21. 殴られる男
《ネタバレ》 真相を知ったトロが吐き出したマウスピースを口に戻そうとして力尽きる姿にジーンときました。目の当たりにしたエディは金に転んだ自身を恥じたのだろうか、何を思ったのだろうか。ニックの寄生虫ぶりに上がり続けた不快指数がマックスに達した時にエディも袂を分かつ。そこからエンディングまでエディとトロの無事を握り拳で祈り続けました。ラストショットのタイプの文面の日本語訳に「えっ? 何で?」観直して誤訳を確認しました。特筆ものの失態です。遺作に相応しいボギーの持ち味溢れる姿に見惚れ、神経を逆なでされ続けたロッド・スタイガーの熱演に釘づけになった逸品。 [DVD(字幕)] 9点(2018-06-23 22:13:41) |
22. 渚にて
『海底二万哩』からアドベンチャー要素を取り除きロマンス仕立てにした作品。グレゴリー・ペック、エヴァ・ガードナー、フレッド・アステア、アンソニー・パーキンスといったしっとりとした俳優達がそれなりに雰囲気を醸し出すものの、こじんまり感が否めず、街の終末模様の虚しさや終末を迎える街の緊迫感が何も響いてこないのが残念。製作費がかけられなかったのだろうか? [DVD(字幕)] 5点(2018-05-27 16:06:50) |
23. ならず者部隊
第二次大戦における南方での日米の戦い。南部綿花農場主で小作人を思い遣る気持ちがカケラもないサムが戦場で人の痛みが分かる人間となるドラマ。奇襲・トラップ・だまし討ち・味方による誤射の戦闘模様、ゲイの部隊長ウェイコ、それぞれの気が滅入る陰湿さ。このような視点で描かれる戦争映画を監督するリチャード・フライシャーの技量を見せられる作品。ロバート・ワグナーの存在感が薄いのが残念。サムはバート・レイノルズが適役だと思った。 [DVD(字幕)] 6点(2018-04-30 14:09:58) |
24. 何がジェーンに起ったか?
幼少時から憎しみ合った二人の密室劇で、山姥のようなジェーンがブランチの思惑を一つ一つ潰してゆく様は丹念なカメラワークもあいまってホラーであり心底恐ろしい。踏み躙られてもジェーンを思うブランチの心境が理解し難かったのが、「何がジェーンに起こったか?」が告白するラストで明らかになり、胸が塞がる。隣人とピアニストがもっと話に絡んでくれれば。ジョーン・クロフォードとベティ・デイヴィスは犬猿の仲だそうで、本作で二人を制御できるのはアルドリッチ監督ならではか。撮影現場の緊張感も半端なかったと想像できる。全編が異様なオーラに包まれる傑作。 [DVD(字幕)] 9点(2018-02-21 16:51:39)(良:2票) |
25. 長く熱い週末
《ネタバレ》 なかなか分からなかった敵がIRAだったとは。狙われる理由は? モヤモヤしていた時に「あ、そう言えば」と冒頭の台詞の無いシーンが思い浮かぶ。「裏切りのサーカス」を思わせる演出。劇中の台詞にあるようにイギリス軍隊が長年に亘って制圧出来ない組織に勝てる筈もないのに引き下がらない独善的、猪突猛進、破滅型のボスを演ずるボブ・ホスキンスは、エドワード・G・ロビンソンやジェームズ・キャグニーやアル・パチーノを彷彿とさせる。ラストの長回しシーンはギャング映画屈指の名場面。お目当てヘレン・ミレンがイマイチなのと耳障りに感じた音楽に2点減点。 [DVD(字幕)] 7点(2018-01-13 23:51:48) |
26. ナイトビジター
マックス・フォン・シドー、リヴ・ウルマン、トレバー・ハワード、ヘンリー・マンシーニ(音楽)が織りなすサスペンス劇で掘り出し物の逸品。体力勝負の脱獄と犯行と帰監で白夜の雪原をTシャツ一枚パンツ一丁で駆けるブルーグレーの瞳に復讐心を宿したセイラムに底冷えさせられます。彼同様「ええーっ、そりゃあないよ!」という無理筋なラストシーンに-1点。 [DVD(字幕)] 8点(2017-06-11 23:12:21) |
27. 涙するまで、生きる
《ネタバレ》 舞台は1954年、独立戦争のアルジェリア。西部劇と「さらば冬のかもめ」が思い浮かんだ不思議な作品。部族の因習を甘んじて受けようとするモハメドに「生きろ!」と励ますダリュ。自身もアルジェリア生まれのスペイン人移民としての諦念を振り払おうと教師を辞める。授かった命は事切れるまで諦念に押し潰されず全力を尽くして生きるのだと認識させられる。 [DVD(字幕)] 6点(2017-05-14 18:23:43) |
28. 9デイズ
白ける程ではないにせよ、意外性がなくサクサクと進んで行き、メデタシメデタシで終わる物語を淡々と眺めていました。アンソニー・ホプキンスの魅せ方が間違っていて残念です。 [DVD(字幕)] 5点(2012-03-04 22:58:58) |
29. 嘆きの天使(1930)
《ネタバレ》 中盤以降の展開はあまりと言えばあまりの無情さに目を背ける場面が多々ありました。道化になれず、死に場所を教室に求めたラート。エミール・ヤニングスが渾身の演技でもって見せる、謹厳実直であり続けたが故の地べたを這いずり回るような苦悩が重く迫ってきました。そして、ローラや興行主が極悪人ではない事が彼の憐れさを浮き彫りにさせていました。 [DVD(字幕)] 7点(2011-11-22 21:10:24) |
30. 浪華悲歌
《ネタバレ》 我が身を犠牲にして尽くした相手に裏切られる。恋人はともかく家族の冷たさが堪えます。誰のおかげですき焼きを食べていられるのか! それでも一滴の涙も流さぬアヤ子。犬と朝寝をしている社長夫人共々女性陣の逞しさに魅入ります。それに引き替え男性陣ときたら・・・心斎橋そごうのエレベーター、地下鉄淀屋橋駅(?)当時の最先端の街並みが興味深かったです。 [DVD(邦画)] 6点(2011-08-13 20:53:23) |
31. ナインスゲート
《ネタバレ》 重厚で端正、僅かな空気の動きの如く漂う不穏さ、死体の描写の生々しさ。ポランスキー特有の映像に満足。ジョニー・デップはその世界に、久々に観たエマニュエル・セイナーのやはり濃いキャラクターはストーリーに、それぞれマッチしています。悪魔の手の上で踊らされる人間の欲望が描かれる中で、金の亡者がその門をくぐるラストは良いとして、バルカンの最期の陳腐さに監督の集中力が途切れたのかと思いました。また、金儲けの商品としての書籍に対する扱いがぞんざいであるのが始終気になりました。 [DVD(字幕)] 6点(2009-12-08 17:19:17) |
32. 波の塔
原作は清張作品で三番目に好きであり期待が大きかったのですが、感情を表せないロボットのような津川雅彦がぶち壊しています。結城夫妻の方から男女の機微を感じるようではいけません。 [DVD(邦画)] 6点(2009-09-19 17:21:19) |
33. ナイロビの蜂
《ネタバレ》 夫が真相究明に乗り出した所から一気に面白くなり、そこに至るまでの前半の退屈さに観るのを投げ出してしまいそうなのを堪えた甲斐があったというものです。金儲けの為に人の命を屁とも思わぬ企業もさることながら、正義を装いつつ私利私欲で立ち回る政治家、役人というのはまともな神経では務まらない薄汚い生き物です。夫婦はあの世で再会する結末となりました。もし共に命があったとしてこの先添い遂げる事ができるのかと考えさせられました。 [DVD(字幕)] 6点(2009-06-29 02:38:43) |
34. ナチョ・リブレ/覆面の神様
小学生の頃からのプロレスファンです。マスカラス対デストロイヤーの一戦を記憶しています。多少の期待があったのですが、しょっぱい作品でした。脚本と俳優と映像から漂う薄汚さとヘタレ感、笑えぬギャグ、見所のない試合模様。早送りしたいのを堪えながらの鑑賞でした。上映時間の短さに免じて1点です。 [DVD(字幕)] 1点(2009-04-24 22:21:34) |
35. 謎の要人悠々逃亡!
《ネタバレ》 孤高の博士の、誰に対しても遠慮のカケラのない、人の気持ちを斟酌する事も全く無い、人を見下した言動は鼻持ちならないです。彼は悠々と逃亡しましたが、多くの協力者の必死のサポートがあればこそで、ドイツ軍の間抜けぶりもあり、白けた思いになりました。しかし、ラストシーンが救ってくれました。三人との再会を喜ぶ心からの笑顔に、普段は出し惜しんでいるかのような感情を持ち合わせていた事にホッとしましたし、収容所所長との再会を懐かしみふざけ合う姿に、戦争とは個人的に何の恨みも無い者同士が敵味方に分かれて角突きあわせているだけなのだという事を思い出させてくれました。愚かな事態であって、何時までも暴力の応酬を止めず、遺恨を次の世代に伝えていくのは悲惨な事ですね。味わい深いラストシーンでした。 [ビデオ(字幕)] 6点(2005-05-04 21:37:47) |