の悪夢は急に現実のものとなる――。何の前触れもなく大規模な攻撃を仕掛けてきた宇宙人によって、街は瞬く間に阿鼻叫喚の地獄絵図と化してしまうのだった。パニックへと陥りながらも、ピーターは家族を救うため、決死の覚悟で行動を起こすのだが……。宇宙人の突然の地球侵略によって、崩壊の危機へと陥ってしまったとある家族の恐怖を描いたSFスリラー。明らかに低予算で撮られただろう、B級感満載のそんな本作、さして期待せずに今回鑑賞してみました。地球規模の侵略の割にはずっととあるマンションの一室でのみストーリーが展開されるという前半部分に、僕は一昔前の某B級トホホ映画『ス〇イライン』を髣髴としてしまい、一気にテンションはダダ下がり。「あぁ、これは外したかもなぁ」と思いながらそのまま観続けたのですが、これが意外や意外、中盤から一気に盛り返し、クライマックスなんて普通に見入っちゃってる自分が居ました。うん、なかなかの掘り出しもんですよ、これ。特に物語の中盤で明かされる驚きの真相!アイデア自体はそんなに新しいものではないですが、観客に対するミスリードの仕方が抜群に巧く、僕は普通に騙されちゃいました。繰り返される悪夢やエイリアンの造形や武器などの謎にこれで全て納得がいくという巧みさ。他にも、燃え盛るビルの屋上からゴンドアで下るシーンだとか、唐突に襲い掛かってくるエイリアン等々、アクション・シーンの数々もどれもキレがあって大変グッド。破壊された街並みやエイリアンの腕から出るホログラフなど、そのブルーを基調とした映像にもけっこうセンスを感じました。主人公夫婦の〝内部〟の映像なんてスタイリッシュで素晴らしいの一言。いやー、なかなか技ありの一本でありました。あと、これはどうでもいいことなのですが、長女役を演じた女の子がブルゾンちえみとそっくりだったことも最後に記しておきたい。髪型もメイクも服装もそのまんまなので、そのうちwithBが出てくるんじゃないかと僕は勝手に一人でウケてました。ま、ホントどうでもいいんですけどね(笑)。
[インターネット(字幕)] 7点(2020-06-01 14:31:22)(良:1票)
17.  エヴァの告白 《ネタバレ》 
1921年、ニューヨーク。戦禍を逃れ、祖国ポーランドから着の身着のままの姿でアメリカへとやって来たエヴァとその妹マグダ。不安を抱えつつも姉妹は新たな地で幸せな生活を夢見て税関に並んでいた。だが、長い劣悪な船旅から妹は深刻な肺病を患い、そのまま施設に半年間の隔離を言い渡されてしまう。そしてエヴァ自身もまた身元引受人の不備から、強制送還を宣告されてしまうのだった。八方塞がりの状況に絶望に暮れるエヴァ。そんな彼女を救ってくれたのは、見ず知らずの紳士、ブルーノだった――。戸惑いながらもエヴァは、ブルーノに言われるまま、彼の職場へとやって来る。そこは彼女のような行き場のない女たちがたむろする怪しげな劇場だった。そう、ブルーノは、表向きは多数の踊り子たちを擁する興行主でありながら、その裏では女を違法に男どもへと斡旋する女衒だったのだ。最初は拒否反応を示すエヴァだったが、行くところもお金もなかった彼女は、妹を救うために仕方なく最初の客を取らされることに。やがて彼女は幾多の男どもを手玉に取る美しき娼婦へと変貌してゆく…。激動の時代に、過酷な運命に翻弄される一人の可憐な女性エヴァの苦難に満ちた人生を描いたラブ・ロマンス。男たちの欲望と愛情を一身に惹き付ける娼婦エヴァ役には、フランスの人気女優マリオン・コティヤール。あくまで商品として女たちを扱いながらもやがてエヴァの魅力に心を掻き乱されてしまう女衒役には、最近ノリにノッている実力派ホアキン・フェニックス。彼とエヴァを取り合う奇術師役として、ジェレミー・レナ―も出演しております。この時代に多くいたであろう、こんな生き方しか出来なかった女性の悲哀は充分描けていたと思います。何よりマリオン・コティヤールの何処か陰のある美貌がこの役にぴったり嵌まっておりました。いやー、男って自分でも馬鹿だなぁと分かっているのですが、こーゆー陰のある可哀そうな女性に否応なく惹かれちゃう生き物なのです。身体だけじゃなく、彼女の心も俺色に染めあげたい――。そんな身勝手な欲望によってどんどんと身を持ち崩してしまうブルーノの心境は、男としてけっこう分かる(笑)。まあ、彼らの三角関係の描き方が浅はかだとか、ラストが幾分か中途半端だという欠点も大いに目に付く作品なのですが、僕はこの時代掛かったメロドラマを充分堪能できました。あと気になったのは、画面が終始セピア調だったこと。この時代の空気を表すためなのだろうけど、ちょっとやり過ぎ感が…。あまりにも画面が黄色過ぎて、全員アジア人に見えたぞ(笑)。
[DVD(字幕)] 7点(2020-03-27 13:16:18)
18.  エリザベス∞エクスペリメント 《ネタバレ》 
舞台は、人里離れた小高い丘の上に建つ豪華な別荘。そこに、持ち主であるノーベル賞を受賞した老科学者が若き婚約者を連れてやってくるところから物語は始まる。婚約者の名は、エリザベス。まるで人形のような完璧な美貌の持ち主である彼女を迎え入れるのは、科学者の息子である盲目の若者と家政婦のような謎の女性。誰もが何か秘密を隠しているような別荘の中で、科学者とエリザベスの愛欲に満ちた新婚生活が始まる。沢山の高価な服に高級な家具調度品、何不自由ない満たされた日々。だが、エリザベスは拭い切れない違和感を抱き始めるのだった。夫の目を盗み、秘密の地下室へと忍び込んだエリザベスは、そこであり得ないものを発見してしまう。それは昏睡状態で保存された、自分と瓜二つの若き女性だった――。果たして自分は何者なのか?エリザベスの出生の秘密を巡り、衝撃の物語が今幕を開ける……。とまあ、ここでぶっちゃけてネタバレすると彼女はこの科学者が創り出したクローンなわけなのですが、こんな単純なお話なのに、こんなにこんがらがったストーリー展開にする意味が分からない作品でしたね、これ。エリザベスの基となった人間はこの科学者の亡くなった奥さんで、しかも6体しか作り出せなかったのに、約束破って秘密の地下室に入ったからって簡単に殺しちゃうこの科学者の行動がまず意味不明過ぎます。物凄く怪しさ満点でしかも指紋認証で簡単に入れるのに、「この部屋に入ってはいけない」なんて言ったら誰だって入りたくもなりますって!え、これは「ここには誰も隠れてへんで!」って言う往年の吉本新喜劇のネタですか(笑)。さらにこの別荘の住人である女性科学者の謎の経歴やら実は息子もクローンだったという無駄にややこしいうえにさして盛り上がりに欠けるエピソードを絡めてくるもんだから、後半はもう眠たくって仕方なかったです。中途半端に哲学的な会話を盛り込んでみたり、全編にわたって変に凝った撮り方をしたりするのもこの面白くなさに拍車を掛けています。大胆なヌードを披露してくれたエリザベス役の女優さんも確かにキレイなんですけど、なんだかお人形さんのような作り物めいた感じなので、そこまで僕の股間に響かず…。うーん、観るだけ時間の無駄の凡作でした。4点!
[DVD(字幕)] 4点(2020-02-18 21:27:18)
19.  エア・ストライク(2018) 《ネタバレ》 
日中戦争の真っ只中、戦略上の重要な拠点であった重慶を巡る日中の決死の攻防を迫力の映像で描いた戦争スペクタクル巨編。ブルース・ウィリスとエイドリアン・ブロディという二大ハリウッドスター共演ということで今回鑑賞してみましたが、実はこれって100%中国資本の映画だったのですね。普段、中国映画は全くと言っていいほど観ないのですが、なんだかその中国映画のダメな部分の見本市のような、恐ろしく程度の低い作品でした。本作の最大の見どころであるはずの日中両軍の空中戦が予算の関係かかなりショボいCGなのはまあ目をつぶるとしても、肝心の脚本がお粗末すぎてもう見られたもんじゃありません。一応群像劇と言っていいのでしょうけど、誰が誰で物語上いまいったい何をしているのかという基本的な部分がおろそかにされているせいで、ストーリーがさっぱり頭に入ってこないのです。ところどころ苦笑してしまうほどの前時代的なクサい演出が繰り返されるのも見ていて痛々しいったらありゃしない。また、中国映画だけに日本軍の残虐行為が何度も強調されるのはまぁそういうもんなんでいいんですが、これでもかと強調されるあからさまな中国礼賛描写には思わず苦笑しちゃいました。中国人が何故かみな流暢な英語を喋るのも違和感しか湧いてきません。しかもこれが何故か全員アフレコなので口の動きと声が微妙にあっていないのも意味不明で、かなりストレス。ブルース・ウィリスも完全に金のためにやっつけで仕事してる感ありまくりで、しかも実の娘まで出して親子で荒稼ぎする始末。エイドリアン・ブロディにいたっては何のために出てきたのかさっぱり分かりません。極めつけは全てのことが終わった後の麻雀大会のエピソード。蛇足以外の何者でもない茶番劇そのもので、しかもこれがブリザードレベルのかなり寒いコント。もはや怒りを通り越して失笑しか湧いてきませんでした。率直な結論を述べさせてもらうと、もはや映画と呼ぶのさえ憚られるような、最低レベルのクソ映画でありました。
[DVD(字幕)] 1点(2019-12-06 00:46:36)
20.  LBJ ケネディの意思を継いだ男 《ネタバレ》 
1963年11月22日、ケネディ大統領がダラスで暗殺されたその日、当時副大統領だったリンドン・B・ジョンソンは規定により新大統領に就任することとなった。それまで政治的に限定されたお飾りのような地位にいた彼が、いかにしてアメリカという巨大な国家を動かす最高権力者となっていったのか?本作は、その激動のアメリカ現代史の裏に隠された真実にスポットライトを当てた政治ドラマだ。監督はハリウッドを代表する実力派のロブ・ライナー、実在したアメリカ大統領を貫禄たっぷりに演じるのは個性派俳優ウディ・ハレルソン。ケネディ大統領が愛する妻の目の前で凶弾に倒れたまさにその日のドラマを縦軸に、LBJことリンドン・B・ジョンソンがいかにして副大統領にまで上り詰めたのかを過去の回想シーンを差し挟みながら描くその構成はなかなかのものだった。単調になりがちなこの手の作品を巧く料理した、ベテラン監督のその匠の技が光る。ケネディの実弟である司法長官や南部の重鎮であるテキサス州知事との政治的確執も分かりやすく描かれており、人間ドラマとしてもなかなか見応えがあった。深い愛情を感じさせる、彼と長年連れ添った妻との小さなエピソードの数々も味わい深いものがある。ただ、良くも悪くも優等生的作品なので、いまいち心に響くものがないのが本作の弱いところか。最後まで興味深く観られたが、そこまで印象に残るものはなかったというのが自分の正直な感想だ。
[DVD(字幕)] 6点(2019-11-02 21:32:11)
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